利息制限法
法令番号: 法律第100号
公布年月日: 昭和29年5月15日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

明治10年公布の利息制限法は、明治31年と大正8年の改正を経て現在に至るが、戦後の経済情勢の著しい変化により、現行法が国民経済生活に適合しなくなった。そこで政府は、現在の金融機関の金利実情を考慮し、新時代に適合する利息の限度を改めるため、現行法を廃止し新法を制定することとした。主な改正点は、金銭消費貸借の利息の最高限度の見直し、利息天引きの場合の新規定の設置、元本以外の受取金の利息みなし規定の導入、債務不履行による賠償額予定の制限である。

参照した発言:
第19回国会 衆議院 法務委員会 第24号

審議経過

第19回国会

衆議院
(昭和29年3月22日)
参議院
(昭和29年3月23日)
(昭和29年3月25日)
衆議院
(昭和29年3月26日)
(昭和29年3月27日)
(昭和29年3月31日)
参議院
(昭和29年4月2日)
衆議院
(昭和29年4月16日)
参議院
(昭和29年4月22日)
(昭和29年4月23日)
衆議院
(昭和29年4月27日)
(昭和29年4月28日)
(昭和29年4月30日)
参議院
(昭和29年5月1日)
(昭和29年5月6日)
衆議院
(昭和29年6月15日)
参議院
(昭和29年6月15日)
利息制限法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年五月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百号
利息制限法
(利息の最高限)
第一条 金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は、その利息が左の利率により計算した金額をこえるときは、その超過部分につき無効とする。
元本が十万円未満の場合 年二割
元本が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分
元本が百万円以上の場合 年一割五分
2 債務者は、前項の超過部分を任意に支払つたときは、同項の規定にかかわらず、その返還を請求することができない。
(利息の天引)
第二条 利息を天引した場合において、天引額が債務者の受領額を元本として前条第一項に規定する利率により計算した金額をこえるときは、その超過部分は、元本の支払に充てたものとみなす。
(みなし利息)
第三条 前二条の規定の適用については、金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭は、礼金、割引金、手数料、調査料その他何らの名義をもつてするを問わず、利息とみなす。但し、契約の締結及び債務の弁済の費用は、この限りでない。
(賠償額予定の制限)
第四条 金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が第一条第一項に規定する率の二倍をこえるときは、その超過部分につき無効とする。
2 第一条第二項の規定は、債務者が前項の超過部分を任意に支払つた場合に準用する。
3 前二項の規定の適用については、違約金は、賠償額の予定とみなす。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。
2 利息制限法(明治十年太政官布告第六十六号)は、廃止する。
3 商法施行法(明治三十二年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。
第九十五条から第百十七条までを次のように改める。
第九十五条乃至第百十七条 削除
4 この法律の施行前になされた契約については、なお従前の例による。
法務大臣 加藤鐐五郎
内閣総理大臣 吉田茂