(目的及び法人格)
第十三條 特別鉱害復旧公社(以下「復旧公社」という。)は、国及び地方公共団体の負担とならない復旧工事に要する費用の供給を確保し、石炭鉱業による特別の鉱害の急速且つ計画的な復旧に資するためにこの法律に基き設立される公法上の法人とする。
(事務所)
第十四條 復旧公社は、主たる事務所を福岡市に置く。
2 復旧公社は、通商産業大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(定款)
第十五條 復旧公社は、定款をもって左の事項を規定しなければならない。
2 定款は、通商産業大臣の認可を受けて、変更することができる。
(登記)
第十六條 復旧公社は、主たる事務所の変更、従たる事務所の新設その他政令で定める事項について、政令で定める手続により、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(非課税)
第十七條 復旧公社には、所得税及び法人税を課さない。
(民法の準用)
第十八條 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四條(法人の不法行為能力)、第五十條(法人の住所)、第五十四條(代表権の制限)及び第五十七條(法人と理事との利益が反する場合)の規定は、復旧公社に準用する。この場合においては、同法第五十七條中「此場合ニ於テハ前條ノ規定ニ依リテ特別代理人ヲ選任スルコトヲ要ス」とあるのは「此場合ニ於テハ監事法人ヲ代表ス」と読み替えるものとする。
(役員)
第十九條 復旧公社に、役員として、理事長一人並びに理事及び監事各一人以上を置く。
2 理事長は、復旧公社を代表し、その業務を総理する。
3 理事は、定款の定めるところにより、復旧公社を代表し、理事長を補佐して復旧公社の業務を執行し、理事長に事故があるときは、その職務を行う。
(役員の任命)
第二十條 理事長、理事及び監事は、通商産業大臣が任命する。
(代理人の選任)
第二十一條 理事長及び理事は、定款の定めるところにより、主たる事務所又は従たる事務所の業務に関し、一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(業務)
第二十二條 復旧公社は、第十三條の目的を達成するため、左の業務を行う。
二 復旧工事の施行者に対する工事に要する費用の支拂
三 前二号の業務の外、石炭鉱業による特別の鉱害の復旧に必要な金銭の出納
四 復旧公社が復旧工事の施行者として定められた場合において、その復旧工事の施行
2 復旧公社は、前項の業務の外、通商産業大臣の認可を受けて、その目的を達成するため必要な業務を行うことができる。
(役員及び職員の地位)
第二十三條 復旧公社の役員及び職員(常時復旧公社に勤務して一定の報酬を受ける職員であつて、二箇月以内の期間を定めて雇用される者以外の者をいう。以下同じ。)は、国家公務員とする。
2 復旧公社の役員及び職員は、通商産業大臣が通商産業省の職員のうちから兼ねて任命することができる。
3 通商産業省の職員のうちから兼ねて任命された復旧公社の役員及び職員は、復旧公社から復旧公社の役員又は職員としての報酬を受けない。
(復旧公社に対する納付金)
第二十四條 石炭を目的とする鉱業権者であつてその事業場の中に特別鉱害に係る事業場を有している者(特別鉱害が二以上の鉱区の二人以上の鉱業権者の作業のうちいずれによつて生じたかを知ることができないときは、第三條第三項の規定により指定された全部の鉱業権者を、特別鉱害に係る鉱業権の全部が消滅しているときは、その特別鉱害に関する被指定者を含む。)は、復旧公社がその業務を行うのに要する費用に充てるため、一定の金額を通商産業大臣の定める期日までに復旧公社に納付しなければならない。
2 前項の一定の金額は、第一号及び第二号の事業場を有する納付義務者については、第一号及び第二号の金額を合算した金額とし、第一号の事業場のみを有する納付義務者については、同号の金額とする。但し、被指定者の鉱業権が消滅しているとき、被指定者が現に石炭を掘採していないとき、その他被指定者についてこの算定方法により同項の一定の金額を定めることが適当でないときは、通商産業大臣は、当該特別鉱害の復旧工事に要する費用の二分の一をこえない範囲内において、当該特別鉱害の発生原因、被指定者の資力その他の事情を考慮して、その額を定めることができる。
一 石炭一トンにつき二十円をこえない範囲内において通商産業大臣が定める金額に、納付義務者が昭和二十四年九月十六日以降における通商産業大臣の定める一定期間ごとに当該特別鉱害に係る事業場において掘採した石炭の数量を乘じて得た金額
二 石炭一トンにつき十円をこえない範囲内において通商産業大臣が定める金額に、納付義務者が昭和二十四年九月十六日以降における通商産業大臣の定める一定期間ごとに前号の事業場以外の事業場において掘採した石炭の数量を乘じて得た金額
3 掘採した石炭が低品位であるとき、その他特別の事情がある場合において、前二項の規定により一定の金額を納付させることが著しく不適当であるときは、通商産業大臣は、命令で定める基準に従い、第一項に規定する納付義務者に対し、同項の規定による納付義務を免除し、又は前二項の規定により納付する金額を減額することができる。
4 通商産業大臣は、第二項各号の規定により石炭一トン当りの金額を定め、又は同項但書の規定により第一項の一定の金額を定めたときは、遅滯なくその旨を公告しなければならない。
(被指定者がその者の負担において復旧工事の施行者となる場合)
第二十五條 前條第一項に規定する納付義務者は、その者が同條第二項の規定により納付すべき金額の総額が、その者に係る特別鉱害の復旧工事に要する費用の総額から国及び地方公共団体の負担となる費用並びに第十一條第一項但書に規定する者の負担となるべき費用を控除した額に相当する金額をこえるときは、当該特別鉱害の復旧工事(国若しくは地方公共団体又は日本国有鉄道が復旧工事に要する費用の全部又は一部を負担すべき場合においては、その復旧工事を除く。)について、その工事計画及び工事の完了の時期につき通商産業大臣の認可を受け、その者の負担(第十一條第一項但書の規定により費用の全部又は一部を負担する者があるときは、その費用については、その者の負担)において、当該復旧工事の施行者となることができる。
2 前項の規定の適用については、納付義務者が前條第二項本文の規定により納付すべき金額の総額は、その者が、同項第一号の事業場又は同項第二号の事業場において、それぞれ、昭和二十四年九月十六日からこの法律施行後五年を経過する時までに、その者が同項第一号の事業場又は同項第二号の事業場において昭和二十四年中に掘採した石炭の数量のそれぞれ五・五倍の数量の石炭を掘採するものとみなし、同項本文の規定を適用して算出した金額とする。
3 第一項の認可の申請は、当該納付義務者の納付すべき金額に係る前條第四項の規定による公告があつた日から六十日以内にしなければならない。
4 第六條第二項から第五項まで及び第七條から第九條までの規定は、第一項の認可の申請に関し準用する。この場合においては、これらの規定中「主務大臣」とあるのは「通商産業大臣」と読み替えるものとする。
5 第一項の認可を受けた者については、その者に係る特別鉱害の復旧工事に要する費用から、国及び地方公共団体の負担となる費用、その者が同項の規定により施行する復旧工事に要すべき費用並びに第十一條第一項但書に規定する者の負担となるべき費用を控除した額に相当する金額をもつて、前條第一項の一定の金額とする。
6 第四項において準用する第八條第二項の規定による取消があつたときは、前項の規定は、その適用がなかつたものとみなす。この場合においては、当該施行者が既に支出し、又は支出すべき金額のうち、通商産業大臣が、第四項において準用する第八條第一項の規定に従つて施行された工事に要したものと認めた金額は、前條の規定により納付すべき金額から控除する。
7 第四項において準用する第九條の規定による工事の施行の承継があつたときは、その承継人は、当該工事に関し、被承継人の権利義務を承継する。
(復旧公社に対する寄附金)
第二十六條 復旧公社は、復旧公社の負担となる復旧工事に要する費用に充てるため、地方公共団体、石炭を目的とする鉱業権者その他の者から寄附金を受けることができる。
(復旧公社の復旧費の支拂義務)
第二十七條 復旧公社は、第六條第一項の認可を受けた復旧工事の施行者から、その復旧工事に要する費用のうち、通商産業大臣の定める毎一定期間内に施行する工事に要する費用であつて、第十一條第一項の規定により復旧公社の負担となるものにつき、支拂の請求があつたときは、その金額を支拂わなければならない。
(復旧公社に対する返納金)
第二十八條 第八條第二項の規定による取消があつたときは、当該施行者は、復旧公社から前條の規定により既に支拂を受けた金額のうち、主務大臣が第八條第一項の規定に従つて施行された工事に要したもの以外のものと認めた金額を復旧公社に返納しなければならない。
(強制徴收権)
第二十九條 第十一條第二項に規定する利益を受ける者が同項の規定により主務大臣の定める金額を納付しないとき、鉱業権者若しくは被指定者が第二十四條第一項の一定の金額を納付しないとき、又は前條に規定する復旧工事の施行者が同條の規定により返納すべき金額を返納しないときは、市町村(特別区のある地においては特別区。以下同じ。)は、復旧公社の請求により、地方税の滯納処分の例によつてこれを処分する。この場合は、復旧公社は、その徴收金額の百分の四を市町村に交付しなければならない。
2 市町村が前項の請求を受けた日から三十日以内にその処分に着手せず、又は九十日以内にこれを終了しないときは、復旧公社は、地方税の滯納処分の例により、通商産業大臣の認可を受けて、その処分をすることができる。
3 前項の規定による徴收金の先取特権の順位は、特別区税又は市町村税に次ぐものとし、その時効については、市町村税の例による。
(事業年度)
第三十條 復旧公社の事業年度は、毎年四月に始まり、翌年三月に終る。
(財産目録等の承認)
第三十二條 復旧公社は、毎事業年度に、財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、当該事業年度経過後二箇月以内に、これを通商産業大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
(監督命令)
第三十三條 通商産業大臣は、復旧公社に対し、監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第三十四條 通商産業大臣は、必要があると認めるときは、復旧公社から報告をさせ、又は当該職員に復旧公社の業務及び財産の状況を検査させることができる。
2 前項の規定により検査をする職員は、その身分を示す証票を携帶し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。