(自衛隊の部隊等における領置)
第百五十三条 指定部隊長又は抑留資格認定官は、第六条第一項若しくは第二項又は第九条第四項の規定による引渡しを受けた被拘束者がその引渡しの際に所持する現金及び物品(以下「金品」という。)を領置することができる。ただし、次に掲げる物品については、領置してはならない。
一 ヘルメット、防毒マスクその他の専ら身体の防護のために用いられる物品
二 制服、身分証明書、階級章その他の地位又は身分を示す記章及び勲章その他の功績を示す記章
三 前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める私用の物品
2 前項の規定により金品を領置するときは、同項に規定する引渡しを受けた者に対し、受領証を発給しなければならない。ただし、領置した物品のうち、領置武器等(武器その他の装備品(同項第一号に掲げるものを除く。)及び軍用書類をいう。以下同じ。)については、この限りでない。
3 指定部隊長又は抑留資格認定官は、第一項の規定により領置した領置武器等については、これを領置している間、いつでも廃棄することができる。
4 指定部隊長又は抑留資格認定官は、第九条第三項、第十三条第三項又は第十七条第二項の規定により被拘束者を放免するときは、その領置している金品を当該被拘束者に返還しなければならない。
(捕虜収容所における領置)
第百五十四条 捕虜収容所長は、被収容者がその収容の際に所持する金品及び次条の規定により許されて交付を受けた金品(前条第一項第二号又は第三号に掲げるものを除く。)その他の収容中に取得した金品を領置する。ただし、その物品が次の各号のいずれかに該当する場合には、領置することを要しない。
二 腐敗し、又は滅失するおそれがあるものであるとき。
2 前条第二項の規定は、前項の規定により金品を領置する場合について準用する。
3 捕虜収容所長は、前項において準用する前条第二項の規定により発給する受領証について、その控えを作成し、これを保存しなければならない。
4 被収容者又は利益保護国代表は、内閣府令で定めるところにより、前項の受領証の控えを閲覧することができる。
5 捕虜収容所長は、第一項の規定により領置した領置武器等については、これを領置している間、いつでも廃棄することができる。
6 第一項各号のいずれかに該当する物品について被収容者が被収容者以外の者への交付その他相当の処分をしない場合には、捕虜収容所長は、これを売却してその代金を領置する。ただし、売却することができないものは、廃棄することができる。
7 第一項の規定により物品を領置すべき場合において、その被収容者の物品が著しく多量であるため捕虜収容所における被収容者の物品の適正な管理に支障を生ずるおそれがあるときは、捕虜収容所長は、同項の規定にかかわらず、その全部又は一部を領置しないことができる。
8 第六項の規定は、前項の規定により領置しない物品について準用する。
(差入物の取扱い)
第百五十五条 捕虜収容所長又はその指定する職員は、被収容者以外の者が被収容者に交付するため捕虜収容所に持参し、又は送付した金品については、内閣府令で定めるところにより、その内容の検査を行うことができる。
2 捕虜収容所長は、前項の規定により検査を行った金品が第五十九条各号に掲げる物品又は現金である場合には、被収容者がその交付を受けることを許さなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 その物品が前条第一項ただし書又は同条第七項の規定により領置しないものであるとき。
二 その金品の交付を受けることを許すことにより、捕虜収容所の規律及び秩序を害するおそれがあるとき。
3 前項の規定により交付を受けることを許さない金品又は被収容者が交付を受けることを拒んだ金品については、その金品を持参し、又は送付した被収容者以外の者にその旨を通知して、その金品を引き取るよう求めるものとする。
4 前項の金品を引き取るべき者の所在が分からないことその他の事由により、その金品を引き取らせることができない場合には、現金を除き、これを廃棄することができる。
5 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四百九十九条第一項及び第二項の規定は、前項に規定する事由により現金を引き取らせることができない場合について準用する。この場合において、同条第一項中「検察官」とあるのは、「捕虜収容所長」と読み替えるものとする。
(領置金の使用)
第百五十六条 捕虜収容所長は、被収容者から、第五十九条の規定により使用し、又は摂取することを許された物品の購入のため、領置されている現金を使用する旨の申出があったときは、当該物品の購入に必要な金額の現金の領置を解いて、その使用を許すものとする。
(領置物の返還)
第百五十七条 捕虜収容所長は、被収容者が次の各号のいずれかに該当することとなった場合には、領置している金品(領置武器等を除く。次条において同じ。)を当該被収容者に返還しなければならない。
二 第百四十六条の規定により許可されて退去するとき。
(死亡者等の遺留物)
第百五十八条 被拘束者又は被収容者の死亡その他内閣府令で定める場合において、当該被拘束者又は被収容者から領置していた現金又は物品であって遺留されたものがあるときは、内閣府令で定めるところにより、これを返還しなければならない。ただし、当該物品が腐敗し、若しくは滅失するおそれがあるもの又は価値のないものであるときは、廃棄することができる。
(領置武器等の帰属)
第百五十九条 領置武器等については、武力攻撃事態の終了の時までに廃棄されていないときは、同日に国庫に帰属する。
(内閣府令への委任)
第百六十条 この節に定めるもののほか、領置に関し必要な事項は、内閣府令で定める。