第一條 この法律で特別經理會社とは、左に掲げる會社(金融機關經理應急措置法第二十七條第一號に掲げる金融機關及び昭和二十年大藏外務内務司法省令第一號第一條に規定する指定機關を除く。以下同じ。)をいふ。
一 昭和二十一年八月十一日午前零時(以下指定時といふ。)において、戰時補償金等の交付を受け、若しくはその交付を受ける權利を有し、又は在外資産を有する資本金(出資總額、株金總額又は出資總額及び株金總額の合計額をいふ。以下同じ。)二十萬圓以上の會社。但し、主務大臣の指定する會社及び戰時補償金等の交付を受けた金額又は會社の貸借對照表の資産の部に計上した戰時補償金等の請求權及び在外資産の合計額が、指定時現在において、命令の定めるところにより計算した積立金の額及び財産目録に記載した動産、不動産、債權その他の財産の指定時における價額(株式會社、株式合資會社又は有限會社の營業用の固定財産及び取引所の相場のある有價證券については、商法第二百八十五條又は同法第四百五十八條第二項若しくは有限會社法第四十六條第一項において準用する商法第二百八十五條に定める價額を超えることができない。)が、當該財産目録に記載した價額を超える場合におけるその超過額の合計額を超えず、且つ債務超過又は支拂不能に陷る虞のない會社であつて、主務大臣の認可を受けたものを除く。
二 左の各號の一に該當する會社であつて、主務大臣の指定を受けたもの
イ 戰時補償金等の交付を受け、若しくはその交付を受ける權利を有し、又は在外資産を有する會社であつて、指定時において資本金二十萬圓未滿のもの
ロ この法律施行後、債權の取立が著しく困難となつたことその他の事由により、會社の資産の價額が減少したため、債務超過又は支拂不能に陷る虞のある會社
ハ その所有する株式、出資證券又は社債の價額が、この法律施行後、著しく下落し、又はこれを處分することが困難となつたため、債務超過又は支拂不能に陷る虞のある會社
前項第一號但書の規定によつて、主務大臣の認可を受けようとする會社は、命令の定めるところにより、この法律施行後二箇月以内に、文書を以て、主務大臣にその旨を申請しなければならない。
第一項第二號の指定を受けようとする會社は、命令の定めるところにより、この法律施行後二箇月以内に、文書を以て、主務大臣にその旨を申請しなければならない。
特別の事由があると認められる場合においては、主務大臣は、前二項の期間經過後にされた申請についても、認可又は指定をすることができる。
主務大臣は、第一項第一號但書の指定若しくは認可又は同項第二號の指定をしたときには、直ちにその旨を告示する。
資本金二十萬圓以上の會社であつて、戰時補償金等の交付を受けたことがなく、若しくはその交付を受ける權利を有せず、又は在外資産を有しないものは、この法律施行の日から三週間以内に、特別經理會社でない旨を主務大臣に屆け出るとともに、その旨を公告しなければならない。
第二條 前條第一項第一號但書に該當する會社が、同條第二項の規定による認可の申請をしない場合には、當該會社に對し、指定時において拂込株金額若しくは拂込出資金額の十分の一以上に當る債權を有する者、指定時において出資金額が資本金の十分の一以上に當る社員又は指定時において資本金の十分の一以上に當る株式を有する株主は、同項の期間經過後二十日以内に、會社に對して、同項の申請をするべき旨を請求することができる。
前項の規定は、前條第一項第二號イ乃至ハに該當する會社が、同條第三項の規定による指定の申請をしない場合に、これを準用する。
前二項の請求があつた場合には、會社は、直ちに前條第二項又は第三項の規定に準じて、認可又は指定の申請をしなければならない。
第三條 會社は、第一條第一項第一號但書の指定若しくは認可又は同項第二號の指定を受けたときには、本店の所在地においては二週間以内に、支店の所在地においては三週間以内に、登記をしなければならない。
第一條第六項の會社は、この法律施行の日から、本店の所在地においては二週間以内に、支店の所在地においては三週間以内に、特別經理會社でない旨の登記をしなければならない。
第四條 指定時以前の原因に基いて生じた第一條第一項第二號の指定を受けた會社に對する債權について、指定時から同號の指定のあるまでにされた辨濟その他債權を消滅させる行爲(免除を除く。)は、これを無效とする。但し、第十四條第一項但書に規定する債權については、この限りでない。
第一項の會社が、指定時から第一條第一項第二號の指定のあるまでにした不動産又は重要な財産の讓渡は、これを無效とする。
前項の場合において、讓受人の權利は、指定時以前の原因に基いて生じた債權とみなす。
第五條 特別經理會社は、遲滯なく、指定時現在における財産目録、貸借對照表、動産、不動産、債權その他の財産及び債務に關する明細書竝びに指定時を含む事業年度開始の日から指定時に至るまでの損益計算書を作成しなければならない。
第七條 特別經理會社には、指定時において、新勘定及び舊勘定を設ける。
特別經理會社の第五條の財産目録に記載した動産、不動産、債權その他の財産(以下會社財産といふ。)は、命令の定めるところにより、會社の目的たる現に行つてゐる事業の繼續及び戰後産業の囘復振興に必要なものを、指定時において、新勘定に所屬せしめ、新勘定に所屬せしめた會社財産以外の會社財産を、指定時において、舊勘定に所屬せしめる。
前項の規定によつて新勘定に所屬せしめる會社財産の範圍は、命令の定めるところにより、特別管理人が、これを決定する。
指定時後、會社の計算は、新勘定と舊勘定とに區分經理しなければならない。
第二項の規定によつて新勘定に所屬せしむべき會社財産を有しない會社及び清算又は破産手續中の會社には、第一項の規定にかかはらず、舊勘定のみを設ける。
第一項乃至第四項の規定は、前項の會社において、新勘定及び舊勘定を設ける必要が生じ、特別管理人の決定があつた場合に、これを準用する。
舊勘定に所屬する會社財産のうちで、あらたに新勘定に所屬せしめることを必要とするものを生じたときには、特別管理人の決定に基いて、これを新勘定に振り替へることができる。この場合においては、當該會社財産は、新勘定に振り替へられた日において、新勘定に所屬せしめられたものとする。
特別經理會社は、新勘定舊勘定毎に、帳簿を作成し、前各項の規定によつて、新勘定又は舊勘定に所屬する會社財産を明確にしなければならない。
第八條 特別經理會社は、前條第三項の決定に基いて、新勘定舊勘定毎に、會社財産の明細書を作成し、命令の定めるところにより、特別管理人の承認を受けなければならない。
前項の規定によつて、特別管理人の承認を受けた舊勘定に所屬する會社財産の明細書は、特別管理人の承認を受けた日から二週間以内に、公證人の認證を受けなければならない。
特別の事由があるときには、主務大臣は、特別經理會社の申請により、前項の期間を延長することができる。
第二項の認證を受けなければ、前條第三項の決定は、その效力を生じない。
前條第七項の規定によつて、新勘定及び舊勘定に所屬する會社財産に變更のあつた場合においては、舊勘定から新勘定に繰り替へられた會社財産について、前四項の規定を準用する。
特別經理會社は、舊勘定に所屬する會社財産であつて、登記又は登録のあるものについては、舊勘定に所屬する旨の登記又は登録をしなければ、舊勘定に所屬することを以て第三者に對抗することができない。
前項の規定の適用を受けない特別經理會社の財産であつて、新勘定又は舊勘定のいづれに屬するか分明でないものは、新勘定に所屬するものと推定する。
前七項の規定は、舊勘定のみを設ける會社に對しては、これを適用しない。
第九條 第七條第一項の規定によつて、會社財産を新勘定及び舊勘定に區分經理した場合においては、舊勘定の貸借對照表の資産の部に、新勘定に對する未整理受取勘定を設けて、これに新勘定に所屬せしめた會社財産の第五條の財産目録に記載した價格と同じ金額を計上し、新勘定の貸借對照表の負債の部に、舊勘定に對する未整理支拂勘定を設けて、同一金額を計上するものとする。
前項の規定は、第七條第七項の場合に、これを準用する。
第十條 特別經理會社は、毎月末における新勘定の貸借對照表の負債の部の未整理支拂勘定に計上した金額に命令の定める率を乘じて得た金額と同じ金額を、翌月の初めに新勘定から舊勘定に繰り入れなければならない。
月の途中において、新勘定の貸借對照表の負債の部の未整理支拂勘定に計上した金額に増加又は減少のあつた場合においては、前月末における未整理支拂勘定に計上した金額に對して、前項の規定を適用して計算した金額に、未整理支拂勘定に増加又は減少のあつた日の翌日からその月の末日迄の日割を以て、當該増加額又は減少額につき前項の金額を計算し、これを加算又は控除したものを以て前項に規定する繰入金額とする。
第十一條 特別經理會社は、指定時後の原因に基いて生じた收入及び支出を、新勘定の收入及び支出として、經理しなければならない。
特別經理會社は、指定時以前の原因に基いて生じた收入及び支出を、舊勘定の收入及び支出として、經理しなければならない。
指定時後に退職した者に對する退職金その他指定時の前後に渉る事項に係る收入及び支出に關しては、前二項の規定にかかはらず、命令により特別の定をなすことができる。
舊勘定に所屬する會社財産の管理に要する支出は、第一項の規定にかかはらず、舊勘定の支出として、これを經理しなければならない。
特別經理會社が、指定時後、舊勘定に所屬する財産の果實として收取した財産及び舊勘定に所屬する財産の處分の對價として取得した財産その他命令で定めるものは、第一項の規定にかかはらず、これを舊勘定に所屬せしめる。
第十二條 指定時以前の原因に基いて生じた特別經理會社に對する債權(以下舊債權といふ。)の先取特權、質權又は抵當權であつて、新勘定に所屬する會社財産の上に存するものは、命令により定める場合を除くの外、當該會社財産を新勘定に所屬せしめた日に、當該會社財産につき消滅する。
新勘定に所屬する會社財産が、鐵道財團、工場財團、鑛業財團、軌道財團、運河財團、漁業財團又は自動車交通事業財團に屬してゐる場合には、命令により定める場合を除くの外、當該會社財産を新勘定に所屬せしめる日において、當該財團から除かれ、當該財團に屬さないことになつたものとする。
特別經理會社の新舊勘定併合の時から、第一項の債權の先取特權、質權又は抵當權は、同項の財産について消滅せず、及び第二項の財産は、當該財團から除かれなかつたものとみなす。但し、第一項の規定によつて、これらの權利が消滅した後、當該會社財産について、これらの權利の行使を妨げる擔保權が生じた場合又は當該會社財産が當該會社以外の者の所有に歸した場合においては、この限りでない。
前項但書の場合においては、當該會社は、法令の定めるところにより、同項の債權を有する者が、當該會社からその債權の辨濟を受けることができる金額を供託しなければならない。
前項の債權を有する者は前項の供託金に對して、先取特權、質權又は抵當權を有する者として、その權利を行ふことができる。
第十三條 指定時後の原因に基いて生じた特別經理會社に對する債權(舊勘定に所屬する財産の管理のために生じた債權を除く。以下新債權といふ。)については、舊勘定に所屬する財産に對して、強制執行、假差押又は假處分をすることができない。
第十四條 舊債權(命令で定める債權を含む。)については、辨濟をなし、又は辨濟を受けその他これを消滅させる行爲(免除を除く。)をすることができない。但し、金錢その他物若しくは有價證券の引渡を目的とする債權以外の債權又は金錢以外の物の引渡を目的とする債權であつて、その給付が特別經理會社の現に行つてゐる通常の業務に屬し、且つ新勘定の計算において履行できるもの竝びに左に掲げるものについては、この限りでない。
一 國又は都道府縣その他の地方公共團體に對する公租公課その他命令で定めるこれに準ずる債權
二 指定時以前に確定した給料その他命令で定める定期的給與の債權
三 從業員の預かり金その他これに準ずる債權(命令で定める制限を超えないものに限る。)
四 指定時以前に確定した退職金その他命令で定める臨時的給與の債權(命令で定める制限を超えないものに限る。)
特別經理會社は、前項各號に掲げる債權については、これを舊勘定から辨濟することができない場合に限り、特別管理人の承認を受けて、第九條の規定によつて設けた新勘定の貸借對照表の負債の部の未整理支拂勘定に計上した金額の限度において、これを新勘定から辨濟することができる。
舊勘定に所屬する財産の管理のために生じた債權についても前項と同樣である。但し、この場合においては、命令の定めるところにより、主務大臣の承認を受けなければならない。
第一項第二號乃至第六號の債權及び前項の債權については、新勘定に所屬する財産に對して、強制執行、假差押又は假處分をすることができない。
第二項及び第三項の場合においては、新勘定から辨濟した金額と同じ金額を、舊勘定の貸借對照表の資産の部の未整理受取勘定に計上した金額及び新勘定の貸借對照表の負債の部の未整理支拂勘定に計上した金額から、夫ゝ減額しなければならない。
第十五條 特別經理會社については、破産の宣告をすることができない。
特別經理會社の解散、合併、組織變更又は資本(出資金を含む。)の増加若しくは減少に關する總社員の同意、株主總會の決議又は社員總會の決議は、その效力を生じない。但し、特別の事由により主務大臣の承認を受けた場合においては、この限りでない。
特別經理會社になつたものの財産に對し、既にされた強制執行、假差押若しくは假處分又は競賣法による競賣手續は、その會社が特別經理會社である間、これを中止する。但し、その財産が新勘定に所屬することとなつたときには、これらの手續は、この法律の適用の限度において、その效力を失ふ。
第十六條 特別經理會社は、會社の事業年度毎に、新勘定舊勘定各別に、財産目録、貸借對照表及び損益計算書を作成しなければならない。
商法中財産目録、貸借對照表及び損益計算書に關する規定は、前項に掲げる書類に、これを準用する。
新勘定において生じた各事業年度の利益金額及び損失金額は、新勘定において次の事業年度に繰り越さなければならない。
他の法令又は定款の定にかかはらず、特別經理會社の指定時を含む事業年度は、指定時に終了するものとし、これに續く期間は、次期の事業年度に屬するものとする。
指定時に終了する事業年度において生じた利益は、他の法令又は定款の定にかかはらず、これを積み立てなければならない。
第十七條 特別經理會社は、命令で定める場合を除くの外、取締役その他當該會社の業務を執行する役員のうちから二人、及び當該會社の舊債權を有する者(法人である場合においては、その代表者)のうちから二人の特別管理人を選任しなければならない。
前項の特別管理人の選任につき、時期、方法その他必要な事項は、命令の定めるところによる。
第一項の規定による最初の特別管理人の全員が選任されたときには、特別經理會社は、本店の所在地においては二週間以内に、支店の所在地においては三週間以内に、特別管理人の住所及び氏名竝びに當該會社との關係を登記しなければならない。
商法第六十七條の規定は、前項の登記にこれを準用する。
特別經理會社は、特別管理人の選任があつたときから二週間以内に、前二項の登記をしなければならない事項を、主務大臣に屆け出なければならない。
第十八條 特別管理人は、主務大臣が、これを監督する。
特別管理人の報酬その他特別管理人の職務に關し必要な事項は、命令で、これを定める。
第十九條 特別管理人が、第七條第三項の規定による會社財産の範圍の決定、第十四條第二項及び第三項の規定による辨濟に對する承認、第二十一條第一項の規定による管理についての決定、第二十二條第一項の規定による處分に對する承認及び第二十三條第二項の規定による同意をするときには、その過半數を以て、これを決する。但し、可否の意見が同數の場合には、特別管理人の申請により、主務大臣がこれを裁定する。
第二十條 主務大臣は、特別管理人が法令又は主務大臣の命令に違反したとき、公益を害する行爲をしたとき、又は特別管理人を不適當と認めるときには、これを解任することができる。
第二十一條 特別經理會社の業務を執行する役員は、舊勘定に所屬する財産の處分、保全その他の管理について、特別管理人の決定するところに從はなければならない。
特別管理人は、舊勘定に所屬する財産の處分、保全その他の管理について、特別經理會社の業務を執行する役員を監督する。
第二十二條 特別經理會社は、會社財産及び指定時後取得した舊勘定に所屬する財産を讓渡し、貸與し又は質權若しくは抵當權の目的としようとするときには、命令で定める場合を除くの外、特別管理人(特別管理人の選任されてゐないときには主務大臣)の承認を受けなければならない。
前項の規定は、第十四條第一項但書の規定の適用を妨げない。
第一項の規定によつて特別管理人の承認を受けないで、會社財産及び指定時後取得した舊勘定に所屬する財産を處分した場合においては、その處分は、これを無效とする。但し、その處分の無效は、これを以て善意の第三者に對抗することができない。
第二十三條 特別經理會社の株式を讓渡しようとする者は、當該會社に對して、承認を求めなければならない。
前項の場合において、會社が承認しようとするときには、特別管理人の同意を得なければならない。商法第七十三條(同法第百四十七條において準用する場合を含む。)若しくは第百五十四條又は有限會社法第十九條第一項の規定によつて、持分の讓渡について承諾しようとするとき又は承諾の決議をしようとするときも同樣である。
第一項の規定による承認を受けずに行はれた株式の讓渡は、會社に對して、その效力を生じない。
第二十四條 特別經理會社の舊勘定に所屬する債權については、第十四條第一項但書各號及び第二項後段に規定する債權を除き、その權利を行使できる日から一箇月以内は、時效が完成しない。
第二十五條 主務大臣は、必要があると認めるときには、特別經理會社に對して、監督上必要な命令をすることができる。
主務大臣は、この法律の施行に關し、必要があると認めるときには、業務及び財産の状況に關して報告をさせ、又は當該官吏に帳簿、書類その他の物件を檢査させることができる。
主務大臣は、前項の規定によつて、當該官吏に檢査をさせるときには、命令の定めるところにより、その身分を示す證票を携帶させなければならない。
第二十六條 主務大臣は、この法律に定める職權の一部を、地方の官衙の長をして行はしめることができる。
第二十七條 主務大臣は、命令の定めるところにより、この法律の施行に關する事務の一部を日本銀行をして取り扱はせることができる。
第二十八條 左の場合においては、その行爲をした會社の代表者、代理人、使用人その他の從業者は、これを三年以下の懲役又は三萬圓以下の罰金に處する。
一 第一條第二項又は第三項の規定による文書に、虚僞の記載をしたとき
二 第二條第三項の規定による認可又は指定の申請を怠つたとき
三 第七條第八項の規定に違反して帳簿を作成せず、又は帳簿に虚僞の記載をしたとき
四 第八條第二項又は第五項の規定に違反して明細書について公證人の認證を受けず、又は虚僞の記載をした明細書について公證人の認證を受けたとき
五 第十四條第一項の規定に違反して辨濟その他債權を消滅させる行爲をしたとき
六 第十四條第二項又は第三項の規定による特別管理人の承認又は主務大臣の承認を受けないで辨濟をしたとき
七 第二十一條の規定による財産の處分、保全その他の管理について特別管理人の決定に從はなかつたとき
八 第二十二條第一項の規定による特別管理人(特別管理人が選任されてゐないときには主務大臣)の承認を受けないで財産を處分したとき
第二十九條 第十四條第一項の規定に違反して辨濟を受けその他債權を消滅させる行爲をした者は、これを三年以下の懲役又は三萬圓以下の罰金に處する。
第三十條 特別管理人が、その職務に關して、賄賂を收受し、要求し又は約束したときには、これを三年以下の懲役又は三千圓以下の罰金に處する。
前項の賄賂を供與し、又はその申込若しくは約束をした者も同樣である。
第三十一條 左の場合においては、その行爲をした特別經理會社の代表者、社員、代理人、使用人その他の從業者は、これを一年以下の懲役又は一萬圓以下の罰金に處する。
一 第五條の規定による書類の作成を怠り、又は虚僞の記載をしたとき
二 第十七條第五項の規定により屆出をせず、又は虚僞の屆出をしたとき
四 第二十三條第二項の規定による特別管理人の同意を得ないで、株式又は持分の讓渡を承認又は承諾若しくは承諾の決議に贊成したとき
第三十二條 第二十五條第二項の規定による報告をせず、又は虚僞の報告をした者は、これを一年以下の懲役又は一萬圓以下の罰金に處する。同項による檢査を拒み、妨げ又は忌避した者も同樣である。
第三十三條 犯人又は情を知る第三者の收受した賄賂は、これを沒收する。その全部又は一部を沒收することができないときには、その價額を追徴する。
第三十四條 法人の代表者、法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務又は財産に關して、第二十八條、第二十九條、第三十一條又は第三十二條前段の違反行爲をしたときには、行爲者を罰する外、その法人又は人に對しても、各本條の罰金刑を科する。
第三十五條 左の場合においては、會社の取締役その他これに準ずる者は、これを三千圓以下の過料に處する。
一 この法律又はこの法律に基いて發する命令に違反して登記を怠つたとき
二 第一條第六項の規定による屆出若しくは公告をせず、又は虚僞の屆出若しくは公告をしたとき
三 第二十五條第一項の規定による主務大臣の命令に違反したとき
第三十六條 第二十八條乃至前條の規定は、第一條第一項第一號但書の規定による指定又は認可があつた場合には、その指定又は認可があつたときまでの行爲に對しては、指定又は認可の後でも、なほこれを適用する。
第三十七條 この法律のうち戰時補償金等及び在外資産の範圍については、命令でこれを定める。
第三十八條 特別經理會社が、特別經理會社となつたときから、三箇月以内に、法令の定める企業に關する整備計畫を主務大臣に提出しない場合その他法令の定める事由に該當する場合においては、當該會社に對して、この法律の適用は解除される。
前項の規定による解除に關し、新勘定及び舊勘定の併合その他これに伴ふ必要な事項は、命令でこれを定める。
第三十九條 この法律のうち必要な規定は、命令の定めるところによつて、特別經理會社以外のものに對し、これを準用することができる。
第二十八條乃至第三十六條の規定は、前項において準用する場合に、これを適用する。但し、同條中會社又は特別經理會社とあるのは、前項の特別經理會社以外のものとし、同條に掲げる條項は、前項の規定によつて準用される場合の條項を含むものとする。
第四十條 この法律に定めるものの外、登記その他に關し必要な事項は、命令の定めるところによる。