朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル金資金特別會計法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年八月十日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
大藏大臣 賀屋興宣
法律第六十一號
金資金特別會計法
第一條 金資金ヲ置キ其ノ歲入歲出ハ一般ノ會計ト區分シ特別會計ヲ設置ス
第二條 金準備評價法第二條ノ規定ニ依リ日本銀行、朝鮮銀行及臺灣銀行ガ政府ニ納付スベキ金額竝ニ日本銀行金買入法第五條第二項及第六條ノ規定ニ依リ日本銀行ガ政府ニ納付スベキ金額ハ之ヲ本資金ニ受入ルベシ
第三條 本資金ハ總額五千萬圓ヲ限リ豫算ノ定ムル所ニ依リ之ヲ產金ノ增加ヲ圖ル爲必要ナル費途ニ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ本資金ヲ使用セントスルトキハ其ノ金額ヲ一般ノ歲入ニ繰入レ一般ノ歲出トシテ拂出スベシ
第四條 本資金ハ本會計ニ屬スル經費ヲ支辨スル爲必要ナル金額ヲ除クノ外大藏大臣ノ定ムル所ニ依リ之ヲ金又ハ國債ニ運用スルコトヲ得
本資金ノ運用ニ關スル事務ハ大藏大臣ノ定ムル所ニ依リ日本銀行ヲシテ之ヲ取扱ハシム
第五條 本會計ニ於テハ資金運用利殖金及附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ第三條ノ規定ニ依ル一般會計ヘノ繰入金、事務取扱費、資金運用手數料、附屬諸費及資金運用損失金ヲ以テ其ノ歲出トス
第六條 本資金ニ屬スル資產ニシテ價格ノ減損ヲ生ジタルモノアルトキハ本會計ノ決算上生ジタル剩餘又ハ資金ヨリ之ヲ償却スベシ
第七條 本會計ノ決算上剩餘ヲ生ジタルトキハ前條ノ償却ニ充テ殘餘アルトキハ之ヲ資金ニ繰入ルベシ
本會計ノ決算上不足ヲ生ジタルトキハ之ヲ資金ヨリ補足スベシ
第八條 政府ハ每年本會計ノ歲入歲出豫算ヲ調製シ歲入歲出ノ總豫算ト共ニ之ヲ帝國議會ニ提出スベシ
第九條 本會計ノ每年度歲出豫算ニ於ケル支出殘額ハ之ヲ翌年度ニ繰越シ使用スルコトヲ得
第十條 本會計ノ收入支出ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
兌換銀行券條例第二條第五項ノ借入金及日本銀行金買入法第四條ノ債務ハ本會計ノ負擔トス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル金資金特別会計法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年八月十日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
大蔵大臣 賀屋興宣
法律第六十一号
金資金特別会計法
第一条 金資金ヲ置キ其ノ歳入歳出ハ一般ノ会計ト区分シ特別会計ヲ設置ス
第二条 金準備評価法第二条ノ規定ニ依リ日本銀行、朝鮮銀行及台湾銀行ガ政府ニ納付スベキ金額並ニ日本銀行金買入法第五条第二項及第六条ノ規定ニ依リ日本銀行ガ政府ニ納付スベキ金額ハ之ヲ本資金ニ受入ルベシ
第三条 本資金ハ総額五千万円ヲ限リ予算ノ定ムル所ニ依リ之ヲ産金ノ増加ヲ図ル為必要ナル費途ニ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ本資金ヲ使用セントスルトキハ其ノ金額ヲ一般ノ歳入ニ繰入レ一般ノ歳出トシテ払出スベシ
第四条 本資金ハ本会計ニ属スル経費ヲ支弁スル為必要ナル金額ヲ除クノ外大蔵大臣ノ定ムル所ニ依リ之ヲ金又ハ国債ニ運用スルコトヲ得
本資金ノ運用ニ関スル事務ハ大蔵大臣ノ定ムル所ニ依リ日本銀行ヲシテ之ヲ取扱ハシム
第五条 本会計ニ於テハ資金運用利殖金及附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ第三条ノ規定ニ依ル一般会計ヘノ繰入金、事務取扱費、資金運用手数料、附属諸費及資金運用損失金ヲ以テ其ノ歳出トス
第六条 本資金ニ属スル資産ニシテ価格ノ減損ヲ生ジタルモノアルトキハ本会計ノ決算上生ジタル剰余又ハ資金ヨリ之ヲ償却スベシ
第七条 本会計ノ決算上剰余ヲ生ジタルトキハ前条ノ償却ニ充テ残余アルトキハ之ヲ資金ニ繰入ルベシ
本会計ノ決算上不足ヲ生ジタルトキハ之ヲ資金ヨリ補足スベシ
第八条 政府ハ毎年本会計ノ歳入歳出予算ヲ調製シ歳入歳出ノ総予算ト共ニ之ヲ帝国議会ニ提出スベシ
第九条 本会計ノ毎年度歳出予算ニ於ケル支出残額ハ之ヲ翌年度ニ繰越シ使用スルコトヲ得
第十条 本会計ノ収入支出ニ関スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
兌換銀行券条例第二条第五項ノ借入金及日本銀行金買入法第四条ノ債務ハ本会計ノ負担トス