航空機製造法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年七月十六日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百三十七号
航空機製造法
目次
第一章
総則(第一條・第二條)
第二章
製造等の事業(第三條―第五條)
第三章
航空機(第六條―第十條)
第四章
航空機用機器(第十一條―第十四條)
第五章
航空工場検査官及び航空工場検査員(第十五條・第十六條)
第六章
雑則(第十七條―第二十一條)
第七章
罰則(第二十二條―第二十五條)
附則
第一章 総則
(目的)
第一條 この法律は、航空機及び航空機用機器の生産技術の向上を図ることにより、これらの性能を確保し、あわせて航空機工業の健全な発達に資することを目的とする。
(定義)
第二條 この法律において「航空機」とは、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二條第一項の航空機をいう。
2 この法律において「航空機用機器」とは、左に掲げる物をいう。
一 航空機用原動機
二 航空機用プロペラ
三 前二号に掲げる物の外、航空機の一部を構成し、又はこれに装備される機械器具であつて、政令で定めるもの
第二章 製造等の事業
(事業の届出)
第三條 航空機又は航空機用機器の製造又は修理(改造を含み、航空機又は航空機用機器の製造工場において行うものに限る。以下この章において同じ。)の事業を行おうとする者は、当該製造又は修理を行う工場ごとに、左に掲げる事項を記載した届出書を通商産業大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその代表者の氏名
二 工場の名称及び所在地
三 製造又は修理をする航空機又は航空機用機器の種類
四 事業開始の予定時期
2 前項の届出書には、事業計画書及び製造又は修理のための設備の概要を記載した書面並びに法人にあつては定款又は寄附行為を添附しなければならない。
(届出事項の変更)
第四條 航空機又は航空機用機器の製造又は修理の事業を行う者は、前條第一項の届出書に記載された事項について変更があつたときは、遅滞なく、通商産業大臣にその旨を届け出なければならない。
(事業の休廃止等の届出)
第五條 航空機又は航空機用機器の製造又は修理の事業を行う者は、その事業を廃止したときは、遅滞なく、通商産業大臣にその旨を届け出なければならない。その事業を一月以上休止するときも、同様とする。
第三章 航空機
(製造設備等の検査)
第六條 航空機の製造をする者は、通商産業省令で定める航空機の区分に従い、その製造のための設備及び製造の方法(以下「製造設備等」という。)について、通商産業大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、その製造設備等により航空機の製造をしてはならない。但し、試験的に製造をする場合その他通商産業省令で定める場合は、この限りでない。
2 通商産業大臣は、前項の検査の申請があつたときは、申請に係る製造設備等が通商産業省令で定める生産技術上の基準に適合するかどうかを検査し、適合すると認めるときは、これを合格としなければならない。
3 航空機を製造する者は、航空機の製造のための製造設備等について通商産業省令で定める変更をしようとするときは、通商産業大臣の承認を受けなければならない。
4 通商産業大臣は、前項の承認の申請があつたときは、申請に係る変更後の製造設備等が第二項の生産技術上の基準に適合するかどうかを検査し、適合すると認めるときは、同項の承認をしなければならない。
第七條 通商産業大臣は、航空機の製造のための製造設備等が前條第二項の生産技術上の基準に適合しなくなつたときは、期間を定めて、当該製造設備等をその基準に適合するように改良すべきことを指示することができる。
2 通商産業大臣は、前項の規定による指示を行つた場合において、同項の期間内に当該製造設備等についてその指示に基く改良が行われなかつたときは、前條第二項の合格の決定を取り消すことができる。
3 通商産業大臣は、航空機を製造する者が航空機の製造のための製造設備等について前條第三項の承認を受けないで同項の変更をしたときは、その合格の決定を取り消すことができる。
(製造の確認)
第八條 航空機の製造をする者は、その製造に係る航空機について通商産業大臣の確認を受けなければならない。但し、第六條第一項但書に規定する場合は、この限りでない。
2 通商産業大臣は、前項の確認の申請があつたときは、申請に係る航空機が第六條第一項の検査に合格し、又は同條第三項の承認を受けた製造設備等により製造されたものであるかどうかについて確認をしなければならない。
3 通商産業大臣は、第一項の確認をしたときは、申請者に製造確認書を交付しなければならない。
4 航空機を製造した者は、前項の製造確認書とともにするのでなければ、その製造に係る航空機を他人に引き渡してはならない。但し、第六條第一項但書に規定する場合は、この限りでない。
(修理設備等の検査)
第九條 航空機の修理(改造を含み、通商産業省令で定める軽微な修理並びに航空運送事業者又は航空機使用事業者の自家修理及びこれに準ずるものを除く。以下同じ。)をする者は、通商産業省令で定める航空機又は修理の区分に従い、その修理のための設備及び修理の方法(以下「修理設備等」という。)について、通商産業大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、その修理設備等により航空機を修理してはならない。但し、試験的に修理する場合その他通商産業省令で定める場合は、この限りでない。
2 第六條第二項から第四項まで及び第七條の規定は、航空機の修理設備等に準用する。
(修理の確認)
第十條 航空機について通商産業省令で定める修理をする者は、その修理に係る航空機について、通商産業大臣の確認を受けなければならない。但し、前條第一項但書に規定する場合は、この限りでない。
2 航空機の修理(前項の通商産業省令で定めるものを除く。)をする者は、その修理に係る航空機について、通商産業省令で定める資格を有する航空検査技術者の確認を受けなければならない。但し、前條第一項但書に規定する場合は、この限りでない。
3 第八條第二項から第四項までの規定は、前二項の修理の確認に準用する。
第四章 航空機用機器
(製造設備等の検査)
第十一條 航空機用機器の製造をする者は、通商産業省令で定める航空機用機器の区分に従い、その製造設備等について、通商産業大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、その製造設備等により航空機用機器の製造をしてはならない。但し、試験的に製造をする場合その他通商産業省令で定める場合は、この限りでない。
2 第六條第二項から第四項まで及び第七條の規定は、航空機用機器の製造設備等に準用する。
(製造証明)
第十二條 航空機用機器の製造をする者は、その製造に係る航空機用機器について通商産業大臣の製造証明を受けることができる。
2 通商産業大臣は、前項の製造証明の申請があつたときは、申請に係る航空機用機器が通商産業省令で定める生産技術上の基準に適合するかどうかを検査し、適合すると認めるときは、前項の製造証明をしなければならない。
3 第八條第三項及び第四項の規定は、航空機用機器の製造証明に準用する。
(使用の制限)
第十三條 航空機の製造又は修理(航空法第十七條第一項の予備品証明を受けた装備品を用いてするものを除く。以下この條において同じ。)をする者は、製造証明のない航空機用機器(輸入された航空機用機器を除く。)を航空機の製造又は修理に用いてはならない。但し、試験的に用いる場合その他通商産業省令で定める場合は、この限りでない。
(修理設備等の検査)
第十四條 航空機用機器の修理をする者は、通商産業省令で定める航空機用機器又は修理の区分に従い、その修理設備等について、通商産業大臣の検査をうけ、これに合格した後でなければ、その修理設備等により航空機用機器の修理をしてはならない。但し、継続的な修理を目的としない場合その他通商産業省令で定める場合は、この限りでない。
2 第六條第二項から第四項まで及び第七條の規定は、航空機用機器の修理設備等に準用する。
第五章 航空工場検査官及び航空工場検査員
(航空工場検査官)
第十五條 通商産業省に、航空工場検査官(以下「検査官」という。)を置く。
2 検査官は、この法律の規定による検査又は確認に関する事務に従事する。
(航空工場検査員)
第十六條 通商産業大臣は、航空機又は航空機用機器の製造工場又は修理工場(航空運送事業者又は航空機使用事業者の自家修理工場及びこれに準ずるものを除く。)の従業者であつて、政令で定めるものを、前條第二項に規定する事務に従事させることができる。
第六章 雑則
(報告徴収及び立入検査)
第十七條 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、航空機若しくは航空機用機器の製造若しくは修理をする者から、航空機若しくは航空機用機器の製造若しくは修理若しくは製造設備等若しくは修理設備等に関する報告を徴し、又はその職員にその者の事務所、工場、倉庫若しくは航空機若しくは航空機用機器の所在する場所に立ち入り、航空機、航空機用機器、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人に呈示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(手数料の納付)
第十八條 別表の上欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内で政令で定める額の手数料を納めなければならない。
(不服の申立)
第十九條 この法律の規定による通商産業大臣の処分に対して不服のある者は、その旨を記載した書面をもつて、通商産業大臣に対し、不服の申立をすることができる。
(聴聞)
第二十條 通商産業大臣は、不服の申立を受理したときは、その不服の申立をした者に対し、相当な期間をおいて予告をした上、公開による聴聞を行わなければならない。
2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
3 聴聞に際しては、不服の申立をした者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第二十一條 通商産業大臣は、前條の聴聞を行つた後、文書をもつて決定をし、その写を不服の申立をした者に送付しなければならない。
第七章 罰則
第二十二條 第六條第一項、第九條第一項、第十一條第一項、第十三條又は第十四條第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第二十三條 第八條第四項(第十條第三項及び第十二條第三項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二十四條 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第三條第一項の規定による届出書を提出せず、又は虚偽の届出書を提出した者
二 第四條又は第五條の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第十七條第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
四 第十七條第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
(決定)
第二十五條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三條の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して、各本條の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。但し、第三章及び第四章(第八條第四項及び第十三條を除く。)の規定は、昭和二十七年九月一日から、第八條第四項及び第十三條の規定は、昭和二十七年十一月一日から施行する。
2 第六條第一項、第九條第一項、第十一條第一項及び第十四條第一項の規定の施行の際現に航空機又は航空機用機器の製造又は修理を行つている者は、これらの規定にかかわらず、昭和二十七年九月三十日までは、その製造設備等又は修理設備等により航空機又は航空機用機器の製造又は修理をすることができる。
3 航空機等に関する措置に関する件(昭和二十年商工省令、文部省令、運輸省令第一号)は、廃止する。
4 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第四條第一項中第三十三号の次に次の二号を加える。
三十三の二 航空機又は航空機用機器の製造設備等又は修理設備等の検査をすること。
三十三の三 航空機又は航空機用機器の確認又は証明をすること。
第十條第一項第六号の次に次の二号を加える。
六の二 航空機又は航空機用機器の製造設備等又は修理設備等の検査に関すること。
六の三 航空機又は航空機用機器の確認又は証明に関すること。
第二十四條第一項の表中
計量行政審議会
計量に関する重要事項を調査審議すること。
計量行政審議会
計量に関する重要事項を調査審議すること。
航空機生産審議会
航空機及びその関連機器の生産に関する重要事項を調査審議すること。
に改める。
5 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
別表
納付しなければならない者
金額
一 第六條第一項の検査又は同條第三項の承認を申請する者
九万円
二 第八條第一項の確認を申請する者
八千円
三 第九條第一項の検査又は同條第二項において準用する第六條第三項の承認を申請する者
五万円
四 第十條第一項の確認を申請する者
四千円
五 第十一條第一項の検査又は同條第二項において準用する第六條第三項の承認を申請する者
六万円
六 第十二條第一項の製造証明を申請する者
 イ 航空機用原動機
五千円
 ロ 航空機用プロペラ
一千五百円
 ハ その他の航空機用機器
二千五百円
七 第十四條第一項の検査又は同條第二項において準用する第六條第三項の承認を申請する者
二万円
通商産業大臣 高橋龍太郎
内閣総理大臣 吉田茂
航空機製造法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年七月十六日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百三十七号
航空機製造法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
製造等の事業(第三条―第五条)
第三章
航空機(第六条―第十条)
第四章
航空機用機器(第十一条―第十四条)
第五章
航空工場検査官及び航空工場検査員(第十五条・第十六条)
第六章
雑則(第十七条―第二十一条)
第七章
罰則(第二十二条―第二十五条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、航空機及び航空機用機器の生産技術の向上を図ることにより、これらの性能を確保し、あわせて航空機工業の健全な発達に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「航空機」とは、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二条第一項の航空機をいう。
2 この法律において「航空機用機器」とは、左に掲げる物をいう。
一 航空機用原動機
二 航空機用プロペラ
三 前二号に掲げる物の外、航空機の一部を構成し、又はこれに装備される機械器具であつて、政令で定めるもの
第二章 製造等の事業
(事業の届出)
第三条 航空機又は航空機用機器の製造又は修理(改造を含み、航空機又は航空機用機器の製造工場において行うものに限る。以下この章において同じ。)の事業を行おうとする者は、当該製造又は修理を行う工場ごとに、左に掲げる事項を記載した届出書を通商産業大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその代表者の氏名
二 工場の名称及び所在地
三 製造又は修理をする航空機又は航空機用機器の種類
四 事業開始の予定時期
2 前項の届出書には、事業計画書及び製造又は修理のための設備の概要を記載した書面並びに法人にあつては定款又は寄附行為を添附しなければならない。
(届出事項の変更)
第四条 航空機又は航空機用機器の製造又は修理の事業を行う者は、前条第一項の届出書に記載された事項について変更があつたときは、遅滞なく、通商産業大臣にその旨を届け出なければならない。
(事業の休廃止等の届出)
第五条 航空機又は航空機用機器の製造又は修理の事業を行う者は、その事業を廃止したときは、遅滞なく、通商産業大臣にその旨を届け出なければならない。その事業を一月以上休止するときも、同様とする。
第三章 航空機
(製造設備等の検査)
第六条 航空機の製造をする者は、通商産業省令で定める航空機の区分に従い、その製造のための設備及び製造の方法(以下「製造設備等」という。)について、通商産業大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、その製造設備等により航空機の製造をしてはならない。但し、試験的に製造をする場合その他通商産業省令で定める場合は、この限りでない。
2 通商産業大臣は、前項の検査の申請があつたときは、申請に係る製造設備等が通商産業省令で定める生産技術上の基準に適合するかどうかを検査し、適合すると認めるときは、これを合格としなければならない。
3 航空機を製造する者は、航空機の製造のための製造設備等について通商産業省令で定める変更をしようとするときは、通商産業大臣の承認を受けなければならない。
4 通商産業大臣は、前項の承認の申請があつたときは、申請に係る変更後の製造設備等が第二項の生産技術上の基準に適合するかどうかを検査し、適合すると認めるときは、同項の承認をしなければならない。
第七条 通商産業大臣は、航空機の製造のための製造設備等が前条第二項の生産技術上の基準に適合しなくなつたときは、期間を定めて、当該製造設備等をその基準に適合するように改良すべきことを指示することができる。
2 通商産業大臣は、前項の規定による指示を行つた場合において、同項の期間内に当該製造設備等についてその指示に基く改良が行われなかつたときは、前条第二項の合格の決定を取り消すことができる。
3 通商産業大臣は、航空機を製造する者が航空機の製造のための製造設備等について前条第三項の承認を受けないで同項の変更をしたときは、その合格の決定を取り消すことができる。
(製造の確認)
第八条 航空機の製造をする者は、その製造に係る航空機について通商産業大臣の確認を受けなければならない。但し、第六条第一項但書に規定する場合は、この限りでない。
2 通商産業大臣は、前項の確認の申請があつたときは、申請に係る航空機が第六条第一項の検査に合格し、又は同条第三項の承認を受けた製造設備等により製造されたものであるかどうかについて確認をしなければならない。
3 通商産業大臣は、第一項の確認をしたときは、申請者に製造確認書を交付しなければならない。
4 航空機を製造した者は、前項の製造確認書とともにするのでなければ、その製造に係る航空機を他人に引き渡してはならない。但し、第六条第一項但書に規定する場合は、この限りでない。
(修理設備等の検査)
第九条 航空機の修理(改造を含み、通商産業省令で定める軽微な修理並びに航空運送事業者又は航空機使用事業者の自家修理及びこれに準ずるものを除く。以下同じ。)をする者は、通商産業省令で定める航空機又は修理の区分に従い、その修理のための設備及び修理の方法(以下「修理設備等」という。)について、通商産業大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、その修理設備等により航空機を修理してはならない。但し、試験的に修理する場合その他通商産業省令で定める場合は、この限りでない。
2 第六条第二項から第四項まで及び第七条の規定は、航空機の修理設備等に準用する。
(修理の確認)
第十条 航空機について通商産業省令で定める修理をする者は、その修理に係る航空機について、通商産業大臣の確認を受けなければならない。但し、前条第一項但書に規定する場合は、この限りでない。
2 航空機の修理(前項の通商産業省令で定めるものを除く。)をする者は、その修理に係る航空機について、通商産業省令で定める資格を有する航空検査技術者の確認を受けなければならない。但し、前条第一項但書に規定する場合は、この限りでない。
3 第八条第二項から第四項までの規定は、前二項の修理の確認に準用する。
第四章 航空機用機器
(製造設備等の検査)
第十一条 航空機用機器の製造をする者は、通商産業省令で定める航空機用機器の区分に従い、その製造設備等について、通商産業大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、その製造設備等により航空機用機器の製造をしてはならない。但し、試験的に製造をする場合その他通商産業省令で定める場合は、この限りでない。
2 第六条第二項から第四項まで及び第七条の規定は、航空機用機器の製造設備等に準用する。
(製造証明)
第十二条 航空機用機器の製造をする者は、その製造に係る航空機用機器について通商産業大臣の製造証明を受けることができる。
2 通商産業大臣は、前項の製造証明の申請があつたときは、申請に係る航空機用機器が通商産業省令で定める生産技術上の基準に適合するかどうかを検査し、適合すると認めるときは、前項の製造証明をしなければならない。
3 第八条第三項及び第四項の規定は、航空機用機器の製造証明に準用する。
(使用の制限)
第十三条 航空機の製造又は修理(航空法第十七条第一項の予備品証明を受けた装備品を用いてするものを除く。以下この条において同じ。)をする者は、製造証明のない航空機用機器(輸入された航空機用機器を除く。)を航空機の製造又は修理に用いてはならない。但し、試験的に用いる場合その他通商産業省令で定める場合は、この限りでない。
(修理設備等の検査)
第十四条 航空機用機器の修理をする者は、通商産業省令で定める航空機用機器又は修理の区分に従い、その修理設備等について、通商産業大臣の検査をうけ、これに合格した後でなければ、その修理設備等により航空機用機器の修理をしてはならない。但し、継続的な修理を目的としない場合その他通商産業省令で定める場合は、この限りでない。
2 第六条第二項から第四項まで及び第七条の規定は、航空機用機器の修理設備等に準用する。
第五章 航空工場検査官及び航空工場検査員
(航空工場検査官)
第十五条 通商産業省に、航空工場検査官(以下「検査官」という。)を置く。
2 検査官は、この法律の規定による検査又は確認に関する事務に従事する。
(航空工場検査員)
第十六条 通商産業大臣は、航空機又は航空機用機器の製造工場又は修理工場(航空運送事業者又は航空機使用事業者の自家修理工場及びこれに準ずるものを除く。)の従業者であつて、政令で定めるものを、前条第二項に規定する事務に従事させることができる。
第六章 雑則
(報告徴収及び立入検査)
第十七条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、航空機若しくは航空機用機器の製造若しくは修理をする者から、航空機若しくは航空機用機器の製造若しくは修理若しくは製造設備等若しくは修理設備等に関する報告を徴し、又はその職員にその者の事務所、工場、倉庫若しくは航空機若しくは航空機用機器の所在する場所に立ち入り、航空機、航空機用機器、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人に呈示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(手数料の納付)
第十八条 別表の上欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内で政令で定める額の手数料を納めなければならない。
(不服の申立)
第十九条 この法律の規定による通商産業大臣の処分に対して不服のある者は、その旨を記載した書面をもつて、通商産業大臣に対し、不服の申立をすることができる。
(聴聞)
第二十条 通商産業大臣は、不服の申立を受理したときは、その不服の申立をした者に対し、相当な期間をおいて予告をした上、公開による聴聞を行わなければならない。
2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
3 聴聞に際しては、不服の申立をした者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第二十一条 通商産業大臣は、前条の聴聞を行つた後、文書をもつて決定をし、その写を不服の申立をした者に送付しなければならない。
第七章 罰則
第二十二条 第六条第一項、第九条第一項、第十一条第一項、第十三条又は第十四条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第二十三条 第八条第四項(第十条第三項及び第十二条第三項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二十四条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第三条第一項の規定による届出書を提出せず、又は虚偽の届出書を提出した者
二 第四条又は第五条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第十七条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
四 第十七条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
(決定)
第二十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。但し、第三章及び第四章(第八条第四項及び第十三条を除く。)の規定は、昭和二十七年九月一日から、第八条第四項及び第十三条の規定は、昭和二十七年十一月一日から施行する。
2 第六条第一項、第九条第一項、第十一条第一項及び第十四条第一項の規定の施行の際現に航空機又は航空機用機器の製造又は修理を行つている者は、これらの規定にかかわらず、昭和二十七年九月三十日までは、その製造設備等又は修理設備等により航空機又は航空機用機器の製造又は修理をすることができる。
3 航空機等に関する措置に関する件(昭和二十年商工省令、文部省令、運輸省令第一号)は、廃止する。
4 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項中第三十三号の次に次の二号を加える。
三十三の二 航空機又は航空機用機器の製造設備等又は修理設備等の検査をすること。
三十三の三 航空機又は航空機用機器の確認又は証明をすること。
第十条第一項第六号の次に次の二号を加える。
六の二 航空機又は航空機用機器の製造設備等又は修理設備等の検査に関すること。
六の三 航空機又は航空機用機器の確認又は証明に関すること。
第二十四条第一項の表中
計量行政審議会
計量に関する重要事項を調査審議すること。
計量行政審議会
計量に関する重要事項を調査審議すること。
航空機生産審議会
航空機及びその関連機器の生産に関する重要事項を調査審議すること。
に改める。
5 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
別表
納付しなければならない者
金額
一 第六条第一項の検査又は同条第三項の承認を申請する者
九万円
二 第八条第一項の確認を申請する者
八千円
三 第九条第一項の検査又は同条第二項において準用する第六条第三項の承認を申請する者
五万円
四 第十条第一項の確認を申請する者
四千円
五 第十一条第一項の検査又は同条第二項において準用する第六条第三項の承認を申請する者
六万円
六 第十二条第一項の製造証明を申請する者
 イ 航空機用原動機
五千円
 ロ 航空機用プロペラ
一千五百円
 ハ その他の航空機用機器
二千五百円
七 第十四条第一項の検査又は同条第二項において準用する第六条第三項の承認を申請する者
二万円
通商産業大臣 高橋龍太郎
内閣総理大臣 吉田茂