第六十二條 刑事訴訟手續ハ高等法院ニ於テハ刑事訴訟法中控訴裁判所ニ關スル規定ニ依リ地方法院ニ於テハ同法中地方裁判所及區裁判所ニ關スル規定ニ依ル
第六十三條 法院ハ被告人カ其ノ法院ノ管轄區域內ニ在ラサルトキハ決定ヲ以テ事件ヲ被告人ノ所在地ヲ管轄スル同等ノ法院ニ移送スルコトヲ得
第六十四條 官吏公吏ノ作ルヘキ書類ニシテ刑事訴訟法第二十條、第二十一條其ノ他同法規定ノ形式ニ瑕疵アルモノニ付テハ當該吏員ヲシテ之ヲ補正セシメ有效ナラシムルコトヲ得
前項ノ補正ヲ爲シタルトキハ其ノ年月日、場所及補正事項ヲ附記シテ署名捺印スヘシ
第六十五條 檢事ノ職務ヲ行フ者ハ現行犯ニ非スト雖犯罪搜査ノ結果被告事件急速ノ處分ヲ要スルモノト思料シタルトキハ公訴ノ提起前ニ限リ勾引狀ヲ發シ又ハ司法警察官ヲシテ之ヲ發セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ禁錮以上ノ刑ニ該ルモノト思料シタルトキハ檢事ノ職務ヲ行フ者ハ勾留狀ヲ發シ檢證、搜索、差押ヲ爲シ證人ヲ訊問シ若ハ鑑定ヲ命シ又ハ司法警察官ヲシテ之ヲ爲サシムルコトヲ得但シ宣誓ヲ爲サシメ又ハ罰金若ハ科料及費用賠償ノ言渡ヲ爲スコトヲ得ス
前項ノ規定ニ依リ被告人ヲ勾留シタル後二十日以內ニ起訴セサルトキハ之ヲ釋放スヘシ
第六十六條 檢事ノ職務ヲ行フ者犯罪ノ搜査ヲ終リ有罪ト思料シタルトキハ公判ヲ請求スルニ依リテ公訴ヲ提起スヘシ
第六十七條 刑事訴訟法ニ依リ市町村長ノ立會ヲ要スル場合ニ於テハ相當ノ者二人以上ノ立會アルヲ以テ足ル
第六十八條 法院ハ法院所在地外ニ於テ證據蒐集ヲ爲スヘキ場合ニ於テ司法警察官ニ檢證、搜索若ハ差押ノ處分ヲ爲サシメ又ハ證人ヲ訊問シ若ハ鑑定ヲ命セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ司法警察官ハ罰金若ハ科料及費用賠償ノ言渡ヲ爲シ又ハ宣誓ヲ爲サシムルコトヲ得ス
第六十九條 法院ハ公判期日外ト雖檢證、搜索、差押ヲ爲シ證人ヲ訊問シ又ハ鑑定ヲ命スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ檢事ノ職務ヲ行フ者其ノ他訴訟關係人ノ立會ヲ要セス
第七十條 受命判事又ハ受託判事ハ臨檢ヲ爲シタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ法院ノ決定ヲ俟タス搜索、差押ヲ爲シ被告人若ハ證人ヲ訊問シ又ハ鑑定ヲ命スルコトヲ得
第七十一條 被告人、證人若ハ鑑定人ヨリ期日ニ出頭スヘキ旨ノ書面ヲ差出シ又ハ出頭シタル被告人、證人若ハ鑑定人ニ對シ口頭ヲ以テ次囘ノ出頭ヲ命シタルトキハ呼出狀ヲ送達シタルト同一ノ效力ヲ生ス口頭ヲ以テ出頭ヲ命シタル場合ニ於テハ其ノ旨ヲ公判始末書ニ記載スヘシ
第七十二條 刑事訴訟法第二百三十七條及第二百六十四條第三項ノ規定ハ之ヲ適用セス但シ法院ハ被告人又ハ被告事件ノ模樣ニ因リ職權ヲ以テ辯護人ヲ附スルコトヲ得
第七十三條 一年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ三百圓以下ノ罰金ヲ言渡シタル第一審ノ判決ニ付テハ證據ニ關スル理由ヲ省略スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ控訴ノ申立アリタルトキハ判決ヲ爲シタル法院ハ理由書ヲ作成シテ之ヲ控訴法院ニ送付スヘシ
第七十四條 辯論終結ノ後ハ被告人出頭セスト雖對席トシテ判決ヲ言渡スヘシ
第七十五條 罰金以下ノ刑ニ該ルヘキ被告人呼出狀ヲ受取リ、期日ニ出頭スヘキ旨ノ書面ヲ差出シ又ハ口頭ニテ出頭ヲ命セラレタルモ本人又ハ代人出頭セサル爲闕席判決ヲ受ケタルトキハ故障ヲ申立ツルコトヲ得ス
第七十六條 前二條ノ場合ニ於テハ判決書ニ控訴期間ヲ記載シ職權ヲ以テ其ノ正本ヲ送達スヘシ
控訴期間ハ判決正本ノ送達アリタル日ヨリ之ヲ起算ス控訴期間ノ記載ナキトキハ更ニ其ノ通知アル迄控訴期間ノ經過ヲ停止ス
控訴抛棄ノ申立ハ原判決ヲ爲シタル法院ニ之ヲ爲スヘシ
控訴取下ノ申立ハ控訴法院ニ之ヲ爲スヘシ訴訟記錄ヲ控訴法院又ハ控訴法院檢事ニ送付スル前控訴ノ取下ヲ爲ス場合ニ於テハ其ノ申立書ヲ原判決ヲ爲シタル法院ニ差出スコトヲ得
第七十九條 控訴ノ抛棄及取下ハ書面ヲ以テ之ヲ爲スヘシ但シ公判廷ニ於テハ口頭ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ申立ヲ公判始末書ニ記載スヘシ
第八十條 控訴ノ抛棄又ハ取下ヲ爲シタル者ハ其ノ事件ニ付更ニ控訴ヲ爲スコトヲ得ス
第八十一條 辯護人ハ被告人ノ同意ヲ得スシテ控訴ヲ爲スコトヲ得ス
第八十二條 刑事訴訟法第二百六十九條ノ場合ヲ除クノ外訴訟手續法令ニ違反シタルコトアリト雖判決ニ影響ヲ及ホササルトキハ之ヲ以テ控訴ノ理由ト爲スコトヲ得ス
第八十三條 再審ノ訴及非常上告ニ關シテハ高等法院ヲ以テ管轄法院トス
高等法院ハ再審ノ訴ニ付其ノ原由アルコトヲ認メタルトキハ原判決ヲ破毀シ直ニ其ノ事件ノ公訴及私訴ニ付判決ヲ爲スヘシ
第八十四條 差押物件ノ還付ヲ受クヘキ者ノ所在不明ナル爲又ハ其ノ他ノ事由ニ因リ其ノ物件ヲ還付スルコト能ハサル場合ニ於テハ檢事ハ其ノ旨ヲ公告スヘシ
公告ヲ爲シタル時ヨリ六月內ニ還付ノ請求ナキトキハ其ノ物件ハ國庫ニ歸屬ス
前項ノ期間內ト雖價値ナキ物件ハ之ヲ廢棄シ保管ニ不便ナル物件ハ之ヲ公賣シテ其ノ代金ヲ保管スルコトヲ得