朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル商法施行法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年三月七日
內閣總理大臣 侯爵 山縣有朋
大藏大臣 伯爵 松方正義
內務大臣 侯爵 西鄕從道
陸軍大臣 子爵 桂太郞
文部大臣 伯爵 樺山資紀
外務大臣 子爵 靑木周藏
遞信大臣 子爵 芳川顯正
海軍大臣 山本權兵衞
司法大臣 淸浦奎吾
農商務大臣 曾禰荒助
法律第四十九號
商法施行法
第一條 商法施行前ニ生シタル事項ニ付テハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外舊法ノ規定ヲ適用ス
第二條 商事ニ關スル特別ノ法令ハ商法施行ノ後ト雖モ仍ホ其效力ヲ存ス
第三條 特別ノ法令中舊商法ノ規定ニ依ルヘキモノト定メタル場合ニ付テハ舊商法ハ商法施行ノ後ト雖モ仍ホ其效力ヲ存ス
第四條 商法施行前ヨリ商業ヲ營ム未成年者、妻及ヒ後見人ハ商法ノ規定ニ從ヒテ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第五條 商法施行前ニ會社ノ無限責任社員ト爲ルコトヲ許サレタル未成年者又ハ妻ハ商法施行ノ日ヨリ其會社ノ業務ニ關シ之ヲ能力者ト看做ス
第六條 商法第七條第二項ノ規定ハ商法施行ノ日ヨリ其施行前ニ定メタル制限ニモ亦之ヲ適用ス
第七條 商法第八條ニ定メタル小商人ノ範圍ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八條 商法施行前ニ舊法ノ規定ニ依リテ爲シタル登記ハ商法ノ規定ニ從ヒテ爲シタルモノト同一ノ效力ヲ有ス
第九條 商法施行前ニ登記シタル事項ニ變更ヲ生シ又ハ其事項カ消滅シタル場合ニ於テ商法施行前ニ登記ヲ爲ササリシトキハ當事者ハ其施行ノ後遲滯ナク登記ヲ爲スコトヲ要ス
第十條 商法施行前ニ設立ノ登記ヲ爲シタル會社ノ社名ハ商法ノ規定ニ從ヒテ登記シタル商號ト同一ノ效力ヲ有ス
第十一條 商法施行前ニ設立シタル合名會社ニシテ其社名中ニ合名會社ナル文字ヲ用井サルモノハ其施行ノ日ヨリ三个月內ニ商法第十七條ノ規定ニ從ヒテ其社名ヲ改メ且其登記ヲ爲スコトヲ要ス
會社ノ業務ヲ執行スル社員カ前項ノ規定ニ違反シタルトキハ五圓以上五十圓以下ノ過料ニ處セラル
第十二條 商法第十八條ノ規定ハ商法施行前ヨリ使用スル商號ニハ之ヲ適用セス
第十三條 商法第十九條ノ規定ハ舊商法施行前ヨリ使用スル商號ニハ之ヲ適用セス
商法施行後ニ商號ノ登記ヲ爲シタル者ト雖モ舊商法施行前ヨリ同一又ハ類似ノ商號ヲ使用スル者ニ對シテハ商法第二十條ニ定メタル權利ヲ行フコトヲ得ス
第十四條 商法第十九條、第二十條第二項、第二十二條第一項及ヒ第二百八十九條第三項ニ揭ケタル市町村ハ市制又ハ町村制ヲ施行セサル地方ニ在リテハ從來ノ町村其他之ニ類スル區域トシ東京市、京都市及ヒ大阪市ニ在リテハ其各區トス
第十五條 商法施行前ニ東京市又ハ大阪市ニ於テ商號ノ登記ヲ爲シタル者ハ商法施行ノ日ヨリ六个月內ニ其市ニ存スル他ノ登記所ニ於テ其登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ニ定メタル登記ヲ爲ササリシ者ハ其登記ヲ爲ササリシ登記所ノ管轄區域內ニ於テハ商法第二十條ニ定メタル權利ヲ行フコトヲ得ス
第十六條 商法第二十二條第二項ノ適用ニ付テハ北海道ハ之ヲ一府縣ト看做ス
第十七條 商法第二十八條ノ規定ハ商法施行前ニ作リタル商業帳簿ニモ亦之ヲ適用ス
第十八條 代務人ニハ商法施行ノ日ヨリ支配人ニ關スル規定ヲ適用ス
第十九條 商法施行前ヨリ支配人又ハ支配役ト稱スル者カ商法第三十條ニ定メタル權限ヲ有セサルトキハ主人ハ商法施行ノ日ヨリ三个月內ニ其名稱ヲ改ムルコトヲ要ス
主人カ前項ノ期間內ニ支配人又ハ支配役ノ名稱ヲ改メサリシトキハ其者ハ商法第三十條ニ定メタル權限ヲ有スルモノト看做ス
第二十條 商法第三十二條第三項ノ規定ハ舊商法第五十條ノ規定ニ反シテ爲シタル行爲ニ之ヲ準用ス但一年ノ期間ハ商法施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
主人カ商法施行前ニ前項ノ行爲ヲ知リタルトキハ二週間ノ期間モ亦其施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第二十一條 商法中代理商ニ關スル規定ハ商法施行ノ日ヨリ其施行前ニ定メタル代理商ニモ亦之ヲ適用ス
第二十二條 商法中會社ニ關スル規定ハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外商法施行ノ日ヨリ其施行前ニ設立シタル會社ニモ亦之ヲ適用ス
第二十三條 商法第四十七條ニ定メタル期間ハ商法施行前ニ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲シタル會社ニ付テハ其施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第二十四條 商法施行前ニ設立シタル合名會社ニシテ未タ設立ノ登記ヲ爲ササルモノハ商法施行ノ日ヨリ一个月內ニ商法ノ規定ニ從ヒテ定款ヲ作リ且商法第五十一條第一項ニ定メタル登記ヲ爲スコトヲ要ス
第二十五條 商法施行前ニ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲シタル合名會社ハ商法施行ノ日ヨリ一个月內ニ本店ノ所在地ニ於テハ支店、支店ノ所在地ニ於テハ本店竝ニ他ノ支店及ヒ社員ノ出資ノ種類竝ニ財產ヲ目的トスル出資ノ價格ヲ登記スルコトヲ要ス
第二十六條 商法第五十一條第二項、第三項及ヒ第五十二條ノ規定ハ合名會社カ設立ノ登記ヲ爲シタル後商法施行前ニ支店ヲ設ケ又ハ其本店若クハ支店ヲ移轉シタル場合ニ之ヲ準用ス但登記期間ハ商法施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第二十七條 會社ノ業務ヲ執行スル社員カ前二條ノ規定ニ依リ爲スヘキ登記ヲ怠リタルトキハ五圓以上五十圓以下ノ過料ニ處セラル
第二十八條 商法第六十條第二項及ヒ第三項ノ規定ハ舊商法第百四條ノ規定ニ反シテ爲シタル行爲ニ之ヲ準用ス
第二十條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十九條 商法第七十一條ノ規定ハ商法施行前ニ設立シタル合名會社ニハ之ヲ適用セス
第三十條 合名會社ノ目的タル事業ノ成功カ商法施行前ニ不能ト爲リタルトキハ裁判所カ解散ヲ命シタル場合ヲ除ク外其會社ハ商法ノ施行ト同時ニ解散シタルモノト看做ス
第三十一條 合名會社カ商法施行前ニ解散シタル場合ニ於テ未タ淸算人ヲ選任セサルトキハ其施行ノ日ヨリ二週間內ニ商法第七十六條ノ規定ニ從ヒテ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第三十二條 合名會社カ商法施行前ニ解散シタル場合ニ於テ旣ニ淸算人ヲ選任シタルトキハ其施行ノ日ヨリ二週間內ニ商法第七十六條及ヒ第九十條ノ規定ニ從ヒテ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第三十三條 商法第七十八條第二項ノ規定ニ依リ爲スヘキ公吿ハ裁判所カ爲スヘキ登記事項ノ公吿ト同一ノ方法ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第三十四條 合名會社カ商法施行前ニ解散シタル場合ニ於テ未タ淸算人ヲ選任セサルトキハ總社員ノ同意ヲ以テ會社財產ノ處分方法ヲ定ムルコトヲ得此場合ニ於テハ商法施行ノ日ヨリ二週間內ニ財產目錄及ヒ貸借對照表ヲ作ルコトヲ要ス
商法第七十八條第二項、第七十九條及ヒ第八十條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三十五條 合名會社カ商法施行前ニ解散ノ登記ヲ爲シタル場合ニ於テハ淸算ハ舊商法ノ規定ニ依リテ之ヲ爲ス
第三十六條 合名會社ニ於テ商法施行前ニ淸算人ノ解任又ハ變更アリタルトキハ其施行ノ日ヨリ二週間內ニ商法第九十七條ノ規定ニ從ヒテ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第三十七條 商法第百三條ノ規定ハ商法施行前ニ解散シタル合名會社ニモ亦之ヲ適用ス
第三十八條 商法施行前ニ設立シタル合資會社ニハ舊商法ノ規定ヲ適用ス
第二十三條、第二十五條乃至第三十二條及ヒ前三條ノ規定ハ前項ノ會社ニ之ヲ準用ス
第三十九條 商法施行前ニ設立シタル合資會社ハ其取引ニ關スル一切ノ書類ニ商法施行前ニ設立シタル會社タルコトヲ示スコトヲ要ス
業務擔當社員カ前項ノ規定ニ違反シタルトキハ五圓以上五十圓以下ノ過料ニ處セラル
第四十條 商法施行前ニ設立シタル合資會社ハ舊商法第百五十一條第二項ノ規定ニ從ヒ其組織ヲ變更シテ之ヲ商法ニ定メタル合資會社、株式會社又ハ株式合資會社ト爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ總會ハ直チニ新會社ノ組織ニ必要ナル事項ヲ決議スルコトヲ要ス
第四十一條 商法第七十八條、第七十九條第一項、第二項及ヒ第二百五十四條ノ規定ハ前條ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十二條 商法施行前ニ設立シタル合資會社ハ商法ノ規定ニ從ヒテ合併ヲ爲スコトヲ得但合併後存續シ又ハ合併ニ因リテ設立スル會社ハ商法ニ定メタル種類ノ一タルコトヲ要ス
合併ノ決議ハ舊商法第百五十一條第二項ノ規定ニ依ルニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
第四十三條 商法施行前ニ發起ノ認可ヲ得タル株式會社ニ於テハ其發起人ハ七人以上ナルコトヲ要セス
第四十四條 商法施行前ニ發起ノ認可ヲ得タル株式會社ト雖モ其發起人カ未タ株主ノ募集ニ著手セサルトキハ之ニ商法ノ規定ヲ適用ス
第四十五條 株式會社ノ發起人カ商法施行前ニ株主ノ募集ニ著手シタルトキハ舊商法ノ規定ニ從ヒテ會社ノ設立ヲ爲スコトヲ得但商法ノ規定ニ從ヒテ定款ヲ作ルコトヲ要ス
第四十六條 商法施行前ニ創業總會ニ於テ定款ヲ確定シタル場合ニ於テハ商法ノ規定ニ從ヒテ其定款ヲ變更スルコトヲ要ス
第四十七條 商法第百三十條ノ規定ハ前二條ノ場合ニモ亦之ヲ適用ス
第四十八條 商法第百六十三條第一項及ヒ第二項ノ規定ハ舊商法ノ規定ニ依リテ招集シタル創業總會ノ決議ニ之ヲ準用ス但同條第二項ノ期間ハ商法施行前ニ決議ヲ爲シタル場合ニ於テハ其施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第四十九條 第四十五條ノ場合ニ於テ商法施行前ニ株式總數ノ引受アリタルトキハ其施行ノ日ヨリ商法施行後ニ株式總數ノ引受アリタルトキハ其日ヨリ六个月內ニ發起人カ創業總會ヲ招集セサルトキハ株式申込人ハ其申込ヲ取消スコトヲ得
第五十條 第四十五條及ヒ第四十六條ノ場合ニ於テハ株式會社ハ各株ニ付キ株金ノ四分ノ一ノ拂込アリタル後二週間內ニ商法第百四十一條第一項ニ定メタル登記ヲ爲スコトヲ要ス
第五十一條 商法施行前ニ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲シタル株式會社ニシテ其定款ニ商法第百二十條第一號乃至第七號ニ揭ケタル事項ヲ定メサルモノハ商法施行ノ日ヨリ三个月內ニ其定款ヲ變更スルコトヲ要ス
第五十二條 商法施行前ニ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲シタル株式會社ハ商法施行ノ日ヨリ三个月內ニ本店ノ所在地ニ於テハ支店、支店ノ所在地ニ於テハ本店竝ニ他ノ支店及ヒ會社カ公吿ヲ爲ス方法竝ニ監査役ノ氏名、住所ヲ登記スルコトヲ要ス
第五十三條 商法施行前ニ設立シタル株式會社カ登記シタル事項中ニ變更ヲ生シタル場合ニ於テ商法施行前ニ登記ヲ爲ササリシトキハ其施行ノ日ヨリ二週間內ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ其登記ヲ爲スコトヲ要ス
舊商法ノ規定ニ依リ登記スヘキ事項カ商法施行前ニ生シタル場合ニ於テハ舊商法ニ登記期間ノ定ナキトキニ限リ前項ノ規定ヲ準用ス
第五十四條 取締役カ前三條ノ規定ニ違反シタルトキハ五圓以上五十圓以下ノ過料ニ處セラル
第五十五條 商法施行前ニ設立シタル株式會社ニ於テ株式ノ金額カ商法第百四十五條第二項ノ規定ニ反スルモ舊商法及ヒ舊商法施行條例ノ規定ニ反セサル場合ニ於テハ定款ノ定ムル所ニ依ルコトヲ得商法施行後ニ新株ヲ發行スルトキ亦同シ
前項ノ規定ハ商法施行後ニ株式ノ金額ヲ變更スル場合ニハ之ヲ適用セス
第五十六條 商法中株券ニ關スル規定ハ商法施行前ニ發行シタル假株券ニモ亦之ヲ適用ス
第五十七條 商法施行前ニ發行シタル株券及ヒ假株券ハ商法第百四十八條又ハ第二百十八條ノ規定ニ違フモ之ヲ改ムルコトヲ要セス但商法施行後ニ株金ノ拂込ヲ爲シタル場合ニ於テハ前ニ拂込ミタル金額及ヒ新ニ拂込ミタル金額ヲ假株券ニ記載スルコトヲ要ス
第五十八條 舊商法第二百十二條乃至第二百十五條ノ規定ハ商法施行前ニ株金拂込ノ催吿アリタル場合ニ限リ之ヲ適用ス
第五十九條 商法第百五十三條第二項乃至第四項ノ規定ハ商法施行前ニ株式ヲ讓渡シタル者ニシテ舊商法第百八十二條ノ規定ニ依リ擔保義務ナキ者ニハ之ヲ適用セス
第六十條 法令ノ規定ニ依リ日本人ノミヲ以テ組織スヘキ株式會社及ヒ日本人ノミヲ以テ組織スルコトヲ條件トシテ特別ノ權利ヲ有スル株式會社ハ無記名式ノ株券ヲ發行スルコトヲ得ス若シ之ニ違反シタルトキハ其株券ハ無效トシ最後ノ記名株主ヲ以テ株主トス
取締役カ前項ノ規定ニ反シテ無記名式ノ株券ヲ發行シタルトキハ百圓以上千圓以下ノ過料ニ處セラル
第六十一條 舊商法施行前ニ設立シタル株式會社ニ於テハ株主ノ議決權ノ制限カ商法第百六十二條ノ規定ニ反スルモ定款ノ定ムル所ニ依ルコトヲ得但商法施行後ニ其制限ヲ變更スル場合ハ此限ニ在ラス
第六十二條 商法第百六十三條ノ規定ハ株主總會カ商法施行前ニ決議ヲ爲シタル場合ニモ亦之ヲ適用ス但同條第二項ノ期間ハ商法施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第六十三條 商法第百六十七條但書ノ規定ハ商法施行前ニ選任シタル取締役及ヒ監査役ニハ之ヲ適用セス
第六十四條 商法施行前ニ選任シタル取締役又ハ監査役ト雖モ其禁治產ニ因リテ退任ス
第六十五條 商法施行前ニ選任シタル取締役ハ其施行ノ後遲滯ナク定款ニ定メタル員數ノ株券ヲ監査役ニ供託スルコトヲ要ス
第六十六條 商法施行前ニ設立シタル株式會社ニ於テ其施行後ニ株金ノ拂込アリタルトキハ取締役ハ其拂込ノ年月日ヲ株主名簿ニ記載スルコトヲ要ス
第六十七條 商法施行前ニ設立シタル株式會社ノ取締役ハ其施行ノ後遲滯ナク社債ノ總額及ヒ其償還ノ方法ヲ社債原簿ニ記載スルコトヲ要ス
第六十八條 株式會社カ商法施行前ニ其資本ノ半額ヲ失ヒタル場合ニ於テハ取締役ハ商法施行ノ後遲滯ナク株主總會ヲ招集シテ之ヲ報吿スルコトヲ要ス
商法施行前ニ會社財產ヲ以テ會社ノ債務ヲ完濟スルコト能ハサルニ至リタル場合ニ於テハ取締役ハ商法施行ノ後遲滯ナク破產宣吿ノ請求ヲ爲スコトヲ要ス
第六十九條 取締役カ前三條ノ規定ニ違反シタルトキハ五圓以上百圓以下ノ過料ニ處セラル
第七十條 商法第百七十五條ノ規定ハ商法施行前ニ選任シタル取締役ニハ之ヲ適用セス
第七十一條 舊商法第百八十九條ノ規定ハ商法施行前ニ選任シタル取締役ニノミ之ヲ適用ス
第七十二條 商法施行前ニ舊商法第二百二十八條又ハ第二百二十九條ノ規定ニ依リテ提起シタル訴ニハ商法ノ規定ヲ適用セス
第七十三條 商法施行前ニ選任シタル監査役ハ其任期カ一年ヨリ長キトキト雖モ其任期間在任ス
第七十四條 商法第百九十條ニ揭ケタル書類ハ商法施行前ニ總會招集ノ通知ヲ發シタル場合ニ限リ會日マテニ之ヲ提出スルヲ以テ足ル
第七十五條 商法第百九十六條ノ規定ハ商法施行前ニ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲シタル株式會社カ其登記後二年以上開業ヲ爲スコト能ハサルモノト認ムル場合ニモ亦之ヲ適用ス
裁判所カ定款ノ規定ヲ認可シタルトキハ取締役ハ二週間內ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ其登記ヲ爲スコトヲ要ス
取締役カ前項ニ定メタル登記ヲ爲スコトヲ怠リタルトキハ五圓以上五十圓以下ノ過料ニ處セラル
第七十六條 明治二十三年法律第六十號ハ商法施行ノ日ヨリ之ヲ廢止ス
第七十七條 株式會社カ商法施行前ニ債券發行ノ認許ヲ得タル場合ニ於テハ舊法ノ規定ニ依リテ其募集ヲ完了スルコトヲ得
第七十八條 商法第二百四條第一項ノ規定ハ株式會社カ商法施行前ニ債券發行ノ認許ヲ得タル場合ニハ之ヲ適用セス
第七十九條 株式會社カ商法施行前ニ債券發行ノ認許ヲ得タル場合ニ於テ一時ニ全額ノ拂込ヲ爲サシメサルトキハ第一囘ノ拂込アリタル後二週間內ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ拂込ミタル金額及ヒ商法第百七十三條第三號乃至第六號ニ揭ケタル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
第八十條 商法施行前ニ社債ノ全額又ハ一部ノ拂込アリタルトキハ其施行ノ日ヨリ二週間內ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ拂込ミタル金額及ヒ商法第百七十三條第三號乃至第六號ニ揭ケタル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
第八十一條 商法施行前ニ發行シタル債券ハ商法第二百五條ノ規定ニ違フモ之ヲ改ムルコトヲ要セス
第五十七條但書ノ規定ハ債券ニ之ヲ準用ス
第八十二條 商法第二百九條第二項ノ規定ハ商法施行前ニ假決議ヲ爲シテ未タ其通知ヲ發セサル場合ニモ亦之ヲ適用ス
第八十三條 商法第二百九條第四項ノ規定ハ株式會社カ商法施行前ニ定款變更ノ決議又ハ假決議ヲ爲シタル場合ニハ之ヲ適用セス
第八十四條 株式會社カ商法施行前ニ資本ノ增加若クハ減少ノ決議又ハ假決議ヲ爲シタル場合ニ於テハ舊商法ノ規定ニ依リテ其增加又ハ減少ヲ爲スコトヲ得
商法第百二十八條乃至第百三十條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八十五條 商法施行前ニ爲シタル決議又ハ假決議ニ依リテ資本ヲ增加シタル場合ニ於テ商法施行前ニ新株ニ付キ拂込ミタル株金額ノ登記ヲ爲ササリシトキハ其施行ノ日ヨリ商法施行後ニ拂込アリタルトキハ其日ヨリ二週間內ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ其登記ヲ爲スコトヲ要ス
第八十六條 株式會社カ商法施行前ニ解散シタル場合ニ於テ未タ解散ノ決議ヲ爲ササルトキハ取締役ハ商法施行ノ後遲滯ナク株主ニ對シテ解散ノ通知ヲ發スルコトヲ要ス
第八十七條 取締役カ前二條ノ規定ニ違反シタルトキハ五圓以上五十圓以下ノ過料ニ處セラル
第八十八條 株式會社ノ淸算人ハ株主總會又ハ裁判所カ商法施行前ニ與ヘタル訓示ヲ遵守スルコトヲ要ス
第八十九條 商法施行前ニ舊商法第二百四十二條ノ規定ニ依リテ選任シタル代人ハ商法施行ノ後ト雖モ其權限ヲ保有ス
第九十條 第三十三條ノ規定ハ商法施行前ニ解散シタル株式會社ノ淸算人カ爲スヘキ公吿ニ之ヲ準用ス
第九十一條 第二十六條、第三十條乃至第三十二條、第三十五條及ヒ第三十六條ノ規定ハ株式會社ニ之ヲ準用ス
第九十二條 商法施行前ニ日本ニ支店ヲ設ケタル外國會社ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ規程ヲ設クルコトヲ得商法施行前ニ外國人カ日本ニ於テ設立シタル會社及ヒ組合ニ付キ亦同シ
第九十三條 商法施行前ニ舊法中會社ニ關スル罰則ヲ適用スヘキ行爲アリタルトキハ商法施行ノ後ト雖モ其罰則ヲ適用ス
第九十四條 私設鐵道株式會社ニハ明治二十年勅令第十二號私設鐵道條例ノ改正ニ至ルマテ舊商法及ヒ其附屬法令中株式會社ニ關スル規定ヲ適用ス
第九十五條 保險事業ハ政府ノ免許ヲ得ルニ非サレハ之ヲ營ムコトヲ得ス
政府ノ免許ヲ得スシテ保險事業ヲ營ム者アルトキハ裁判所ハ檢事ノ請求ニ因リ又ハ職權ヲ以テ其營業ヲ禁止スルコトヲ得
前項ノ禁止ニ拘ハラス保險事業ヲ營ム者又ハ之ヲ營ム會社ノ業務ヲ執行スル社員若クハ取締役ハ十圓以上千圓以下ノ過料ニ處セラル
第九十六條 保險事業ハ株式會社ニ非サレハ之ヲ營ムコトヲ得ス
第九十七條 保險會社ハ他ノ營業ヲ兼ヌルコトヲ得ス
同一ノ會社ニシテ生命保險ト損害保險トヲ併セテ營業トスルコトヲ得ス
第九十八條 保險會社ノ發起人カ營業ノ免許ヲ請フニハ定款及ヒ左ニ揭ケタル事項ヲ記載シタル書面ヲ差出タスコトヲ要ス
一 保險ノ種類及ヒ營業ノ範圍
二 普通保險約款
三 保險料及ヒ責任準備金算出ノ基礎及ヒ方法
四 責任準備金利用ノ方法
第九十九條 保險會社カ前條ニ揭ケタル書類ヲ變更スルニハ政府ノ認可ヲ得ルコトヲ要ス
第百條 政府カ第九十八條ニ揭ケタル書類ノ變更ヲ必要ト認ムルトキハ其變更ヲ命スルコトヲ得
第百一條 政府ハ何時ニテモ保險會社ヲシテ其營業ノ報吿ヲ爲サシメ又ハ會社ノ業務及ヒ會社財產ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
第百二條 政府カ保險會社ノ業務又ハ會社財產ノ狀況ニ依リ其營業ノ繼續ヲ困難ナリト認ムルトキ又ハ保險會社カ政府ノ命令ニ違反シタルトキハ政府ハ其營業ノ停止又ハ取締役ノ改選ヲ命スルコトヲ得
前項ニ揭ケタル事由アリト認ムルトキハ裁判所ハ檢事ノ請求ニ因リ又ハ職權ヲ以テ會社ノ解散ヲ命スルコトヲ得
第百三條 保險會社ハ總會終結ノ後遲滯ナク商法第百九十條ニ揭ケタル書類及ヒ總會ノ決議錄ヲ政府ニ差出タスコトヲ要ス
第百四條 保險契約者、被保險者及ヒ保險金額ヲ受取ルヘキ者ハ保險會社ノ定時總會終結ノ後營業報吿書、財產目錄若クハ貸借對照表ノ閱覽ヲ求メ又ハ其謄本若クハ抄本ノ交付ヲ請求スルコトヲ得但保險會社ハ定款又ハ保險契約ノ定ムル所ニ依リ其謄本又ハ抄本ノ交付ニ付キ手數料ヲ拂ハシムルコトヲ妨ケス
第百五條 保險會社ハ他ノ事業ヲ目的トスル會社ト合併ヲ爲スコトヲ得ス
生命保險ヲ營業トスル會社ト損害保險ヲ營業トスル會社トハ合併ヲ爲スコトヲ得ス
第百六條 保險會社カ合併ヲ爲スニハ特ニ財產目錄及ヒ貸借對照表ヲ作リ合併契約書ト共ニ之ヲ政府ニ差出タシ其認可ヲ得ルコトヲ要ス
第百七條 保險會社カ任意ノ解散ヲ爲スニハ政府ノ認可ヲ得ルコトヲ要ス
第百八條 生命保險ヲ營業トスル會社ニ在リテハ保險金額ヲ受取ルヘキ者ハ會社財產ニ對シ他ノ債權者ニ先チテ其權利ヲ行フコトヲ得
第百九條 生命保險ヲ營業トスル會社カ解散シタル場合ニ於テハ保險金額ヲ受取ルヘキ者ハ被保險者ノ爲メニ積立テタル金額ノ割合ニ應シテ其權利ヲ行フコトヲ得但會社ノ解散前ニ保險金額ヲ受取ルヘカリシ場合ハ此限ニ在ラス
前項ノ規定ハ損害保險ヲ營業トスル會社ニ之ヲ準用ス
第百十條 第九十七條及ヒ前十一條ノ規定ハ商法施行前ニ設立シタル合資會社又ハ株式會社ニシテ保險ヲ營業トスルモノニ之ヲ準用ス
商法施行前ニ設立シタル會社ニシテ第九十七條ニ禁止シタル兼業ヲ爲スモノハ商法施行ノ日ヨリ六个月內ニ其兼業ヲ廢止スルコトヲ要ス若シ之ニ違反シタルトキハ裁判所ハ檢事ノ請求ニ因リ又ハ職權ヲ以テ其保險營業ヲ禁止スルコトヲ得
第百十一條 第九十七條、第九十九條乃至第百二條、第百五條乃至第百九條及ヒ前條第二項ノ規定ハ商法施行前ニ設立シタル合名會社ニシテ保險ヲ營業トスルモノニ之ヲ準用ス
第百十二條 商法施行前ニ設立シタル合名會社ニシテ保險ヲ營業トスルモノハ財產目錄及ヒ貸借對照表ヲ作ル每ニ遲滯ナク營業報吿書、損益計算書及ヒ利益ノ配當ニ關スル案ト共ニ之ヲ政府ニ差出タスコトヲ要ス
第百十三條 商法施行前ニ設立シタル合名會社ニシテ保險ヲ營業トスルモノカ財產目錄及ヒ貸借對照表ヲ作ル每ニ保險契約者、被保險者及ヒ保險金額ヲ受取ルヘキ者ハ第百四條ニ定メタル權利ヲ行フコトヲ得
第百十四條 第九十七條、第九十九條乃至第百二條及ヒ第百十條第二項ノ規定ハ商法施行前ヨリ保險事業ヲ營ム者ニ之ヲ準用ス
第百十五條 外國會社カ日本ニ支店又ハ代理店ヲ設ケテ保險事業ヲ營ム場合ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ規程ヲ設クルコトヲ得
第百十六條 保險會社ニ關スル細則ハ農商務大臣之ヲ定ム
第百十七條 明治十年第六十六號布吿利息制限法第五條ノ規定ハ商事ニハ之ヲ適用セス
第百十八條 商法施行前ニ設定シタル質權ノ實行ニ付テハ別段ノ意思表示アリタル場合ヲ除ク外競賣法ノ規定ヲ適用ス但取引所ノ相場アル有價證券其他ノ商品ニ在リテハ執達吏ハ取引所ニ於テ之ヲ賣却スルコトヲ得
前項ノ規定ハ留置權者カ其留置物ヲ賣却スル場合ニ之ヲ準用ス
第百十九條 商法施行前ニ發行シタル指圖證券及ヒ無記名證券ニハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外舊商法ノ規定ヲ適用ス但民法施行法第三十條、第三十一條及ヒ第三十三條ノ準用ヲ妨ケス
第百二十條 商法第二百八十一條ノ規定ハ商法施行前ニ發行シタル指圖證券及ヒ無記名證券ニモ亦之ヲ適用ス
第百二十一條 商法第二百九十九條ノ規定ハ商法施行前ニ約シタル匿名組合ニモ亦之ヲ適用ス
第百二十二條 湖川、港灣及ヒ沿岸小航海ノ範圍ハ遞信大臣之ヲ定ム
第百二十三條 手形ノ所持人ノ其前者ニ對スル償還請求權ハ支拂拒絕證書ノ作成カ商法施行前ニ在リタル場合ニ於テハ其施行ノ日ヨリ支拂拒絕證書ノ作成カ商法施行後ニ在リタル場合ニ於テハ其作成ノ日ヨリ六个月ヲ經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
裏書人ノ其前者ニ對スル償還請求權ハ商法施行前ニ償還ヲ爲シタル場合ニ於テハ其施行ノ日ヨリ商法施行後ニ償還ヲ爲シタル場合ニ於テハ其日ヨリ六个月ヲ經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
商法施行前ニ進行ヲ始メタル時效ノ殘期カ商法施行ノ日ヨリ起算シテ六个月ヨリ短キトキハ時效ハ其殘期ヲ經過スルニ因リテ完成ス
第百二十四條 明治十九年法律第二號公證人規則第二十八條ノ規定ハ公證人カ拒絕證書ヲ作ル場合ニハ之ヲ適用セス
第百二十五條 外國ニ於テ爲シタル手形行爲ノ要件ハ行爲地ノ法律ニ依ル
前項ノ規定ニ拘ハラス外國ニ於テ爲シタル手形行爲カ日本ノ法律ニ定メタル要件ヲ具備スルトキハ外國ノ法律ニ依レハ要件ヲ具備セサルトキト雖モ爾後日本ニ於テ爲シタル手形行爲ハ有效トス日本人カ外國ニ於テ日本人ニ對シテ爲シタル手形行爲カ日本ノ法律ニ定メタル要件ヲ具備スルトキ亦同シ
第百二十六條 外國ニ於テ手形上ノ權利ヲ行使又ハ保全スル爲メニ爲ス行爲ノ方式ハ行爲地ノ法律ニ依ル
第百二十七條 商法第五百五十二條第三項ノ規定ハ商法施行前ニ選任シタル船舶管理人ニモ亦之ヲ適用ス
商法第五百五十三條ノ規定ハ商法施行ノ日ヨリ其施行前ニ選任シタル船舶管理人ニモ亦之ヲ適用ス
第百二十八條 商法第五百五十六條ノ規定ハ商法施行前ニ爲シタル船舶ノ賃貸借ニモ亦之ヲ適用ス
第百二十九條 商法第五百五十八條乃至第五百六十八條及ヒ第五百七十條乃至第五百七十四條ノ規定ハ商法施行ノ日ヨリ其施行前ニ選任シタル船長ニモ亦之ヲ適用ス
第百三十條 商法第五百六十二條第一項第二號乃至第五號ニ揭ケタル書類ノ書式ハ遞信大臣之ヲ定ム
第百三十一條 委付ノ原因カ商法施行後ニ生シタルトキハ其施行前ニ爲シタル保險契約ニ付テモ被保險者ハ商法ノ規定ニ從ヒテ委付ヲ爲スコトヲ得
第百三十二條 船舶ノ存否カ商法施行ノ日ヨリ六个月間分明ナラサルトキハ未タ舊商法第九百六十六條第一項ノ期間ヲ經過セサルトキト雖モ其船舶ハ行方ノ知レサルモノト看做ス
第百三十三條 商法施行ノ際舊商法第九百六十九條第一項ニ定メタル三日ノ期間カ未タ滿了ニ至ラサルトキハ商法施行ノ日ヨリ三个月內ニ商法第六百七十四條ニ定メタル通知ヲ發シテ委付ヲ爲スコトヲ得
第百三十四條 船舶ノ先取特權ニ關スル商法ノ規定ハ其施行前ニ發生シタル債權ニ付テモ亦之ヲ適用ス
第百三十五條 第三十三條ノ規定ハ商法第六百八十四條第一項ノ規定ニ依リ爲スヘキ公吿ニ之ヲ準用ス
第百三十六條 船舶ノ抵當權ニ關スル商法ノ規定ハ商法施行前ニ設定シタル抵當權ニモ亦之ヲ適用ス
第百三十七條 民法施行法第二條、第三條、第三十條、第三十一條、第三十三條、第三十四條、第五十三條及ヒ第五十六條ノ規定ハ商事ニ之ヲ準用ス
第百三十八條 
明治二十三年法律第三十二號商法第九百七十八條ヲ左ノ如ク改ム
商人カ支拂ヲ停止シタルトキハ裁判所ハ本人又ハ債權者ノ申立ニ因リ決定ヲ以テ破產ヲ宣吿ス
裁判所ハ口頭辯論ヲ經スシテ裁判ヲ爲スコトヲ得此裁判ニ對シテハ卽時抗吿ヲ爲スコトヲ得
第百三十九條 破產宣吿ノ申立ヲ爲ス債權者ハ裁判所ノ定ムル所ニ從ヒ破產手續ニ必要ナル費用ヲ豫納スルコトヲ要ス
債權者カ前項ノ費用ヲ豫納セサルトキハ裁判所ハ破產宣吿ノ申立ヲ棄却スルコトヲ得
第百四十條 本人カ破產宣吿ノ申立ヲ爲シタルトキハ破產手續ニ必要ナル費用ハ假ニ國庫ヨリ之ヲ支辨スルコトヲ要ス債權者カ破產宣吿ノ申立ヲ爲シタル場合ニ於テ裁判所カ前條第二項ノ規定ニ依リテ其申立ヲ棄却セサルトキ亦同シ
第百四十一條 裁判所ハ破產事件ニ付キ地方裁判所又ハ區裁判所ニ法律上ノ輔助ヲ求ムルコトヲ得
第百四十二條 
明治二十三年法律第三十二號商法第千五十一條第五號ヲ左ノ如ク改ム
第五 財產目錄、貸借對照表ノ作成若クハ支拂停止屆出ノ義務ヲ怠リタルトキ又ハ裁判所ノ許可ヲ得スシテ其住地ヲ離レタルトキ
第百四十三條 
明治二十三年法律第三十二號商法第千五十四條ヲ左ノ如ク改ム
破產宣吿ヲ受ケタル債務者ハ復權ヲ得ルニ非サレハ會社ノ無限責任社員、舊商法ノ規定ニ從ヒテ設立シタル合資會社ノ業務擔當社員、株式會社ノ取締役若クハ監査役、淸算人、破產管財人又ハ商業會議所ノ會員ト爲ルコトヲ得ス
第百四十四條 
明治二十三年法律第三十二號商法第千五十五條第三項ハ之ヲ削除ス
第百四十五條 
明治二十三年法律第三十二號商法第千五十九條ヲ左ノ如ク改ム
商人カ商行爲ニ因リテ生シタル債務ニ付キ自己ノ過失ナクシテ支拂ヲ中止セサルコトヲ得サルニ至リタル場合ニ於テ其債權者ノ過半數以上ノ承諾ヲ得タルトキハ營業所ノ所在地又ハ住所地ヲ管轄スル裁判所ハ一年ヲ超エサル範圍內ニ於テ支拂猶豫ヲ與フルコトヲ得
附 則
第百四十六條 本法ハ商法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第百四十七條 明治二十三年法律第五十九號商法施行條例ハ第二十條、第二十四條、第二十五條、第三十五條乃至第四十五條及ヒ第四十八條乃至第五十條ヲ除ク外本法施行ノ日ヨリ之ヲ廢止ス但第二十一條乃至第二十三條及ヒ第五十一條ノ規定ハ舊商法ノ規定ニ依ルヘキ場合ニ於テハ仍ホ其效力ヲ存ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル商法施行法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年三月七日
内閣総理大臣 侯爵 山県有朋
大蔵大臣 伯爵 松方正義
内務大臣 侯爵 西郷従道
陸軍大臣 子爵 桂太郎
文部大臣 伯爵 樺山資紀
外務大臣 子爵 青木周蔵
逓信大臣 子爵 芳川顕正
海軍大臣 山本権兵衛
司法大臣 清浦奎吾
農商務大臣 曽祢荒助
法律第四十九号
商法施行法
第一条 商法施行前ニ生シタル事項ニ付テハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外旧法ノ規定ヲ適用ス
第二条 商事ニ関スル特別ノ法令ハ商法施行ノ後ト雖モ仍ホ其効力ヲ存ス
第三条 特別ノ法令中旧商法ノ規定ニ依ルヘキモノト定メタル場合ニ付テハ旧商法ハ商法施行ノ後ト雖モ仍ホ其効力ヲ存ス
第四条 商法施行前ヨリ商業ヲ営ム未成年者、妻及ヒ後見人ハ商法ノ規定ニ従ヒテ登記ヲ為スコトヲ要ス
第五条 商法施行前ニ会社ノ無限責任社員ト為ルコトヲ許サレタル未成年者又ハ妻ハ商法施行ノ日ヨリ其会社ノ業務ニ関シ之ヲ能力者ト看做ス
第六条 商法第七条第二項ノ規定ハ商法施行ノ日ヨリ其施行前ニ定メタル制限ニモ亦之ヲ適用ス
第七条 商法第八条ニ定メタル小商人ノ範囲ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八条 商法施行前ニ旧法ノ規定ニ依リテ為シタル登記ハ商法ノ規定ニ従ヒテ為シタルモノト同一ノ効力ヲ有ス
第九条 商法施行前ニ登記シタル事項ニ変更ヲ生シ又ハ其事項カ消滅シタル場合ニ於テ商法施行前ニ登記ヲ為ササリシトキハ当事者ハ其施行ノ後遅滞ナク登記ヲ為スコトヲ要ス
第十条 商法施行前ニ設立ノ登記ヲ為シタル会社ノ社名ハ商法ノ規定ニ従ヒテ登記シタル商号ト同一ノ効力ヲ有ス
第十一条 商法施行前ニ設立シタル合名会社ニシテ其社名中ニ合名会社ナル文字ヲ用井サルモノハ其施行ノ日ヨリ三个月内ニ商法第十七条ノ規定ニ従ヒテ其社名ヲ改メ且其登記ヲ為スコトヲ要ス
会社ノ業務ヲ執行スル社員カ前項ノ規定ニ違反シタルトキハ五円以上五十円以下ノ過料ニ処セラル
第十二条 商法第十八条ノ規定ハ商法施行前ヨリ使用スル商号ニハ之ヲ適用セス
第十三条 商法第十九条ノ規定ハ旧商法施行前ヨリ使用スル商号ニハ之ヲ適用セス
商法施行後ニ商号ノ登記ヲ為シタル者ト雖モ旧商法施行前ヨリ同一又ハ類似ノ商号ヲ使用スル者ニ対シテハ商法第二十条ニ定メタル権利ヲ行フコトヲ得ス
第十四条 商法第十九条、第二十条第二項、第二十二条第一項及ヒ第二百八十九条第三項ニ掲ケタル市町村ハ市制又ハ町村制ヲ施行セサル地方ニ在リテハ従来ノ町村其他之ニ類スル区域トシ東京市、京都市及ヒ大阪市ニ在リテハ其各区トス
第十五条 商法施行前ニ東京市又ハ大阪市ニ於テ商号ノ登記ヲ為シタル者ハ商法施行ノ日ヨリ六个月内ニ其市ニ存スル他ノ登記所ニ於テ其登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ニ定メタル登記ヲ為ササリシ者ハ其登記ヲ為ササリシ登記所ノ管轄区域内ニ於テハ商法第二十条ニ定メタル権利ヲ行フコトヲ得ス
第十六条 商法第二十二条第二項ノ適用ニ付テハ北海道ハ之ヲ一府県ト看做ス
第十七条 商法第二十八条ノ規定ハ商法施行前ニ作リタル商業帳簿ニモ亦之ヲ適用ス
第十八条 代務人ニハ商法施行ノ日ヨリ支配人ニ関スル規定ヲ適用ス
第十九条 商法施行前ヨリ支配人又ハ支配役ト称スル者カ商法第三十条ニ定メタル権限ヲ有セサルトキハ主人ハ商法施行ノ日ヨリ三个月内ニ其名称ヲ改ムルコトヲ要ス
主人カ前項ノ期間内ニ支配人又ハ支配役ノ名称ヲ改メサリシトキハ其者ハ商法第三十条ニ定メタル権限ヲ有スルモノト看做ス
第二十条 商法第三十二条第三項ノ規定ハ旧商法第五十条ノ規定ニ反シテ為シタル行為ニ之ヲ準用ス但一年ノ期間ハ商法施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
主人カ商法施行前ニ前項ノ行為ヲ知リタルトキハ二週間ノ期間モ亦其施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第二十一条 商法中代理商ニ関スル規定ハ商法施行ノ日ヨリ其施行前ニ定メタル代理商ニモ亦之ヲ適用ス
第二十二条 商法中会社ニ関スル規定ハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外商法施行ノ日ヨリ其施行前ニ設立シタル会社ニモ亦之ヲ適用ス
第二十三条 商法第四十七条ニ定メタル期間ハ商法施行前ニ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ為シタル会社ニ付テハ其施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第二十四条 商法施行前ニ設立シタル合名会社ニシテ未タ設立ノ登記ヲ為ササルモノハ商法施行ノ日ヨリ一个月内ニ商法ノ規定ニ従ヒテ定款ヲ作リ且商法第五十一条第一項ニ定メタル登記ヲ為スコトヲ要ス
第二十五条 商法施行前ニ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ為シタル合名会社ハ商法施行ノ日ヨリ一个月内ニ本店ノ所在地ニ於テハ支店、支店ノ所在地ニ於テハ本店並ニ他ノ支店及ヒ社員ノ出資ノ種類並ニ財産ヲ目的トスル出資ノ価格ヲ登記スルコトヲ要ス
第二十六条 商法第五十一条第二項、第三項及ヒ第五十二条ノ規定ハ合名会社カ設立ノ登記ヲ為シタル後商法施行前ニ支店ヲ設ケ又ハ其本店若クハ支店ヲ移転シタル場合ニ之ヲ準用ス但登記期間ハ商法施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第二十七条 会社ノ業務ヲ執行スル社員カ前二条ノ規定ニ依リ為スヘキ登記ヲ怠リタルトキハ五円以上五十円以下ノ過料ニ処セラル
第二十八条 商法第六十条第二項及ヒ第三項ノ規定ハ旧商法第百四条ノ規定ニ反シテ為シタル行為ニ之ヲ準用ス
第二十条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十九条 商法第七十一条ノ規定ハ商法施行前ニ設立シタル合名会社ニハ之ヲ適用セス
第三十条 合名会社ノ目的タル事業ノ成功カ商法施行前ニ不能ト為リタルトキハ裁判所カ解散ヲ命シタル場合ヲ除ク外其会社ハ商法ノ施行ト同時ニ解散シタルモノト看做ス
第三十一条 合名会社カ商法施行前ニ解散シタル場合ニ於テ未タ清算人ヲ選任セサルトキハ其施行ノ日ヨリ二週間内ニ商法第七十六条ノ規定ニ従ヒテ登記ヲ為スコトヲ要ス
第三十二条 合名会社カ商法施行前ニ解散シタル場合ニ於テ既ニ清算人ヲ選任シタルトキハ其施行ノ日ヨリ二週間内ニ商法第七十六条及ヒ第九十条ノ規定ニ従ヒテ登記ヲ為スコトヲ要ス
第三十三条 商法第七十八条第二項ノ規定ニ依リ為スヘキ公告ハ裁判所カ為スヘキ登記事項ノ公告ト同一ノ方法ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス
第三十四条 合名会社カ商法施行前ニ解散シタル場合ニ於テ未タ清算人ヲ選任セサルトキハ総社員ノ同意ヲ以テ会社財産ノ処分方法ヲ定ムルコトヲ得此場合ニ於テハ商法施行ノ日ヨリ二週間内ニ財産目録及ヒ貸借対照表ヲ作ルコトヲ要ス
商法第七十八条第二項、第七十九条及ヒ第八十条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三十五条 合名会社カ商法施行前ニ解散ノ登記ヲ為シタル場合ニ於テハ清算ハ旧商法ノ規定ニ依リテ之ヲ為ス
第三十六条 合名会社ニ於テ商法施行前ニ清算人ノ解任又ハ変更アリタルトキハ其施行ノ日ヨリ二週間内ニ商法第九十七条ノ規定ニ従ヒテ登記ヲ為スコトヲ要ス
第三十七条 商法第百三条ノ規定ハ商法施行前ニ解散シタル合名会社ニモ亦之ヲ適用ス
第三十八条 商法施行前ニ設立シタル合資会社ニハ旧商法ノ規定ヲ適用ス
第二十三条、第二十五条乃至第三十二条及ヒ前三条ノ規定ハ前項ノ会社ニ之ヲ準用ス
第三十九条 商法施行前ニ設立シタル合資会社ハ其取引ニ関スル一切ノ書類ニ商法施行前ニ設立シタル会社タルコトヲ示スコトヲ要ス
業務担当社員カ前項ノ規定ニ違反シタルトキハ五円以上五十円以下ノ過料ニ処セラル
第四十条 商法施行前ニ設立シタル合資会社ハ旧商法第百五十一条第二項ノ規定ニ従ヒ其組織ヲ変更シテ之ヲ商法ニ定メタル合資会社、株式会社又ハ株式合資会社ト為スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ総会ハ直チニ新会社ノ組織ニ必要ナル事項ヲ決議スルコトヲ要ス
第四十一条 商法第七十八条、第七十九条第一項、第二項及ヒ第二百五十四条ノ規定ハ前条ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十二条 商法施行前ニ設立シタル合資会社ハ商法ノ規定ニ従ヒテ合併ヲ為スコトヲ得但合併後存続シ又ハ合併ニ因リテ設立スル会社ハ商法ニ定メタル種類ノ一タルコトヲ要ス
合併ノ決議ハ旧商法第百五十一条第二項ノ規定ニ依ルニ非サレハ之ヲ為スコトヲ得ス
第四十三条 商法施行前ニ発起ノ認可ヲ得タル株式会社ニ於テハ其発起人ハ七人以上ナルコトヲ要セス
第四十四条 商法施行前ニ発起ノ認可ヲ得タル株式会社ト雖モ其発起人カ未タ株主ノ募集ニ著手セサルトキハ之ニ商法ノ規定ヲ適用ス
第四十五条 株式会社ノ発起人カ商法施行前ニ株主ノ募集ニ著手シタルトキハ旧商法ノ規定ニ従ヒテ会社ノ設立ヲ為スコトヲ得但商法ノ規定ニ従ヒテ定款ヲ作ルコトヲ要ス
第四十六条 商法施行前ニ創業総会ニ於テ定款ヲ確定シタル場合ニ於テハ商法ノ規定ニ従ヒテ其定款ヲ変更スルコトヲ要ス
第四十七条 商法第百三十条ノ規定ハ前二条ノ場合ニモ亦之ヲ適用ス
第四十八条 商法第百六十三条第一項及ヒ第二項ノ規定ハ旧商法ノ規定ニ依リテ招集シタル創業総会ノ決議ニ之ヲ準用ス但同条第二項ノ期間ハ商法施行前ニ決議ヲ為シタル場合ニ於テハ其施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第四十九条 第四十五条ノ場合ニ於テ商法施行前ニ株式総数ノ引受アリタルトキハ其施行ノ日ヨリ商法施行後ニ株式総数ノ引受アリタルトキハ其日ヨリ六个月内ニ発起人カ創業総会ヲ招集セサルトキハ株式申込人ハ其申込ヲ取消スコトヲ得
第五十条 第四十五条及ヒ第四十六条ノ場合ニ於テハ株式会社ハ各株ニ付キ株金ノ四分ノ一ノ払込アリタル後二週間内ニ商法第百四十一条第一項ニ定メタル登記ヲ為スコトヲ要ス
第五十一条 商法施行前ニ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ為シタル株式会社ニシテ其定款ニ商法第百二十条第一号乃至第七号ニ掲ケタル事項ヲ定メサルモノハ商法施行ノ日ヨリ三个月内ニ其定款ヲ変更スルコトヲ要ス
第五十二条 商法施行前ニ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ為シタル株式会社ハ商法施行ノ日ヨリ三个月内ニ本店ノ所在地ニ於テハ支店、支店ノ所在地ニ於テハ本店並ニ他ノ支店及ヒ会社カ公告ヲ為ス方法並ニ監査役ノ氏名、住所ヲ登記スルコトヲ要ス
第五十三条 商法施行前ニ設立シタル株式会社カ登記シタル事項中ニ変更ヲ生シタル場合ニ於テ商法施行前ニ登記ヲ為ササリシトキハ其施行ノ日ヨリ二週間内ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ其登記ヲ為スコトヲ要ス
旧商法ノ規定ニ依リ登記スヘキ事項カ商法施行前ニ生シタル場合ニ於テハ旧商法ニ登記期間ノ定ナキトキニ限リ前項ノ規定ヲ準用ス
第五十四条 取締役カ前三条ノ規定ニ違反シタルトキハ五円以上五十円以下ノ過料ニ処セラル
第五十五条 商法施行前ニ設立シタル株式会社ニ於テ株式ノ金額カ商法第百四十五条第二項ノ規定ニ反スルモ旧商法及ヒ旧商法施行条例ノ規定ニ反セサル場合ニ於テハ定款ノ定ムル所ニ依ルコトヲ得商法施行後ニ新株ヲ発行スルトキ亦同シ
前項ノ規定ハ商法施行後ニ株式ノ金額ヲ変更スル場合ニハ之ヲ適用セス
第五十六条 商法中株券ニ関スル規定ハ商法施行前ニ発行シタル仮株券ニモ亦之ヲ適用ス
第五十七条 商法施行前ニ発行シタル株券及ヒ仮株券ハ商法第百四十八条又ハ第二百十八条ノ規定ニ違フモ之ヲ改ムルコトヲ要セス但商法施行後ニ株金ノ払込ヲ為シタル場合ニ於テハ前ニ払込ミタル金額及ヒ新ニ払込ミタル金額ヲ仮株券ニ記載スルコトヲ要ス
第五十八条 旧商法第二百十二条乃至第二百十五条ノ規定ハ商法施行前ニ株金払込ノ催告アリタル場合ニ限リ之ヲ適用ス
第五十九条 商法第百五十三条第二項乃至第四項ノ規定ハ商法施行前ニ株式ヲ譲渡シタル者ニシテ旧商法第百八十二条ノ規定ニ依リ担保義務ナキ者ニハ之ヲ適用セス
第六十条 法令ノ規定ニ依リ日本人ノミヲ以テ組織スヘキ株式会社及ヒ日本人ノミヲ以テ組織スルコトヲ条件トシテ特別ノ権利ヲ有スル株式会社ハ無記名式ノ株券ヲ発行スルコトヲ得ス若シ之ニ違反シタルトキハ其株券ハ無効トシ最後ノ記名株主ヲ以テ株主トス
取締役カ前項ノ規定ニ反シテ無記名式ノ株券ヲ発行シタルトキハ百円以上千円以下ノ過料ニ処セラル
第六十一条 旧商法施行前ニ設立シタル株式会社ニ於テハ株主ノ議決権ノ制限カ商法第百六十二条ノ規定ニ反スルモ定款ノ定ムル所ニ依ルコトヲ得但商法施行後ニ其制限ヲ変更スル場合ハ此限ニ在ラス
第六十二条 商法第百六十三条ノ規定ハ株主総会カ商法施行前ニ決議ヲ為シタル場合ニモ亦之ヲ適用ス但同条第二項ノ期間ハ商法施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第六十三条 商法第百六十七条但書ノ規定ハ商法施行前ニ選任シタル取締役及ヒ監査役ニハ之ヲ適用セス
第六十四条 商法施行前ニ選任シタル取締役又ハ監査役ト雖モ其禁治産ニ因リテ退任ス
第六十五条 商法施行前ニ選任シタル取締役ハ其施行ノ後遅滞ナク定款ニ定メタル員数ノ株券ヲ監査役ニ供託スルコトヲ要ス
第六十六条 商法施行前ニ設立シタル株式会社ニ於テ其施行後ニ株金ノ払込アリタルトキハ取締役ハ其払込ノ年月日ヲ株主名簿ニ記載スルコトヲ要ス
第六十七条 商法施行前ニ設立シタル株式会社ノ取締役ハ其施行ノ後遅滞ナク社債ノ総額及ヒ其償還ノ方法ヲ社債原簿ニ記載スルコトヲ要ス
第六十八条 株式会社カ商法施行前ニ其資本ノ半額ヲ失ヒタル場合ニ於テハ取締役ハ商法施行ノ後遅滞ナク株主総会ヲ招集シテ之ヲ報告スルコトヲ要ス
商法施行前ニ会社財産ヲ以テ会社ノ債務ヲ完済スルコト能ハサルニ至リタル場合ニ於テハ取締役ハ商法施行ノ後遅滞ナク破産宣告ノ請求ヲ為スコトヲ要ス
第六十九条 取締役カ前三条ノ規定ニ違反シタルトキハ五円以上百円以下ノ過料ニ処セラル
第七十条 商法第百七十五条ノ規定ハ商法施行前ニ選任シタル取締役ニハ之ヲ適用セス
第七十一条 旧商法第百八十九条ノ規定ハ商法施行前ニ選任シタル取締役ニノミ之ヲ適用ス
第七十二条 商法施行前ニ旧商法第二百二十八条又ハ第二百二十九条ノ規定ニ依リテ提起シタル訴ニハ商法ノ規定ヲ適用セス
第七十三条 商法施行前ニ選任シタル監査役ハ其任期カ一年ヨリ長キトキト雖モ其任期間在任ス
第七十四条 商法第百九十条ニ掲ケタル書類ハ商法施行前ニ総会招集ノ通知ヲ発シタル場合ニ限リ会日マテニ之ヲ提出スルヲ以テ足ル
第七十五条 商法第百九十六条ノ規定ハ商法施行前ニ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ為シタル株式会社カ其登記後二年以上開業ヲ為スコト能ハサルモノト認ムル場合ニモ亦之ヲ適用ス
裁判所カ定款ノ規定ヲ認可シタルトキハ取締役ハ二週間内ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ其登記ヲ為スコトヲ要ス
取締役カ前項ニ定メタル登記ヲ為スコトヲ怠リタルトキハ五円以上五十円以下ノ過料ニ処セラル
第七十六条 明治二十三年法律第六十号ハ商法施行ノ日ヨリ之ヲ廃止ス
第七十七条 株式会社カ商法施行前ニ債券発行ノ認許ヲ得タル場合ニ於テハ旧法ノ規定ニ依リテ其募集ヲ完了スルコトヲ得
第七十八条 商法第二百四条第一項ノ規定ハ株式会社カ商法施行前ニ債券発行ノ認許ヲ得タル場合ニハ之ヲ適用セス
第七十九条 株式会社カ商法施行前ニ債券発行ノ認許ヲ得タル場合ニ於テ一時ニ全額ノ払込ヲ為サシメサルトキハ第一回ノ払込アリタル後二週間内ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ払込ミタル金額及ヒ商法第百七十三条第三号乃至第六号ニ掲ケタル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
第八十条 商法施行前ニ社債ノ全額又ハ一部ノ払込アリタルトキハ其施行ノ日ヨリ二週間内ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ払込ミタル金額及ヒ商法第百七十三条第三号乃至第六号ニ掲ケタル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
第八十一条 商法施行前ニ発行シタル債券ハ商法第二百五条ノ規定ニ違フモ之ヲ改ムルコトヲ要セス
第五十七条但書ノ規定ハ債券ニ之ヲ準用ス
第八十二条 商法第二百九条第二項ノ規定ハ商法施行前ニ仮決議ヲ為シテ未タ其通知ヲ発セサル場合ニモ亦之ヲ適用ス
第八十三条 商法第二百九条第四項ノ規定ハ株式会社カ商法施行前ニ定款変更ノ決議又ハ仮決議ヲ為シタル場合ニハ之ヲ適用セス
第八十四条 株式会社カ商法施行前ニ資本ノ増加若クハ減少ノ決議又ハ仮決議ヲ為シタル場合ニ於テハ旧商法ノ規定ニ依リテ其増加又ハ減少ヲ為スコトヲ得
商法第百二十八条乃至第百三十条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八十五条 商法施行前ニ為シタル決議又ハ仮決議ニ依リテ資本ヲ増加シタル場合ニ於テ商法施行前ニ新株ニ付キ払込ミタル株金額ノ登記ヲ為ササリシトキハ其施行ノ日ヨリ商法施行後ニ払込アリタルトキハ其日ヨリ二週間内ニ本店及ヒ支店ノ所在地ニ於テ其登記ヲ為スコトヲ要ス
第八十六条 株式会社カ商法施行前ニ解散シタル場合ニ於テ未タ解散ノ決議ヲ為ササルトキハ取締役ハ商法施行ノ後遅滞ナク株主ニ対シテ解散ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス
第八十七条 取締役カ前二条ノ規定ニ違反シタルトキハ五円以上五十円以下ノ過料ニ処セラル
第八十八条 株式会社ノ清算人ハ株主総会又ハ裁判所カ商法施行前ニ与ヘタル訓示ヲ遵守スルコトヲ要ス
第八十九条 商法施行前ニ旧商法第二百四十二条ノ規定ニ依リテ選任シタル代人ハ商法施行ノ後ト雖モ其権限ヲ保有ス
第九十条 第三十三条ノ規定ハ商法施行前ニ解散シタル株式会社ノ清算人カ為スヘキ公告ニ之ヲ準用ス
第九十一条 第二十六条、第三十条乃至第三十二条、第三十五条及ヒ第三十六条ノ規定ハ株式会社ニ之ヲ準用ス
第九十二条 商法施行前ニ日本ニ支店ヲ設ケタル外国会社ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ規程ヲ設クルコトヲ得商法施行前ニ外国人カ日本ニ於テ設立シタル会社及ヒ組合ニ付キ亦同シ
第九十三条 商法施行前ニ旧法中会社ニ関スル罰則ヲ適用スヘキ行為アリタルトキハ商法施行ノ後ト雖モ其罰則ヲ適用ス
第九十四条 私設鉄道株式会社ニハ明治二十年勅令第十二号私設鉄道条例ノ改正ニ至ルマテ旧商法及ヒ其附属法令中株式会社ニ関スル規定ヲ適用ス
第九十五条 保険事業ハ政府ノ免許ヲ得ルニ非サレハ之ヲ営ムコトヲ得ス
政府ノ免許ヲ得スシテ保険事業ヲ営ム者アルトキハ裁判所ハ検事ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ其営業ヲ禁止スルコトヲ得
前項ノ禁止ニ拘ハラス保険事業ヲ営ム者又ハ之ヲ営ム会社ノ業務ヲ執行スル社員若クハ取締役ハ十円以上千円以下ノ過料ニ処セラル
第九十六条 保険事業ハ株式会社ニ非サレハ之ヲ営ムコトヲ得ス
第九十七条 保険会社ハ他ノ営業ヲ兼ヌルコトヲ得ス
同一ノ会社ニシテ生命保険ト損害保険トヲ併セテ営業トスルコトヲ得ス
第九十八条 保険会社ノ発起人カ営業ノ免許ヲ請フニハ定款及ヒ左ニ掲ケタル事項ヲ記載シタル書面ヲ差出タスコトヲ要ス
一 保険ノ種類及ヒ営業ノ範囲
二 普通保険約款
三 保険料及ヒ責任準備金算出ノ基礎及ヒ方法
四 責任準備金利用ノ方法
第九十九条 保険会社カ前条ニ掲ケタル書類ヲ変更スルニハ政府ノ認可ヲ得ルコトヲ要ス
第百条 政府カ第九十八条ニ掲ケタル書類ノ変更ヲ必要ト認ムルトキハ其変更ヲ命スルコトヲ得
第百一条 政府ハ何時ニテモ保険会社ヲシテ其営業ノ報告ヲ為サシメ又ハ会社ノ業務及ヒ会社財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得
第百二条 政府カ保険会社ノ業務又ハ会社財産ノ状況ニ依リ其営業ノ継続ヲ困難ナリト認ムルトキ又ハ保険会社カ政府ノ命令ニ違反シタルトキハ政府ハ其営業ノ停止又ハ取締役ノ改選ヲ命スルコトヲ得
前項ニ掲ケタル事由アリト認ムルトキハ裁判所ハ検事ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ会社ノ解散ヲ命スルコトヲ得
第百三条 保険会社ハ総会終結ノ後遅滞ナク商法第百九十条ニ掲ケタル書類及ヒ総会ノ決議録ヲ政府ニ差出タスコトヲ要ス
第百四条 保険契約者、被保険者及ヒ保険金額ヲ受取ルヘキ者ハ保険会社ノ定時総会終結ノ後営業報告書、財産目録若クハ貸借対照表ノ閲覧ヲ求メ又ハ其謄本若クハ抄本ノ交付ヲ請求スルコトヲ得但保険会社ハ定款又ハ保険契約ノ定ムル所ニ依リ其謄本又ハ抄本ノ交付ニ付キ手数料ヲ払ハシムルコトヲ妨ケス
第百五条 保険会社ハ他ノ事業ヲ目的トスル会社ト合併ヲ為スコトヲ得ス
生命保険ヲ営業トスル会社ト損害保険ヲ営業トスル会社トハ合併ヲ為スコトヲ得ス
第百六条 保険会社カ合併ヲ為スニハ特ニ財産目録及ヒ貸借対照表ヲ作リ合併契約書ト共ニ之ヲ政府ニ差出タシ其認可ヲ得ルコトヲ要ス
第百七条 保険会社カ任意ノ解散ヲ為スニハ政府ノ認可ヲ得ルコトヲ要ス
第百八条 生命保険ヲ営業トスル会社ニ在リテハ保険金額ヲ受取ルヘキ者ハ会社財産ニ対シ他ノ債権者ニ先チテ其権利ヲ行フコトヲ得
第百九条 生命保険ヲ営業トスル会社カ解散シタル場合ニ於テハ保険金額ヲ受取ルヘキ者ハ被保険者ノ為メニ積立テタル金額ノ割合ニ応シテ其権利ヲ行フコトヲ得但会社ノ解散前ニ保険金額ヲ受取ルヘカリシ場合ハ此限ニ在ラス
前項ノ規定ハ損害保険ヲ営業トスル会社ニ之ヲ準用ス
第百十条 第九十七条及ヒ前十一条ノ規定ハ商法施行前ニ設立シタル合資会社又ハ株式会社ニシテ保険ヲ営業トスルモノニ之ヲ準用ス
商法施行前ニ設立シタル会社ニシテ第九十七条ニ禁止シタル兼業ヲ為スモノハ商法施行ノ日ヨリ六个月内ニ其兼業ヲ廃止スルコトヲ要ス若シ之ニ違反シタルトキハ裁判所ハ検事ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ其保険営業ヲ禁止スルコトヲ得
第百十一条 第九十七条、第九十九条乃至第百二条、第百五条乃至第百九条及ヒ前条第二項ノ規定ハ商法施行前ニ設立シタル合名会社ニシテ保険ヲ営業トスルモノニ之ヲ準用ス
第百十二条 商法施行前ニ設立シタル合名会社ニシテ保険ヲ営業トスルモノハ財産目録及ヒ貸借対照表ヲ作ル毎ニ遅滞ナク営業報告書、損益計算書及ヒ利益ノ配当ニ関スル案ト共ニ之ヲ政府ニ差出タスコトヲ要ス
第百十三条 商法施行前ニ設立シタル合名会社ニシテ保険ヲ営業トスルモノカ財産目録及ヒ貸借対照表ヲ作ル毎ニ保険契約者、被保険者及ヒ保険金額ヲ受取ルヘキ者ハ第百四条ニ定メタル権利ヲ行フコトヲ得
第百十四条 第九十七条、第九十九条乃至第百二条及ヒ第百十条第二項ノ規定ハ商法施行前ヨリ保険事業ヲ営ム者ニ之ヲ準用ス
第百十五条 外国会社カ日本ニ支店又ハ代理店ヲ設ケテ保険事業ヲ営ム場合ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ規程ヲ設クルコトヲ得
第百十六条 保険会社ニ関スル細則ハ農商務大臣之ヲ定ム
第百十七条 明治十年第六十六号布告利息制限法第五条ノ規定ハ商事ニハ之ヲ適用セス
第百十八条 商法施行前ニ設定シタル質権ノ実行ニ付テハ別段ノ意思表示アリタル場合ヲ除ク外競売法ノ規定ヲ適用ス但取引所ノ相場アル有価証券其他ノ商品ニ在リテハ執達吏ハ取引所ニ於テ之ヲ売却スルコトヲ得
前項ノ規定ハ留置権者カ其留置物ヲ売却スル場合ニ之ヲ準用ス
第百十九条 商法施行前ニ発行シタル指図証券及ヒ無記名証券ニハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外旧商法ノ規定ヲ適用ス但民法施行法第三十条、第三十一条及ヒ第三十三条ノ準用ヲ妨ケス
第百二十条 商法第二百八十一条ノ規定ハ商法施行前ニ発行シタル指図証券及ヒ無記名証券ニモ亦之ヲ適用ス
第百二十一条 商法第二百九十九条ノ規定ハ商法施行前ニ約シタル匿名組合ニモ亦之ヲ適用ス
第百二十二条 湖川、港湾及ヒ沿岸小航海ノ範囲ハ逓信大臣之ヲ定ム
第百二十三条 手形ノ所持人ノ其前者ニ対スル償還請求権ハ支払拒絶証書ノ作成カ商法施行前ニ在リタル場合ニ於テハ其施行ノ日ヨリ支払拒絶証書ノ作成カ商法施行後ニ在リタル場合ニ於テハ其作成ノ日ヨリ六个月ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
裏書人ノ其前者ニ対スル償還請求権ハ商法施行前ニ償還ヲ為シタル場合ニ於テハ其施行ノ日ヨリ商法施行後ニ償還ヲ為シタル場合ニ於テハ其日ヨリ六个月ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
商法施行前ニ進行ヲ始メタル時効ノ残期カ商法施行ノ日ヨリ起算シテ六个月ヨリ短キトキハ時効ハ其残期ヲ経過スルニ因リテ完成ス
第百二十四条 明治十九年法律第二号公証人規則第二十八条ノ規定ハ公証人カ拒絶証書ヲ作ル場合ニハ之ヲ適用セス
第百二十五条 外国ニ於テ為シタル手形行為ノ要件ハ行為地ノ法律ニ依ル
前項ノ規定ニ拘ハラス外国ニ於テ為シタル手形行為カ日本ノ法律ニ定メタル要件ヲ具備スルトキハ外国ノ法律ニ依レハ要件ヲ具備セサルトキト雖モ爾後日本ニ於テ為シタル手形行為ハ有効トス日本人カ外国ニ於テ日本人ニ対シテ為シタル手形行為カ日本ノ法律ニ定メタル要件ヲ具備スルトキ亦同シ
第百二十六条 外国ニ於テ手形上ノ権利ヲ行使又ハ保全スル為メニ為ス行為ノ方式ハ行為地ノ法律ニ依ル
第百二十七条 商法第五百五十二条第三項ノ規定ハ商法施行前ニ選任シタル船舶管理人ニモ亦之ヲ適用ス
商法第五百五十三条ノ規定ハ商法施行ノ日ヨリ其施行前ニ選任シタル船舶管理人ニモ亦之ヲ適用ス
第百二十八条 商法第五百五十六条ノ規定ハ商法施行前ニ為シタル船舶ノ賃貸借ニモ亦之ヲ適用ス
第百二十九条 商法第五百五十八条乃至第五百六十八条及ヒ第五百七十条乃至第五百七十四条ノ規定ハ商法施行ノ日ヨリ其施行前ニ選任シタル船長ニモ亦之ヲ適用ス
第百三十条 商法第五百六十二条第一項第二号乃至第五号ニ掲ケタル書類ノ書式ハ逓信大臣之ヲ定ム
第百三十一条 委付ノ原因カ商法施行後ニ生シタルトキハ其施行前ニ為シタル保険契約ニ付テモ被保険者ハ商法ノ規定ニ従ヒテ委付ヲ為スコトヲ得
第百三十二条 船舶ノ存否カ商法施行ノ日ヨリ六个月間分明ナラサルトキハ未タ旧商法第九百六十六条第一項ノ期間ヲ経過セサルトキト雖モ其船舶ハ行方ノ知レサルモノト看做ス
第百三十三条 商法施行ノ際旧商法第九百六十九条第一項ニ定メタル三日ノ期間カ未タ満了ニ至ラサルトキハ商法施行ノ日ヨリ三个月内ニ商法第六百七十四条ニ定メタル通知ヲ発シテ委付ヲ為スコトヲ得
第百三十四条 船舶ノ先取特権ニ関スル商法ノ規定ハ其施行前ニ発生シタル債権ニ付テモ亦之ヲ適用ス
第百三十五条 第三十三条ノ規定ハ商法第六百八十四条第一項ノ規定ニ依リ為スヘキ公告ニ之ヲ準用ス
第百三十六条 船舶ノ抵当権ニ関スル商法ノ規定ハ商法施行前ニ設定シタル抵当権ニモ亦之ヲ適用ス
第百三十七条 民法施行法第二条、第三条、第三十条、第三十一条、第三十三条、第三十四条、第五十三条及ヒ第五十六条ノ規定ハ商事ニ之ヲ準用ス
第百三十八条 
明治二十三年法律第三十二号商法第九百七十八条ヲ左ノ如ク改ム
商人カ支払ヲ停止シタルトキハ裁判所ハ本人又ハ債権者ノ申立ニ因リ決定ヲ以テ破産ヲ宣告ス
裁判所ハ口頭弁論ヲ経スシテ裁判ヲ為スコトヲ得此裁判ニ対シテハ即時抗告ヲ為スコトヲ得
第百三十九条 破産宣告ノ申立ヲ為ス債権者ハ裁判所ノ定ムル所ニ従ヒ破産手続ニ必要ナル費用ヲ予納スルコトヲ要ス
債権者カ前項ノ費用ヲ予納セサルトキハ裁判所ハ破産宣告ノ申立ヲ棄却スルコトヲ得
第百四十条 本人カ破産宣告ノ申立ヲ為シタルトキハ破産手続ニ必要ナル費用ハ仮ニ国庫ヨリ之ヲ支弁スルコトヲ要ス債権者カ破産宣告ノ申立ヲ為シタル場合ニ於テ裁判所カ前条第二項ノ規定ニ依リテ其申立ヲ棄却セサルトキ亦同シ
第百四十一条 裁判所ハ破産事件ニ付キ地方裁判所又ハ区裁判所ニ法律上ノ輔助ヲ求ムルコトヲ得
第百四十二条 
明治二十三年法律第三十二号商法第千五十一条第五号ヲ左ノ如ク改ム
第五 財産目録、貸借対照表ノ作成若クハ支払停止届出ノ義務ヲ怠リタルトキ又ハ裁判所ノ許可ヲ得スシテ其住地ヲ離レタルトキ
第百四十三条 
明治二十三年法律第三十二号商法第千五十四条ヲ左ノ如ク改ム
破産宣告ヲ受ケタル債務者ハ復権ヲ得ルニ非サレハ会社ノ無限責任社員、旧商法ノ規定ニ従ヒテ設立シタル合資会社ノ業務担当社員、株式会社ノ取締役若クハ監査役、清算人、破産管財人又ハ商業会議所ノ会員ト為ルコトヲ得ス
第百四十四条 
明治二十三年法律第三十二号商法第千五十五条第三項ハ之ヲ削除ス
第百四十五条 
明治二十三年法律第三十二号商法第千五十九条ヲ左ノ如ク改ム
商人カ商行為ニ因リテ生シタル債務ニ付キ自己ノ過失ナクシテ支払ヲ中止セサルコトヲ得サルニ至リタル場合ニ於テ其債権者ノ過半数以上ノ承諾ヲ得タルトキハ営業所ノ所在地又ハ住所地ヲ管轄スル裁判所ハ一年ヲ超エサル範囲内ニ於テ支払猶予ヲ与フルコトヲ得
附 則
第百四十六条 本法ハ商法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第百四十七条 明治二十三年法律第五十九号商法施行条例ハ第二十条、第二十四条、第二十五条、第三十五条乃至第四十五条及ヒ第四十八条乃至第五十条ヲ除ク外本法施行ノ日ヨリ之ヲ廃止ス但第二十一条乃至第二十三条及ヒ第五十一条ノ規定ハ旧商法ノ規定ニ依ルヘキ場合ニ於テハ仍ホ其効力ヲ存ス