(目的)
第一條 この法律は、警察用有線電気通信設備(消防の用に供するものを含む。以下同じ。)の整備を図るため、地方公共団体が所有する警察用有線電気通信設備等を国が讓り受けることを目的とする。
(讓渡する設備等の範囲)
第二條 地方公共団体は、この法律施行の際その所有する警察用有線電気通信設備であつて、公衆電気通信系に併合して使用することのできるもののうち左に掲げるもの並びにその建設、保守に充てるため所有する機器及び素材を国に讓り渡すものとする。
一 同一の建造物内又は構内に終始する線路以外の線路
二 交換機に接続され、且つ、その交換機と同一の建造物内又は構内にある電話機及び同一の建造物内又は構内に終始する線路に接続する電話機以外の電話機(附属物品を含む。)
2 国は、前項の規定により警察用有線電気通信設備、機器及び素材を讓り受けた場合には、この法律に定めるところに従い、代価を支拂わなければならない。但し、同一電話加入区域内又は同一自治体警察の管轄区域内に終始する線路及びこれに接続する電話機については、この限りでない。
(警察用有線電気通信設備評価審議会)
第三條 前條の規定により国に讓り渡す警察用有線電気通信設備、機器及び素材の代価を決定するため、電気通信省に警察用有線電気通信設備評価審議会(以下「評価審議会」という。)を置く。
2 評価審議会は、委員長及び委員七人をもつて組織する。
3 委員は、左に掲げる者につき電気通信大臣が任命する。
三 国家公安委員会の委員又は国家地方警察本部の職員 二人
6 評価審議会は、委員の過半数の出席がなければ議事を開き、議決することができない。
7 評価審議会の議事は、出席した委員の過半数をもつて決する。可否同数のときは、委員長の決するところによる。
(代価の決定)
第四條 第二條の規定により国が讓り受ける警察用有線電気通信設備の代価は、この法律施行の日における創設費からその耐用年数により算出した減価部分を控除した額を基準とし、その設備の利用できる程度を参しやくして評価審議会で定める額とする。
2 第二條の規定により国が讓り受ける機器及び素材の代価は、統制額の定のあるものについてはこの法律施行の日における統制額、統制額の定のないものについてはその日における市場価格を基準として評価審議会で定める額とする。
(支拂方法及び利子)
第五條 国は、第二條第二項に規定する代価として、昭和二十五年度から毎年、前條の規定により評価審議会が定める額の五分の一を下らない額を支拂うものとする。
2 第二條第二項に規定する代価については、讓渡の日から未拂部分に対し年五分の率による利子を附けるものとする。
(讓渡の時期)
第六條 第二條の規定による讓渡は、この法律施行後六箇月以内に完了しなければならない。
(設備料の徴收免除)
第七條 国は、第二條の規定により讓り受けた電話設備のうち、同條第二項但書に該当するものを、その所在する場所において、市内專用電話の回線(これに接続する機器を含む。)として使用する場合においては、その設備料を徴收することができない。
(設備の專用)
第八條 国は、地方公共団体の所有する警察用有線電気通信設備を使用してこの法律施行の際現に行われている警察のための通信業務が中断しないように、国家公安委員会又は市町村公安委員会若しくは特別区公安委員会に有線電気通信設備を專用させなければならない。
第九條 国は、前條に規定するものの外、何時でも、国家公安委員会又は市町村公安委員会若しくは特別区公安委員会の申出により、警察の目的を達するのに必要な有線電気通信設備を、これらに專用させなければならない。但し、警察の用に充てることができる有線電気通信設備がない場合及び予算上有線電気通信設備の專用に関する料金の支拂ができない場合は、この限りでない。
2 国は、国家公安委員会又は市町村公安委員会若しくは特別区公安委員会の承認がなければ、これらが專用する有線電気通信設備について、その專用を取り消し、又は停止することができない。但し、專用に関する料金の支拂の遅滯があつた場合においては、国家公安委員会又は市町村公安委員会若しくは特別区公安委員会は、料金支拂のために必要な措置をとらない限り、專用の取消又は停止を承認しなければならない。