(設置及び定義)
第一條 政府の行う貴金属の買入、賣拂又は管理に関する経理を明確にするため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。
2 この法律において「貴金属」とは、金、銀、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、イリドスミンをいう。
(管理)
第二條 この会計は、大藏大臣が、法令の定めるところに從い、管理する。
(歳入及び歳出)
第三條 この会計においては、貴金属賣拂代金及び附属雜收入をもつてその歳入とし、貴金属買入代金、事務取扱費、一時借入金の利子その他の諸費をもつてその歳出とする。
(歳入歳出予定計算書の作製)
第四條 大藏大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書を作製しなければならない。
(歳入歳出予算の区分)
第五條 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に從つて、款及び項に区分する。
(予算の作成及び提出)
第六條 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、國会に提出しなければならない。
2 前項の予算には、歳入歳出予定計算書を添附しなければならない。
(余裕金の預入)
第七條 この会計において、現金に余裕があるときは、大藏省預金部に預け入れることができる。
(一時借入金及び繰替金)
第八條 この会計において、支拂上現金に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をし、又は國庫余裕金を繰替使用することができる。
2 前項の規定による一時借入金又は繰替金は、当該年度内に償還しなければならない。
3 第一項の規定による一時借入金及び繰替金の最高限度額については、予算をもつて、國会の議決を経なければならない。
(一時借入金の利子の繰入)
第九條 本会計の負担に属する一時借入金の利子の支出に必要な金額は、毎会計年度、國債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
(歳入歳出決定計算書の作製)
第十條 大藏大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製しなければならない。
(歳入歳出決算の作成及び提出)
第十一條 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、國会に提出しなければならない。
2 前項の歳入歳出決算には、歳入歳出決定計算書を添附しなければならない。
(剩余金の繰入)
第十二條 この会計において、毎会計年度における決算上剩余金を生じたときは、これをその翌年度の歳入に繰り入れるものとする。
(貴金属の買入、保管及び賣拂事務)
第十三條 政府は、貴金属の買入、保管及び賣拂に関する事務を日本銀行に取り扱わせることができる。
2 前項の場合において、政府は、貴金属の買入に必要な資金を日本銀行に交付することができる。
3 会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第三十六條の規定は、前項の規定により交付を受けた資金の收支に関して適用する。
(支出未済額の繰越)
第十四條 この会計において、支拂義務の生じた歳出金で、当該年度の出納の完結までに支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、翌年度に繰り越して使用することができる。
2 前項の規定による繰越については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第四十三條の規定は、適用しない。
3 大藏大臣は、第一項の規定により繰越をしたときは、会計檢査院に通知しなければならない。
4 第一項の規定により繰越をしたときは、その経費については、財政法第三十一條第一項の規定による予算の配賦があつたものとみなす。
(実施規定)
第十五條 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。