第一條 鐵道ノ建設、車輛器具ノ構造及運轉ハ命令ヲ以テ定ムル規程ニ依ルヘシ
第二條 本法其ノ他特別ノ法令ニ規定スルモノノ外鐵道運送ニ關スル特別ノ事項ハ鐵道運輸規程ノ定ムル所ニ依ル
第三條 運賃ノ增加及運送取扱條件ノ變更ハ關係停車場ニ二週間以上公吿シタル後ニ非サレハ之ヲ實施スルコトヲ得ス
第四條 傳染病患者ハ主務大臣ノ定ムル規程ニ依ルニ非サレハ乘車セシムルコトヲ得ス
第五條 火藥其ノ他爆發質危險品ハ鐵道カ其ノ運送取扱ノ公吿ヲ爲シタル場合ノ外其ノ運送ヲ拒絕スルコトヲ得
第六條 鐵道ハ左ノ事項ノ具備シタル場合ニ於テハ貨物ノ運送ヲ拒絕スルコトヲ得ス
一 荷送人カ法令其ノ他鐵道運送ニ關スル規定ヲ遵守スルトキ
二 貨物ノ運送ニ付特別ナル責務ノ條件ヲ荷送人ヨリ求メサルトキ
三 運送カ法令ノ規定又ハ公ノ秩序若ハ善良ノ風俗ニ反セサルトキ
四 貨物カ成規ニ依リ其ノ線路ニ於ケル運送ニ適スルトキ
五 天災事變其ノ他已ムヲ得サル事由ニ基因シタル運送上ノ支障ナキトキ
第七條 運送ニ付特別ノ設備ヲ要スル貨物ニ關シテハ鐵道ハ其ノ設備アル場合ニ限リ之ヲ引受クルノ義務ヲ負フ
第八條 鐵道ハ直ニ運送ヲ爲シ得ヘキ場合ニ限リ貨物ヲ受取ルヘキ義務ヲ負フ
第九條 貨物ハ運送ノ爲受取リタル順序ニ依リ之ヲ運送スルコトヲ要ス但シ運輸上正當ノ事由若ハ公益上ノ必要アルトキハ此ノ限ニ在ラス
第十條 鐵道ハ貨物ノ種類及性質ヲ明吿スヘキコトヲ荷送人ニ求ムルコトヲ得若シ其ノ種類及性質ニ付疑アルトキハ荷送人ノ立會ヲ以テ之ヲ㸃檢スルコトヲ得
㸃檢ニ因リ貨物ノ種類及性質カ荷送人ノ明吿シタル所ト異ナラサル場合ニ限リ鐵道ハ㸃檢ニ關スル費用ヲ負擔シ且之カ爲生シタル損害ヲ賠償スルノ責ニ任ス
前二項ノ規定ハ火藥其ノ他爆發質危險品ヲ成規ニ反シ手荷物中ニ收納シタル疑アル場合ニ之ヲ準用ス
第十一條 貨幣、有價證券其ノ他ノ高價品ニ付テハ荷送人カ運送委託ノ際其ノ物品ノ種類、性質及價格ヲ明吿シ且增賃金ヲ支拂ヒタル場合ノ外鐵道ハ損害賠償ノ責ニ任セス但シ鐵道カ增賃金ノ支拂ヲ請求セサルニ因リ荷送人ニ於テ其ノ支拂ヲ爲ササルトキハ此ノ限ニ在ラス
第十二條 牛馬其ノ他ノ獸類ニ付テハ荷送人カ運送委託ノ際價格ヲ明吿セサルトキ又ハ明吿スルモ鐵道運輸規程ニヨリ鐵道ノ請求スル增賃金ヲ支拂ハサルトキハ其ノ損害ニ付鐵道ハ鐵道運輸規程ニ定ムル最高金額迄ヲ限リ賠償ノ責ニ任ス
前項賠償金額ノ制限ハ惡意又ハ重大ナル過失ニ因リ損害ヲ生シタル場合ニハ之ヲ適用セス
第十三條 惡意又ハ重大ナル過失ニ因ラサル手荷物ノ滅失、毀損ニ付テハ鐵道ハ鐵道運輸規程ニ定ムル最高金額迄ヲ限リ損害賠償ノ責ニ任ス
第十四條 運賃償還ノ債權ハ一年間之ヲ行ハサルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
第十五條 旅客ハ營業上別段ノ定アル場合ノ外運賃ヲ支拂ヒ乘車券ヲ受クルニ非サレハ乘車スルコトヲ得ス
乘車券ヲ有スル者ハ列車中座席ノ存在スル場合ニ限リ乘車スルコトヲ得
第十六條 旅客カ乘車前旅行ヲ止メタルトキハ鐵道運輸規程ノ定ムル所ニ依リ運賃ノ拂戾ヲ請求スルコトヲ得
乘車後旅行ヲ中止シタルトキハ運賃ノ拂戾ヲ請求スルコトヲ得ス
第十七條 天災事變其ノ他已ムヲ得サル事由ニ因リ運送ニ著手シ又ハ之ヲ繼續スルコト能ハサルニ至リタルトキハ旅客及荷送人ハ契約ノ解除ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テ鐵道ハ旣ニ爲シタル運送ノ割合ニ應シ運賃其ノ他ノ費用ヲ請求スルコトヲ得
第十八條 旅客ハ鐵道係員ノ請求アリタルトキハ何時ニテモ乘車券ヲ呈示シ檢査ヲ受クヘシ
有效ノ乘車券ヲ所持セス又ハ乘車券ノ檢査ヲ拒ミ又ハ取集ノ際之ヲ渡ササル者ハ鐵道運輸規程ノ定ムル所ニ依リ割增賃金ヲ支拂フヘシ
前項ノ場合ニ於テ乘車停車場不明ナルトキハ其ノ列車ノ出發停車場ヨリ運賃ヲ計算ス