第一條 民生委員は、保護に關して必要な調査をしなければならない。
民生委員は、保護を受ける者について、市町村長(東京都の區のある區域においては東京都長官とする。以下同じ。)にその狀況を通知し、且つ、必要な保護の種類、程度若しくは方法又は保護の廢止、停止若しくは變更に關して意見を具申しなければならない。
第二條 生活扶助は、金錢又は物品の給與によつてこれを行ふ。
第三條 生活扶助のため給與する金錢又は物品は、一箇月分以內を限度としてこれを前渡しする。
保護の廢止、停止又は變更の場合において、保護を受ける者が已むを得ない事由により前渡しした金錢又は物品を費消し、又は喪失し、且つ返還の資力がないときは、これを返還させないことができる。
保護の廢止、停止又は變更の場合において、前渡しした金錢又は物品中返還させなければならないものについては、これに相當する額を後に給與するものから減ずることができる。
第六條 醫療又は助產は、保護施設、厚生大臣の指定した醫療施設又は市町村長の指定した醫師、齒科醫師若しくは產婆についてこれを受けさせる。但し、急迫した事情がある場合においては、市町村長の指定しない醫師、齒科醫師又は產婆についてこれを受けさせることができる。
第七條 醫師又は齒科醫師が處方箋を交付したときは、市町村長の指定した藥劑師について藥劑を受けさせる。
第八條 生業扶助は、生業に必要な資金、器具若しくは資料の給與若しくは貸與をなし、又は主業に必要な技能を授けることによつてこれを行ふ。
第九條 葬祭扶助は、葬祭に必要な金錢の給與又は器具の給與若しくは貸與によつてこれを行ふ。
第十條 保護のため支出する費用、生活保護法第十七條第一項の葬祭費及び同條第二項の規定による葬祭のため支出する費用の程度は、厚生大臣の認可を受け、地方長官が、これを定める。
第十一條 保護のため保護を受ける者の移送をなした場合においては、その實費を支出することができる。
第十二條 生活保護法第十五條の規定により市町村長又はその指定した者が後見人の職務を行ふ場合においては、後見監督人及び親族會の職務權限は、その市町村長がこれを行ふ。
第十三條 都道府縣が設置した保護施設及び生活保護法第七條の規定により市町村又は市町村以外の者が設置した保護施設の事務費についての市町村又は都道府縣の負擔は、各年度におけるその施設の事務費の額から、その費用のための寄附金その他の收入の額を控除した精算額を、その施設において保護又は援護を受ける者の延人員數を標準として按分負擔する。
前項の規定により控除しなければならない金額がその年度における事務費の額を超過した場合においては、その超過額は、後年度における支出額からこれを控除する。
保護施設が他の目的に利用された場合においては、第一項の精算額は、保護又は援護のため利用された程度を標準としてこれを定める。
第十四條 生活保護法第七條の規定により市町村又は市町村以外の者が設置した保護施設の設備に要する費用に對する都道府縣の補助は、保護施設の創設費、改良費、擴張費、修理費及びこれに伴ふ初度調辨費の合計額から、その費用のための寄附金その他の收入の額を控除した精算額に對してこれを行ふ。
保護施設が他の目的に利用される場合においては、前項の精算額は、保護又は援護のため利用される程度を標準としてこれを定める。
第十五條 生活保護法第二十三條の規定により市町村が負擔した費用に對する都道府縣の補助は、各年度において市町村が民生委員に關して支出した費用の額から、その年度におけるその費用のための寄附金その他の收入の額を控除した精算額に對してこれを行ふ。
第十三條第二項の規定は、前項の場合にこれを準用する。
第十六條 生活保護法第十八條第一項、第十九條、第二十二條及び第二十四條の規定により市町村が負擔した費用に對する都道府縣の補助は、各年度において市町村が保護に要した費用、葬祭費として支出した費用、葬祭に要した費用及び保護施設の事務費として支出した費用の合計額から、その年度において生活保護法第三十二條乃至第三十五條の規定により徵收し、償還させ又は充當した金額及びその費用のための寄附金その他の收入の額を控除した精算額に對してこれを行ふ。
第十三條第二項の規定は、前項の場合にこれを準用する。
第十七條 前三條の規定は、國庫の補助について、これを準用する。
第十八條 生活保護法第二十六條の規定により都道府縣が負擔した費用に對する國庫の補助は、生活保護法第七條第二項の規定により市町村以外の者の設置した保護施設の設備に要する費用に對する都道府縣の補助費の額から、その補助費のための寄附金その他の收入の額を控除した精算額に對してこれを行ふ。
第十九條 生活保護法第二十六條乃至第三十一條の規定による都道府縣及び國庫の補助金の額は、第十四條乃至前條の場合における控除額にこれを算入しない。
第二十條 第十四條乃至前條の規定により交付した都道府縣及び國庫の補助金は、左に揭げる場合においては、その全部又は一部を返還させることができる。
一 保護施設が生活保護法若しくは同法に基いて發する命令又はこれに基いてなす處分に違反したとき。
二 保護施設の事業の全部若しくは一部を廢止し、又は當初豫定した目的以外の用途に利用するやうになつたとき。
第二十一條 保護を受ける者が收容保護を受け、又は保護施設において宿所の提供を受けるときは、生活保護法第十八條第一項及び第十九條の期間計算については、收容又は宿泊の期間は、收容され、又は宿所の提供を受けるやうになつた時までの居住地における居住の期間とする。
第二十二條 この勅令中、町村に關する規定は、町村制を施行しない地においては町村に準ずるものに、町村長に關する規定は、町村長に準ずる者に、これを適用する。