会社経理応急措置法施行令
法令番号: 勅令第391号
公布年月日: 昭和21年8月15日
法令の形式: 勅令

審議経過

朕は、會社經理應急措置法施行令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年八月十五日
內閣總理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郞
農林大臣 和田博雄
商工大臣 星島二郞
厚生大臣 河合良成
運輸大臣 平塚常次郞
大藏大臣 石橋湛山
勅令第三百九十一號
會社經理應急措置法施行令
第一條 會社經理應急措置法(以下單に法といふ。)第一條第一項第一號但書の規定による積立金の額は、左の各號に揭げる金額の合計額から、繰越缺損金額竝びに會社經理特別措置令第二條第三號、企業整備資金措置法施行令第六條第三號、商法第二百八十六號、第二百八十七條及び第二百九十一條第三項の規定により貸借對照表の資產の部に計上した金額の合計額を控除して得た金額とする。
一 積立金その他名稱の如何を問はず特別經理會社が、各事業年度の利益金額のうちで利益金處分により留保した金額。但し、退職積立金及退職手當法により積み立てた退職手當積立金及び準備積立金納稅施設法によつて積み立てた納稅積立金を除く。
二 前號に該當するものを除くの外、額面以上の價額を以て、株式を發行した場合において、その額面を超える金額のうちで積み立てた金額
三 第一號に該當するものを除くの外、合併又は資本減少によつて生じた差益金のうちで積み立てた金額
四 第一號に該當するものを除くの外、政府の命令により積み立てた金額
五 保險事故の發生のときの財產目錄に記載した當該保險契約の目的の價額を超えて保險金額の交付を受けた場合において、その超過額の全部又は一部を假勘定として負債の部に計上したときには、その計上した金額
第二條 法第七條第二項に規定する會社財產のうち、左に揭げるものは、これを舊勘定に所屬せしめる。
一 戰時補償金等の請求權及び在外資產
二 金融機關經理應急措置法第二條の規定によつて金融機關の新勘定に屬せしめられたものを除くの外、金融機關に對する預金その他の債權
三 國債及び地方債を除くの外、手形、小切手、株券、出資證券、債券及び社債券
四 法第一條第一項に規定する特別經理會社及び昭和二十年大藏外務內務司法省令第一號第一條に規定する指定機關に對する債權。但し、特別經理會社に對する法第十四條第一項但書に規定するものを除く。
五 未拂込株金(未だ辨濟期の至らない財產を目的とする出資を含む。)の請求權
證券取引所の取引員、有價證券引受業法第一條に規定する有價證券引受業者及び有價證券業取締法第一條に規定する有價證券業者については、前項第三號に揭げる債權について同項の規定は、これを適用しない。
第三條 特別管理人は、法第七條第三項の規定によつて、新勘定に所屬せしめる會社財產の範圍を決定したときには、決定の內容を示すべき文書を作成し、これを會社に交付しなければならない。
第四條 法第七條第六項の規定によつて特別經理會社が新勘定を設けた場合には、新勘定に所屬せしめられる會社財產は、新勘定を設けた日において、新勘定に所屬せしめられたものとする。
第五條 特別經理會社は、特別管理人から第三條に規定する文書の交付を受けた日から三週間以內に、法第八條第一項の明細書を作成し、特別管理人の承認を受けなければならない。
特別の事由があるときには、主務大臣は、特別經理會社の申請により、前項の期間を延長することができる。
在外資產については、舊勘定の會社財產の明細書中に、在外資產としてその金額を一括揭記することができる。
特別經理會社は、法第八條第二項の規定によつて公證人の認證を受けた舊勘定に所屬する會社財產の明細書の正本を本店に、その謄本を支店に、備へ置き營業時間內は何時にても利害關係人の閱覽に供さなければならない。
第六條 公證人法中商法第百六十七條の指定による定款の認證に關する規定(公證人法第六十二條ノ二を除く。)は、法第八條第二項の認證に、これを準用する。
第七條 法第十條第一項の規定によるの率は千分の四とする。
第八條 特別經理會社は、指定時の前後に涉る繼續的給付を目的とする債務については、法第十一條第一項及び第二項の規定にかかはらず、指定時を以て日割計算を行ひ、新勘定及び舊勘定の負擔に分つて、區分經理をしなければならない。但し、千圓未滿の債務については、新勘定の負擔として經理する。
指定時後三箇月以內に退職する者に對する退職金の支給については、これを舊勘定の負擔として經理する。
前項の期間經過後退職する者(指定時後において就職した者を除く。)の退職金の新勘定及び舊勘定の負擔區分については、命令でこれを定める。
第九條 第八條第二項の規定によつて、舊勘定で負擔する退職金(同條第三項の規定による命令により、舊勘定の負擔と定められる場合においては、その退職金を含む。)の債權は、法第十四條第一項の規定によつて、舊債權に含まれるものとする。
法第十四條第一項但書第一號の公租公課に準ずる債權は、左に揭げるものとする。
一 罰金、科料、刑事訴訟費用、追徵金及び過料
二 國稅滯納處分の例により徵收し得るもの
第十條 法第十四條第一項但書第二號の定期的給與は、左に揭げるものをいふ。
一 給料及び賃金
二 定期に支給する手當及び賞與
第十一條 法第十四條第一項但書第四號の臨時的給與は、左に揭げるものをいふ。
一 會社の業務に關する臨時の役務に對する手當及び實費辨償
二 臨時に支給する賞與
第十二條 法第十四條第一項但書第三號及び第四號の規定に依り辨濟をすることができる金額(退職金に關するものを除く。)の限度は、一人につきこれを一萬五千圓とする。
法第十四條第一項但書第四號の規定により辨濟を受ける退職金の金額の限度は、命令でこれを定める。
第十三條 法第十四條第一項但書第六號の債權は、左に揭げるものとする。
一 金融機關經理應急措置法第十六條但書の規定に基き金融機關に對する封鎖預金等(金融緊急措置令に規定する封鎖預金等をいふ。以下同じ。)を以て辨濟される場合の金融機關の有する貸付金の債權。但し、金融機關に對する封鎖預金等を以て辨濟される金額を限度とする。
二 第九條第一項の債權。但し、命令で定める金額を限度とする。
三 指定時以前の業務上の傷病又は死亡に因る扶助の債權
四 その他主務大臣の指定するもの
第十四條 舊勘定に所屬する財產の管理のため生じた債權については、指定時後三箇月以內は、法第十四條第三項の規定にかかはらず、主務大臣の承認を受けることを要しない。
第十五條 特別經理會社は、指定時(法第一條第一項第二號の指定を受けた會社については指定の日)後二週間以內に會社の業務を執行する役員中から互選によつて二人及び當該會社に對し指定時現在において債權(社債及び法第十四條第一項但書の債權を除く。)を有する者(以下舊債權者といふ。)であつて、當該會社の業務を執行する役員でない者のうちで、當該債權の額の最も多額な者から順次二人の特別管理人を選任しなければならない。但し、債權額が同額の場合においては、抽籤による。
前項の規定は、同項の規定により特別管理人となるべき舊債權者が法人である場合においては、當該法人の指名する代表者を以て、舊債權者として、これを適用する。この場合において、債權の額は、當該法人の債權の額とする。
特別經理會社が、擔保附社債信託法による社債を發行してゐる場合及び商法第三百四條により社債募集の委託をしてゐる場合には、第一項の舊債權者のうちから選任する特別管理人中一人は、これを當該社債に關する受託會社について選任しなければならない。この場合において、前二項の規定は、これを準用する。
指定時現在において、舊債權者のない特別經理會社及び主務大臣の指定する特別經理會社は、法第十七條第一項の規定にかかはらず、舊債權者のうちから特別管理人を選任することを要しない。
特別經理會社の業務を執行する役員又は舊債權者が一人のときには、法第十七條第一項の規定にかかはらず、業務を執行する役員及び舊債權者のうちから選任する特別管理人は、夫々一人とする。
資本金百萬圓未滿の特別經理會社は、法第十七條第一項の規定にかかはらず、選任すべき特別管理人を、當該會社の業務を執行する役員のうちから一人及び當該會社の舊債權者のうちから一人とすることができる。
第十六條 特別經理會社は、前條第一項の規定により特別管理人として選任されるべき舊債權者が著しく不適當であると認める場合においては、同項の規定によつて次の順位を有する舊債權者を選任することができる。この場合において、次の順位の舊債權者がないときは、前條第五項の規定を準用する。
前項の場合において、特別管理人に選任されなかつた先順位の舊債權者が不服であるときには、主務大臣に對して異議の申立をすることができる。
舊債權者の異議の申立のある場合においては、主務大臣は、特別管理人の選任について、適當と認める措置を講ずることができる。
第十七條 特別經理會社は、主務大臣の認可を受けたときには、法第十七條第一項の規定にかかはらず、特別管理人を增員し又は當該會社の業務を執行する役員若しくは舊債權者でない者を特別管理人として選任することができる。
特別管理人又は特別經理會社に對し指定時において、拂込株金額の十分の一以上に當る債權を有する者、出資金額が資本金の十分の一以上に當る社員若しくは資本金の十分の一以上に當る株式を有する株主は、會社に對し文書を以て前項の認可申請をするべき旨を請求することができる。
前項の請求があつた場合には、會社は直ちに命令の定めるところによつて、認可の申請をしなければならない。
主務大臣が前項の申請を認可した場合には、特別經理會社は、當該認可に基いて特別管理人を選任しなければならない。
主務大臣は、必要があると認めるときには、職權を以て特別管理人を選任することができる。
第十八條 特別管理人又は前條第二項に規定する舊債權者、社員若しくは株主が、特別管理人の選任に對して不服がある場合又は特別管理人のうち著しく不適當と認める者がある場合においては、主務大臣に異議の申立をすることができる。
第十六條第三項の規定は、前項の場合に準用する。
第十九條 特別經理會社は、特別管理人に選任しようとする者を決定したときには、遲滯なくその旨を特別管理人に選任しようとする者に通知しなければならない。
前項の通知を受けた者は、前項の通知を受けた日から二週間以內に、特別經理會社に對して、特別管理人に就任するか否かの意思を通知しなければならない。
前項の期間內に、同項の者から意思の通知がないときには、就任する意思がないものとみなす。
特別管理人は、その職務を行ふについて、代理人を選任することができる。この場合においては、當該特別管理人は代理人の住所及び氏名を特別經理會社に對して通知しなければならない。
特別管理人は、病氣その他正當な事由によりその職務を遂行することができないときには、その任務を辭することができる。この場合においては、遲滯なくその旨を特別經理會社に對して通知しなければならない。
前項の規定によつて特別管理人がその任務を辭したとき、特別管理人が死亡したとき、法第二十條の規定によつて解任せられたとき又は特別管理人に選任せられる資格を失つたときには、特別經理會社は第十五條乃至第十七條の規定によつて、缺員となつた特別管理人を補充しなければならない。同條の規定によつて補充のできない場合においては、特別經理會社の申出により、主務大臣は、適當と認める措置を講ずることができる。
第二十條 特別經理會社の業務を執行する役員以外の者から選任された特別管理人の報酬は、特別管理人に選任された會社の業務を執行する役員の平均報酬の範圍內において、特別管理人が、特別經理會社と協議してこれを決定する。協議が調はないときには、主務大臣が、これを裁定する。
特別經理會社の役員中から選任された特別管理人は、特別管理人としての報酬を受けることができない。
特別管理人の職務執行の爲に要した費用については、その實費を支拂ふ。
第一項の報酬及び前項の費用は、これを舊勘定に所屬する財產の管理のために要した費用とする。
破產法第百六十四條の規定は、特別管理人に、これを準用する。
第二十一條 特別管理人のうちから互選された特別管理人は、法第十九條の規定による各特別管理人の可否の意見を證する書面を作成し、これに各特別管理人の署名捺印を求め、これを保管しなければならない。
特別管理人の意思を表示する文書には、前項の規定により互選された特別管理人が、これに署名捺印をしなければならない。
主務大臣の裁定があつた場合には、前項の文書にその旨を附記しなければならない。
第二十二條 特別經理會社は、左に揭げる場合においては、法第二十二條の規定による特別管理人の承認を受けることを要しない。
一 法第十四條第一項但書に揭げる債務を辨濟するため必要な限度において財產を處分するとき
二 金融機關より預金の拂戾を受けるとき
三 土地、建物(土地及び建物の賣買を會社の目的とする場合を除く。)その他の事業設備以外の法第七條第二項に規定する會社財產について、特別經理會社が、事業の常務の執行上必要な範圍において時價を下らない對價を以て處分するとき
第二十三條 法第二十七條の規定により法の施行に關する事務の一部を、日本銀行をして取り扱はしめるについて必要な事項は、主務大臣が協議して、これを定める。
前項の規定により、日本銀行が取り扱ふ事務に要する費用は、日本銀行の負擔とする。
第二十四條 法及びこの勅令において戰時補償金等といふのは、昭和二十年八月十五日以前において發生した人又は法人の損害、又は同日以前における業務の運營、制限若しくは禁止又は物資、權利、勞務若しくは施設の生產、修理、讓渡、使用、收用、管理、供給、移轉、制限若しくは禁止に基き、政府又は政府に準ずる機關(政府の行ふ施策に協力することを目的として設立せられ且つその者の業務による損失を政府において、補償するものをいふ。)に對する補償金を請求する權利その他の債權であつて、命令で定めるもの以外のものをいふ。
第二十五條 法及びこの勅令において在外資產といふのは左に揭げるものをいふ。
一 外國(大藏大臣の指定する地域を含む。以下同じ。)にある動產、不動產及びこれらのものに關する權利
二 外國にある鑛業權、漁業權及びこれらに準ずる權利竝びにこれらの權利に關する權利
三 外國居住者又は外國事業所若しくは營業所の負擔となる債權、請求權、銀行預金その他の預金又は信用取引であつて、外國を履行地とするもの
四 外國にある事業、營業又はこれらのものに對する出資
五 外國居住者により發行せられ又はその者の債務となるべき有價證券
六 外國の著作權、特許權、實用新案權、意匠權又は商標權竝びにこれらのものに關する權利
七 日本銀行券、貨幣、政府の發行する小額紙幣、臨時補助通貨及びB號圓表示通貨以外の通貨
八 外國に本社を有する會社の本邦にある事業所又は營業所に對する債權
九 本邦にある者の有する七に揭げる通貨を以て表示する債權
十 その他前各號に準ずるもので大藏大臣の指定するもの
第二十六條 法第十七條第三項及び第四項の規定は、第十六條第一項第十七條第一項及び第五項竝びに第十九條第六項の規定により特別管理人を選任したとき、又は第十九條第四項の規定により代理人を選任したとき、若しくはその代理人の代理權の消滅したときに、これを準用する。
第二十七條 法及びこの勅令において主務大臣といふのは、第二項の場合を除くの外當該會社の主な事業の所管大臣及び大藏大臣をいふ。
法及びこの勅令において、主務大臣といふのは、厚生大臣の所管する勤勞に關する事項については、前項の規定による大臣及び厚生大臣をいふ。
附 則
この勅令は、法施行の日からこれを施行する。
朕は、会社経理応急措置法施行令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年八月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
農林大臣 和田博雄
商工大臣 星島二郎
厚生大臣 河合良成
運輸大臣 平塚常次郎
大蔵大臣 石橋湛山
勅令第三百九十一号
会社経理応急措置法施行令
第一条 会社経理応急措置法(以下単に法といふ。)第一条第一項第一号但書の規定による積立金の額は、左の各号に掲げる金額の合計額から、繰越欠損金額並びに会社経理特別措置令第二条第三号、企業整備資金措置法施行令第六条第三号、商法第二百八十六号、第二百八十七条及び第二百九十一条第三項の規定により貸借対照表の資産の部に計上した金額の合計額を控除して得た金額とする。
一 積立金その他名称の如何を問はず特別経理会社が、各事業年度の利益金額のうちで利益金処分により留保した金額。但し、退職積立金及退職手当法により積み立てた退職手当積立金及び準備積立金納税施設法によつて積み立てた納税積立金を除く。
二 前号に該当するものを除くの外、額面以上の価額を以て、株式を発行した場合において、その額面を超える金額のうちで積み立てた金額
三 第一号に該当するものを除くの外、合併又は資本減少によつて生じた差益金のうちで積み立てた金額
四 第一号に該当するものを除くの外、政府の命令により積み立てた金額
五 保険事故の発生のときの財産目録に記載した当該保険契約の目的の価額を超えて保険金額の交付を受けた場合において、その超過額の全部又は一部を仮勘定として負債の部に計上したときには、その計上した金額
第二条 法第七条第二項に規定する会社財産のうち、左に掲げるものは、これを旧勘定に所属せしめる。
一 戦時補償金等の請求権及び在外資産
二 金融機関経理応急措置法第二条の規定によつて金融機関の新勘定に属せしめられたものを除くの外、金融機関に対する預金その他の債権
三 国債及び地方債を除くの外、手形、小切手、株券、出資証券、債券及び社債券
四 法第一条第一項に規定する特別経理会社及び昭和二十年大蔵外務内務司法省令第一号第一条に規定する指定機関に対する債権。但し、特別経理会社に対する法第十四条第一項但書に規定するものを除く。
五 未払込株金(未だ弁済期の至らない財産を目的とする出資を含む。)の請求権
証券取引所の取引員、有価証券引受業法第一条に規定する有価証券引受業者及び有価証券業取締法第一条に規定する有価証券業者については、前項第三号に掲げる債権について同項の規定は、これを適用しない。
第三条 特別管理人は、法第七条第三項の規定によつて、新勘定に所属せしめる会社財産の範囲を決定したときには、決定の内容を示すべき文書を作成し、これを会社に交付しなければならない。
第四条 法第七条第六項の規定によつて特別経理会社が新勘定を設けた場合には、新勘定に所属せしめられる会社財産は、新勘定を設けた日において、新勘定に所属せしめられたものとする。
第五条 特別経理会社は、特別管理人から第三条に規定する文書の交付を受けた日から三週間以内に、法第八条第一項の明細書を作成し、特別管理人の承認を受けなければならない。
特別の事由があるときには、主務大臣は、特別経理会社の申請により、前項の期間を延長することができる。
在外資産については、旧勘定の会社財産の明細書中に、在外資産としてその金額を一括掲記することができる。
特別経理会社は、法第八条第二項の規定によつて公証人の認証を受けた旧勘定に所属する会社財産の明細書の正本を本店に、その謄本を支店に、備へ置き営業時間内は何時にても利害関係人の閲覧に供さなければならない。
第六条 公証人法中商法第百六十七条の指定による定款の認証に関する規定(公証人法第六十二条ノ二を除く。)は、法第八条第二項の認証に、これを準用する。
第七条 法第十条第一項の規定によるの率は千分の四とする。
第八条 特別経理会社は、指定時の前後に渉る継続的給付を目的とする債務については、法第十一条第一項及び第二項の規定にかかはらず、指定時を以て日割計算を行ひ、新勘定及び旧勘定の負担に分つて、区分経理をしなければならない。但し、千円未満の債務については、新勘定の負担として経理する。
指定時後三箇月以内に退職する者に対する退職金の支給については、これを旧勘定の負担として経理する。
前項の期間経過後退職する者(指定時後において就職した者を除く。)の退職金の新勘定及び旧勘定の負担区分については、命令でこれを定める。
第九条 第八条第二項の規定によつて、旧勘定で負担する退職金(同条第三項の規定による命令により、旧勘定の負担と定められる場合においては、その退職金を含む。)の債権は、法第十四条第一項の規定によつて、旧債権に含まれるものとする。
法第十四条第一項但書第一号の公租公課に準ずる債権は、左に掲げるものとする。
一 罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金及び過料
二 国税滞納処分の例により徴収し得るもの
第十条 法第十四条第一項但書第二号の定期的給与は、左に掲げるものをいふ。
一 給料及び賃金
二 定期に支給する手当及び賞与
第十一条 法第十四条第一項但書第四号の臨時的給与は、左に掲げるものをいふ。
一 会社の業務に関する臨時の役務に対する手当及び実費弁償
二 臨時に支給する賞与
第十二条 法第十四条第一項但書第三号及び第四号の規定に依り弁済をすることができる金額(退職金に関するものを除く。)の限度は、一人につきこれを一万五千円とする。
法第十四条第一項但書第四号の規定により弁済を受ける退職金の金額の限度は、命令でこれを定める。
第十三条 法第十四条第一項但書第六号の債権は、左に掲げるものとする。
一 金融機関経理応急措置法第十六条但書の規定に基き金融機関に対する封鎖預金等(金融緊急措置令に規定する封鎖預金等をいふ。以下同じ。)を以て弁済される場合の金融機関の有する貸付金の債権。但し、金融機関に対する封鎖預金等を以て弁済される金額を限度とする。
二 第九条第一項の債権。但し、命令で定める金額を限度とする。
三 指定時以前の業務上の傷病又は死亡に因る扶助の債権
四 その他主務大臣の指定するもの
第十四条 旧勘定に所属する財産の管理のため生じた債権については、指定時後三箇月以内は、法第十四条第三項の規定にかかはらず、主務大臣の承認を受けることを要しない。
第十五条 特別経理会社は、指定時(法第一条第一項第二号の指定を受けた会社については指定の日)後二週間以内に会社の業務を執行する役員中から互選によつて二人及び当該会社に対し指定時現在において債権(社債及び法第十四条第一項但書の債権を除く。)を有する者(以下旧債権者といふ。)であつて、当該会社の業務を執行する役員でない者のうちで、当該債権の額の最も多額な者から順次二人の特別管理人を選任しなければならない。但し、債権額が同額の場合においては、抽籤による。
前項の規定は、同項の規定により特別管理人となるべき旧債権者が法人である場合においては、当該法人の指名する代表者を以て、旧債権者として、これを適用する。この場合において、債権の額は、当該法人の債権の額とする。
特別経理会社が、担保附社債信託法による社債を発行してゐる場合及び商法第三百四条により社債募集の委託をしてゐる場合には、第一項の旧債権者のうちから選任する特別管理人中一人は、これを当該社債に関する受託会社について選任しなければならない。この場合において、前二項の規定は、これを準用する。
指定時現在において、旧債権者のない特別経理会社及び主務大臣の指定する特別経理会社は、法第十七条第一項の規定にかかはらず、旧債権者のうちから特別管理人を選任することを要しない。
特別経理会社の業務を執行する役員又は旧債権者が一人のときには、法第十七条第一項の規定にかかはらず、業務を執行する役員及び旧債権者のうちから選任する特別管理人は、夫々一人とする。
資本金百万円未満の特別経理会社は、法第十七条第一項の規定にかかはらず、選任すべき特別管理人を、当該会社の業務を執行する役員のうちから一人及び当該会社の旧債権者のうちから一人とすることができる。
第十六条 特別経理会社は、前条第一項の規定により特別管理人として選任されるべき旧債権者が著しく不適当であると認める場合においては、同項の規定によつて次の順位を有する旧債権者を選任することができる。この場合において、次の順位の旧債権者がないときは、前条第五項の規定を準用する。
前項の場合において、特別管理人に選任されなかつた先順位の旧債権者が不服であるときには、主務大臣に対して異議の申立をすることができる。
旧債権者の異議の申立のある場合においては、主務大臣は、特別管理人の選任について、適当と認める措置を講ずることができる。
第十七条 特別経理会社は、主務大臣の認可を受けたときには、法第十七条第一項の規定にかかはらず、特別管理人を増員し又は当該会社の業務を執行する役員若しくは旧債権者でない者を特別管理人として選任することができる。
特別管理人又は特別経理会社に対し指定時において、払込株金額の十分の一以上に当る債権を有する者、出資金額が資本金の十分の一以上に当る社員若しくは資本金の十分の一以上に当る株式を有する株主は、会社に対し文書を以て前項の認可申請をするべき旨を請求することができる。
前項の請求があつた場合には、会社は直ちに命令の定めるところによつて、認可の申請をしなければならない。
主務大臣が前項の申請を認可した場合には、特別経理会社は、当該認可に基いて特別管理人を選任しなければならない。
主務大臣は、必要があると認めるときには、職権を以て特別管理人を選任することができる。
第十八条 特別管理人又は前条第二項に規定する旧債権者、社員若しくは株主が、特別管理人の選任に対して不服がある場合又は特別管理人のうち著しく不適当と認める者がある場合においては、主務大臣に異議の申立をすることができる。
第十六条第三項の規定は、前項の場合に準用する。
第十九条 特別経理会社は、特別管理人に選任しようとする者を決定したときには、遅滞なくその旨を特別管理人に選任しようとする者に通知しなければならない。
前項の通知を受けた者は、前項の通知を受けた日から二週間以内に、特別経理会社に対して、特別管理人に就任するか否かの意思を通知しなければならない。
前項の期間内に、同項の者から意思の通知がないときには、就任する意思がないものとみなす。
特別管理人は、その職務を行ふについて、代理人を選任することができる。この場合においては、当該特別管理人は代理人の住所及び氏名を特別経理会社に対して通知しなければならない。
特別管理人は、病気その他正当な事由によりその職務を遂行することができないときには、その任務を辞することができる。この場合においては、遅滞なくその旨を特別経理会社に対して通知しなければならない。
前項の規定によつて特別管理人がその任務を辞したとき、特別管理人が死亡したとき、法第二十条の規定によつて解任せられたとき又は特別管理人に選任せられる資格を失つたときには、特別経理会社は第十五条乃至第十七条の規定によつて、欠員となつた特別管理人を補充しなければならない。同条の規定によつて補充のできない場合においては、特別経理会社の申出により、主務大臣は、適当と認める措置を講ずることができる。
第二十条 特別経理会社の業務を執行する役員以外の者から選任された特別管理人の報酬は、特別管理人に選任された会社の業務を執行する役員の平均報酬の範囲内において、特別管理人が、特別経理会社と協議してこれを決定する。協議が調はないときには、主務大臣が、これを裁定する。
特別経理会社の役員中から選任された特別管理人は、特別管理人としての報酬を受けることができない。
特別管理人の職務執行の為に要した費用については、その実費を支払ふ。
第一項の報酬及び前項の費用は、これを旧勘定に所属する財産の管理のために要した費用とする。
破産法第百六十四条の規定は、特別管理人に、これを準用する。
第二十一条 特別管理人のうちから互選された特別管理人は、法第十九条の規定による各特別管理人の可否の意見を証する書面を作成し、これに各特別管理人の署名捺印を求め、これを保管しなければならない。
特別管理人の意思を表示する文書には、前項の規定により互選された特別管理人が、これに署名捺印をしなければならない。
主務大臣の裁定があつた場合には、前項の文書にその旨を附記しなければならない。
第二十二条 特別経理会社は、左に掲げる場合においては、法第二十二条の規定による特別管理人の承認を受けることを要しない。
一 法第十四条第一項但書に掲げる債務を弁済するため必要な限度において財産を処分するとき
二 金融機関より預金の払戻を受けるとき
三 土地、建物(土地及び建物の売買を会社の目的とする場合を除く。)その他の事業設備以外の法第七条第二項に規定する会社財産について、特別経理会社が、事業の常務の執行上必要な範囲において時価を下らない対価を以て処分するとき
第二十三条 法第二十七条の規定により法の施行に関する事務の一部を、日本銀行をして取り扱はしめるについて必要な事項は、主務大臣が協議して、これを定める。
前項の規定により、日本銀行が取り扱ふ事務に要する費用は、日本銀行の負担とする。
第二十四条 法及びこの勅令において戦時補償金等といふのは、昭和二十年八月十五日以前において発生した人又は法人の損害、又は同日以前における業務の運営、制限若しくは禁止又は物資、権利、労務若しくは施設の生産、修理、譲渡、使用、収用、管理、供給、移転、制限若しくは禁止に基き、政府又は政府に準ずる機関(政府の行ふ施策に協力することを目的として設立せられ且つその者の業務による損失を政府において、補償するものをいふ。)に対する補償金を請求する権利その他の債権であつて、命令で定めるもの以外のものをいふ。
第二十五条 法及びこの勅令において在外資産といふのは左に掲げるものをいふ。
一 外国(大蔵大臣の指定する地域を含む。以下同じ。)にある動産、不動産及びこれらのものに関する権利
二 外国にある鉱業権、漁業権及びこれらに準ずる権利並びにこれらの権利に関する権利
三 外国居住者又は外国事業所若しくは営業所の負担となる債権、請求権、銀行預金その他の預金又は信用取引であつて、外国を履行地とするもの
四 外国にある事業、営業又はこれらのものに対する出資
五 外国居住者により発行せられ又はその者の債務となるべき有価証券
六 外国の著作権、特許権、実用新案権、意匠権又は商標権並びにこれらのものに関する権利
七 日本銀行券、貨幣、政府の発行する小額紙幣、臨時補助通貨及びB号円表示通貨以外の通貨
八 外国に本社を有する会社の本邦にある事業所又は営業所に対する債権
九 本邦にある者の有する七に掲げる通貨を以て表示する債権
十 その他前各号に準ずるもので大蔵大臣の指定するもの
第二十六条 法第十七条第三項及び第四項の規定は、第十六条第一項第十七条第一項及び第五項並びに第十九条第六項の規定により特別管理人を選任したとき、又は第十九条第四項の規定により代理人を選任したとき、若しくはその代理人の代理権の消滅したときに、これを準用する。
第二十七条 法及びこの勅令において主務大臣といふのは、第二項の場合を除くの外当該会社の主な事業の所管大臣及び大蔵大臣をいふ。
法及びこの勅令において、主務大臣といふのは、厚生大臣の所管する勤労に関する事項については、前項の規定による大臣及び厚生大臣をいふ。
附 則
この勅令は、法施行の日からこれを施行する。