戦時災害保護法
法令番号: 法律第七十一號
公布年月日: 昭和17年2月25日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル戰時災害保護法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年二月二十四日
內閣總理大臣 東條英機
厚生大臣 小泉親彥
大藏大臣 賀屋興宣
法律第七十一號
戰時災害保護法
第一章 總則
第一條 戰時災害ニ因リ危害ヲ受ケタル者竝ニ其ノ家族及遺族ニシテ帝國臣民タルモノハ本法ニ依リ之ヲ保護ス
第二條 本法ニ於テ戰時災害ト稱スルハ戰爭ノ際ニ於ケル戰鬪行爲ニ因ル災害及之ニ起因シテ生ズル災害ヲ謂フ
第三條 保護ハ救助、扶助及給與金ノ支給ノ三種トス
第四條 保護ハ保護ヲ受クベキ者ノ住所地(救助ニ付テハ現在地)ヲ管轄スル地方長官之ヲ行フ
第二章 救助
第五條 救助ハ戰時災害ニ罹リ現ニ應急救助ヲ必要トスル者ニ對シ之ヲ爲ス
第六條 救助ノ種類左ノ如シ
一 收容施設ノ供與
二 焚出其ノ他ニ依ル食品ノ給與
三 被服、寢具其ノ他生活必要需品ノ給與及貸與
四 醫療及助產
五 學用品ノ給與
六 埋葬
七 前各號ニ揭グルモノノ外地方長官ニ於テ必要ト認ムルモノ
救助ハ地方長官ニ於テ必要アリト認メタル場合ニ於テハ前項ノ規定ニ拘ラズ要救助者(埋葬ニ付テハ埋葬ヲ行フ者)ニ對シ金錢ヲ給シテ之ヲ爲スコトヲ得
救助ノ程度、方法及期間ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第七條 地方長官ハ勅令ヲ以テ定ムル者ヲシテ救助ノ實施ニ從事セシムルコトヲ得
第八條 地方長官ハ要救助者ヲシテ救助ノ實施ニ協力セシムルコトヲ得
第九條 救助ヲ行フ爲特ニ必要アリト認ムルトキハ地方長官ハ一時勅令ヲ以テ定ムル施設ヲ管理シ、土地、家屋若ハ物資ヲ使用シ、勅令ヲ以テ定ムル者ヲシテ物資ヲ保管セシメ又ハ物資ヲ收用スルコトヲ得
第十條 前條ノ規定ニ依リ管理、使用若ハ收用シ又ハ保管セシムル準備ノ爲必要アルトキハ地方長官ハ當該官吏ヲシテ施設、土地、家屋、物資ノ所在スル場所又ハ物資ヲ保管セシムル場所ニ立入リ檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
地方長官ハ前條ノ規定ニ依リ物資ヲ保管セシメタル者ヨリ必要ナル報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ當該物資ノ所在スル場所ニ立入リ檢査セシムルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依リ立入ル場合ニ於テハ其ノ旨豫メ其ノ施設、土地、家屋又ハ場所ノ管理者ニ通知スベシ
當該官吏第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ立入ル場合ハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶スベシ
第十四條第一項ノ規定ニ依リ市町村長又ハ之ニ準ズルモノ第一項及第二項ニ規定スル職權ノ委任ヲ受ケタルトキハ第一項、第二項及前項中當該官吏トアルハ當該吏員トス
第十一條 第七條ノ規定ニ依リ救助ノ實施ニ從事セシムル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ實費ヲ辨償ス
第十二條 第七條又ハ第八條ノ規定ニ依リ救助ノ實施ニ從事又ハ協力スル者之ガ爲傷痍ヲ受ケ、疾病ニ罹リ又ハ死亡シタル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ扶助金ヲ給ス
第十三條 第九條ノ規定ニ依リ施設ヲ管理シ、土地、家屋若ハ物資ヲ使用シ、物資ヲ保管セシメ又ハ物資ヲ收用スル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ損失ヲ補償ス
前項ノ規定ニ依リ補償ヲ受クベキ者補償ノ額ニ付不服アルトキハ其ノ金額ノ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ六月以內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第十四條 地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法ニ定ムル救助ニ關スル職權ノ一部ヲ市町村長又ハ之ニ準ズルモノニ委任スルコトヲ得
行政執行法第五條及第六條ノ規定竝ニ之ニ基キテ發スル命令ハ前項ノ規定ニ依リ地方長官ガ市町村長又ハ之ニ準ズルモノニ委任シタル第七條乃至第十條ノ規定ニ依ル職權ニ基キテ爲ス處分ニ依リテ負フ義務ノ履行ヲ市町村長又ハ之ニ準ズルモノガ强制スル場合ニ之ヲ準用ス
第十五條 地方長官ハ救助ノ爲必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ道府縣、市町村又ハ之ニ準ズルモノヲシテ救助ニ要スル費用ヲ一時繰替支辨セシムルコトヲ得
第三章 扶助
第十六條 扶助ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニシテ當該ノ傷痍、疾病、身體障害又ハ死亡ノ爲生活スルコト困難ト爲リタルモノニ對シ之ヲ爲ス但シ傷痍、疾病又ハ死亡ガ其ノ者又ハ扶助ヲ受クベキ者ノ故意又ハ重大ナル過失ニ因レルモノナルトキハ扶助ヲ爲サザルコトヲ得
一 戰時災害ニ因リ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル者
二 戰時災害ニ因ル傷痍又ハ疾病ノ治癒シタル場合ニ於テ仍身體ニ著シキ障害ヲ存スル者
三 前二號ニ揭グル者ノ配偶者(屆出ヲ爲サザルモ事實上婚姻ト同樣ノ關係ニ在ル者ヲ含ム以下同ジ)若ハ直系卑屬ニシテ前二號ニ揭グル者ト同一ノ家若ハ世帶ニ在ルモノ又ハ前二號ニ揭グル者ノ直系尊屬ニシテ前二號ニ揭グル者ガ傷疾ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リタル時ヨリ引續キ同一ノ家若ハ世帶ニ在ルモノ
四 戰時災害ニ因リ死亡シタル者ノ配偶者若ハ直系卑屬ニシテ戰時災害ニ因リ死亡シタル者ノ死亡ノ時之ト同一ノ家若ハ世帶ニ在リ且引續キ其ノ家若ハ世帶ニ在ルモノ又ハ戰時災害ニ因リ死亡シタル者ノ直系尊屬ニシテ戰時災害ニ因リ死亡シタル者ノ戰時災害ニ罹リタル時之ト同一ノ家若ハ世帶ニ在リ且引續キ其ノ家若ハ世帶ニ在ルモノ
前項ノ規定ニ依リ扶助ヲ受ケ又ハ受クベキ者本法ニ依リ救助ヲ受クルトキハ救助ヲ受クルノ間其ノ者ニ對シ扶助ヲ爲サズ
扶助ハ生活ニ必要ナル限度ヲ超ユルコトヲ得ズ
第十七條 扶助ノ種類左ノ如シ
一 生活扶助
二 療養扶助
三 出產扶助
四 生業扶助
第十八條 扶助ハ戰時災害ニ因リ危害ヲ受ケタル時ヨリ勅令ヲ以テ定ムル期間ヲ經過シタルトキハ之ヲ爲サズ
扶助ノ程度及方法ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條 扶助ヲ受クル者死亡シタル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ埋葬ヲ行ヒ又ハ埋葬ヲ行フ者ニ對シ埋葬費ヲ給スルコトヲ得
第二十條 扶助ヲ受クル者六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル場合ニ於テハ其ノ者ニ對シ扶助ヲ爲サズ六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ニ處セラレタル場合ニ於テハ其ノ刑ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ間亦同ジ
第二十一條 扶助ヲ受ケ又ハ受クベキ者左ニ揭グル事由ノ一ニ該當スルトキハ其ノ者ニ對シ扶助ヲ爲サザルコトヲ得
一 正當ノ理由ナクシテ扶助ニ關シ地方長官ノ爲ス指示ニ從ハザルトキ
二 正當ノ理由ナクシテ扶助ニ關スル檢診又ハ調査ヲ拒ミタルトキ
三 素行著シク不良ナルトキ又ハ著シク怠惰ナルトキ
第四章 給與金ノ支給
第二十二條 戰時災害ニ因リ死亡シタル者アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ遺族ニ對シ給與金ヲ給ス戰時災害ニ因リ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ之ガ爲身體ニ著シキ障害ヲ存スル者アルトキ其ノ者ニ對シ亦同ジ
第二十三條 戰時災害ニ因リ住宅(水上生活者ノ居住ノ用ニ供スル舟ヲ含ム)又ハ家財ノ滅失又ハ毀損アリタル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ所有者ニ對シ給與金ヲ給ス
第二十四條 業務ノ性質上戰時災害ニ因ル危害ヲ顧ミルコト能ハズシテ業務ニ從事スルコトヲ要スル者當該業務ニ從事中戰時災害ニ因リ傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リ又ハ死亡シタル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本人又ハ其ノ遺族ニ對シ給與金ヲ給ス此ノ場合ニ於テハ第二十二條ノ給與金ハ之ヲ給セズ
前項ノ業務ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十五條 正當ノ理由ナクシテ給與金ノ支給ニ關スル檢診又ハ調査ヲ拒ミタルトキハ其ノ者ニ對シ給與金ヲ給セザルコトヲ得
第五章 雜則
第二十六條 本法ニ依ル保護ハ他ノ法令ノ適用ニ付テハ貧困ノ爲ニスル公費ノ救助又ハ扶助ニ非ザルモノトス
第二十七條 本法ニ依リ給與ヲ受ケタル金品ヲ標準トシテ租稅其ノ他ノ公課ヲ課セズ
第二十八條 本法ニ依ル給與金品ハ旣ニ給與ヲ受ケタルト否トニ拘ラズ之ヲ差押フルコトヲ得ズ
第二十九條 本法ヲ朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ施行スル場合ニ於テ必要アルトキハ勅令ヲ以テ特別ノ定ヲ爲スコトヲ得
第六章 罰則
第三十條 第七條ノ規定ニ依ル命令ニ從ハザル者ハ六月以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十一條 詐僞其ノ他ノ不正ノ手段ニ依リ保護ヲ受ケ又ハ受ケシメタル者ハ六月以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十二條 第十條第一項若ハ第一項ノ定ニ依ル當該官吏若ハ當該吏員ノ立入檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ同條第二項ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル戦時災害保護法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年二月二十四日
内閣総理大臣 東条英機
厚生大臣 小泉親彦
大蔵大臣 賀屋興宣
法律第七十一号
戦時災害保護法
第一章 総則
第一条 戦時災害ニ因リ危害ヲ受ケタル者並ニ其ノ家族及遺族ニシテ帝国臣民タルモノハ本法ニ依リ之ヲ保護ス
第二条 本法ニ於テ戦時災害ト称スルハ戦争ノ際ニ於ケル戦闘行為ニ因ル災害及之ニ起因シテ生ズル災害ヲ謂フ
第三条 保護ハ救助、扶助及給与金ノ支給ノ三種トス
第四条 保護ハ保護ヲ受クベキ者ノ住所地(救助ニ付テハ現在地)ヲ管轄スル地方長官之ヲ行フ
第二章 救助
第五条 救助ハ戦時災害ニ罹リ現ニ応急救助ヲ必要トスル者ニ対シ之ヲ為ス
第六条 救助ノ種類左ノ如シ
一 収容施設ノ供与
二 焚出其ノ他ニ依ル食品ノ給与
三 被服、寝具其ノ他生活必要需品ノ給与及貸与
四 医療及助産
五 学用品ノ給与
六 埋葬
七 前各号ニ掲グルモノノ外地方長官ニ於テ必要ト認ムルモノ
救助ハ地方長官ニ於テ必要アリト認メタル場合ニ於テハ前項ノ規定ニ拘ラズ要救助者(埋葬ニ付テハ埋葬ヲ行フ者)ニ対シ金銭ヲ給シテ之ヲ為スコトヲ得
救助ノ程度、方法及期間ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第七条 地方長官ハ勅令ヲ以テ定ムル者ヲシテ救助ノ実施ニ従事セシムルコトヲ得
第八条 地方長官ハ要救助者ヲシテ救助ノ実施ニ協力セシムルコトヲ得
第九条 救助ヲ行フ為特ニ必要アリト認ムルトキハ地方長官ハ一時勅令ヲ以テ定ムル施設ヲ管理シ、土地、家屋若ハ物資ヲ使用シ、勅令ヲ以テ定ムル者ヲシテ物資ヲ保管セシメ又ハ物資ヲ収用スルコトヲ得
第十条 前条ノ規定ニ依リ管理、使用若ハ収用シ又ハ保管セシムル準備ノ為必要アルトキハ地方長官ハ当該官吏ヲシテ施設、土地、家屋、物資ノ所在スル場所又ハ物資ヲ保管セシムル場所ニ立入リ検査ヲ為サシムルコトヲ得
地方長官ハ前条ノ規定ニ依リ物資ヲ保管セシメタル者ヨリ必要ナル報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ当該物資ノ所在スル場所ニ立入リ検査セシムルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依リ立入ル場合ニ於テハ其ノ旨予メ其ノ施設、土地、家屋又ハ場所ノ管理者ニ通知スベシ
当該官吏第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ立入ル場合ハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯スベシ
第十四条第一項ノ規定ニ依リ市町村長又ハ之ニ準ズルモノ第一項及第二項ニ規定スル職権ノ委任ヲ受ケタルトキハ第一項、第二項及前項中当該官吏トアルハ当該吏員トス
第十一条 第七条ノ規定ニ依リ救助ノ実施ニ従事セシムル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ実費ヲ弁償ス
第十二条 第七条又ハ第八条ノ規定ニ依リ救助ノ実施ニ従事又ハ協力スル者之ガ為傷痍ヲ受ケ、疾病ニ罹リ又ハ死亡シタル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ扶助金ヲ給ス
第十三条 第九条ノ規定ニ依リ施設ヲ管理シ、土地、家屋若ハ物資ヲ使用シ、物資ヲ保管セシメ又ハ物資ヲ収用スル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ損失ヲ補償ス
前項ノ規定ニ依リ補償ヲ受クベキ者補償ノ額ニ付不服アルトキハ其ノ金額ノ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ六月以内ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第十四条 地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法ニ定ムル救助ニ関スル職権ノ一部ヲ市町村長又ハ之ニ準ズルモノニ委任スルコトヲ得
行政執行法第五条及第六条ノ規定並ニ之ニ基キテ発スル命令ハ前項ノ規定ニ依リ地方長官ガ市町村長又ハ之ニ準ズルモノニ委任シタル第七条乃至第十条ノ規定ニ依ル職権ニ基キテ為ス処分ニ依リテ負フ義務ノ履行ヲ市町村長又ハ之ニ準ズルモノガ強制スル場合ニ之ヲ準用ス
第十五条 地方長官ハ救助ノ為必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ道府県、市町村又ハ之ニ準ズルモノヲシテ救助ニ要スル費用ヲ一時繰替支弁セシムルコトヲ得
第三章 扶助
第十六条 扶助ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ニシテ当該ノ傷痍、疾病、身体障害又ハ死亡ノ為生活スルコト困難ト為リタルモノニ対シ之ヲ為ス但シ傷痍、疾病又ハ死亡ガ其ノ者又ハ扶助ヲ受クベキ者ノ故意又ハ重大ナル過失ニ因レルモノナルトキハ扶助ヲ為サザルコトヲ得
一 戦時災害ニ因リ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル者
二 戦時災害ニ因ル傷痍又ハ疾病ノ治癒シタル場合ニ於テ仍身体ニ著シキ障害ヲ存スル者
三 前二号ニ掲グル者ノ配偶者(届出ヲ為サザルモ事実上婚姻ト同様ノ関係ニ在ル者ヲ含ム以下同ジ)若ハ直系卑属ニシテ前二号ニ掲グル者ト同一ノ家若ハ世帯ニ在ルモノ又ハ前二号ニ掲グル者ノ直系尊属ニシテ前二号ニ掲グル者ガ傷疾ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リタル時ヨリ引続キ同一ノ家若ハ世帯ニ在ルモノ
四 戦時災害ニ因リ死亡シタル者ノ配偶者若ハ直系卑属ニシテ戦時災害ニ因リ死亡シタル者ノ死亡ノ時之ト同一ノ家若ハ世帯ニ在リ且引続キ其ノ家若ハ世帯ニ在ルモノ又ハ戦時災害ニ因リ死亡シタル者ノ直系尊属ニシテ戦時災害ニ因リ死亡シタル者ノ戦時災害ニ罹リタル時之ト同一ノ家若ハ世帯ニ在リ且引続キ其ノ家若ハ世帯ニ在ルモノ
前項ノ規定ニ依リ扶助ヲ受ケ又ハ受クベキ者本法ニ依リ救助ヲ受クルトキハ救助ヲ受クルノ間其ノ者ニ対シ扶助ヲ為サズ
扶助ハ生活ニ必要ナル限度ヲ超ユルコトヲ得ズ
第十七条 扶助ノ種類左ノ如シ
一 生活扶助
二 療養扶助
三 出産扶助
四 生業扶助
第十八条 扶助ハ戦時災害ニ因リ危害ヲ受ケタル時ヨリ勅令ヲ以テ定ムル期間ヲ経過シタルトキハ之ヲ為サズ
扶助ノ程度及方法ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九条 扶助ヲ受クル者死亡シタル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ埋葬ヲ行ヒ又ハ埋葬ヲ行フ者ニ対シ埋葬費ヲ給スルコトヲ得
第二十条 扶助ヲ受クル者六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル場合ニ於テハ其ノ者ニ対シ扶助ヲ為サズ六年未満ノ懲役又ハ禁錮ニ処セラレタル場合ニ於テハ其ノ刑ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ間亦同ジ
第二十一条 扶助ヲ受ケ又ハ受クベキ者左ニ掲グル事由ノ一ニ該当スルトキハ其ノ者ニ対シ扶助ヲ為サザルコトヲ得
一 正当ノ理由ナクシテ扶助ニ関シ地方長官ノ為ス指示ニ従ハザルトキ
二 正当ノ理由ナクシテ扶助ニ関スル検診又ハ調査ヲ拒ミタルトキ
三 素行著シク不良ナルトキ又ハ著シク怠惰ナルトキ
第四章 給与金ノ支給
第二十二条 戦時災害ニ因リ死亡シタル者アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ遺族ニ対シ給与金ヲ給ス戦時災害ニ因リ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ之ガ為身体ニ著シキ障害ヲ存スル者アルトキ其ノ者ニ対シ亦同ジ
第二十三条 戦時災害ニ因リ住宅(水上生活者ノ居住ノ用ニ供スル舟ヲ含ム)又ハ家財ノ滅失又ハ毀損アリタル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ所有者ニ対シ給与金ヲ給ス
第二十四条 業務ノ性質上戦時災害ニ因ル危害ヲ顧ミルコト能ハズシテ業務ニ従事スルコトヲ要スル者当該業務ニ従事中戦時災害ニ因リ傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リ又ハ死亡シタル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本人又ハ其ノ遺族ニ対シ給与金ヲ給ス此ノ場合ニ於テハ第二十二条ノ給与金ハ之ヲ給セズ
前項ノ業務ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十五条 正当ノ理由ナクシテ給与金ノ支給ニ関スル検診又ハ調査ヲ拒ミタルトキハ其ノ者ニ対シ給与金ヲ給セザルコトヲ得
第五章 雑則
第二十六条 本法ニ依ル保護ハ他ノ法令ノ適用ニ付テハ貧困ノ為ニスル公費ノ救助又ハ扶助ニ非ザルモノトス
第二十七条 本法ニ依リ給与ヲ受ケタル金品ヲ標準トシテ租税其ノ他ノ公課ヲ課セズ
第二十八条 本法ニ依ル給与金品ハ既ニ給与ヲ受ケタルト否トニ拘ラズ之ヲ差押フルコトヲ得ズ
第二十九条 本法ヲ朝鮮、台湾又ハ樺太ニ施行スル場合ニ於テ必要アルトキハ勅令ヲ以テ特別ノ定ヲ為スコトヲ得
第六章 罰則
第三十条 第七条ノ規定ニ依ル命令ニ従ハザル者ハ六月以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
第三十一条 詐偽其ノ他ノ不正ノ手段ニ依リ保護ヲ受ケ又ハ受ケシメタル者ハ六月以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
第三十二条 第十条第一項若ハ第一項ノ定ニ依ル当該官吏若ハ当該吏員ノ立入検査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ同条第二項ノ規定ニ依ル報告ヲ為サズ若ハ虚偽ノ報告ヲ為シタル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム