日本医療団令
法令番号: 勅令第四百二十七號
公布年月日: 昭和17年4月16日
法令の形式: 勅令
朕日本醫療團令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年四月十五日
內閣總理大臣 東條英機
厚生大臣 小泉親彥
大藏大臣 賀屋興宣
內務大臣 湯澤三千男
勅令第四百二十七號
日本醫療團令
第一章 出資
第一條 國民醫療法第三十三條ノ規定ニ依リ出資スルコトヲ得ル者ハ左ノ者トス
一 北海道、府縣又ハ市町村若ハ之ニ準ズベキモノ
二 產業組合又ハ產業組合聯合會
三 其ノ他營利ヲ目的トセザル法人ニシテ厚生大臣ノ指定スルモノ
第二條 國民醫療法第三十三條ノ規定ニ依ル出資ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
前項ノ主務大臣ハ前條第一號ニ揭グルモノノ出資ニ關シテハ厚生大臣及內務大臣、同條第二號ニ揭グルモノノ出資ニ關シテハ厚生大臣及農林大臣、同條第三號ニ揭グルモノノ出資ニ關シテハ厚生大臣トス
第三條 日本醫療團ハ國民醫療法第三十三條ノ規定ニ依ル出資者ニ對シ出資證券ヲ交付スベシ
前項ノ出資證券ハ記名式トシ左ノ事項ヲ記載シ總裁之ニ記名捺印スルコトヲ要ス
一 日本醫療團ノ名稱
二 日本醫療團成立ノ年月日
三 資本金額
四 出資ノ價格
第四條 日本醫療團ハ出資者原簿ヲ事務所ニ備置クコトヲ要ス
前項ノ原簿ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 出資者ノ名及住所
二 各出資者ノ出資ノ價格
三 各出資證券ノ取得ノ年月日
日本醫療團ノ出資者及債權者ハ業務時間內何時ニテモ出資者原簿ノ閱覽ヲ求ムルコトヲ得
第五條 出資者ノ持分ノ移轉ハ取得者ノ名及住所ヲ出資者原簿ニ記載シ且其ノ名ヲ出資證券ニ記載スルニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第六條 日本醫療團ハ定款ノ定ムル所ニ依リ國民醫療法第三十三條ノ規定ニ依ル出資者ヲシテ其ノ出資ニ係ル施設ノ經營ニ參與セシムベシ
第二章 登記
第七條 日本醫療團ノ設立ノ登記ハ總裁ガ設立委員ヨリ設立ニ關スル事務ノ引繼ヲ受ケタル日ヨリ二週間以內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
設立ノ登記ニハ左ノ事項ヲ揭グルコトヲ要ス
一 目的
二 名稱
三 事務所
四 資本金額及拂込資本金額
五 總裁、副總裁、理事及監事ノ氏名及住所
六 副總裁又ハ理事ノ代表權ニ制限ヲ加ヘタルトキハ其ノ制限
七 公吿ノ方法
日本醫療團ハ設立ノ登記ヲ爲シタル後一週間以內ニ從タル事務所ノ所在地ニ於テ前項ニ揭グル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
第八條 日本醫療團ノ成立後從タル事務所ヲ設ケタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間以內ニ從タル事務所ヲ設ケタルコトヲ登記シ其ノ從タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以內ニ前條第二項ニ揭グル事項ヲ登記シ他ノ從タル事務所ノ所在地ニ於テハ同期間內ニ其ノ從タル事務所ヲ設ケタルコトヲ登記スルコトヲ要ス
主タル事務所又ハ從タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル登記所ノ管轄區域內ニ於テ新ニ從タル事務所ヲ設ケタルトキハ其ノ從タル事務所ヲ設ケタルコトヲ登記スルヲ以テ足ル
第九條 日本醫療團ガ主タル事務所ヲ移轉シタルトキハ二週間以內ニ移轉ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
日本醫療團ガ從タル事務所ヲ移轉シタルトキハ舊所在地ニ於テハ三週間以內ニ移轉ノ登記ヲ爲シ新所在地ニ於テハ四週間以內ニ第七條第二項ニ揭グル事項ヲ登記スルコトヲ要ス但シ同一ノ登記所ノ管轄區域內ニ於テ從タル事務所ヲ移轉シタルトキハ其ノ移轉ノ登記ヲ爲スヲ以テ足ル
第十條 第七條第二項ニ揭グル事項中ニ變更ヲ生ジタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間、從タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以內ニ變更ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第十一條 國民醫療法第四十四條ノ代理人ヲ選任シタルトキハ二週間以內ニ之ヲ置キタル事務所ノ所在地ニ於テ代理人ノ氏名、住所及代理人ヲ置キタル事務所竝ニ代理人ノ代理權ニ制限ヲ加ヘタルトキハ其ノ制限ヲ登記スルコトヲ要ス登記シタル事項ノ變更及代理人ノ代理權ノ消滅ニ付亦同ジ
第十二條 醫療債券ヲ發行シタル場合ニ於テ第三十六條ノ拂込アリタルトキ又ハ第三十八條ノ賣出期間滿了シタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間、從タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以內ニ醫療債券ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ登記ニハ第三十三條第二項第二號乃至第六號ニ揭グル事項ヲ揭グルコトヲ要ス
第十條ノ規定ハ第一項ノ登記ニ之ヲ準用ス
第十三條 登記スベキ事項ニシテ厚生大臣ノ認可ヲ要スルモノハ其ノ認可書ノ到達シタル時ヨリ登記ノ期間ヲ起算ス
第十四條 登記シタル事項ハ裁判所ニ於テ遲滯ナク之ヲ公吿スルコトヲ要ス
第十五條 日本醫療團ノ登記ニ付テハ其ノ事務所所在地ノ區裁判所ヲ以テ管轄登記所トス
各登記所ニ日本醫療團登記簿ヲ備フ
第十六條 設立ノ登記ハ總裁、副總裁、理事及監事ノ全員ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
前項ノ場合ヲ除クノ外本令ニ依ル登記ハ總裁ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
第十七條 設立登記ノ申請書ニハ定款、出資ノ第一囘ノ拂込アリタルコトヲ證スル書面竝ニ總裁、副總裁、理事及監事ノ資格ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第十八條 國民醫療法第四十四條ノ代理人ノ選任ノ登記ノ申請書ニハ代理人ノ選任ヲ證スル書面及代理人ノ代理權ニ制限ヲ加ヘタルトキハ其ノ制限ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第十九條 醫療債券ノ登記ノ申請書ニハ醫療債券ノ引受ヲ證スル書面、醫療債券申込證及各醫療債券ニ付第三十六條ノ拂込アリタルコトヲ證スル書面又ハ第三十八條ノ賣出期間內ニ於テ賣上ゲタル醫療債券ノ總額ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第二十條 事務所ノ新設又ハ事務所ノ移轉其ノ他第七條第二項ニ揭グル事項ノ變更ノ登記ノ申請書ニハ事務所ノ新設又ハ登記事項ノ變更ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第二十一條 第十八條ノ規定ハ第十一條ノ規定ニ依リ登記シタル事項ノ變更及國民醫療法第四十四條ノ代理人ノ代理權ノ消滅竝ニ醫療債券ニ關スル登記事項ノ變更ノ登記ニ之ヲ準用ス
第二十二條 非訟事件手續法第百四十二條乃至第百五十一條ノ六及第百五十四條乃至第百五十七條ノ規定ハ本令ニ依ル登記ニ之ヲ準用ス
第三章 病院等ノ設備ノ讓受及借受ノ決定
第二十三條 日本醫療團國民醫療法第五十條第一項ノ決定ヲ申請セントスルトキハ左ノ事項ヲ記載シタル書類ヲ提出スルコトヲ要ス
一 申請ノ要旨
二 申請ノ事由
三 協議ヲ爲シタル相手方
四 讓受ケ又ハ借受ケントスル病院、診療所又ハ產院ノ設備(以下病院等ノ設備ト稱ス)ノ槪要
五 協議調ヒタル事項アルトキハ其ノ事項
六 病院等ノ設備ニ付登記シタル擔保權ヲ有スル者アルトキハ其ノ名及住所
七 其ノ他參考ト爲ルベキ事項
日本醫療團前項ノ申請ヲ爲シタルトキハ前項ノ書類ノ謄本ヲ協議ヲ爲シタル相手方ニ遲滯ナク送付スベシ
第二十四條 主務大臣決定ヲ爲スニ付必要ト認ムルトキハ日本醫療團又ハ其ノ協議ヲ爲シタル相手方ニ對シ必要ナル書類ノ提出ヲ命ズルコトヲ得
第二十五條 主務大臣決定ノ申請書ヲ受理シタルトキハ期間ヲ指定シテ協議ヲ爲シタル相手方及當該病院等ノ設備ニ付登記シタル擔保權ヲ有スル者ニ意見書提出ノ機會ヲ與フベシ
第二十六條 主務大臣對價ニ關シ決定ヲ爲サントスルトキハ醫療設備評價委員會ノ議ヲ經ルコトヲ要ス
第二十七條 決定ハ文書ヲ以テシ理由ヲ附スルコトヲ要ス
第二十八條 主務大臣決定ヲ爲シタルトキハ日本醫療團ニ對シテハ其ノ決定書ノ正本ヲ、協議ヲ爲シタル相手方ニ對シテハ其ノ謄本ヲ交付シ且其ノ旨ヲ當該病院等ノ設備ニ付登記シタル擔保權ヲ有スル者ニ通知スルコトヲ要ス
第二十九條 決定ノ申請アリタルトキ及決定ヲ爲シタルトキハ其ノ旨ヲ官報ニ公吿ス
第三十條 日本醫療團ハ左ニ揭グル場合ニ於テハ其ノ對價ヲ供託スルコトヲ要ス
一 國民醫療法第五十條第三項ノ規定ニ依ル出訴アリタルトキ
二 讓受クベキ病院等ノ設備ニ付登記シタル擔保權ノ設定アルトキ但シ擔保權者ノ同意ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項第二號ノ場合ニ於テハ擔保權者ハ供託物ニ對シテモ其ノ權利ヲ行フコトヲ得
第三十一條 國民醫療法第五十條第一項及第二項ノ主務大臣ハ厚生大臣トス但シ北海道、府縣又ハ市町村若ハ之ニ準ズベキモノノ病院等ノ設備ニ關シテハ厚生大臣及內務大臣トシ產業組合又ハ產業組合聯合會ノ病院等ノ設備ニ關シテハ厚生大臣及農林大臣トス
第三十二條 本章ノ規定ハ國民醫療法第五十條第五項ノ規定ニ依ル病院、診療所又ハ產院ノ事業ノ讓受又ハ借受ノ決定ニ付之ヲ準用ス
第四章 醫療債券
第三十三條 醫療債券ノ募集ニ應ゼントスル者ハ醫療債券申込證二通ニ其ノ引受クベキ醫療債券ノ數及住所ヲ記載シ之ニ署名又ハ記名捺印スルコトヲ要ス
醫療債券申込證ハ總裁之ヲ作成シ之ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 日本醫療團ノ名稱
二 醫療債券ノ總額
三 各醫療債券ノ金額
四 醫療債券ノ利率
五 醫療債券償還ノ方法及期限
六 利息支拂ノ方法及期限
七 醫療債券發行ノ價額又ハ其ノ最低價額
八 日本醫療團ノ資本金額及拂込資本金額
九 舊醫療債券借換ノ爲國民醫療法第五十三條ノ規定ニ依ル制限ニ依ラズ醫療債券ヲ發行スルトキハ其ノ旨
十 前ニ醫療債券ヲ發行シタルトキハ其ノ償還ヲ了ヘザル總額
醫療債券發行ノ最低價額ヲ定メタル場合ニ於テハ應募者ハ醫療債券申込證ニ應募價額ヲ記載スルヲ要ス
第三十四條 前條ノ規定ハ契約ニ依リ醫療債券ノ總額ヲ引受クル場合ニハ之ヲ適用セズ醫療債券募集ノ委託ヲ受ケタル會社ガ自ラ醫療債券ノ一部ヲ引受クル場合ニ於テ其ノ一部ニ付亦同ジ
第三十五條 醫療債券ノ應募總額ガ醫療債券申込證ニ記載シタル醫療債券ノ總額ニ達セザルトキト雖モ醫療債券ヲ成立セシムル旨ヲ醫療債券申込證ニ記載シタルトキハ其ノ應募總額ヲ以テ醫療債券ノ總額トス
第三十六條 醫療債券ノ募集ガ完了シタルトキハ總裁ハ遲滯ナク各醫療債券ニ付其ノ全額ノ拂込ヲ爲サシムルコトヲ要ス
第三十七條 醫療債券募集ノ委託ヲ受ケタル會社ハ自己ノ名ヲ以テ日本醫療團ノ爲ニ第三十三條第二項及前條ニ定ムル行爲ヲ爲スコトヲ得
醫療債券募集ノ委託ヲ受ケタル會社二以上アルトキハ前項ノ行爲ハ共同シテ之ヲ爲スコトヲ要ス
第三十八條 賣出ノ方法ニ依リ醫療債券ヲ發行セントスルトキハ總裁ハ左ノ事項ヲ公吿スルコトヲ要ス
一 賣出期間
二 醫療債券賣出ノ價額
三 第三十三條第二項第一號乃至第六號及第八號乃至第十號ニ揭グル事項
四 第三十九條ニ規定スル事項
第三十九條 賣出期間內ニ賣上ゲタル醫療債券ノ總額ガ前條ノ規定ニ依リ公吿シタル醫療債券ノ總額ニ達セザルトキハ其ノ賣上總額ヲ以テ醫療債券ノ總額トス
第四十條 醫療債券ハ全額ノ拂込アリタル後ニ非ザレバ之ガ證券ノ發行ヲ爲スコトヲ得ズ
第四十一條 醫療債券ニハ第三十三條第二項第一號乃至第六號ニ揭グル事項及證券番號ヲ記載シ總裁之ニ署名又ハ記名捺印スルコトヲ要ス
賣出ノ方法ニ依リ發行スル醫療債券ニハ第三十三條第二項第二號ニ揭グル事項ヲ記載スルコトヲ要セズ
第四十二條 總裁ハ主タル事務所ニ醫療債券原簿ヲ備置クコトヲ要ス
債權者ハ業務時間內何時ニテモ醫療債券原簿ノ閱覽ヲ求ムルコトヲ得
第四十三條 醫療債券原簿ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 醫療債券ノ數及番號
二 醫療債券ノ證券發行ノ年月日
三 第三十三條第二項第二號乃至第六號ニ揭グル事項
醫療債券ヲ記名ト爲シタルトキハ前項ニ揭グル事項ノ外其ノ醫療債券ノ所有者ノ名及住所竝ニ取得ノ年月日ヲ醫療債券原簿ニ記載スルコトヲ要ス
第四十四條 記名醫療債券ノ移轉ハ取得者ノ名及住所ヲ醫療債券原簿ニ記載シ且其ノ名ヲ證券ニ記載スルニ非ザレバ之ヲ以テ日本醫療團其ノ他ノ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
記名醫療債券ヲ以テ質權ノ目的ト爲シタルトキハ質權者ノ名及住所ヲ醫療債券原簿ニ記載スルニ非ザレバ之ヲ以テ日本醫療團其ノ他ノ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第四十五條 醫療債券應募者ニ對スル通知又ハ催吿ハ醫療債券申込證ニ記載シタル其ノ者ノ住所ニ、其ノ者ガ別ニ其ノ住所ヲ日本醫療團ニ通知シタルトキハ其ノ住所ニ宛ツルヲ以テ足ル未ダ醫療債券ノ證券ノ發行ヲ爲スニ至ラザル場合ニ於テ醫療債券權利者ニ對スル通知又ハ催吿ニ付亦同ジ
記名醫療債券ノ所有者ニ對スル通知又ハ催吿ハ醫療債券原簿ニ記載シタル其ノ者ノ住所ニ、其ノ者ガ別ニ其ノ住所ヲ日本醫療團ニ通知シタルトキハ其ノ住所ニ宛ツルヲ以テ足ル
前二項ノ通知又ハ催吿ハ通常其ノ到達スベカリシ時ニ到達シタルモノト看做ス
無記名醫療債券ノ所有者ニ對スル通知又ハ催吿ハ公吿ノ方法ニ依ルコトヲ得
第四十六條 無記名醫療債券ヲ償還スル場合ニ於テ欠缺セル利札アルトキハ之ニ相當スル金額ヲ償還額ヨリ控除ス但シ旣ニ支拂期ノ到來シタル利札ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ利札ノ所持人ハ何時ニテモ之ト引換ニ控除金額ノ支拂ヲ請求スルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十七年四月十七日ヨリ之ヲ施行ス
朕日本医療団令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年四月十五日
内閣総理大臣 東条英機
厚生大臣 小泉親彦
大蔵大臣 賀屋興宣
内務大臣 湯沢三千男
勅令第四百二十七号
日本医療団令
第一章 出資
第一条 国民医療法第三十三条ノ規定ニ依リ出資スルコトヲ得ル者ハ左ノ者トス
一 北海道、府県又ハ市町村若ハ之ニ準ズベキモノ
二 産業組合又ハ産業組合連合会
三 其ノ他営利ヲ目的トセザル法人ニシテ厚生大臣ノ指定スルモノ
第二条 国民医療法第三十三条ノ規定ニ依ル出資ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
前項ノ主務大臣ハ前条第一号ニ掲グルモノノ出資ニ関シテハ厚生大臣及内務大臣、同条第二号ニ掲グルモノノ出資ニ関シテハ厚生大臣及農林大臣、同条第三号ニ掲グルモノノ出資ニ関シテハ厚生大臣トス
第三条 日本医療団ハ国民医療法第三十三条ノ規定ニ依ル出資者ニ対シ出資証券ヲ交付スベシ
前項ノ出資証券ハ記名式トシ左ノ事項ヲ記載シ総裁之ニ記名捺印スルコトヲ要ス
一 日本医療団ノ名称
二 日本医療団成立ノ年月日
三 資本金額
四 出資ノ価格
第四条 日本医療団ハ出資者原簿ヲ事務所ニ備置クコトヲ要ス
前項ノ原簿ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 出資者ノ名及住所
二 各出資者ノ出資ノ価格
三 各出資証券ノ取得ノ年月日
日本医療団ノ出資者及債権者ハ業務時間内何時ニテモ出資者原簿ノ閲覧ヲ求ムルコトヲ得
第五条 出資者ノ持分ノ移転ハ取得者ノ名及住所ヲ出資者原簿ニ記載シ且其ノ名ヲ出資証券ニ記載スルニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第六条 日本医療団ハ定款ノ定ムル所ニ依リ国民医療法第三十三条ノ規定ニ依ル出資者ヲシテ其ノ出資ニ係ル施設ノ経営ニ参与セシムベシ
第二章 登記
第七条 日本医療団ノ設立ノ登記ハ総裁ガ設立委員ヨリ設立ニ関スル事務ノ引継ヲ受ケタル日ヨリ二週間以内ニ之ヲ為スコトヲ要ス
設立ノ登記ニハ左ノ事項ヲ掲グルコトヲ要ス
一 目的
二 名称
三 事務所
四 資本金額及払込資本金額
五 総裁、副総裁、理事及監事ノ氏名及住所
六 副総裁又ハ理事ノ代表権ニ制限ヲ加ヘタルトキハ其ノ制限
七 公告ノ方法
日本医療団ハ設立ノ登記ヲ為シタル後一週間以内ニ従タル事務所ノ所在地ニ於テ前項ニ掲グル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
第八条 日本医療団ノ成立後従タル事務所ヲ設ケタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間以内ニ従タル事務所ヲ設ケタルコトヲ登記シ其ノ従タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以内ニ前条第二項ニ掲グル事項ヲ登記シ他ノ従タル事務所ノ所在地ニ於テハ同期間内ニ其ノ従タル事務所ヲ設ケタルコトヲ登記スルコトヲ要ス
主タル事務所又ハ従タル事務所ノ所在地ヲ管轄スル登記所ノ管轄区域内ニ於テ新ニ従タル事務所ヲ設ケタルトキハ其ノ従タル事務所ヲ設ケタルコトヲ登記スルヲ以テ足ル
第九条 日本医療団ガ主タル事務所ヲ移転シタルトキハ二週間以内ニ移転ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
日本医療団ガ従タル事務所ヲ移転シタルトキハ旧所在地ニ於テハ三週間以内ニ移転ノ登記ヲ為シ新所在地ニ於テハ四週間以内ニ第七条第二項ニ掲グル事項ヲ登記スルコトヲ要ス但シ同一ノ登記所ノ管轄区域内ニ於テ従タル事務所ヲ移転シタルトキハ其ノ移転ノ登記ヲ為スヲ以テ足ル
第十条 第七条第二項ニ掲グル事項中ニ変更ヲ生ジタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間、従タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以内ニ変更ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第十一条 国民医療法第四十四条ノ代理人ヲ選任シタルトキハ二週間以内ニ之ヲ置キタル事務所ノ所在地ニ於テ代理人ノ氏名、住所及代理人ヲ置キタル事務所並ニ代理人ノ代理権ニ制限ヲ加ヘタルトキハ其ノ制限ヲ登記スルコトヲ要ス登記シタル事項ノ変更及代理人ノ代理権ノ消滅ニ付亦同ジ
第十二条 医療債券ヲ発行シタル場合ニ於テ第三十六条ノ払込アリタルトキ又ハ第三十八条ノ売出期間満了シタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テハ二週間、従タル事務所ノ所在地ニ於テハ三週間以内ニ医療債券ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ登記ニハ第三十三条第二項第二号乃至第六号ニ掲グル事項ヲ掲グルコトヲ要ス
第十条ノ規定ハ第一項ノ登記ニ之ヲ準用ス
第十三条 登記スベキ事項ニシテ厚生大臣ノ認可ヲ要スルモノハ其ノ認可書ノ到達シタル時ヨリ登記ノ期間ヲ起算ス
第十四条 登記シタル事項ハ裁判所ニ於テ遅滞ナク之ヲ公告スルコトヲ要ス
第十五条 日本医療団ノ登記ニ付テハ其ノ事務所所在地ノ区裁判所ヲ以テ管轄登記所トス
各登記所ニ日本医療団登記簿ヲ備フ
第十六条 設立ノ登記ハ総裁、副総裁、理事及監事ノ全員ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス
前項ノ場合ヲ除クノ外本令ニ依ル登記ハ総裁ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス
第十七条 設立登記ノ申請書ニハ定款、出資ノ第一回ノ払込アリタルコトヲ証スル書面並ニ総裁、副総裁、理事及監事ノ資格ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第十八条 国民医療法第四十四条ノ代理人ノ選任ノ登記ノ申請書ニハ代理人ノ選任ヲ証スル書面及代理人ノ代理権ニ制限ヲ加ヘタルトキハ其ノ制限ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第十九条 医療債券ノ登記ノ申請書ニハ医療債券ノ引受ヲ証スル書面、医療債券申込証及各医療債券ニ付第三十六条ノ払込アリタルコトヲ証スル書面又ハ第三十八条ノ売出期間内ニ於テ売上ゲタル医療債券ノ総額ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第二十条 事務所ノ新設又ハ事務所ノ移転其ノ他第七条第二項ニ掲グル事項ノ変更ノ登記ノ申請書ニハ事務所ノ新設又ハ登記事項ノ変更ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第二十一条 第十八条ノ規定ハ第十一条ノ規定ニ依リ登記シタル事項ノ変更及国民医療法第四十四条ノ代理人ノ代理権ノ消滅並ニ医療債券ニ関スル登記事項ノ変更ノ登記ニ之ヲ準用ス
第二十二条 非訟事件手続法第百四十二条乃至第百五十一条ノ六及第百五十四条乃至第百五十七条ノ規定ハ本令ニ依ル登記ニ之ヲ準用ス
第三章 病院等ノ設備ノ譲受及借受ノ決定
第二十三条 日本医療団国民医療法第五十条第一項ノ決定ヲ申請セントスルトキハ左ノ事項ヲ記載シタル書類ヲ提出スルコトヲ要ス
一 申請ノ要旨
二 申請ノ事由
三 協議ヲ為シタル相手方
四 譲受ケ又ハ借受ケントスル病院、診療所又ハ産院ノ設備(以下病院等ノ設備ト称ス)ノ概要
五 協議調ヒタル事項アルトキハ其ノ事項
六 病院等ノ設備ニ付登記シタル担保権ヲ有スル者アルトキハ其ノ名及住所
七 其ノ他参考ト為ルベキ事項
日本医療団前項ノ申請ヲ為シタルトキハ前項ノ書類ノ謄本ヲ協議ヲ為シタル相手方ニ遅滞ナク送付スベシ
第二十四条 主務大臣決定ヲ為スニ付必要ト認ムルトキハ日本医療団又ハ其ノ協議ヲ為シタル相手方ニ対シ必要ナル書類ノ提出ヲ命ズルコトヲ得
第二十五条 主務大臣決定ノ申請書ヲ受理シタルトキハ期間ヲ指定シテ協議ヲ為シタル相手方及当該病院等ノ設備ニ付登記シタル担保権ヲ有スル者ニ意見書提出ノ機会ヲ与フベシ
第二十六条 主務大臣対価ニ関シ決定ヲ為サントスルトキハ医療設備評価委員会ノ議ヲ経ルコトヲ要ス
第二十七条 決定ハ文書ヲ以テシ理由ヲ附スルコトヲ要ス
第二十八条 主務大臣決定ヲ為シタルトキハ日本医療団ニ対シテハ其ノ決定書ノ正本ヲ、協議ヲ為シタル相手方ニ対シテハ其ノ謄本ヲ交付シ且其ノ旨ヲ当該病院等ノ設備ニ付登記シタル担保権ヲ有スル者ニ通知スルコトヲ要ス
第二十九条 決定ノ申請アリタルトキ及決定ヲ為シタルトキハ其ノ旨ヲ官報ニ公告ス
第三十条 日本医療団ハ左ニ掲グル場合ニ於テハ其ノ対価ヲ供託スルコトヲ要ス
一 国民医療法第五十条第三項ノ規定ニ依ル出訴アリタルトキ
二 譲受クベキ病院等ノ設備ニ付登記シタル担保権ノ設定アルトキ但シ担保権者ノ同意ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項第二号ノ場合ニ於テハ担保権者ハ供託物ニ対シテモ其ノ権利ヲ行フコトヲ得
第三十一条 国民医療法第五十条第一項及第二項ノ主務大臣ハ厚生大臣トス但シ北海道、府県又ハ市町村若ハ之ニ準ズベキモノノ病院等ノ設備ニ関シテハ厚生大臣及内務大臣トシ産業組合又ハ産業組合連合会ノ病院等ノ設備ニ関シテハ厚生大臣及農林大臣トス
第三十二条 本章ノ規定ハ国民医療法第五十条第五項ノ規定ニ依ル病院、診療所又ハ産院ノ事業ノ譲受又ハ借受ノ決定ニ付之ヲ準用ス
第四章 医療債券
第三十三条 医療債券ノ募集ニ応ゼントスル者ハ医療債券申込証二通ニ其ノ引受クベキ医療債券ノ数及住所ヲ記載シ之ニ署名又ハ記名捺印スルコトヲ要ス
医療債券申込証ハ総裁之ヲ作成シ之ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 日本医療団ノ名称
二 医療債券ノ総額
三 各医療債券ノ金額
四 医療債券ノ利率
五 医療債券償還ノ方法及期限
六 利息支払ノ方法及期限
七 医療債券発行ノ価額又ハ其ノ最低価額
八 日本医療団ノ資本金額及払込資本金額
九 旧医療債券借換ノ為国民医療法第五十三条ノ規定ニ依ル制限ニ依ラズ医療債券ヲ発行スルトキハ其ノ旨
十 前ニ医療債券ヲ発行シタルトキハ其ノ償還ヲ了ヘザル総額
医療債券発行ノ最低価額ヲ定メタル場合ニ於テハ応募者ハ医療債券申込証ニ応募価額ヲ記載スルヲ要ス
第三十四条 前条ノ規定ハ契約ニ依リ医療債券ノ総額ヲ引受クル場合ニハ之ヲ適用セズ医療債券募集ノ委託ヲ受ケタル会社ガ自ラ医療債券ノ一部ヲ引受クル場合ニ於テ其ノ一部ニ付亦同ジ
第三十五条 医療債券ノ応募総額ガ医療債券申込証ニ記載シタル医療債券ノ総額ニ達セザルトキト雖モ医療債券ヲ成立セシムル旨ヲ医療債券申込証ニ記載シタルトキハ其ノ応募総額ヲ以テ医療債券ノ総額トス
第三十六条 医療債券ノ募集ガ完了シタルトキハ総裁ハ遅滞ナク各医療債券ニ付其ノ全額ノ払込ヲ為サシムルコトヲ要ス
第三十七条 医療債券募集ノ委託ヲ受ケタル会社ハ自己ノ名ヲ以テ日本医療団ノ為ニ第三十三条第二項及前条ニ定ムル行為ヲ為スコトヲ得
医療債券募集ノ委託ヲ受ケタル会社二以上アルトキハ前項ノ行為ハ共同シテ之ヲ為スコトヲ要ス
第三十八条 売出ノ方法ニ依リ医療債券ヲ発行セントスルトキハ総裁ハ左ノ事項ヲ公告スルコトヲ要ス
一 売出期間
二 医療債券売出ノ価額
三 第三十三条第二項第一号乃至第六号及第八号乃至第十号ニ掲グル事項
四 第三十九条ニ規定スル事項
第三十九条 売出期間内ニ売上ゲタル医療債券ノ総額ガ前条ノ規定ニ依リ公告シタル医療債券ノ総額ニ達セザルトキハ其ノ売上総額ヲ以テ医療債券ノ総額トス
第四十条 医療債券ハ全額ノ払込アリタル後ニ非ザレバ之ガ証券ノ発行ヲ為スコトヲ得ズ
第四十一条 医療債券ニハ第三十三条第二項第一号乃至第六号ニ掲グル事項及証券番号ヲ記載シ総裁之ニ署名又ハ記名捺印スルコトヲ要ス
売出ノ方法ニ依リ発行スル医療債券ニハ第三十三条第二項第二号ニ掲グル事項ヲ記載スルコトヲ要セズ
第四十二条 総裁ハ主タル事務所ニ医療債券原簿ヲ備置クコトヲ要ス
債権者ハ業務時間内何時ニテモ医療債券原簿ノ閲覧ヲ求ムルコトヲ得
第四十三条 医療債券原簿ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 医療債券ノ数及番号
二 医療債券ノ証券発行ノ年月日
三 第三十三条第二項第二号乃至第六号ニ掲グル事項
医療債券ヲ記名ト為シタルトキハ前項ニ掲グル事項ノ外其ノ医療債券ノ所有者ノ名及住所並ニ取得ノ年月日ヲ医療債券原簿ニ記載スルコトヲ要ス
第四十四条 記名医療債券ノ移転ハ取得者ノ名及住所ヲ医療債券原簿ニ記載シ且其ノ名ヲ証券ニ記載スルニ非ザレバ之ヲ以テ日本医療団其ノ他ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
記名医療債券ヲ以テ質権ノ目的ト為シタルトキハ質権者ノ名及住所ヲ医療債券原簿ニ記載スルニ非ザレバ之ヲ以テ日本医療団其ノ他ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第四十五条 医療債券応募者ニ対スル通知又ハ催告ハ医療債券申込証ニ記載シタル其ノ者ノ住所ニ、其ノ者ガ別ニ其ノ住所ヲ日本医療団ニ通知シタルトキハ其ノ住所ニ宛ツルヲ以テ足ル未ダ医療債券ノ証券ノ発行ヲ為スニ至ラザル場合ニ於テ医療債券権利者ニ対スル通知又ハ催告ニ付亦同ジ
記名医療債券ノ所有者ニ対スル通知又ハ催告ハ医療債券原簿ニ記載シタル其ノ者ノ住所ニ、其ノ者ガ別ニ其ノ住所ヲ日本医療団ニ通知シタルトキハ其ノ住所ニ宛ツルヲ以テ足ル
前二項ノ通知又ハ催告ハ通常其ノ到達スベカリシ時ニ到達シタルモノト看做ス
無記名医療債券ノ所有者ニ対スル通知又ハ催告ハ公告ノ方法ニ依ルコトヲ得
第四十六条 無記名医療債券ヲ償還スル場合ニ於テ欠欠セル利札アルトキハ之ニ相当スル金額ヲ償還額ヨリ控除ス但シ既ニ支払期ノ到来シタル利札ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ利札ノ所持人ハ何時ニテモ之ト引換ニ控除金額ノ支払ヲ請求スルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十七年四月十七日ヨリ之ヲ施行ス