朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル齒科醫師法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十九年五月一日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
內務大臣 原敬
文部大臣 牧野伸顯
法律第四十八號
齒科醫師法
第一條 齒科醫師タラムトスル者ハ左ノ資格ヲ有シ內務大臣ノ免許ヲ受クルコトヲ要ス
一 文部大臣ノ指定シタル齒科醫學校ヲ卒業シタル者
二 齒科醫師試驗ニ合格シタル者
三 外國齒科醫學校ヲ卒業シ又ハ外國ニ於テ齒科醫師免許ヲ得タル者ニシテ命令ノ規定ニ該當スル者
第二條 左ニ揭クル者ハ免許ヲ受クルコトヲ得ス
一 重罪ノ刑ニ處セラレタル者但シ國事犯ニシテ復權シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
二 公權停止中ノ者
三 未成年者、禁治產者、準禁治產者、聾者、啞者及盲者
第三條 禁錮ニ處セラレタル者又ハ醫事ニ關シ罰金ニ處セラレタル者ニハ免許ヲ與ヘサルコトアルヘシ
第四條 內務省ニ齒科醫籍ヲ備ヘ齒科醫師免許ニ關スル事項ヲ登錄ス
登錄スヘキ事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條 齒科醫師ハ自ラ診察セスシテ診斷書、處方箋ヲ交付シ又ハ治療ヲ爲スコトヲ得ス
第六條 齒科醫師ハ帳簿ヲ備ヘ患者ノ氏名、年齡、住所、職業、病名及療法ヲ記載スヘシ
前項ノ帳簿ハ十箇年間之ヲ保存スヘシ
第七條 齒科醫師ハ其ノ技能ヲ誇稱シテ虛僞ノ廣吿ヲ爲シ又ハ祕密療法ヲ有スル旨ヲ廣吿スルコトヲ得ス
第八條 齒科醫師ハ齒科醫師會ヲ設立スルコトヲ得
齒科醫師會ニ關スル規程ハ內務大臣之ヲ定ム
第九條 齒科醫師會ハ齒科醫事衞生ニ關シ官廳ノ諮問ニ應シ又ハ建議ヲ爲スコトヲ得
第十條 齒科醫師第二條第一號又ハ第三號ニ該當スルトキハ其ノ免許ヲ取消スヘシ
齒科醫師禁錮ニ處セラレタルトキ又ハ業務ニ關シ罰金ニ處セラレ若ハ不正ノ行爲アリタルトキハ免許ヲ取消シ又ハ期間ヲ定メテ齒科醫業ヲ停止スルコトアルヘシ其ノ事免許前ニ係ル場合亦同シ
本條ノ取消處分ヲ受ケタル者ト雖第二條第三號ノ原因止ミタルトキ又ハ改悛ノ情顯著ナルトキハ再免許ヲ與フルコトアルヘシ
本條ノ處分ハ內務大臣之ヲ行フ但シ第二項及第三項後段ノ場合ニ於テハ中央衞生會ノ審議ヲ經ルコトヲ要ス
第十一條 免許ヲ受ケスシテ齒科醫業ヲ爲シタル者、停止中齒科醫業ヲ爲シタル者又ハ第五條、第六條若ハ第七條ニ違背シタル者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
附 則
第十二條 本法ハ明治三十九年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十三條 本法施行前ノ齒科醫術開業免狀ハ本法施行ノ後ト雖仍其ノ效力ヲ有ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル歯科医師法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十九年五月一日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
内務大臣 原敬
文部大臣 牧野伸顕
法律第四十八号
歯科医師法
第一条 歯科医師タラムトスル者ハ左ノ資格ヲ有シ内務大臣ノ免許ヲ受クルコトヲ要ス
一 文部大臣ノ指定シタル歯科医学校ヲ卒業シタル者
二 歯科医師試験ニ合格シタル者
三 外国歯科医学校ヲ卒業シ又ハ外国ニ於テ歯科医師免許ヲ得タル者ニシテ命令ノ規定ニ該当スル者
第二条 左ニ掲クル者ハ免許ヲ受クルコトヲ得ス
一 重罪ノ刑ニ処セラレタル者但シ国事犯ニシテ復権シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
二 公権停止中ノ者
三 未成年者、禁治産者、準禁治産者、聾者、唖者及盲者
第三条 禁錮ニ処セラレタル者又ハ医事ニ関シ罰金ニ処セラレタル者ニハ免許ヲ与ヘサルコトアルヘシ
第四条 内務省ニ歯科医籍ヲ備ヘ歯科医師免許ニ関スル事項ヲ登録ス
登録スヘキ事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五条 歯科医師ハ自ラ診察セスシテ診断書、処方箋ヲ交付シ又ハ治療ヲ為スコトヲ得ス
第六条 歯科医師ハ帳簿ヲ備ヘ患者ノ氏名、年齢、住所、職業、病名及療法ヲ記載スヘシ
前項ノ帳簿ハ十箇年間之ヲ保存スヘシ
第七条 歯科医師ハ其ノ技能ヲ誇称シテ虚偽ノ広告ヲ為シ又ハ秘密療法ヲ有スル旨ヲ広告スルコトヲ得ス
第八条 歯科医師ハ歯科医師会ヲ設立スルコトヲ得
歯科医師会ニ関スル規程ハ内務大臣之ヲ定ム
第九条 歯科医師会ハ歯科医事衛生ニ関シ官庁ノ諮問ニ応シ又ハ建議ヲ為スコトヲ得
第十条 歯科医師第二条第一号又ハ第三号ニ該当スルトキハ其ノ免許ヲ取消スヘシ
歯科医師禁錮ニ処セラレタルトキ又ハ業務ニ関シ罰金ニ処セラレ若ハ不正ノ行為アリタルトキハ免許ヲ取消シ又ハ期間ヲ定メテ歯科医業ヲ停止スルコトアルヘシ其ノ事免許前ニ係ル場合亦同シ
本条ノ取消処分ヲ受ケタル者ト雖第二条第三号ノ原因止ミタルトキ又ハ改悛ノ情顕著ナルトキハ再免許ヲ与フルコトアルヘシ
本条ノ処分ハ内務大臣之ヲ行フ但シ第二項及第三項後段ノ場合ニ於テハ中央衛生会ノ審議ヲ経ルコトヲ要ス
第十一条 免許ヲ受ケスシテ歯科医業ヲ為シタル者、停止中歯科医業ヲ為シタル者又ハ第五条、第六条若ハ第七条ニ違背シタル者ハ三百円以下ノ罰金ニ処ス
附 則
第十二条 本法ハ明治三十九年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十三条 本法施行前ノ歯科医術開業免状ハ本法施行ノ後ト雖仍其ノ効力ヲ有ス