朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル醫師法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十九年五月一日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
內務大臣 原敬
文部大臣 牧野伸顯
法律第四十七號
醫師法
第一條 醫師タラムトスル者ハ左ノ資格ヲ有シ內務大臣ノ免許ヲ受クルコトヲ要ス
一 帝國大學醫科大學醫學科又ハ官立、公立若ハ文部大臣ノ指定シタル私立醫學專門學校醫學科ヲ卒業シタル者
二 醫師試驗ニ合格シタル者
三 外國醫學校ヲ卒業シ又ハ外國ニ於テ醫師免許ヲ得タル者ニシテ命令ノ規定ニ該當スル者
醫師試驗ハ中學校若ハ修業年限四箇年以上ノ高等女學校ノ卒業者又ハ之ト同等以上ノ學力ヲ有スル者ニシテ醫學專門學校ヲ卒業シ若ハ外國醫學校ニ於テ四箇年以上ノ醫學課程ヲ修了シタル者ニ非サレハ之ヲ受クルコトヲ得ス
第二條 左ニ揭クル者ハ免許ヲ受クルコトヲ得ス
一 重罪ノ刑ニ處セラレタル者但シ國事犯ニシテ復權シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
二 公權停止中ノ者
三 未成年者、禁治產者、準禁治產者、聾者、啞者及盲者
第三條 禁錮ニ處セラレタル者又ハ醫事ニ關シ罰金ニ處セラレタル者ニハ免許ヲ與ヘサルコトアルヘシ
第四條 內務省ニ醫籍ヲ備ヘ醫師免許ニ關スル事項ヲ登錄ス
登錄スヘキ事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條 醫師ハ自ラ診察セスシテ診斷書、處方箋ヲ交付シ若ハ治療ヲ爲シ又ハ檢案セスシテ檢案書若ハ死產證書ヲ交付スルコトヲ得ス
第六條 醫師ハ帳簿ヲ備ヘ患者ノ氏名、年齡、住所、職業、病名及療法ヲ記載スヘシ
前項ノ帳簿ハ十箇年間之ヲ保存スヘシ
第七條 醫師ハ其ノ技能ヲ誇稱シテ虛僞ノ廣吿ヲ爲シ又ハ祕密療法ヲ有スル旨ヲ廣吿スルコトヲ得ス
第八條 醫師ハ醫師會ヲ設立スルコトヲ得
醫師會ニ關スル規程ハ內務大臣之ヲ定ム
第九條 醫師會ハ醫事衞生ニ關シ官廳ノ諮問ニ應シ又ハ建議ヲ爲スコトヲ得
第十條 醫師第二條第一號又ハ第三號ニ該當スルトキハ其ノ免許ヲ取消スヘシ
醫師禁錮ニ處セラレタルトキ又ハ業務ニ關シ罰金ニ處セラレ若ハ不正ノ行爲アリタルトキハ免許ヲ取消シ又ハ期間ヲ定メテ醫業ヲ停止スルコトアルヘシ其ノ事免許前ニ係ル場合亦同シ
本條ノ取消處分ヲ受ケタル者ト雖第二條第三號ノ原因止ミタルトキ又ハ改悛ノ情顯著ナルトキハ再免許ヲ與フルコトアルヘシ
本條ノ處分ハ內務大臣之ヲ行フ但シ第二項及第三項後段ノ場合ニ於テハ中央衞生會ノ審議ヲ經ルコトヲ要ス
第十一條 免許ヲ受ケスシテ醫業ヲ爲シタル者、停止中醫業ヲ爲シタル者又ハ第五條、第六條、第七條若ハ第十三條第三項但書ニ違背シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
附 則
第十二條 本法ハ明治三十九年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十三條 本法施行前ノ醫術開業免狀ハ本法施行ノ後ト雖仍其ノ效力ヲ有ス
本法施行前第一條第一項第一號ニ該當セサル官立、府縣立醫學校ヲ卒業シタル者ニハ第一條第一項ノ資格ヲ有セサルモ免許ヲ與フルコトアルヘシ
本法施行前醫術假開業免狀ヲ得タル者ハ本法施行ノ後ト雖醫業ヲ爲スコトヲ得但シ免許地域外ニ診察所、治療所又ハ其ノ出張所ヲ設クルコトヲ得ス
前項但書ノ規定ハ往診治療ヲ爲スコトヲ妨ケス
第十四條 本法施行後八箇年間ハ第一條第二項ノ規定ヲ適用セス醫術開業試驗規則ニ依リ醫術開業試驗ヲ擧行ス
前項ノ試驗ニ合格シタル者ハ第一條第一項ノ資格ヲ有スル者ト看做ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル医師法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十九年五月一日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
内務大臣 原敬
文部大臣 牧野伸顕
法律第四十七号
医師法
第一条 医師タラムトスル者ハ左ノ資格ヲ有シ内務大臣ノ免許ヲ受クルコトヲ要ス
一 帝国大学医科大学医学科又ハ官立、公立若ハ文部大臣ノ指定シタル私立医学専門学校医学科ヲ卒業シタル者
二 医師試験ニ合格シタル者
三 外国医学校ヲ卒業シ又ハ外国ニ於テ医師免許ヲ得タル者ニシテ命令ノ規定ニ該当スル者
医師試験ハ中学校若ハ修業年限四箇年以上ノ高等女学校ノ卒業者又ハ之ト同等以上ノ学力ヲ有スル者ニシテ医学専門学校ヲ卒業シ若ハ外国医学校ニ於テ四箇年以上ノ医学課程ヲ修了シタル者ニ非サレハ之ヲ受クルコトヲ得ス
第二条 左ニ掲クル者ハ免許ヲ受クルコトヲ得ス
一 重罪ノ刑ニ処セラレタル者但シ国事犯ニシテ復権シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
二 公権停止中ノ者
三 未成年者、禁治産者、準禁治産者、聾者、唖者及盲者
第三条 禁錮ニ処セラレタル者又ハ医事ニ関シ罰金ニ処セラレタル者ニハ免許ヲ与ヘサルコトアルヘシ
第四条 内務省ニ医籍ヲ備ヘ医師免許ニ関スル事項ヲ登録ス
登録スヘキ事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五条 医師ハ自ラ診察セスシテ診断書、処方箋ヲ交付シ若ハ治療ヲ為シ又ハ検案セスシテ検案書若ハ死産証書ヲ交付スルコトヲ得ス
第六条 医師ハ帳簿ヲ備ヘ患者ノ氏名、年齢、住所、職業、病名及療法ヲ記載スヘシ
前項ノ帳簿ハ十箇年間之ヲ保存スヘシ
第七条 医師ハ其ノ技能ヲ誇称シテ虚偽ノ広告ヲ為シ又ハ秘密療法ヲ有スル旨ヲ広告スルコトヲ得ス
第八条 医師ハ医師会ヲ設立スルコトヲ得
医師会ニ関スル規程ハ内務大臣之ヲ定ム
第九条 医師会ハ医事衛生ニ関シ官庁ノ諮問ニ応シ又ハ建議ヲ為スコトヲ得
第十条 医師第二条第一号又ハ第三号ニ該当スルトキハ其ノ免許ヲ取消スヘシ
医師禁錮ニ処セラレタルトキ又ハ業務ニ関シ罰金ニ処セラレ若ハ不正ノ行為アリタルトキハ免許ヲ取消シ又ハ期間ヲ定メテ医業ヲ停止スルコトアルヘシ其ノ事免許前ニ係ル場合亦同シ
本条ノ取消処分ヲ受ケタル者ト雖第二条第三号ノ原因止ミタルトキ又ハ改悛ノ情顕著ナルトキハ再免許ヲ与フルコトアルヘシ
本条ノ処分ハ内務大臣之ヲ行フ但シ第二項及第三項後段ノ場合ニ於テハ中央衛生会ノ審議ヲ経ルコトヲ要ス
第十一条 免許ヲ受ケスシテ医業ヲ為シタル者、停止中医業ヲ為シタル者又ハ第五条、第六条、第七条若ハ第十三条第三項但書ニ違背シタル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
附 則
第十二条 本法ハ明治三十九年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十三条 本法施行前ノ医術開業免状ハ本法施行ノ後ト雖仍其ノ効力ヲ有ス
本法施行前第一条第一項第一号ニ該当セサル官立、府県立医学校ヲ卒業シタル者ニハ第一条第一項ノ資格ヲ有セサルモ免許ヲ与フルコトアルヘシ
本法施行前医術仮開業免状ヲ得タル者ハ本法施行ノ後ト雖医業ヲ為スコトヲ得但シ免許地域外ニ診察所、治療所又ハ其ノ出張所ヲ設クルコトヲ得ス
前項但書ノ規定ハ往診治療ヲ為スコトヲ妨ケス
第十四条 本法施行後八箇年間ハ第一条第二項ノ規定ヲ適用セス医術開業試験規則ニ依リ医術開業試験ヲ挙行ス
前項ノ試験ニ合格シタル者ハ第一条第一項ノ資格ヲ有スル者ト看做ス