(包括的禁止命令に関する送達の特例)
第十二条 農水産業協同組合について民事再生法第二十八条第一項(同法第三十六条第二項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)に規定する決定があった場合には、再生債権者である貯金者等に対しては、同法第二十八条第一項の規定による送達は、することを要しない。
2 前項の場合には、裁判所は、農水産業協同組合貯金保険機構(以下「機構」という。)に対して、民事再生法第二十八条第一項の決定の主文を記載した書面を送達しなければならない。
(再生債権届出期間についての機構の意見の聴取)
第十三条 裁判所は、農水産業協同組合について再生手続開始の決定をしょうとするときは、あらかじめ、民事再生法第三十四条の規定により定める再生債権の届出をすべき期間について、機構の意見を聴かなければならない。
(再生手続開始の決定等に関する送達の特例)
第十四条 農水産業協同組合について再生手続開始の決定をしたときは、再生債権者である貯金者等に対しては、民事再生法第三十五条第二項の規定による送達は、することを要しない。
2 前項の場合には、裁判所は、機構に対して、民事再生法第三十五条第一項に規定する事項を記載した書面を送達しなければならない。
3 農水産業協同組合の再生手続において、第十六条第一項の規定による貯金者表の提出があるまでに、民事再生法第三十四条の規定により定めた期間に変更を生じた場合又は再生手続開始の決定を取り消す決定が確定した場合においては、再生債権者である貯金者等であって同法第九十四条第一項の規定による届出をしていないものに対しては、同法第三十五条第三項において準用する同条第二項の規定又は同法第三十七条の規定による送達は、することを要しない。
4 前項の場合には、裁判所は、機構に対して、民事再生法第三十四条の規定により定めた期間について生じた変更の内容又は再生手続開始の決定を取り消す決定の主文を記載した書面を送達しなければならない。
(貯金者表の作成等)
第十五条 機構は、前条第二項の規定による送達を受けたときは、遅滞なく、知れている再生債権である貯金等債権(機構が債権者であるものを除く。第四項において同じ。)について、民事再生法第九十九条第二項に規定する事項を記載した貯金者表を作成しなければならない。
2 機構は、前項の規定により貯金者表を作成したときは、直ちに、その旨及び縦覧の場所を公告するとともに、民事再生法第三十四条の規定により裁判所が定めた再生債権の届出をすべき期間(以下この節において「再生債権届出期間」という。)の末日の前日までの間、貯金者表を貯金者等の縦覧に供しなければならない。
3 前項の規定による貯金者表の縦覧の開始の日は、再生債権届出期間の末日の前日の二週間以上前の日でなければならない。
4 機構は、貯金者表を縦覧に供することを開始した後、当該貯金者表に記載されていない貯金等債権があることを知ったときは、遅滞なく、当該貯金者表に、当該貯金等債権に係る第一項に規定する事項の記載の追加をしなければならない。当該貯金者表に記載されている貯金等債権について当該貯金者等の利益となる記載の変更を加えるべきことを知ったときも、同様とする。
5 機構は、貯金者表を縦覧に供することを開始した後でも、当該貯金者表に記載されている貯金者等の承諾を得て、当該貯金者等に係る貯金等債権について、その記載を削除し、又は当該貯金者等の不利益となる記載の変更を行うことができる。ただし、機構が、当該貯金者表に記載されている貯金者等に係る貯金等債権を、農水産業協同組合貯金保険法第六十条第一項若しくは第三項の規定により取得し、又は同法第七十条の規定により買い取った場合において、当該貯金等債権について、その記載を削除し、又は当該貯金者等の不利益となる記載の変更を行うときは、当該貯金者等の承諾を要しない。
(貯金者表の提出等)
第十六条 機構は、再生債権届出期間の末日に、前条の規定により作成した貯金者表を裁判所に提出しなければならない。
2 前条第四項前段の規定は、機構が、貯金者表を裁判所に提出した後、当該貯金者表に記載されていない貯金等債権(機構が債権者であるもの及び既に貯金者等が民事再生法の規定により裁判所に届け出ているものを除く。)があることを知った場合について準用する。
3 前項において準用する前条第四項前段の規定による記載の追加は、民事再生法第百七十一条第一項の規定による再生計画案について決議をするための債権者集会を招集する旨の決定又は同法第百七十二条第一項の規定による再生計画案を書面による決議に付する旨の決定がされた後は、することができない。
4 機構は、第一項の規定による貯金者表の提出又は第二項において準用する前条第四項前段の規定による記載の追加をする場合には、民事再生法第九十四条第一項に規定する事項(前条第一項に規定する事項を除く。)を裁判所に届け出なければならない。
5 農水産業協同組合の再生手続についての民事再生法第十七条第一項の規定の適用については、同項中「この法律(この法律において準用する他の法律を含む。)」とあるのは、「この法律(この法律において準用する他の法律を含む。)及び農水産業協同組合の再生手続の特例等に関する法律(平成十二年法律第九十五号)」とする。
(貯金者表の提出の効果)
第十七条 前条第一項の規定により貯金者表が提出されたときは、当該貯金者表に記載されている貯金等債権(貯金者等が当該提出があるまでに民事再生法第九十四条第一項の規定により届け出たものを除く。)に対する同法の規定の適用については、再生債権届出期間内に届出があったものとみなす。
2 前条第二項において準用する第十五条第四項前段の規定により貯金等債権に係る記載の追加がされたときは、当該貯金等債権に対する民事再生法の規定の適用については、同法第九十五条第一項の規定による届出の追完があったものとみなす。
(貯金者等の参加)
第十八条 前条の規定により届出又は届出の追完があつたものとみなされる貯金等債権(機構が民事再生法第九十六条の規定による届出名義の変更を受けたものを除く。以下この条及び次条において同じ。)に係る債権者は、自ら再生手続に参加しようとするときは、その旨を裁判所に届け出なければならない。ただし、再生債権の確定に関する査定又は訴訟に関する行為については、この限りでない。
2 前項の規定による届出(以下この条及び次条において「参加の届出」という。)は、再生手続が終了するまでの間、することができる。
3 参加の届出があったときは、裁判所は、これを機構に通知しなければならない。
4 参加の届出をした貯金者等は、前条の規定により届出又は届出の追完があったものとみなされる当該貯金者等に係る貯金等債権の全部をもって、自ら再生手続に参加するものとする。
(機構の権限)
第十九条 機構は、第十七条の規定により届出又は届出の追完があったものとみなされる貯金等債権に係る債権者(参加の届出をした貯金者等を除く。以下この節において「機構代理貯金者」という。)のために、当該機構代理貯金者に係る貯金等債権(以下この節において「機構代理債権」という。)をもって、再生手続に属する一切の行為(民事再生法第百一条第四項に規定する一般調査期間内又は同法第百三条第一項に規定する特別調査期間(第二十二条において「特別調査期間」という。)内に機構が異議を述べた機構代理債権に係る再生債権の確定に関する査定又は訴訟に関する行為を除く。)をするものとする。ただし、機構代理債権に係る届出を取り下げ、若しくは機構代理債権に関する届出に係る事項について当該機構代理債権に係る機構代理貯金者の不利益となる変更を加えようとするとき、又は機構代理債権に係る再生債権の確定に関する査定の申立てを取り下げ、若しくは機構代理債権に係る再生債権の確定に関する訴訟において民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三十二条第二項第一号若しくは第二号に掲げる訴訟行為をしょうとするときは、当該機構代理債権に係る機構代理貯金者の授権がなければならない。
(機構の義務)
第二十条 機構は、機構代理貯金者のために、公平かつ誠実に前条の行為をしなければならない。
2 機構は、機構代理貯金者に対し、善良な管理者の注意をもって前条の行為をしなければならない。
(届出に係る事項の変更)
第二十一条 機構は、機構代理債権に関する届出に係る事項について当該機構代理債権に係る機構代理貯金者の利益となる変更を加えるべきことを知ったときは、遅滞なく、当該届出に係る事項について変更を加えなければならない。
2 第十六条第三項の規定は、前項の変更について準用する。
3 第一項の規定による変更は、民事再生法の規定の適用については、この章に別段の定めがある場合を除き、同法第九十五条第五項の規定による変更とみなす。
(特別調査期間に関する費用負担の特例)
第二十二条 機構代理債権に係る特別調査期間に関する費用は、民事再生法第百三条第二項の規定にかかわらず、機構の負担とする。ただし、機構は、同法第百三十三条の規定により原状に復した貯金等債権について調査するため特別調査期間が定められた場合その他の相当の事由がある場合には、機構代理貯金者に当該費用の全部又は一部の償還を求めることができる。
(異議の通知)
第二十三条 再生債権の調査において、機構代理債権の内容について再生債務者等が認めず、又は届出再生債権者(民事再生法第百二条第一項に規定する届出再生債権者をいう。)が異議を述べた場合(次項に規定する場合を除く。)には、機構は、遅滞なく、その旨を当該機構代理債権に係る機構代理貯金者に通知しなければならない。
2 再生債権の調査において、機構が機構代理債権の内容について異議を述べた場合には、裁判所は、これを当該機構代理債権に係る機構代理貯金者に通知しなければならない。
(債権者集会の期日の呼出しの特例)
第二十四条 裁判所は、農水産業協同組合の再生手続における債権者集会の期日には、再生債権届出期間の満了前においても、機構を呼び出さなければならない。
(債権者委員会)
第二十五条 機構が第十六条第一項の規定により貯金者表を提出する前における民事再生法第百十八条第一項の規定の適用については、同項中「再生債権者をもって」とあるのは、「再生債権者(農水産業協同組合貯金保険機構を含む。)をもって」とする。
2 機構が民事再生法第百十八条第二項に規定する債権者委員会を構成する者である場合には、第二十条の規定を準用する。この場合において、同条中「機構代理貯金者」とあるのは、「貯金者等」と読み替えるものとする。
(機構による議決権の行使)
第二十六条 機構は、民事再生法第百七十一条第一項(同法第百八十七条第二項において準用する場合を含む。)又は第二百一条第二項の債権者集会において機構代理貯金者のために議決権を行使しようとするときは、当該債権者集会の第一期日の二週間前までに、賛成しようとする再生計画案の内容を機構代理貯金者に通知するとともに、公告しなければならない。
2 機構は、民事再生法第百七十二条第一項(同法第百八十七条第二項において準用する場合を含む。)の書面による決議において機構代理貯金者のために議決権を行使しようとするときは、同法第百七十二条第二項に規定する回答期間の末日の二週間前までに、同意しようとする再生計画案の内容を機構代理貯金者に通知するとともに、公告しなければならない。
3 機構は、機構代理貯金者のために民事再生法第二百条第一項又は第二百六条第一項の規定により再生計画案についての同意並びに再生債権の調査及び確定の手続を経ないことについての同意をしようとするときは、その二週間前までに、当該再生計画案の内容を機構代理貯金者に通知するとともに、公告しなければならない。
(機構がする公告及び通知)
第二十七条 第十五条第二項及び前条の規定による公告については、民事再生法第十条第一項及び第二項の規定を準用する。
2 第二十三条第一項及び前条の規定による通知は、書類を通常の取扱いによる郵便に付してすることができる。
3 前項の規定により書類を通常の取扱いによる郵便に付して発送した場合においては、その郵便物が通常到達すべきであった時に、通知があったものとみなす。
(貯金等の払戻しの許可)
第二十八条 再生手続開始の決定があった農水産業協同組合に対し農水産業協同組合貯金保険法第百十一条第一項の規定による資金の貸付けを行う旨の決定があるときは、民事再生法第八十五条第一項の規定にかかわらず、裁判所は、再生債務者等の申立てにより、農水産業協同組合貯金保険法第百十一条第一項の貯金等の払戻しを許可することができる。
2 裁判所は、前項の許可と同時に、払戻しを行う貯金等の種別、払戻しの限度額及び払戻しをする期間を定めなければならない。この場合においては、当該期間の末日は、再生債権届出期間の末日より前の日でなければならないものとする。
3 裁判所は、前項の規定による定めをするときは、あらかじめ、機構の意見を聴かなければならない。