朕海軍豫備員令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和九年十月十八日
內閣總理大臣 岡田啓介
海軍大臣 大角岑生
勅令第二百九十四號
海軍豫備員令
第一章 總則
第一條 海軍ニ海軍豫備員ヲ置ク
第二條 海軍豫備員ハ海軍軍人トシ豫備役ニ服セシム
第三條 海軍豫備員ノ兵籍ハ之ヲ海軍省ニ置ク
第二章 服役
第四條 海軍豫備員ノ服役ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外服役定限年齡ニ滿ツル日迄トス但シ戰時又ハ事變ニ際シ必要アルトキハ其ノ服役ヲ延長スルコトヲ得
前項但書ノ規定ニ依ル服役ノ延長及其ノ解止ニ關シテハ海軍大臣之ヲ定ム
第五條 海軍豫備員ノ服役定限年齡ハ航空關係ノ海軍豫備員ニ在リテハ四十五年、其ノ他ノ海軍豫備員ニ在リテハ五十三年トス
第六條 海軍豫備員ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外其ノ服役定限年齡ニ滿ツル日ノ翌日ヲ以テ別ニ辭令ワ用ヒズ豫備准士官以上ニ在リテハ退役トシ豫備下士官ニ在リテハ其ノ官ヲ免ゼラレタルモノトス
第七條 海軍豫備員ニシテ傷痍疾病其ノ他身體又ハ精神ノ異狀ニ因リ永久服役ニ堪ヘズト認ムルモノハ豫備准士官以上ニ在リテハ之ヲ退役セシメ豫備下士官ニ在リテハ其ノ官ヲ免ズ
第八條 豫備下士官海軍航空豫備學生ニ採用セラレタルトキハ其ノ採用ノ日ヲ以テ其ノ官及服役ヲ免ズ
前項ノ規定ニ該當スル者海軍航空豫備學生ヲ免ゼラレタルトキハ前ニ免ゼラレタル豫備下士官ニ復シ前ノ服役ヲ繼續セシム
第三章 任用及進級
第九條 海軍豫備員(航空關係ノ海軍豫備員ヲ除ク)ノ任用ハ左ニ揭グル資格ヲ具フル者ニシテ海軍ニ於テ其ノ必要ト認ムル敎育ヲ受ケ試驗ニ合格シ海軍豫備員ニ適スト認メタルモノニ就キ之ヲ行フ但シ戰時又ハ事變ノ際ニハ敎育又ハ試驗ヲ省略スルコトヲ得
一 豫備少尉及豫備機關少尉ニ在リテハ文部省直轄商船專門學校卒業者
二 豫備一等兵曹及豫備一等機關兵曹ニ在リテハ海軍豫備練習生ニシテ公私立商船學校練習科ヲ修了シタルモノ
第十條 航空關係ノ海軍豫備員ノ任用ハ左ニ揭グル資格ヲ具フル者ニシテ海軍豫備員ニ適スト認メタルモノニ就キ之ヲ行フ
一 豫備少尉ニ在リテハ海軍航空豫備學生敎程ヲ修了シタル者
二 豫備二等航空兵曹ニ在リテハ航空術ニ關スル海軍豫備練習生敎程ヲ修了シタル者
三 豫備三等航空兵曹ニ在リテハ航空術ニ關スル海軍豫備練習生敎程ヲ修了シタル者又ハ海軍練習航空隊令第二十二條ノ規定ニ依リ海軍練習航空隊ニ於テ所定ノ航空術ヲ修得シ海軍豫備員タランコトヲ志願シ身體檢查ニ合格シタル年齡二十五年未滿ノ者
第十一條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ前二條ノ規定ニ依リ海軍豫備員ニ之ヲ任用スルコトヲ得ズ
一 禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
二 破產者ニシテ復權ヲ得ザルモノ
第十二條 海軍豫備員ノ任用及進級ハ拔擢ヲ以テシ其ノ進級ハ級ヲ逐ヒ官階ヲ歷進セシム
第十三條 各科豫備特務少尉ハ豫備准士官ニシテ別表ニ定ムル免狀及實役停年ヲ有スルモノヨリ銓衡ニ依リ各科別ニ從ヒ之ヲ任用ス
第十四條 豫備中尉ハ豫備特務少尉又ハ豫備航空特務少尉ニシテ別表第一表又ハ第三表ニ定ムル免狀及實役停年ヲ有スルモノヨリ銓衡ニ依リ之ヲ任用スルコトヲ得
豫備機關中尉ハ豫備機關特務少尉ニシテ別表第二表ニ定ムル免狀及實役停年ヲ有スルモノヨリ銓衡ニ依リ之ヲ任用スルコトヲ得
第十五條 海軍豫備員ノ進級ハ別表ニ定ムル免狀及實役停年ヲ有スル者ニ就キ銓衡ニ依リ各科別ニ從ヒ之ヲ行フ
第十六條 別表第一表及第二表ノ實役停年ハ左ノ各號ニ揭グル日數ヲ以テ之ヲ算ス
一 召集中ノ勤務日數
二 總噸數五百噸以上ノ船舶ノ乘員トシテノ勤務日數
三 文部省直轄商船專門學校若ハ公私立商船學校ノ敎職員又ハ航海練習所職員トシテノ勤務日數ノ三分ノ二ニ相當スル日數
四 海員審判所職員トシテノ勤務日數ノ三分ノ二ニ相當スル日數
五 水先人トシテノ勤務日數ノ三分ノ二ニ相當スル日數
六 船舶艤裝者トシテノ勤務日數ノ三分ノ一ニ相當スル日數
七 港長又ハ之ニ準ズル者トシテノ勤務日數ノ三分ノ一ニ相當スル日數
前項第六號及第七號ニ揭グル者ハ海軍大臣ノ適當ト認メタル者ニ限ル
第十七條 別表第三表ノ實役停年ハ左ノ各號ニ揭グル日數ヲ以テ之ヲ算ス
一 召集中ノ勤務日數
二 航空機(航空船及飛行機ヲ謂フ以下之ニ同ジ)ノ運航從事者(航空法第十九條ニ規定スル者ヲ含ム)トシテノ勤務日數
三 航空機運航敎授者トシテノ勤務日數
前條第二項ノ規定ハ前項第三號ニ揭グル者ニ之ヲ準用ス
第十八條 海軍武官進級令第六條、第七條及第九條ノ規定ハ第十六條第一項第一號及前條第一項第一號ノ勤務日數ノ計算ニ之ヲ準用ス
第十九條 第十六條第一項第二號乃至第七號竝ニ第十七條第一項第二號及第三號ノ勤務日數ノ計算ニ付テハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ勾留、處刑、處罰、懲戒其ノ他ノ事由ニ因リ勤務ニ服セザル間ノ日數ハ之ヲ算入セズ
第二十條 戰時又ハ事變ニ際シ必要アルトキハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ別表ノ實役停年ヲ半減スルコトヲ得
第二十一條 豫備中佐又ハ豫備機關中佐ハ特選ニ依リ之ヲ進級セシムルコトヲ得
第二十二條 海軍豫備員ニシテ現ニ海技免狀ノ行使停止中ノモノ又ハ航空機乘員ノ就業停止中ノモノハ之ヲ任用シ又ハ進級セシムルコトヲ得ズ
第二十三條 海軍大臣ハ任用シ又ハ進級セシムベキ海軍豫備員ニ付各科官階別ニ列序ヲ定メ候補名簿ヲ調製スベシ
海軍大臣ハ豫備士官及豫備特務士官ノ任用又ハ進級ヲ要スルトキハ候補名簿ニ依リ其ノ列序ニ從ヒ任用又ハ進級ノ上奏ヲ爲スベシ
豫備准士官及豫備下士官ノ任用又ハ進級ハ候補名簿ニ依リ其ノ列序ニ從ヒ海軍大臣之ヲ行フ
第二十四條 任用又ハ進級ノ候補名簿ハ其ノ調製ノ時ヨリ次囘ノ候補名簿調製ノ時迄效力ヲ有ス
第二十五條 海軍武官進級令第四條ノ規定ハ召集中ノ海軍豫備員ノ任用又ハ進級ニ之ヲ準用ス
第四章 特殊任用及特殊進級
第二十六條 召集中ノ各科豫備特務少尉又ハ豫備准士官ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノハ任用ニ必要ナル實役停年ニ關スル規定及第二十三條第二項ノ規定ニ拘ラズ豫備特務少尉又ハ豫備航空特務少尉ニ在リテハ豫備中尉ニ、豫備機關特務少尉ニ在リテハ豫備機關中尉ニ、豫備准士官ニ在リテハ各科別ニ從ヒ豫備特務士官ニ特ニ之ヲ任用スルコトヲ得
一 敵前ニ在リテ殊勳ヲ奏シ首將之ヲ全軍ニ布吿シタル者
二 戰時又ハ事變ノ際殊勳ヲ奏シタル者又ハ勳功顯著ナル者ニシテ其ノ戰時又ハ事變中傷痍又ハ疾病ノ爲危篤ニ陷リタルモノ
三 拔群ナル勇敢ノ行爲アリ功績顯著ニシテ軍人ノ龜鑑トシテ海軍大臣之ヲ海軍全般ニ布吿シタル者
第二十七條 召集中ノ各科豫備特務少尉又ハ豫備准士官ニシテ殊勳ヲ奏シ又ハ勳功顯著ナルモノハ任用ニ必要ナル實役停年ニ關スル規定及第二十三條第二項ノ規定ニ拘ラズ召集ヲ解ク際又ハ傷痍若ハ疾病ノ爲危篤ニ陷リタル際豫備特務少尉又ハ豫備航空特務少尉ニ在リテハ豫備中尉ニ、豫備機關特務少尉ニ在リテハ豫備機關中尉ニ、豫備准士官ニ在リテハ各科別ニ從ヒ豫備特務士官ニ特ニ之ヲ任用スルコトヲ得
召集中ノ各科豫備特務少尉又ハ豫備准士官ニシテ任用ニ必要ナル免狀及實役停年ヲ有シ功績顯著ナルモノニ付亦前項ニ同ジ
第二十八條 海軍武官任用令第二十九條ノ規定ハ召集中ノ海軍豫備員ノ任用ニ之ヲ準用ス
第二十九條 海軍武官進級令第十八條、第二十條及第二十一條ノ規定ハ召集中ノ海軍豫備員ノ進級ニ之ヲ準用ス
第三十條 召集中ニ非ザル海軍豫備員ニシテ軍事ニ關シ拔群ノ功績アルモノハ特ニ第二十六條ノ規定ニ準ジ之ヲ任用シ又ハ特ニ之ヲ進級セシムルコトヲ得
第三十一條 海軍武官進級令第十七條ノ規定ハ本章ノ特殊進級ニ之ヲ準用ス
第五章 召集
第三十二條 海軍豫備員ハ戰時又ハ事變ニ際シ必要ニ應ジ之ヲ召集ス
第三十三條 海軍豫備員ハ演習、勤務又ハ敎育ノ爲之ヲ召集スルコトヲ得
第三十四條 海軍豫備員ノ召集ハ海軍大臣之ヲ掌ル
第三十五條 兵役法第六十二條第一項第二項第四項及第六十三條竝ニ兵役法施行令第百十三條ノ規定ハ海軍豫備員ノ召集ニ之ヲ準用ス
兵役法施行令第百十四條ノ規定ハ第三十二條ノ規定ニ依ル海軍豫備員ノ召集ニ、兵役法第六十一條及兵役法施行令第百二十七條第一項ノ規定ハ第三十三條ノ規定ニ依ル海軍豫備員ノ召集ニ之ヲ準用ス
第三十六條 本令ニ定ムルモノヲ除クノ外召集ニ關シ必要ナル事項ハ海軍大臣之ヲ定ム
第六章 雜則
第三十七條 海軍大臣ハ海軍豫備生徒タル文部省直轄商船專門學校生徒又ハ海軍豫備練習生タル公私立商船學校練習科生徒ニ關シ當該學校長又ハ航海練習所長ニ必要ナル報吿ヲ求ムルコトヲ得其ノ生徒海軍豫備員ト爲リタル後亦同ジ
第三十八條 海軍豫備員ヲ用フル官衙、學校又ハ會社ノ長、船舶又ハ航空機ノ所有者其ノ他ノ者ハ其ノ用フル海軍豫備員ニシテ別表ニ定ムル免狀及實役停年ヲ有シ任用又ハ進級ニ適スト認ムルモノアルトキハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨海軍大臣ニ屆出ヅルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ屆出ヲ爲シタル者ハ爾後其ノ海軍豫備員ニ付任用又ハ進級ニ適セズト認ムル事由發生シタルトキハ速ニ其ノ旨海軍大臣ニ報吿スベシ
第三十九條 本令ニ於テ船舶ノ乘員ト稱スルハ船長、運轉士、機關長及機關士ヲ謂ヒ公私立商船學校ト稱スルハ海軍豫備員候補者令第四條ノ規定ニ依ル公私立商船學校及之ニ準ズルモノヲ謂フ
附 則
本令ハ昭和九年十一月一日ヨリ之ヲ施行ス
別表第一表及第二表ノ實役停年ノ計算ハ第十六條第一項第三號乃至第五號ニ揭グル者トシテノ本令施行前ニ係ル勤務日數ニ付テハ同條ノ規定ニ拘ラズ仍從前ノ例ニ依ル
從前ノ規定ニ依リ實役停年ノ計算ニ算入セラルベキ遞信省所管商船學校ノ敎職員トシテノ勤務日數及遞信省所管商船學校、文部省直轄商船專門學校又ハ公私立商船學校ノ附屬練習船ノ職員トシテノ勤務日數(第十六條第一項第二號ニ該當スルモノヲ除ク)ハ別表第一表及第二表ノ實役停年ノ計算ニ之ヲ算入ス
(別表)
第一表
【表】
第二表
【表】
第三表
【表】
朕海軍予備員令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和九年十月十八日
内閣総理大臣 岡田啓介
海軍大臣 大角岑生
勅令第二百九十四号
海軍予備員令
第一章 総則
第一条 海軍ニ海軍予備員ヲ置ク
第二条 海軍予備員ハ海軍軍人トシ予備役ニ服セシム
第三条 海軍予備員ノ兵籍ハ之ヲ海軍省ニ置ク
第二章 服役
第四条 海軍予備員ノ服役ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外服役定限年齢ニ満ツル日迄トス但シ戦時又ハ事変ニ際シ必要アルトキハ其ノ服役ヲ延長スルコトヲ得
前項但書ノ規定ニ依ル服役ノ延長及其ノ解止ニ関シテハ海軍大臣之ヲ定ム
第五条 海軍予備員ノ服役定限年齢ハ航空関係ノ海軍予備員ニ在リテハ四十五年、其ノ他ノ海軍予備員ニ在リテハ五十三年トス
第六条 海軍予備員ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外其ノ服役定限年齢ニ満ツル日ノ翌日ヲ以テ別ニ辞令ワ用ヒズ予備准士官以上ニ在リテハ退役トシ予備下士官ニ在リテハ其ノ官ヲ免ゼラレタルモノトス
第七条 海軍予備員ニシテ傷痍疾病其ノ他身体又ハ精神ノ異状ニ因リ永久服役ニ堪ヘズト認ムルモノハ予備准士官以上ニ在リテハ之ヲ退役セシメ予備下士官ニ在リテハ其ノ官ヲ免ズ
第八条 予備下士官海軍航空予備学生ニ採用セラレタルトキハ其ノ採用ノ日ヲ以テ其ノ官及服役ヲ免ズ
前項ノ規定ニ該当スル者海軍航空予備学生ヲ免ゼラレタルトキハ前ニ免ゼラレタル予備下士官ニ復シ前ノ服役ヲ継続セシム
第三章 任用及進級
第九条 海軍予備員(航空関係ノ海軍予備員ヲ除ク)ノ任用ハ左ニ掲グル資格ヲ具フル者ニシテ海軍ニ於テ其ノ必要ト認ムル教育ヲ受ケ試験ニ合格シ海軍予備員ニ適スト認メタルモノニ就キ之ヲ行フ但シ戦時又ハ事変ノ際ニハ教育又ハ試験ヲ省略スルコトヲ得
一 予備少尉及予備機関少尉ニ在リテハ文部省直轄商船専門学校卒業者
二 予備一等兵曹及予備一等機関兵曹ニ在リテハ海軍予備練習生ニシテ公私立商船学校練習科ヲ修了シタルモノ
第十条 航空関係ノ海軍予備員ノ任用ハ左ニ掲グル資格ヲ具フル者ニシテ海軍予備員ニ適スト認メタルモノニ就キ之ヲ行フ
一 予備少尉ニ在リテハ海軍航空予備学生教程ヲ修了シタル者
二 予備二等航空兵曹ニ在リテハ航空術ニ関スル海軍予備練習生教程ヲ修了シタル者
三 予備三等航空兵曹ニ在リテハ航空術ニ関スル海軍予備練習生教程ヲ修了シタル者又ハ海軍練習航空隊令第二十二条ノ規定ニ依リ海軍練習航空隊ニ於テ所定ノ航空術ヲ修得シ海軍予備員タランコトヲ志願シ身体検査ニ合格シタル年齢二十五年未満ノ者
第十一条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ前二条ノ規定ニ依リ海軍予備員ニ之ヲ任用スルコトヲ得ズ
一 禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者
二 破産者ニシテ復権ヲ得ザルモノ
第十二条 海軍予備員ノ任用及進級ハ抜擢ヲ以テシ其ノ進級ハ級ヲ逐ヒ官階ヲ歴進セシム
第十三条 各科予備特務少尉ハ予備准士官ニシテ別表ニ定ムル免状及実役停年ヲ有スルモノヨリ銓衡ニ依リ各科別ニ従ヒ之ヲ任用ス
第十四条 予備中尉ハ予備特務少尉又ハ予備航空特務少尉ニシテ別表第一表又ハ第三表ニ定ムル免状及実役停年ヲ有スルモノヨリ銓衡ニ依リ之ヲ任用スルコトヲ得
予備機関中尉ハ予備機関特務少尉ニシテ別表第二表ニ定ムル免状及実役停年ヲ有スルモノヨリ銓衡ニ依リ之ヲ任用スルコトヲ得
第十五条 海軍予備員ノ進級ハ別表ニ定ムル免状及実役停年ヲ有スル者ニ就キ銓衡ニ依リ各科別ニ従ヒ之ヲ行フ
第十六条 別表第一表及第二表ノ実役停年ハ左ノ各号ニ掲グル日数ヲ以テ之ヲ算ス
一 召集中ノ勤務日数
二 総噸数五百噸以上ノ船舶ノ乗員トシテノ勤務日数
三 文部省直轄商船専門学校若ハ公私立商船学校ノ教職員又ハ航海練習所職員トシテノ勤務日数ノ三分ノ二ニ相当スル日数
四 海員審判所職員トシテノ勤務日数ノ三分ノ二ニ相当スル日数
五 水先人トシテノ勤務日数ノ三分ノ二ニ相当スル日数
六 船舶艤装者トシテノ勤務日数ノ三分ノ一ニ相当スル日数
七 港長又ハ之ニ準ズル者トシテノ勤務日数ノ三分ノ一ニ相当スル日数
前項第六号及第七号ニ掲グル者ハ海軍大臣ノ適当ト認メタル者ニ限ル
第十七条 別表第三表ノ実役停年ハ左ノ各号ニ掲グル日数ヲ以テ之ヲ算ス
一 召集中ノ勤務日数
二 航空機(航空船及飛行機ヲ謂フ以下之ニ同ジ)ノ運航従事者(航空法第十九条ニ規定スル者ヲ含ム)トシテノ勤務日数
三 航空機運航教授者トシテノ勤務日数
前条第二項ノ規定ハ前項第三号ニ掲グル者ニ之ヲ準用ス
第十八条 海軍武官進級令第六条、第七条及第九条ノ規定ハ第十六条第一項第一号及前条第一項第一号ノ勤務日数ノ計算ニ之ヲ準用ス
第十九条 第十六条第一項第二号乃至第七号並ニ第十七条第一項第二号及第三号ノ勤務日数ノ計算ニ付テハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ勾留、処刑、処罰、懲戒其ノ他ノ事由ニ因リ勤務ニ服セザル間ノ日数ハ之ヲ算入セズ
第二十条 戦時又ハ事変ニ際シ必要アルトキハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ別表ノ実役停年ヲ半減スルコトヲ得
第二十一条 予備中佐又ハ予備機関中佐ハ特選ニ依リ之ヲ進級セシムルコトヲ得
第二十二条 海軍予備員ニシテ現ニ海技免状ノ行使停止中ノモノ又ハ航空機乗員ノ就業停止中ノモノハ之ヲ任用シ又ハ進級セシムルコトヲ得ズ
第二十三条 海軍大臣ハ任用シ又ハ進級セシムベキ海軍予備員ニ付各科官階別ニ列序ヲ定メ候補名簿ヲ調製スベシ
海軍大臣ハ予備士官及予備特務士官ノ任用又ハ進級ヲ要スルトキハ候補名簿ニ依リ其ノ列序ニ従ヒ任用又ハ進級ノ上奏ヲ為スベシ
予備准士官及予備下士官ノ任用又ハ進級ハ候補名簿ニ依リ其ノ列序ニ従ヒ海軍大臣之ヲ行フ
第二十四条 任用又ハ進級ノ候補名簿ハ其ノ調製ノ時ヨリ次回ノ候補名簿調製ノ時迄効力ヲ有ス
第二十五条 海軍武官進級令第四条ノ規定ハ召集中ノ海軍予備員ノ任用又ハ進級ニ之ヲ準用ス
第四章 特殊任用及特殊進級
第二十六条 召集中ノ各科予備特務少尉又ハ予備准士官ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノハ任用ニ必要ナル実役停年ニ関スル規定及第二十三条第二項ノ規定ニ拘ラズ予備特務少尉又ハ予備航空特務少尉ニ在リテハ予備中尉ニ、予備機関特務少尉ニ在リテハ予備機関中尉ニ、予備准士官ニ在リテハ各科別ニ従ヒ予備特務士官ニ特ニ之ヲ任用スルコトヲ得
一 敵前ニ在リテ殊勲ヲ奏シ首将之ヲ全軍ニ布告シタル者
二 戦時又ハ事変ノ際殊勲ヲ奏シタル者又ハ勲功顕著ナル者ニシテ其ノ戦時又ハ事変中傷痍又ハ疾病ノ為危篤ニ陥リタルモノ
三 抜群ナル勇敢ノ行為アリ功績顕著ニシテ軍人ノ亀鑑トシテ海軍大臣之ヲ海軍全般ニ布告シタル者
第二十七条 召集中ノ各科予備特務少尉又ハ予備准士官ニシテ殊勲ヲ奏シ又ハ勲功顕著ナルモノハ任用ニ必要ナル実役停年ニ関スル規定及第二十三条第二項ノ規定ニ拘ラズ召集ヲ解ク際又ハ傷痍若ハ疾病ノ為危篤ニ陥リタル際予備特務少尉又ハ予備航空特務少尉ニ在リテハ予備中尉ニ、予備機関特務少尉ニ在リテハ予備機関中尉ニ、予備准士官ニ在リテハ各科別ニ従ヒ予備特務士官ニ特ニ之ヲ任用スルコトヲ得
召集中ノ各科予備特務少尉又ハ予備准士官ニシテ任用ニ必要ナル免状及実役停年ヲ有シ功績顕著ナルモノニ付亦前項ニ同ジ
第二十八条 海軍武官任用令第二十九条ノ規定ハ召集中ノ海軍予備員ノ任用ニ之ヲ準用ス
第二十九条 海軍武官進級令第十八条、第二十条及第二十一条ノ規定ハ召集中ノ海軍予備員ノ進級ニ之ヲ準用ス
第三十条 召集中ニ非ザル海軍予備員ニシテ軍事ニ関シ抜群ノ功績アルモノハ特ニ第二十六条ノ規定ニ準ジ之ヲ任用シ又ハ特ニ之ヲ進級セシムルコトヲ得
第三十一条 海軍武官進級令第十七条ノ規定ハ本章ノ特殊進級ニ之ヲ準用ス
第五章 召集
第三十二条 海軍予備員ハ戦時又ハ事変ニ際シ必要ニ応ジ之ヲ召集ス
第三十三条 海軍予備員ハ演習、勤務又ハ教育ノ為之ヲ召集スルコトヲ得
第三十四条 海軍予備員ノ召集ハ海軍大臣之ヲ掌ル
第三十五条 兵役法第六十二条第一項第二項第四項及第六十三条並ニ兵役法施行令第百十三条ノ規定ハ海軍予備員ノ召集ニ之ヲ準用ス
兵役法施行令第百十四条ノ規定ハ第三十二条ノ規定ニ依ル海軍予備員ノ召集ニ、兵役法第六十一条及兵役法施行令第百二十七条第一項ノ規定ハ第三十三条ノ規定ニ依ル海軍予備員ノ召集ニ之ヲ準用ス
第三十六条 本令ニ定ムルモノヲ除クノ外召集ニ関シ必要ナル事項ハ海軍大臣之ヲ定ム
第六章 雑則
第三十七条 海軍大臣ハ海軍予備生徒タル文部省直轄商船専門学校生徒又ハ海軍予備練習生タル公私立商船学校練習科生徒ニ関シ当該学校長又ハ航海練習所長ニ必要ナル報告ヲ求ムルコトヲ得其ノ生徒海軍予備員ト為リタル後亦同ジ
第三十八条 海軍予備員ヲ用フル官衙、学校又ハ会社ノ長、船舶又ハ航空機ノ所有者其ノ他ノ者ハ其ノ用フル海軍予備員ニシテ別表ニ定ムル免状及実役停年ヲ有シ任用又ハ進級ニ適スト認ムルモノアルトキハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨海軍大臣ニ届出ヅルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ届出ヲ為シタル者ハ爾後其ノ海軍予備員ニ付任用又ハ進級ニ適セズト認ムル事由発生シタルトキハ速ニ其ノ旨海軍大臣ニ報告スベシ
第三十九条 本令ニ於テ船舶ノ乗員ト称スルハ船長、運転士、機関長及機関士ヲ謂ヒ公私立商船学校ト称スルハ海軍予備員候補者令第四条ノ規定ニ依ル公私立商船学校及之ニ準ズルモノヲ謂フ
附 則
本令ハ昭和九年十一月一日ヨリ之ヲ施行ス
別表第一表及第二表ノ実役停年ノ計算ハ第十六条第一項第三号乃至第五号ニ掲グル者トシテノ本令施行前ニ係ル勤務日数ニ付テハ同条ノ規定ニ拘ラズ仍従前ノ例ニ依ル
従前ノ規定ニ依リ実役停年ノ計算ニ算入セラルベキ逓信省所管商船学校ノ教職員トシテノ勤務日数及逓信省所管商船学校、文部省直轄商船専門学校又ハ公私立商船学校ノ附属練習船ノ職員トシテノ勤務日数(第十六条第一項第二号ニ該当スルモノヲ除ク)ハ別表第一表及第二表ノ実役停年ノ計算ニ之ヲ算入ス
(別表)
第一表
【表】
第二表
【表】
第三表
【表】