日本産金振興株式会社法
法令番号: 法律第三十六號
公布年月日: 昭和13年3月29日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル日本產金振興株式會社法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年三月二十八日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
大藏大臣 賀屋興宣
商工大臣 吉野信次
拓務大臣 大谷尊由
內務大臣 末次信正
法律第三十六號
日本產金振興株式會社法
第一章 總則
第一條 日本產金振興株式會社ハ產金事業ノ振興ヲ圖ル爲必要ナル事業ヲ營ムコトヲ目的トスル株式會社トス
第二條 日本產金振興株式會社ハ其ノ本店ヲ東京市ニ、支店ヲ京城府ニ置ク
日本產金振興株式會社ハ前項ノ外政府ノ認可ヲ受ケ支店又ハ出張所ヲ設クルコトヲ得
第三條 日本產金振興株式會社ノ資本ハ五千萬圓トシ內二千五百萬圓ハ政府ノ出資トス
日本產金振興株式會社ハ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ資本ヲ增加スルコトヲ得
第四條 日本產金振興株式會社ハ株金全額拂込前ト雖モ其ノ資本ヲ增加スルコトヲ得
第五條 日本產金振興株式會社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共團體、帝國臣民又ハ帝國法人ニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第六條 日本產金振興株式會社ノ存立期間ハ設立登記ノ日ヨリ三十年トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ延長スルコトヲ得
第七條 日本產金振興株式會社ニ非ザルモノハ日本產金振興株式會社又ハ之ニ類似ノ名稱ヲ以テ其ノ商號ト爲スコトヲ得ズ
第二章 役員
第八條 日本產金振興株式會社ニ社長副社長各一人、理事三人以上及監事二人以上ヲ置ク
第九條 社長ハ日本產金振興株式會社ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ社長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副社長及理事ハ社長ヲ補助シ日本產金振興株式會社ノ業務ヲ分掌ス
監事ハ日本產金振興株式會社ノ業務ヲ監査ス
第十條 社長及副社長ハ政府之ヲ命ジ其ノ任期ヲ四年トス
理事ハ株主中ヨリ株主總會ニ於テ二倍ノ候補者ヲ選擧シ政府其ノ中ヨリ之ヲ命ジ其ノ任期ヲ三年トス
監事ハ株主中ヨリ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ其ノ任期ヲ二年トス
第十一條 社長、副社長及理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ政府ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三章 營業
第十二條 日本產金振興株式會社ハ左ノ事業ヲ營ムモノトス
一 金鑛ヲ目的トスル鑛業若ハ砂金ヲ目的トスル砂鑛業(以下金鑛業ト總稱ス)、金製鍊業又ハ金鑛業若ハ金製鍊業ノ用ニ供スル器具機械類ノ製造業ニ對スル資金ノ融通又ハ投資
二 金鑛業又ハ金製鍊業
三 金鑛業又ハ金製鍊業ノ爲必要ナル器具、機械、材料又ハ設備ノ賣買
四 含金鑛產物ノ賣買
五 委託ニ依ル金鑛山ニ關スル調査又ハ鑑定
日本產金振興株式會社ハ政府ノ認可ヲ受ケ前項ノ事業ノ外本會社ノ目的達成上必要ナル諸事業ヲ營ムコトヲ得
第十三條 日本興業銀行、朝鮮殖產銀行又ハ東洋拓殖株式會社ハ前條第一項第一號ノ事業ニ關シ日本產金振興株式會社ノ業務ノ一部ヲ代理スルコトヲ得
日本產金振興株式會社前項ノ銀行又ハ會社ヲシテ業務ノ一部ヲ代理セシメントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第四章 產金振興債券
第十四條 日本產金振興株式會社ハ拂込ミタル株金額ノ五倍ヲ限リ產金振興債券ヲ發行スルコトヲ得
產金振興債券ヲ發行スル場合ニ於テハ商法第二百九條ニ定ムル決議ニ依ルコトヲ要セズ
第十五條 產金振興債券ヲ發行セントスル場合ニ於テハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第十六條 政府ハ產金振興債券ノ元本ノ償還及利息ノ支拂ニ付保證スルコトヲ得
第十七條 產金振興債券ハ無記名式トス但シ應募者又ハ所有者ノ請求ニ因リ記名式ト爲スコトヲ得
第十八條 產金振興債券ノ所有者ハ日本產金振興株式會社ノ財產ニ付他ノ債權者ニ先チテ自己ノ債權ノ辨濟ヲ受クル權利ヲ有ス
第十九條 日本產金振興株式會社ハ社債借換ノ爲一時第十四條ノ制限ニ依ラズ產金振興債券ヲ發行スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ發行後一月以內ニ其ノ社債總額ニ相當スル舊產金振興債券ヲ償還スベシ
第五章 準備金
第二十條 日本產金振興株式會社ハ每營業年度ニ準備金トシテ資本ノ缺損ヲ補フ爲利益金額ノ百分ノ八以上ヲ積立テ且利益配當ノ平均ヲ得シムル爲利益金額ノ百分ノ二以上ヲ積立ツベシ
第六章 監督及助成
第二十一條 政府ハ日本產金振興株式會社ノ業務ヲ監督ス
第二十二條 日本產金振興株式會社借入金ヲ爲サントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第二十三條 定款ノ變更、利益金ノ處分、合併及解散ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十四條 日本產金振興株式會社ハ每營業年度ノ事業計畫ヲ定メ政府ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第二十五條 政府ハ日本產金振興株式會社ノ業務ニ關シ監督上又ハ產金事業ノ振興上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第二十六條 政府ハ日本產金振興株式會社監理官ヲ置キ日本產金振興株式會社ノ業務ヲ監視セシム
第二十七條 日本產金振興株式會社監理官ハ何時ニテモ日本產金振興株式會社ノ金庫、帳簿及諸般ノ文書物件ヲ檢査スルコトヲ得
日本產金振興株式會社監理官必要ト認ムルトキハ何時ニテモ日本產金振興株式會社ニ命ジ業務ニ關スル諸般ノ計算及狀況ヲ報吿セシムルコトヲ得
日本產金振興株式會社監理官ハ株主總會其ノ他諸般ノ會議ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第二十八條 政府日本產金振興株式會社ノ決議又ハ役員ノ行爲ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第二十九條 日本產金振興株式會社ハ每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ達スル迄政府ノ所有スル株式ニ對シ利益ノ配當ヲ爲スコトヲ要セズ
第三十條 日本產金振興株式會社ノ每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ達セザルトキハ政府ハ初營業年度及爾後五年間ヲ限リ之ニ達セシムベキ金額ヲ補給スベシ但シ其ノ額ハ初營業年度ヲ除キ每營業年度ニ於テハ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ相當スル額及當該營業年度ニ於テ支拂ヒタル產金振興債券ノ利息額ノ合計額ヲ超ユルコトヲ得ズ
每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ先ヅ之ヲ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還ニ充ツベシ
初營業年度及爾後五年間ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ二分ノ一ヲ配當準備ノ爲別ニ積立ツベシ
第二項ノ規定ニ依リ補給金ヲ償還シ尙殘餘アリタルトキハ之ヲ前項ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過シタル當該營業年度ノ利益金ト看做ス
前二項ノ規定ニ依ル積立金ハ後營業年度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金ノ計算ニ付テハ之ヲ配當シ得ベキ利益金ト看做ス
第三十一條 日本產金振興株式會社ノ每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スル場合ニ於テ政府以外ノ者ノ所有スル株式ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超エ利益配當ヲ爲サントスルトキハ其ノ超過スル利益金額ハ利益配當ガ總株式ニ付拂込ミタル株金額ニ對シ均一ノ割合ニ達スル迄政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額及政府ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ一ト五トノ割合ヲ以テ之ヲ配當スベシ
第三十二條 日本產金振興株式會社ニハ開業ノ年及其ノ翌年ヨリ十年間所得稅及營業收益稅ヲ免除ス
第三十三條 北海道、府縣及市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ前條ノ期間日本產金振興株式會社ノ事業ニ對シ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ基キ政府ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第七章 罰則
第三十四條 日本產金振興株式會社左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ社長又ハ社長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副社長ヲ百圓以上二千圓以下ノ過料ニ處ス副社長又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副社長又ハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
一 本法ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 第十二條ノ規定ニ依ラズシテ業務ヲ營ミタルトキ
三 第十四條ノ規定ニ違反シ產金振興債券ヲ發行シタルトキ
四 第十九條ノ規定ニ違反シ產金振興債券ノ償還ヲ爲サザルトキ
五 第二十五條ノ規定ニ基キテ爲シタル命令ニ違反シタルトキ
第三十五條 日本產金振興株式會社ノ社長、副社長及理事第十一條ノ規定ニ違反シタルトキハ二十圓以上二百圓以下ノ過料ニ處ス
第三十六條 第七條ノ規定ニ違反シタル者ハ十圓以上百圓以下ノ過料ニ處ス
第三十七條 非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前三條ノ過料ニ之ヲ準用ス
附 則
第三十八條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十九條 政府ハ設立委員ヲ命ジ日本產金振興株式會社ノ設立ニ關スル一切ノ事務ヲ處理セシム
第四十條 設立委員ハ定款ヲ作成シ政府ノ認可ヲ受クベシ
第四十一條 前條ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ株式總數ヨリ政府ニ割當ツベキ株式ヲ控除シタル殘餘ノ株式ニ付株主ヲ募集スベシ
第四十二條 株式申込證ニハ定款認可ノ年月日竝ニ商法第百二十六條第二項第二號、第四號及第五號ニ規定スル事項ヲ記載スベシ
第四十三條 設立委員株主ノ募集ヲ終リタルトキハ株式申込證ヲ政府ニ提出シ其ノ檢査ヲ受クベシ
第四十四條 設立委員ハ前條ノ檢査ヲ受ケタル後遲滯ナク各株ニ付第一囘ノ拂込ヲ爲サシムベシ
前項ノ拂込アリタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク創立總會ヲ招集スベシ
第四十五條 創立總會ニ於テハ第十條ノ規定ニ準ジ理事候補者ノ選擧及監事ノ選任ヲ行フベシ
第四十六條 創立總會終結シタルトキハ設立委員ハ其ノ事務ヲ日本產金振興株式會社社長ニ引渡スベシ
第四十七條 本法施行ノ際日本產金振興株式會社又ハ之ニ類似ノ名稱ヲ以テ商號ト爲ス會社ハ本法施行後六月以內ニ其ノ商號ヲ變更スルコトヲ要ス
第三十六條ノ規定ハ前項ノ期間內之ヲ前項ニ揭グル者ニ適用セズ
第四十八條 
登錄稅法第六條第一項第十一號中「又ハ燃料興業債券」ヲ「、燃料興業債券又ハ產金振興債券」ニ改ム
第四十九條 
金資金特別會計法第四條中「又ハ國債」ヲ「、國債、產金振興債券又ハ總額二千五百萬圓ヲ限リ日本產金振興株式會社株式」ニ改ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル日本産金振興株式会社法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年三月二十八日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
大蔵大臣 賀屋興宣
商工大臣 吉野信次
拓務大臣 大谷尊由
内務大臣 末次信正
法律第三十六号
日本産金振興株式会社法
第一章 総則
第一条 日本産金振興株式会社ハ産金事業ノ振興ヲ図ル為必要ナル事業ヲ営ムコトヲ目的トスル株式会社トス
第二条 日本産金振興株式会社ハ其ノ本店ヲ東京市ニ、支店ヲ京城府ニ置ク
日本産金振興株式会社ハ前項ノ外政府ノ認可ヲ受ケ支店又ハ出張所ヲ設クルコトヲ得
第三条 日本産金振興株式会社ノ資本ハ五千万円トシ内二千五百万円ハ政府ノ出資トス
日本産金振興株式会社ハ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ資本ヲ増加スルコトヲ得
第四条 日本産金振興株式会社ハ株金全額払込前ト雖モ其ノ資本ヲ増加スルコトヲ得
第五条 日本産金振興株式会社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共団体、帝国臣民又ハ帝国法人ニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第六条 日本産金振興株式会社ノ存立期間ハ設立登記ノ日ヨリ三十年トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ延長スルコトヲ得
第七条 日本産金振興株式会社ニ非ザルモノハ日本産金振興株式会社又ハ之ニ類似ノ名称ヲ以テ其ノ商号ト為スコトヲ得ズ
第二章 役員
第八条 日本産金振興株式会社ニ社長副社長各一人、理事三人以上及監事二人以上ヲ置ク
第九条 社長ハ日本産金振興株式会社ヲ代表シ其ノ業務ヲ総理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ社長欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副社長及理事ハ社長ヲ補助シ日本産金振興株式会社ノ業務ヲ分掌ス
監事ハ日本産金振興株式会社ノ業務ヲ監査ス
第十条 社長及副社長ハ政府之ヲ命ジ其ノ任期ヲ四年トス
理事ハ株主中ヨリ株主総会ニ於テ二倍ノ候補者ヲ選挙シ政府其ノ中ヨリ之ヲ命ジ其ノ任期ヲ三年トス
監事ハ株主中ヨリ株主総会ニ於テ之ヲ選任シ其ノ任期ヲ二年トス
第十一条 社長、副社長及理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ従事スルコトヲ得ズ但シ政府ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三章 営業
第十二条 日本産金振興株式会社ハ左ノ事業ヲ営ムモノトス
一 金鉱ヲ目的トスル鉱業若ハ砂金ヲ目的トスル砂鉱業(以下金鉱業ト総称ス)、金製錬業又ハ金鉱業若ハ金製錬業ノ用ニ供スル器具機械類ノ製造業ニ対スル資金ノ融通又ハ投資
二 金鉱業又ハ金製錬業
三 金鉱業又ハ金製錬業ノ為必要ナル器具、機械、材料又ハ設備ノ売買
四 含金鉱産物ノ売買
五 委託ニ依ル金鉱山ニ関スル調査又ハ鑑定
日本産金振興株式会社ハ政府ノ認可ヲ受ケ前項ノ事業ノ外本会社ノ目的達成上必要ナル諸事業ヲ営ムコトヲ得
第十三条 日本興業銀行、朝鮮殖産銀行又ハ東洋拓殖株式会社ハ前条第一項第一号ノ事業ニ関シ日本産金振興株式会社ノ業務ノ一部ヲ代理スルコトヲ得
日本産金振興株式会社前項ノ銀行又ハ会社ヲシテ業務ノ一部ヲ代理セシメントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第四章 産金振興債券
第十四条 日本産金振興株式会社ハ払込ミタル株金額ノ五倍ヲ限リ産金振興債券ヲ発行スルコトヲ得
産金振興債券ヲ発行スル場合ニ於テハ商法第二百九条ニ定ムル決議ニ依ルコトヲ要セズ
第十五条 産金振興債券ヲ発行セントスル場合ニ於テハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第十六条 政府ハ産金振興債券ノ元本ノ償還及利息ノ支払ニ付保証スルコトヲ得
第十七条 産金振興債券ハ無記名式トス但シ応募者又ハ所有者ノ請求ニ因リ記名式ト為スコトヲ得
第十八条 産金振興債券ノ所有者ハ日本産金振興株式会社ノ財産ニ付他ノ債権者ニ先チテ自己ノ債権ノ弁済ヲ受クル権利ヲ有ス
第十九条 日本産金振興株式会社ハ社債借換ノ為一時第十四条ノ制限ニ依ラズ産金振興債券ヲ発行スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ発行後一月以内ニ其ノ社債総額ニ相当スル旧産金振興債券ヲ償還スベシ
第五章 準備金
第二十条 日本産金振興株式会社ハ毎営業年度ニ準備金トシテ資本ノ欠損ヲ補フ為利益金額ノ百分ノ八以上ヲ積立テ且利益配当ノ平均ヲ得シムル為利益金額ノ百分ノ二以上ヲ積立ツベシ
第六章 監督及助成
第二十一条 政府ハ日本産金振興株式会社ノ業務ヲ監督ス
第二十二条 日本産金振興株式会社借入金ヲ為サントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第二十三条 定款ノ変更、利益金ノ処分、合併及解散ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第二十四条 日本産金振興株式会社ハ毎営業年度ノ事業計画ヲ定メ政府ノ認可ヲ受クベシ之ヲ変更セントスルトキ亦同ジ
第二十五条 政府ハ日本産金振興株式会社ノ業務ニ関シ監督上又ハ産金事業ノ振興上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第二十六条 政府ハ日本産金振興株式会社監理官ヲ置キ日本産金振興株式会社ノ業務ヲ監視セシム
第二十七条 日本産金振興株式会社監理官ハ何時ニテモ日本産金振興株式会社ノ金庫、帳簿及諸般ノ文書物件ヲ検査スルコトヲ得
日本産金振興株式会社監理官必要ト認ムルトキハ何時ニテモ日本産金振興株式会社ニ命ジ業務ニ関スル諸般ノ計算及状況ヲ報告セシムルコトヲ得
日本産金振興株式会社監理官ハ株主総会其ノ他諸般ノ会議ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第二十八条 政府日本産金振興株式会社ノ決議又ハ役員ノ行為ガ法令、法令ニ基キテ為ス処分若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第二十九条 日本産金振興株式会社ハ毎営業年度ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ニ達スル迄政府ノ所有スル株式ニ対シ利益ノ配当ヲ為スコトヲ要セズ
第三十条 日本産金振興株式会社ノ毎営業年度ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ニ達セザルトキハ政府ハ初営業年度及爾後五年間ヲ限リ之ニ達セシムベキ金額ヲ補給スベシ但シ其ノ額ハ初営業年度ヲ除キ毎営業年度ニ於テハ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ニ相当スル額及当該営業年度ニ於テ支払ヒタル産金振興債券ノ利息額ノ合計額ヲ超ユルコトヲ得ズ
毎営業年度ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ先ヅ之ヲ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還ニ充ツベシ
初営業年度及爾後五年間ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ二分ノ一ヲ配当準備ノ為別ニ積立ツベシ
第二項ノ規定ニ依リ補給金ヲ償還シ尚残余アリタルトキハ之ヲ前項ノ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過シタル当該営業年度ノ利益金ト看做ス
前二項ノ規定ニ依ル積立金ハ後営業年度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金ノ計算ニ付テハ之ヲ配当シ得ベキ利益金ト看做ス
第三十一条 日本産金振興株式会社ノ毎営業年度ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スル場合ニ於テ政府以外ノ者ノ所有スル株式ニ対シ年百分ノ四ノ割合ヲ超エ利益配当ヲ為サントスルトキハ其ノ超過スル利益金額ハ利益配当ガ総株式ニ付払込ミタル株金額ニ対シ均一ノ割合ニ達スル迄政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ払込ミタル株金額及政府ノ所有スル株式ノ払込ミタル株金額ニ対シ一ト五トノ割合ヲ以テ之ヲ配当スベシ
第三十二条 日本産金振興株式会社ニハ開業ノ年及其ノ翌年ヨリ十年間所得税及営業収益税ヲ免除ス
第三十三条 北海道、府県及市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ前条ノ期間日本産金振興株式会社ノ事業ニ対シ地方税ヲ課スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ基キ政府ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第七章 罰則
第三十四条 日本産金振興株式会社左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ社長又ハ社長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副社長ヲ百円以上二千円以下ノ過料ニ処ス副社長又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副社長又ハ理事ヲ過料ニ処スルコト亦同ジ
一 本法ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 第十二条ノ規定ニ依ラズシテ業務ヲ営ミタルトキ
三 第十四条ノ規定ニ違反シ産金振興債券ヲ発行シタルトキ
四 第十九条ノ規定ニ違反シ産金振興債券ノ償還ヲ為サザルトキ
五 第二十五条ノ規定ニ基キテ為シタル命令ニ違反シタルトキ
第三十五条 日本産金振興株式会社ノ社長、副社長及理事第十一条ノ規定ニ違反シタルトキハ二十円以上二百円以下ノ過料ニ処ス
第三十六条 第七条ノ規定ニ違反シタル者ハ十円以上百円以下ノ過料ニ処ス
第三十七条 非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前三条ノ過料ニ之ヲ準用ス
附 則
第三十八条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十九条 政府ハ設立委員ヲ命ジ日本産金振興株式会社ノ設立ニ関スル一切ノ事務ヲ処理セシム
第四十条 設立委員ハ定款ヲ作成シ政府ノ認可ヲ受クベシ
第四十一条 前条ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ株式総数ヨリ政府ニ割当ツベキ株式ヲ控除シタル残余ノ株式ニ付株主ヲ募集スベシ
第四十二条 株式申込証ニハ定款認可ノ年月日並ニ商法第百二十六条第二項第二号、第四号及第五号ニ規定スル事項ヲ記載スベシ
第四十三条 設立委員株主ノ募集ヲ終リタルトキハ株式申込証ヲ政府ニ提出シ其ノ検査ヲ受クベシ
第四十四条 設立委員ハ前条ノ検査ヲ受ケタル後遅滞ナク各株ニ付第一回ノ払込ヲ為サシムベシ
前項ノ払込アリタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク創立総会ヲ招集スベシ
第四十五条 創立総会ニ於テハ第十条ノ規定ニ準ジ理事候補者ノ選挙及監事ノ選任ヲ行フベシ
第四十六条 創立総会終結シタルトキハ設立委員ハ其ノ事務ヲ日本産金振興株式会社社長ニ引渡スベシ
第四十七条 本法施行ノ際日本産金振興株式会社又ハ之ニ類似ノ名称ヲ以テ商号ト為ス会社ハ本法施行後六月以内ニ其ノ商号ヲ変更スルコトヲ要ス
第三十六条ノ規定ハ前項ノ期間内之ヲ前項ニ掲グル者ニ適用セズ
第四十八条 
登録税法第六条第一項第十一号中「又ハ燃料興業債券」ヲ「、燃料興業債券又ハ産金振興債券」ニ改ム
第四十九条 
金資金特別会計法第四条中「又ハ国債」ヲ「、国債、産金振興債券又ハ総額二千五百万円ヲ限リ日本産金振興株式会社株式」ニ改ム