国民医療法
法令番号: 法律第七十號
公布年月日: 昭和17年2月25日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル國民醫療法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年二月二十四日
內閣總理大臣 東條英機
厚生大臣 小泉親彥
大藏大臣 賀屋興宣
內務大臣 湯澤三千男
法律第七十號
國民醫療法
第一章 總則
第一條 本法ハ國民醫療ノ適正ヲ期シ國民體力ノ向上ヲ圖ルヲ以テ目的トス
第二條 本法ニ於テ醫療關係者トハ醫師、齒科醫師、保健婦、助產婦及看護婦ヲ謂フ
第二章 醫師及齒科醫師
第三條 醫師及齒科醫師ハ醫療及保健指導ヲ掌リ國民體力ノ向上ニ寄與スルヲ以テ其ノ本分トス
第四條 醫師又ハ齒科醫師タラントスル者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ免許ヲ受クルコトヲ要ス
第五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニ對シテハ醫師免許又ハ齒科醫師免許ヲ興ヘズ
一 六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
二 未成年者、禁治產者、準禁治產者、精神病者、聾者、啞者及盲者
第六條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニ對シテハ醫師免許又ハ齒科醫師免許ヲ與ヘザルコトアルベシ
一 六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ニ處セラレタル者
二 醫事ニ關シ罰金ニ處セラレタル者
三 前二號ニ該當スル者ヲ除クノ外醫事ニ關シ不正ノ行爲アリタル者
第七條 厚生省ニ醫籍及齒科醫籍ヲ備ヘ醫師免許及齒科醫師免許ニ關スル事項ヲ登錄ス
登錄スベキ事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第八條 醫師ニ非ザレバ醫業ヲ、齒科醫師ニ非ザレバ齒科醫業ヲ爲スコトヲ得ズ
醫師ハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ齒科專門ヲ標榜シ又ハ齒科醫業中命令ヲ以テ定ムル行爲ヲ爲スコトヲ得ズ
第九條 診療ニ從事スル醫師又ハ齒科醫師ハ診察治療ノ需アル場合ニ於テ正當ノ事由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
診察又ハ檢案ヲ爲シタル醫師ハ診斷書、檢案書又ハ死產證書ノ交付ノ需アル場合ニ於テ正當ノ事由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
診察ヲ爲シタル齒科醫師ハ診斷書ノ交付ノ需アル場合ニ於テ正當ノ事由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
第十條 醫師ハ自ラ診察セズシテ理療ヲ爲シ、診斷書若ハ處方箋ヲ交付シ又ハ自ラ檢案セズシテ檢案書若ハ死產證書ヲ交付スルコトヲ得ズ但シ診療中ノ患者死亡シタル場合ニ交付スル死亡診斷書ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
齒科醫師ハ自ラ診察セズシテ治療ヲ爲シ又ハ診斷書若ハ處方箋ヲ交付スルコトヲ得ズ
第十一條 醫師診療ヲ爲シタルトキハ本人又ハ其ノ保護者ニ對シ療養ノ方法其ノ他體力ノ向上上必要ナル事項ノ指導ヲ爲スベシ
前項ノ規定ハ齒科醫師診療ヲ爲シタル場合ニ之ヲ準用ス
第十二條 醫師又ハ齒科醫師診療ヲ爲シタルトキハ遲滯ナク診療ニ關スル事項ヲ診療錄ニ記載スベシ
前項ノ診療錄ニシテ病院又ハ診療所ニ依リ爲シタル診療ニ關スルモノハ其ノ病院又ハ診療所ノ管理者ニ於テ、其ノ他ノ診療ニ關スルモノハ其ノ醫師又ハ齒科醫師ニ於テ五年間之ヲ保存スベシ
第十三條 醫師又ハ齒科醫師醫業又ハ齒科醫業ニ關シ命令ヲ以テ定ムル科名ニ付專門ヲ標榜セントスルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第十四條 醫業又ハ齒科醫業ニ關シテハ何人ト雖モ前條ノ規定ニ依ル專門ノ標榜ノ外技能、治療方法、經歷又ハ學位ニ關スル廣吿ヲ爲スコトヲ得ズ但シ醫師又ハ齒科醫師ノ稱號及命令ヲ以テ定ムル診療科名ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
主務大臣ハ前項ニ規定スルモノノ外醫業又ハ齒科醫業ニ關スル廣吿ヲ制限スル爲必要ナル命令ヲ發スルコトヲ得
第十五條 醫師又ハ齒科醫師第五條各號ノ一ニ該當スルトキハ其ノ免許ヲ取消スベシ但シ命令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
醫師又ハ齒科醫師第六條各號ノ一ニ該當シ又ハ醫師若ハ齒科醫師タルノ品位ヲ損スル行爲アリタルトキハ免許ヲ取消シ又ハ期間ヲ定メテ醫業若ハ齒科醫業ヲ停止スルコトアルベシ其ノ事免許前ニ係ル場合亦同ジ
前項ノ取消處分ヲ受ケタル者ト雖モ改悛ノ情顯著ナルトキハ再免許ヲ與フルコトアルベシ
第一項ノ取消處分ヲ受ケタル者ニ付第五條第二號ノ原因止ミタルトキ亦同ジ
前項前段ノ規定ニ依リ再免許ヲ受ケタル者主務大臣ノ定ムル期間內ニ於テ第六條第一號又ハ第二號ニ該當スルニ至リタルトキハ其ノ再免許ハ效力ヲ失フ
第一項乃至第三項ノ處分ハ主務大臣之ヲ行フ
第三章 醫師會及齒科醫師會
第十六條 日本醫師會、道府縣醫師會、日本齒科醫師會及道府縣齒科醫師會ハ醫療及保健指導ノ改良發達ヲ圖リ國民體力ノ向上ニ關スル國策ニ協力スルヲ以テ目的トス
日本醫師會、道府縣醫師會、日本齒科醫師會及道府縣齒科醫師會ハ法人トス
第十七條 醫師又ハ齒科醫師ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ道府縣醫師會又ハ道府縣齒科醫師會ヲ設立スベシ
醫師又ハ齒科醫師ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ道府縣醫師會又ハ道府縣齒科醫師會ノ會員トス
醫師又ハ齒科醫師ニ非ザルモ醫師免許又ハ齒科醫師免許ヲ受クル資格ヲ有スル者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ道府縣醫師會又ハ道府縣齒科醫師會ノ會員タラシムルコトヲ得ルモノトス
第十八條 道府縣醫師會又ハ道府縣齒科醫師會ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ日本醫師會又ハ日本齒科醫師會ヲ設立スベシ
道府縣醫師會又ハ道府縣齒科醫師會ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ日本醫師會又ハ日本齒科醫師會ノ會員トス
第十九條 道府縣醫師會又ハ道府縣齒科醫師會ハ其ノ會員ヨリ徵收スベキ收入ニ關シテハ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十條 前四條ニ規定スルモノノ外日本醫師會、道府縣醫師會、日本齒科醫師會及道府縣齒科醫師會ノ設立ノ手續、區域、機關、經費ノ負擔及其ノ徵收、監督、會員ノ懲戒其ノ他ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四章 醫療等ノ指導及監督
第二十一條 病院、診療所又ハ產院ヲ開設セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣又ハ地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監)ノ許可ヲ受クベシ
前項ニ規定スルモノノ外病院、診療所及產院ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二條 主務大臣國民體力ノ向上ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ醫療關係者ト爲リタル者ヲシテ二年以內主務大臣ノ指定スル業務ニ從事スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル命令ハ初テ醫療關係者ト爲リタル時ヨリ一年以內ニ之ヲ爲スモノトス
第二十三條 主務大臣國民體力ノ向上ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ醫療關係者ニ對シ醫療、保健指導、助產及看護ニ關シ必要ナル指示ヲ爲スコトヲ得
第二十四條 主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ醫療關係者ヲシテ醫療、保健指導、助產及看護ニ關シ必要ナル事項ノ修習ヲ爲サシムルコトヲ得
第二十五條 主務大臣ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ醫療、助產及看護ノ報酬又ハ醫療關係者ノ受クベキ給與ニ關シ必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十六條 主務大臣又ハ地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監ヲ含ム)必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該官吏ヲシテ病院、診療所及產院ニ臨檢シ其ノ構造設備又ハ診療錄其ノ他ノ帳簿書類ヲ檢査セシムルコトヲ得
第二十七條 本章ニ規定スルモノノ外保健婦、助產婦及看護婦ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十八條 本章ニ規定スル主務大臣ノ職權ノ一部ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監ヲ含ム)ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ得
第五章 日本醫療團
第二十九條 日本醫療團ハ國民體力ノ向上ニ關スル國策ニ則應シ醫療ノ普及ヲ圖ルヲ以テ目的トス
日本醫療團ハ法人トス
第三十條 日本醫療團ハ主タル事務所ヲ東京市ニ置ク
日本醫療團ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ必要ノ地ニ從タル事務所ヲ設置スルコトヲ得
第三十一條 日本醫療團ノ資本金ハ一億圓トス但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
第三十二條 政府ハ一億圓ヲ日本醫療團ニ出資スベシ
前項ノ出資ハ國債證券ヲ交付シテ之ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證券ノ交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之ヲ定ム
第三十三條 第三十一條但書ノ場合ニ於テハ勅令ヲ以テ定ムル者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ所有スル病院、診療所又ハ產院ノ設備及其ノ附屬設備ヲ出資スルコトヲ得
第三十四條 日本醫療團ハ出資ニ對シ勅令ノ定ムル所ニ依リ出資證券ヲ發行ス
第三十五條 出資者ハ日本醫療團ノ承認ヲ經ルニ非ザレバ其ノ持分ヲ讓渡スルコトヲ得ズ
第三十六條 日本醫療團ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
一 目的
二 名稱
三 事務所ノ所在地
四 資本金額、出資及資產ニ關スル事項
五 役員及會議ニ關スル事項
六 業務及其ノ執行ニ關スル事項
七 醫療債券ノ發行ニ關スル事項
八 會計ニ關スル事項
九 公吿ノ方法
定款ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ變更スルコトヲ得
第三十七條 日本醫療團ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第三十八條 日本醫療團ニハ所得稅、法人稅及營業稅ヲ課セズ
北海道、府縣、市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ日本醫療團ノ事業ニ對シテハ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第三十九條 日本醫療團ニ付解散ヲ必要トスル事由發生シタル場合ニ於テ其ノ處置ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第四十條 日本醫療團ニ非ザル者ハ日本醫療團又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用フルコトヲ得ズ
第四十一條 民法第四十四條、第五十條、第五十四條及第五十七條竝ニ非訟事件手續法第三十五條第一項ノ規定ハ日本醫療團ニ之ヲ準用ス
第四十二條 日本醫療團ニ總裁副總裁各一人、理事五人以上及監事二人以上ヲ置ク
總裁ハ日本醫療團ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副總裁ハ定款ノ定ムル所ニ依リ日本醫療團ヲ代表シ總裁ヲ輔佐シテ日本醫療團ノ業務ヲ掌理ス
副總裁ハ總裁事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ總裁缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ日本醫療團ヲ代表シ總裁及副總裁ヲ輔佐シテ日本醫療團ノ業務ヲ掌理ス
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ總裁及副總裁共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ總裁及副總裁共ニ缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ日本醫療團ノ業務ヲ監査ス
第四十三條 總裁、副總裁、理事及監事ハ主務大臣之ヲ命ズ
總裁、副總裁及理事ノ任期ハ三年、監事ノ任期ハ二年トス
第四十四條 總裁、副總裁及理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ從タル事務所ノ業務ニ關シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第四十五條 總裁、副總裁及理事ハ他ノ職業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四十六條 日本醫療團ニ參與理事ヲ置キ地方長官ノ職ニ在ル者ヲ以テ之ニ充ツ
參與理事ハ日本醫療團ノ業務ニ參與ス
第四十七條 日本醫療團ニ評議員若干人ヲ置キ主務大臣之ヲ命ズ
評議員ハ業務經營ニ關スル重要ナル事項ニ付總裁ノ諮問ニ應ジ必要アルトキハ之ニ對シ意見ヲ述ブルコトヲ得
評議員ハ名譽職トシ其ノ任期ハ二年トス
第四十八條 日本醫療團ニ顧問若干人ヲ置キ總裁ノ推薦ニ依リ主務大臣之ヲ命ズ
顧問ハ業務ニ關スル重要ナル事項ニ參畫セシム
顧問ハ名譽職トス
第四十九條 日本醫療團ハ左ノ業務ヲ行フ
一 病院、診療所及產院ノ經營
二 前號ノ病院、診療所及產院ノ醫療關係者ノ指導及鍊成
三 前各號ノ業務ニ附帶スル事業
日本醫療團ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前項ニ揭グル業務以外ノ業務ヲ行フコトヲ得
第五十條 日本醫療團病院、診療所又ハ產院ノ設備ノ讓渡又ハ貸付ニ付權原ヲ有スル者ト協議ヲ爲スモ協議調ハザルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ニ其ノ讓受又ハ借受ニ付決定ヲ申請スルコトヲ得
前項ノ申請アリタルトキハ主務大臣ハ當該事項ニ付必要ナル決定ヲ爲スコトヲ得
前項ノ決定中對價ニ付不服アル者ハ其ノ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前三項ニ規定スルモノノ外決定及之ニ依ル病院、診療所又ハ產院ノ設備ノ讓渡又ハ貸付ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
前四項ノ規定ハ病院、診療所又ハ產院ノ事業ノ讓渡又ハ貸付ニ之ヲ準用ス
第五十一條 日本醫療團ハ前條ノ規定ニ依リ讓受ケタル病院、診療所又ハ產院ノ設備又ハ事業ノ代價ニ付テハ國債證券ヲ以テ之ヲ交付スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證券ノ交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之ヲ定ム
第五十二條 日本醫療團ハ第四十九條ニ規定スル業務ノ用ニ充ツル爲必要ナル土地、建物其ノ他ノ工作物又ハ土地ニ關スル所有權以外ノ權利ヲ收用又ハ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル收用又ハ使用ニ關シテハ土地收用法ヲ適用ス
第五十三條 日本醫療團ハ政府ノ拂込ミタル出資金額ノ五倍ヲ限リ醫療債券ヲ發行スルコトヲ得
第五十四條 醫療債券ハ額面金額五十圓以上トシ無記名利札附トス但シ應募者又ハ所有者ノ請求ニ依リ記名ト爲スコトヲ得
醫療債券ハ割引ノ方法ヲ以テ之ヲ發行スルコトヲ得
第五十五條 日本醫療團ハ醫療債券借換ノ爲一時第五十三條ノ制限ニ依ラズ醫療債券ヲ發行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ醫療債券ヲ發行シタルトキハ發行後一月以內ニ其ノ發行額面金額ニ相當スル舊醫療債券ヲ償還スベシ
第五十六條 政府ハ醫療債券ノ元本ノ償還及利息ノ支拂ヲ保證スルコトヲ得
第五十七條 醫療債券ハ賣出ノ方法ヲ以テ發行スルコトヲ得
第五十八條 日本醫療團ニ於テ醫療債券ヲ發行セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第五十九條 醫療債券ノ消滅時效ハ元本ニ在リテハ十五年、利息ニ在リテハ五年ヲ以テ完成ス
第六十條 醫療債券ノ所有者ハ日本醫療團ノ財產ニ付他ノ債權者ニ先チテ自己ノ債權ノ辨濟ヲ受クル權利ヲ有ス
前項ノ規定ハ民法上ノ一般ノ先取特權ノ行使ヲ妨グルコトナシ
第六十一條 所得稅法及有價證券移轉稅法中國債以外ノ公債ニ關スル規定ハ醫療債券ニ之ヲ準用ス
第六十二條 前九條ニ規定スルモノノ外醫療債券ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十三條 日本醫療團ノ事業年度ハ每年四月ヨリ翌年三月迄トス
第六十四條 日本醫療團ハ拂込ミタル出資金額又ハ第三十三條ノ出資ニ對シ勅令ヲ以テ定ムル割合ヲ超エテ剩餘金ノ配當ヲ爲スコトヲ得ズ
日本醫療團ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ政府ノ出資ニ對シ剩餘金ノ配當ヲ減額シ又ハ之ヲ爲サザルコトヲ得
第六十五條 日本醫療團ハ左ノ方法ニ依ルノ外業務上ノ餘裕金ヲ運用スルコトヲ得ズ
一 國債、地方債又ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル有價證券ノ取得ヲ爲スコト
二 大藏省預金部若ハ銀行ヘノ預金又ハ郵便貯金ト爲スコト
第六十六條 日本醫療團ハ設立ノ時及每事業年度ノ初ニ於テ財產目錄、貸借對照表及損益計算書ヲ作成シ定款ト共ニ之ヲ各事務所ニ備置クコトヲ要ス
債權者ハ業務時間內何時ニテモ前項ニ揭グル書類ノ閱覽ヲ求ムルコトヲ得
第六十七條 日本醫療團ハ主務大臣之ヲ監督ス
第六十八條 日本醫療團ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ剩餘金ヲ處分スルコトヲ得ズ
第六十九條 日本醫療團ハ每事業年度ノ初ニ於テ事業計畫ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第七十條 主務大臣ハ日本醫療團ニ對シ業務及財產ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシメ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第七十一條 主務大臣ハ日本醫療團ニ對シ結核ノ療養其ノ他國民醫療ニ必要ナル施設ヲ爲スコトヲ命ズルコトヲ得
第七十二條 總裁、副總裁、理事又ハ監事ガ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ之ヲ解任スルコトヲ得
第七十三條 政府ハ日本醫療團ニ對シ每年度豫算ノ範圍內ニ於テ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第六章 罰則
第七十四條 第八條第一項ノ規定ニ違反シタル者ハ六月以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者醫師若ハ齒科醫師又ハ之ニ類スル名稱ヲ僭稱シタルモノナルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第七十五條 當該官吏又ハ其ノ職ニ在リタル者故ナク第二十六條ノ規定ニ依ル診療錄ノ檢査ニ關シ知得シタル醫師若ハ齒科醫師ノ業務上ノ祕密又ハ個人ノ祕密ヲ漏洩シタルトキハ六月以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
職務上前項ノ祕密ヲ知得シタル他ノ公務員又ハ公務員タリシ者故ナク其ノ祕密ヲ漏洩シタルトキ亦前項ニ同ジ
第七十六條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第八條第二項、第九條、第十條、第十二條又ハ第十三條ノ規定ニ違反シタル者
二 第十四條第一項又ハ第二十一條第一項ノ規定ニ違反シタル者
三 第十四條第二項若ハ第二十一條第二項ノ規定ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタル者
四 第二十五條ノ規定ニ基キテ發スル命令若ハ之ニ基キテ爲ス處分又ハ同條ノ規定ニ依ル處分ニ違反シタル者
五 第二十六條ノ規定ニ依ル當該官吏ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
六 醫業停止中ノ醫師ニシテ醫業ヲ爲シタルモノ又ハ齒科醫業停止中ノ齒科醫師ニシテ齒科醫業ヲ爲シタルモノ
第七十七條 法人又ハ人ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ前條第二號、第三號又ハ第四號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免カルルコトヲ得ズ
第七十八條 第七十六條第二號乃至第四號ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ其ノ業務ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第七十九條 左ノ場合ニ於テハ日本醫療團ノ總裁、副總裁、理事又ハ監事ヲ千圓以下ノ過料ニ處ス
一 第五章ノ規定ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 第五章ニ規定セザル業務ヲ營ミタルトキ
三 第五十三條又ハ第五十五條第二項ノ規定ニ違反シ醫療債券ノ發行ヲ爲シ又ハ償還ヲ爲サザルトキ
四 第六十五條ノ規定ニ違反シ業務上ノ餘裕金ヲ運用シタルトキ
五 主務大臣ノ監督上ノ命令又ハ處分ニ違反シタルトキ
第八十條 左ノ場合ニ於テハ日本醫療團ノ總裁、副總裁、理事又ハ監事ヲ五百圓以下ノ過料ニ處ス
一 本法ニ基キテ發スル勅令ニ違反シ登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登記ヲ爲シタルトキ
二 第六十六條ノ規定ニ違反シ書類ヲ備置カザルトキ、其ノ書類ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載ヲ爲シタルトキ又ハ正當ノ事由ナクシテ其ノ閱覽ヲ拒ミタルトキ
第八十一條 第四十條ノ規定ニ違反シ日本醫療團又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用ヒタル者ハ五百圓以下ノ過料ニ處ス
附 則
第八十二條 本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八十三條 醫師法及齒科醫師法ハ之ヲ廢止ス但シ同法中郡市區醫師會、道府縣醫師會及日本醫師會竝ニ郡市齒科醫師會、道府縣齒科醫師會及日本齒科醫師會ニ關スル規定ハ勅令ヲ以テ定ムル時迄仍其ノ效力ヲ有ス
第八十四條 醫師法又ハ齒科醫師法ニ依リ醫師免許又ハ齒科醫師免許ヲ受ケタル者ハ本法ニ依リ醫師免許又ハ齒科醫師免許ヲ受ケタル者ト看做ス醫師法又ハ齒科醫師法ノ施行前醫術開業免狀又ハ齒科醫術開業免狀ヲ得タル者ニ付亦同ジ
醫師法施行前醫術假開業免狀ヲ得タル者ノ爲ス醫業ニ關シテハ仍從前ノ例ニ依ル
第八十五條 本法ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六號布吿刑法ノ重罪ノ刑ニ處セラレタル者ハ六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ、同法ノ禁錮ニ處セラレタル者ハ六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ニ處セラレタル者ト看做ス
第八十六條 醫師法又ハ齒科醫師法ニ依ル醫籍又ハ齒科醫籍ノ登錄ハ之ヲ本法ニ依ル醫籍又ハ齒科醫籍ノ登錄ト看做ス
第八十七條 醫師法又ハ齒科醫師法ニ依リ爲シタル醫師免許若ハ齒科醫師免許ノ取消ノ處分又ハ醫業若ハ齒科醫業ノ停止ノ處分ハ之ヲ本法ノ相當規定ニ依リテ爲シタルモノト看做ス此ノ場合ニ於テ停止ノ期間ハ仍從前ノ例ニ依ル
第八十八條 醫師法又ハ齒科醫師法ノ郡市區醫師會道府縣醫師會及日本醫師會竝ニ郡市齒科醫師會道府縣齒科醫師會及日本齒科醫師會ノ權利義務ニシテ第八十三條但書ノ規定ニ依リ勅令ヲ以テ定ムル時ニ於テ存スルモノハ勅令ノ定ムル所ニ依リ各本法ノ道府縣醫師會及日本醫師會竝ニ道府縣齒科醫師會及日本齒科醫師會之ヲ承繼ス
第八十九條 醫師法若ハ齒科醫師法又ハ之ニ基キテ發スル命令ニ違反シタル者ノ處罰ニ付テハ仍舊法ニ依ル
第九十條 主務大臣ハ設立委員ヲ命ジ日本醫療團ノ設立ニ關スル事務ヲ處理セシム
設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第九十一條 定款ニ付主務大臣ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク出資ノ第一囘ノ拂込ヲ禀請スベシ
第九十二條 出資ノ第一囘ノ拂込アリタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク其ノ事務ヲ日本醫療團總裁ニ引繼グベシ
第九十三條 日本醫療團ハ主タル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スニ因リテ成立ス
第九十四條 結核豫防法中左ノ通改正ス
第七條第一項中「前條ノ規定ニ依リ設置スル結核療養所」ノ上ニ「日本醫療團ノ結核療養所又ハ」ヲ加フ
第九十五條 登錄稅法中左ノ通改正ス
第二條ノ二 日本醫療團ガ病院、診療所又ハ產院ノ用ニ供スル不動產ニ關スル權利ノ取得又ハ保存ニ付登記ヲ受クルトキハ前條ノ規定ニ拘ラズ其ノ登錄稅ノ額ハ不動產價格ノ千分ノ一トス
第六條ノ二中「恩給金庫カ恩給債券ニ付」ヲ「恩給金庫又ハ日本醫療團カ恩給債券又ハ醫療債券ニ付」ニ、「恩給債券又ハ其ノ」ヲ「恩給債券若ハ醫療債券又ハ其ノ」ニ改ム
第十九條第七號中「住宅營團、」ノ下ニ「日本醫療團、」ヲ「住宅營團法、」ノ下ニ「國民醫療法、」ヲ加フ
同條第十八號中「又ハ住宅營團」ヲ「、住宅營團又ハ日本醫療團」ニ改ム
第九十六條 印紙稅法中左ノ通改正ス
第五條第六號ノ四ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
六ノ四ノ二 日本醫療團ノ發スル出資證券竝ニ國民醫療法第四十九條第一項第一號及第二號ノ業務ニ關スル證書帳簿
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル国民医療法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年二月二十四日
内閣総理大臣 東条英機
厚生大臣 小泉親彦
大蔵大臣 賀屋興宣
内務大臣 湯沢三千男
法律第七十号
国民医療法
第一章 総則
第一条 本法ハ国民医療ノ適正ヲ期シ国民体力ノ向上ヲ図ルヲ以テ目的トス
第二条 本法ニ於テ医療関係者トハ医師、歯科医師、保健婦、助産婦及看護婦ヲ謂フ
第二章 医師及歯科医師
第三条 医師及歯科医師ハ医療及保健指導ヲ掌リ国民体力ノ向上ニ寄与スルヲ以テ其ノ本分トス
第四条 医師又ハ歯科医師タラントスル者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ免許ヲ受クルコトヲ要ス
第五条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ニ対シテハ医師免許又ハ歯科医師免許ヲ興ヘズ
一 六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者
二 未成年者、禁治産者、準禁治産者、精神病者、聾者、唖者及盲者
第六条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ニ対シテハ医師免許又ハ歯科医師免許ヲ与ヘザルコトアルベシ
一 六年未満ノ懲役又ハ禁錮ニ処セラレタル者
二 医事ニ関シ罰金ニ処セラレタル者
三 前二号ニ該当スル者ヲ除クノ外医事ニ関シ不正ノ行為アリタル者
第七条 厚生省ニ医籍及歯科医籍ヲ備ヘ医師免許及歯科医師免許ニ関スル事項ヲ登録ス
登録スベキ事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第八条 医師ニ非ザレバ医業ヲ、歯科医師ニ非ザレバ歯科医業ヲ為スコトヲ得ズ
医師ハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ歯科専門ヲ標榜シ又ハ歯科医業中命令ヲ以テ定ムル行為ヲ為スコトヲ得ズ
第九条 診療ニ従事スル医師又ハ歯科医師ハ診察治療ノ需アル場合ニ於テ正当ノ事由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
診察又ハ検案ヲ為シタル医師ハ診断書、検案書又ハ死産証書ノ交付ノ需アル場合ニ於テ正当ノ事由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
診察ヲ為シタル歯科医師ハ診断書ノ交付ノ需アル場合ニ於テ正当ノ事由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
第十条 医師ハ自ラ診察セズシテ理療ヲ為シ、診断書若ハ処方箋ヲ交付シ又ハ自ラ検案セズシテ検案書若ハ死産証書ヲ交付スルコトヲ得ズ但シ診療中ノ患者死亡シタル場合ニ交付スル死亡診断書ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
歯科医師ハ自ラ診察セズシテ治療ヲ為シ又ハ診断書若ハ処方箋ヲ交付スルコトヲ得ズ
第十一条 医師診療ヲ為シタルトキハ本人又ハ其ノ保護者ニ対シ療養ノ方法其ノ他体力ノ向上上必要ナル事項ノ指導ヲ為スベシ
前項ノ規定ハ歯科医師診療ヲ為シタル場合ニ之ヲ準用ス
第十二条 医師又ハ歯科医師診療ヲ為シタルトキハ遅滞ナク診療ニ関スル事項ヲ診療録ニ記載スベシ
前項ノ診療録ニシテ病院又ハ診療所ニ依リ為シタル診療ニ関スルモノハ其ノ病院又ハ診療所ノ管理者ニ於テ、其ノ他ノ診療ニ関スルモノハ其ノ医師又ハ歯科医師ニ於テ五年間之ヲ保存スベシ
第十三条 医師又ハ歯科医師医業又ハ歯科医業ニ関シ命令ヲ以テ定ムル科名ニ付専門ヲ標榜セントスルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第十四条 医業又ハ歯科医業ニ関シテハ何人ト雖モ前条ノ規定ニ依ル専門ノ標榜ノ外技能、治療方法、経歴又ハ学位ニ関スル広告ヲ為スコトヲ得ズ但シ医師又ハ歯科医師ノ称号及命令ヲ以テ定ムル診療科名ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
主務大臣ハ前項ニ規定スルモノノ外医業又ハ歯科医業ニ関スル広告ヲ制限スル為必要ナル命令ヲ発スルコトヲ得
第十五条 医師又ハ歯科医師第五条各号ノ一ニ該当スルトキハ其ノ免許ヲ取消スベシ但シ命令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
医師又ハ歯科医師第六条各号ノ一ニ該当シ又ハ医師若ハ歯科医師タルノ品位ヲ損スル行為アリタルトキハ免許ヲ取消シ又ハ期間ヲ定メテ医業若ハ歯科医業ヲ停止スルコトアルベシ其ノ事免許前ニ係ル場合亦同ジ
前項ノ取消処分ヲ受ケタル者ト雖モ改悛ノ情顕著ナルトキハ再免許ヲ与フルコトアルベシ
第一項ノ取消処分ヲ受ケタル者ニ付第五条第二号ノ原因止ミタルトキ亦同ジ
前項前段ノ規定ニ依リ再免許ヲ受ケタル者主務大臣ノ定ムル期間内ニ於テ第六条第一号又ハ第二号ニ該当スルニ至リタルトキハ其ノ再免許ハ効力ヲ失フ
第一項乃至第三項ノ処分ハ主務大臣之ヲ行フ
第三章 医師会及歯科医師会
第十六条 日本医師会、道府県医師会、日本歯科医師会及道府県歯科医師会ハ医療及保健指導ノ改良発達ヲ図リ国民体力ノ向上ニ関スル国策ニ協力スルヲ以テ目的トス
日本医師会、道府県医師会、日本歯科医師会及道府県歯科医師会ハ法人トス
第十七条 医師又ハ歯科医師ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ道府県医師会又ハ道府県歯科医師会ヲ設立スベシ
医師又ハ歯科医師ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ道府県医師会又ハ道府県歯科医師会ノ会員トス
医師又ハ歯科医師ニ非ザルモ医師免許又ハ歯科医師免許ヲ受クル資格ヲ有スル者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ道府県医師会又ハ道府県歯科医師会ノ会員タラシムルコトヲ得ルモノトス
第十八条 道府県医師会又ハ道府県歯科医師会ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ日本医師会又ハ日本歯科医師会ヲ設立スベシ
道府県医師会又ハ道府県歯科医師会ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ日本医師会又ハ日本歯科医師会ノ会員トス
第十九条 道府県医師会又ハ道府県歯科医師会ハ其ノ会員ヨリ徴収スベキ収入ニ関シテハ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十条 前四条ニ規定スルモノノ外日本医師会、道府県医師会、日本歯科医師会及道府県歯科医師会ノ設立ノ手続、区域、機関、経費ノ負担及其ノ徴収、監督、会員ノ懲戒其ノ他ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四章 医療等ノ指導及監督
第二十一条 病院、診療所又ハ産院ヲ開設セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣又ハ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監)ノ許可ヲ受クベシ
前項ニ規定スルモノノ外病院、診療所及産院ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二条 主務大臣国民体力ノ向上ヲ図ル為必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ医療関係者ト為リタル者ヲシテ二年以内主務大臣ノ指定スル業務ニ従事スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル命令ハ初テ医療関係者ト為リタル時ヨリ一年以内ニ之ヲ為スモノトス
第二十三条 主務大臣国民体力ノ向上ヲ図ル為必要アリト認ムルトキハ医療関係者ニ対シ医療、保健指導、助産及看護ニ関シ必要ナル指示ヲ為スコトヲ得
第二十四条 主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ医療関係者ヲシテ医療、保健指導、助産及看護ニ関シ必要ナル事項ノ修習ヲ為サシムルコトヲ得
第二十五条 主務大臣ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ医療、助産及看護ノ報酬又ハ医療関係者ノ受クベキ給与ニ関シ必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第二十六条 主務大臣又ハ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監ヲ含ム)必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該官吏ヲシテ病院、診療所及産院ニ臨検シ其ノ構造設備又ハ診療録其ノ他ノ帳簿書類ヲ検査セシムルコトヲ得
第二十七条 本章ニ規定スルモノノ外保健婦、助産婦及看護婦ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十八条 本章ニ規定スル主務大臣ノ職権ノ一部ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監ヲ含ム)ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ得
第五章 日本医療団
第二十九条 日本医療団ハ国民体力ノ向上ニ関スル国策ニ則応シ医療ノ普及ヲ図ルヲ以テ目的トス
日本医療団ハ法人トス
第三十条 日本医療団ハ主タル事務所ヲ東京市ニ置ク
日本医療団ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ必要ノ地ニ従タル事務所ヲ設置スルコトヲ得
第三十一条 日本医療団ノ資本金ハ一億円トス但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ増加スルコトヲ得
第三十二条 政府ハ一億円ヲ日本医療団ニ出資スベシ
前項ノ出資ハ国債証券ヲ交付シテ之ヲ為スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル国債証券ノ交付価格ハ時価ヲ参酌シテ大蔵大臣之ヲ定ム
第三十三条 第三十一条但書ノ場合ニ於テハ勅令ヲ以テ定ムル者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ所有スル病院、診療所又ハ産院ノ設備及其ノ附属設備ヲ出資スルコトヲ得
第三十四条 日本医療団ハ出資ニ対シ勅令ノ定ムル所ニ依リ出資証券ヲ発行ス
第三十五条 出資者ハ日本医療団ノ承認ヲ経ルニ非ザレバ其ノ持分ヲ譲渡スルコトヲ得ズ
第三十六条 日本医療団ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
一 目的
二 名称
三 事務所ノ所在地
四 資本金額、出資及資産ニ関スル事項
五 役員及会議ニ関スル事項
六 業務及其ノ執行ニ関スル事項
七 医療債券ノ発行ニ関スル事項
八 会計ニ関スル事項
九 公告ノ方法
定款ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ変更スルコトヲ得
第三十七条 日本医療団ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第三十八条 日本医療団ニハ所得税、法人税及営業税ヲ課セズ
北海道、府県、市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ日本医療団ノ事業ニ対シテハ地方税ヲ課スルコトヲ得ズ
第三十九条 日本医療団ニ付解散ヲ必要トスル事由発生シタル場合ニ於テ其ノ処置ニ関シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第四十条 日本医療団ニ非ザル者ハ日本医療団又ハ之ニ類似スル名称ヲ用フルコトヲ得ズ
第四十一条 民法第四十四条、第五十条、第五十四条及第五十七条並ニ非訟事件手続法第三十五条第一項ノ規定ハ日本医療団ニ之ヲ準用ス
第四十二条 日本医療団ニ総裁副総裁各一人、理事五人以上及監事二人以上ヲ置ク
総裁ハ日本医療団ヲ代表シ其ノ業務ヲ総理ス
副総裁ハ定款ノ定ムル所ニ依リ日本医療団ヲ代表シ総裁ヲ輔佐シテ日本医療団ノ業務ヲ掌理ス
副総裁ハ総裁事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ総裁欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ日本医療団ヲ代表シ総裁及副総裁ヲ輔佐シテ日本医療団ノ業務ヲ掌理ス
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ総裁及副総裁共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ総裁及副総裁共ニ欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ日本医療団ノ業務ヲ監査ス
第四十三条 総裁、副総裁、理事及監事ハ主務大臣之ヲ命ズ
総裁、副総裁及理事ノ任期ハ三年、監事ノ任期ハ二年トス
第四十四条 総裁、副総裁及理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ従タル事務所ノ業務ニ関シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第四十五条 総裁、副総裁及理事ハ他ノ職業ニ従事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四十六条 日本医療団ニ参与理事ヲ置キ地方長官ノ職ニ在ル者ヲ以テ之ニ充ツ
参与理事ハ日本医療団ノ業務ニ参与ス
第四十七条 日本医療団ニ評議員若干人ヲ置キ主務大臣之ヲ命ズ
評議員ハ業務経営ニ関スル重要ナル事項ニ付総裁ノ諮問ニ応ジ必要アルトキハ之ニ対シ意見ヲ述ブルコトヲ得
評議員ハ名誉職トシ其ノ任期ハ二年トス
第四十八条 日本医療団ニ顧問若干人ヲ置キ総裁ノ推薦ニ依リ主務大臣之ヲ命ズ
顧問ハ業務ニ関スル重要ナル事項ニ参画セシム
顧問ハ名誉職トス
第四十九条 日本医療団ハ左ノ業務ヲ行フ
一 病院、診療所及産院ノ経営
二 前号ノ病院、診療所及産院ノ医療関係者ノ指導及錬成
三 前各号ノ業務ニ附帯スル事業
日本医療団ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前項ニ掲グル業務以外ノ業務ヲ行フコトヲ得
第五十条 日本医療団病院、診療所又ハ産院ノ設備ノ譲渡又ハ貸付ニ付権原ヲ有スル者ト協議ヲ為スモ協議調ハザルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ニ其ノ譲受又ハ借受ニ付決定ヲ申請スルコトヲ得
前項ノ申請アリタルトキハ主務大臣ハ当該事項ニ付必要ナル決定ヲ為スコトヲ得
前項ノ決定中対価ニ付不服アル者ハ其ノ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前三項ニ規定スルモノノ外決定及之ニ依ル病院、診療所又ハ産院ノ設備ノ譲渡又ハ貸付ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
前四項ノ規定ハ病院、診療所又ハ産院ノ事業ノ譲渡又ハ貸付ニ之ヲ準用ス
第五十一条 日本医療団ハ前条ノ規定ニ依リ譲受ケタル病院、診療所又ハ産院ノ設備又ハ事業ノ代価ニ付テハ国債証券ヲ以テ之ヲ交付スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル国債証券ノ交付価格ハ時価ヲ参酌シテ大蔵大臣之ヲ定ム
第五十二条 日本医療団ハ第四十九条ニ規定スル業務ノ用ニ充ツル為必要ナル土地、建物其ノ他ノ工作物又ハ土地ニ関スル所有権以外ノ権利ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル収用又ハ使用ニ関シテハ土地収用法ヲ適用ス
第五十三条 日本医療団ハ政府ノ払込ミタル出資金額ノ五倍ヲ限リ医療債券ヲ発行スルコトヲ得
第五十四条 医療債券ハ額面金額五十円以上トシ無記名利札附トス但シ応募者又ハ所有者ノ請求ニ依リ記名ト為スコトヲ得
医療債券ハ割引ノ方法ヲ以テ之ヲ発行スルコトヲ得
第五十五条 日本医療団ハ医療債券借換ノ為一時第五十三条ノ制限ニ依ラズ医療債券ヲ発行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ医療債券ヲ発行シタルトキハ発行後一月以内ニ其ノ発行額面金額ニ相当スル旧医療債券ヲ償還スベシ
第五十六条 政府ハ医療債券ノ元本ノ償還及利息ノ支払ヲ保証スルコトヲ得
第五十七条 医療債券ハ売出ノ方法ヲ以テ発行スルコトヲ得
第五十八条 日本医療団ニ於テ医療債券ヲ発行セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第五十九条 医療債券ノ消滅時効ハ元本ニ在リテハ十五年、利息ニ在リテハ五年ヲ以テ完成ス
第六十条 医療債券ノ所有者ハ日本医療団ノ財産ニ付他ノ債権者ニ先チテ自己ノ債権ノ弁済ヲ受クル権利ヲ有ス
前項ノ規定ハ民法上ノ一般ノ先取特権ノ行使ヲ妨グルコトナシ
第六十一条 所得税法及有価証券移転税法中国債以外ノ公債ニ関スル規定ハ医療債券ニ之ヲ準用ス
第六十二条 前九条ニ規定スルモノノ外医療債券ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十三条 日本医療団ノ事業年度ハ毎年四月ヨリ翌年三月迄トス
第六十四条 日本医療団ハ払込ミタル出資金額又ハ第三十三条ノ出資ニ対シ勅令ヲ以テ定ムル割合ヲ超エテ剰余金ノ配当ヲ為スコトヲ得ズ
日本医療団ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ政府ノ出資ニ対シ剰余金ノ配当ヲ減額シ又ハ之ヲ為サザルコトヲ得
第六十五条 日本医療団ハ左ノ方法ニ依ルノ外業務上ノ余裕金ヲ運用スルコトヲ得ズ
一 国債、地方債又ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル有価証券ノ取得ヲ為スコト
二 大蔵省預金部若ハ銀行ヘノ預金又ハ郵便貯金ト為スコト
第六十六条 日本医療団ハ設立ノ時及毎事業年度ノ初ニ於テ財産目録、貸借対照表及損益計算書ヲ作成シ定款ト共ニ之ヲ各事務所ニ備置クコトヲ要ス
債権者ハ業務時間内何時ニテモ前項ニ掲グル書類ノ閲覧ヲ求ムルコトヲ得
第六十七条 日本医療団ハ主務大臣之ヲ監督ス
第六十八条 日本医療団ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ剰余金ヲ処分スルコトヲ得ズ
第六十九条 日本医療団ハ毎事業年度ノ初ニ於テ事業計画ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ヲ変更セントスルトキ亦同ジ
第七十条 主務大臣ハ日本医療団ニ対シ業務及財産ノ状況ニ関シ報告ヲ為サシメ、検査ヲ為シ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第七十一条 主務大臣ハ日本医療団ニ対シ結核ノ療養其ノ他国民医療ニ必要ナル施設ヲ為スコトヲ命ズルコトヲ得
第七十二条 総裁、副総裁、理事又ハ監事ガ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行為ヲ為シタルトキハ主務大臣ハ之ヲ解任スルコトヲ得
第七十三条 政府ハ日本医療団ニ対シ毎年度予算ノ範囲内ニ於テ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第六章 罰則
第七十四条 第八条第一項ノ規定ニ違反シタル者ハ六月以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者医師若ハ歯科医師又ハ之ニ類スル名称ヲ僣称シタルモノナルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第七十五条 当該官吏又ハ其ノ職ニ在リタル者故ナク第二十六条ノ規定ニ依ル診療録ノ検査ニ関シ知得シタル医師若ハ歯科医師ノ業務上ノ秘密又ハ個人ノ秘密ヲ漏洩シタルトキハ六月以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
職務上前項ノ秘密ヲ知得シタル他ノ公務員又ハ公務員タリシ者故ナク其ノ秘密ヲ漏洩シタルトキ亦前項ニ同ジ
第七十六条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ五百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
一 第八条第二項、第九条、第十条、第十二条又ハ第十三条ノ規定ニ違反シタル者
二 第十四条第一項又ハ第二十一条第一項ノ規定ニ違反シタル者
三 第十四条第二項若ハ第二十一条第二項ノ規定ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタル者
四 第二十五条ノ規定ニ基キテ発スル命令若ハ之ニ基キテ為ス処分又ハ同条ノ規定ニ依ル処分ニ違反シタル者
五 第二十六条ノ規定ニ依ル当該官吏ノ検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
六 医業停止中ノ医師ニシテ医業ヲ為シタルモノ又ハ歯科医業停止中ノ歯科医師ニシテ歯科医業ヲ為シタルモノ
第七十七条 法人又ハ人ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ前条第二号、第三号又ハ第四号ノ違反行為ヲ為シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免カルルコトヲ得ズ
第七十八条 第七十六条第二号乃至第四号ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ其ノ業務ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第七十九条 左ノ場合ニ於テハ日本医療団ノ総裁、副総裁、理事又ハ監事ヲ千円以下ノ過料ニ処ス
一 第五章ノ規定ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 第五章ニ規定セザル業務ヲ営ミタルトキ
三 第五十三条又ハ第五十五条第二項ノ規定ニ違反シ医療債券ノ発行ヲ為シ又ハ償還ヲ為サザルトキ
四 第六十五条ノ規定ニ違反シ業務上ノ余裕金ヲ運用シタルトキ
五 主務大臣ノ監督上ノ命令又ハ処分ニ違反シタルトキ
第八十条 左ノ場合ニ於テハ日本医療団ノ総裁、副総裁、理事又ハ監事ヲ五百円以下ノ過料ニ処ス
一 本法ニ基キテ発スル勅令ニ違反シ登記ヲ為スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登記ヲ為シタルトキ
二 第六十六条ノ規定ニ違反シ書類ヲ備置カザルトキ、其ノ書類ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載ヲ為シタルトキ又ハ正当ノ事由ナクシテ其ノ閲覧ヲ拒ミタルトキ
第八十一条 第四十条ノ規定ニ違反シ日本医療団又ハ之ニ類似スル名称ヲ用ヒタル者ハ五百円以下ノ過料ニ処ス
附 則
第八十二条 本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八十三条 医師法及歯科医師法ハ之ヲ廃止ス但シ同法中郡市区医師会、道府県医師会及日本医師会並ニ郡市歯科医師会、道府県歯科医師会及日本歯科医師会ニ関スル規定ハ勅令ヲ以テ定ムル時迄仍其ノ効力ヲ有ス
第八十四条 医師法又ハ歯科医師法ニ依リ医師免許又ハ歯科医師免許ヲ受ケタル者ハ本法ニ依リ医師免許又ハ歯科医師免許ヲ受ケタル者ト看做ス医師法又ハ歯科医師法ノ施行前医術開業免状又ハ歯科医術開業免状ヲ得タル者ニ付亦同ジ
医師法施行前医術仮開業免状ヲ得タル者ノ為ス医業ニ関シテハ仍従前ノ例ニ依ル
第八十五条 本法ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六号布告刑法ノ重罪ノ刑ニ処セラレタル者ハ六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ、同法ノ禁錮ニ処セラレタル者ハ六年未満ノ懲役又ハ禁錮ニ処セラレタル者ト看做ス
第八十六条 医師法又ハ歯科医師法ニ依ル医籍又ハ歯科医籍ノ登録ハ之ヲ本法ニ依ル医籍又ハ歯科医籍ノ登録ト看做ス
第八十七条 医師法又ハ歯科医師法ニ依リ為シタル医師免許若ハ歯科医師免許ノ取消ノ処分又ハ医業若ハ歯科医業ノ停止ノ処分ハ之ヲ本法ノ相当規定ニ依リテ為シタルモノト看做ス此ノ場合ニ於テ停止ノ期間ハ仍従前ノ例ニ依ル
第八十八条 医師法又ハ歯科医師法ノ郡市区医師会道府県医師会及日本医師会並ニ郡市歯科医師会道府県歯科医師会及日本歯科医師会ノ権利義務ニシテ第八十三条但書ノ規定ニ依リ勅令ヲ以テ定ムル時ニ於テ存スルモノハ勅令ノ定ムル所ニ依リ各本法ノ道府県医師会及日本医師会並ニ道府県歯科医師会及日本歯科医師会之ヲ承継ス
第八十九条 医師法若ハ歯科医師法又ハ之ニ基キテ発スル命令ニ違反シタル者ノ処罰ニ付テハ仍旧法ニ依ル
第九十条 主務大臣ハ設立委員ヲ命ジ日本医療団ノ設立ニ関スル事務ヲ処理セシム
設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第九十一条 定款ニ付主務大臣ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク出資ノ第一回ノ払込ヲ禀請スベシ
第九十二条 出資ノ第一回ノ払込アリタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク其ノ事務ヲ日本医療団総裁ニ引継グベシ
第九十三条 日本医療団ハ主タル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ為スニ因リテ成立ス
第九十四条 結核予防法中左ノ通改正ス
第七条第一項中「前条ノ規定ニ依リ設置スル結核療養所」ノ上ニ「日本医療団ノ結核療養所又ハ」ヲ加フ
第九十五条 登録税法中左ノ通改正ス
第二条ノ二 日本医療団ガ病院、診療所又ハ産院ノ用ニ供スル不動産ニ関スル権利ノ取得又ハ保存ニ付登記ヲ受クルトキハ前条ノ規定ニ拘ラズ其ノ登録税ノ額ハ不動産価格ノ千分ノ一トス
第六条ノ二中「恩給金庫カ恩給債券ニ付」ヲ「恩給金庫又ハ日本医療団カ恩給債券又ハ医療債券ニ付」ニ、「恩給債券又ハ其ノ」ヲ「恩給債券若ハ医療債券又ハ其ノ」ニ改ム
第十九条第七号中「住宅営団、」ノ下ニ「日本医療団、」ヲ「住宅営団法、」ノ下ニ「国民医療法、」ヲ加フ
同条第十八号中「又ハ住宅営団」ヲ「、住宅営団又ハ日本医療団」ニ改ム
第九十六条 印紙税法中左ノ通改正ス
第五条第六号ノ四ノ次ニ左ノ一号ヲ加フ
六ノ四ノ二 日本医療団ノ発スル出資証券並ニ国民医療法第四十九条第一項第一号及第二号ノ業務ニ関スル証書帳簿