義肢装具士法をここに公布する。
御名御璽
昭和六十二年六月二日
内閣総理大臣 中曽根康弘
法律第六十一号
義肢装具士法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
免許(第三条―第九条)
第三章
試験(第十条―第三十六条)
第四章
業務等(第三十七条―第四十二条)
第五章
罰則(第四十三条―第四十七条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、義肢装具士の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律し、もつて医療の普及及び向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「義肢」とは、上肢又は下肢の全部又は一部に欠損のある者に装着して、その欠損を補てんし、又はその欠損により失われた機能を代替するための器具器械をいう。
2 この法律で「装具」とは、上肢若しくは下肢の全部若しくは一部又は体幹の機能に障害のある者に装置して、当該機能を回復させ、若しくはその低下を抑制し、又は当該機能を補完するための器具器械をいう。
3 この法律で「義肢装具士」とは、厚生大臣の免許を受けて、義肢装具士の名称を用いて、医師の指示の下に、義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の製作及び身体への適合(以下「義肢装具の製作適合等」という。)を行うことを業とする者をいう。
第二章 免許
(免許)
第三条 義肢装具士になろうとする者は、義肢装具士国家試験(以下「試験」という。)に合格し、厚生大臣の免許(以下「免許」という。)を受けなければならない。
(絶対的欠格事由)
第四条 目が見えない者、耳が聞こえない者又は口がきけない者には、免許を与えない。
(相対的欠格事由)
第五条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一 罰金以上の刑に処せられた者
二 前号に該当する者を除くほか、義肢装具士の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者
三 素行が著しく不良である者
四 精神病者、麻薬、大麻若しくはあへんの中毒者又は伝染性の疾病にかかつている者
(義肢装具士名簿)
第六条 厚生省に義肢装具士名簿を備え、免許に関する事項を登録する。
(登録及び免許証の交付)
第七条 免許は、義肢装具士名簿に登録することによつて行う。
2 厚生大臣は、免許を与えたときは、義肢装具士免許証を交付する。
(免許の取消し等)
第八条 義肢装具士が第四条の規定に該当するに至つたときは、厚生大臣は、その免許を取り消さなければならない。
2 義肢装具士が第五条各号のいずれかに該当するに至つたときは、厚生大臣は、その免許を取り消し、又は期間を定めて義肢装具士の名称の使用の停止を命ずることができる。
3 前項の規定により免許を取り消された者であつても、その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき、その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至つたときは、再免許を与えることができる。この場合においては、前条の規定を準用する。
4 厚生大臣は、第一項又は第二項の規定による処分をしようとするときは、あらかじめ、その相手方にその処分の理由を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。
(省令への委任)
第九条 この章に規定するもののほか、免許の申請、義肢装具士名簿の登録、訂正及び消除並びに義肢装具士免許証の交付、書換え交付、再交付、返納及び提出に関し必要な事項は、厚生省令で定める。
第三章 試験
(試験の目的)
第十条 試験は、義肢装具士として必要な知識及び技能について行う。
(試験の実施)
第十一条 試験は、毎年一回以上、厚生大臣が行う。
(義肢装具士試験委員)
第十二条 試験の問題の作成及び採点を行わせるため、厚生省に義肢装具士試験委員(次項及び次条において「試験委員」という。)を置く。
2 試験委員に関し必要な事項は、政令で定める。
(不正行為の禁止)
第十三条 試験委員は、試験の問題の作成及び採点について、厳正を保持し不正の行為のないようにしなければならない。
(受験資格)
第十四条 試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十六条第一項の規定により大学に入学することができる者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した義肢装具士養成所において、三年以上義肢装具士として必要な知識及び技能を修得したもの
二 学校教育法に基づく大学若しくは高等専門学校、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学又は厚生省令で定める学校、文教研修施設若しくは養成所において一年(高等専門学校にあつては、四年)以上修業し、かつ、厚生大臣の指定する科目を修めた者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した義肢装具士養成所において、二年以上義肢装具士として必要な知識及び技能を修得したもの
三 職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第六十二条第一項の規定に基づく義肢及び装具の製作に係る技能検定に合格した者(厚生省令で定める者に限る。)で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した義肢装具士養成所において、一年以上義肢装具士として必要な知識及び技能を修得したもの
四 外国の義肢装具の製作適合等に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で義肢装具士の免許に相当する免許を受けた者で、厚生大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定したもの
(試験の無効等)
第十五条 厚生大臣は、試験に関して不正の行為があつた場合には、その不正行為に関係のある者に対しては、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。
2 厚生大臣は、前項の規定による処分を受けた者に対し、期間を定めて試験を受けることができないものとすることができる。
(受験手数料)
第十六条 試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を国に納付しなければならない。
2 前項の受験手数料は、これを納付した者が試験を受けない場合においても、返還しない。
(指定試験機関の指定)
第十七条 厚生大臣は、厚生省令で定めるところにより、その指定する者(以下「指定試験機関」という。)に、試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)を行わせることができる。
2 指定試験機関の指定は、厚生省令で定めるところにより、試験事務を行おうとする者の申請により行う。
3 厚生大臣は、他に指定を受けた者がなく、かつ、前項の申請が次の要件を満たしていると認めるときでなければ、指定試験機関の指定をしてはならない。
一 職員、設備、試験事務の実施の方法その他の事項についての試験事務の実施に関する計画が、試験事務の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
二 前号の試験事務の実施に関する計画の適正かつ確実な実施に必要な経理的及び技術的な基礎を有するものであること。
4 厚生大臣は、第二項の申請が次のいずれかに該当するときは、指定試験機関の指定をしてはならない。
一 申請者が、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人以外の者であること。
二 申請者が、その行う試験事務以外の業務により試験事務を公正に実施することができないおそれがあること。
三 申請者が、第三十条の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であること。
四 申請者の役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。
イ この法律に違反して、刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
ロ 次条第二項の規定による命令により解任され、その解任の日から起算して二年を経過しない者
(指定試験機関の役員の選任及び解任)
第十八条 指定試験機関の役員の選任及び解任は、厚生大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 厚生大臣は、指定試験機関の役員が、この法律(この法律に基づく命令又は処分を含む。)若しくは第二十条第一項に規定する試験事務規程に違反する行為をしたとき、又は試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定試験機関に対し、当該役員の解任を命ずることができる。
(事業計画の認可等)
第十九条 指定試験機関は、毎事業年度、事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあつては、その指定を受けた後遅滞なく)、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定試験機関は、毎事業年度の経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、厚生大臣に提出しなければならない。
(試験事務規程)
第二十条 指定試験機関は、試験事務の関始前に、試験事務の実施に関する規程(以下「試験事務規程」という。)を定め、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 試験事務規程で定めるべき事項は、厚生省令で定める。
3 厚生大臣は、第一項の認可をした試験事務規程が試験事務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、指定試験機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。
(指定試験機関の義肢装具士試験委員)
第二十一条 指定試験機関は、試験の問題の作成及び採点を義肢装具士試験委員(次項から第四項まで、次条及び第二十四条第一項において「試験委員」という。)に行わせなければならない。
2 指定試験機関は、試験委員を選任しようとするときは、厚生省令で定める要件を備える者のうちから選任しなければならない。
3 指定試験機関は、試験委員を選任したときは、厚生省令で定めるところにより、厚生大臣にその旨を届け出なければならない。試験委員に変更があつたときも、同様とする。
4 第十八条第二項の規定は、試験委員の解任について準用する。
第二十二条 試験委員は、試験の問題の作成及び採点について、厳正を保持し不正の行為のないようにしなければならない。
(受験の停止等)
第二十三条 指定試験機関が試験事務を行う場合において、指定試験機関は、試験に関して不正の行為があつたときは、その不正行為に関係のある者に対しては、その受験を停止させることができる。
2 前項に定めるもののほか、指定試験機関が試験事務を行う場合における第十五条及び第十六条第一項の規定の適用については、第十五条第一項中「その受験を停止させ、又はその試験」とあるのは「その試験」と、同条第二項中「前項」とあるのは「前項又は第二十三条第一項」と、第十六条第一項中「国」とあるのは「指定試験機関」とする。
3 前項の規定により読み替えて適用する第十六条第一項の規定により指定試験機関に納められた受験手数料は、指定試験機関の収入とする。
(秘密保持義務等)
第二十四条 指定試験機関の役員若しくは職員(試験委員を含む。次項において同じ。)又はこれらの職にあつた者は、試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 試験事務に従事する指定試験機関の役員又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(帳簿の備付け等)
第二十五条 指定試験機関は、厚生省令で定めるところにより、試験事務に関する事項で厚生省令で定めるものを記載した帳簿を備え、これを保存しなければならない。
(監督命令)
第二十六条 厚生大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定試験機関に対し、試験事務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告)
第二十七条 厚生大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、厚生省令で定めるところにより、指定試験機関に対し、報告をさせることができる。
(立入検査)
第二十八条 厚生大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、指定試験機関の事務所に立ち入り、指定試験機関の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(試験事務の休廃止)
第二十九条 指定試験機関は、厚生大臣の許可を受けなければ、試験事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
(指定の取消し等)
第三十条 厚生大臣は、指定試験機関が第十七条第四項各号(第三号を除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、その指定を取り消さなければならない。
2 厚生大臣は、指定試験機関が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて試験事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第十七条第三項各号の要件を満たさなくなつたと認められるとき。
二 第十八条第二項(第二十一条第四項において準用する場合を含む。)、第二十条第三項又は第二十六条の規定による命令に違反したとき。
三 第十九条、第二十一条第一項から第三項まで又は前条の規定に違反したとき。
四 第二十条第一項の認可を受けた試験事務規程によらないで試験事務を行つたとき。
五 次条第一項の条件に違反したとき。
(指定等の条件)
第三十一条 第十七条第一項、第十八条第一項、第十九条第一項、第二十条第一項又は第二十九条の規定による指定、認可又は許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、当該指定、認可又は許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該指定、認可又は許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。
(聴聞)
第三十二条 厚生大臣は、第三十条の規定による処分をしようとするときは、あらかじめ、その相手方にその処分の理由を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。
(指定試験機関がした処分等に係る不服申立て)
第三十三条 指定試験機関が行う試験事務に係る処分又はその不作為について不服がある者は、厚生大臣に対し、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。
(厚生大臣による試験事務の実施等)
第三十四条 厚生大臣は、指定試験機関の指定をしたときは、試験事務を行わないものとする。
2 厚生大臣は、指定試験機関が第二十九条の規定による許可を受けて試験事務の全部若しくは一部を休止したとき、第三十条第二項の規定により指定試験機関に対し試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は指定試験機関が天災その他の事由により試験事務の全部若しくは一部を実施することが困難となつた場合において必要があると認めるときは、試験事務の全部又は一部を自ら行うものとする。
(公示)
第三十五条 厚生大臣は、次の場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
一 第十七条第一項の規定による指定をしたとき。
二 第二十九条の規定による許可をしたとき。
三 第三十条の規定により指定を取り消し、又は試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき。
四 前条第二項の規定により試験事務の全部若しくは一部を自ら行うこととするとき、又は自ら行つていた試験事務の全部若しくは一部を行わないこととするとき。
(試験の細目等)
第三十六条 この章に定めるもののほか、試験科目、受験手続、試験事務の引継ぎその他試験及び指定試験機関並びに第十四条第一号から第三号までの規定による学校又は義肢装具士養成所の指定に関し必要な事項は、省令で定める。
第四章 業務等
(業務)
第三十七条 義肢装具士は、保健婦助産婦看護婦法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の身体への適合を行うことを業とすることができる。
2 前項の規定は、第八条第二項の規定により義肢装具士の名称の使用の停止を命ぜられている者については、適用しない。
(特定行為の制限)
第三十八条 義肢装具士は、医師の具体的な指示を受けなければ、厚生省令で定める義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の身体への適合を行つてはならない。
(他の医療関係者との連携)
第三十九条 義肢装具士は、その業務を行うに当たつては、医師その他の医療関係者との緊密な連携を図り、適正な医療の確保に努めなければならない。
(秘密を守る義務)
第四十条 義肢装具士は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。義肢装具士でなくなつた後においても、同様とする。
(名称の使用制限)
第四十一条 義肢装具士でない者は、義肢装具士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。
(経過措置)
第四十二条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第五章 罰則
第四十三条 第二十四条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第四十四条 第三十条第二項の規定による試験事務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした指定試験機関の役員又は職員は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第四十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第十三条又は第二十二条の規定に違反して、不正の採点をした者
二 第四十条の規定に違反した者
2 前項第二号の罪は、告訴を待つて論ずる。
第四十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第八条第二項の規定により義肢装具士の名称の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、義肢装具士の名称を使用したもの
二 第三十八条又は第四十一条の規定に違反した者
第四十七条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした指定試験機関の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第二十五条の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつたとき。
二 第二十七条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
三 第二十八条第一項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
四 第二十九条の許可を受けないで試験事務の全部を廃止したとき。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(受験資格の特例)
第二条 義肢装具士として必要な知識及び技能を修得させる学校又は養成所であつて、文部大臣又は厚生大臣が指定したものにおいて、この法律の施行の際現に義肢装具士として必要な知識及び技能の修得を終えている者又はこの法律の施行の際現に義肢装具士として必要な知識及び技能を修得中であり、その修得をこの法律の施行後に終えた者は、第十四条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。
第三条 この法律の施行の際現に病院、診療所その他厚生省令で定める施設において、医師の指示の下に、適法に義肢装具の製作適合等を業として行つている者であつて、次の各号のいずれにも該当するに至つたものは、昭和六十八年三月三十一日までは、第十四条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。
一 厚生大臣が指定した講習会の課程を修了した者
二 病院、診療所その他厚生省令で定める施設において、医師の指示の下に、適法に義肢装具の製作適合等を五年以上業として行つた者
第四条 旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による中等学校を卒業した者又は省令の定めるところによりこれと同等以上の学力があると認められる者は、第十四条第一号の規定の適用については、学校教育法第五十六条第一項の規定により大学に入学することができる者とみなす。
(名称の使用制限に関する経過措置)
第五条 この法律の施行の際現に義肢装具士又はこれに紛らわしい名称を使用している者については、第四十一条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
(登録免許税法の一部改正)
第六条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第一第二十三号(六)イ(3)中「又は」を「、義肢装具士又は」に改める。
(厚生省設置法の一部改正)
第七条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第六条第三十六号の次に次の二号を加える。
三十六の二 義肢装具士の養成所を指定し、義肢装具士の試験を行い、並びに義肢装具士の免許及び登録を行い、並びに免許を取り消し、及び名称の使用の停止を命ずること。
三十六の三 義肢装具士法(昭和六十二年法律第六十一号)の規定に基づき、指定試験機関を指定し、指定試験機関に対し、認可その他監督を行うこと。
大蔵大臣 宮澤喜一
文部大臣 塩川正十郎
厚生大臣 斎藤十朗
内閣総理大臣 中曽根康弘
義肢装具士法をここに公布する。
御名御璽
昭和六十二年六月二日
内閣総理大臣 中曽根康弘
法律第六十一号
義肢装具士法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
免許(第三条―第九条)
第三章
試験(第十条―第三十六条)
第四章
業務等(第三十七条―第四十二条)
第五章
罰則(第四十三条―第四十七条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、義肢装具士の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律し、もつて医療の普及及び向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「義肢」とは、上肢又は下肢の全部又は一部に欠損のある者に装着して、その欠損を補てんし、又はその欠損により失われた機能を代替するための器具器械をいう。
2 この法律で「装具」とは、上肢若しくは下肢の全部若しくは一部又は体幹の機能に障害のある者に装置して、当該機能を回復させ、若しくはその低下を抑制し、又は当該機能を補完するための器具器械をいう。
3 この法律で「義肢装具士」とは、厚生大臣の免許を受けて、義肢装具士の名称を用いて、医師の指示の下に、義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の製作及び身体への適合(以下「義肢装具の製作適合等」という。)を行うことを業とする者をいう。
第二章 免許
(免許)
第三条 義肢装具士になろうとする者は、義肢装具士国家試験(以下「試験」という。)に合格し、厚生大臣の免許(以下「免許」という。)を受けなければならない。
(絶対的欠格事由)
第四条 目が見えない者、耳が聞こえない者又は口がきけない者には、免許を与えない。
(相対的欠格事由)
第五条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一 罰金以上の刑に処せられた者
二 前号に該当する者を除くほか、義肢装具士の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者
三 素行が著しく不良である者
四 精神病者、麻薬、大麻若しくはあへんの中毒者又は伝染性の疾病にかかつている者
(義肢装具士名簿)
第六条 厚生省に義肢装具士名簿を備え、免許に関する事項を登録する。
(登録及び免許証の交付)
第七条 免許は、義肢装具士名簿に登録することによつて行う。
2 厚生大臣は、免許を与えたときは、義肢装具士免許証を交付する。
(免許の取消し等)
第八条 義肢装具士が第四条の規定に該当するに至つたときは、厚生大臣は、その免許を取り消さなければならない。
2 義肢装具士が第五条各号のいずれかに該当するに至つたときは、厚生大臣は、その免許を取り消し、又は期間を定めて義肢装具士の名称の使用の停止を命ずることができる。
3 前項の規定により免許を取り消された者であつても、その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき、その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至つたときは、再免許を与えることができる。この場合においては、前条の規定を準用する。
4 厚生大臣は、第一項又は第二項の規定による処分をしようとするときは、あらかじめ、その相手方にその処分の理由を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。
(省令への委任)
第九条 この章に規定するもののほか、免許の申請、義肢装具士名簿の登録、訂正及び消除並びに義肢装具士免許証の交付、書換え交付、再交付、返納及び提出に関し必要な事項は、厚生省令で定める。
第三章 試験
(試験の目的)
第十条 試験は、義肢装具士として必要な知識及び技能について行う。
(試験の実施)
第十一条 試験は、毎年一回以上、厚生大臣が行う。
(義肢装具士試験委員)
第十二条 試験の問題の作成及び採点を行わせるため、厚生省に義肢装具士試験委員(次項及び次条において「試験委員」という。)を置く。
2 試験委員に関し必要な事項は、政令で定める。
(不正行為の禁止)
第十三条 試験委員は、試験の問題の作成及び採点について、厳正を保持し不正の行為のないようにしなければならない。
(受験資格)
第十四条 試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十六条第一項の規定により大学に入学することができる者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した義肢装具士養成所において、三年以上義肢装具士として必要な知識及び技能を修得したもの
二 学校教育法に基づく大学若しくは高等専門学校、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学又は厚生省令で定める学校、文教研修施設若しくは養成所において一年(高等専門学校にあつては、四年)以上修業し、かつ、厚生大臣の指定する科目を修めた者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した義肢装具士養成所において、二年以上義肢装具士として必要な知識及び技能を修得したもの
三 職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第六十二条第一項の規定に基づく義肢及び装具の製作に係る技能検定に合格した者(厚生省令で定める者に限る。)で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した義肢装具士養成所において、一年以上義肢装具士として必要な知識及び技能を修得したもの
四 外国の義肢装具の製作適合等に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で義肢装具士の免許に相当する免許を受けた者で、厚生大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定したもの
(試験の無効等)
第十五条 厚生大臣は、試験に関して不正の行為があつた場合には、その不正行為に関係のある者に対しては、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。
2 厚生大臣は、前項の規定による処分を受けた者に対し、期間を定めて試験を受けることができないものとすることができる。
(受験手数料)
第十六条 試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を国に納付しなければならない。
2 前項の受験手数料は、これを納付した者が試験を受けない場合においても、返還しない。
(指定試験機関の指定)
第十七条 厚生大臣は、厚生省令で定めるところにより、その指定する者(以下「指定試験機関」という。)に、試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)を行わせることができる。
2 指定試験機関の指定は、厚生省令で定めるところにより、試験事務を行おうとする者の申請により行う。
3 厚生大臣は、他に指定を受けた者がなく、かつ、前項の申請が次の要件を満たしていると認めるときでなければ、指定試験機関の指定をしてはならない。
一 職員、設備、試験事務の実施の方法その他の事項についての試験事務の実施に関する計画が、試験事務の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
二 前号の試験事務の実施に関する計画の適正かつ確実な実施に必要な経理的及び技術的な基礎を有するものであること。
4 厚生大臣は、第二項の申請が次のいずれかに該当するときは、指定試験機関の指定をしてはならない。
一 申請者が、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人以外の者であること。
二 申請者が、その行う試験事務以外の業務により試験事務を公正に実施することができないおそれがあること。
三 申請者が、第三十条の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であること。
四 申請者の役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。
イ この法律に違反して、刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
ロ 次条第二項の規定による命令により解任され、その解任の日から起算して二年を経過しない者
(指定試験機関の役員の選任及び解任)
第十八条 指定試験機関の役員の選任及び解任は、厚生大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 厚生大臣は、指定試験機関の役員が、この法律(この法律に基づく命令又は処分を含む。)若しくは第二十条第一項に規定する試験事務規程に違反する行為をしたとき、又は試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定試験機関に対し、当該役員の解任を命ずることができる。
(事業計画の認可等)
第十九条 指定試験機関は、毎事業年度、事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあつては、その指定を受けた後遅滞なく)、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定試験機関は、毎事業年度の経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、厚生大臣に提出しなければならない。
(試験事務規程)
第二十条 指定試験機関は、試験事務の関始前に、試験事務の実施に関する規程(以下「試験事務規程」という。)を定め、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 試験事務規程で定めるべき事項は、厚生省令で定める。
3 厚生大臣は、第一項の認可をした試験事務規程が試験事務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、指定試験機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。
(指定試験機関の義肢装具士試験委員)
第二十一条 指定試験機関は、試験の問題の作成及び採点を義肢装具士試験委員(次項から第四項まで、次条及び第二十四条第一項において「試験委員」という。)に行わせなければならない。
2 指定試験機関は、試験委員を選任しようとするときは、厚生省令で定める要件を備える者のうちから選任しなければならない。
3 指定試験機関は、試験委員を選任したときは、厚生省令で定めるところにより、厚生大臣にその旨を届け出なければならない。試験委員に変更があつたときも、同様とする。
4 第十八条第二項の規定は、試験委員の解任について準用する。
第二十二条 試験委員は、試験の問題の作成及び採点について、厳正を保持し不正の行為のないようにしなければならない。
(受験の停止等)
第二十三条 指定試験機関が試験事務を行う場合において、指定試験機関は、試験に関して不正の行為があつたときは、その不正行為に関係のある者に対しては、その受験を停止させることができる。
2 前項に定めるもののほか、指定試験機関が試験事務を行う場合における第十五条及び第十六条第一項の規定の適用については、第十五条第一項中「その受験を停止させ、又はその試験」とあるのは「その試験」と、同条第二項中「前項」とあるのは「前項又は第二十三条第一項」と、第十六条第一項中「国」とあるのは「指定試験機関」とする。
3 前項の規定により読み替えて適用する第十六条第一項の規定により指定試験機関に納められた受験手数料は、指定試験機関の収入とする。
(秘密保持義務等)
第二十四条 指定試験機関の役員若しくは職員(試験委員を含む。次項において同じ。)又はこれらの職にあつた者は、試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 試験事務に従事する指定試験機関の役員又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(帳簿の備付け等)
第二十五条 指定試験機関は、厚生省令で定めるところにより、試験事務に関する事項で厚生省令で定めるものを記載した帳簿を備え、これを保存しなければならない。
(監督命令)
第二十六条 厚生大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定試験機関に対し、試験事務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告)
第二十七条 厚生大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、厚生省令で定めるところにより、指定試験機関に対し、報告をさせることができる。
(立入検査)
第二十八条 厚生大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、指定試験機関の事務所に立ち入り、指定試験機関の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(試験事務の休廃止)
第二十九条 指定試験機関は、厚生大臣の許可を受けなければ、試験事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
(指定の取消し等)
第三十条 厚生大臣は、指定試験機関が第十七条第四項各号(第三号を除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、その指定を取り消さなければならない。
2 厚生大臣は、指定試験機関が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて試験事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第十七条第三項各号の要件を満たさなくなつたと認められるとき。
二 第十八条第二項(第二十一条第四項において準用する場合を含む。)、第二十条第三項又は第二十六条の規定による命令に違反したとき。
三 第十九条、第二十一条第一項から第三項まで又は前条の規定に違反したとき。
四 第二十条第一項の認可を受けた試験事務規程によらないで試験事務を行つたとき。
五 次条第一項の条件に違反したとき。
(指定等の条件)
第三十一条 第十七条第一項、第十八条第一項、第十九条第一項、第二十条第一項又は第二十九条の規定による指定、認可又は許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、当該指定、認可又は許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該指定、認可又は許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。
(聴聞)
第三十二条 厚生大臣は、第三十条の規定による処分をしようとするときは、あらかじめ、その相手方にその処分の理由を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。
(指定試験機関がした処分等に係る不服申立て)
第三十三条 指定試験機関が行う試験事務に係る処分又はその不作為について不服がある者は、厚生大臣に対し、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。
(厚生大臣による試験事務の実施等)
第三十四条 厚生大臣は、指定試験機関の指定をしたときは、試験事務を行わないものとする。
2 厚生大臣は、指定試験機関が第二十九条の規定による許可を受けて試験事務の全部若しくは一部を休止したとき、第三十条第二項の規定により指定試験機関に対し試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は指定試験機関が天災その他の事由により試験事務の全部若しくは一部を実施することが困難となつた場合において必要があると認めるときは、試験事務の全部又は一部を自ら行うものとする。
(公示)
第三十五条 厚生大臣は、次の場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
一 第十七条第一項の規定による指定をしたとき。
二 第二十九条の規定による許可をしたとき。
三 第三十条の規定により指定を取り消し、又は試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき。
四 前条第二項の規定により試験事務の全部若しくは一部を自ら行うこととするとき、又は自ら行つていた試験事務の全部若しくは一部を行わないこととするとき。
(試験の細目等)
第三十六条 この章に定めるもののほか、試験科目、受験手続、試験事務の引継ぎその他試験及び指定試験機関並びに第十四条第一号から第三号までの規定による学校又は義肢装具士養成所の指定に関し必要な事項は、省令で定める。
第四章 業務等
(業務)
第三十七条 義肢装具士は、保健婦助産婦看護婦法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の身体への適合を行うことを業とすることができる。
2 前項の規定は、第八条第二項の規定により義肢装具士の名称の使用の停止を命ぜられている者については、適用しない。
(特定行為の制限)
第三十八条 義肢装具士は、医師の具体的な指示を受けなければ、厚生省令で定める義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の身体への適合を行つてはならない。
(他の医療関係者との連携)
第三十九条 義肢装具士は、その業務を行うに当たつては、医師その他の医療関係者との緊密な連携を図り、適正な医療の確保に努めなければならない。
(秘密を守る義務)
第四十条 義肢装具士は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。義肢装具士でなくなつた後においても、同様とする。
(名称の使用制限)
第四十一条 義肢装具士でない者は、義肢装具士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。
(経過措置)
第四十二条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第五章 罰則
第四十三条 第二十四条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第四十四条 第三十条第二項の規定による試験事務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした指定試験機関の役員又は職員は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第四十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第十三条又は第二十二条の規定に違反して、不正の採点をした者
二 第四十条の規定に違反した者
2 前項第二号の罪は、告訴を待つて論ずる。
第四十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第八条第二項の規定により義肢装具士の名称の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、義肢装具士の名称を使用したもの
二 第三十八条又は第四十一条の規定に違反した者
第四十七条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした指定試験機関の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第二十五条の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつたとき。
二 第二十七条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
三 第二十八条第一項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
四 第二十九条の許可を受けないで試験事務の全部を廃止したとき。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(受験資格の特例)
第二条 義肢装具士として必要な知識及び技能を修得させる学校又は養成所であつて、文部大臣又は厚生大臣が指定したものにおいて、この法律の施行の際現に義肢装具士として必要な知識及び技能の修得を終えている者又はこの法律の施行の際現に義肢装具士として必要な知識及び技能を修得中であり、その修得をこの法律の施行後に終えた者は、第十四条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。
第三条 この法律の施行の際現に病院、診療所その他厚生省令で定める施設において、医師の指示の下に、適法に義肢装具の製作適合等を業として行つている者であつて、次の各号のいずれにも該当するに至つたものは、昭和六十八年三月三十一日までは、第十四条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。
一 厚生大臣が指定した講習会の課程を修了した者
二 病院、診療所その他厚生省令で定める施設において、医師の指示の下に、適法に義肢装具の製作適合等を五年以上業として行つた者
第四条 旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による中等学校を卒業した者又は省令の定めるところによりこれと同等以上の学力があると認められる者は、第十四条第一号の規定の適用については、学校教育法第五十六条第一項の規定により大学に入学することができる者とみなす。
(名称の使用制限に関する経過措置)
第五条 この法律の施行の際現に義肢装具士又はこれに紛らわしい名称を使用している者については、第四十一条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
(登録免許税法の一部改正)
第六条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第一第二十三号(六)イ(3)中「又は」を「、義肢装具士又は」に改める。
(厚生省設置法の一部改正)
第七条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第六条第三十六号の次に次の二号を加える。
三十六の二 義肢装具士の養成所を指定し、義肢装具士の試験を行い、並びに義肢装具士の免許及び登録を行い、並びに免許を取り消し、及び名称の使用の停止を命ずること。
三十六の三 義肢装具士法(昭和六十二年法律第六十一号)の規定に基づき、指定試験機関を指定し、指定試験機関に対し、認可その他監督を行うこと。
大蔵大臣 宮沢喜一
文部大臣 塩川正十郎
厚生大臣 斎藤十朗
内閣総理大臣 中曽根康弘