(目的)
第一条 この法律は、更生保護事業に関する基本事項を定めることにより、更生保護事業の適正な運営を確保し、及びその健全な育成発達を図るとともに、犯罪者予防更生法(昭和二十四年法律第百四十二号)、執行猶予者保護観察法(昭和二十九年法律第五十八号)その他更生保護に関する法律とあいまって、犯罪をした者が善良な社会の一員として更生することを助け、もって個人及び公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「更生保護事業」とは、継続保護事業、一時保護事業及び連絡助成事業をいう。
2 この法律において「継続保護事業」とは、次に掲げる者であって現に更生のための保護を必要としているものを一定の施設に収容して、その者に対し、宿泊所を供与し、教養、訓練、医療又は就職を助け、生活の指導を行い、環境の改善又は調整を図る等その更生に必要な保護を行う事業をいう。
二 懲役、禁 錮又は拘留につき、刑の執行を終わり、その執行の免除を得、又はその執行を停止されている者
三 懲役又は禁錮につき刑の執行猶予の言渡しを受け、刑事上の手続による身体の拘束を解かれた者(第一号に該当する者を除く。次号において同じ。)
四 罰金又は科料の言渡しを受け、刑事上の手続による身体の拘束を解かれた者
六 訴追を必要としないため公訴を提起しない処分を受け、刑事上の手続による身体の拘束を解かれた者
七 少年院から退院し、又は仮退院を許された者(第一号に該当する者を除く。次号において同じ。)
3 この法律において「一時保護事業」とは、前項に規定する者に対し、帰住をあっせんし、医療又は就職を助け、金品を給与し、又は貸与し、生活の相談に応ずる等その更生に必要な保護(継続保護事業として行うものを除く。)を行う事業をいう。
4 この法律において「連絡助成事業」とは、継続保護事業、一時保護事業その他第二項各号に掲げる者の更生を助けることを目的とする事業に関する啓発、連絡、調整又は助成(第四十六条第一項において「助成等」という。)を行う事業をいう。
5 この法律において「被保護者」とは、継続保護事業又は一時保護事業における保護の対象者をいう。
6 この法律において「更生保護法人」とは、更生保護事業を営むことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人をいう。
(国の措置等)
第三条 国は、更生保護事業が保護観察、更生緊急保護その他の国の責任において行う更生の措置を円滑かつ効果的に実施する上で重要な機能を果たすものであることにかんがみ、更生保護事業の適正な運営を確保し、及びその健全な育成発達を図るための措置を講ずるものとする。
2 地方公共団体は、更生保護事業が犯罪をした者の更生を助け、これにより犯罪を防止し、地域社会の安全及び住民福祉の向上に寄与するものであることにかんがみ、その地域において行われる更生保護事業に対して必要な協力をすることができる。
3 更生保護事業を営む者は、その事業を実施するに当たり、被保護者の人権に配慮するとともに、国の行う更生の措置及び社会福祉、医療、保健、労働その他関連施策との有機的な連携を図り、地域に即した創意と工夫を行い、並びに地域住民等の理解と協力を得るよう努めなければならない。