(酒造税法中改正法律)
法令番号: 法律第二十三號
公布年月日: 明治31年12月28日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル酒造稅法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十一年十二月二十七日
內閣總理大臣 侯爵 山縣有朋
大藏大臣 伯爵 松方正義
法律第二十三號
明治二十九年法律第二十八號酒造稅法中左ノ通改正ス
第四條 酒類ヲ製造スル者ニハ其ノ造石數ニ應シ左ノ割合ニ從ヒ造石稅ヲ課ス
第一種 淸酒、濁酒、白酒、味淋 一石 金十二圓
第二種 燒酎、酒精 一石 金十三圓
攝氏驗溫器十五度ノトキニ於テ原容量百分中酒精ノ容量第一種ニ在テハ二十第二種ニ在テハ五十ヲ超過スルトキハ百分ノ一ヲ增ス每ニ前項ノ金額ニ一圓ヲ加フ
第五條 政府ハ一酒造年度間淸酒ハ百石濁酒ハ五十石燒酎、酒精ハ五石以上ヲ製造スル者ニ非サレハ酒類製造ノ免許ヲ與ヘス但シ淸酒又ハ濁酒制限石數以上ヲ製造スル者ニハ他ノ酒類ニ關スル制限ヲ適用セス
酒類製造ノ免許ヲ受ケタル者本條ノ制限石數以上ノ製造ヲ爲ササリシトキハ變災其ノ他已ムヲ得サル事故ニ因ルコトヲ證明スルニ非サレハ制限石數ニ相當スル造石稅ヲ課ス但シ其ノ製造セサリシ石數ニ對シテハ其ノ年五月一日ヨリ九月三十日マテニ査定シタルモノト看做シ第四條第一項ノ稅率ニ依リ其ノ造石稅ヲ徵收ス
第六條 造石稅ノ納期ヲ分テ左ノ四期トス
第一期 七月十六日ヨリ同三十一日限
前年十月一日ヨリ其ノ年四月三十日マテ査定石數ニ係ル稅額四分ノ一
第二期 十月十六日ヨリ同三十一日限
同上
第三期 翌年二月十六日ヨリ同二十八日限
同上及其ノ年五月一日ヨリ九月三十日マテ査定石數ニ係ル稅額二分ノ一
第四期 翌年三月十六日ヨリ同三十一日限
前納額ノ殘數
第七條中「逋稅ヲ謀ルノ所爲アリト認ムルトキ」ノ下ニ「若ハ納稅保證物ノ免除ヲ得スシテ保證物ノ提供ヲ爲ササルトキ」ヲ加フ
第十二條 左ノ酒類ハ其ノ造石稅ヲ免除スルコトヲ得但シ製造場外ニ移出シタルモノハ此ノ限ニ在ラス
一 災害ニ罹リ酒類ノ廢棄ニ屬シタルモノ
二 腐敗シタル酒類ニシテ政府ノ承認ヲ得酒類トシテ飮用スヘカラサル處置ヲ施シタルモノ
三 腐敗シタル酒類又ハ災害ニ罹リ飮用スヘカラサルニ至リタル酒類ニシテ第二種ノ酒類ノ製造ニ供スルモノ
四 容器ノ損傷若ハ塞栓ノ自然ノ脫去ニ依リ酒類ノ亡失シタルモノ
第十三條 酒類ヲ製造スル者ハ納稅保證トシテ一酒造年度見込造石數一石ニ付金四圓ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ニ相當スル保證物ヲ豫メ提供スヘシ但シ政府ノ許可ヲ受ケ造石數査定ノ都度本條ノ割合ヲ以テ保證物ヲ提供スルコトヲ得
每酒造年度ノ見込造石數又ハ査定石數前項ノ見込造石數ヨリ十石以上增加シタルトキハ其ノ石數ニ應シ前項ノ割合ニ依リ保證物ヲ增補スヘシ
每酒造年度ノ見込造石數又ハ査定石數第一項ノ見込造石數ヨリ十石以上減少シタルトキハ其ノ石數ニ應シ第一項ノ割合ニ依リ保證物ノ減少ヲ請フコトヲ得
酒類ヲ製造スル者此ノ法律ヲ犯シテ處罰セラレタルトキ又ハ造石稅ニ關シテ滯納處分ヲ受ケタルトキハ爾後三年間政府ハ造石稅全額マテノ保證物提供ヲ命スルコトヲ得
前三項ノ場合及保證物ノ價格ニ異動ヲ生シタル場合ヲ除クノ外保證物ノ增減ヲ爲サス
保證物ニ關スル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四條ニ左ノ一號ヲ加フ
四 酒類ヲ製造スル者ノ屬スル酒造組合ニ於テ納稅ヲ擔保シタルトキ
第十五條 酒類ヲ製造スル者造石稅ヲ納メサルニ依リ滯納處分ヲ執行スルトキハ先ツ保證物又ハ保存ノ義務ヲ有スル酒類ヲ公賣シテ稅金ヲ徵收スヘシ但シ保證物又ハ保存ノ義務ヲ有スル酒類ノ價格徵收スヘキ稅金額及滯納處分費ニ對シ不足アリト認ムルトキハ同時ニ他ノ財產ニ就キ滯納處分ノ執行ヲ爲スコトヲ妨ケス
第十六條 酒類ヲ製造スル者造石稅ヲ完納スル能ハサルトキハ納稅保證人又ハ納稅ヲ擔保シタル酒造組合ノ各組合員ハ納稅者トシテ其ノ義務ヲ負擔スルモノトス
第二十一條 酒類ヲ製造セサル者ノ製造シタル醪ハ他人ニ讓渡シ、質入シ、飮料トシテ消費シ又ハ政府ノ承認ヲ受ケスシテ製造場外ニ移出スルコトヲ得ス
第二十二條 免許ヲ受ケスシテ酒類又ハ酒類製造用ノ酒母若ハ醪ヲ製造シタル者ハ二十圓以上千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ニ依リ處罰セラレタル者又ハ間接國稅犯則者處分法第十一條ニ依リ處分セラレタル者ニハ其ノ造石數ニ應シ造石稅ヲ課ス但シ酒母、醪ハ第四條第一種ノ稅率ニ從フ
前項ノ造石稅ハ其ノ際直ニ之ヲ納ムヘシ
第二十三條中「百圓」ヲ「二百圓」ニ改ム
第二十三條ノ二 酒類ヲ製造セサル者第二十一條ノ禁令ヲ犯シタルトキハ五圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十三條ノ三 前二條ニ依リ處罰セラレタル者又ハ間接國稅犯則者處分法第十一條ニ依リ處分セラレタル者ハ濁酒ヲ製造シタル者トシ其ノ製造ニ係ル總石數ノ造石稅ヲ課ス
前項ノ造石稅ハ其ノ際直ニ之ヲ納ムヘシ
第二十七條中「受ケサル」ヲ「免レ又ハ免レムトシタル」ニ改ム
第三十五條 府縣及市町村ハ此ノ法律ニ依リ造石稅ヲ課スル酒類ニ對シ又ハ其ノ酒類ノ造石數若ハ造石稅ヲ標準トシテ府縣稅若ハ地方稅及市町村稅其ノ他如何ナル名義ヲ以テスルモ課稅スルコトヲ得ス
第三十八條ノ次ニ左ノ二條ヲ加フ
第三十九條 沖繩縣ヲ除ク外此ノ法律ヲ施行セサル地ニ於テ製造シタル酒類ハ此ノ法律施行地ニ移出スルコトヲ得ス犯ス者ハ其ノ酒類ノ石數ニ應シ第四條ノ稅率ニ從テ算出シタル稅額三倍ニ相當スル罰金又ハ科料ニ處シ其ノ酒類ハ何人ノ所有ニ屬スルヲ問ハス之ヲ沒收ス
第四十條 酒類ヲ製造スル者ハ府縣若ハ稅務署管內ヲ一區域トシテ酒造組合ヲ設クヘシ組合ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
此ノ法律ハ明治三十二年一月一日ヨリ施行シ同日以後製成ニ係ル酒類ニハ其ノ製造著手ノ時期ニ拘ハラス此ノ法律ヲ適用ス
此ノ法律施行前旣ニ免許ヲ受ケタル者ニハ三十一年度及三十二年度分ニ限リ第五條第二項ノ規定ヲ適用セス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル酒造税法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十一年十二月二十七日
内閣総理大臣 侯爵 山県有朋
大蔵大臣 伯爵 松方正義
法律第二十三号
明治二十九年法律第二十八号酒造税法中左ノ通改正ス
第四条 酒類ヲ製造スル者ニハ其ノ造石数ニ応シ左ノ割合ニ従ヒ造石税ヲ課ス
第一種 清酒、濁酒、白酒、味淋 一石 金十二円
第二種 焼酎、酒精 一石 金十三円
摂氏験温器十五度ノトキニ於テ原容量百分中酒精ノ容量第一種ニ在テハ二十第二種ニ在テハ五十ヲ超過スルトキハ百分ノ一ヲ増ス毎ニ前項ノ金額ニ一円ヲ加フ
第五条 政府ハ一酒造年度間清酒ハ百石濁酒ハ五十石焼酎、酒精ハ五石以上ヲ製造スル者ニ非サレハ酒類製造ノ免許ヲ与ヘス但シ清酒又ハ濁酒制限石数以上ヲ製造スル者ニハ他ノ酒類ニ関スル制限ヲ適用セス
酒類製造ノ免許ヲ受ケタル者本条ノ制限石数以上ノ製造ヲ為ササリシトキハ変災其ノ他已ムヲ得サル事故ニ因ルコトヲ証明スルニ非サレハ制限石数ニ相当スル造石税ヲ課ス但シ其ノ製造セサリシ石数ニ対シテハ其ノ年五月一日ヨリ九月三十日マテニ査定シタルモノト看做シ第四条第一項ノ税率ニ依リ其ノ造石税ヲ徴収ス
第六条 造石税ノ納期ヲ分テ左ノ四期トス
第一期 七月十六日ヨリ同三十一日限
前年十月一日ヨリ其ノ年四月三十日マテ査定石数ニ係ル税額四分ノ一
第二期 十月十六日ヨリ同三十一日限
同上
第三期 翌年二月十六日ヨリ同二十八日限
同上及其ノ年五月一日ヨリ九月三十日マテ査定石数ニ係ル税額二分ノ一
第四期 翌年三月十六日ヨリ同三十一日限
前納額ノ残数
第七条中「逋税ヲ謀ルノ所為アリト認ムルトキ」ノ下ニ「若ハ納税保証物ノ免除ヲ得スシテ保証物ノ提供ヲ為ササルトキ」ヲ加フ
第十二条 左ノ酒類ハ其ノ造石税ヲ免除スルコトヲ得但シ製造場外ニ移出シタルモノハ此ノ限ニ在ラス
一 災害ニ罹リ酒類ノ廃棄ニ属シタルモノ
二 腐敗シタル酒類ニシテ政府ノ承認ヲ得酒類トシテ飲用スヘカラサル処置ヲ施シタルモノ
三 腐敗シタル酒類又ハ災害ニ罹リ飲用スヘカラサルニ至リタル酒類ニシテ第二種ノ酒類ノ製造ニ供スルモノ
四 容器ノ損傷若ハ塞栓ノ自然ノ脱去ニ依リ酒類ノ亡失シタルモノ
第十三条 酒類ヲ製造スル者ハ納税保証トシテ一酒造年度見込造石数一石ニ付金四円ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ニ相当スル保証物ヲ予メ提供スヘシ但シ政府ノ許可ヲ受ケ造石数査定ノ都度本条ノ割合ヲ以テ保証物ヲ提供スルコトヲ得
毎酒造年度ノ見込造石数又ハ査定石数前項ノ見込造石数ヨリ十石以上増加シタルトキハ其ノ石数ニ応シ前項ノ割合ニ依リ保証物ヲ増補スヘシ
毎酒造年度ノ見込造石数又ハ査定石数第一項ノ見込造石数ヨリ十石以上減少シタルトキハ其ノ石数ニ応シ第一項ノ割合ニ依リ保証物ノ減少ヲ請フコトヲ得
酒類ヲ製造スル者此ノ法律ヲ犯シテ処罰セラレタルトキ又ハ造石税ニ関シテ滞納処分ヲ受ケタルトキハ爾後三年間政府ハ造石税全額マテノ保証物提供ヲ命スルコトヲ得
前三項ノ場合及保証物ノ価格ニ異動ヲ生シタル場合ヲ除クノ外保証物ノ増減ヲ為サス
保証物ニ関スル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四条ニ左ノ一号ヲ加フ
四 酒類ヲ製造スル者ノ属スル酒造組合ニ於テ納税ヲ担保シタルトキ
第十五条 酒類ヲ製造スル者造石税ヲ納メサルニ依リ滞納処分ヲ執行スルトキハ先ツ保証物又ハ保存ノ義務ヲ有スル酒類ヲ公売シテ税金ヲ徴収スヘシ但シ保証物又ハ保存ノ義務ヲ有スル酒類ノ価格徴収スヘキ税金額及滞納処分費ニ対シ不足アリト認ムルトキハ同時ニ他ノ財産ニ就キ滞納処分ノ執行ヲ為スコトヲ妨ケス
第十六条 酒類ヲ製造スル者造石税ヲ完納スル能ハサルトキハ納税保証人又ハ納税ヲ担保シタル酒造組合ノ各組合員ハ納税者トシテ其ノ義務ヲ負担スルモノトス
第二十一条 酒類ヲ製造セサル者ノ製造シタル醪ハ他人ニ譲渡シ、質入シ、飲料トシテ消費シ又ハ政府ノ承認ヲ受ケスシテ製造場外ニ移出スルコトヲ得ス
第二十二条 免許ヲ受ケスシテ酒類又ハ酒類製造用ノ酒母若ハ醪ヲ製造シタル者ハ二十円以上千円以下ノ罰金ニ処ス
前項ニ依リ処罰セラレタル者又ハ間接国税犯則者処分法第十一条ニ依リ処分セラレタル者ニハ其ノ造石数ニ応シ造石税ヲ課ス但シ酒母、醪ハ第四条第一種ノ税率ニ従フ
前項ノ造石税ハ其ノ際直ニ之ヲ納ムヘシ
第二十三条中「百円」ヲ「二百円」ニ改ム
第二十三条ノ二 酒類ヲ製造セサル者第二十一条ノ禁令ヲ犯シタルトキハ五円以上五十円以下ノ罰金ニ処ス
第二十三条ノ三 前二条ニ依リ処罰セラレタル者又ハ間接国税犯則者処分法第十一条ニ依リ処分セラレタル者ハ濁酒ヲ製造シタル者トシ其ノ製造ニ係ル総石数ノ造石税ヲ課ス
前項ノ造石税ハ其ノ際直ニ之ヲ納ムヘシ
第二十七条中「受ケサル」ヲ「免レ又ハ免レムトシタル」ニ改ム
第三十五条 府県及市町村ハ此ノ法律ニ依リ造石税ヲ課スル酒類ニ対シ又ハ其ノ酒類ノ造石数若ハ造石税ヲ標準トシテ府県税若ハ地方税及市町村税其ノ他如何ナル名義ヲ以テスルモ課税スルコトヲ得ス
第三十八条ノ次ニ左ノ二条ヲ加フ
第三十九条 沖縄県ヲ除ク外此ノ法律ヲ施行セサル地ニ於テ製造シタル酒類ハ此ノ法律施行地ニ移出スルコトヲ得ス犯ス者ハ其ノ酒類ノ石数ニ応シ第四条ノ税率ニ従テ算出シタル税額三倍ニ相当スル罰金又ハ科料ニ処シ其ノ酒類ハ何人ノ所有ニ属スルヲ問ハス之ヲ没収ス
第四十条 酒類ヲ製造スル者ハ府県若ハ税務署管内ヲ一区域トシテ酒造組合ヲ設クヘシ組合ニ関スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
此ノ法律ハ明治三十二年一月一日ヨリ施行シ同日以後製成ニ係ル酒類ニハ其ノ製造著手ノ時期ニ拘ハラス此ノ法律ヲ適用ス
此ノ法律施行前既ニ免許ヲ受ケタル者ニハ三十一年度及三十二年度分ニ限リ第五条第二項ノ規定ヲ適用セス