朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル家屋稅法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年七月十二日
內閣總理大臣 米內光政
大藏大臣 櫻內幸雄
法律第百八號
家屋稅法目次
第一章
總則
第二章
賃貸價格ノ調査決定
第三章
家屋ノ異動
第四章
家屋賃貸價格調査委員會
第五章
家屋稅ノ徵收
第六章
雜則
家屋稅法
第一章 總則
第一條 本法施行地ニ在ル家屋ニハ本法ニ依リ家屋稅ヲ課ス
第二條 本法ニ於テ家屋トハ住家、店舖、工場、倉庫其ノ他ノ建物ヲ謂フ
第三條 左ニ揭グル家屋ニハ家屋稅ヲ課セズ但シ有料借家ハ此ノ限ニ在ラズ
一 國、北海道、府縣、市町村其ノ他命令ヲ以テ指定スル公共團體ニ於テ公用又ハ公共ノ用ニ供スル家屋
二 神社、寺院又ハ敎會ノ用ニ供スル家屋
三 國寶保存法又ハ史蹟名勝天然紀念物保存法ニ依リ國寶又ハ史蹟若ハ名勝トシテ指定セラレタル家屋
四 私立ノ幼稚園、小學校、中學校、高等女學校、實業學校、專門學校、高等學校及大學竝ニ大藏大臣ノ指定スル其ノ他ノ私立學校ニ於テ直接ニ保育又ハ敎育ノ用ニ供スル家屋
五 其ノ他命令ヲ以テ定ムル家屋
第四條 家屋ニハ一個每ニ家屋番號ヲ附シ其ノ床面積及賃貸價格ヲ定ム但シ家屋稅ヲ課セザル家屋ニ付テハ賃貸價格ヲ附セズ
前項ノ場合ニ於テ附屬家屋アルトキハ之ヲ合シタルモノヲ以テ一個ノ家屋ト看做ス
一個ノ家屋中家屋稅ヲ課スル部分ト家屋稅ヲ課セザル部分トアルトキ又ハ所有者ヲ異ニスル部分アルトキハ各別ニ之ヲ一個ノ家屋ト看做シ前二項ノ規定ヲ適用ス
床面積ノ計算ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條 稅務署ニ家屋臺帳ヲ備ヘ左ノ事項ヲ登錄ス
一 家屋ノ所在
二 家屋番號
三 種類、構造及床面積
四 賃貸價格
五 所有者ノ住所及氏名又ハ名稱
本法ニ定ムルモノノ外家屋臺帳ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條 家屋稅ノ課稅標準ハ家屋臺帳ニ登錄シタル賃貸價格トス
賃貸價格ハ貸主ガ公課、修繕費其ノ他家屋ノ維持ニ必要ナル經費ヲ負擔スル條件ヲ以テ之ヲ賃貸スル場合ニ於テ貸主ノ收得スベキ一年分ノ金額ニ依リ之ヲ定ム
第七條 家屋稅ノ稅率ハ百分ノ一・七五トス
第八條 家屋稅ハ年額ヲ二分シ左ノ二期ニ於テ之ヲ徵收ス
第一期 其ノ年六月一日ヨリ三十日限
第二期 其ノ年十一月一日ヨリ三十日限
第九條 家屋稅ハ納期開始ノ時ニ於テ家屋臺帳ニ所有者トシテ登錄セラレタル者ヨリ之ヲ徵收ス
第二章 賃貸價格ノ調査決定
第十條 賃貸價格ハ第十一條、第十四條第一項及第二十二條第一項ニ規定スル場合ヲ除クノ外家屋賃貸價格調査委員會ノ議ニ付シ政府ニ於テ之ヲ定ム
第十一條 第十七條又ハ第十九條ノ規定ニ依リ賃貸價格ヲ定ムル場合ニ於テハ其ノ賃貸價格ハ類似ノ家屋ノ家屋臺帳ニ登錄シタル賃貸價格ニ比準シ其ノ家屋ノ情況ニ應ジテ之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テハ床面積及賃貸價格ハ家屋所有者ノ申吿ニ依リ、申吿ナキトキ又ハ申吿ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ定ム
第十二條 賃貸價格ハ五年每ニ一般ニ之ヲ改定ス
第十三條 賃貸價格ヲ一般ニ定ムル場合ニ於テハ賃貸價格ハ之ヲ定ムル年ノ前前年四月一日現在ノ家屋稅ヲ課スベキ家屋ニ付之ヲ調査ス
第十四條 賃貸價格ヲ一般ニ定ムル年ノ前前年四月二日以後賃貸價格ヲ一般ニ定ムル迄ノ間ニ於テ異動シタル家屋ニ付テハ一般ニ定ムル賃貸價格ハ第十一條第一項又ハ第二十二條第一項ノ例ニ準ジ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ定ム
第四十九條乃至第五十二條ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第十五條 本法ニ定ムルモノノ外賃貸價格ノ調査ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三章 家屋ノ異動
第十六條 家屋ヲ建築シタルトキ、家屋稅ヲ課セザル家屋ガ家屋稅ヲ課スル家屋ト爲リタルトキ又ハ家屋稅ヲ課セザル家屋ノ一部ガ家屋稅ヲ課スルモノト爲リタルトキハ家屋所有者ハ三十日以內ニ其ノ旨ヲ稅務署長ニ申吿スベシ
第十七條 家屋ヲ建築シタルトキ、家屋稅ヲ課セザル家屋ガ家屋稅ヲ課スル家屋ト爲リタルトキ又ハ家屋稅ヲ課セザル家屋ノ一部ガ家屋稅ヲ課スルモノト爲リタルトキハ直ニ其ノ賃貸價格ヲ定ム
第十八條 家屋ヲ增築シタルトキハ家屋所有者ハ三十日以內ニ其ノ旨ヲ稅務署長ニ申吿スベシ
第十九條 家屋ヲ增築シタルトキハ直ニ其ノ賃貸價格ヲ定ム
前項ノ規定ハ家屋ガ毀損シ家屋所有者其ノ旨ヲ申吿シタル場合ニ付之ヲ準用ス
第二十條 第十七條又ハ前條第一項ノ規定ニ依リ賃貸價格ヲ定メタル家屋ニ付テハ之ヲ定メタル日ガ六月三十日以前ナルトキハ其ノ年ノ第二期分ヨリ、七月一日以後ナルトキハ其ノ年ノ翌年分ヨリ新ニ定メタル賃貸價格ニ依リ家屋稅ヲ徵收ス
前條第二項ノ規定ニ依リ賃貸價格ヲ定メタル家屋ニ付テハ之ヲ定メタル後ニ開始スル納期ヨリ新ニ定メタル賃貸價格ニ依リ家屋稅ヲ徵收ス
第二十一條 家屋ニ付左ノ各號ノ一ニ該當スル事由ヲ生ジタルトキハ家屋所有者ハ其ノ旨ヲ稅務署長ニ申吿スベシ
一 一個ノ家屋ガ數個ノ家屋ト爲リタルトキ
二 數個ノ家屋ガ一個ノ家屋ト爲リタルトキ
三 家屋稅ヲ課スル家屋ノ一部ガ家屋稅ヲ課セザルモノト爲リタルトキ
四 家屋ノ一部ガ所有者ヲ異ニスルニ至リタルトキ
第二十二條 家屋ガ前條各號ノ一ニ該當スルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ從前ノ賃貸價格ヲ配分又ハ合算シテ家屋稅ヲ課スベキ家屋ノ賃貸價格ヲ定ム
前項ノ家屋ニ付テハ其ノ賃貸價格ヲ定メタル後ニ開始スル納期ヨリ其ノ賃貸價格ニ依リ家屋稅ヲ徵收ス
第二十三條 家屋稅ヲ課スル家屋ガ家屋稅ヲ課セザル家屋ト爲リタルトキ又ハ家屋ガ滅失シタルトキハ其ノ旨ノ申吿アリタル後ニ開始スル納期ヨリ家屋稅ヲ徵收セズ家屋稅ヲ課スル家屋ノ一部ガ家屋稅ヲ課セザルモノト爲リタル場合ニ於テ其ノ部分ニ付亦同ジ
第四章 家屋賃貸價格調査委員會
第二十四條 賃貸價格ヲ一般ニ定ムル每ニ各稅務署所轄內ニ家屋賃貸價格調査委員會ヲ置ク但シ稅務署所轄內ニ在ル市ニ付テハ命令ヲ以テ特ニ賃貸價格調査委員會ヲ置クコトヲ得
賃貸價格調査委員會ハ之ヲ置クベキ區域內ノ各市町村ニ於テ家屋稅ヲ課スベキ家屋ノ所有者ノ選擧ニ依ル調査委員ヲ以テ之ヲ組織ス
調査委員ノ定數ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十五條 調査委員ノ選擧區域ハ賃貸價格調査委員會ヲ置クベキ區域ニ依リ投票區及開票區ハ市町村ノ區域ニ依ル
第二十六條 選擧區域內ニ於テ家屋稅ヲ課スベキ家屋ヲ所有スル個人ニシテ選擧人名簿ニ登錄セラレタル者ハ調査委員ヲ選擧シ又ハ調査委員ニ選擧セラルルコトヲ得但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一 無能力者
二 破產者ニシテ復權ヲ得ザルモノ
三 國稅滯納處分ヲ受ケタル後一年ヲ經ザル者
四 六年ノ懲役若ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレ又ハ奮刑法ノ重罪ノ刑ニ處セラレタル者
五 六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ處セラレ其ノ刑ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
六 第六十五條又ハ第六十六條ノ規定ニ依リ禁錮以上ノ刑ニ處セラレ其ノ刑ノ執行ヲ終リタル後又ハ時效ニ因ル場合ヲ除クノ外執行ノ免除ヲ受ケタル後五年ヲ經ザル者
七 第六十條、第六十三條又ハ第六十四條乃至第六十六條ノ規定ニ依リ罰金又ハ科料ノ刑ニ處セラレ其ノ裁判確定ノ後五年ヲ經ザル者
法人ニシテ家屋稅ヲ課スベキ家屋ヲ所有スル者ハ前項ノ規定ニ準ジ調査委員ヲ選擧スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ選擧ニ關スル代表者ヲ定メ當該市町村長ニ申吿スベシ
第一項各號ノ一ニ該當スル者ハ前項ノ規定ニ依ル法人ノ代表者タルコトヲ得ズ
選擧人名簿ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十七條 投票及開票ニ關スル事務ハ市町村長之ヲ擔任シ其ノ他ノ選擧ニ關スル事務ハ稅務署長之ヲ擔任ス
第二十八條 稅務署長ハ調査委員ノ選擧期日ヲ定メ之ヲ市町村長ニ通知スベシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ少クトモ選擧期日七日前其ノ旨ヲ公示スベシ
第二十九條 選擧ハ無記名投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
選擧人ハ選擧ノ當日投票時間內ニ自ラ投票所ニ到リ被選擧人一人ノ氏名ヲ投票用紙ニ記載シテ投票スベシ
投票用紙ハ選擧ノ當日投票所ニ於テ之ヲ選擧人ニ交付ス
第三十條 市町村長ハ投票ヲ調査シ直ニ其ノ結果ヲ稅務署長ニ報吿スベシ
第三十一條 稅務署長前條ノ報吿ヲ受ケタルトキハ選擧會ヲ開キ之ヲ調査スベシ
第三十二條 投票、開票及選擧會ニハ立會人ヲ立會ハシムベシ
立會人ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十三條 投票ノ多數ヲ得タル者ヲ以テ當選人トス投票ノ數同ジキトキハ年齡多キ者ヲ取リ年齡同ジキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第三十四條 調査委員ノ選擧終了シタルトキハ稅務署長ハ當選人ノ氏名ヲ公示シ且之ヲ當選人及市町村長ニ通知スベシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ當選人ノ氏名ヲ公示スベシ
第三十五條 調査委員ニ當選シタル者ハ正當ノ事由ナクシテ之ヲ辭スルコトヲ得ズ
第三十六條 調査委員ハ賃貸價格調査委員會ノ會議ノ終了ニ因リ退任ス
第三十七條 調査委員第二十六條第一項各號ノ一ニ該當スルニ至リタルトキ又ハ其ノ選擧區域內ニ於テ家屋稅ヲ課スベキ家屋ヲ所有セザルニ至リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
第三十八條 調査委員ニ缺員ヲ生ジタルトキハ當選人ト爲ラザリシ者ノ中投票ノ最多數ヲ得タル者ヨリ順次之ヲ補充シ投票ノ數同ジキトキハ年齡多キ者ヲ取リ年齡同ジキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第三十四條ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第三十九條 調査委員ノ選擧ニ於テ當選人ノ數ガ定數ニ達セザルトキ又ハ調査委員ニ缺員ヲ生ジ前條ノ規定ニ依リ補充スベキ者ナキトキハ補缺選擧ヲ行フ但シ賃貸價格調査委員會開會後缺員ヲ生ジタル場合ニ於テハ之ヲ行ハザルコトヲ得
第四十條 賃貸價格調査委員會ハ稅務署長ノ通知ニ依リ之ヲ開ク其ノ開會日數ハ三十日以內トス
第四十一條 稅務署長ハ第十三條ノ規定ニ依リ調査シタル賃貸價格ノ調査書ヲ賃貸價格調査委員會ニ提出スベシ
第四十二條 賃貸價格調査委員會ハ開會ノ始ニ於テ調査委員中ヨリ會長ヲ選擧スベシ
第四十三條 賃貸價格調査委員會ハ定員ノ過半數ニ當ル委員出席スルニ非ザレバ決議ヲ爲スコトヲ得ズ
議事ハ出席員ノ多數ヲ以テ之ヲ決ス可否同數ナルトキハ會長ノ決スル所ニ依ル
第四十四條 調査委員ハ自己及自己ト同一戶籍內ニ在ル者ガ所有スル家屋ノ賃貸價格ニ關スル議事ニ與ルコトヲ得ズ
第四十五條 賃貸價格ヲ一般ニ定ムル年ノ前年十月三十一日迄ニ賃貸價格調査委員會成立セザルトキハ稅務署長ニ於テ其ノ賃貸價格ヲ定ム
賃貸價格調査委員會開會ノ日ヨリ第四十條ノ期間內又ハ前項ノ期日迄ニ決議終了セザルトキハ稅務署長ニ於テ其ノ賃貸價格ヲ定ム
第四十六條 稅務署長ハ賃貸價格調査委員會ノ決議ヲ不當ト認ムルトキハ十日以內ノ期間ヲ定メ再議ニ付ス仍其ノ決議ヲ不當ト認ムルトキ又ハ再議期間內ニ決議終了セザルトキハ稅務署長ニ於テ其ノ賃貸價格ヲ定ム
第四十七條 稅務署長又ハ其ノ代理官ハ賃貸價格調査委員會ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第四十八條 調査委員ニハ手當及旅費ヲ給ス
第四十九條 第十條、第四十五條又ハ第四十六條ノ規定ニ依リ賃貸價格ヲ定メタルトキハ稅務署長ハ之ヲ市町村長ニ通知スベシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ二十日間關係者ノ縱覽ニ供スベシ縱覽期間ハ豫メ之ヲ公示スベシ
第五十條 自己ノ所有スル家屋ノ賃貸價格ニ付異議アル者ハ前條ノ縱覽期間滿了ノ日ヨリ二十日以內ニ不服ノ事由ヲ具シ稅務署長ヲ經由シテ稅務監督局長ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
前項ノ申立アリタル場合ト雖モ政府ハ稅金ノ徵收ヲ猶豫セズ
第五十一條 前條第一項ノ申立アリタルトキハ稅務監督局長ハ之ヲ審査決定シ異議申立人ニ通知スベシ
第五十二條 前條ノ決定ニ對シ不服アル者ハ訴願ヲ爲シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第五章 家屋稅ノ徵收
第五十三條 稅務署長ハ家屋ノ異動其ノ他家屋稅徵收ニ關シ必要ト認ムル事項ヲ市町村ニ通知スベシ
第五十四條 家屋稅ハ各納稅義務者ニ付同一市町村內ニ於ケル家屋ノ賃貸價格ノ合計金額ニ依リ算出シ之ヲ徵收ス但シ賃貸價格ノ合計金額ガ命令ヲ以テ定ムル金額ニ滿タザルトキハ家屋稅ヲ徵收セズ
第五十五條 市町村ハ家屋稅ノ納期每ニ其ノ納期開始前十五日迄ニ賃貸價格及家屋稅ノ總額竝ニ其ノ各納期ニ於ケル納額ヲ稅務署長ニ報吿スベシ但シ前報吿後異動ナキトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ報吿後納期開始迄ニ報吿事項ニ異動ヲ生ジタルトキハ直ニ其ノ異動額ヲ稅務署長ニ報吿スベシ
第六章 雜則
第五十六條 稅務署長家屋ノ異動ニ因リ家屋番號、種類、構造、床面積又ハ賃貸價格ヲ家屋臺帳ニ登錄シタルトキ又ハ登錄ヲ變更シタルトキハ家屋所在ノ市町村ヲ經由シ家屋所有者ニ通知スベシ
第五十七條 納稅義務者其ノ家屋所在ノ市町村內ニ現住セザルトキハ家屋稅ニ關スル事項ヲ處理セシムル爲其ノ地ニ於テ納稅管理人ヲ定メ當該市町村長ニ申吿スベシ
第五十八條 稅務署長又ハ其ノ代理官ハ調査上必要アルトキハ家屋ノ所有者、占有者其ノ他利害關係人ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ日出ヨリ日沒迄ノ間家屋ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
第五十九條 本法ニ依リ申吿ヲ爲スベキ義務ヲ有スル者其ノ申吿ヲ爲サザルトキハ五十圓以下ノ過料ニ處ス
第六十條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ家屋稅ヲ逋脫シタル者ハ其ノ逋脫シタル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金又ハ科料ニ處シ直ニ其ノ家屋稅ヲ徵收ス但シ自首シ又ハ稅務署長ニ申出デタル者ハ其ノ罪ヲ問ハズ
前項ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及第六十六條ノ規定ヲ適用セズ
第六十一條 本法ニ依リ申吿ヲ爲スベキ義務ヲ有スル者其ノ申吿ヲ爲サズ仍テ家屋稅ニ不足額アルトキハ直ニ之ヲ徵收ス
第六十二條 前二條ノ規定ニ依リ家屋稅ヲ徵收スル場合ニ於テハ第五十四條ノ規定ニ拘ラズ當該家屋一個每ニ其ノ家屋稅ヲ算出ス
第六十三條 正當ノ事由ナクシテ第五十八條ノ規定ニ依ル家屋ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
第六十四條 賃貸價格ノ調査若ハ審査ノ事務ニ從事シ又ハ賃貸價格調査委員會ノ議事ニ參加シタル者其ノ調査、審査又ハ議事ニ關シ知得タル祕密ヲ正當ノ事由ナクシテ漏洩シタルトキハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第六十五條 調査委員ノ選擧ニ關シ當選ヲ得又ハ得シメ若ハ得シメザル目的ヲ以テ選擧人又ハ選擧運動者ニ對シ金錢物品其ノ他ノ財產上ノ利益若ハ公私ノ職務ノ供與ヲ爲シ、饗應接待ヲ爲シ又ハ其等ノ申込若ハ約束ヲ爲シタル者ハ三年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ供與若ハ饗應接待ヲ受ケ若ハ要求シ又ハ其等ノ申込ヲ承諾シタル者亦前項ニ同ジ
前二項ニ規定スル行爲ニ關シ周旋又ハ勸誘ヲ爲シタル者亦第一項ニ同ジ
第六十六條 調査委員ノ選擧ニ關シ投票ヲ得又ハ得シメ若ハ得シメザル目的ヲ以テ戶別訪問ヲ爲シ又ハ連續シテ個個ノ選擧人ニ面接シ若ハ電話ニ依リ選擧運動ヲ爲シタル者ハ一年以下ノ禁錮又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第六十七條 町村組合ニシテ町村ノ事務ノ全部又ハ役場事務ヲ共同處理スルモノハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ一町村、其ノ組合管理者ハ之ヲ町村長ト看做ス
市制第六條又ハ第八十二條第三項ノ規定ニ依リ指定セラレタル市ニ於テハ本法中市ニ關スル規定ハ區ニ、市長ニ關スル規定ハ區長ニ之ヲ適用ス
町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ本法中町村ニ關スル規定ハ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ關スル規定ハ町村長ニ準ズベキモノニ之ヲ適用ス
第六十八條 本法ハ國有ノ家屋ニハ之ヲ適用セズ
附 則
第六十九條 本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ家屋稅ノ賦課徵收ニ關スル規定ハ昭和十七年分家屋稅ヨリ之ヲ適用ス
第七十條 第四條及第五條ノ規定ハ當分ノ內家屋稅ヲ課セザル家屋ニ付之ヲ適用セズ
第七十一條 家屋稅ニ付爲スベキ第一囘ノ一般ノ賃貸價格調査ハ昭和十五年七月一日現在ノ家屋稅ヲ課スベキ家屋ニ付之ヲ爲シ其ノ賃貸價格ハ昭和十七年一月一日ニ於テ之ヲ定ム此ノ場合ニ於テハ第四十五條中十月三十一日トアルハ十一月二十日トス
第七十二條 前條ノ規定ニ依リ一般ニ賃貸價格ヲ定ムル場合ニ於ケル第十四條ノ規定ノ適用ニ付テハ同條中四月二日トアルハ七月二日トス
第七十三條 昭和十五年七月一日ニ於テ家屋稅ヲ課スベキ家屋ヲ所有スル者ハ同年八月三十一日迄ニ其ノ旨ヲ稅務署長ニ申吿スベシ
昭和十五年七月二日以後昭和十六年十二月三十一日迄ノ間ニ於テ家屋ニ異動ヲ生ジタルトキハ家屋所有者ハ其ノ都度其ノ旨ヲ稅務署長ニ申吿スベシ
第七十四條 家屋ノ第一囘ノ一般ノ賃貸價格改定ハ昭和二十五年一月一日ニ於テ之ヲ行フ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル家屋税法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年七月十二日
内閣総理大臣 米内光政
大蔵大臣 桜内幸雄
法律第百八号
家屋税法目次
第一章
総則
第二章
賃貸価格ノ調査決定
第三章
家屋ノ異動
第四章
家屋賃貸価格調査委員会
第五章
家屋税ノ徴収
第六章
雑則
家屋税法
第一章 総則
第一条 本法施行地ニ在ル家屋ニハ本法ニ依リ家屋税ヲ課ス
第二条 本法ニ於テ家屋トハ住家、店舗、工場、倉庫其ノ他ノ建物ヲ謂フ
第三条 左ニ掲グル家屋ニハ家屋税ヲ課セズ但シ有料借家ハ此ノ限ニ在ラズ
一 国、北海道、府県、市町村其ノ他命令ヲ以テ指定スル公共団体ニ於テ公用又ハ公共ノ用ニ供スル家屋
二 神社、寺院又ハ教会ノ用ニ供スル家屋
三 国宝保存法又ハ史蹟名勝天然紀念物保存法ニ依リ国宝又ハ史蹟若ハ名勝トシテ指定セラレタル家屋
四 私立ノ幼稚園、小学校、中学校、高等女学校、実業学校、専門学校、高等学校及大学並ニ大蔵大臣ノ指定スル其ノ他ノ私立学校ニ於テ直接ニ保育又ハ教育ノ用ニ供スル家屋
五 其ノ他命令ヲ以テ定ムル家屋
第四条 家屋ニハ一個毎ニ家屋番号ヲ附シ其ノ床面積及賃貸価格ヲ定ム但シ家屋税ヲ課セザル家屋ニ付テハ賃貸価格ヲ附セズ
前項ノ場合ニ於テ附属家屋アルトキハ之ヲ合シタルモノヲ以テ一個ノ家屋ト看做ス
一個ノ家屋中家屋税ヲ課スル部分ト家屋税ヲ課セザル部分トアルトキ又ハ所有者ヲ異ニスル部分アルトキハ各別ニ之ヲ一個ノ家屋ト看做シ前二項ノ規定ヲ適用ス
床面積ノ計算ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五条 税務署ニ家屋台帳ヲ備ヘ左ノ事項ヲ登録ス
一 家屋ノ所在
二 家屋番号
三 種類、構造及床面積
四 賃貸価格
五 所有者ノ住所及氏名又ハ名称
本法ニ定ムルモノノ外家屋台帳ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第六条 家屋税ノ課税標準ハ家屋台帳ニ登録シタル賃貸価格トス
賃貸価格ハ貸主ガ公課、修繕費其ノ他家屋ノ維持ニ必要ナル経費ヲ負担スル条件ヲ以テ之ヲ賃貸スル場合ニ於テ貸主ノ収得スベキ一年分ノ金額ニ依リ之ヲ定ム
第七条 家屋税ノ税率ハ百分ノ一・七五トス
第八条 家屋税ハ年額ヲ二分シ左ノ二期ニ於テ之ヲ徴収ス
第一期 其ノ年六月一日ヨリ三十日限
第二期 其ノ年十一月一日ヨリ三十日限
第九条 家屋税ハ納期開始ノ時ニ於テ家屋台帳ニ所有者トシテ登録セラレタル者ヨリ之ヲ徴収ス
第二章 賃貸価格ノ調査決定
第十条 賃貸価格ハ第十一条、第十四条第一項及第二十二条第一項ニ規定スル場合ヲ除クノ外家屋賃貸価格調査委員会ノ議ニ付シ政府ニ於テ之ヲ定ム
第十一条 第十七条又ハ第十九条ノ規定ニ依リ賃貸価格ヲ定ムル場合ニ於テハ其ノ賃貸価格ハ類似ノ家屋ノ家屋台帳ニ登録シタル賃貸価格ニ比準シ其ノ家屋ノ情況ニ応ジテ之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テハ床面積及賃貸価格ハ家屋所有者ノ申告ニ依リ、申告ナキトキ又ハ申告ヲ不相当ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ定ム
第十二条 賃貸価格ハ五年毎ニ一般ニ之ヲ改定ス
第十三条 賃貸価格ヲ一般ニ定ムル場合ニ於テハ賃貸価格ハ之ヲ定ムル年ノ前前年四月一日現在ノ家屋税ヲ課スベキ家屋ニ付之ヲ調査ス
第十四条 賃貸価格ヲ一般ニ定ムル年ノ前前年四月二日以後賃貸価格ヲ一般ニ定ムル迄ノ間ニ於テ異動シタル家屋ニ付テハ一般ニ定ムル賃貸価格ハ第十一条第一項又ハ第二十二条第一項ノ例ニ準ジ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ定ム
第四十九条乃至第五十二条ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第十五条 本法ニ定ムルモノノ外賃貸価格ノ調査ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三章 家屋ノ異動
第十六条 家屋ヲ建築シタルトキ、家屋税ヲ課セザル家屋ガ家屋税ヲ課スル家屋ト為リタルトキ又ハ家屋税ヲ課セザル家屋ノ一部ガ家屋税ヲ課スルモノト為リタルトキハ家屋所有者ハ三十日以内ニ其ノ旨ヲ税務署長ニ申告スベシ
第十七条 家屋ヲ建築シタルトキ、家屋税ヲ課セザル家屋ガ家屋税ヲ課スル家屋ト為リタルトキ又ハ家屋税ヲ課セザル家屋ノ一部ガ家屋税ヲ課スルモノト為リタルトキハ直ニ其ノ賃貸価格ヲ定ム
第十八条 家屋ヲ増築シタルトキハ家屋所有者ハ三十日以内ニ其ノ旨ヲ税務署長ニ申告スベシ
第十九条 家屋ヲ増築シタルトキハ直ニ其ノ賃貸価格ヲ定ム
前項ノ規定ハ家屋ガ毀損シ家屋所有者其ノ旨ヲ申告シタル場合ニ付之ヲ準用ス
第二十条 第十七条又ハ前条第一項ノ規定ニ依リ賃貸価格ヲ定メタル家屋ニ付テハ之ヲ定メタル日ガ六月三十日以前ナルトキハ其ノ年ノ第二期分ヨリ、七月一日以後ナルトキハ其ノ年ノ翌年分ヨリ新ニ定メタル賃貸価格ニ依リ家屋税ヲ徴収ス
前条第二項ノ規定ニ依リ賃貸価格ヲ定メタル家屋ニ付テハ之ヲ定メタル後ニ開始スル納期ヨリ新ニ定メタル賃貸価格ニ依リ家屋税ヲ徴収ス
第二十一条 家屋ニ付左ノ各号ノ一ニ該当スル事由ヲ生ジタルトキハ家屋所有者ハ其ノ旨ヲ税務署長ニ申告スベシ
一 一個ノ家屋ガ数個ノ家屋ト為リタルトキ
二 数個ノ家屋ガ一個ノ家屋ト為リタルトキ
三 家屋税ヲ課スル家屋ノ一部ガ家屋税ヲ課セザルモノト為リタルトキ
四 家屋ノ一部ガ所有者ヲ異ニスルニ至リタルトキ
第二十二条 家屋ガ前条各号ノ一ニ該当スルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ従前ノ賃貸価格ヲ配分又ハ合算シテ家屋税ヲ課スベキ家屋ノ賃貸価格ヲ定ム
前項ノ家屋ニ付テハ其ノ賃貸価格ヲ定メタル後ニ開始スル納期ヨリ其ノ賃貸価格ニ依リ家屋税ヲ徴収ス
第二十三条 家屋税ヲ課スル家屋ガ家屋税ヲ課セザル家屋ト為リタルトキ又ハ家屋ガ滅失シタルトキハ其ノ旨ノ申告アリタル後ニ開始スル納期ヨリ家屋税ヲ徴収セズ家屋税ヲ課スル家屋ノ一部ガ家屋税ヲ課セザルモノト為リタル場合ニ於テ其ノ部分ニ付亦同ジ
第四章 家屋賃貸価格調査委員会
第二十四条 賃貸価格ヲ一般ニ定ムル毎ニ各税務署所轄内ニ家屋賃貸価格調査委員会ヲ置ク但シ税務署所轄内ニ在ル市ニ付テハ命令ヲ以テ特ニ賃貸価格調査委員会ヲ置クコトヲ得
賃貸価格調査委員会ハ之ヲ置クベキ区域内ノ各市町村ニ於テ家屋税ヲ課スベキ家屋ノ所有者ノ選挙ニ依ル調査委員ヲ以テ之ヲ組織ス
調査委員ノ定数ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十五条 調査委員ノ選挙区域ハ賃貸価格調査委員会ヲ置クベキ区域ニ依リ投票区及開票区ハ市町村ノ区域ニ依ル
第二十六条 選挙区域内ニ於テ家屋税ヲ課スベキ家屋ヲ所有スル個人ニシテ選挙人名簿ニ登録セラレタル者ハ調査委員ヲ選挙シ又ハ調査委員ニ選挙セラルルコトヲ得但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一 無能力者
二 破産者ニシテ復権ヲ得ザルモノ
三 国税滞納処分ヲ受ケタル後一年ヲ経ザル者
四 六年ノ懲役若ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレ又ハ奮刑法ノ重罪ノ刑ニ処セラレタル者
五 六年未満ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ処セラレ其ノ刑ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
六 第六十五条又ハ第六十六条ノ規定ニ依リ禁錮以上ノ刑ニ処セラレ其ノ刑ノ執行ヲ終リタル後又ハ時効ニ因ル場合ヲ除クノ外執行ノ免除ヲ受ケタル後五年ヲ経ザル者
七 第六十条、第六十三条又ハ第六十四条乃至第六十六条ノ規定ニ依リ罰金又ハ科料ノ刑ニ処セラレ其ノ裁判確定ノ後五年ヲ経ザル者
法人ニシテ家屋税ヲ課スベキ家屋ヲ所有スル者ハ前項ノ規定ニ準ジ調査委員ヲ選挙スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ選挙ニ関スル代表者ヲ定メ当該市町村長ニ申告スベシ
第一項各号ノ一ニ該当スル者ハ前項ノ規定ニ依ル法人ノ代表者タルコトヲ得ズ
選挙人名簿ニ関スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十七条 投票及開票ニ関スル事務ハ市町村長之ヲ担任シ其ノ他ノ選挙ニ関スル事務ハ税務署長之ヲ担任ス
第二十八条 税務署長ハ調査委員ノ選挙期日ヲ定メ之ヲ市町村長ニ通知スベシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ少クトモ選挙期日七日前其ノ旨ヲ公示スベシ
第二十九条 選挙ハ無記名投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
選挙人ハ選挙ノ当日投票時間内ニ自ラ投票所ニ到リ被選挙人一人ノ氏名ヲ投票用紙ニ記載シテ投票スベシ
投票用紙ハ選挙ノ当日投票所ニ於テ之ヲ選挙人ニ交付ス
第三十条 市町村長ハ投票ヲ調査シ直ニ其ノ結果ヲ税務署長ニ報告スベシ
第三十一条 税務署長前条ノ報告ヲ受ケタルトキハ選挙会ヲ開キ之ヲ調査スベシ
第三十二条 投票、開票及選挙会ニハ立会人ヲ立会ハシムベシ
立会人ニ関スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十三条 投票ノ多数ヲ得タル者ヲ以テ当選人トス投票ノ数同ジキトキハ年齢多キ者ヲ取リ年齢同ジキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第三十四条 調査委員ノ選挙終了シタルトキハ税務署長ハ当選人ノ氏名ヲ公示シ且之ヲ当選人及市町村長ニ通知スベシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ当選人ノ氏名ヲ公示スベシ
第三十五条 調査委員ニ当選シタル者ハ正当ノ事由ナクシテ之ヲ辞スルコトヲ得ズ
第三十六条 調査委員ハ賃貸価格調査委員会ノ会議ノ終了ニ因リ退任ス
第三十七条 調査委員第二十六条第一項各号ノ一ニ該当スルニ至リタルトキ又ハ其ノ選挙区域内ニ於テ家屋税ヲ課スベキ家屋ヲ所有セザルニ至リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
第三十八条 調査委員ニ欠員ヲ生ジタルトキハ当選人ト為ラザリシ者ノ中投票ノ最多数ヲ得タル者ヨリ順次之ヲ補充シ投票ノ数同ジキトキハ年齢多キ者ヲ取リ年齢同ジキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第三十四条ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第三十九条 調査委員ノ選挙ニ於テ当選人ノ数ガ定数ニ達セザルトキ又ハ調査委員ニ欠員ヲ生ジ前条ノ規定ニ依リ補充スベキ者ナキトキハ補欠選挙ヲ行フ但シ賃貸価格調査委員会開会後欠員ヲ生ジタル場合ニ於テハ之ヲ行ハザルコトヲ得
第四十条 賃貸価格調査委員会ハ税務署長ノ通知ニ依リ之ヲ開ク其ノ開会日数ハ三十日以内トス
第四十一条 税務署長ハ第十三条ノ規定ニ依リ調査シタル賃貸価格ノ調査書ヲ賃貸価格調査委員会ニ提出スベシ
第四十二条 賃貸価格調査委員会ハ開会ノ始ニ於テ調査委員中ヨリ会長ヲ選挙スベシ
第四十三条 賃貸価格調査委員会ハ定員ノ過半数ニ当ル委員出席スルニ非ザレバ決議ヲ為スコトヲ得ズ
議事ハ出席員ノ多数ヲ以テ之ヲ決ス可否同数ナルトキハ会長ノ決スル所ニ依ル
第四十四条 調査委員ハ自己及自己ト同一戸籍内ニ在ル者ガ所有スル家屋ノ賃貸価格ニ関スル議事ニ与ルコトヲ得ズ
第四十五条 賃貸価格ヲ一般ニ定ムル年ノ前年十月三十一日迄ニ賃貸価格調査委員会成立セザルトキハ税務署長ニ於テ其ノ賃貸価格ヲ定ム
賃貸価格調査委員会開会ノ日ヨリ第四十条ノ期間内又ハ前項ノ期日迄ニ決議終了セザルトキハ税務署長ニ於テ其ノ賃貸価格ヲ定ム
第四十六条 税務署長ハ賃貸価格調査委員会ノ決議ヲ不当ト認ムルトキハ十日以内ノ期間ヲ定メ再議ニ付ス仍其ノ決議ヲ不当ト認ムルトキ又ハ再議期間内ニ決議終了セザルトキハ税務署長ニ於テ其ノ賃貸価格ヲ定ム
第四十七条 税務署長又ハ其ノ代理官ハ賃貸価格調査委員会ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第四十八条 調査委員ニハ手当及旅費ヲ給ス
第四十九条 第十条、第四十五条又ハ第四十六条ノ規定ニ依リ賃貸価格ヲ定メタルトキハ税務署長ハ之ヲ市町村長ニ通知スベシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ二十日間関係者ノ縦覧ニ供スベシ縦覧期間ハ予メ之ヲ公示スベシ
第五十条 自己ノ所有スル家屋ノ賃貸価格ニ付異議アル者ハ前条ノ縦覧期間満了ノ日ヨリ二十日以内ニ不服ノ事由ヲ具シ税務署長ヲ経由シテ税務監督局長ニ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得
前項ノ申立アリタル場合ト雖モ政府ハ税金ノ徴収ヲ猶予セズ
第五十一条 前条第一項ノ申立アリタルトキハ税務監督局長ハ之ヲ審査決定シ異議申立人ニ通知スベシ
第五十二条 前条ノ決定ニ対シ不服アル者ハ訴願ヲ為シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第五章 家屋税ノ徴収
第五十三条 税務署長ハ家屋ノ異動其ノ他家屋税徴収ニ関シ必要ト認ムル事項ヲ市町村ニ通知スベシ
第五十四条 家屋税ハ各納税義務者ニ付同一市町村内ニ於ケル家屋ノ賃貸価格ノ合計金額ニ依リ算出シ之ヲ徴収ス但シ賃貸価格ノ合計金額ガ命令ヲ以テ定ムル金額ニ満タザルトキハ家屋税ヲ徴収セズ
第五十五条 市町村ハ家屋税ノ納期毎ニ其ノ納期開始前十五日迄ニ賃貸価格及家屋税ノ総額並ニ其ノ各納期ニ於ケル納額ヲ税務署長ニ報告スベシ但シ前報告後異動ナキトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ報告後納期開始迄ニ報告事項ニ異動ヲ生ジタルトキハ直ニ其ノ異動額ヲ税務署長ニ報告スベシ
第六章 雑則
第五十六条 税務署長家屋ノ異動ニ因リ家屋番号、種類、構造、床面積又ハ賃貸価格ヲ家屋台帳ニ登録シタルトキ又ハ登録ヲ変更シタルトキハ家屋所在ノ市町村ヲ経由シ家屋所有者ニ通知スベシ
第五十七条 納税義務者其ノ家屋所在ノ市町村内ニ現住セザルトキハ家屋税ニ関スル事項ヲ処理セシムル為其ノ地ニ於テ納税管理人ヲ定メ当該市町村長ニ申告スベシ
第五十八条 税務署長又ハ其ノ代理官ハ調査上必要アルトキハ家屋ノ所有者、占有者其ノ他利害関係人ニ対シ質問ヲ為シ又ハ日出ヨリ日没迄ノ間家屋ノ検査ヲ為スコトヲ得
第五十九条 本法ニ依リ申告ヲ為スベキ義務ヲ有スル者其ノ申告ヲ為サザルトキハ五十円以下ノ過料ニ処ス
第六十条 詐偽其ノ他不正ノ行為ニ依リ家屋税ヲ逋脱シタル者ハ其ノ逋脱シタル税金ノ三倍ニ相当スル罰金又ハ科料ニ処シ直ニ其ノ家屋税ヲ徴収ス但シ自首シ又ハ税務署長ニ申出デタル者ハ其ノ罪ヲ問ハズ
前項ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八条第三項但書、第三十九条第二項、第四十条、第四十一条、第四十八条第二項、第六十三条及第六十六条ノ規定ヲ適用セズ
第六十一条 本法ニ依リ申告ヲ為スベキ義務ヲ有スル者其ノ申告ヲ為サズ仍テ家屋税ニ不足額アルトキハ直ニ之ヲ徴収ス
第六十二条 前二条ノ規定ニ依リ家屋税ヲ徴収スル場合ニ於テハ第五十四条ノ規定ニ拘ラズ当該家屋一個毎ニ其ノ家屋税ヲ算出ス
第六十三条 正当ノ事由ナクシテ第五十八条ノ規定ニ依ル家屋ノ検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ百円以下ノ罰金ニ処ス
第六十四条 賃貸価格ノ調査若ハ審査ノ事務ニ従事シ又ハ賃貸価格調査委員会ノ議事ニ参加シタル者其ノ調査、審査又ハ議事ニ関シ知得タル秘密ヲ正当ノ事由ナクシテ漏洩シタルトキハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第六十五条 調査委員ノ選挙ニ関シ当選ヲ得又ハ得シメ若ハ得シメザル目的ヲ以テ選挙人又ハ選挙運動者ニ対シ金銭物品其ノ他ノ財産上ノ利益若ハ公私ノ職務ノ供与ヲ為シ、饗応接待ヲ為シ又ハ其等ノ申込若ハ約束ヲ為シタル者ハ三年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス
前項ノ供与若ハ饗応接待ヲ受ケ若ハ要求シ又ハ其等ノ申込ヲ承諾シタル者亦前項ニ同ジ
前二項ニ規定スル行為ニ関シ周旋又ハ勧誘ヲ為シタル者亦第一項ニ同ジ
第六十六条 調査委員ノ選挙ニ関シ投票ヲ得又ハ得シメ若ハ得シメザル目的ヲ以テ戸別訪問ヲ為シ又ハ連続シテ個個ノ選挙人ニ面接シ若ハ電話ニ依リ選挙運動ヲ為シタル者ハ一年以下ノ禁錮又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
第六十七条 町村組合ニシテ町村ノ事務ノ全部又ハ役場事務ヲ共同処理スルモノハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ一町村、其ノ組合管理者ハ之ヲ町村長ト看做ス
市制第六条又ハ第八十二条第三項ノ規定ニ依リ指定セラレタル市ニ於テハ本法中市ニ関スル規定ハ区ニ、市長ニ関スル規定ハ区長ニ之ヲ適用ス
町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ本法中町村ニ関スル規定ハ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ関スル規定ハ町村長ニ準ズベキモノニ之ヲ適用ス
第六十八条 本法ハ国有ノ家屋ニハ之ヲ適用セズ
附 則
第六十九条 本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ家屋税ノ賦課徴収ニ関スル規定ハ昭和十七年分家屋税ヨリ之ヲ適用ス
第七十条 第四条及第五条ノ規定ハ当分ノ内家屋税ヲ課セザル家屋ニ付之ヲ適用セズ
第七十一条 家屋税ニ付為スベキ第一回ノ一般ノ賃貸価格調査ハ昭和十五年七月一日現在ノ家屋税ヲ課スベキ家屋ニ付之ヲ為シ其ノ賃貸価格ハ昭和十七年一月一日ニ於テ之ヲ定ム此ノ場合ニ於テハ第四十五条中十月三十一日トアルハ十一月二十日トス
第七十二条 前条ノ規定ニ依リ一般ニ賃貸価格ヲ定ムル場合ニ於ケル第十四条ノ規定ノ適用ニ付テハ同条中四月二日トアルハ七月二日トス
第七十三条 昭和十五年七月一日ニ於テ家屋税ヲ課スベキ家屋ヲ所有スル者ハ同年八月三十一日迄ニ其ノ旨ヲ税務署長ニ申告スベシ
昭和十五年七月二日以後昭和十六年十二月三十一日迄ノ間ニ於テ家屋ニ異動ヲ生ジタルトキハ家屋所有者ハ其ノ都度其ノ旨ヲ税務署長ニ申告スベシ
第七十四条 家屋ノ第一回ノ一般ノ賃貸価格改定ハ昭和二十五年一月一日ニ於テ之ヲ行フ