第一條 商法施行前ニ生シタル事項ニ付テハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外舊法ノ規定ヲ適用ス
第二條 商事ニ關スル特別ノ法令ハ商法施行ノ後ト雖モ仍ホ其效力ヲ存ス
第三條 特別ノ法令中舊商法ノ規定ニ依ルヘキモノト定メタル場合ニ付テハ舊商法ハ商法施行ノ後ト雖モ仍ホ其效力ヲ存ス
第四條 商法施行前ヨリ商業ヲ營ム未成年者、妻及ヒ後見人ハ商法ノ規定ニ從ヒテ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第五條 商法施行前ニ會社ノ無限責任社員ト爲ルコトヲ許サレタル未成年者又ハ妻ハ商法施行ノ日ヨリ其會社ノ業務ニ關シ之ヲ能力者ト看做ス
第六條 商法第七條第二項ノ規定ハ商法施行ノ日ヨリ其施行前ニ定メタル制限ニモ亦之ヲ適用ス
第七條 商法第八條ニ定メタル小商人ノ範圍ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八條 商法施行前ニ舊法ノ規定ニ依リテ爲シタル登記ハ商法ノ規定ニ從ヒテ爲シタルモノト同一ノ效力ヲ有ス
第九條 商法施行前ニ登記シタル事項ニ變更ヲ生シ又ハ其事項カ消滅シタル場合ニ於テ商法施行前ニ登記ヲ爲ササリシトキハ當事者ハ其施行ノ後遲滯ナク登記ヲ爲スコトヲ要ス
第十條 商法施行前ニ設立ノ登記ヲ爲シタル會社ノ社名ハ商法ノ規定ニ從ヒテ登記シタル商號ト同一ノ效力ヲ有ス
第十一條 商法施行前ニ設立シタル合名會社ニシテ其社名中ニ合名會社ナル文字ヲ用井サルモノハ其施行ノ日ヨリ三个月內ニ商法第十七條ノ規定ニ從ヒテ其社名ヲ改メ且其登記ヲ爲スコトヲ要ス
會社ノ業務ヲ執行スル社員カ前項ノ規定ニ違反シタルトキハ五圓以上五十圓以下ノ過料ニ處セラル
第十二條 商法第十八條ノ規定ハ商法施行前ヨリ使用スル商號ニハ之ヲ適用セス
第十三條 商法第十九條ノ規定ハ舊商法施行前ヨリ使用スル商號ニハ之ヲ適用セス
商法施行後ニ商號ノ登記ヲ爲シタル者ト雖モ舊商法施行前ヨリ同一又ハ類似ノ商號ヲ使用スル者ニ對シテハ商法第二十條ニ定メタル權利ヲ行フコトヲ得ス
第十四條 商法第十九條、第二十條第二項、第二十二條第一項及ヒ第二百八十九條第三項ニ揭ケタル市町村ハ市制又ハ町村制ヲ施行セサル地方ニ在リテハ從來ノ町村其他之ニ類スル區域トシ東京市、京都市及ヒ大阪市ニ在リテハ其各區トス
第十五條 商法施行前ニ東京市又ハ大阪市ニ於テ商號ノ登記ヲ爲シタル者ハ商法施行ノ日ヨリ六个月內ニ其市ニ存スル他ノ登記所ニ於テ其登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ニ定メタル登記ヲ爲ササリシ者ハ其登記ヲ爲ササリシ登記所ノ管轄區域內ニ於テハ商法第二十條ニ定メタル權利ヲ行フコトヲ得ス
第十六條 商法第二十二條第二項ノ適用ニ付テハ北海道ハ之ヲ一府縣ト看做ス
第十七條 商法第二十八條ノ規定ハ商法施行前ニ作リタル商業帳簿ニモ亦之ヲ適用ス
第十八條 代務人ニハ商法施行ノ日ヨリ支配人ニ關スル規定ヲ適用ス
第十九條 商法施行前ヨリ支配人又ハ支配役ト稱スル者カ商法第三十條ニ定メタル權限ヲ有セサルトキハ主人ハ商法施行ノ日ヨリ三个月內ニ其名稱ヲ改ムルコトヲ要ス
主人カ前項ノ期間內ニ支配人又ハ支配役ノ名稱ヲ改メサリシトキハ其者ハ商法第三十條ニ定メタル權限ヲ有スルモノト看做ス
第二十條 商法第三十二條第三項ノ規定ハ舊商法第五十條ノ規定ニ反シテ爲シタル行爲ニ之ヲ準用ス但一年ノ期間ハ商法施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
主人カ商法施行前ニ前項ノ行爲ヲ知リタルトキハ二週間ノ期間モ亦其施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第二十一條 商法中代理商ニ關スル規定ハ商法施行ノ日ヨリ其施行前ニ定メタル代理商ニモ亦之ヲ適用ス
第二十二條 商法中會社ニ關スル規定ハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外商法施行ノ日ヨリ其施行前ニ設立シタル會社ニモ亦之ヲ適用ス
第二十三條 商法第四十七條ニ定メタル期間ハ商法施行前ニ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲シタル會社ニ付テハ其施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第二十四條 商法施行前ニ設立シタル合名會社ニシテ未タ設立ノ登記ヲ爲ササルモノハ商法施行ノ日ヨリ一个月內ニ商法ノ規定ニ從ヒテ定款ヲ作リ且商法第五十一條第一項ニ定メタル登記ヲ爲スコトヲ要ス
第二十五條 商法施行前ニ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲シタル合名會社ハ商法施行ノ日ヨリ一个月內ニ本店ノ所在地ニ於テハ支店、支店ノ所在地ニ於テハ本店竝ニ他ノ支店及ヒ社員ノ出資ノ種類竝ニ財產ヲ目的トスル出資ノ價格ヲ登記スルコトヲ要ス
第二十六條 商法第五十一條第二項、第三項及ヒ第五十二條ノ規定ハ合名會社カ設立ノ登記ヲ爲シタル後商法施行前ニ支店ヲ設ケ又ハ其本店若クハ支店ヲ移轉シタル場合ニ之ヲ準用ス但登記期間ハ商法施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第二十七條 會社ノ業務ヲ執行スル社員カ前二條ノ規定ニ依リ爲スヘキ登記ヲ怠リタルトキハ五圓以上五十圓以下ノ過料ニ處セラル
第二十八條 商法第六十條第二項及ヒ第三項ノ規定ハ舊商法第百四條ノ規定ニ反シテ爲シタル行爲ニ之ヲ準用ス
第二十九條 商法第七十一條ノ規定ハ商法施行前ニ設立シタル合名會社ニハ之ヲ適用セス
第三十條 合名會社ノ目的タル事業ノ成功カ商法施行前ニ不能ト爲リタルトキハ裁判所カ解散ヲ命シタル場合ヲ除ク外其會社ハ商法ノ施行ト同時ニ解散シタルモノト看做ス
第三十一條 合名會社カ商法施行前ニ解散シタル場合ニ於テ未タ淸算人ヲ選任セサルトキハ其施行ノ日ヨリ二週間內ニ商法第七十六條ノ規定ニ從ヒテ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第三十二條 合名會社カ商法施行前ニ解散シタル場合ニ於テ旣ニ淸算人ヲ選任シタルトキハ其施行ノ日ヨリ二週間內ニ商法第七十六條及ヒ第九十條ノ規定ニ從ヒテ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第三十三條 商法第七十八條第二項ノ規定ニ依リ爲スヘキ公吿ハ裁判所カ爲スヘキ登記事項ノ公吿ト同一ノ方法ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第三十四條 合名會社カ商法施行前ニ解散シタル場合ニ於テ未タ淸算人ヲ選任セサルトキハ總社員ノ同意ヲ以テ會社財產ノ處分方法ヲ定ムルコトヲ得此場合ニ於テハ商法施行ノ日ヨリ二週間內ニ財產目錄及ヒ貸借對照表ヲ作ルコトヲ要ス
商法第七十八條第二項、第七十九條及ヒ第八十條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三十五條 合名會社カ商法施行前ニ解散ノ登記ヲ爲シタル場合ニ於テハ淸算ハ舊商法ノ規定ニ依リテ之ヲ爲ス
第三十六條 合名會社ニ於テ商法施行前ニ淸算人ノ解任又ハ變更アリタルトキハ其施行ノ日ヨリ二週間內ニ商法第九十七條ノ規定ニ從ヒテ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第三十七條 商法第百三條ノ規定ハ商法施行前ニ解散シタル合名會社ニモ亦之ヲ適用ス
第三十八條 商法施行前ニ設立シタル合資會社ニハ舊商法ノ規定ヲ適用ス
第二十三條、第二十五條乃至第三十二條及ヒ前三條ノ規定ハ前項ノ會社ニ之ヲ準用ス
第三十九條 商法施行前ニ設立シタル合資會社ハ其取引ニ關スル一切ノ書類ニ商法施行前ニ設立シタル會社タルコトヲ示スコトヲ要ス
業務擔當社員カ前項ノ規定ニ違反シタルトキハ五圓以上五十圓以下ノ過料ニ處セラル
第四十條 商法施行前ニ設立シタル合資會社ハ舊商法第百五十一條第二項ノ規定ニ從ヒ其組織ヲ變更シテ之ヲ商法ニ定メタル合資會社、株式會社又ハ株式合資會社ト爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ總會ハ直チニ新會社ノ組織ニ必要ナル事項ヲ決議スルコトヲ要ス
第四十一條 商法第七十八條、第七十九條第一項、第二項及ヒ第二百五十四條ノ規定ハ前條ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十二條 商法施行前ニ設立シタル合資會社ハ商法ノ規定ニ從ヒテ合併ヲ爲スコトヲ得但合併後存續シ又ハ合併ニ因リテ設立スル會社ハ商法ニ定メタル種類ノ一タルコトヲ要ス
合併ノ決議ハ舊商法第百五十一條第二項ノ規定ニ依ルニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
第四十三條 商法施行前ニ發起ノ認可ヲ得タル株式會社ニ於テハ其發起人ハ七人以上ナルコトヲ要セス
第四十四條 商法施行前ニ發起ノ認可ヲ得タル株式會社ト雖モ其發起人カ未タ株主ノ募集ニ著手セサルトキハ之ニ商法ノ規定ヲ適用ス
第四十五條 株式會社ノ發起人カ商法施行前ニ株主ノ募集ニ著手シタルトキハ舊商法ノ規定ニ從ヒテ會社ノ設立ヲ爲スコトヲ得但商法ノ規定ニ從ヒテ定款ヲ作ルコトヲ要ス
第四十六條 商法施行前ニ創業總會ニ於テ定款ヲ確定シタル場合ニ於テハ商法ノ規定ニ從ヒテ其定款ヲ變更スルコトヲ要ス
第四十七條 商法第百三十條ノ規定ハ前二條ノ場合ニモ亦之ヲ適用ス
第四十八條 商法第百六十三條第一項及ヒ第二項ノ規定ハ舊商法ノ規定ニ依リテ招集シタル創業總會ノ決議ニ之ヲ準用ス但同條第二項ノ期間ハ商法施行前ニ決議ヲ爲シタル場合ニ於テハ其施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第四十九條 第四十五條ノ場合ニ於テ商法施行前ニ株式總數ノ引受アリタルトキハ其施行ノ日ヨリ商法施行後ニ株式總數ノ引受アリタルトキハ其日ヨリ六个月內ニ發起人カ創業總會ヲ招集セサルトキハ株式申込人ハ其申込ヲ取消スコトヲ得
第五十條 第四十五條及ヒ第四十六條ノ場合ニ於テハ株式會社ハ各株ニ付キ株金ノ四分ノ一ノ拂込アリタル後二週間內ニ商法第百四十一條第一項ニ定メタル登記ヲ爲スコトヲ要ス
第五十一條 商法施行前ニ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲シタル株式會社ニシテ其定款ニ商法第百二十條第一號乃至第七號ニ揭ケタル事項ヲ定メサルモノハ商法施行ノ日ヨリ三个月內ニ其定款ヲ變更スルコトヲ要ス
第五十二條 商法施行前ニ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲シタル株式會社ハ商法施行ノ日ヨリ三个月內ニ本店ノ所在地ニ於テハ支店、支店ノ所在地ニ於テハ本店竝ニ他ノ支店及ヒ會社カ公吿ヲ爲ス方法竝ニ監査役ノ氏名、住所ヲ登記スルコトヲ要ス
第五十三條 商法施行前ニ設立シタル株式會社カ登記シタル事項中ニ變更ヲ生シタル場合ニ於テ商法施行前ニ登記ヲ爲ササリシトキハ其施行ノ日ヨリ二週間內ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ其登記ヲ爲スコトヲ要ス
舊商法ノ規定ニ依リ登記スヘキ事項カ商法施行前ニ生シタル場合ニ於テハ舊商法ニ登記期間ノ定ナキトキニ限リ前項ノ規定ヲ準用ス
第五十四條 取締役カ前三條ノ規定ニ違反シタルトキハ五圓以上五十圓以下ノ過料ニ處セラル
第五十五條 商法施行前ニ設立シタル株式會社ニ於テ株式ノ金額カ商法第百四十五條第二項ノ規定ニ反スルモ舊商法及ヒ舊商法施行條例ノ規定ニ反セサル場合ニ於テハ定款ノ定ムル所ニ依ルコトヲ得商法施行後ニ新株ヲ發行スルトキ亦同シ
前項ノ規定ハ商法施行後ニ株式ノ金額ヲ變更スル場合ニハ之ヲ適用セス
第五十六條 商法中株券ニ關スル規定ハ商法施行前ニ發行シタル假株券ニモ亦之ヲ適用ス
第五十七條 商法施行前ニ發行シタル株券及ヒ假株券ハ商法第百四十八條又ハ第二百十八條ノ規定ニ違フモ之ヲ改ムルコトヲ要セス但商法施行後ニ株金ノ拂込ヲ爲シタル場合ニ於テハ前ニ拂込ミタル金額及ヒ新ニ拂込ミタル金額ヲ假株券ニ記載スルコトヲ要ス
第五十八條 舊商法第二百十二條乃至第二百十五條ノ規定ハ商法施行前ニ株金拂込ノ催吿アリタル場合ニ限リ之ヲ適用ス
第五十九條 商法第百五十三條第二項乃至第四項ノ規定ハ商法施行前ニ株式ヲ讓渡シタル者ニシテ舊商法第百八十二條ノ規定ニ依リ擔保義務ナキ者ニハ之ヲ適用セス
第六十條 法令ノ規定ニ依リ日本人ノミヲ以テ組織スヘキ株式會社及ヒ日本人ノミヲ以テ組織スルコトヲ條件トシテ特別ノ權利ヲ有スル株式會社ハ無記名式ノ株券ヲ發行スルコトヲ得ス若シ之ニ違反シタルトキハ其株券ハ無效トシ最後ノ記名株主ヲ以テ株主トス
取締役カ前項ノ規定ニ反シテ無記名式ノ株券ヲ發行シタルトキハ百圓以上千圓以下ノ過料ニ處セラル
第六十一條 舊商法施行前ニ設立シタル株式會社ニ於テハ株主ノ議決權ノ制限カ商法第百六十二條ノ規定ニ反スルモ定款ノ定ムル所ニ依ルコトヲ得但商法施行後ニ其制限ヲ變更スル場合ハ此限ニ在ラス
第六十二條 商法第百六十三條ノ規定ハ株主總會カ商法施行前ニ決議ヲ爲シタル場合ニモ亦之ヲ適用ス但同條第二項ノ期間ハ商法施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第六十三條 商法第百六十七條但書ノ規定ハ商法施行前ニ選任シタル取締役及ヒ監査役ニハ之ヲ適用セス
第六十四條 商法施行前ニ選任シタル取締役又ハ監査役ト雖モ其禁治產ニ因リテ退任ス
第六十五條 商法施行前ニ選任シタル取締役ハ其施行ノ後遲滯ナク定款ニ定メタル員數ノ株券ヲ監査役ニ供託スルコトヲ要ス
第六十六條 商法施行前ニ設立シタル株式會社ニ於テ其施行後ニ株金ノ拂込アリタルトキハ取締役ハ其拂込ノ年月日ヲ株主名簿ニ記載スルコトヲ要ス
第六十七條 商法施行前ニ設立シタル株式會社ノ取締役ハ其施行ノ後遲滯ナク社債ノ總額及ヒ其償還ノ方法ヲ社債原簿ニ記載スルコトヲ要ス
第六十八條 株式會社カ商法施行前ニ其資本ノ半額ヲ失ヒタル場合ニ於テハ取締役ハ商法施行ノ後遲滯ナク株主總會ヲ招集シテ之ヲ報吿スルコトヲ要ス
商法施行前ニ會社財產ヲ以テ會社ノ債務ヲ完濟スルコト能ハサルニ至リタル場合ニ於テハ取締役ハ商法施行ノ後遲滯ナク破產宣吿ノ請求ヲ爲スコトヲ要ス
第六十九條 取締役カ前三條ノ規定ニ違反シタルトキハ五圓以上百圓以下ノ過料ニ處セラル
第七十條 商法第百七十五條ノ規定ハ商法施行前ニ選任シタル取締役ニハ之ヲ適用セス
第七十一條 舊商法第百八十九條ノ規定ハ商法施行前ニ選任シタル取締役ニノミ之ヲ適用ス
第七十二條 商法施行前ニ舊商法第二百二十八條又ハ第二百二十九條ノ規定ニ依リテ提起シタル訴ニハ商法ノ規定ヲ適用セス
第七十三條 商法施行前ニ選任シタル監査役ハ其任期カ一年ヨリ長キトキト雖モ其任期間在任ス
第七十四條 商法第百九十條ニ揭ケタル書類ハ商法施行前ニ總會招集ノ通知ヲ發シタル場合ニ限リ會日マテニ之ヲ提出スルヲ以テ足ル
第七十五條 商法第百九十六條ノ規定ハ商法施行前ニ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲シタル株式會社カ其登記後二年以上開業ヲ爲スコト能ハサルモノト認ムル場合ニモ亦之ヲ適用ス
裁判所カ定款ノ規定ヲ認可シタルトキハ取締役ハ二週間內ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ其登記ヲ爲スコトヲ要ス
取締役カ前項ニ定メタル登記ヲ爲スコトヲ怠リタルトキハ五圓以上五十圓以下ノ過料ニ處セラル
第七十六條 明治二十三年法律第六十號ハ商法施行ノ日ヨリ之ヲ廢止ス
第七十七條 株式會社カ商法施行前ニ債券發行ノ認許ヲ得タル場合ニ於テハ舊法ノ規定ニ依リテ其募集ヲ完了スルコトヲ得
第七十八條 商法第二百四條第一項ノ規定ハ株式會社カ商法施行前ニ債券發行ノ認許ヲ得タル場合ニハ之ヲ適用セス
第七十九條 株式會社カ商法施行前ニ債券發行ノ認許ヲ得タル場合ニ於テ一時ニ全額ノ拂込ヲ爲サシメサルトキハ第一囘ノ拂込アリタル後二週間內ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ拂込ミタル金額及ヒ商法第百七十三條第三號乃至第六號ニ揭ケタル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
第八十條 商法施行前ニ社債ノ全額又ハ一部ノ拂込アリタルトキハ其施行ノ日ヨリ二週間內ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ拂込ミタル金額及ヒ商法第百七十三條第三號乃至第六號ニ揭ケタル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
第八十一條 商法施行前ニ發行シタル債券ハ商法第二百五條ノ規定ニ違フモ之ヲ改ムルコトヲ要セス
第八十二條 商法第二百九條第二項ノ規定ハ商法施行前ニ假決議ヲ爲シテ未タ其通知ヲ發セサル場合ニモ亦之ヲ適用ス
第八十三條 商法第二百九條第四項ノ規定ハ株式會社カ商法施行前ニ定款變更ノ決議又ハ假決議ヲ爲シタル場合ニハ之ヲ適用セス
第八十四條 株式會社カ商法施行前ニ資本ノ增加若クハ減少ノ決議又ハ假決議ヲ爲シタル場合ニ於テハ舊商法ノ規定ニ依リテ其增加又ハ減少ヲ爲スコトヲ得
商法第百二十八條乃至第百三十條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八十五條 商法施行前ニ爲シタル決議又ハ假決議ニ依リテ資本ヲ增加シタル場合ニ於テ商法施行前ニ新株ニ付キ拂込ミタル株金額ノ登記ヲ爲ササリシトキハ其施行ノ日ヨリ商法施行後ニ拂込アリタルトキハ其日ヨリ二週間內ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ其登記ヲ爲スコトヲ要ス
第八十六條 株式會社カ商法施行前ニ解散シタル場合ニ於テ未タ解散ノ決議ヲ爲ササルトキハ取締役ハ商法施行ノ後遲滯ナク株主ニ對シテ解散ノ通知ヲ發スルコトヲ要ス
第八十七條 取締役カ前二條ノ規定ニ違反シタルトキハ五圓以上五十圓以下ノ過料ニ處セラル
第八十八條 株式會社ノ淸算人ハ株主總會又ハ裁判所カ商法施行前ニ與ヘタル訓示ヲ遵守スルコトヲ要ス
第八十九條 商法施行前ニ舊商法第二百四十二條ノ規定ニ依リテ選任シタル代人ハ商法施行ノ後ト雖モ其權限ヲ保有ス
第九十條 第三十三條ノ規定ハ商法施行前ニ解散シタル株式會社ノ淸算人カ爲スヘキ公吿ニ之ヲ準用ス
第九十一條 第二十六條、第三十條乃至第三十二條、第三十五條及ヒ第三十六條ノ規定ハ株式會社ニ之ヲ準用ス
第九十二條 商法施行前ニ日本ニ支店ヲ設ケタル外國會社ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ規程ヲ設クルコトヲ得商法施行前ニ外國人カ日本ニ於テ設立シタル會社及ヒ組合ニ付キ亦同シ
第九十三條 商法施行前ニ舊法中會社ニ關スル罰則ヲ適用スヘキ行爲アリタルトキハ商法施行ノ後ト雖モ其罰則ヲ適用ス
第九十四條 私設鐵道株式會社ニハ明治二十年勅令第十二號私設鐵道條例ノ改正ニ至ルマテ舊商法及ヒ其附屬法令中株式會社ニ關スル規定ヲ適用ス
第九十五條 保險事業ハ政府ノ免許ヲ得ルニ非サレハ之ヲ營ムコトヲ得ス
政府ノ免許ヲ得スシテ保險事業ヲ營ム者アルトキハ裁判所ハ檢事ノ請求ニ因リ又ハ職權ヲ以テ其營業ヲ禁止スルコトヲ得
前項ノ禁止ニ拘ハラス保險事業ヲ營ム者又ハ之ヲ營ム會社ノ業務ヲ執行スル社員若クハ取締役ハ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處セラル
第九十六條 保險事業ハ株式會社ニ非サレハ之ヲ營ムコトヲ得ス
同一ノ會社ニシテ生命保險ト損害保險トヲ併セテ營業トスルコトヲ得ス
第九十八條 保險會社ノ發起人カ營業ノ免許ヲ請フニハ定款及ヒ左ニ揭ケタル事項ヲ記載シタル書面ヲ差出タスコトヲ要ス
第九十九條 保險會社カ前條ニ揭ケタル書類ヲ變更スルニハ政府ノ認可ヲ得ルコトヲ要ス
第百條 政府カ第九十八條ニ揭ケタル書類ノ變更ヲ必要ト認ムルトキハ其變更ヲ命スルコトヲ得
第百一條 政府ハ何時ニテモ保險會社ヲシテ其營業ノ報吿ヲ爲サシメ又ハ會社ノ業務及ヒ會社財產ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
第百二條 政府カ保險會社ノ業務又ハ會社財產ノ狀況ニ依リ其營業ノ繼續ヲ困難ナリト認ムルトキ又ハ保險會社カ政府ノ命令ニ違反シタルトキハ政府ハ其營業ノ停止又ハ取締役ノ改選ヲ命スルコトヲ得
前項ニ揭ケタル事由アリト認ムルトキハ裁判所ハ檢事ノ請求ニ因リ又ハ職權ヲ以テ會社ノ解散ヲ命スルコトヲ得
第百三條 保險會社ハ總會終結ノ後遲滯ナク商法第百九十條ニ揭ケタル書類及ヒ總會ノ決議錄ヲ政府ニ差出タスコトヲ要ス
第百四條 保險契約者、被保險者及ヒ保險金額ヲ受取ルヘキ者ハ保險會社ノ定時總會終結ノ後營業報吿書、財產目錄若クハ貸借對照表ノ閱覽ヲ求メ又ハ其謄本若クハ抄本ノ交付ヲ請求スルコトヲ得但保險會社ハ定款又ハ保險契約ノ定ムル所ニ依リ其謄本又ハ抄本ノ交付ニ付キ手數料ヲ拂ハシムルコトヲ妨ケス
第百五條 保險會社ハ他ノ事業ヲ目的トスル會社ト合併ヲ爲スコトヲ得ス
生命保險ヲ營業トスル會社ト損害保險ヲ營業トスル會社トハ合併ヲ爲スコトヲ得ス
第百六條 保險會社カ合併ヲ爲スニハ特ニ財產目錄及ヒ貸借對照表ヲ作リ合併契約書ト共ニ之ヲ政府ニ差出タシ其認可ヲ得ルコトヲ要ス
第百七條 保險會社カ任意ノ解散ヲ爲スニハ政府ノ認可ヲ得ルコトヲ要ス
第百八條 生命保險ヲ營業トスル會社ニ在リテハ保險金額ヲ受取ルヘキ者ハ會社財產ニ對シ他ノ債權者ニ先チテ其權利ヲ行フコトヲ得
第百九條 生命保險ヲ營業トスル會社カ解散シタル場合ニ於テハ保險金額ヲ受取ルヘキ者ハ被保險者ノ爲メニ積立テタル金額ノ割合ニ應シテ其權利ヲ行フコトヲ得但會社ノ解散前ニ保險金額ヲ受取ルヘカリシ場合ハ此限ニ在ラス
第百十條 第九十七條及ヒ前十一條ノ規定ハ商法施行前ニ設立シタル合資會社又ハ株式會社ニシテ保險ヲ營業トスルモノニ之ヲ準用ス
商法施行前ニ設立シタル會社ニシテ第九十七條ニ禁止シタル兼業ヲ爲スモノハ商法施行ノ日ヨリ六个月內ニ其兼業ヲ廢止スルコトヲ要ス若シ之ニ違反シタルトキハ裁判所ハ檢事ノ請求ニ因リ又ハ職權ヲ以テ其保險營業ヲ禁止スルコトヲ得
第百十一條 第九十七條、第九十九條乃至第百二條、第百五條乃至第百九條及ヒ前條第二項ノ規定ハ商法施行前ニ設立シタル合名會社ニシテ保險ヲ營業トスルモノニ之ヲ準用ス
第百十二條 商法施行前ニ設立シタル合名會社ニシテ保險ヲ營業トスルモノハ財產目錄及ヒ貸借對照表ヲ作ル每ニ遲滯ナク營業報吿書、損益計算書及ヒ利益ノ配當ニ關スル案ト共ニ之ヲ政府ニ差出タスコトヲ要ス
第百十三條 商法施行前ニ設立シタル合名會社ニシテ保險ヲ營業トスルモノカ財產目錄及ヒ貸借對照表ヲ作ル每ニ保險契約者、被保險者及ヒ保險金額ヲ受取ルヘキ者ハ第百四條ニ定メタル權利ヲ行フコトヲ得
第百十四條 第九十七條、第九十九條乃至第百二條及ヒ第百十條第二項ノ規定ハ商法施行前ヨリ保險事業ヲ營ム者ニ之ヲ準用ス
第百十五條 外國會社カ日本ニ支店又ハ代理店ヲ設ケテ保險事業ヲ營ム場合ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ規程ヲ設クルコトヲ得
第百十六條 保險會社ニ關スル細則ハ農商務大臣之ヲ定ム
第百十七條 明治十年第六十六號布吿利息制限法第五條ノ規定ハ商事ニハ之ヲ適用セス
第百十八條 商法施行前ニ設定シタル質權ノ實行ニ付テハ別段ノ意思表示アリタル場合ヲ除ク外競賣法ノ規定ヲ適用ス但取引所ノ相場アル有價證券其他ノ商品ニ在リテハ執達吏ハ取引所ニ於テ之ヲ賣却スルコトヲ得
前項ノ規定ハ留置權者カ其留置物ヲ賣却スル場合ニ之ヲ準用ス
第百十九條 商法施行前ニ發行シタル指圖證券及ヒ無記名證券ニハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外舊商法ノ規定ヲ適用ス但民法施行法第三十條、第三十一條及ヒ第三十三條ノ準用ヲ妨ケス
第百二十條 商法第二百八十一條ノ規定ハ商法施行前ニ發行シタル指圖證券及ヒ無記名證券ニモ亦之ヲ適用ス
第百二十一條 商法第二百九十九條ノ規定ハ商法施行前ニ約シタル匿名組合ニモ亦之ヲ適用ス
第百二十二條 湖川、港灣及ヒ沿岸小航海ノ範圍ハ遞信大臣之ヲ定ム
第百二十三條 手形ノ所持人ノ其前者ニ對スル償還請求權ハ支拂拒絕證書ノ作成カ商法施行前ニ在リタル場合ニ於テハ其施行ノ日ヨリ支拂拒絕證書ノ作成カ商法施行後ニ在リタル場合ニ於テハ其作成ノ日ヨリ六个月ヲ經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
裏書人ノ其前者ニ對スル償還請求權ハ商法施行前ニ償還ヲ爲シタル場合ニ於テハ其施行ノ日ヨリ商法施行後ニ償還ヲ爲シタル場合ニ於テハ其日ヨリ六个月ヲ經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
商法施行前ニ進行ヲ始メタル時效ノ殘期カ商法施行ノ日ヨリ起算シテ六个月ヨリ短キトキハ時效ハ其殘期ヲ經過スルニ因リテ完成ス
第百二十四條 明治十九年法律第二號公證人規則第二十八條ノ規定ハ公證人カ拒絕證書ヲ作ル場合ニハ之ヲ適用セス
第百二十五條 外國ニ於テ爲シタル手形行爲ノ要件ハ行爲地ノ法律ニ依ル
前項ノ規定ニ拘ハラス外國ニ於テ爲シタル手形行爲カ日本ノ法律ニ定メタル要件ヲ具備スルトキハ外國ノ法律ニ依レハ要件ヲ具備セサルトキト雖モ爾後日本ニ於テ爲シタル手形行爲ハ有效トス日本人カ外國ニ於テ日本人ニ對シテ爲シタル手形行爲カ日本ノ法律ニ定メタル要件ヲ具備スルトキ亦同シ
第百二十六條 外國ニ於テ手形上ノ權利ヲ行使又ハ保全スル爲メニ爲ス行爲ノ方式ハ行爲地ノ法律ニ依ル
第百二十七條 商法第五百五十二條第三項ノ規定ハ商法施行前ニ選任シタル船舶管理人ニモ亦之ヲ適用ス
商法第五百五十三條ノ規定ハ商法施行ノ日ヨリ其施行前ニ選任シタル船舶管理人ニモ亦之ヲ適用ス
第百二十八條 商法第五百五十六條ノ規定ハ商法施行前ニ爲シタル船舶ノ賃貸借ニモ亦之ヲ適用ス
第百二十九條 商法第五百五十八條乃至第五百六十八條及ヒ第五百七十條乃至第五百七十四條ノ規定ハ商法施行ノ日ヨリ其施行前ニ選任シタル船長ニモ亦之ヲ適用ス
第百三十條 商法第五百六十二條第一項第二號乃至第五號ニ揭ケタル書類ノ書式ハ遞信大臣之ヲ定ム
第百三十一條 委付ノ原因カ商法施行後ニ生シタルトキハ其施行前ニ爲シタル保險契約ニ付テモ被保險者ハ商法ノ規定ニ從ヒテ委付ヲ爲スコトヲ得
第百三十二條 船舶ノ存否カ商法施行ノ日ヨリ六个月間分明ナラサルトキハ未タ舊商法第九百六十六條第一項ノ期間ヲ經過セサルトキト雖モ其船舶ハ行方ノ知レサルモノト看做ス
第百三十三條 商法施行ノ際舊商法第九百六十九條第一項ニ定メタル三日ノ期間カ未タ滿了ニ至ラサルトキハ商法施行ノ日ヨリ三个月內ニ商法第六百七十四條ニ定メタル通知ヲ發シテ委付ヲ爲スコトヲ得
第百三十四條 船舶ノ先取特權ニ關スル商法ノ規定ハ其施行前ニ發生シタル債權ニ付テモ亦之ヲ適用ス
第百三十五條 第三十三條ノ規定ハ商法第六百八十四條第一項ノ規定ニ依リ爲スヘキ公吿ニ之ヲ準用ス
第百三十六條 船舶ノ抵當權ニ關スル商法ノ規定ハ商法施行前ニ設定シタル抵當權ニモ亦之ヲ適用ス
第百三十七條 民法施行法第二條、第三條、第三十條、第三十一條、第三十三條、第三十四條、第五十三條及ヒ第五十六條ノ規定ハ商事ニ之ヲ準用ス
第百三十九條 破產宣吿ノ申立ヲ爲ス債權者ハ裁判所ノ定ムル所ニ從ヒ破產手續ニ必要ナル費用ヲ豫納スルコトヲ要ス
債權者カ前項ノ費用ヲ豫納セサルトキハ裁判所ハ破產宣吿ノ申立ヲ棄却スルコトヲ得
第百四十條 本人カ破產宣吿ノ申立ヲ爲シタルトキハ破產手續ニ必要ナル費用ハ假ニ國庫ヨリ之ヲ支辨スルコトヲ要ス債權者カ破產宣吿ノ申立ヲ爲シタル場合ニ於テ裁判所カ前條第二項ノ規定ニ依リテ其申立ヲ棄却セサルトキ亦同シ
第百四十一條 裁判所ハ破產事件ニ付キ地方裁判所又ハ區裁判所ニ法律上ノ輔助ヲ求ムルコトヲ得