医療保護法
法令番号: 法律第三十六號
公布年月日: 昭和16年3月6日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル醫療保護法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年三月五日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
內務大臣 男爵 平沼騏一郞
厚生大臣 金光庸夫
大藏大臣 河田烈
法律第三十六號
醫療保護法
第一條 政府ハ本法ニ依リ醫療保護事業ヲ管理ス
第二條 本法ニ於テ醫療保護事業ト稱スルハ貧困ノ爲生活困難ニシテ醫療又ハ助產ヲ受クルコト能ハザル者ニ對シ醫療券ヲ發行シテ醫療又ハ助產ヲ受ケシムル事業ヲ謂ヒ事業者ト稱スルハ醫療保護事業ヲ行フ者ヲ謂フ
第三條 市町村及勅令ヲ以テ指定スル者ハ事業者トス
第四條 道府縣及主務大臣ノ指定スル者ハ事業者ト爲ルコトヲ得
第五條 前二條ニ揭グル者ニ非ザル者事業者タラントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第六條 事業者ハ醫療保護事業ヲ行フ爲診療所、產院其ノ他適當ナル施設(以下施設ト稱ス)ヲ經營スルコトヲ得
主務大臣必要アリト認ムルトキハ事業者ニ對シ施設ノ經營ヲ命ズルコトヲ得但シ他ノ法令ニ依リ施設ノ經營ヲ命ズルコトヲ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第七條 事業者ハ施設ニ於ケル醫療又ハ助產ニ關シ必要ナル附帶事業(以下附帶事業ト稱ス)ヲ行フコトヲ得
主務大臣必要アリト認ムルトキハ施設ヲ經營スル事業者ニ對シ附帶事業ヲ行フコトヲ命ズルコトヲ得
附帶事業ノ種類ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八條 主務大臣必要アリト認ムルトキハ事業者ニ對シ施設又ハ附帶事業ノ讓渡ニ付他ノ事業者ト協議ヲ爲スベキコトヲ命ズルコトヲ得
事業者前項ノ協議ヲ爲サズ若ハ爲スコト能ハズ又ハ協議調ハザルトキハ主務大臣ハ當該事項ニ付必要ナル決定ヲ爲スコトヲ得
前項ノ決定中對價ニ付不服アル者ハ其ノ決定ノ通知ヲ受ケタル日(決定ノ通知ヲ受ケザル者ニ付テハ其ノ公示ノ日)ヨリ三十日以內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル命令及第二項ノ決定ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條 事業者醫療保護事業ヲ廢止セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第十條 本法ニ定ムルモノノ外醫療保護事業又ハ施設若ハ附帶事業ノ開始、休止、變更、廢止其ノ他醫療保護事業又ハ施設若ハ附帶事業ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一條 事業者ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニシテ他ノ法令ニ依リ醫療又ハ助產ヲ受クルコトヲ得ザルモノニ對シ醫療券ヲ發行シテ其ノ疾病、傷痍又ハ分娩ニ付醫療又ハ助產ヲ受ケシムベシ
一 救護法又ハ母子保護法ニ依リ救護又ハ扶助ヲ受クル者
二 前號ニ揭グル者ノ外貧困ノ爲生活困難ニシテ醫療又ハ助產ヲ受クルコト能ハザル者(扶養義務者ニ於テ醫療又ハ助產ヲ受ケシムルコトヲ得ル者ヲ除ク但シ急迫ノ事情アル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ)
前項ノ規定ニ依リ發行スベキ醫療券ハ市町村ガ事業者タル場合ヲ除クノ外第十七條ノ規定ニ依ル割當ノ限度內トス
第十二條 前條第一項第二號ニ揭グル者ノ認定ハ其ノ者ノ居住地ノ市町村長、其ノ居住地ナキトキ又ハ居住地分明ナラザルトキハ現在地ノ市町村長之ヲ行フ
第十三條 事業者ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニ對シテハ醫療又ハ助產ヲ受ケシメザルコトヲ得
一 正當ノ理由ナクシテ醫療又ハ助產ニ關シ市町村長又ハ事業者ノ爲ス指示ニ從ハザル者
二 正當ノ理由ナクシテ醫療又ハ助產ニ關スル檢診又ハ調査ヲ拒ミタル者
三 性行著シク不良ナル者
第十四條 事業者必要アリト認ムルトキハ第十一條ノ規定ニ依リ醫療又ハ助產ヲ受ケシムベキ者ヲ施設ニ收容シ又ハ他ノ事業者ノ施設若ハ適當ナル診療所、產院等ニ收容ヲ委託スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ收容ノ委託ヲ受ケタル事業者ハ正當ノ理由アルニ非ザレバ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
第十五條 本法ニ依リ受ケシムベキ醫療及助產ノ範圍、程度及方法ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十六條 第十一條第一項第二號ニ揭グル者ニシテ醫療券ニ依ル醫療又ハ助產ヲ受クルモノ死亡シタル場合ニ於テ市町村長埋葬ヲ行フ者ニ對シ埋葬ニ要スル費用ヲ給スルコト適當ナリト認ムルトキ又ハ埋葬ヲ行フ者ナシト認ムルトキハ死亡シタル者ハ其ノ埋葬ニ付テハ之ヲ救護法又ハ母子保護法ニ依リ死亡ノ際現ニ救護又ハ扶助ヲ受クル者ト看做ス
第十七條 地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ事業者ニ對シ其ノ者ノ發行スベキ醫療券ニ付其ノ數、地域等ヲ定メ割當ヲ爲スベシ
第十八條 地方長官ハ前條ニ揭グルモノノ外醫療保護事業ノ統制及聯絡ニ關スル事務ヲ行フ
地方長官ハ市町村長ヲシテ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ事務ノ一部ヲ行ハシムルコトヲ得
第十九條 方面委員令ニ依ル方面委員ハ命令ノ定ムル所ニ依リ醫療保護事業ニ關スル事務ニ付市町村長ヲ補助スベシ
第二十條 事業者ハ第十一條ノ規定ニ依リ發行シタル醫療券ニ依ル醫療又ハ助產ニ要シタル費用ヲ負擔スルモノトス
第二十一條 第十九條ノ規定ニ依リ方面委員ガ職務ヲ行フ爲必要ナル費用ハ市町村ノ負擔トス
第二十二條 國庫ハ事業者ニ對シ勅令ノ定ムル所ニ依リ左ノ諸費ニ付其ノ二分ノ一ヲ補助ス但シ町村及第三條ノ規定ニ依リ勅令ヲ以テ指定スル者ノ負擔ニ係ルモノニ對シテハ其ノ十二分ノ七ヲ補助ス
一 第二十條ノ規定ニ依リ負擔スル費用
二 施設ノ費用
國庫ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ市町村ガ前條ノ規定ニ依リ負擔スル費用ニ付市ニ對シテハ其ノ二分ノ一、町村ニ對シテハ其ノ十二分ノ七ヲ補助ス
道府縣ハ道府縣以外ノ事業者又ハ市町村ニ對シ勅令ノ定ムル所ニ依リ前二項ニ揭グル費用ニ付其ノ四分ノ一ヲ補助スベシ
國庫ハ事業者ニ對シ豫算ノ範圍內ニ於テ附帶事業ニ要スル費用及第八條ノ規定ニ依リ施設又ハ附帶事業ノ讓渡ヲ受クル爲要スル費用ニ付補助スルコトヲ得
第二十三條 救護法第二十六條乃至第二十七條ノ二ノ規定ハ事業者ガ道府縣又ハ市町村ナルトキハ其ノ負擔シタル醫療又ハ助產ニ要シタル費用ニ之ヲ準用ス
第二十四條 道府縣、市町村其ノ他ノ公共團體ハ左ニ揭グル土地又ハ建物ニ對シテハ租稅其ノ他ノ公課ヲ課スルコトヲ得ズ但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者ニ對シテハ此ノ限ニ在ラズ
一 主トシテ醫療保護事業又ハ施設若ハ附帶事業ノ用ニ供スル建物
二 前號ニ揭グル建物ノ敷地其ノ他主トシテ醫療保護事業又ハ施設若ハ附帶事業ノ用ニ供スル土地
第二十五條 地方長官ハ監督上必要アリト認ムルトキハ事業者ニ對シ諸般ノ報吿ヲ爲サシメ、書類帳簿ノ提出ヲ命ジ、實地ニ就キ業務若ハ會計ノ狀況ヲ調査シ又ハ醫療保護事業、施設若ハ附帶事業ニ關シ必要ナル指示ヲ爲スコトヲ得但シ主務大臣ノ指定スル事業者ニ對シテハ主務大臣及地方長官之ヲ行フ
第二十六條 第五條ノ規定ニ依ル事業者本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキハ主務大臣ハ同條ノ規定ニ依ル認可ヲ取消スコトヲ得
第二十七條 事業者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ國庫及道府縣ハ補助ヲ取消シ、旣ニ交付シタル補助金ノ全部若ハ一部ノ返還ヲ命ジ又ハ補助ヲ爲サザルコトヲ得
一 本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキ
二 補助ノ條件ニ違反シタルトキ
三 不正ノ手段ヲ以テ補助金ノ交付ヲ受ケタルトキ
第二十八條 詐僞其ノ他ノ不正ノ手段ニ依リ醫療券ニ依ル醫療若ハ助產ヲ受ケ又ハ受ケシメタル者ハ三月以下ノ懲役又ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十九條 町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ本法中町村ニ關スル規定ハ之ヲ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ關スル規定ハ之ヲ町村長ニ準ズベキモノニ適用ス
附 則
第三十條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十一條 本法施行ノ際第三條及第四條ニ揭グル者ニ非ザル者ニシテ現ニ醫療保護事業ヲ行フモノ又ハ其ノ事業ヲ承繼シタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨリ三月間ヲ限リ引續キ其ノ事業ヲ行フコトヲ得
前項ノ者前項ノ期間經過後引續キ其ノ事業ヲ行ハントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ期間內ニ第五條ノ規定ニ依ル認可ヲ申請スベシ
前項ノ規定ニ依ル認可ノ申請ヲ爲シタル者ハ其ノ申請ニ對スル認可又ハ不認可ノ處分アル迄引續キ其ノ事業ヲ行フコトヲ得
第三十二條 救護法中左ノ通改正ス
第六條中「、病院」ヲ削ル
第十條第一項第二號及第三號ヲ左ノ如ク改ム
二及び三 削除
第三十三條 母子保護法中左ノ通改正ス
第六條第一項中「養育扶助、生業扶助及醫療」ヲ「養育扶助及生業扶助」ニ改ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル医療保護法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年三月五日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
内務大臣 男爵 平沼騏一郎
厚生大臣 金光庸夫
大蔵大臣 河田烈
法律第三十六号
医療保護法
第一条 政府ハ本法ニ依リ医療保護事業ヲ管理ス
第二条 本法ニ於テ医療保護事業ト称スルハ貧困ノ為生活困難ニシテ医療又ハ助産ヲ受クルコト能ハザル者ニ対シ医療券ヲ発行シテ医療又ハ助産ヲ受ケシムル事業ヲ謂ヒ事業者ト称スルハ医療保護事業ヲ行フ者ヲ謂フ
第三条 市町村及勅令ヲ以テ指定スル者ハ事業者トス
第四条 道府県及主務大臣ノ指定スル者ハ事業者ト為ルコトヲ得
第五条 前二条ニ掲グル者ニ非ザル者事業者タラントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第六条 事業者ハ医療保護事業ヲ行フ為診療所、産院其ノ他適当ナル施設(以下施設ト称ス)ヲ経営スルコトヲ得
主務大臣必要アリト認ムルトキハ事業者ニ対シ施設ノ経営ヲ命ズルコトヲ得但シ他ノ法令ニ依リ施設ノ経営ヲ命ズルコトヲ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第七条 事業者ハ施設ニ於ケル医療又ハ助産ニ関シ必要ナル附帯事業(以下附帯事業ト称ス)ヲ行フコトヲ得
主務大臣必要アリト認ムルトキハ施設ヲ経営スル事業者ニ対シ附帯事業ヲ行フコトヲ命ズルコトヲ得
附帯事業ノ種類ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八条 主務大臣必要アリト認ムルトキハ事業者ニ対シ施設又ハ附帯事業ノ譲渡ニ付他ノ事業者ト協議ヲ為スベキコトヲ命ズルコトヲ得
事業者前項ノ協議ヲ為サズ若ハ為スコト能ハズ又ハ協議調ハザルトキハ主務大臣ハ当該事項ニ付必要ナル決定ヲ為スコトヲ得
前項ノ決定中対価ニ付不服アル者ハ其ノ決定ノ通知ヲ受ケタル日(決定ノ通知ヲ受ケザル者ニ付テハ其ノ公示ノ日)ヨリ三十日以内ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル命令及第二項ノ決定ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第九条 事業者医療保護事業ヲ廃止セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第十条 本法ニ定ムルモノノ外医療保護事業又ハ施設若ハ附帯事業ノ開始、休止、変更、廃止其ノ他医療保護事業又ハ施設若ハ附帯事業ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一条 事業者ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ニシテ他ノ法令ニ依リ医療又ハ助産ヲ受クルコトヲ得ザルモノニ対シ医療券ヲ発行シテ其ノ疾病、傷痍又ハ分娩ニ付医療又ハ助産ヲ受ケシムベシ
一 救護法又ハ母子保護法ニ依リ救護又ハ扶助ヲ受クル者
二 前号ニ掲グル者ノ外貧困ノ為生活困難ニシテ医療又ハ助産ヲ受クルコト能ハザル者(扶養義務者ニ於テ医療又ハ助産ヲ受ケシムルコトヲ得ル者ヲ除ク但シ急迫ノ事情アル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ)
前項ノ規定ニ依リ発行スベキ医療券ハ市町村ガ事業者タル場合ヲ除クノ外第十七条ノ規定ニ依ル割当ノ限度内トス
第十二条 前条第一項第二号ニ掲グル者ノ認定ハ其ノ者ノ居住地ノ市町村長、其ノ居住地ナキトキ又ハ居住地分明ナラザルトキハ現在地ノ市町村長之ヲ行フ
第十三条 事業者ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ニ対シテハ医療又ハ助産ヲ受ケシメザルコトヲ得
一 正当ノ理由ナクシテ医療又ハ助産ニ関シ市町村長又ハ事業者ノ為ス指示ニ従ハザル者
二 正当ノ理由ナクシテ医療又ハ助産ニ関スル検診又ハ調査ヲ拒ミタル者
三 性行著シク不良ナル者
第十四条 事業者必要アリト認ムルトキハ第十一条ノ規定ニ依リ医療又ハ助産ヲ受ケシムベキ者ヲ施設ニ収容シ又ハ他ノ事業者ノ施設若ハ適当ナル診療所、産院等ニ収容ヲ委託スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ収容ノ委託ヲ受ケタル事業者ハ正当ノ理由アルニ非ザレバ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
第十五条 本法ニ依リ受ケシムベキ医療及助産ノ範囲、程度及方法ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十六条 第十一条第一項第二号ニ掲グル者ニシテ医療券ニ依ル医療又ハ助産ヲ受クルモノ死亡シタル場合ニ於テ市町村長埋葬ヲ行フ者ニ対シ埋葬ニ要スル費用ヲ給スルコト適当ナリト認ムルトキ又ハ埋葬ヲ行フ者ナシト認ムルトキハ死亡シタル者ハ其ノ埋葬ニ付テハ之ヲ救護法又ハ母子保護法ニ依リ死亡ノ際現ニ救護又ハ扶助ヲ受クル者ト看做ス
第十七条 地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ事業者ニ対シ其ノ者ノ発行スベキ医療券ニ付其ノ数、地域等ヲ定メ割当ヲ為スベシ
第十八条 地方長官ハ前条ニ掲グルモノノ外医療保護事業ノ統制及連絡ニ関スル事務ヲ行フ
地方長官ハ市町村長ヲシテ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ事務ノ一部ヲ行ハシムルコトヲ得
第十九条 方面委員令ニ依ル方面委員ハ命令ノ定ムル所ニ依リ医療保護事業ニ関スル事務ニ付市町村長ヲ補助スベシ
第二十条 事業者ハ第十一条ノ規定ニ依リ発行シタル医療券ニ依ル医療又ハ助産ニ要シタル費用ヲ負担スルモノトス
第二十一条 第十九条ノ規定ニ依リ方面委員ガ職務ヲ行フ為必要ナル費用ハ市町村ノ負担トス
第二十二条 国庫ハ事業者ニ対シ勅令ノ定ムル所ニ依リ左ノ諸費ニ付其ノ二分ノ一ヲ補助ス但シ町村及第三条ノ規定ニ依リ勅令ヲ以テ指定スル者ノ負担ニ係ルモノニ対シテハ其ノ十二分ノ七ヲ補助ス
一 第二十条ノ規定ニ依リ負担スル費用
二 施設ノ費用
国庫ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ市町村ガ前条ノ規定ニ依リ負担スル費用ニ付市ニ対シテハ其ノ二分ノ一、町村ニ対シテハ其ノ十二分ノ七ヲ補助ス
道府県ハ道府県以外ノ事業者又ハ市町村ニ対シ勅令ノ定ムル所ニ依リ前二項ニ掲グル費用ニ付其ノ四分ノ一ヲ補助スベシ
国庫ハ事業者ニ対シ予算ノ範囲内ニ於テ附帯事業ニ要スル費用及第八条ノ規定ニ依リ施設又ハ附帯事業ノ譲渡ヲ受クル為要スル費用ニ付補助スルコトヲ得
第二十三条 救護法第二十六条乃至第二十七条ノ二ノ規定ハ事業者ガ道府県又ハ市町村ナルトキハ其ノ負担シタル医療又ハ助産ニ要シタル費用ニ之ヲ準用ス
第二十四条 道府県、市町村其ノ他ノ公共団体ハ左ニ掲グル土地又ハ建物ニ対シテハ租税其ノ他ノ公課ヲ課スルコトヲ得ズ但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者ニ対シテハ此ノ限ニ在ラズ
一 主トシテ医療保護事業又ハ施設若ハ附帯事業ノ用ニ供スル建物
二 前号ニ掲グル建物ノ敷地其ノ他主トシテ医療保護事業又ハ施設若ハ附帯事業ノ用ニ供スル土地
第二十五条 地方長官ハ監督上必要アリト認ムルトキハ事業者ニ対シ諸般ノ報告ヲ為サシメ、書類帳簿ノ提出ヲ命ジ、実地ニ就キ業務若ハ会計ノ状況ヲ調査シ又ハ医療保護事業、施設若ハ附帯事業ニ関シ必要ナル指示ヲ為スコトヲ得但シ主務大臣ノ指定スル事業者ニ対シテハ主務大臣及地方長官之ヲ行フ
第二十六条 第五条ノ規定ニ依ル事業者本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキハ主務大臣ハ同条ノ規定ニ依ル認可ヲ取消スコトヲ得
第二十七条 事業者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ国庫及道府県ハ補助ヲ取消シ、既ニ交付シタル補助金ノ全部若ハ一部ノ返還ヲ命ジ又ハ補助ヲ為サザルコトヲ得
一 本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキ
二 補助ノ条件ニ違反シタルトキ
三 不正ノ手段ヲ以テ補助金ノ交付ヲ受ケタルトキ
第二十八条 詐偽其ノ他ノ不正ノ手段ニ依リ医療券ニ依ル医療若ハ助産ヲ受ケ又ハ受ケシメタル者ハ三月以下ノ懲役又ハ百円以下ノ罰金ニ処ス
第二十九条 町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ本法中町村ニ関スル規定ハ之ヲ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ関スル規定ハ之ヲ町村長ニ準ズベキモノニ適用ス
附 則
第三十条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十一条 本法施行ノ際第三条及第四条ニ掲グル者ニ非ザル者ニシテ現ニ医療保護事業ヲ行フモノ又ハ其ノ事業ヲ承継シタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨリ三月間ヲ限リ引続キ其ノ事業ヲ行フコトヲ得
前項ノ者前項ノ期間経過後引続キ其ノ事業ヲ行ハントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ期間内ニ第五条ノ規定ニ依ル認可ヲ申請スベシ
前項ノ規定ニ依ル認可ノ申請ヲ為シタル者ハ其ノ申請ニ対スル認可又ハ不認可ノ処分アル迄引続キ其ノ事業ヲ行フコトヲ得
第三十二条 救護法中左ノ通改正ス
第六条中「、病院」ヲ削ル
第十条第一項第二号及第三号ヲ左ノ如ク改ム
二及び三 削除
第三十三条 母子保護法中左ノ通改正ス
第六条第一項中「養育扶助、生業扶助及医療」ヲ「養育扶助及生業扶助」ニ改ム