第三條 事務官ハ四人奏任トス但シ內務大臣ノ指定スル府縣ニ於テハ五人ヲ置クコトヲ得
屬及警部ハ各府縣ヲ通シテ四千八百一人ヲ以テ定員トシ其ノ每府縣ノ定員ハ內務大臣之ヲ定メ其ノ各官ノ定員ハ內務大臣ノ認可ヲ經テ知事之ヲ定ム
視學ハ各府縣ヲ通シテ九十二人ヲ以テ定員トシ其ノ每府縣ノ定員ハ內務大臣之ヲ定ム
第五條 警視、技師、技手及通譯ハ府縣ノ須要ニ依リ俸給豫算定額內ニ於テ之ヲ置クコトヲ得但シ警視ハ第四部ニ屬スル者ハ大阪府ハ二人、其ノ他ノ府縣ハ一人、警察署長ニ充ツル者ハ各府縣ヲ通シテ八十人ヲ超ユルコトヲ得ス
第六條 知事ハ內務大臣ノ指揮監督ヲ承ケ各省ノ主務ニ付テハ各省大臣ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ執行シ部內ノ行政事務ヲ管理ス
第七條 知事ハ部內ノ行政事務ニ付其ノ職權又ハ特別ノ委任ニ依リ管內一般又ハ其ノ一部ニ府縣令ヲ發スルコトヲ得
第八條 知事ハ非常急變ノ場合ニ臨ミ兵力ヲ要シ又ハ警護ノ爲兵備ヲ要スルトキハ師團長又ハ旅團長ニ移牒シテ出兵ヲ請フコトヲ得
第九條 知事ハ所部ノ官吏ヲ指揮監督シ奏任官ノ功過ハ內務大臣ニ具狀シ判任官以下ノ進退ハ之ヲ行フ
第十條 知事ハ所部ノ奏任官ノ懲戒ヲ內務大臣ニ具狀シ判任官以下ニ付テハ之ヲ行フ
第十一條 知事ハ郡長島司ノ處分又ハ命令ノ成規ニ違ヒ、公益ヲ害シ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ處分又ハ命令ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
知事ハ行政事務ニ付其ノ部內ノ市長ヲ指揮監督シ其ノ處分ニ付テハ前項ノ例ニ依ル
第十三條 知事事故アルトキハ第一部長タル事務官其ノ職務ヲ代理ス
知事及第一部長タル事務官共ニ事故アルトキハ內務大臣ニ於テ他ノ事務官ノ一人ヲシテ知事ノ職務ヲ代理セシム
知事ハ府縣ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第十四條 知事ハ其ノ職權ニ屬スル事務ノ一部ヲ郡長、島司又ハ市長ニ委任スルコトヲ得
第十五條 各府縣ニ知事官房ヲ置キ左ノ事務ヲ掌ラシム
第十六條 各府縣ニ部ヲ置キ事務ヲ分掌セシムルコト左ノ如シ
第一部
二 府縣行政及郡市町村其ノ他公共團體ノ行政ノ監督ニ關スル事項
三 府縣經濟及郡市町村其ノ他公共團體ノ經濟ノ監督ニ關スル事項
第十七條 部長ハ事務官ヲ以テ之ニ充ツ知事ノ命ヲ承ケ部下ノ官吏ヲ指揮監督シ所部ノ事務ヲ掌理ス
第十八條 部長事故アルトキハ知事ニ於テ府縣官吏ノ一人ヲシテ其ノ事務ヲ代理セシム
第十九條 部長ニ充テラレサル事務官ハ知事ノ命ヲ承ケ事務ヲ分掌ス
知事ハ事務官ノ一人ヲシテ審議立案ヲ掌ラシムルコトヲ得
第二十條 各府縣ニ警務長ヲ置キ第四部長タル事務官ヲ以テ之ニ充ツ
警務長ハ警察事務ノ執行ニ關シ知事ノ命ヲ承ケ警視、警部及巡査ヲ指揮監督ス
第二十一條 警視ハ第四部ニ屬シ又ハ內務大臣ノ指定シタル警察署ノ署長ト爲リ上官ノ指揮ヲ承ケ其ノ部署ノ事務ヲ掌理ス
第二十二條 各部ニ分課ヲ設クルコトヲ要スルトキハ知事之ヲ定メ內務大臣ニ報吿スヘシ
第二十四條 視學ハ上官ノ指揮ヲ承ケ學事ノ視察其ノ他學事ニ關スル庶務ニ從事ス
第二十五條 警部ハ上官ノ指揮ヲ承ケ警察事務ヲ分掌シ部下ノ巡査ヲ指揮監督ス
第二十六條 通譯ハ上官ノ指揮ヲ承ケ翻譯通辯ニ從事ス
第二十七條 各郡市ニ警察署ヲ置ク但シ內務大臣ハ地方ノ必要ニ應シ別ニ區域ヲ定メテ警察署ヲ置クコトヲ得
知事必要アリト認ムルトキハ警察署ノ下ニ警察分署ヲ置クコトヲ得
第二十八條 警察署長ハ警視ヲ以テ充ツル場合ヲ除クノ外警部ヲ以テ之ニ充テ警察分署長ハ警部ヲ以テ之ニ充ツ
警察署長及警察分署長ハ上官ノ指揮ヲ承ケ其ノ署主管ノ事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
警察醫ハ判任官ノ待遇トス上官ノ指揮ヲ承ケ警察ニ關スル醫務ニ從事ス
第三十一條 東京府ノ警察ニ關スル事項ハ警視廳官制ニ依ル
第三十三條 郡長ハ奏任トス知事ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ部內ニ執行シ部內ノ行政事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第三十四條 郡長ハ行政事務ニ付其ノ部內ノ町村長ヲ指揮監督ス
第三十五條 郡長ハ町村長ノ處分成規ニ違ヒ、公益ヲ害シ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ處分ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
第三十六條 郡長ハ部下ノ判任官ノ進退ヲ知事ニ具申スルコトヲ得
第三十七條 郡長ハ法律命令ニ依リ又ハ知事ヨリ委任セラレタル事件ニ付郡令ヲ發スルコトヲ得
第三十八條 郡長事故アルトキハ上席郡書記其ノ職務ヲ代理ス
第三十九條 郡長ハ郡ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第四十條 郡書記ハ判任トス其ノ定員ハ內務大臣ノ認可ヲ經テ知事之ヲ定ム
第四十一條 郡視學ハ一人判任トス郡長ノ命ヲ承ケ學事ノ視察其ノ他學事ニ關スル庶務ニ從事ス
第四十二條 知事ハ須要ニ依リ郡ニ技手ヲ置クコトヲ得
知事必要アリト認ムルトキハ內務大臣ノ認可ヲ經テ島廳出張所ヲ置クコトヲ得
第四十五條 島司ハ奏任トス知事ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ部內ニ執行シ部內ノ行政事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第四十六條 島司ハ法律命令ニ依リ又ハ知事ヨリ委任セラレタル事件ニ付島廳令ヲ發スルコトヲ得
第四十七條 島司ハ部下ノ判任官ノ進退ヲ知事ニ具申スルコトヲ得
第四十八條 島司ハ行政事務ニ付其ノ部內ノ町村長ヲ指揮監督ス
第四十九條 島司ハ町村長ノ處分成規ニ違ヒ、公益ヲ害シ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ處分ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
第五十條 島司事故アルトキハ上席島廳書記其ノ職務ヲ代理ス
第五十一條 島司ハ島廳ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
島廳出張所長ハ上官ノ指揮ヲ承ケ知事ノ定ムル所ニ依リ出張所主管ノ事務ヲ處理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第五十三條 島廳書記ハ判任トス其ノ定員ハ其ノ府縣判任官ノ定員內ニ於テ知事之ヲ定ム
第五十四條 島廳視學ハ一人判任トシ當分ノ內島廳書記ヲシテ之ヲ兼ネシム島司ノ命ヲ承ケ學事ノ視察其ノ他學事ニ關スル庶務ニ從事ス
第五十五條 知事ハ須要ニ依リ島廳ニ技手ヲ置クコトヲ得
第五十六條 本令中市長トアルハ東京市、京都市、大阪市其ノ他人口二十萬以上ノ市ノ區長、町村長トアルハ戶長其ノ他之ニ準スヘキモノヲ包含ス