朕作業及鐵道會計規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十三年三月二十日
大藏大臣 伯爵 松方正義
陸軍大臣 伯爵 大山巖
遞信大臣 伯爵 後藤象二郞
農商務大臣 岩村通俊
勅令第三十三號
作業及鐵道會計規則
第一章 歲入歲出
第一條 左ノ諸收入ヲ以テ作業所ノ歲入トス
第一 作業上ノ收入
第二 附屬雜收入
第二條 造幣局、印刷局、富岡製絲所、電信燈臺用品製造所、廣島鑛山ニ於テハ左ノ諸費ヲ以テ歲出トス
第一 技術員ノ俸給諸給旅費
第二 職工人夫ニ給スル諸費
第三 作業用器具機械ノ維持修理及補充費
第四 材料素品購入代
第五 動力費
第六 作業場用備品消耗品費
第七 建物築造道路船舶ノ維持修理及補充費
第八 損失金
第三條 東京砲兵工廠、大阪砲兵工廠ニ於テハ左ノ諸費ヲ以テ歲出トス
第一 職工人夫ニ給スル諸費
第二 作業用器具機械ノ維持修理及補充費
第三 材料素品購入代
第四 機械運轉用品購入代
第五 作業場用備品消耗品費
第六 損失金
第四條 千住製絨所ニ於テハ左ノ諸費ヲ以テ歲出トス
第一 事務員技術員ノ俸給諸給旅費
第二 事務所費
第三 職工人夫ニ給スル諸費
第四 作業用器具機械ノ維持修理及補充費
第五 材料素品購入代
第六 機械運轉用品購入代
第七 作業場用備品消耗品費
第八 生產品販賣諸費
第九 土地建物ノ維持修理費
第十 損失金
第五條 鐵道事業ニ於テハ左ノ諸費ヲ以テ歲出トス
第一 營業ニ從事スル職員ノ俸給諸給旅費
第二 職工人夫ニ給スル諸費
第三 鐵道築造物建物車輛器具機械ノ維持修理及補充費
第四 材料素品購入代
第五 汽車及機械運轉用品購入代
第六 營業事務所停車場機械場客車用備品消耗品費
第七 損害賠償金
第八 訴訟費
第九 手數料保險料借料廣吿料謝金外國注文品監査費其他營業上ノ雜費
第十 運輸收入割戾金
第十一 損失金
第二章 豫算決算
第六條 歲入歲出ノ豫定計算書ハ所管大臣之ヲ調製シ前年度六月三十日マテニ各省豫定經費要求書ト俱ニ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
第七條 歲入歲出ノ豫定計算書ハ科目ヲ分チ成ルヘク歲入ノ性質歲出ノ用途ヲ明示スヘシ
第八條 所管大臣ハ其年三月三十一日ニ終リタル會計年度ノ受拂勘定表及固定資本價格增減表ヲ調製シ歲入歲出ノ豫定計算書ニ添付スヘシ
第九條 歲入歲出ノ決定計算書ハ所管大臣之ヲ調製シ翌年度八月三十一日マテニ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
第三章 收入支出
第十條 歲入歲出ノ豫算ハ決定ノ後豫備費ヲ除キ所管大臣各作業事務長ニ命シテ之ヲ執行セシムヘシ
各省大臣ハ作業支部局長ヲシテ歲出豫算ノ一部ヲ執行セシメントスルトキハ仕拂豫算ヲ以テ之ヲ命スヘシ
仕拂豫算ニ關スル規程ハ會計規則第十一條第十二條第十三條ニ依ルヘシ
第十一條 豫備費ノ支出ハ會計規則第十九條第二十條第二十四條ニ依ルヘシ
第十二條 作業所ノ收入官吏ハ會計規則第二十五條第二十六條第二十八條若クハ第二十九條ノ手續ニ依リ收入ヲ取扱フヘシ
第十三條 作業所ハ据置運轉資本ニ屬スル現金ノ持越高及當該年度ノ收入濟歲入額ヲ以テ仕拂元受高トシ歲出ヲ支出スルハ此仕拂元受高ヲ超過スルヲ得ス
第十四條 作業事務長又ハ作業支部局長ハ歲出ヲ支出スル爲メ金庫ニ向テ仕拂請求書ヲ發スヘシ
第十五條 仕拂請求書ヲ發スル官吏ハ正當債主若クハ其代理人ノ爲メニスルニアラサレハ仕拂請求書ヲ發スルヲ得ス但俸給諸給ヲ除キ支部局及派出工場ニ於テ仕拂ヲナス經費外國ニ於テ仕拂ヲナス經費職工人夫ノ給料諸手當ハ仕拂請求書ヲ發シ主任ノ官吏又ハ外國派出ノ官吏ヲ仕拂官吏トシテ現金ノ前渡ヲナスコトヲ得
第十六條 仕拂請求書ヲ發スル官吏ハ總テ仕拂請求書ヲ發スル前其支出ハ正當ニシテ必要ナルヤヲ調査シ其金額ヲ算定シ又其支出ハ豫算ノ目的ニ違フコトナキヤ金額ハ豫算定額及仕拂元受高ニ超過スルコトナキヤヲ調査スヘシ
第十七條 仕拂請求書ニハ債主若クハ其代理人ノ氏名仕拂ヲ請求スル金額支出科目年度番號支出ノ目的ヲ記載スヘシ但俸給諸給ニ限リ集合仕拂請求書ヲ發シ別ニ各受取人ノ金額氏名表ヲ添ユルコトヲ得
現金前渡ノ仕拂請求書ニハ前渡ヲ受クヘキ官吏ノ資格氏名前渡ヲナスヘキ金額支出科目年度番號支出ノ目的ヲ記載スヘシ
第十八條 仕拂請求書取扱ノ手續ハ會計規則第三十五條第三十六條第三十八條仕拂命令取扱ノ例ニ依ル
第十九條 各年度ノ歲出ニ屬スル仕拂請求書ヲ發スルハ每年度三月三十一日ヲ限リトス
第二十條 現金前渡ヲ受タル官吏監督ノ規則ハ大藏大臣所管大臣ニ協議シテ之ヲ定ムヘシ
第二十一條 金庫ニ於テ仕拂請求書ニ對シテ仕拂ヲ執行シ又ハ之ヲ拒絕スルハ會計規則第四十三條第四十五條第四十六條仕拂命令取扱ノ例ニ依ル
第二十二條 每年度內ニ收入ヲナスヘキ權利ヲ得テ當該年度內ニ收入濟トナラサルモノハ收入未濟トシテ順次翌年度ヘ繰越シ現ニ收入ヲナシタル年度ノ歲入ニ組入ルヘシ
第二十三條 每年度內ニ仕拂ヲナスヘキ義務ヲ生シ當該年度內ニ仕拂請求書ヲ發セサルモノハ支出未濟トシテ順次翌年度ヘ繰越シ當該年度經過後滿五箇年內ハ支出ノ請求アル每ニ仕拂請求書ヲ發スヘシ但支出未濟ノ繰越額ハ支出調定濟額ト合シテ豫算定額ヲ超過スルヲ得ス
第二十四條 每年度內ニ於テ仕拂請求書ヲ發シ金庫ニ於テ仕拂ノ請求ヲ受ケサルモノハ仕拂未濟トシテ之ニ相當スル資金ヲ翌年度ヘ繰越シ第十八條ノ規程ニ依リ仕拂ヲナスヘシ
第二十五條 前條ノ仕拂未濟金ハ會計法第十八條ニ依リ仕拂義務ヲ免レタルトキハ其期滿免除トナリタル年度ノ一般ノ歲入ニ組入ルヘシ
第二十六條 收入官吏ハ其取扱タル收入ヲ記入スル帳簿ノ結果ニ依リ每月收入報吿書ヲ調製シ參照書類ヲ添ヘ翌月十五日マテニ所管大臣ヲ經由シテ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ但作業支部局ノ收入官吏ハ其收入報吿書ヲ翌月七日マテニ作業事務本局ノ收入官吏ニ送付スヘシ
第二十七條 作業事務本局ノ收入官吏ハ作業全部ノ收入合計表ヲ調製シ諸收入官吏ノ收入報吿書ニ添付シ前條ノ手續ニ依リ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
第二十八條 會計主務官ハ其調定シタル支出ヲ記入スル帳簿ノ結果ニ依リ每月支出報吿書ヲ調製シ參照書類ヲ添ヘ翌月十五日マテニ所管大臣ヲ經由シテ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ但作業支部局ノ會計主務官ハ其支出報吿書ヲ翌月七日マテニ作業事務本局ノ會計主務官ニ送付スヘシ
第二十九條 作業事務本局ノ會計主務官ハ作業全部ノ支出合計表ヲ調製シ諸會計主務官ノ支出報吿書ニ添付シ前條ノ手續ニ依リ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
第四章 資本
第三十條 資本ハ總テ價格ヲ付シテ計算スヘシ
第三十一條 資本ノ價格ハ左ノ方法ニ依テ之ヲ定ム
一 土地ハ近隣地ノ賣買價格五箇年間ノ平均ニ依ル近隣ニ比較スヘキ相當ノ土地ナキトキハ五人以上ノ評價人ヲ定メ其評定價格ノ平均ニ依ル
二 建物鐵道其他築造道路船舶機械器具其他ノ物品ハ建築費又ハ購入價格ニ依ル建築費又ハ購入價格ノ不明ナルモノハ物件ノ輕重ニ依リ二人以上ノ評價人ヲ定メ其評定價格ノ平均ニ依ル
三 材料素品機械ノ運轉用品ハ購入價格ニ依ル
四 生產品ハ生產費ニ依ル但賣買ノ契約濟トナリタルモノハ其賣渡代價ニ依ル
第三十二條 土地ノ價格ハ前條ノ方法ニ依リ每五年ニ之ヲ改定スヘシ
第三十三條 公衆ノ用ニ供スル鐵道ノ固定資本ハ每五年ニ五人以上ノ評價人ヲ定メ其評定價格ノ平均ニ依リ之ヲ改定スヘシ
第三十四條 建物公衆ノ用ニ供セサル鐵道其他築造道路船舶機械器具其他ノ物品ハ永遠保存品ヲ除キ總テ保存期限ヲ定メ其期限ニ應シテ每年價格ヲ遞減スヘシ
前項中固定資本ニ屬スル物件ヲ修理シタルトキハ其修理費ヲ以テ現年ノ價格ニ加ヘ再ヒ保存年限ニ應シテ價格ヲ遞減スヘシ
第三十五條 前條ノ物件ヲ修理シタルトキハ保存年限ヲ改定シテ之ヲ延フルコトヲ得
第三十六條 材料素品機械ノ運轉用品ノ年度內未消費ニ屬スルモノ市價ノ低落又ハ毀損變質等ニ由リ其價格ヲ減スルトキハ每年度ノ終リ當時ノ市價ニ依リ其價格ヲ改定スヘシ
第三十七條 生產品ノ年度內未販賣ニ屬スルモノ需用ノ變動生產法ノ改良又ハ毀損變質等ニ由リ其價格ヲ減シ實際ノ市價生產費以下トナルトキハ每年度ノ終リ當時ノ市價又ハ當年度ノ生產費ニ依リ其價格ヲ改定スヘシ
第三十八條 材料素品機械ノ運轉用品生產品其他ノ物品ニシテ不用ニ歸シタルモノハ總テ損失トシ其價格ヲ削除シテ不用物品ニ組入レ之ヲ賣拂フヘシ
第五章 受拂勘定
第三十九條 受入ニ屬スルモノ左ノ如シ
第一 歲入ノ收入濟額
第二 收入未濟額
第三 据置運轉資本ニ屬スル現金ノ持越高
第四 總生產品ノ價格
第五 總材料及素品ノ價格
第六 總機械運轉用品ノ價格
第七 作業場用總備品ノ價格
第八 代價支出濟未收物品ノ價格
第四十條 拂出ニ屬スルモノ左ノ如シ
第一 歲出ノ支出調定濟額
第二 支出未濟額
第三 据置運轉資本額
第四 賣拂代價收入濟物品ノ價格
第五 賣拂代價收入未濟既出物品ノ價格
第六 消費シタル材料及素品ノ價格
第七 消費シタル機械運轉用品ノ價格
第八 損失ニ歸シタル物品ノ價格
第九 損失金
第四十一條 作業所ハ受入ノ總額ヨリ拂出ノ總額ヲ扣除シ殘餘アルトキハ作業ノ益金トシテ其事業ヲ營ミタル年度ノ一般ノ歲入ニ納付スヘシ
第六章 工事及物件ノ賣買貸借
第四十二條 工事及物件ノ賣買貸借ニ關スル規則ハ總テ會計規則第七章ノ例ニ依ル
第七章 出納官吏
第四十三條 出納官吏ニ關スル規則ハ第四十四條ニ定メタル期限ノ外總テ會計規則第八章ノ例ニ依ル
第四十四條 會計規則第九十五條ノ例ニ依リ會計主務官及收入官吏ノ會計檢査院ニ提出スヘキ計算書ヲ所屬省又ハ事務管理廳ニ送付スルハ每年度經過後二箇月以內トス
第八章 帳簿
第四十五條 大藏省ハ各作業會計ノ主計簿ヲ備ヘ歲入ノ豫算額確定額收入濟額收入未濟額歲出ノ豫算額仕拂元受高確定額支出濟額支出未濟額ヲ登記スヘシ
第四十六條 作業所ハ日記簿原簿補助簿ヲ備ヘ其事業ニ關スル一切ノ計算ヲ登記スヘシ
第四十七條 收入官吏ハ收入簿ヲ備ヘ歲入ノ豫算額確定額收入濟額收入未濟額ヲ登記スヘシ
第四十八條 會計主務官ハ支出簿調定總計簿ヲ備ヘ支出簿ニハ歲出ノ豫算額確定額支出調定濟額支出調定未濟額ヲ登記シ調定總計簿ニハ仕拂元受高支出調定濟額ヲ登記スヘシ
第四十九條 收入官吏現金前渡ヲ受タル官吏現金ヲ出納スル場合ニ於テハ現金出納簿ヲ備ヘ其出納ヲ登記スヘシ
第九章 雜則
第五十條 本規則ニ依リ出納官吏ヨリ會計檢査院ニ提出スル所ノ證明書ニ關スル規程樣式ハ會計檢査院ニ於テ之ヲ定ムヘシ
第五十一條 前條ノ外本規則ニ揭クル諸書類帳簿ノ樣式ハ大藏大臣之ヲ定ムヘシ
第五十二條 此規則ニ於テ作業所トハ造幣局、印刷局、富岡製絲所、電信燈臺用品製造所、廣島鑛山、東京砲兵工廠、大阪砲兵工廠、千住製絨所及鐵道ヲ謂フ
第五十三條 此規則ニ於テ作業事務長トハ鐵道局長官、造幣局長、印刷局事務長、富岡製絲所長、東京砲兵工廠提理、大阪砲兵工廠提理、千住製絨所長ヲ謂フ
電信燈臺用品製造所及廣島鑛山ニ於テハ其事務管理長ヲ以テ作業事務長トス
第五十四條 本規則ハ明治二十三年度ヨリ施行ス
朕作業及鉄道会計規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十三年三月二十日
大蔵大臣 伯爵 松方正義
陸軍大臣 伯爵 大山巌
逓信大臣 伯爵 後藤象二郎
農商務大臣 岩村通俊
勅令第三十三号
作業及鉄道会計規則
第一章 歳入歳出
第一条 左ノ諸収入ヲ以テ作業所ノ歳入トス
第一 作業上ノ収入
第二 附属雑収入
第二条 造幣局、印刷局、富岡製糸所、電信灯台用品製造所、広島鉱山ニ於テハ左ノ諸費ヲ以テ歳出トス
第一 技術員ノ俸給諸給旅費
第二 職工人夫ニ給スル諸費
第三 作業用器具機械ノ維持修理及補充費
第四 材料素品購入代
第五 動力費
第六 作業場用備品消耗品費
第七 建物築造道路船舶ノ維持修理及補充費
第八 損失金
第三条 東京砲兵工廠、大阪砲兵工廠ニ於テハ左ノ諸費ヲ以テ歳出トス
第一 職工人夫ニ給スル諸費
第二 作業用器具機械ノ維持修理及補充費
第三 材料素品購入代
第四 機械運転用品購入代
第五 作業場用備品消耗品費
第六 損失金
第四条 千住製絨所ニ於テハ左ノ諸費ヲ以テ歳出トス
第一 事務員技術員ノ俸給諸給旅費
第二 事務所費
第三 職工人夫ニ給スル諸費
第四 作業用器具機械ノ維持修理及補充費
第五 材料素品購入代
第六 機械運転用品購入代
第七 作業場用備品消耗品費
第八 生産品販売諸費
第九 土地建物ノ維持修理費
第十 損失金
第五条 鉄道事業ニ於テハ左ノ諸費ヲ以テ歳出トス
第一 営業ニ従事スル職員ノ俸給諸給旅費
第二 職工人夫ニ給スル諸費
第三 鉄道築造物建物車輛器具機械ノ維持修理及補充費
第四 材料素品購入代
第五 汽車及機械運転用品購入代
第六 営業事務所停車場機械場客車用備品消耗品費
第七 損害賠償金
第八 訴訟費
第九 手数料保険料借料広告料謝金外国注文品監査費其他営業上ノ雑費
第十 運輸収入割戻金
第十一 損失金
第二章 予算決算
第六条 歳入歳出ノ予定計算書ハ所管大臣之ヲ調製シ前年度六月三十日マテニ各省予定経費要求書ト俱ニ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第七条 歳入歳出ノ予定計算書ハ科目ヲ分チ成ルヘク歳入ノ性質歳出ノ用途ヲ明示スヘシ
第八条 所管大臣ハ其年三月三十一日ニ終リタル会計年度ノ受払勘定表及固定資本価格増減表ヲ調製シ歳入歳出ノ予定計算書ニ添付スヘシ
第九条 歳入歳出ノ決定計算書ハ所管大臣之ヲ調製シ翌年度八月三十一日マテニ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第三章 収入支出
第十条 歳入歳出ノ予算ハ決定ノ後予備費ヲ除キ所管大臣各作業事務長ニ命シテ之ヲ執行セシムヘシ
各省大臣ハ作業支部局長ヲシテ歳出予算ノ一部ヲ執行セシメントスルトキハ仕払予算ヲ以テ之ヲ命スヘシ
仕払予算ニ関スル規程ハ会計規則第十一条第十二条第十三条ニ依ルヘシ
第十一条 予備費ノ支出ハ会計規則第十九条第二十条第二十四条ニ依ルヘシ
第十二条 作業所ノ収入官吏ハ会計規則第二十五条第二十六条第二十八条若クハ第二十九条ノ手続ニ依リ収入ヲ取扱フヘシ
第十三条 作業所ハ据置運転資本ニ属スル現金ノ持越高及当該年度ノ収入済歳入額ヲ以テ仕払元受高トシ歳出ヲ支出スルハ此仕払元受高ヲ超過スルヲ得ス
第十四条 作業事務長又ハ作業支部局長ハ歳出ヲ支出スル為メ金庫ニ向テ仕払請求書ヲ発スヘシ
第十五条 仕払請求書ヲ発スル官吏ハ正当債主若クハ其代理人ノ為メニスルニアラサレハ仕払請求書ヲ発スルヲ得ス但俸給諸給ヲ除キ支部局及派出工場ニ於テ仕払ヲナス経費外国ニ於テ仕払ヲナス経費職工人夫ノ給料諸手当ハ仕払請求書ヲ発シ主任ノ官吏又ハ外国派出ノ官吏ヲ仕払官吏トシテ現金ノ前渡ヲナスコトヲ得
第十六条 仕払請求書ヲ発スル官吏ハ総テ仕払請求書ヲ発スル前其支出ハ正当ニシテ必要ナルヤヲ調査シ其金額ヲ算定シ又其支出ハ予算ノ目的ニ違フコトナキヤ金額ハ予算定額及仕払元受高ニ超過スルコトナキヤヲ調査スヘシ
第十七条 仕払請求書ニハ債主若クハ其代理人ノ氏名仕払ヲ請求スル金額支出科目年度番号支出ノ目的ヲ記載スヘシ但俸給諸給ニ限リ集合仕払請求書ヲ発シ別ニ各受取人ノ金額氏名表ヲ添ユルコトヲ得
現金前渡ノ仕払請求書ニハ前渡ヲ受クヘキ官吏ノ資格氏名前渡ヲナスヘキ金額支出科目年度番号支出ノ目的ヲ記載スヘシ
第十八条 仕払請求書取扱ノ手続ハ会計規則第三十五条第三十六条第三十八条仕払命令取扱ノ例ニ依ル
第十九条 各年度ノ歳出ニ属スル仕払請求書ヲ発スルハ毎年度三月三十一日ヲ限リトス
第二十条 現金前渡ヲ受タル官吏監督ノ規則ハ大蔵大臣所管大臣ニ協議シテ之ヲ定ムヘシ
第二十一条 金庫ニ於テ仕払請求書ニ対シテ仕払ヲ執行シ又ハ之ヲ拒絶スルハ会計規則第四十三条第四十五条第四十六条仕払命令取扱ノ例ニ依ル
第二十二条 毎年度内ニ収入ヲナスヘキ権利ヲ得テ当該年度内ニ収入済トナラサルモノハ収入未済トシテ順次翌年度ヘ繰越シ現ニ収入ヲナシタル年度ノ歳入ニ組入ルヘシ
第二十三条 毎年度内ニ仕払ヲナスヘキ義務ヲ生シ当該年度内ニ仕払請求書ヲ発セサルモノハ支出未済トシテ順次翌年度ヘ繰越シ当該年度経過後満五箇年内ハ支出ノ請求アル毎ニ仕払請求書ヲ発スヘシ但支出未済ノ繰越額ハ支出調定済額ト合シテ予算定額ヲ超過スルヲ得ス
第二十四条 毎年度内ニ於テ仕払請求書ヲ発シ金庫ニ於テ仕払ノ請求ヲ受ケサルモノハ仕払未済トシテ之ニ相当スル資金ヲ翌年度ヘ繰越シ第十八条ノ規程ニ依リ仕払ヲナスヘシ
第二十五条 前条ノ仕払未済金ハ会計法第十八条ニ依リ仕払義務ヲ免レタルトキハ其期満免除トナリタル年度ノ一般ノ歳入ニ組入ルヘシ
第二十六条 収入官吏ハ其取扱タル収入ヲ記入スル帳簿ノ結果ニ依リ毎月収入報告書ヲ調製シ参照書類ヲ添ヘ翌月十五日マテニ所管大臣ヲ経由シテ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ但作業支部局ノ収入官吏ハ其収入報告書ヲ翌月七日マテニ作業事務本局ノ収入官吏ニ送付スヘシ
第二十七条 作業事務本局ノ収入官吏ハ作業全部ノ収入合計表ヲ調製シ諸収入官吏ノ収入報告書ニ添付シ前条ノ手続ニ依リ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第二十八条 会計主務官ハ其調定シタル支出ヲ記入スル帳簿ノ結果ニ依リ毎月支出報告書ヲ調製シ参照書類ヲ添ヘ翌月十五日マテニ所管大臣ヲ経由シテ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ但作業支部局ノ会計主務官ハ其支出報告書ヲ翌月七日マテニ作業事務本局ノ会計主務官ニ送付スヘシ
第二十九条 作業事務本局ノ会計主務官ハ作業全部ノ支出合計表ヲ調製シ諸会計主務官ノ支出報告書ニ添付シ前条ノ手続ニ依リ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第四章 資本
第三十条 資本ハ総テ価格ヲ付シテ計算スヘシ
第三十一条 資本ノ価格ハ左ノ方法ニ依テ之ヲ定ム
一 土地ハ近隣地ノ売買価格五箇年間ノ平均ニ依ル近隣ニ比較スヘキ相当ノ土地ナキトキハ五人以上ノ評価人ヲ定メ其評定価格ノ平均ニ依ル
二 建物鉄道其他築造道路船舶機械器具其他ノ物品ハ建築費又ハ購入価格ニ依ル建築費又ハ購入価格ノ不明ナルモノハ物件ノ軽重ニ依リ二人以上ノ評価人ヲ定メ其評定価格ノ平均ニ依ル
三 材料素品機械ノ運転用品ハ購入価格ニ依ル
四 生産品ハ生産費ニ依ル但売買ノ契約済トナリタルモノハ其売渡代価ニ依ル
第三十二条 土地ノ価格ハ前条ノ方法ニ依リ毎五年ニ之ヲ改定スヘシ
第三十三条 公衆ノ用ニ供スル鉄道ノ固定資本ハ毎五年ニ五人以上ノ評価人ヲ定メ其評定価格ノ平均ニ依リ之ヲ改定スヘシ
第三十四条 建物公衆ノ用ニ供セサル鉄道其他築造道路船舶機械器具其他ノ物品ハ永遠保存品ヲ除キ総テ保存期限ヲ定メ其期限ニ応シテ毎年価格ヲ逓減スヘシ
前項中固定資本ニ属スル物件ヲ修理シタルトキハ其修理費ヲ以テ現年ノ価格ニ加ヘ再ヒ保存年限ニ応シテ価格ヲ逓減スヘシ
第三十五条 前条ノ物件ヲ修理シタルトキハ保存年限ヲ改定シテ之ヲ延フルコトヲ得
第三十六条 材料素品機械ノ運転用品ノ年度内未消費ニ属スルモノ市価ノ低落又ハ毀損変質等ニ由リ其価格ヲ減スルトキハ毎年度ノ終リ当時ノ市価ニ依リ其価格ヲ改定スヘシ
第三十七条 生産品ノ年度内未販売ニ属スルモノ需用ノ変動生産法ノ改良又ハ毀損変質等ニ由リ其価格ヲ減シ実際ノ市価生産費以下トナルトキハ毎年度ノ終リ当時ノ市価又ハ当年度ノ生産費ニ依リ其価格ヲ改定スヘシ
第三十八条 材料素品機械ノ運転用品生産品其他ノ物品ニシテ不用ニ帰シタルモノハ総テ損失トシ其価格ヲ削除シテ不用物品ニ組入レ之ヲ売払フヘシ
第五章 受払勘定
第三十九条 受入ニ属スルモノ左ノ如シ
第一 歳入ノ収入済額
第二 収入未済額
第三 据置運転資本ニ属スル現金ノ持越高
第四 総生産品ノ価格
第五 総材料及素品ノ価格
第六 総機械運転用品ノ価格
第七 作業場用総備品ノ価格
第八 代価支出済未収物品ノ価格
第四十条 払出ニ属スルモノ左ノ如シ
第一 歳出ノ支出調定済額
第二 支出未済額
第三 据置運転資本額
第四 売払代価収入済物品ノ価格
第五 売払代価収入未済既出物品ノ価格
第六 消費シタル材料及素品ノ価格
第七 消費シタル機械運転用品ノ価格
第八 損失ニ帰シタル物品ノ価格
第九 損失金
第四十一条 作業所ハ受入ノ総額ヨリ払出ノ総額ヲ扣除シ残余アルトキハ作業ノ益金トシテ其事業ヲ営ミタル年度ノ一般ノ歳入ニ納付スヘシ
第六章 工事及物件ノ売買貸借
第四十二条 工事及物件ノ売買貸借ニ関スル規則ハ総テ会計規則第七章ノ例ニ依ル
第七章 出納官吏
第四十三条 出納官吏ニ関スル規則ハ第四十四条ニ定メタル期限ノ外総テ会計規則第八章ノ例ニ依ル
第四十四条 会計規則第九十五条ノ例ニ依リ会計主務官及収入官吏ノ会計検査院ニ提出スヘキ計算書ヲ所属省又ハ事務管理庁ニ送付スルハ毎年度経過後二箇月以内トス
第八章 帳簿
第四十五条 大蔵省ハ各作業会計ノ主計簿ヲ備ヘ歳入ノ予算額確定額収入済額収入未済額歳出ノ予算額仕払元受高確定額支出済額支出未済額ヲ登記スヘシ
第四十六条 作業所ハ日記簿原簿補助簿ヲ備ヘ其事業ニ関スル一切ノ計算ヲ登記スヘシ
第四十七条 収入官吏ハ収入簿ヲ備ヘ歳入ノ予算額確定額収入済額収入未済額ヲ登記スヘシ
第四十八条 会計主務官ハ支出簿調定総計簿ヲ備ヘ支出簿ニハ歳出ノ予算額確定額支出調定済額支出調定未済額ヲ登記シ調定総計簿ニハ仕払元受高支出調定済額ヲ登記スヘシ
第四十九条 収入官吏現金前渡ヲ受タル官吏現金ヲ出納スル場合ニ於テハ現金出納簿ヲ備ヘ其出納ヲ登記スヘシ
第九章 雑則
第五十条 本規則ニ依リ出納官吏ヨリ会計検査院ニ提出スル所ノ証明書ニ関スル規程様式ハ会計検査院ニ於テ之ヲ定ムヘシ
第五十一条 前条ノ外本規則ニ掲クル諸書類帳簿ノ様式ハ大蔵大臣之ヲ定ムヘシ
第五十二条 此規則ニ於テ作業所トハ造幣局、印刷局、富岡製糸所、電信灯台用品製造所、広島鉱山、東京砲兵工廠、大阪砲兵工廠、千住製絨所及鉄道ヲ謂フ
第五十三条 此規則ニ於テ作業事務長トハ鉄道局長官、造幣局長、印刷局事務長、富岡製糸所長、東京砲兵工廠提理、大阪砲兵工廠提理、千住製絨所長ヲ謂フ
電信灯台用品製造所及広島鉱山ニ於テハ其事務管理長ヲ以テ作業事務長トス
第五十四条 本規則ハ明治二十三年度ヨリ施行ス