朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル酒造稅法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十九年三月二十七日
內閣總理大臣臨時代理 樞密院議長 伯爵 黑田淸隆
大藏大臣 子爵 渡邊國武
法律第二十八號
酒造稅法
第一條 此ノ稅法ニ於テ酒類ト稱スルハ淸酒、濁酒、白酒、味淋、燒酎、酒精ノ六種トス
第二條 酒類ヲ製造セムトスル者ハ製造場一箇所每ニ政府ノ免許ヲ受クヘシ其ノ製造ヲ廢止セムトスルトキハ免許ノ取消ヲ求ムヘシ
第三條 其ノ年十月一日ヨリ翌年九月三十日マテヲ以テ一酒造年度トス
第四條 酒類ヲ製造スル者ニハ其ノ造石數ニ應シ左ノ割合ニ從ヒ造石稅ヲ課ス
第一種 淸酒、白酒、味淋 一石 金七圓
第二種 濁酒 一石 金六圓
第三種 燒酎酒精 一石 金八圓
但當分ノ內北海道ニ於テハ渡島國一圓後志國ノ內八郡磯谷郡歌棄郡壽都郡太櫓郡瀨棚郡久遠郡奥尻郡島牧郡膽振國ノ內一郡山越郡ヲ除ク外各種一石ニ付金一圓ヲ減ス
第五條 新ニ淸酒製造ノ免許ヲ受クル者ハ造石高百石以上ニ非サレハ許可セス
第六條 造石稅ノ納期ヲ分テ左ノ四期トス
第一期 七月一日ヨリ同十五日限
前年十月一日ヨリ其ノ年四月三十日マテ査定石數ニ係ル稅額四分ノ一
第二期 九月一日ヨリ同十五日限
同上
第三期 翌年一月一日ヨリ同十五日限
同上及其ノ年五月一日ヨリ九月三十日マテ査定石數ニ係ル稅額二分ノ一
第四期 翌年三月一日ヨリ同十五日限
前納額ノ殘數
第七條 政府ハ酒類ヲ製造スル者脫稅又ハ逋稅ヲ謀ルノ所爲アリト認ムルトキハ前條ノ納期ニ拘ラス造石稅ノ全部又ハ一部ヲ徵收スルコトヲ得
第八條 酒類ノ造石數ハ製成ノ時之ヲ査定ス
酒類ノ造石數ヲ査定スルハ容器ノ容量ニ依ル但シ淸酒ニ限リ命令ノ定ムル所ニ依リ査定石數百分二以內ノ滓引減量ヲ控除スルコトヲ得
犯則其ノ他ノ事故ニ依リ前各項ニ依リ難キ場合ニ於テハ現在ノ酒類又ハ證憑物件ニ就キ之ヲ査定ス
第九條 粕漉シタル酒類ハ粕漉ニ依リ增加シタル分ノミニ就キ其ノ造石數ヲ査定ス
第十條 酒類ヲ製造スル者ノ製造ニ係ル醪ハ左ノ場合ニ於テハ濁酒ヲ製成シタルモノトシテ其ノ造石數ヲ査定ス
一 他人ニ讓渡ストキ
二 公賣セラルヽトキ
三 飮料ニ供シ又ハ酒類製造用ノ外ニ供スルトキ
第十一條 酒類ヲ製造スル者旣ニ査定ヲ受ケタル酒類ノ造石數ニ對シテハ特ニ法律ヲ以テ定ムル場合ノ外其ノ造石稅ヲ免ルヽコトヲ得ス
第十二條 左ノ酒類ニ係ル未納ノ造石稅ハ之ヲ免除スルコトヲ得但シ製造場外ニ移出シタルモノハ此ノ限ニ在ラス
一 災害ニ罹リ酒類ノ廢棄ニ屬シタルモノ
二 酒類ノ腐敗シテ廢棄ニ屬シタルモノ
三 腐敗シタル酒類ニシテ蒸溜酒ノ製造ニ供スルモノ
四 容器ノ損傷ニ依リ酒類ノ亡失シタルモノ
第十三條 酒類ヲ製造スル者ハ納稅保證トシテ造石稅半額ニ相當スル保證物ヲ供スヘシ保證物ニ關スル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四條 左ノ場合ニ於テハ保證物ヲ免除ス
一 相當ノ納稅保證人ヲ供シタルトキ
二 納稅保證トシテ造石稅額ニ相當スル酒類ヲ保存スルトキ
三 造石稅ヲ前納シタルトキ
第十五條 酒類ヲ製造スル者稅金ヲ納メサルトキハ政府ハ納稅保證ニ供シタル保證物及保存ノ義務ヲ有スル酒類ヲ公賣シテ造石稅金ヲ徵收スヘシ但シ仍滯納アルトキ滯納處分ノ執行ヲ妨ケス
第十六條 納稅保證人ハ酒類ヲ製造スル者造石稅ヲ完納スル能ハサルトキハ納稅者トシテ其ノ義務ヲ負擔スルモノトス
第十七條 酒類ヲ製造スル者納稅保證トシテ保存ノ義務ヲ有スル酒類ハ之ヲ他人ニ讓渡シ、質入シ、消費シ又ハ製造場外ニ移出スルコトヲ得ス
第十八條 酒類ヲ製造スル者ハ造石數査定前ニ於テ其ノ酒類ヲ他人ニ讓渡シ、質入シ、消費シ又ハ製造場外ニ移出スルコトヲ得ス
第十九條 收稅官吏ハ命令ノ規程ニ依リ酒類ノ製造出入ニ關スル一切ノ帳簿書類及酒類製造上必要ナル建築物、材料、器械其ノ他ノ物件ヲ檢査シ又ハ監督上必要ノ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十條 酒類ヲ製造セサル者酒母又ハ醪ヲ製造セムトスルトキハ政府ノ免許ヲ受ケ酒類ヲ製造スル者ト等シク其ノ檢査監督ヲ受クヘシ
第二十一條 酒類ヲ製造セサル者其ノ製造ニ係ル醪ヲ飮料ニ供シ又ハ飮料トシテ讓渡シタルトキハ濁酒ヲ製造スル者トシ其ノ製造ニ係ル總石數ノ造石稅ヲ課ス
第二十二條 免許ヲ受ケスシテ酒類、酒類製造用ノ爲酒母若ハ醪ヲ製造シ又ハ他人ヨリ讓受ケタル酒母若ハ醪ヲ以テ酒類ヲ製造シタル者ハ五十圓以上五百圓以下ノ罰金ニ處ス
免許ヲ受ケスシテ醪、濁酒、白酒、燒酎、製造用ノ爲酒母一斗以下ヲ製造シ又ハ他人ヨリ讓受ケタル酒母ヲ以テ醪、濁酒、白酒、燒酎ノ一種又ハ數種ヲ通シテ三石以下ヲ製造シタル者ハ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處ス但シ本項前段ノ場合ニ於テ酒母ノ量數不明ナルモ其ノ製造シタル醪若ハ酒類ノ量數一種若ハ數種ヲ通シテ三石以下ナルトキハ仍本項ニ依ル
第二十三條 酒類ヲ製造セサル者免許ヲ受ケスシテ酒母又ハ醪ヲ製造シタルトキハ十圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十四條 酒類ヲ製造スル者詐僞其ノ他不正ノ所爲ヲ以テ造石數ノ査定ヲ免カレ又ハ免カレムトシタルトキハ其ノ石數ノ造石稅三倍ニ相當スル罰金若ハ科料ニ處ス
第二十五條 酒類ヲ製造スル者故意ニ事故ヲ作爲シ又ハ詐術ヲ構ヘ造石稅ノ免除ヲ得又ハ得ムトシタルトキハ其ノ石數ノ造石稅三倍ニ相當スル罰金若ハ科料ニ處ス
第二十六條 納稅保證トシテ保存ノ義務ヲ有スル酒類ヲ他人ニ讓渡シタル者滯納處分ヲ受クルモ仍稅金ヲ完納スルコト能ハサルトキハ其ノ不足造石稅ノ三倍ニ相當スル罰金若ハ科料ニ處ス
第二十七條 酒類製造用ト否トヲ問ハス其ノ製造シタル酒母又ハ醪ノ檢査ヲ受ケサル者ハ十圓以上三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十八條 酒類ヲ製造スル者第十七條又ハ第十八條ノ禁令ヲ犯シタルトキハ五圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十九條 酒類ヲ製造スル者酒類ノ製造出入ニ關シ帳簿ノ記載又ハ事實ノ申吿ヲ詐リタル者ハ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處シ帳簿ノ記載ヲ怠リタル者ハ五錢以上一圓九十五錢以下ノ科料ニ處ス
第三十條 酒類ヲ製造スル者收稅官吏ノ職務執行ヲ拒ミ又ハ之ヲ忌避シ又ハ之ニ支障ヲ加ヘタルトキハ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處ス其ノ刑法ニ正條アルモノハ刑法ニ依ル
第三十一條 此ノ稅法ヲ犯シタル者ニハ刑法ノ不論罪及減輕、再犯加重、數罪俱發ノ例ヲ用井ス但シ刑法第七十五條第一項ノ場合ハ此ノ限ニ在ラス
第三十二條 酒類ヲ製造スル者ノ代理人、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ニシテ其ノ業務ニ關シ此ノ稅法ヲ犯シタルトキハ製造主ハ自己ノ指揮ニ出サルノ故ヲ以テ此ノ稅法ノ處罰ヲ免ルコトヲ得ス
第三十三條 第二十九條乃至第三十二條ハ酒類ヲ製造セサル者ニシテ酒母又ハ醪ヲ製造スル者ニモ適用ス
第三十四條 酒類ヲ製造シタル者ハ其ノ製造ヲ廢止スルモ造石稅完納前ニアリテハ總テ此ノ稅法ノ規程ニ從フモノトス
第三十五條 府縣及市町村ハ此ノ稅法ニ依リ造石稅ヲ課スル酒類ニ對シ特令アルモノヲ除キ府縣稅若ハ地方稅及市町村稅町村費ヲ課スルコトヲ得ス
附 則
第三十六條 神社ニ於テ古例ニ依リ明治十三年以前ヨリ引續酒類ヲ製造スルトキハ一年ノ製造石數一石以下ノ場合ニ限リ總テ無稅トス
第三十七條 此ノ稅法ハ明治二十九年十月一日ヨリ施行ス但シ明治十三年布吿第四十號同年布吿第四十一號同十六年布吿第四十二號及同二十二年法律第二十四號ハ此ノ稅法施行ノ日ヨリ廢止ス
明治二十九年九月三十日前檢査濟石數ニ係ル造石稅ニ關シテハ仍明治十三年布吿第四十號ニ依ル
第三十八條 沖繩縣、東京府管下小笠原島伊豆七島ニハ當分此ノ稅法ヲ施行セス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル酒造税法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十九年三月二十七日
内閣総理大臣臨時代理 枢密院議長 伯爵 黒田清隆
大蔵大臣 子爵 渡辺国武
法律第二十八号
酒造税法
第一条 此ノ税法ニ於テ酒類ト称スルハ清酒、濁酒、白酒、味淋、焼酎、酒精ノ六種トス
第二条 酒類ヲ製造セムトスル者ハ製造場一箇所毎ニ政府ノ免許ヲ受クヘシ其ノ製造ヲ廃止セムトスルトキハ免許ノ取消ヲ求ムヘシ
第三条 其ノ年十月一日ヨリ翌年九月三十日マテヲ以テ一酒造年度トス
第四条 酒類ヲ製造スル者ニハ其ノ造石数ニ応シ左ノ割合ニ従ヒ造石税ヲ課ス
第一種 清酒、白酒、味淋 一石 金七円
第二種 濁酒 一石 金六円
第三種 焼酎酒精 一石 金八円
但当分ノ内北海道ニ於テハ渡島国一円後志国ノ内八郡磯谷郡歌棄郡寿都郡太櫓郡瀬棚郡久遠郡奥尻郡島牧郡胆振国ノ内一郡山越郡ヲ除ク外各種一石ニ付金一円ヲ減ス
第五条 新ニ清酒製造ノ免許ヲ受クル者ハ造石高百石以上ニ非サレハ許可セス
第六条 造石税ノ納期ヲ分テ左ノ四期トス
第一期 七月一日ヨリ同十五日限
前年十月一日ヨリ其ノ年四月三十日マテ査定石数ニ係ル税額四分ノ一
第二期 九月一日ヨリ同十五日限
同上
第三期 翌年一月一日ヨリ同十五日限
同上及其ノ年五月一日ヨリ九月三十日マテ査定石数ニ係ル税額二分ノ一
第四期 翌年三月一日ヨリ同十五日限
前納額ノ残数
第七条 政府ハ酒類ヲ製造スル者脱税又ハ逋税ヲ謀ルノ所為アリト認ムルトキハ前条ノ納期ニ拘ラス造石税ノ全部又ハ一部ヲ徴収スルコトヲ得
第八条 酒類ノ造石数ハ製成ノ時之ヲ査定ス
酒類ノ造石数ヲ査定スルハ容器ノ容量ニ依ル但シ清酒ニ限リ命令ノ定ムル所ニ依リ査定石数百分二以内ノ滓引減量ヲ控除スルコトヲ得
犯則其ノ他ノ事故ニ依リ前各項ニ依リ難キ場合ニ於テハ現在ノ酒類又ハ証憑物件ニ就キ之ヲ査定ス
第九条 粕漉シタル酒類ハ粕漉ニ依リ増加シタル分ノミニ就キ其ノ造石数ヲ査定ス
第十条 酒類ヲ製造スル者ノ製造ニ係ル醪ハ左ノ場合ニ於テハ濁酒ヲ製成シタルモノトシテ其ノ造石数ヲ査定ス
一 他人ニ譲渡ストキ
二 公売セラルヽトキ
三 飲料ニ供シ又ハ酒類製造用ノ外ニ供スルトキ
第十一条 酒類ヲ製造スル者既ニ査定ヲ受ケタル酒類ノ造石数ニ対シテハ特ニ法律ヲ以テ定ムル場合ノ外其ノ造石税ヲ免ルヽコトヲ得ス
第十二条 左ノ酒類ニ係ル未納ノ造石税ハ之ヲ免除スルコトヲ得但シ製造場外ニ移出シタルモノハ此ノ限ニ在ラス
一 災害ニ罹リ酒類ノ廃棄ニ属シタルモノ
二 酒類ノ腐敗シテ廃棄ニ属シタルモノ
三 腐敗シタル酒類ニシテ蒸溜酒ノ製造ニ供スルモノ
四 容器ノ損傷ニ依リ酒類ノ亡失シタルモノ
第十三条 酒類ヲ製造スル者ハ納税保証トシテ造石税半額ニ相当スル保証物ヲ供スヘシ保証物ニ関スル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四条 左ノ場合ニ於テハ保証物ヲ免除ス
一 相当ノ納税保証人ヲ供シタルトキ
二 納税保証トシテ造石税額ニ相当スル酒類ヲ保存スルトキ
三 造石税ヲ前納シタルトキ
第十五条 酒類ヲ製造スル者税金ヲ納メサルトキハ政府ハ納税保証ニ供シタル保証物及保存ノ義務ヲ有スル酒類ヲ公売シテ造石税金ヲ徴収スヘシ但シ仍滞納アルトキ滞納処分ノ執行ヲ妨ケス
第十六条 納税保証人ハ酒類ヲ製造スル者造石税ヲ完納スル能ハサルトキハ納税者トシテ其ノ義務ヲ負担スルモノトス
第十七条 酒類ヲ製造スル者納税保証トシテ保存ノ義務ヲ有スル酒類ハ之ヲ他人ニ譲渡シ、質入シ、消費シ又ハ製造場外ニ移出スルコトヲ得ス
第十八条 酒類ヲ製造スル者ハ造石数査定前ニ於テ其ノ酒類ヲ他人ニ譲渡シ、質入シ、消費シ又ハ製造場外ニ移出スルコトヲ得ス
第十九条 収税官吏ハ命令ノ規程ニ依リ酒類ノ製造出入ニ関スル一切ノ帳簿書類及酒類製造上必要ナル建築物、材料、器械其ノ他ノ物件ヲ検査シ又ハ監督上必要ノ処分ヲ為スコトヲ得
第二十条 酒類ヲ製造セサル者酒母又ハ醪ヲ製造セムトスルトキハ政府ノ免許ヲ受ケ酒類ヲ製造スル者ト等シク其ノ検査監督ヲ受クヘシ
第二十一条 酒類ヲ製造セサル者其ノ製造ニ係ル醪ヲ飲料ニ供シ又ハ飲料トシテ譲渡シタルトキハ濁酒ヲ製造スル者トシ其ノ製造ニ係ル総石数ノ造石税ヲ課ス
第二十二条 免許ヲ受ケスシテ酒類、酒類製造用ノ為酒母若ハ醪ヲ製造シ又ハ他人ヨリ譲受ケタル酒母若ハ醪ヲ以テ酒類ヲ製造シタル者ハ五十円以上五百円以下ノ罰金ニ処ス
免許ヲ受ケスシテ醪、濁酒、白酒、焼酎、製造用ノ為酒母一斗以下ヲ製造シ又ハ他人ヨリ譲受ケタル酒母ヲ以テ醪、濁酒、白酒、焼酎ノ一種又ハ数種ヲ通シテ三石以下ヲ製造シタル者ハ三円以上三十円以下ノ罰金ニ処ス但シ本項前段ノ場合ニ於テ酒母ノ量数不明ナルモ其ノ製造シタル醪若ハ酒類ノ量数一種若ハ数種ヲ通シテ三石以下ナルトキハ仍本項ニ依ル
第二十三条 酒類ヲ製造セサル者免許ヲ受ケスシテ酒母又ハ醪ヲ製造シタルトキハ十円以上百円以下ノ罰金ニ処ス
第二十四条 酒類ヲ製造スル者詐偽其ノ他不正ノ所為ヲ以テ造石数ノ査定ヲ免カレ又ハ免カレムトシタルトキハ其ノ石数ノ造石税三倍ニ相当スル罰金若ハ科料ニ処ス
第二十五条 酒類ヲ製造スル者故意ニ事故ヲ作為シ又ハ詐術ヲ構ヘ造石税ノ免除ヲ得又ハ得ムトシタルトキハ其ノ石数ノ造石税三倍ニ相当スル罰金若ハ科料ニ処ス
第二十六条 納税保証トシテ保存ノ義務ヲ有スル酒類ヲ他人ニ譲渡シタル者滞納処分ヲ受クルモ仍税金ヲ完納スルコト能ハサルトキハ其ノ不足造石税ノ三倍ニ相当スル罰金若ハ科料ニ処ス
第二十七条 酒類製造用ト否トヲ問ハス其ノ製造シタル酒母又ハ醪ノ検査ヲ受ケサル者ハ十円以上三百円以下ノ罰金ニ処ス
第二十八条 酒類ヲ製造スル者第十七条又ハ第十八条ノ禁令ヲ犯シタルトキハ五円以上五十円以下ノ罰金ニ処ス
第二十九条 酒類ヲ製造スル者酒類ノ製造出入ニ関シ帳簿ノ記載又ハ事実ノ申告ヲ詐リタル者ハ三円以上三十円以下ノ罰金ニ処シ帳簿ノ記載ヲ怠リタル者ハ五銭以上一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス
第三十条 酒類ヲ製造スル者収税官吏ノ職務執行ヲ拒ミ又ハ之ヲ忌避シ又ハ之ニ支障ヲ加ヘタルトキハ三円以上三十円以下ノ罰金ニ処ス其ノ刑法ニ正条アルモノハ刑法ニ依ル
第三十一条 此ノ税法ヲ犯シタル者ニハ刑法ノ不論罪及減軽、再犯加重、数罪俱発ノ例ヲ用井ス但シ刑法第七十五条第一項ノ場合ハ此ノ限ニ在ラス
第三十二条 酒類ヲ製造スル者ノ代理人、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ニシテ其ノ業務ニ関シ此ノ税法ヲ犯シタルトキハ製造主ハ自己ノ指揮ニ出サルノ故ヲ以テ此ノ税法ノ処罰ヲ免ルコトヲ得ス
第三十三条 第二十九条乃至第三十二条ハ酒類ヲ製造セサル者ニシテ酒母又ハ醪ヲ製造スル者ニモ適用ス
第三十四条 酒類ヲ製造シタル者ハ其ノ製造ヲ廃止スルモ造石税完納前ニアリテハ総テ此ノ税法ノ規程ニ従フモノトス
第三十五条 府県及市町村ハ此ノ税法ニ依リ造石税ヲ課スル酒類ニ対シ特令アルモノヲ除キ府県税若ハ地方税及市町村税町村費ヲ課スルコトヲ得ス
附 則
第三十六条 神社ニ於テ古例ニ依リ明治十三年以前ヨリ引続酒類ヲ製造スルトキハ一年ノ製造石数一石以下ノ場合ニ限リ総テ無税トス
第三十七条 此ノ税法ハ明治二十九年十月一日ヨリ施行ス但シ明治十三年布告第四十号同年布告第四十一号同十六年布告第四十二号及同二十二年法律第二十四号ハ此ノ税法施行ノ日ヨリ廃止ス
明治二十九年九月三十日前検査済石数ニ係ル造石税ニ関シテハ仍明治十三年布告第四十号ニ依ル
第三十八条 沖縄県、東京府管下小笠原島伊豆七島ニハ当分此ノ税法ヲ施行セス