朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル著作權ニ關スル仲介業務ニ關スル法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月四日
內閣總理大臣 男爵 平沼騏一郞
內務大臣 侯爵 木戶幸一
法律第六十七號
第一條 本法ニ於テ著作權ニ關スル仲介業務ト稱スルハ著作物ノ出版、翻譯、興行、放送、映畫化、寫調其ノ他ノ方法ニ依ル利用ニ關スル契約ニ付著作權者ノ爲ニ代理又ハ媒介ヲ業トシテ爲スヲ謂フ
著作權ノ移轉ヲ受ケ他人ノ爲ニ一定ノ目的ニ從ヒ著作物ヲ管理スルノ行爲ヲ業トシテ爲スハ之ヲ著作權ニ關スル仲介業務ト看做ス
前二項ノ著作物ノ範圍ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條 著作權ニ關スル仲介業務ヲ爲サントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ業務ノ範圍及業務執行ノ方法ヲ定メ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第三條 前條ノ許可ヲ受ケタル者(以下仲介人ト稱ス)ハ命令ノ定ムル所ニ依リ著作物使用料規程ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
前項ノ認可ノ申請アリタルトキハ主務大臣ハ其ノ要領ヲ公吿ス
出版ヲ業トスル者ノ組織スル團體、興行ヲ業トスル者ノ組織スル團體其ノ他命令ヲ以テ定ムル者ハ前項ノ要領ニ付公吿ノ日ヨリ一月以內ニ主務大臣ニ意見ヲ具申スルコトヲ得
主務大臣第一項ノ認可ヲ爲サントスルトキハ公吿ノ日ヨリ一月ヲ經過シタル後著作權審査會ニ諮問スベシ前項ノ規定ニ依リ意見ノ具申アリタルトキハ著作權審査會ニ之ヲ提出スルコトヲ要ス
第四條 仲介人ハ業務ノ範圍又ハ業務執行ノ方法ヲ變更セントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第五條 仲介人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ業務報吿書及會計報吿書ヲ主務大臣ニ提出スベシ
第六條 主務大臣ハ何時ニテモ仲介人ヲシテ其ノ業務ニ關スル報吿ヲ爲サシメ又ハ其ノ帳簿書類ヲ提出セシムルコトヲ得
第七條 主務大臣ハ何時ニテモ當該官吏ヲシテ仲介人ノ事務所其ノ他ノ場所ニ臨檢シ其ノ業務及財產ノ狀況ヲ檢査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第八條 主務大臣ハ仲介人ノ業務又ハ財產ノ狀況ニ依リ必要ト認ムルトキハ業務執行ノ方法ノ變更ヲ命ジ其ノ他必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第九條 仲介人本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキ又ハ其ノ業務ニ關シ公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ第二條ノ許可ヲ取消シ又ハ其ノ業務ヲ停止シ若ハ制限スルコトヲ得
第十條 第二條ノ規定ニ依ル許可ヲ受ケズシテ著作權ニ關スル仲介業務ヲ爲シタル者ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十一條 仲介人左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第二條又ハ第四條ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル業務ノ範圍ヲ超エ業務ヲ爲シタルトキ
二 第九條ノ規定ニ依ル業務ノ停止又ハ制限ニ違反シタルトキ
第十二條 仲介人左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第二條又ハ第四條ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル業務ノ執行方法ニ依ラズシテ業務ヲ爲シタルトキ
二 第三條第一項ノ規定ニ依リ認可ヲ受ケタル著作物使用料規程ニ依ラズシテ業務ヲ爲シタルトキ
三 第五條ノ規定ニ依ル業務報吿書若ハ會計報吿書ヲ提出セズ又ハ之ニ虛僞ノ記載ヲ爲シタルトキ
四 第六條ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シ又ハ帳簿書類ヲ提出セザルトキ
五 第八條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタルトキ
第十三條 第七條ノ規定ニ依ル臨檢檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十四條 法人又ハ人ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第十條乃至第十二條ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十五條 第十條乃至第十二條ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ著作權ニ關スル仲介業務ヲ爲ス者又ハ其ノ業務ヲ承繼シタル者ハ本法施行ノ日ヨリ三月ヲ限リ第二條ノ規定ニ拘ラズ其ノ業務ヲ爲スコトヲ得
前項ニ揭グル者前項ノ期間內ニ第二條ノ許可ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ニ對スル許可又ハ不許可ノ處分ノ日迄亦前項ニ同ジ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月四日
内閣総理大臣 男爵 平沼騏一郎
内務大臣 侯爵 木戸幸一
法律第六十七号
第一条 本法ニ於テ著作権ニ関スル仲介業務ト称スルハ著作物ノ出版、翻訳、興行、放送、映画化、写調其ノ他ノ方法ニ依ル利用ニ関スル契約ニ付著作権者ノ為ニ代理又ハ媒介ヲ業トシテ為スヲ謂フ
著作権ノ移転ヲ受ケ他人ノ為ニ一定ノ目的ニ従ヒ著作物ヲ管理スルノ行為ヲ業トシテ為スハ之ヲ著作権ニ関スル仲介業務ト看做ス
前二項ノ著作物ノ範囲ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二条 著作権ニ関スル仲介業務ヲ為サントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ業務ノ範囲及業務執行ノ方法ヲ定メ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第三条 前条ノ許可ヲ受ケタル者(以下仲介人ト称ス)ハ命令ノ定ムル所ニ依リ著作物使用料規程ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ヲ変更セントスルトキ亦同ジ
前項ノ認可ノ申請アリタルトキハ主務大臣ハ其ノ要領ヲ公告ス
出版ヲ業トスル者ノ組織スル団体、興行ヲ業トスル者ノ組織スル団体其ノ他命令ヲ以テ定ムル者ハ前項ノ要領ニ付公告ノ日ヨリ一月以内ニ主務大臣ニ意見ヲ具申スルコトヲ得
主務大臣第一項ノ認可ヲ為サントスルトキハ公告ノ日ヨリ一月ヲ経過シタル後著作権審査会ニ諮問スベシ前項ノ規定ニ依リ意見ノ具申アリタルトキハ著作権審査会ニ之ヲ提出スルコトヲ要ス
第四条 仲介人ハ業務ノ範囲又ハ業務執行ノ方法ヲ変更セントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第五条 仲介人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ業務報告書及会計報告書ヲ主務大臣ニ提出スベシ
第六条 主務大臣ハ何時ニテモ仲介人ヲシテ其ノ業務ニ関スル報告ヲ為サシメ又ハ其ノ帳簿書類ヲ提出セシムルコトヲ得
第七条 主務大臣ハ何時ニテモ当該官吏ヲシテ仲介人ノ事務所其ノ他ノ場所ニ臨検シ其ノ業務及財産ノ状況ヲ検査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第八条 主務大臣ハ仲介人ノ業務又ハ財産ノ状況ニ依リ必要ト認ムルトキハ業務執行ノ方法ノ変更ヲ命ジ其ノ他必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第九条 仲介人本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキ又ハ其ノ業務ニ関シ公益ヲ害スル行為ヲ為シタルトキハ主務大臣ハ第二条ノ許可ヲ取消シ又ハ其ノ業務ヲ停止シ若ハ制限スルコトヲ得
第十条 第二条ノ規定ニ依ル許可ヲ受ケズシテ著作権ニ関スル仲介業務ヲ為シタル者ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス
第十一条 仲介人左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ千円以下ノ罰金ニ処ス
一 第二条又ハ第四条ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル業務ノ範囲ヲ超エ業務ヲ為シタルトキ
二 第九条ノ規定ニ依ル業務ノ停止又ハ制限ニ違反シタルトキ
第十二条 仲介人左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
一 第二条又ハ第四条ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル業務ノ執行方法ニ依ラズシテ業務ヲ為シタルトキ
二 第三条第一項ノ規定ニ依リ認可ヲ受ケタル著作物使用料規程ニ依ラズシテ業務ヲ為シタルトキ
三 第五条ノ規定ニ依ル業務報告書若ハ会計報告書ヲ提出セズ又ハ之ニ虚偽ノ記載ヲ為シタルトキ
四 第六条ノ規定ニ依ル報告ヲ為サズ若ハ虚偽ノ報告ヲ為シ又ハ帳簿書類ヲ提出セザルトキ
五 第八条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタルトキ
第十三条 第七条ノ規定ニ依ル臨検検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
第十四条 法人又ハ人ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ第十条乃至第十二条ノ違反行為ヲ為シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十五条 第十条乃至第十二条ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ著作権ニ関スル仲介業務ヲ為ス者又ハ其ノ業務ヲ承継シタル者ハ本法施行ノ日ヨリ三月ヲ限リ第二条ノ規定ニ拘ラズ其ノ業務ヲ為スコトヲ得
前項ニ掲グル者前項ノ期間内ニ第二条ノ許可ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ニ対スル許可又ハ不許可ノ処分ノ日迄亦前項ニ同ジ