朕海軍大學校條例ノ改正ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年九月二十一日
海軍大臣 侯爵 西鄕從道
勅令第三百二十六號
海軍大學校條例
第一條 海軍大學校ハ海軍將校及機關官ニ高等ノ學術ヲ敎授スル所トス
第二條 海軍大學校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
副官
敎頭
敎官
主計長
第三條 校長ハ海軍大臣ニ隸シ校務ヲ總理ス
第四條 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス
第五條 敎頭ハ校長ノ命ヲ承ケ敎務ヲ監督ス
第六條 敎官ハ敎頭ノ命ヲ承ケ各學科ノ敎授ヲ擔任ス
第七條 主計長ハ校長ノ命ヲ承ケ會計給與ニ關スル事ヲ掌ル
第八條 海軍大學校ニハ第二條ニ揭クル職員ノ外判任文官ヲ置キ各上官ノ命ヲ承ケ服務セシム
第九條 海軍大學校ニ於テ敎授スル海軍將校及機關官ヲ海軍大學校學生ト稱ス
第十條 海軍大學校學生ヲ左ノ四種ニ區別ス
將校科甲種學生
將校科乙種學生
機關科學生
選科學生
第十一條 將校科甲種學生ニハ樞要ノ職員若ハ高級指揮官ノ素養ヲナス爲メ高等ノ兵學及其ノ他ノ學術ヲ敎授ス
第十二條 將校科乙種學生ニハ砲術水雷術若ハ航海術ノ學理ヲ敎授ス
第十三條 機關科學生ニハ機關ニ關スル高等ノ學術ヲ敎授ス
第十四條 選科學生ニハ各自ノ選擇スル學術ヲ修メシム
第十五條 將校科甲種學生ハ才學器量出群ニシテ所管長官ノ推薦ヲ受ケ左ノ諸項ニ適合スル者ニ就キ海軍大學校學生銓衡委員ノ檢定ヲ經テ海軍大臣之ヲ命ス
一 海上勤務二箇年以上ヲ經タル海軍大尉
二 入學試驗ニ合格シタル者但シ從前大學校ヲ卒業シタル者ニハ入學試驗中學術試驗ヲ省略スルコトヲ得
第十六條 將校科乙種學生ハ左ノ諸項ニ適合スル者ヨリ海軍大臣之ヲ命ス
一 海上勤務一箇年以上ヲ經タル海軍大尉
二 砲術水雷術若ハ航海術ヲ專修セシムルニ適當ト認メタル者
三 入學試驗ニ合格シタル者但シ從前大學校ヲ卒業シタル者ニハ入學試驗ヲ省略スルコトヲ得
第十七條 機關科學生ハ左ノ諸項ニ適合スル者ヨリ海軍大臣之ヲ命ス
一 海上勤務一箇年以上ヲ經タル海軍大機關士若ハ海軍機關學校ニ於テ優等ナル成績ヲ得且才學發達ノ見込アル海軍少機關士
二 入學試驗ニ合格シタル者
第十八條 選科學生ハ海軍佐官機關監若ハ實役停年三箇年以上ヲ經タル海軍大尉大機關士ニシテ其ノ學生タランコトヲ志願スル者ヨリ海軍大臣之ヲ命ス
第十九條 海軍大學校學生銓衡委員ハ海軍將官會議議員海軍大學校長及海軍大臣ノ特ニ命スル海軍佐官以上ヲ以テ編成シ委員長ハ銓衡委員中先任將官ヲ以テ之ニ充ツ
第二十條 入學試驗ノ規程ハ海軍大臣之ヲ定ム
第二十一條 學生卒業試驗ニ及第シタルトキハ之ニ卒業證書ヲ授與ス但シ將校科乙種學生ニハ砲術若ハ水雷術學理修業證書ヲ授與ス
第二十二條 將校科甲種學生ニ卒業證書ヲ授與スルトキハ其ノ卒業ヲ表彰スヘキ徽章ヲ併與ス
第二十三條 將校科乙種學生卒業スルトキハ其ノ專修學科ニ應シ海軍砲術練習所學生若ハ海軍水雷術練習所學生ヲ命ス
第二十四條 校長ハ學生中不適合ト認ムル者アルトキハ海軍大臣ニ禀申ス海軍大臣ハ退學ノ手續ヲ行フコトアルヘシ但シ將校科甲種學生ニ於テハ海軍大學校學生銓衡委員ノ檢定ヲ經ルヲ要ス
第二十五條 大學校學生在學中高級ノ官等ニ進級スル場合ニ在テハ卒業マテ滯學セシムルコトヲ得
第二十六條 海軍大學校ノ定員ハ別表定ムル所ニ依ル
附 則
第二十七條 現今在學ノ將校科學生ニハ第二十三條及第二十五條ヲ適用スルノ外凡テ從來ノ條例ヲ適用ス但シ同條例第三條將校科學生ノ學年一箇年半ヲ一箇年ニ短縮スルコトヲ得
第二十八條 軍醫科敎官及學生ニ關シテハ明治三十一年三月三十一日マテ從來ノ條例ヲ適用ス
(別表)
海軍大學校定員表
校長
海軍中將若ハ小將
書記  六
副官
海軍少佐若ハ大尉
教頭
海軍大佐
教官 {
海軍佐官若ハ大尉
海軍機關監
海軍機關少監若ハ大機關士
海軍造船少監若ハ造船大技士
海軍參謀若ハ陸軍各兵科佐尉官
二 本職アル者ヲ以テ兼補ス
海軍敎授
主計長
海軍大主計
小計 二十人
六人
合計 二十六人
備考
本表定員ノ外本職アル者ヲシテ教官ヲ兼務セシムルコトヲ得
朕海軍大学校条例ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年九月二十一日
海軍大臣 侯爵 西郷従道
勅令第三百二十六号
海軍大学校条例
第一条 海軍大学校ハ海軍将校及機関官ニ高等ノ学術ヲ教授スル所トス
第二条 海軍大学校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
副官
教頭
教官
主計長
第三条 校長ハ海軍大臣ニ隷シ校務ヲ総理ス
第四条 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス
第五条 教頭ハ校長ノ命ヲ承ケ教務ヲ監督ス
第六条 教官ハ教頭ノ命ヲ承ケ各学科ノ教授ヲ担任ス
第七条 主計長ハ校長ノ命ヲ承ケ会計給与ニ関スル事ヲ掌ル
第八条 海軍大学校ニハ第二条ニ掲クル職員ノ外判任文官ヲ置キ各上官ノ命ヲ承ケ服務セシム
第九条 海軍大学校ニ於テ教授スル海軍将校及機関官ヲ海軍大学校学生ト称ス
第十条 海軍大学校学生ヲ左ノ四種ニ区別ス
将校科甲種学生
将校科乙種学生
機関科学生
選科学生
第十一条 将校科甲種学生ニハ枢要ノ職員若ハ高級指揮官ノ素養ヲナス為メ高等ノ兵学及其ノ他ノ学術ヲ教授ス
第十二条 将校科乙種学生ニハ砲術水雷術若ハ航海術ノ学理ヲ教授ス
第十三条 機関科学生ニハ機関ニ関スル高等ノ学術ヲ教授ス
第十四条 選科学生ニハ各自ノ選択スル学術ヲ修メシム
第十五条 将校科甲種学生ハ才学器量出群ニシテ所管長官ノ推薦ヲ受ケ左ノ諸項ニ適合スル者ニ就キ海軍大学校学生銓衡委員ノ検定ヲ経テ海軍大臣之ヲ命ス
一 海上勤務二箇年以上ヲ経タル海軍大尉
二 入学試験ニ合格シタル者但シ従前大学校ヲ卒業シタル者ニハ入学試験中学術試験ヲ省略スルコトヲ得
第十六条 将校科乙種学生ハ左ノ諸項ニ適合スル者ヨリ海軍大臣之ヲ命ス
一 海上勤務一箇年以上ヲ経タル海軍大尉
二 砲術水雷術若ハ航海術ヲ専修セシムルニ適当ト認メタル者
三 入学試験ニ合格シタル者但シ従前大学校ヲ卒業シタル者ニハ入学試験ヲ省略スルコトヲ得
第十七条 機関科学生ハ左ノ諸項ニ適合スル者ヨリ海軍大臣之ヲ命ス
一 海上勤務一箇年以上ヲ経タル海軍大機関士若ハ海軍機関学校ニ於テ優等ナル成績ヲ得且才学発達ノ見込アル海軍少機関士
二 入学試験ニ合格シタル者
第十八条 選科学生ハ海軍佐官機関監若ハ実役停年三箇年以上ヲ経タル海軍大尉大機関士ニシテ其ノ学生タランコトヲ志願スル者ヨリ海軍大臣之ヲ命ス
第十九条 海軍大学校学生銓衡委員ハ海軍将官会議議員海軍大学校長及海軍大臣ノ特ニ命スル海軍佐官以上ヲ以テ編成シ委員長ハ銓衡委員中先任将官ヲ以テ之ニ充ツ
第二十条 入学試験ノ規程ハ海軍大臣之ヲ定ム
第二十一条 学生卒業試験ニ及第シタルトキハ之ニ卒業証書ヲ授与ス但シ将校科乙種学生ニハ砲術若ハ水雷術学理修業証書ヲ授与ス
第二十二条 将校科甲種学生ニ卒業証書ヲ授与スルトキハ其ノ卒業ヲ表彰スヘキ徽章ヲ併与ス
第二十三条 将校科乙種学生卒業スルトキハ其ノ専修学科ニ応シ海軍砲術練習所学生若ハ海軍水雷術練習所学生ヲ命ス
第二十四条 校長ハ学生中不適合ト認ムル者アルトキハ海軍大臣ニ禀申ス海軍大臣ハ退学ノ手続ヲ行フコトアルヘシ但シ将校科甲種学生ニ於テハ海軍大学校学生銓衡委員ノ検定ヲ経ルヲ要ス
第二十五条 大学校学生在学中高級ノ官等ニ進級スル場合ニ在テハ卒業マテ滞学セシムルコトヲ得
第二十六条 海軍大学校ノ定員ハ別表定ムル所ニ依ル
附 則
第二十七条 現今在学ノ将校科学生ニハ第二十三条及第二十五条ヲ適用スルノ外凡テ従来ノ条例ヲ適用ス但シ同条例第三条将校科学生ノ学年一箇年半ヲ一箇年ニ短縮スルコトヲ得
第二十八条 軍医科教官及学生ニ関シテハ明治三十一年三月三十一日マテ従来ノ条例ヲ適用ス
(別表)
海軍大学校定員表
校長
海軍中将若ハ小将
書記  六
副官
海軍少佐若ハ大尉
教頭
海軍大佐
教官 {
海軍佐官若ハ大尉
海軍機関監
海軍機関少監若ハ大機関士
海軍造船少監若ハ造船大技士
海軍参謀若ハ陸軍各兵科佐尉官
二 本職アル者ヲ以テ兼補ス
海軍教授
主計長
海軍大主計
小計 二十人
六人
合計 二十六人
備考
本表定員ノ外本職アル者ヲシテ教官ヲ兼務セシムルコトヲ得