朕公立學校職員分限令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正四年一月二十六日
內閣總理大臣 伯爵 大隈重信
文部大臣 法學博士 一木喜德郞
勅令第三號
公立學校職員分限令
第一條 本令ハ公立ノ專門學校師範學校中學校高等女學校及實業學校ノ職員ニシテ奏任文官又ハ判任文官ト同一ノ待遇ヲ受クル者ニ適用ス
第二條 公立學校職員ハ勅令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外本令ニ依ルニ非サレハ其ノ職ヲ免セラルルコトナシ
第三條 公立學校職員左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ其ノ職ヲ免スルコトヲ得
一 不具、廢疾ニ因リ又ハ身體若ハ精神ノ衰弱ニ因リ職務ヲ執ルニ堪ヘサルトキ
二 傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リ其ノ職ニ堪ヘサルニ因リ又ハ自己ノ便宜ニ因リ免職ヲ願出テタルトキ
三 學校編制ノ變更ニ因リ過員ヲ生シタルトキ
前項第一號ノ規定ニ依リ其ノ職ヲ免スルトキハ奏任文官ト同一ノ待遇ヲ受クル者ニ在リテハ文官高等懲戒委員會、判任文官ト同一ノ待遇ヲ受クル者ニ在リテハ文官普通懲戒委員會ノ審査ニ付ス
第四條 公立學校職員ハ廢職若ハ廢校ノ場合又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル場合ニ於テハ當然退職者トス
第五條 第八條第一項第三號乃至第五號ノ規定ニ依リ休職ヲ命セラレ又ハ第八條第二項ノ規定ニ依リ休職ト爲リ滿期ニ至リタルトキハ當然退職者トス
第六條 公立學校職員ハ其ノ意ニ反シテ待遇ヲ下シ又ハ俸給ヲ減セラルルコトナシ
第七條 文官分限令第九條及第十條ノ規定ハ公立學校職員ニ關シ之ヲ準用ス
第八條 公立學校職員左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ休職ヲ命スルコトヲ得
一 懲戒事件ニ關シ懲戒委員會ノ審査ニ付セラレタルトキ
二 刑事事件ニ關シ吿訴又ハ吿發セラレタルトキ
三 學校編制ノ變更其ノ他ノ事由ニ因リ過員ヲ生シタルトキ
四 敎員養成ヲ目的トスル官立府縣立ノ學校ニ入學スルトキ
五 敎育上又ハ事務上必要ナルトキ
公立學校職員ニシテ陸海軍現役ニ服シ又ハ戰時事變ニ際シ召集セラレタル者ハ當然休職者トス但シ師範學校訓導ニシテ陸軍六週間現役ニ服スル者ハ此ノ限ニ在ラス
第九條 休職ノ期間ハ前條第一項第一號及第二號ノ場合ニ在リテハ其ノ事件ノ懲戒委員會又ハ裁判所ニ繫屬中トシ第三號及第五號ノ場合ニ在リテハ奏任文官ト同一ノ待遇ヲ受クル者ニ付テハ二年、判任文官ト同一ノ待遇ヲ受クル者ニ付テハ一年トシ第四號及前條第二項ノ場合ニ在リテハ其ノ事故止ミタル後尙ホ三月トス
第十條 休職者ハ職務ニ從事セス及俸給ヲ減セラレ又ハ之ヲ受ケサルノ外總テ在職者ト異ナルコトナシ
第十一條 休職ハ奏任文官ト同一ノ待遇ヲ受クル者ニ在リテハ內閣總理大臣ノ認可ヲ經テ文部大臣之ヲ命シ判任文官ト同一ノ待遇ヲ受クル者ニ在リテハ地方長官之ヲ命ス其ノ復職ヲ命スルトキ亦同シ
附 則
明治二十七年勅令第百四十一號ハ之ヲ廢止ス
本令施行ノ際休職中ノ者ニ關シテハ仍舊令ニ依ル
朕公立学校職員分限令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正四年一月二十六日
内閣総理大臣 伯爵 大隈重信
文部大臣 法学博士 一木喜徳郎
勅令第三号
公立学校職員分限令
第一条 本令ハ公立ノ専門学校師範学校中学校高等女学校及実業学校ノ職員ニシテ奏任文官又ハ判任文官ト同一ノ待遇ヲ受クル者ニ適用ス
第二条 公立学校職員ハ勅令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外本令ニ依ルニ非サレハ其ノ職ヲ免セラルルコトナシ
第三条 公立学校職員左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ其ノ職ヲ免スルコトヲ得
一 不具、廃疾ニ因リ又ハ身体若ハ精神ノ衰弱ニ因リ職務ヲ執ルニ堪ヘサルトキ
二 傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リ其ノ職ニ堪ヘサルニ因リ又ハ自己ノ便宜ニ因リ免職ヲ願出テタルトキ
三 学校編制ノ変更ニ因リ過員ヲ生シタルトキ
前項第一号ノ規定ニ依リ其ノ職ヲ免スルトキハ奏任文官ト同一ノ待遇ヲ受クル者ニ在リテハ文官高等懲戒委員会、判任文官ト同一ノ待遇ヲ受クル者ニ在リテハ文官普通懲戒委員会ノ審査ニ付ス
第四条 公立学校職員ハ廃職若ハ廃校ノ場合又ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル場合ニ於テハ当然退職者トス
第五条 第八条第一項第三号乃至第五号ノ規定ニ依リ休職ヲ命セラレ又ハ第八条第二項ノ規定ニ依リ休職ト為リ満期ニ至リタルトキハ当然退職者トス
第六条 公立学校職員ハ其ノ意ニ反シテ待遇ヲ下シ又ハ俸給ヲ減セラルルコトナシ
第七条 文官分限令第九条及第十条ノ規定ハ公立学校職員ニ関シ之ヲ準用ス
第八条 公立学校職員左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ休職ヲ命スルコトヲ得
一 懲戒事件ニ関シ懲戒委員会ノ審査ニ付セラレタルトキ
二 刑事事件ニ関シ告訴又ハ告発セラレタルトキ
三 学校編制ノ変更其ノ他ノ事由ニ因リ過員ヲ生シタルトキ
四 教員養成ヲ目的トスル官立府県立ノ学校ニ入学スルトキ
五 教育上又ハ事務上必要ナルトキ
公立学校職員ニシテ陸海軍現役ニ服シ又ハ戦時事変ニ際シ召集セラレタル者ハ当然休職者トス但シ師範学校訓導ニシテ陸軍六週間現役ニ服スル者ハ此ノ限ニ在ラス
第九条 休職ノ期間ハ前条第一項第一号及第二号ノ場合ニ在リテハ其ノ事件ノ懲戒委員会又ハ裁判所ニ繋属中トシ第三号及第五号ノ場合ニ在リテハ奏任文官ト同一ノ待遇ヲ受クル者ニ付テハ二年、判任文官ト同一ノ待遇ヲ受クル者ニ付テハ一年トシ第四号及前条第二項ノ場合ニ在リテハ其ノ事故止ミタル後尚ホ三月トス
第十条 休職者ハ職務ニ従事セス及俸給ヲ減セラレ又ハ之ヲ受ケサルノ外総テ在職者ト異ナルコトナシ
第十一条 休職ハ奏任文官ト同一ノ待遇ヲ受クル者ニ在リテハ内閣総理大臣ノ認可ヲ経テ文部大臣之ヲ命シ判任文官ト同一ノ待遇ヲ受クル者ニ在リテハ地方長官之ヲ命ス其ノ復職ヲ命スルトキ亦同シ
附 則
明治二十七年勅令第百四十一号ハ之ヲ廃止ス
本令施行ノ際休職中ノ者ニ関シテハ仍旧令ニ依ル