盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律
法令番号: 法律第144号
公布年月日: 昭和29年6月1日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

学校教育法により盲学校・ろう学校の小中学部が義務教育化されたが、就学状況は低調である。その原因として、障害のある児童生徒の就学・通学・勉学における不便さ、保護者の物心両面の負担、家庭の貧困などが挙げられる。このため、健常児と比べ就学費用が多額となり、保護者の経済的負担が重い。この状況を改善するため、国と地方公共団体が教科書購入費、給食費、通学・帰省の交通費、付添人の交通費、寄宿舎経費などを支援することで、保護者の経済的負担を軽減し、義務教育の普及向上を図ることを目的とする。

参照した発言:
第19回国会 衆議院 文部委員会 第25号

審議経過

第19回国会

参議院
(昭和29年4月6日)
衆議院
(昭和29年4月14日)
参議院
(昭和29年5月18日)
衆議院
(昭和29年5月21日)
(昭和29年5月22日)
参議院
(昭和29年5月25日)
(昭和29年5月26日)
衆議院
(昭和29年6月15日)
参議院
(昭和29年6月15日)
盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年六月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百四十四号
盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律
(この法律の目的)
第一条 この法律は、教育の機会均等の趣旨に則り、かつ、盲学校、ろう学校及び養護学校への就学の特殊事情にかんがみ、国及び地方公共団体がこれらの学校に就学する学齢児童生徒(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第二十三条に規定する「学齢児童」及び同法第三十九条第二項に規定する「学齢生徒」をいう。以下同じ。)について行う必要な援助を規定し、もつて義務教育の普及奨励を図ることを目的とする。
(国及び都道府県の行う就学奨励)
第二条 都道府県は、その区域内に住所を有する学齢児童生徒の盲学校、ろう学校又は養護学校への就学による保護者(学校教育法第二十二条第一項に規定する「保護者」をいう。以下同じ。)の経済的負担を軽減するため、その負担能力の程度に応じ、これらの学校への就学のため必要な経費のうち、左に掲げるものについて、その全部又は一部を支弁しなければならない。但し、国立の盲学校、ろう学校又は養護学校に就学する学齢児童生徒に係る経費については、国が支弁する。
一 教科用図書の購入費
二 学校給食費
三 通学又は帰省に要する交通費及び付添人の付添に要する交通費
四 学校附設の寄宿舎居住に伴う経費
2 前項各号に掲げる経費の範囲、その算定基準その他経費の支弁の基準に関し必要な事項は、政令で定める。
(経費の支給)
第三条 前条の規定により都道府県が支弁する経費は、当該都道府県の教育委員会が、当該学齢児童生徒の就学する学校の校長に対して交付する。
2 前項の規定により経費の交付を受けた校長は、これを、政令の定めるところにより、現物又は金銭をもつて当該学齢児童生徒又はその保護者に対して支給しなければならない。
(国の負担)
第四条 国は、第二条の規定により都道府県が支弁する経費の二分の一を負担する。
(政令への委任)
第五条 前条に規定する負担金の交付の手続その他この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第十条に次の一号を加える。
二十六 盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に要する経費
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 小笠原三九郎
文部大臣 大達茂雄