朕海軍大學校條例改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十年四月二十日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
海軍大臣 齋藤實
勅令第百三十四號
海軍大學校條例
第一條 海軍大學校ハ海軍將校及同相當官ニ高等ノ學術ヲ敎授スル所トス
第二條 海軍大學校ノ敎育綱領ハ海軍大臣ノ認可ヲ經テ海軍敎育本部長之ヲ定ム
第三條 海軍大學校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
副官
敎頭
敎官
主計長
第四條 校長ハ海軍敎育本部長ニ隸シ校務ヲ總理ス
第五條 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス
第六條 敎頭ハ校長ノ命ヲ承ケ敎務ヲ監理シ校長事故アルトキ其ノ職務ヲ代理ス
第七條 敎官ハ校長ノ命ヲ承ケ敎授ヲ擔任ス
第八條 主計長ハ校長ノ命ヲ承ケ會計及給與ニ關スルコトヲ掌ル
第九條 海軍大學校ニ第三條ニ揭クル職員ノ外判任文官ヲ置キ各上官ノ命ヲ承ケ服務セシム
第十條 海軍大學校ニ於テ修習スル海軍將校及同相當官ヲ海軍大學校學生ト稱ス
第十一條 海軍大學校學生ハ之ヲ左ノ五種ニ區別ス
甲種學生
乙種學生
專修學生
機關學生
選科學生
第十二條 甲種學生ニハ樞要ノ職員又ハ高級指揮官タル素養ヲ與フル爲必要ナル高等ノ兵學及其ノ他ノ學術ヲ敎授ス
第十三條 乙種學生ニハ砲術、水雷術又ハ航海術ニ關シ特科將校タル素養ヲ與フル爲必要ナル高等ノ學術ヲ敎授ス
第十四條 專修學生ハ將校ニ在リテハ航海術、機關官ニ在リテハ機關術ヲ專修スヘキモノトシ航海術ヲ專修スヘキ者ニハ航海術ニ關スル高等ノ學術ヲ敎授シ實地ノ硏修ヲ爲サシメ機關術ヲ專修スヘキ者ニハ舶用機關ノ計畫又ハ軍用電氣工學ニ關スル高等ノ學術ヲ敎授ス
第十五條 機關學生ニハ要職ニ充ツルニ適當セル素養ヲ與フル爲必要ナル高等ノ機關術及其ノ他ノ學術ヲ敎授ス
第十六條 選科學生ニハ各自ノ選擇スル學術又ハ命セラレタル學術ヲ修メシム
第十七條 甲種學生ハ海軍大尉任官後海上勤務二箇年以上ヲ經タル海軍少佐又ハ大尉ニシテ左ノ諸號ニ適合スル者ニ就キ海軍大學校學生銓衡委員ノ檢定ヲ經テ海軍大臣之ヲ命ス
一 海軍砲術學校若ハ海軍水雷學校ノ高等科學生敎程ヲ卒業シ又ハ本校ノ專修學生トシテ航海術敎程ヲ卒業シタル者又ハ之ニ等シキ學識技能ヲ有スル者ニシテ身體强健實務ノ成績優等ニシテ氣節アリ且判斷力ニ富ミ將來充分發達スヘキ才學識量ヲ有スト認ムル者
二 入學試驗ニ合格シタル者
第十八條 乙種學生ハ海軍大尉又ハ中尉ニシテ左ノ諸號ニ適合スル者ニ就キ海軍大臣之ヲ命ス
一 身體强健實務ノ成績優等ニシテ卒業後砲術、水雷術又ハ航海術ニ關スル高等ノ學術ヲ專修セシムルニ適當ナル才學識量ヲ有スト認ムル者
二 入學試驗ニ合格シタル者
第十九條 專修學生ハ乙種學生敎程ヲ卒業シタル海軍大尉又ハ中尉ニシテ航海術ヲ專修セシムルニ適當ト認ムル者及機關學生敎程ヲ卒業シタル海軍機關少佐又ハ機關大尉ニシテ舶用機關ノ計畫又ハ軍用電氣工學ニ關スル高等ノ學術ヲ專修セシムルニ適當ト認ムル者ニ就キ海軍大臣之ヲ命ス
第二十條 機關學生ハ海軍機關大尉ニシテ左ノ諸號ニ適合スル者ニ就キ海軍大臣之ヲ命ス
一 身體强健實務ノ成績優等ニシテ將來充分發達スヘキ才學識量ヲ有スト認ムル者
二 入學試驗ニ合格シタル者
第二十一條 選科學生ハ海軍佐官機關佐官造兵官造船官水路官又ハ實役停年三箇年以上ヲ經タル海軍大尉機關大尉ニシテ志願スル者ニ就キ海軍大學校學生銓衡委員ノ銓衡ヲ經テ海軍大臣之ヲ命ス
海軍大臣必要ト認ムルトキハ前項資格ノ有無ニ拘ハラス海軍大學校學生銓衡委員ノ銓衡ヲ經テ選科學生ヲ命スルコトヲ得
第二十二條 海軍大學校學生銓衡委員ハ海軍敎育本部長、海軍大學校長及海軍大臣ノ特ニ命スル海軍將官佐官ヲ以テ編成シ委員長ハ海軍敎育本部長ヲ以テ之ニ充ツ
第二十三條 入學試驗ノ規程ハ海軍大臣ノ認可ヲ經テ海軍敎育本部長之ヲ定ム
第二十四條 甲種學生、乙種學生又ハ機關學生卒業シタルトキハ之ニ卒業證書ヲ授與シ專修學生卒業シタルトキハ之ニ修業證書ヲ授與ス
第二十五條 甲種學生ニ卒業證書ヲ授與スルトキハ其ノ卒業ヲ表彰スヘキ徽章ヲ併與ス
第二十六條 校長ハ海軍敎育本部長ノ認可ヲ受ケ實地硏究ノ爲學生ヲ軍艦、海軍諸學校、水路部又ハ海軍工廠等ニ派遣シ修學セシムルコトヲ得
前項ニ依リ派遣セラレタル學生ハ其ノ硏究ニ關シ當該艦長又ハ廳長ノ指揮ヲ受ク
第二十七條 校長ハ學生中不適當ト認ムル者アルトキハ海軍敎育本部長ニ禀申ス海軍敎育本部長至當ト認ムルトキハ之ヲ海軍大臣ニ具申ス海軍大臣ハ之ニ退學ヲ命スルコトヲ得但シ甲種學生及選科學生ニ在リテハ海軍大學校學生銓衡委員ノ檢定ヲ經ルヲ要ス
第二十八條 海軍大學校學生ハ在學中高級ノ官等ニ進級スルモ卒業迄在學ス
第二十九條 海軍大臣ハ戰時又ハ事變ニ際シ必要ト認ムルトキハ海軍大學校學生ヲ免スルコトヲ得
前項ニ依リ學生ヲ免セラレタル者ニ對シテハ本令ノ規定ニ拘ハラス海軍大臣ニ於テ再ヒ學生ヲ命スルコトヲ得
第三十條 海軍大臣ハ海軍大學校ニ臨時講習科ヲ設ケ海軍佐尉官及機關佐尉官ニ必要ノ講習ヲ爲サシムルコトヲ得
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ海軍大學校ニ在學スル將校科甲種學生ハ之ヲ甲種學生、將校科乙種學生ハ之ヲ乙種學生、機關科甲種學生ハ之ヲ專修學生、機關科乙種學生ハ之ヲ機關學生トス
朕海軍大学校条例改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十年四月二十日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
海軍大臣 斎藤実
勅令第百三十四号
海軍大学校条例
第一条 海軍大学校ハ海軍将校及同相当官ニ高等ノ学術ヲ教授スル所トス
第二条 海軍大学校ノ教育綱領ハ海軍大臣ノ認可ヲ経テ海軍教育本部長之ヲ定ム
第三条 海軍大学校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
副官
教頭
教官
主計長
第四条 校長ハ海軍教育本部長ニ隷シ校務ヲ総理ス
第五条 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス
第六条 教頭ハ校長ノ命ヲ承ケ教務ヲ監理シ校長事故アルトキ其ノ職務ヲ代理ス
第七条 教官ハ校長ノ命ヲ承ケ教授ヲ担任ス
第八条 主計長ハ校長ノ命ヲ承ケ会計及給与ニ関スルコトヲ掌ル
第九条 海軍大学校ニ第三条ニ掲クル職員ノ外判任文官ヲ置キ各上官ノ命ヲ承ケ服務セシム
第十条 海軍大学校ニ於テ修習スル海軍将校及同相当官ヲ海軍大学校学生ト称ス
第十一条 海軍大学校学生ハ之ヲ左ノ五種ニ区別ス
甲種学生
乙種学生
専修学生
機関学生
選科学生
第十二条 甲種学生ニハ枢要ノ職員又ハ高級指揮官タル素養ヲ与フル為必要ナル高等ノ兵学及其ノ他ノ学術ヲ教授ス
第十三条 乙種学生ニハ砲術、水雷術又ハ航海術ニ関シ特科将校タル素養ヲ与フル為必要ナル高等ノ学術ヲ教授ス
第十四条 専修学生ハ将校ニ在リテハ航海術、機関官ニ在リテハ機関術ヲ専修スヘキモノトシ航海術ヲ専修スヘキ者ニハ航海術ニ関スル高等ノ学術ヲ教授シ実地ノ研修ヲ為サシメ機関術ヲ専修スヘキ者ニハ舶用機関ノ計画又ハ軍用電気工学ニ関スル高等ノ学術ヲ教授ス
第十五条 機関学生ニハ要職ニ充ツルニ適当セル素養ヲ与フル為必要ナル高等ノ機関術及其ノ他ノ学術ヲ教授ス
第十六条 選科学生ニハ各自ノ選択スル学術又ハ命セラレタル学術ヲ修メシム
第十七条 甲種学生ハ海軍大尉任官後海上勤務二箇年以上ヲ経タル海軍少佐又ハ大尉ニシテ左ノ諸号ニ適合スル者ニ就キ海軍大学校学生銓衡委員ノ検定ヲ経テ海軍大臣之ヲ命ス
一 海軍砲術学校若ハ海軍水雷学校ノ高等科学生教程ヲ卒業シ又ハ本校ノ専修学生トシテ航海術教程ヲ卒業シタル者又ハ之ニ等シキ学識技能ヲ有スル者ニシテ身体強健実務ノ成績優等ニシテ気節アリ且判断力ニ富ミ将来充分発達スヘキ才学識量ヲ有スト認ムル者
二 入学試験ニ合格シタル者
第十八条 乙種学生ハ海軍大尉又ハ中尉ニシテ左ノ諸号ニ適合スル者ニ就キ海軍大臣之ヲ命ス
一 身体強健実務ノ成績優等ニシテ卒業後砲術、水雷術又ハ航海術ニ関スル高等ノ学術ヲ専修セシムルニ適当ナル才学識量ヲ有スト認ムル者
二 入学試験ニ合格シタル者
第十九条 専修学生ハ乙種学生教程ヲ卒業シタル海軍大尉又ハ中尉ニシテ航海術ヲ専修セシムルニ適当ト認ムル者及機関学生教程ヲ卒業シタル海軍機関少佐又ハ機関大尉ニシテ舶用機関ノ計画又ハ軍用電気工学ニ関スル高等ノ学術ヲ専修セシムルニ適当ト認ムル者ニ就キ海軍大臣之ヲ命ス
第二十条 機関学生ハ海軍機関大尉ニシテ左ノ諸号ニ適合スル者ニ就キ海軍大臣之ヲ命ス
一 身体強健実務ノ成績優等ニシテ将来充分発達スヘキ才学識量ヲ有スト認ムル者
二 入学試験ニ合格シタル者
第二十一条 選科学生ハ海軍佐官機関佐官造兵官造船官水路官又ハ実役停年三箇年以上ヲ経タル海軍大尉機関大尉ニシテ志願スル者ニ就キ海軍大学校学生銓衡委員ノ銓衡ヲ経テ海軍大臣之ヲ命ス
海軍大臣必要ト認ムルトキハ前項資格ノ有無ニ拘ハラス海軍大学校学生銓衡委員ノ銓衡ヲ経テ選科学生ヲ命スルコトヲ得
第二十二条 海軍大学校学生銓衡委員ハ海軍教育本部長、海軍大学校長及海軍大臣ノ特ニ命スル海軍将官佐官ヲ以テ編成シ委員長ハ海軍教育本部長ヲ以テ之ニ充ツ
第二十三条 入学試験ノ規程ハ海軍大臣ノ認可ヲ経テ海軍教育本部長之ヲ定ム
第二十四条 甲種学生、乙種学生又ハ機関学生卒業シタルトキハ之ニ卒業証書ヲ授与シ専修学生卒業シタルトキハ之ニ修業証書ヲ授与ス
第二十五条 甲種学生ニ卒業証書ヲ授与スルトキハ其ノ卒業ヲ表彰スヘキ徽章ヲ併与ス
第二十六条 校長ハ海軍教育本部長ノ認可ヲ受ケ実地研究ノ為学生ヲ軍艦、海軍諸学校、水路部又ハ海軍工廠等ニ派遣シ修学セシムルコトヲ得
前項ニ依リ派遣セラレタル学生ハ其ノ研究ニ関シ当該艦長又ハ庁長ノ指揮ヲ受ク
第二十七条 校長ハ学生中不適当ト認ムル者アルトキハ海軍教育本部長ニ禀申ス海軍教育本部長至当ト認ムルトキハ之ヲ海軍大臣ニ具申ス海軍大臣ハ之ニ退学ヲ命スルコトヲ得但シ甲種学生及選科学生ニ在リテハ海軍大学校学生銓衡委員ノ検定ヲ経ルヲ要ス
第二十八条 海軍大学校学生ハ在学中高級ノ官等ニ進級スルモ卒業迄在学ス
第二十九条 海軍大臣ハ戦時又ハ事変ニ際シ必要ト認ムルトキハ海軍大学校学生ヲ免スルコトヲ得
前項ニ依リ学生ヲ免セラレタル者ニ対シテハ本令ノ規定ニ拘ハラス海軍大臣ニ於テ再ヒ学生ヲ命スルコトヲ得
第三十条 海軍大臣ハ海軍大学校ニ臨時講習科ヲ設ケ海軍佐尉官及機関佐尉官ニ必要ノ講習ヲ為サシムルコトヲ得
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ海軍大学校ニ在学スル将校科甲種学生ハ之ヲ甲種学生、将校科乙種学生ハ之ヲ乙種学生、機関科甲種学生ハ之ヲ専修学生、機関科乙種学生ハ之ヲ機関学生トス