国民医療法施行令
法令番号: 勅令第六百九十五號
公布年月日: 昭和17年10月28日
法令の形式: 勅令
朕國民醫療法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年十月二十七日
內閣總理大臣 東條英機
文部大臣 橋田邦彦
厚生大臣 小泉親彥
勅令第六百九十五號
國民醫療法施行令
第一章 醫師及齒科醫師ノ免許
第一條 國民醫療法第四條ノ規定ニ依ル醫師ノ免許ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニ之ヲ與フ
一 大學令ニ依ル大學ニ於テ醫學ヲ修メ學士ト稱スルコトヲ得ル者又ハ官立、公立若ハ文部大臣ノ指定シタル私立ノ醫學專門學校醫學科ヲ卒業シタル者ニシテ一年以上診療ノ修練ヲ經タルモノ
二 醫師試驗ニ合格シタル者ニシテ一年以上診療ノ修練ヲ經タルモノ
三 外國醫學校ヲ卒業シ又ハ外國ニ於テ醫師免許ヲ得タル帝國臣民ニシテ厚生大臣ニ於テ第一號ノ醫學專門學校醫學科ノ卒業者ト同等以上ノ學力ヲ有シ且適當ト認定シタルモノ
四 厚生大臣ノ指定シタル外國ノ國籍ヲ有シ其ノ國ニ於テ醫師免許ヲ得タル者ニシテ厚生大臣ニ於テ適當ト認定シタルモノ
前項第四號ノ規定ニ依リ指定ヲ爲スハ帝國ノ醫師ニ對シ試驗ヲ要セズ醫師免許ヲ與フル國タルコトヲ要ス
醫師試驗ハ左ニ揭グル者ニ非ザレバ之ヲ受クルコトヲ得ズ
一 第一項第一號ニ該當セザル私立醫學專門學校醫學科ヲ卒業シタル者
二 外國醫學校ヲ卒業シ又ハ外國ニ於テ醫師免許ヲ得タル者ノ中第一項第三號又ハ第四號ニ該當セザル者ニシテ厚生大臣ニ於テ適當ト認定シタルモノ
第二條 國民醫療法第四條ノ規定ニ依ル齒科醫師ノ免許ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニ之ヲ與フ
一 官立、公立又ハ文部大臣ノ指定シタル私立ノ齒科醫學專門學校ヲ卒業シタル者ニシテ一年以上診療ノ修練ヲ經タルモノ
二 齒科醫師試驗ニ合格シタル者ニシテ一年以上診療ノ修練ヲ經タルモノ
三 外國齒科醫學校ヲ卒業シ又ハ外國ニ於テ齒科醫師免許ヲ得タル帝國臣民ニシテ厚生大臣ニ於テ第一號ノ齒科醫學專門學校ノ卒業者ト同等以上ノ學力ヲ有シ且適當ト認定シタルモノ
四 厚生大臣ノ指定シタル外國ノ國籍ヲ有シ其ノ國ニ於テ齒科醫師免許ヲ得タル者ニシテ厚生大臣ニ於テ適當ト認定シタルモノ
前項第四號ノ規定ニ依リ指定ヲ爲スハ帝國ノ齒科醫師ニ對シ試驗ヲ要セズ齒科醫師免許ヲ與フル國タルコトヲ要ス
齒科醫師試驗ハ左ニ揭グル者ニ非ザレバ之ヲ受クルコトヲ得ズ
一 第一項第一號ニ該當セザル私立齒科醫學專門學校ヲ卒業シタル者
二 外國齒科醫學校ヲ卒業シ又ハ外國ニ於テ齒科醫師免許ヲ得タル者ノ中第一項第三號又ハ第四號ニ該當セザル者ニシテ厚生大臣ニ於テ適當ト認定シタルモノ
第三條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ醫師試驗又ハ齒科醫師試驗ヲ受クルコトヲ得ズ
一 無期又ハ六年以上ノ懲役若ハ禁錮ニ處セラレタル者及舊刑法ノ重罪ノ刑ニ處セラレタル者
二 聾者、啞者及盲者
第四條 六年未滿ノ懲役若ハ禁錮ニ處セラレタル者、醫事ニ關シ罰金ニ處セラレタル者又ハ醫事ニ關シ不正ノ行爲アリタル者ニハ醫師試驗又ハ齒科醫師試驗ヲ受クルコトヲ許サザルコトアルベシ
第五條 本章ニ規定スルモノノ外醫師及齒科醫師ノ免許ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二章 科名專門ノ標榜
第六條 國民醫療法第十三條ノ規定ニ依ル科名專門ノ標榜ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニシテ標榜セントスル科目ニ付相當ノ學識技能ヲ有スト認メラルルモノニ之ヲ許可ス
一 免許ヲ受ケタル後十年以上診療又ハ醫學ノ硏究ニ從事シタル者ニシテ命令ノ定ムル所ニ依リ診療ノ指導ヲ受ケタルモノ
二 前號ニ該當セザルモ之ニ準ズベキ經歷ヲ有スル者
第七條 科名專門ノ標榜ノ許可ヲ受ケタル者左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ハ厚生大臣ハ其ノ許可ヲ取消スモノトス
一 虛僞又ハ不正ノ事實ニ基キ許可ヲ受ケタル場合
二 引續キ科名專門ヲ標榜セシムルコトヲ不適當ト認ムル場合
第八條 本章ニ規定スルモノノ外科名專門ノ標榜ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三章 指定業務ノ從事命令
第九條 國民醫療法第二十二條ノ規定ニ依リ醫師又ハ齒科醫師ノ從事スベキ業務トシテ厚生大臣ノ指定スルハ國、地方公共團體、日本醫療團又ハ厚生大臣ノ指定スル者(以下指定事業者ト稱ス)ノ行フ醫療及保健指導ニ關スル業務ニ限ル
第十條 厚生大臣國民醫療法第二十二條ノ規定ニ依リ從事命令ヲ爲サントスル場合ニ於テハ左ニ揭グル事項ヲ定メ命令ヲ受クベキ者ニ對シ之ヲ爲ス
一 從事スベキ業務ノ內容及場所
二 從事スベキ業務ヲ行フ者ノ名稱又ハ名
三 從事スベキ期間
四 其ノ他必要ト認ムル事項
前項ノ命令ハ本人ノ住所地ヲ管轄スル地方長官ヲシテ之ヲ通達セシム
第十一條 從事命令ノ取消、變更又ハ解除ニ付必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條 從事命令ヲ受ケタル者業務ニ從事スル場合ニ於テハ國ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該官衙ノ長、地方公共團體ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該公共團體ノ長、日本醫療團ニ使用セラルル者ニ在リテハ日本醫療團總裁、指定事業者ニ使用セラルル者ニ在リテハ指定事業者ノ指示ニ從フベシ
第十三條 從事命令ヲ受ケタル者ニ對スル給與ハ當該醫師又ハ齒科醫師ノ從事スル業務ヲ行フ官衙ノ長、地方公共團體ノ長、日本醫療團總裁又ハ指定事業者之ヲ支給スルモノトス
第十四條 厚生大臣必要アリト認ムルトキハ從事命令ヲ受ケタル者ヲ使用スル地方公共團體ノ長、日本醫療團總裁又ハ指定事業者ニ對シ從事命令ヲ受ケタル者ノ使用又ハ給料其ノ他ノ事項ニ關シ命令ヲ爲スコトヲ得
第十五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニ對シテハ國民醫療法第二十二條ノ規定ニ依ル從事命令ハ之ヲ爲サズ
一 陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入營セザル者ヲ除ク)及召集中ノモノ(召集中ノ身分取扱ヲ受クル者ヲ含ム)
二 陸海軍學生生徒
三 陸海軍軍屬
四 醫療關係者徵用令ニ依リ徵用中ノ者
五 法令ニ依リ拘禁中ノ者
從事命令ヲ受ケタル後前項第一號乃至第四號ニ該當スルニ至リタルトキハ從事命令ハ解除サレタルモノト看做ス
第十六條 厚生大臣從事命令ニ關シ必要アリト認ムルトキハ關係者ヨリ必要ナル報吿ヲ徵スルコトアルベシ
第四章 報酬及給與
第十七條 厚生大臣ハ病院若ハ診療所ノ開設者又ハ醫師若ハ齒科醫師ヲシテ其ノ請求シ得ベキ醫療ノ報酬ニ關シ醫師會又ハ齒科醫師會ノ定ニ依ラシムル命令ヲ發スルコトヲ得
第十八條 厚生大臣又ハ地方長官ハ醫療ノ報酬ニ付適正ナラザルモノアリト認ムルトキハ病院若ハ診療所ノ開設者又ハ醫師若ハ齒科醫師ニ對シ之ガ變更ヲ命ズルコトヲ得
第十九條 厚生大臣ハ醫師又ハ齒科醫師ノ給與ニ關シ醫師又ハ齒科醫師ヲ雇傭スル者ニ對シ必要ナル命令ヲ發スルコトヲ得
第二十條 厚生大臣又ハ地方長官ハ醫師又ハ齒科醫師ノ給與ニ付適正ナラザルモノアリト認ムルトキハ當該醫師又ハ齒科醫師ヲ雇傭スル者ニ對シ之ガ變更ヲ命ズルコトヲ得
附 則
第一條 本令ハ昭和十七年十一月一日ヨリ之ヲ施行ス
第二條 明治三十九年勅令第二百四十四號及大正十五年勅令第十三號ハ之ヲ廢止ス
第三條 醫師法第一條第一項第一號又ハ齒科醫師法第一條第一號ノ規定ニ依リ文部大臣ノ指定シタル私立醫學專門學校又ハ私立齒科醫學專門學校ハ第一條第一項第一號又ハ第二條第一項第一號ノ規定ニ依リ文部大臣ノ指定シタル私立醫學專門學校又ハ私立齒科醫學專門學校ト看做ス
第四條 左ニ揭グル者ニ對シテハ第一條又ハ第二條ノ規定ニ拘ラズ從前ノ例ニ依リ醫師免許又ハ齒科醫師免許ヲ與フ
一 本令施行ノ際現ニ醫師法第一條第一項第一號若ハ第二號又ハ齒科醫師法第一條第一號若ハ第二號ニ該當スル者
二 本令施行ノ際現ニ大學令ニ依ル大學ニ於テ醫學ヲ修メ又ハ醫師法第一條第一項第一號ニ揭グル醫學專門學校醫學科若ハ齒科醫師法第一條第一號ニ揭グル齒科醫學專門學校ニ在學スル者ニシテ引續キ在學シ學士ト稱シ又ハ卒業スルニ至リタルモノ
第五條 第一條又ハ第二條ノ規定ノ適用ニ付テハ本令施行後三年以內ニ醫師試驗又ハ齒科醫師試驗ニ合格シタル者ニ關シテハ診療ノ修練ノ要件ハ之ヲ必要トセズ
第六條 本令施行ノ際從前ノ規定ニ依リ齒科醫師試驗ノ受驗資格ヲ有スル者及中學校若ハ修業年限四箇年以上ノ高等女學校ノ卒業者又ハ之ト同等以上ノ學力ヲ有スル者ヲ入學資格トスル修業年限三箇年以上ノ齒科醫學校ニ在學中ノ者ハ第二條第三項ノ規定ニ拘ラズ昭和二十七年十二月三十一日迄仍齒科醫師試驗ノ受驗資格ヲ有ス
第七條 學校齒科醫及幼稚園齒科醫令中左ノ通改正ス
第三條第二項中「齒科醫師(齒科醫師法第十一條ノ二ノ規定ニ該當スル醫師ヲ含ム)」ヲ「齒科醫師(國民醫療法第八條第二項ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル醫師ヲ含ム)」ニ改ム
第八條 醫療關係者職業能力申吿令中左ノ通改正ス
第二條第一項中「醫師法」ヲ「國民醫療法」ニ、「齒科醫師法」ヲ「同法」ニ改ム
第九條 醫療關係者徵用令中左ノ通改正ス
第二條第一項中「醫師法」ヲ「國民醫療法」ニ、「齒科醫師法」ヲ「同法」ニ改ム
朕国民医療法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年十月二十七日
内閣総理大臣 東条英機
文部大臣 橋田邦彦
厚生大臣 小泉親彦
勅令第六百九十五号
国民医療法施行令
第一章 医師及歯科医師ノ免許
第一条 国民医療法第四条ノ規定ニ依ル医師ノ免許ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ニ之ヲ与フ
一 大学令ニ依ル大学ニ於テ医学ヲ修メ学士ト称スルコトヲ得ル者又ハ官立、公立若ハ文部大臣ノ指定シタル私立ノ医学専門学校医学科ヲ卒業シタル者ニシテ一年以上診療ノ修練ヲ経タルモノ
二 医師試験ニ合格シタル者ニシテ一年以上診療ノ修練ヲ経タルモノ
三 外国医学校ヲ卒業シ又ハ外国ニ於テ医師免許ヲ得タル帝国臣民ニシテ厚生大臣ニ於テ第一号ノ医学専門学校医学科ノ卒業者ト同等以上ノ学力ヲ有シ且適当ト認定シタルモノ
四 厚生大臣ノ指定シタル外国ノ国籍ヲ有シ其ノ国ニ於テ医師免許ヲ得タル者ニシテ厚生大臣ニ於テ適当ト認定シタルモノ
前項第四号ノ規定ニ依リ指定ヲ為スハ帝国ノ医師ニ対シ試験ヲ要セズ医師免許ヲ与フル国タルコトヲ要ス
医師試験ハ左ニ掲グル者ニ非ザレバ之ヲ受クルコトヲ得ズ
一 第一項第一号ニ該当セザル私立医学専門学校医学科ヲ卒業シタル者
二 外国医学校ヲ卒業シ又ハ外国ニ於テ医師免許ヲ得タル者ノ中第一項第三号又ハ第四号ニ該当セザル者ニシテ厚生大臣ニ於テ適当ト認定シタルモノ
第二条 国民医療法第四条ノ規定ニ依ル歯科医師ノ免許ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ニ之ヲ与フ
一 官立、公立又ハ文部大臣ノ指定シタル私立ノ歯科医学専門学校ヲ卒業シタル者ニシテ一年以上診療ノ修練ヲ経タルモノ
二 歯科医師試験ニ合格シタル者ニシテ一年以上診療ノ修練ヲ経タルモノ
三 外国歯科医学校ヲ卒業シ又ハ外国ニ於テ歯科医師免許ヲ得タル帝国臣民ニシテ厚生大臣ニ於テ第一号ノ歯科医学専門学校ノ卒業者ト同等以上ノ学力ヲ有シ且適当ト認定シタルモノ
四 厚生大臣ノ指定シタル外国ノ国籍ヲ有シ其ノ国ニ於テ歯科医師免許ヲ得タル者ニシテ厚生大臣ニ於テ適当ト認定シタルモノ
前項第四号ノ規定ニ依リ指定ヲ為スハ帝国ノ歯科医師ニ対シ試験ヲ要セズ歯科医師免許ヲ与フル国タルコトヲ要ス
歯科医師試験ハ左ニ掲グル者ニ非ザレバ之ヲ受クルコトヲ得ズ
一 第一項第一号ニ該当セザル私立歯科医学専門学校ヲ卒業シタル者
二 外国歯科医学校ヲ卒業シ又ハ外国ニ於テ歯科医師免許ヲ得タル者ノ中第一項第三号又ハ第四号ニ該当セザル者ニシテ厚生大臣ニ於テ適当ト認定シタルモノ
第三条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ医師試験又ハ歯科医師試験ヲ受クルコトヲ得ズ
一 無期又ハ六年以上ノ懲役若ハ禁錮ニ処セラレタル者及旧刑法ノ重罪ノ刑ニ処セラレタル者
二 聾者、唖者及盲者
第四条 六年未満ノ懲役若ハ禁錮ニ処セラレタル者、医事ニ関シ罰金ニ処セラレタル者又ハ医事ニ関シ不正ノ行為アリタル者ニハ医師試験又ハ歯科医師試験ヲ受クルコトヲ許サザルコトアルベシ
第五条 本章ニ規定スルモノノ外医師及歯科医師ノ免許ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二章 科名専門ノ標榜
第六条 国民医療法第十三条ノ規定ニ依ル科名専門ノ標榜ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ニシテ標榜セントスル科目ニ付相当ノ学識技能ヲ有スト認メラルルモノニ之ヲ許可ス
一 免許ヲ受ケタル後十年以上診療又ハ医学ノ研究ニ従事シタル者ニシテ命令ノ定ムル所ニ依リ診療ノ指導ヲ受ケタルモノ
二 前号ニ該当セザルモ之ニ準ズベキ経歴ヲ有スル者
第七条 科名専門ノ標榜ノ許可ヲ受ケタル者左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ハ厚生大臣ハ其ノ許可ヲ取消スモノトス
一 虚偽又ハ不正ノ事実ニ基キ許可ヲ受ケタル場合
二 引続キ科名専門ヲ標榜セシムルコトヲ不適当ト認ムル場合
第八条 本章ニ規定スルモノノ外科名専門ノ標榜ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三章 指定業務ノ従事命令
第九条 国民医療法第二十二条ノ規定ニ依リ医師又ハ歯科医師ノ従事スベキ業務トシテ厚生大臣ノ指定スルハ国、地方公共団体、日本医療団又ハ厚生大臣ノ指定スル者(以下指定事業者ト称ス)ノ行フ医療及保健指導ニ関スル業務ニ限ル
第十条 厚生大臣国民医療法第二十二条ノ規定ニ依リ従事命令ヲ為サントスル場合ニ於テハ左ニ掲グル事項ヲ定メ命令ヲ受クベキ者ニ対シ之ヲ為ス
一 従事スベキ業務ノ内容及場所
二 従事スベキ業務ヲ行フ者ノ名称又ハ名
三 従事スベキ期間
四 其ノ他必要ト認ムル事項
前項ノ命令ハ本人ノ住所地ヲ管轄スル地方長官ヲシテ之ヲ通達セシム
第十一条 従事命令ノ取消、変更又ハ解除ニ付必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二条 従事命令ヲ受ケタル者業務ニ従事スル場合ニ於テハ国ニ使用セラルル者ニ在リテハ当該官衙ノ長、地方公共団体ニ使用セラルル者ニ在リテハ当該公共団体ノ長、日本医療団ニ使用セラルル者ニ在リテハ日本医療団総裁、指定事業者ニ使用セラルル者ニ在リテハ指定事業者ノ指示ニ従フベシ
第十三条 従事命令ヲ受ケタル者ニ対スル給与ハ当該医師又ハ歯科医師ノ従事スル業務ヲ行フ官衙ノ長、地方公共団体ノ長、日本医療団総裁又ハ指定事業者之ヲ支給スルモノトス
第十四条 厚生大臣必要アリト認ムルトキハ従事命令ヲ受ケタル者ヲ使用スル地方公共団体ノ長、日本医療団総裁又ハ指定事業者ニ対シ従事命令ヲ受ケタル者ノ使用又ハ給料其ノ他ノ事項ニ関シ命令ヲ為スコトヲ得
第十五条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ニ対シテハ国民医療法第二十二条ノ規定ニ依ル従事命令ハ之ヲ為サズ
一 陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入営セザル者ヲ除ク)及召集中ノモノ(召集中ノ身分取扱ヲ受クル者ヲ含ム)
二 陸海軍学生生徒
三 陸海軍軍属
四 医療関係者徴用令ニ依リ徴用中ノ者
五 法令ニ依リ拘禁中ノ者
従事命令ヲ受ケタル後前項第一号乃至第四号ニ該当スルニ至リタルトキハ従事命令ハ解除サレタルモノト看做ス
第十六条 厚生大臣従事命令ニ関シ必要アリト認ムルトキハ関係者ヨリ必要ナル報告ヲ徴スルコトアルベシ
第四章 報酬及給与
第十七条 厚生大臣ハ病院若ハ診療所ノ開設者又ハ医師若ハ歯科医師ヲシテ其ノ請求シ得ベキ医療ノ報酬ニ関シ医師会又ハ歯科医師会ノ定ニ依ラシムル命令ヲ発スルコトヲ得
第十八条 厚生大臣又ハ地方長官ハ医療ノ報酬ニ付適正ナラザルモノアリト認ムルトキハ病院若ハ診療所ノ開設者又ハ医師若ハ歯科医師ニ対シ之ガ変更ヲ命ズルコトヲ得
第十九条 厚生大臣ハ医師又ハ歯科医師ノ給与ニ関シ医師又ハ歯科医師ヲ雇傭スル者ニ対シ必要ナル命令ヲ発スルコトヲ得
第二十条 厚生大臣又ハ地方長官ハ医師又ハ歯科医師ノ給与ニ付適正ナラザルモノアリト認ムルトキハ当該医師又ハ歯科医師ヲ雇傭スル者ニ対シ之ガ変更ヲ命ズルコトヲ得
附 則
第一条 本令ハ昭和十七年十一月一日ヨリ之ヲ施行ス
第二条 明治三十九年勅令第二百四十四号及大正十五年勅令第十三号ハ之ヲ廃止ス
第三条 医師法第一条第一項第一号又ハ歯科医師法第一条第一号ノ規定ニ依リ文部大臣ノ指定シタル私立医学専門学校又ハ私立歯科医学専門学校ハ第一条第一項第一号又ハ第二条第一項第一号ノ規定ニ依リ文部大臣ノ指定シタル私立医学専門学校又ハ私立歯科医学専門学校ト看做ス
第四条 左ニ掲グル者ニ対シテハ第一条又ハ第二条ノ規定ニ拘ラズ従前ノ例ニ依リ医師免許又ハ歯科医師免許ヲ与フ
一 本令施行ノ際現ニ医師法第一条第一項第一号若ハ第二号又ハ歯科医師法第一条第一号若ハ第二号ニ該当スル者
二 本令施行ノ際現ニ大学令ニ依ル大学ニ於テ医学ヲ修メ又ハ医師法第一条第一項第一号ニ掲グル医学専門学校医学科若ハ歯科医師法第一条第一号ニ掲グル歯科医学専門学校ニ在学スル者ニシテ引続キ在学シ学士ト称シ又ハ卒業スルニ至リタルモノ
第五条 第一条又ハ第二条ノ規定ノ適用ニ付テハ本令施行後三年以内ニ医師試験又ハ歯科医師試験ニ合格シタル者ニ関シテハ診療ノ修練ノ要件ハ之ヲ必要トセズ
第六条 本令施行ノ際従前ノ規定ニ依リ歯科医師試験ノ受験資格ヲ有スル者及中学校若ハ修業年限四箇年以上ノ高等女学校ノ卒業者又ハ之ト同等以上ノ学力ヲ有スル者ヲ入学資格トスル修業年限三箇年以上ノ歯科医学校ニ在学中ノ者ハ第二条第三項ノ規定ニ拘ラズ昭和二十七年十二月三十一日迄仍歯科医師試験ノ受験資格ヲ有ス
第七条 学校歯科医及幼稚園歯科医令中左ノ通改正ス
第三条第二項中「歯科医師(歯科医師法第十一条ノ二ノ規定ニ該当スル医師ヲ含ム)」ヲ「歯科医師(国民医療法第八条第二項ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル医師ヲ含ム)」ニ改ム
第八条 医療関係者職業能力申告令中左ノ通改正ス
第二条第一項中「医師法」ヲ「国民医療法」ニ、「歯科医師法」ヲ「同法」ニ改ム
第九条 医療関係者徴用令中左ノ通改正ス
第二条第一項中「医師法」ヲ「国民医療法」ニ、「歯科医師法」ヲ「同法」ニ改ム