消防施設強化促進法
法令番号: 法律第87号
公布年月日: 昭和28年7月27日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

消防組織法制定後、市町村の消防費用に対する補助金は法定化されておらず、市町村の財政状態も窮迫していたため、消防施設は劣弱な状態が続いていた。一方で火災による損害は年々増加し、昭和27年には火災件数2万2千余件、焼失坪数約72万坪、損害見積額386億円に達している。このような状況を踏まえ、消防施設を購入・設置しようとする市町村に対し、国が費用の一部を補助することで、消防施設の整備促進と火災による損害の軽減を図るため、本法案を提出するものである。補助対象は消防用の機械器具及び設備とし、内閣総理大臣が定める基準額の3分の1以内を予算の範囲内で補助する。

参照した発言:
第16回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号

審議経過

第16回国会

参議院
(昭和28年6月18日)
衆議院
(昭和28年6月23日)
(昭和28年6月26日)
(昭和28年7月2日)
(昭和28年7月4日)
(昭和28年7月6日)
(昭和28年7月7日)
参議院
(昭和28年7月8日)
(昭和28年7月13日)
(昭和28年7月15日)
(昭和28年7月17日)
衆議院
(昭和28年8月10日)
参議院
(昭和28年8月10日)
消防施設強化促進法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年七月二十七日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第八十七号
消防施設強化促進法
(目的)
第一条 この法律は、市町村の消防の用に供する施設の強化を促進し、もつて社会公共の福祉を増進することに寄与することを目的とする。
(国の補助)
第二条 国は、消防の用に供する施設(以下「消防施設」という。)を購入し、又は設置しようとする市町村に対し、その費用の一部を補助することができる。
(補助の対象)
第三条 この法律の規定により国が補助を行うことができる消防施設は、消防の用に供する機械器具及び設備で政令で定めるものとする。
(基準額及び補助率)
第四条 前条の規定により国が行う補助は、予算の範囲内で、基準額の三分の一以内とする。
2 前項の基準額は、消防施設の種類及び規格ごとに、内閣総理大臣が定める。
(補助の申請)
第五条 市町村長は、当該市町村が購入し、又は設置しようとする消防施設に要する費用について国の補助を受けようとする場合においては、総理府令で定めるところにより、当該市町村を包括する都道府県の知事を経由して、内閣総理大臣に補助金の交付申請書を提出しなければならない。この場合において、当該都道府県知事は、必要な意見を附することができる。
(補助金の交付の取消、停止等)
第六条 内閣総理大臣は、市町村に対して補助金を交付する場合において、左の各号の一に該当する事由があるときは、当該市町村に対して、補助金の全部若しくは一部の交付を取り消し、その交付を停止し、又は交付した補助金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。
一 正当な理由がなくて、消防施設の購入又は設置の全部又は一部を行わないこととなつたとき。
二 補助金を補助の目的以外に使用したとき。
2 前項の規定により内閣総理大臣が補助金の交付の取消若しくは停止又は交付した補助金の返還を命じようとする場合においては、あらかじめ、当該市町村長に対し、釈明のため意見を述ベ、及び当該市町村のため有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
(監督)
第七条 内閣総理大臣は、補助金の交付の目的を最もよく達成するため、必要があると認めるときは、その目的を達成するのに必要な限度において、補助金の交付を受ける市町村の長に対して、報告書の提出を命じ、又は部下の職員をして当該補助に係る消防施設を実地検査させることができる。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
内閣総理大臣 吉田茂