(損失の補償)
第一条 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基き日本国内及びその附近に配備されたアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍の左に掲げる行為により、従来適法に農業、林業、漁業又は政令で定めるその他の事業を営んでいた者がその事業の経営上損失をこうむつたときは、国がその損失を補償する。
一 防潜網その他の水中工作物の設置若しくは維持、水面の利用上必要な施設であつて政令で定めるものの除去、損壊若しくは変更又は水質の汚毒、障がい物の遺棄その他水面の利用を著しく阻害する行為であつて政令で定めるもの
二 防風施設、防砂施設、防災施設その他農地、牧野若しくは林野等の利用上必要な施設であつて政令で定めるものの除去、損壊若しくは変更又は農地、牧野若しくは林野等の利用を著しく阻害する行為であつて政令で定めるもの
2 前項の規定は、他の法律により国が損害賠償又は損失補償の責に任ずべき損失については、適用しない。
3 第一項の規定により補償する損失は、通常生ずべき損失とする。
(損失補償の申請)
第二条 前条の規定による損失の補償を受けようとする者は、総理府令の定めるところにより、その者の住所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して、損失補償申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の申請書を受理したときは、その意見を記載した書面を当該申請書に添えて、これを内閣総理大臣に送付しなければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の書類を受理したときは、補償すべき損失の有無及び損失を補償すべき場合には、補償の額を決定し、遅滞なくこれを都道府県知事を経由して当該申請者に通知しなければならない。
(異議の申立)
第三条 前条第三項の規定による決定に不服がある者は、同項の通知を受けた日から三十日以内に、総理府令で定める手続に従い、内閣総理大臣に対して異議の申立をすることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による申立があつたときは、その申立のあつた日から三十日以内にこれについて決定し、これを申立人に通知しなければならない。
(補償金の交付)
第四条 政府は、前条第一項の規定による異議の申立がないときは、同項の期間の満了の日から三十日以内に、同項の規定による異議の申立があつた場合において同条第二項の規定による決定があつたときは、同項の通知の日から三十日以内に、補償を受けるべき者に対し、当該補償金を交付する。
(増額請求の訴)
第五条 この法律により決定された補償金の額に不服がある者は、その決定の通知を受けた日から九十日以内に、訴をもつてその増額を請求することができる。