朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ陸軍服役條例ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十九年六月三日
陸軍大臣 侯爵 大山巖
勅令第二百三十八號
陸軍服役條例
第一章
將校ノ服役
第一款
現役
第二款
豫備役及後備役
第二章
准士官ノ服役
第三章
下士ノ服役
第一款
通則
第二款
現役
第三款
豫備役及後備役
第四章
兵卒ノ服役
第一款
通則
第二款
現役
第三款
豫備役及後備役
第五章
補充兵ノ服役
第六章
雜則
附 則
陸軍服役條例
第一章 將校ノ服役
第一款 現役
第一條 現役將校ハ所屬部隊ノ兵籍ニ編入シ現役定限年齡ニ滿ツル迄服役セシム但別ニ規定アルモノハ此ノ限ニアラス
第二條 將校ノ現役定限年齡ハ左ノ如シ
中將 七十歲
少將 六十五歲
憲兵大中佐 五十七歲
步騎砲工輜重兵大中佐
憲兵少佐
五十四歲
步騎砲工輜重兵少佐
憲兵大尉
五十一歲
步騎砲工輜重兵大尉
憲兵中少尉
四十八歲
步騎砲工輜重兵中少尉 四十五歲
第三條 現役定限年齡ニ滿ツルモ他人ヲ以テ代フヘカラサル職ニ在ル者ハ留任ヲ命スルコトアルヘシ
第四條 現役定限年齡ニ滿シルモ戰時若クハ事變ニ際スルトキ又ハ航海中或ハ外國駐劄中ハ現役期限ヲ延ハスコトアルヘシ
第五條 現役定限年齡ニ滿ノサルモ服役十一年以上ニシテ現役ニ堪ヘサル者ハ將官ハ上諭ニ依リ上長官士官ハ陸軍大臣旨ヲ諭シテ現役ヲ退カシムルコトアルヘシ
第六條 現役將校傷痍若クハ疾病ニ由リ職務若クハ永久服役ニ堪ヘスト思惟スルトキハ陸軍醫官ノ診斷證書若クハ地方醫師ノ病況書ヲ添ヘ順序ヲ經テ休職又ハ退役ヲ陸軍大臣ニ願出ヘシ
第七條 休職停職ノ將校ハ本籍所在師管ノ兵籍ニ編入シ師團長ノ管轄ニ屬ス他ノ師管ニ寄留スル者ハ寄留地所管師團長ノ監督ヲ受ク
第八條 休職停職ヲ命セラレタル者歸鄕シタルトキハ十四日以內ニ師團長ニ屆出ヘシ但歸鄕旅行一箇月以上ヲ要スルトキハ到著日ヲ豫定シ出發前本籍所管師團長ニ屆出ヘシ
從前ノ在職地若クハ其ノ他ノ地ニ一箇月以上滯在若クハ寄留セント欲スル者ハ本籍所管ノ師團長ニ屆出テ歸鄕シタルトキハ前項ノ屆出ヲ爲スヘシ
前項ノ滯在地若クハ寄留地本籍地外ノ師管ニ係ルトキハ滯在若クハ寄留ノ當日ヨリ十四日以內ニ其ノ地所管ノ師團長ニモ屆出ヘシ其ノ本籍ニ復歸シ若クハ寄留替ヲ爲サントスルトキ亦同シ
第九條 休職停職ノ將校十四日以上旅行又ハ寄留セント欲スルトキハ師團長ニ屆出テ歸鄕シタルトキハ十四日以內ニ師團長ニ屆出ヘシ
前項ノ寄留地本籍地外ノ師管ニ係ルトキハ其ノ地ノ師團長ニモ屆出ヘシ其ノ本籍ニ復歸シ若クハ寄留替ヲ爲サントスルトキ亦同シ
其ノ外國ニ旅行又ハ寄留セント欲スル者ノ取扱ハ別ニ定ムル所ニ依ル
第十條 休職停職ノ將校寄留地師管ノ兵籍ニ轉セント欲スル者ハ師團長ニ願出テ許可ヲ受ケタルトキハ其ノ旨ヲ寄留地所管ノ師團長ニ屆出ヘシ
第十一條 休職停職ノ將校兵籍上異動ヲ生シタルトキハ師團長ニ屆出ヘシ但自己ノ身上ニ係ル異動ハ寄留地所管ノ師團長ニモ屆出ヘシ
第十二條 休職停職ノ將官ヨリ陸軍大臣ニ差出ス願書ハ師團長ヲ經由シ佐官以下ノ將校ヨリ師團長ニ差出ス願屆書ハ聯隊區司令官警備隊區ニ在テハ警備隊司令官以下同シヲ經由シ陸軍大臣ニ差出ス願書ハ聯隊區司令官及師團長ヲ經由スヘシ
第十三條 本款ハ現役將校相當官ニ適用ス
第十四條 將校相當官ノ現役定限年齡ハ左ノ如シ
監督長 軍醫總監 六十五歲
一等監督 軍醫監 六十歲
二三等監督
一二等軍醫正
藥劑監
獸醫監
五十七歲
監督補
一等軍醫
一等藥劑官
一等獸醫
一等軍吏
五十四歲
二等軍醫
二等藥劑官
二等獸醫
二等軍吏
一等軍樂長
五十一歲
三等軍醫
三等藥劑官
三等獸醫
三等軍吏
四十八歲
第二款 豫備役及後備役
第十五條 豫備役後備役將校ハ本籍所在師管ノ兵籍ニ編入シ師團長ノ管轄ニ屬ス
第十六條 豫備役將校ノ服役期限ハ現役定限年齡ニ滿ツル年ノ三月三十一日迄トス
第十七條 後備役將校ノ服役期限ハ豫備役ヨリ轉入シタル者ハ轉入後五箇年現役定限年齡ニ滿チ後備役ニ轉入シタル者ハ現役ヲ退キタル年ヨリ第六年目ノ三月三十一日迄トシ後備役准士官下士ヨリ士官ニ進級シタル者ハ現役定限年齡ニ滿ツル年ヨリ第六年目ノ三月三十一日迄トス
第十八條 豫備役後備役將校ノ服役期限旣ニ滿ツルト雖戰時或ハ事變ニ際スルトキ若クハ航海中或ハ外國駐劄中ハ其ノ期限ヲ延ハスコトアルヘシ
第十九條 第三條第四條第十八條ニ依リ留任ヲ命シ又ハ服役ヲ延期シタル者ト雖服役年期ノ計算ハ留任セサル者又ハ服役ヲ延期セサル者ニ同シ
第二十條 豫備役後備役將校服役滿期ニ至リタルトキハ辭令ヲ用井スシテ豫備役ハ後備役ニ後備役ハ退役ニ入ルモノトス
第二十一條 豫備役後備役將校ハ滿期後引續キ服役スルコトヲ得志願ノ者ハ年數ヲ定メ陸軍大臣ニ願出ヘシ
第二十二條 豫備役後備役將校傷痍若クハ疾病ニ由リ永久服役ニ堪ヘスト思惟スルトキハ陸軍醫官ノ診斷證書若クハ地方醫師ノ病況書ヲ添ヘ退役ヲ陸軍大臣ニ願出ヘシ
第二十三條 豫備役後備役將校ハ現役將校同等官ノ次席トス
第二十四條 豫備役後備役將校ハ召集ニ應スルトキ及朝拜參賀公私ノ儀式祭典其ノ他廉アル宴會等ノ場所ニ列スルトキハ陸軍ノ制服ヲ著スルモノトス但文官ニ任セラレタル者ハ召集ノ場合ヲ除クノ外文官ノ制服ヲ著スルモ妨ケナシ
第二十五條 豫備役後備役將校ハ戰時若クハ事變ニ際シ之ヲ召集ス平常ニ在テハ勤務演習ノ爲メ召集ス
第二十六條 豫備役後備役將校ニシテ文官ニ任セラレ餘人ヲ以テ代フヘカラサル職務ヲ奉スル者、外國ニ在ル者對馬警備隊區ニ在テ朝鮮國釜山ニ旅行又ハ寄留スル者ヲ除ク及市町村長、助役、收入役ト爲ル者ハ勤務演習ノ爲メ召集スルコトナシ
法律ヲ以テ設立シタル議會ノ議員ト爲ル者其ノ開曾中亦同シ
第二十七條 豫備役後備役將校ニシテ他ノ師管ニ寄留シ該師管ニ於テ勤務演習ヲ爲サント欲スル者ハ師團長ニ願出テ其ノ許可ヲ受ケタルトキハ寄留地到著後寄留後出願ノ者ハ指令書受領後三日以內ニ豫備役後備役編入年、現官ニ任セラレタル年月及甞テ勤務演習ヲ爲シタル年月ヲ記シ寄留地ノ師團長ニ屆出ヘシ
第二十八條 豫備役後備役將校ニシテ止ムヲ得サル事故アリ勤務演習召集ノ猶豫ヲ願フ者ハ其ノ事實ヲ證明シ師團長ノ許可ヲ請フヘシ
第二十九條 現役ヨリ豫備役若クハ後備役ニ入ル將校歸鄕シタルトキハ十四日以內ニ師團長ニ屆出ヘシ
從前ノ在職地若クハ其ノ他ノ地ニ一箇月以上滯在若クハ寄留セント欲スルトキ若クハ歸鄕旅行日數一箇月以上ヲ要スルトキハ本籍市町村ニ於テ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ師團長ニ屆出テ歸鄕シタルトキハ前項ノ屆出ヲ爲スヘシ
前項ノ滯在地若クハ寄留地本籍地外ノ師管ニ係ルトキハ其ノ地ノ師團長ニモ屆出ヘシ其ノ本籍ニ復歸シ若クハ寄留替ヲ爲サントスルトキ亦同シ
第三十條 豫備役後備役將校十四日以上旅行或ハ寄留セントスルトキハ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ師團長ニ屆出テ歸鄕シタルトキハ十四日以內ニ師團長ニ屆出ヘシ
前項ノ寄留地本籍地外ノ師管ニ係ルトキハ其ノ地ノ師團長ニモ屆出ヘシ其ノ本籍ニ復歸シ若クハ寄留替ヲ爲サントスルトキ亦同シ
外國ニ在ル者召集ノ通報ヲ受ケ又ハ其ノ他ノ手續ニ依リ充員召集若クハ後備軍召集ノ擧アルコトヲ確知シタルトキハ直ニ歸朝シ本籍地到著後二十四時以內ニ師團長ニ屆出ヘシ
第三十一條 豫備役後備役將校兵籍上異動ヲ生シタルトキハ十四日以內ニ師團長ニ屆出ヘシ但他ノ師管ニ戶籍ヲ轉換シタルトキハ新舊所管ノ師團長ニ屆出ヘシ
第三十二條 豫備役後備役將校ニシテ市町村長、助役、收入役ト爲リ又ハ法律ヲ以テ設立シタル議會ノ議員ト爲リタルトキ竝ニ之ヲ罷メタルトキハ十四日以內ニ師團長ニ屆出ヘシ
第三十三條 豫備役後備役將校ニシテ死亡又ハ失踪シタル者アルトキ及失踪中戶籍ヲ轉換シタルトキハ其ノ戶主本人戶主ナレハ家族中家事ヲ擔當スル者ヨリ十四日以內ニ師團長ニ屆出ヘシ失踪者ノ歸鄕シタルトキ若クハ踪跡ヲ知得シタルトキ亦同シ但他ノ師管ニ戶籍ヲ轉換シタルトキハ新舊所管ノ師團長ニ屆出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長東京市京都市大阪市ニ在テハ區長以下同シヨリ聯隊區司令官ニ通知スヘシ
第三十四條 豫備役後備役將校重罪輕罪罰金ヲ除クノ刑ニ處セラレタルトキハ刑名及刑期ヲ記シ其ノ戶主本人戶主ナレハ家族中家事ヲ擔當スル者ヨリ十四日以內ニ師團長ニ屆出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ聯隊區司令官ニ通知スヘシ
第三十五條 豫備役後備役將官ヨリ陸軍大臣ニ差出ス願書ハ師團長ヲ經由シ佐官以下ノ將校ヨリ師團長ニ差出ス願屆書ハ聯隊區司令官ヲ經由シ陸軍大臣ニ差出ス願書ハ聯隊區司令官及師團長ヲ經由スヘシ
第三十六條 第二十七條第二十九條第一項及第二項第三十條第一項及第三項第三十一條乃至第三十四條ノ屆出ヲ爲ササル者ハ五錢以上一圓九十五錢以下ノ科料ニ處ス
第三十七條 第二十九條第三十條ノ通報人正當ノ事由ナクシテ召集ノ命ヲ通報セス若クハ其ノ通報ヲ遲緩シタル者ハ一日以上十日以下ノ拘留ニ處ス
第三十八條 本款ハ豫備役後備役ノ將校相當官ニ適用ス
第二章 准士官ノ服役
第三十九條 本章ニ於テ准士官ト稱スルハ步騎砲工輜重兵特務曹長、砲工兵上等監護及二等軍樂長ヲ謂フ
第四十條 特務曹長ハ營內ニ居住セシムルヲ例トス警備隊ニ在テ警備隊區在籍ノ者ハ外泊ヲ許スコトアルヘシ
第四十一條 准士官ノ現役定限年齡ハ左ノ如シ
砲工兵上等監護 五十一歲
二等軍樂長 四十八歲
步騎砲工輜重兵特務曹長 三十七歲
第四十二條 現役定限年齡ニ滿タサルモ服役十一年以上ニシテ現役ニ堪ヘサル者ハ所管長官旨ヲ諭シテ現役ヲ退カシムルコトアルヘシ
第四十三條 特務曹長ハ現役定限年齡ニ滿タサルモ正當ノ事故アルトキハ本人ノ願ニ依リ現役ヲ免シ豫備役ニ服セシムルコトヲ得
第四十四條 特務曹長ハ現役定限年齡ニ滿チ現役ヲ退キタルトキハ豫備役ニ豫備役終ルノ後ハ後備役ニ服セシム
第四十五條 豫備役後備役特務曹長ノ服役年期ハ豫備役ニ在テハ現役定限年齡ニ滿ツル年ヨリ第四年目ノ三月三十一日迄トシ後備役ニ在テハ豫備役滿期後五箇年トス
第四十六條 豫備役後備役砲工兵上等監護及豫備役後備役二等軍樂長ノ服役年期ハ豫備役ニ在テハ現役定限年齡ニ滿ツル年ノ三月三十一日迄トシ後備役ニ在テハ現役定限年齡ニ滿ツル年ヨリ第六年目ノ三月三十一日迄トス
第四十七條 准士官ノ現役豫備役後備役服役ニ關スル諸般ノ事項ニ就テハ第一章第二條第五條第十三條第十四條第十六條第十七條第三十八條ヲ除クノ規定ヲ適用ス但第二十一條第二十二條ノ願書ハ師團長ニ差出スモノトス
第四十八條 豫備役後備役ノ下士ヨリ特務曹長ニ進級シタル者ノ服役年期ハ豫備役ニ在テハ現役定限年齡ニ滿ツル年ヨリ第四年目ノ三月三十一日迄トシ後備役ニ在テハ現役定限年齡ニ滿ツル年ヨリ第九年目ノ三月三十一日迄トス
第三章 下士ノ服役
第一款 通則
第四十九條 下士ノ服役ハ十二箇年四箇月トシ之ヲ分テ現役豫備役及後備役トス其ノ服役ヲ終リタルトキハ第一國民兵役ニ服セシム
第五十條 各兵役期限旣ニ滿ツルト雖戰時或ハ事變ニ際スルトキ若クハ臨時ニ演習或ハ觀兵ノ擧アルトキ若クハ航海中或ハ外國駐劄中ハ其ノ期限ヲ延ハスコトアルヘシ其ノ服役年期ノ計算ハ延期セサル者ニ同シ
第五十一條 現役ヲ離ルルトキ服役十二箇年四箇月ヲ過キ豫備役後備役ニ服セサル者及事故ニ由リ常備後備ノ役若クハ兵役ヲ免スル者ハ同時ニ其ノ官ヲ免シ後備役滿期ノ者ハ別ニ辭令ヲ用井スシテ其ノ官消滅スルモノトス
第二款 現役
第五十二條 現役下士ハ所屬部隊ノ兵籍ニ編入シ現役期限滿ツル迄服役セシム
第五十三條 隊附現役下士憲兵隊軍樂隊附ノ者ヲ除クハ營內ニ居住セシムルヲ例トス但警備隊ニ在テ警備隊區在籍ノ者ハ外泊ヲ許スコトアルヘシ
第五十四條 現役下士ノ服役期限ハ左ノ如シ
一 敎導團及要塞砲兵射擊學校卒業者ヨリ下士ニ任セラレタル者及砲兵監護ニ任セラレタル者ハ任官ノ日ヨリ四箇年
二 憲兵科下士ハ憲兵上等兵ヨリ任セラレタル者ハ憲兵上等兵ヲ命セラレタル日ヨリ步騎砲工輜重兵科下士ヨリ任セラレタル者ハ憲兵下士任官ノ日ヨリ七箇年但臺灣憲兵ハ三箇年
三 砲兵工科學校及經理學校卒業者ヨリ諸工下士火工下士ヲ除クニ任セラレタル者ハ任官ノ日ヨリ七箇年
四 工兵監護砲臺監守ハ任官ノ日ヨリ七箇年四箇月
五 蹄鐵工下士ハ入隊ノ日ヨリ五箇年
六 軍樂部下士ハ樂生ヲ命セラレタル日ヨリ七箇年四箇月
第五十五條 下士ハ現役滿期ノ後現役定限年齡ニ滿ツル迄ハ數次再服役ヲ爲スコトヲ得
第五十六條 下士ノ現役定限年齡ハ左ノ如シ
砲工兵監護
砲臺監守
諸工長
諸工下長
四十八歲
憲兵科下士
衞生部下士
軍吏部下士
軍樂部下士
四十五歲
步騎砲工輜重兵科下士 四十歲
第五十七條 再服役年期ハ通常一年ヲ以テ一期トス滿七年以上服役シ尙服役中ノ者ハ三年若クハ二年ヲ以テ一期トシ之ヲ請フコトヲ得
一期間ニ於テ現役定限年齡ニ滿ツル者ハ其ノ定限迄之ヲ請フモノトス
再服役ハ自己所屬ノ中隊憲兵分隊ニ在テハ分隊、警備隊ニ在テハ步兵砲兵隊、軍樂隊ニ在テハ該隊以下同シ若クハ所屬諸本部諸官廨ニ於テスルモノトス
第五十八條 再服役ハ中隊ニ在テハ其ノ所屬中隊長憲兵分隊ニ在テハ分隊長、警備隊ニ在テハ步兵砲兵隊長、軍樂隊ニ在テハ該隊長以下同シニ出願シ該中隊長ハ順序ヲ經テ聯隊長又ハ之ト同等以上ノ權アル長官ノ認可ヲ請フヘシ
諸本部諸官廨ニ在テハ直屬長官ニ出願スヘシ但直屬長官聯隊長ト同等ノ權ナキトキハ聯隊長同等以上ノ權アル長官ノ認可ヲ請フヘシ
衞生部軍吏部下士ノ再服役ハ聯隊長又ハ之ト同等以上ノ權アル長官ヨリ當該監督部長若クハ軍醫部長ニ豫メ協議スヘシ
再服役ヲ許可シタルトキハ誓約書ヲ中隊長若クハ直屬長官ニ出サシム
第五十九條 再服役許可ノ後轉隊若クハ轉職シタルトキハ其ノ誓約書ヲ新所屬ノ中隊長若クハ直屬長官ニ移スヘシ
第六十條 現役中本人ヲ要スルニ非サレハ一家ノ生計ヲ營ミ難キ事故ヲ生スルトキハ本人ノ願ニ依リ現役ヲ免スルコトヲ得
第六十一條 現役中傷痍若クハ疾病ニ由リ現役ニ堪ヘ難キ者ハ現役ヲ免ス
第六十二條 現役中傷痍若クハ疾病ニ由リ常備後備ノ役ニ堪ヘ難キ者ハ其ノ役ヲ免シ永久服役ニ堪ヘ難キ者ハ兵役ヲ免ス
第六十三條 憲兵下士ニシテ素行修マラサル者ハ特ニ現役ヲ免ス
第六十四條 憲兵下士其ノ職務ヲ辱シムルニ依リ懲罰ノ處分ヲ受ケ其ノ情重キモノハ陸軍懲罰令ノ規定ニ拘ハラス官ヲ免スルコトヲ得
第六十五條 現役滿期ニ至リタル者ハ其ノ服役シタル年月ヲ通算シ七箇年四箇月ニ滿タサルトキハ豫備役ニ十二箇年四箇月ニ滿タサルトキハ後備役ニ服セシム
第六十六條 第六十條第六十一條第六十三條ニ依リ現役ヲ免シタル者ハ前條ノ例ニ依リ豫備役又ハ後備役ニ服セシメ第六十二條ニ依リ常備後備ノ役ヲ免シタル者ハ第一國民兵役ニ服セシム
下士ニシテ禁錮ノ刑ニ處セラレ官ヲ失ヒ又ハ陸軍懲罰令若クハ第六十四條ニ依リ官ヲ免セラレタル者ハ步騎砲工輜重兵科ニ在テハ當該兵科ノ兵卒ト爲シ憲兵科及各部ニ在テハ前兵科ノ兵卒ト爲シ軍樂部ニ在テハ樂生ト爲シ其ノ服役シタル年月ヲ通算シ三箇年ニ滿タサル者ハ三箇年ニ滿ツル迄現役ニ服セシメ三箇年ヲ過クル者ハ前條ノ例ニ依リ豫備役又ハ後備役ニ服セシメ十二箇年四箇月ヲ過クル者ハ第一國民兵役ニ服セシム
第六十七條 現役下士ニシテ其ノ服役七箇年四箇月若クハ十二箇年四箇月ノ後尙豫備役若クハ後備役ニ服センコトヲ志願スル者ハ其ノ年數ヲ定メ現役滿期ノ際聯隊長若クハ之ト同等以上ノ權アル長官ニ願出ヘシ
聯隊長若クハ之ト同等以上ノ權アル長官前項ノ服役ヲ許可シタルトキハ本人所管ノ聯隊區司令官ニ通知スヘシ
第六十八條 第六十條乃至第六十四條ニ當ル者アルトキハ聯隊長又ハ之ト同等以上ノ權アル長官ハ師團長若クハ之ト同等以上ノ權アル長官ノ認可ヲ請ヒ現役、常備後備役又ハ兵役ヲ免ス但師團長及之ト同等以上ノ權アル長官ニ在テハ自ラ之ヲ處分ス
衞生部軍吏部下士ニ在テハ聯隊長若クハ之ト同等以上ノ權アル長官ヨリ當該監督部長又ハ軍醫部長ニ移シ監督部長軍醫部長ハ經理局長又ハ醫務局長ノ認可ヲ請ヒ現役、常備後備役又ハ兵役ヲ免ス但經理局所屬官衙ニ在テハ該局長自ラ之ヲ處分ス
第六十九條 現役中禁錮ノ刑ニ處セラレ又ハ逃亡シタル者ハ其ノ刑期中及逃亡中ノ日數ハ現役服役年期ニ算入セス
第三款 豫備役及後備役
第七十條 豫備役後備役下士ハ本籍所在師管ノ兵籍ニ編入シ聯隊區司令官ノ管轄ニ屬ス
第七十一條 豫備役下士ノ服役期限ハ其ノ服役シタル年月ヲ通算シ七箇年四箇月トス
第七十二條 後備役下士ノ服役期限ハ豫備役滿期ノ後五箇年トス但七箇年四箇月以上現役ニ服シ直ニ後備役ニ入ル者ハ其ノ服役シタル年月ヲ通算シ十二箇年四箇月トス
第七十三條 豫備役後備役下士服役滿期ニ至リタルトキハ別ニ辭令ヲ用井スシテ豫備役ハ後備役ニ後備役ハ第一國民兵役ニ入ルモノトス
第七十四條 豫備役後備役下士滿期後引續キ服役セント欲スルトキハ年數ヲ定メ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ願出ヘシ
第七十五條 豫備役後備役下士傷痍若クハ疾病ニ由リ豫備後備ノ役ニ堪ヘ難キ者ハ第一國民兵役ニ服セシメ永久服役ニ堪ヘ難キ者ハ兵役ヲ免ス
在鄕中傷痍若クハ疾病ニ由リ永久服役ニ堪ヘスト思惟スルトキハ陸軍醫官ノ診斷證書若クハ地方醫師ノ病況書ヲ添ヘ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第七十六條 豫備役後備役下士ハ戰時若クハ事變ニ際シ之ヲ召集ス平常ニ在テハ每年一度簡閱㸃呼ヲ爲シ又勤務演習ノ爲メ召集ス
第七十七條 豫備役後備役下士ニシテ文官ニ任セラレ餘人ヲ以テ代フヘカラサル職務ヲ奉スル者、外國ニ在ル者對馬警備隊區ニ在テ朝鮮國釜山ニ旅行又ハ寄留スル者ヲ除ク及市町村長、助役、收入役トナル者ハ勤務演習簡閱㸃呼ノ爲メ召集スルコトナシ
法律ヲ以テ設立シタル議會ノ議員ト爲ル者其ノ開會中亦同シ
第七十八條 豫備役後備役下士ニシテ他ノ聯隊區警備隊區ニ在テハ其ノ區以下同シニ寄留スル者ハ願ニ依リ其ノ地ニ於テ簡閱㸃呼ヲ受クルコトヲ得
一箇年以上他ノ師管ニ寄留スル者ハ願ニ依リ寄留地師管ニ於テ勤務演習ヲ爲スコトヲ得
前二項ニ依リ願出ル者ハ其ノ願書ニ本籍市町村長ノ奧書證印ヲ受ケ聯隊區司令官ニ差出スヘシ但許可ヲ受ケタルトキハ寄留地到著後寄留後出願ノ者ハ指令書受領後三日以內ニ豫備役後備役編入年、現官ニ任セラレタル年月及甞テ勤務演習ヲ爲シタル年月ヲ記シ其ノ由ヲ寄留地市町村長ヲ經テ同地聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第七十九條 豫備役後備役下士ニシテ止ムヲ得サル事故アリ勤務演習召集ノ猶豫若クハ簡閱㸃呼ノ免除ヲ願ハント欲スルトキハ其ノ願書ニ市町村長ノ奧書證印ヲ受ケ聯隊區司令官ニ差出スヘシ
第八十條 現役ヨリ豫備役若クハ後備役ニ入ル下士ハ十四日以內ニ從前ノ在職地ヲ出發シ一日行程十里詰ヨリ尠カラサル日數間ニ歸鄕シ著後十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
從前ノ在職地若クハ其ノ他ノ地ニ十五日以上滯在若クハ寄留セントスルトキハ前項ノ出發期日內ニ本籍市町村ニ於テ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出テ歸鄕シタルトキハ前項ノ屆出ヲ爲スヘシ
前項ノ滯在地若クハ寄留地本籍地外ノ聯隊區ニ係ルトキハ其ノ地ノ市町村長ヲ經テ同地聯隊區司令官ニモ屆出ヘシ其ノ本籍ニ復歸シ若クハ寄留替ヲ爲サントスルトキ亦同シ
第八十一條 豫備役後備役下士十四日以上旅行或ハ寄留セントスルトキハ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出テ歸鄕シタルトキハ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
前項ノ寄留地本籍地外ノ聯隊區ニ係ルトキハ寄留地市町村長ヲ經テ同地聯隊區司令官ニモ屆出ヘシ其ノ本籍ニ復歸シ若クハ寄留替ヲ爲サントスルトキ亦同シ
外國ニ在ル者召集ノ通報ヲ受ケ又ハ其ノ他ノ手續ニ依リ充員召集若クハ後備軍召集ノ擧アルコトヲ確知シタルトキハ直ニ歸朝シ本籍地到著後二十四時以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第八十二條 豫備役後備役下士兵籍上異動ヲ生シタルトキハ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ但他ノ聯隊區ニ戶籍ヲ轉換シタルトキハ新舊所管ノ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第八十三條 豫備役後備役下士ニシテ市町村長、助役、收入役ト爲リ又ハ法律ヲ以テ設立シタル議會ノ議員ト爲リタルトキ竝ニ之ヲ罷メタルトキハ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第八十四條 豫備役後備役下士ニシテ死亡又ハ失踪シタル者アルトキ及失踪中戶籍ヲ轉換シタルトキハ其ノ戶主本人戶主ナレハ家族中家事ヲ擔當スル者ヨリ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ失踪者ノ歸鄕シタルトキ若クハ踪跡ヲ知得シタルトキ亦同シ但他ノ聯隊區ニ戶籍ヲ轉換シタルトキハ新舊所管ノ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ聯隊區司令官ニ通知スヘシ
第八十五條 豫備役後備役下士重罪輕罪罰金ヲ除クノ刑ニ處セラレタルトキハ刑名及刑期ヲ記シ其ノ戶主本人戶主ナレハ家族中家事ヲ擔當スル者ヨリ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ聯隊區司令官ニ通知スヘシ
第八十六條 豫備役後備役中犯罪ノ爲メ又ハ正當ノ事由ナクシテ召集ヲ缺キタル者其ノ召集ヲ缺キタル年ハ服役年期ニ算入セス
第八十七條 第七十八條第三項但書第八十條第一項及第二項第八十一條第一項及第三項第八十二條乃至第八十五條ノ屆出ヲ爲ササル者ハ五錢以上一圓九十五錢以下ノ科料ニ處ス
第八十八條 第八十條第八十一條ノ通報人正當ノ事由ナクシテ召集ノ命ヲ通報セス若クハ其ノ通報ヲ遲緩シタル者ハ一日以上十日以下ノ拘留ニ處ス
第四章 兵卒ノ服役
第一款 通則
第八十九條 本章中ノ兵卒又ハ兵ニハ雜卒及職工ヲ包含ス
第九十條 徵兵令第七條第十六條第二十四條第二十九條第一項但書及第三項ノ規定ハ憲兵上等兵、樂手補、樂生及下士ニシテ官ヲ失ヒ若クハ官ヲ免セラレ兵卒ト爲リタル者竝ニ第百六十條ノ兵卒ニ適用ス
第九十一條 憲兵上等兵、樂手補、樂生ノ服役期限ハ十二箇年四箇月トシ之ヲ分テ現役豫備役及後備役トス其ノ服役終リタルトキハ第一國民兵役ニ服セシム
第九十二條 兵卒ハ年齡滿四十歲ヲ以テ服役ノ終期トス但第百三十二條ニ依リ服役スル者ハ滿四十五歲トナル年ノ三月三十一日ヲ以テ終期トス
第二款 現役
第九十三條 現役兵ハ入隊ノ日ヨリ其ノ隊ノ兵籍ニ編入シ現役期限滿ツル迄服役セシム
第九十四條 現役兵ハ營內ニ居住セシムルヲ例トス
憲兵上等兵、樂手補ハ營外ニ居住セシム
樂生中品行方正勤務勉勵技藝熟達且樂生ヲ命セラレタル日ヨリ一箇年以上精勤セシ者ハ營外ニ居住セシムルコトアルヘシ
警備隊看護手、縫工、靴工中品行方正勤務勉勵且技藝熟達ノ者ハ外泊ヲ許スコトアルヘシ
第九十五條 憲兵上等兵ノ現役期限ハ憲兵上等兵ヲ命セラレタル日ヨリ七箇年トス但臺灣憲兵ハ三箇年トス
第九十六條 砲兵助卒、砲兵輸卒、輜重輸卒ノ現役期限ハ二箇年四箇月トシ砲兵助卒ハ一箇年間、砲兵輸卒ハ四箇月間、輜重輸卒ハ三箇月間在營セシム
戰時若クハ事變ニ際スルトキ其ノ他必要ノ場合ニハ在營期限ヲ伸縮スルコトアルヘシ
第九十七條 樂手補、樂生ノ現役期限ハ樂生ヲ命セラレタル日ヨリ七箇年四箇月トス
第九十八條 警備隊現役兵ノ在營期限ハ一箇年トス
第九十九條 警備隊現役兵中上等兵タルノ技能ヲ有スル者及上等兵、看護手ニシテ志願ノ者ハ尙一箇年間在營セシムルコトヲ得
警備隊上等兵及看護手中下士タルノ技能ヲ有スル者及縫工、靴工ニシテ志願ノ者ハ現役期限滿ツル迄在營セシムルコトヲ得
第百條 上等兵、看護手、樂手補、樂生及警備隊縫工、靴工ハ現役滿期ノ後現役定限年齡ニ滿ツル迄數次再服役ヲ爲スコトヲ得但步騎砲工輜重兵上等兵及看護手ハ下士タルノ技能ヲ有スル者ニ限ル
前項ノ再服役ニ關シテハ第五十七條乃至第五十九條ヲ適用ス
第百一條 兵卒ノ現役定限年齡ハ左ノ如シ
憲兵上等兵 雜卒 職工 四十歲
步騎砲工輜重兵卒 三十五歲
第百二條 現役中本人ヲ要スルニアラサレハ家族自活シ能ハサル事故ヲ生スルトキハ其ノ家族ノ願ニ依リ現役ヲ免ス
第百三條 現役中傷痍若クハ疾病ニ由リ一時服役ニ堪ヘ難キ者ハ現役ヲ免ス
第百四條 現役中傷痍若クハ疾病ニ由リ常備後備ノ役ニ堪ヘ難キ者ハ其ノ役ヲ免シ永久服役ニ堪ヘ難キ者ハ兵役ヲ免ス
第百五條 憲兵上等兵現役中左ニ揭クル事項ニ當ル者ハ其ノ職ヲ免ス
一 職務ヲ辱シムルニ由リ懲罰ノ處分ヲ受ケ其ノ情重キトキ
二 素行修マラス屢懲罰ノ處分ヲ受ケ又ハ上官ノ說諭ヲ受クルモ悛改ノ狀ナキトキ
第百六條 現役滿期ニ至リタル者ハ其ノ服役シタル年月ヲ通算シ七箇年四箇月ニ滿タサルトキハ豫備役ニ十二箇年四箇月ニ滿タサルトキハ後備役ニ服セシム
第百七條 第百二條第百三條ニ依リ現役ヲ免シタル者ハ前條ノ例ニ依リ豫備役又ハ後備役ニ服セシメ第百四條ニ依リ常備後備ノ役ヲ免シタル者ハ第一國民兵役ニ服セシム但第百二條第百三條ニ當ル者軍隊第一期ノ敎育ヲ卒ラサル前ニ在テハ第二補充兵役ニ服セシム其ノ服役年期ハ前役ヲ通シテ一箇年四箇月トス
第百八條 上等兵、看護手及樂手補ニシテ禁錮ノ刑ニ處セラレ職ヲ失ヒ又ハ陸軍懲罰令若クハ第百五條ニ依リ職ヲ免セラレタル者ハ步騎砲工輜重兵科ニ在テハ當該兵科ノ兵卒ト爲シ憲兵上等兵及看護手ニ在テハ前兵科ノ兵卒ト爲シ樂手補ハ樂生ト爲シ其ノ服役シタル年月ヲ通算シ三箇年ニ滿タサル者ハ三箇年ニ滿ツル迄現役ニ服セシメ三箇年ヲ過クル者ハ第百六條ノ例ニ依リ豫備役又ハ後備役ニ服セシメ十二箇年四箇月ヲ過クル者ハ第一國民兵役ニ服セシム
第百九條 第百二條ニ依リ免役ヲ願出テントスル者ハ其ノ願書ニ同徵募區內現役兵ノ戶主憲兵上等兵、樂手補、樂生ハ近鄰ノ戶主二名ノ保證書ヲ添ヘ島司郡市長ヲ經テ聯隊區司令官ニ差出スヘシ但町村ニ於テハ町村長ノ奧書證印ヲ受クヘキモノトス
島司郡市長ハ其ノ事實ヲ審覈シ狀況書ヲ作リ願書ト共ニ聯隊區司令官ニ送附シ聯隊區司令官ハ之ニ意見ヲ附シ願書ト共ニ本人所屬ノ聯隊長若クハ之ト同等以上ノ權アル長官ニ移スヘシ
第百十條 第百二條乃至第百五條ニ當ル者アルトキハ聯隊長若クハ之ト同等以上ノ權アル長官ハ師團長若クハ之ト同等以上ノ權アル長官ノ認可ヲ請ヒ現役、常備後備役又ハ兵役ヲ免ス
第百十一條 憲兵上等兵、樂手補、樂生現役中禁錮ノ刑ニ處セラレ又ハ逃亡シタルトキハ其ノ刑期中逃亡中ノ日數ハ服役年期ニ算入セス
第百十二條 現役中徵兵令第十五條ニ依リ歸休ヲ命スヘキ者ハ二箇年以上服役シタル者ニ限ル但警備隊兵卒、砲兵助卒ハ八箇月以上在營シタル者ニ限ル
歸休ヲ命スヘキ人員ハ陸軍大臣上裁ヲ經テ之ヲ定ム
第百十三條 歸休兵ハ本籍所在師管ノ兵籍ニ編入シ聯隊區司令官ノ管轄ニ屬ス
第百十四條 歸休兵在鄕中現役滿期ニ至リタルトキハ別ニ命ナクシテ豫備役ニ入ルモノトス
第百十五條 歸休兵在鄕中傷痍若クハ疾病ニ由リ永久服役ニ堪ヘスト思惟スルトキハ陸軍醫官ノ診斷證書若クハ地方醫師ノ病況書ヲ添ヘ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第百十六條 歸休兵ハ戰時若クハ事變ニ際シ之ヲ召集ス平常ニ在テハ每年一度簡閱㸃呼ヲ爲シ又演習ノ爲メ若クハ臨時兵員ノ補缺ヲ要スルトキ之ヲ召集ス
第百十七條 歸休兵ハ官廳ニ奉職スルコトヲ得但奉職ノ故ヲ以テ召集ヲ猶豫若クハ免除スルコトナシ
第百十八條 歸休兵ハ退營後七日以內ニ衞戍地ヲ出發シ一日行程十里詰ヨリ尠カラサル日數間ニ歸鄕シ著後七日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
退營後衞戍地若クハ其ノ他ノ地ニ八日以上滯在若クハ寄留セントスルトキハ前項ノ出發期日內ニ本籍市町村ニ於テ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出テ歸鄕シタルトキハ前項ノ屆出ヲ爲スヘシ
前項ノ滯在地若クハ寄留地本籍地外ノ聯隊區ニ係ルトキハ其ノ地ノ市町村長ヲ經テ同地聯隊區司令官ニモ屆出ヘシ其ノ本籍ニ復歸シ若クハ寄留替ヲ爲サントスルトキ亦同シ
第百十九條 歸休兵十四日以上旅行又ハ寄留セントスルトキハ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出テ歸鄕シタルトキハ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ其ノ由ヲ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
前項ノ寄留地本籍地外ノ聯隊區ニ係ルトキハ寄留地市町村長ヲ經テ同地聯隊區司令官ニモ屆出ヘシ其ノ本籍ニ復歸シ若クハ寄留替ヲ爲サントスルトキ亦同シ
第百二十條 歸休兵ハ外國ニ旅行又ハ寄留スルヲ許サス
對馬警備隊區ニ在テハ朝鮮國釜山ニ旅行又ハ寄留スルコトヲ得但此ノ場合ニ於テハ第百十九條第一項ノ例ニ依ルヘシ
第百二十一條 歸休兵兵籍上異動ヲ生シタルトキハ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ但他ノ聯隊區ニ戶籍ヲ轉換シタルトキハ新舊所管ノ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第百二十二條 歸休兵ニシテ死亡又ハ失踪シタル者アルトキ及失踪中戶籍ヲ轉換シタルトキハ其ノ戶主本人戶主ナレハ家族中家事ヲ擔當スル者ヨリ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ失踪者ノ歸鄕シタルトキ若クハ踪跡ヲ知得シタルトキ亦同シ但他ノ聯隊區ニ戶籍ヲ轉換シタルトキハ新舊所管ノ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ聯隊區司令官ニ通知スヘシ
第百二十三條 歸休兵重罪輕罪罰金ヲ除クノ刑ニ處セラレタルトキハ刑名及刑期ヲ記シ其ノ戶主本人戶主ナレハ家族中家事ヲ擔當スル者ヨリ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ聯隊區司令官ニ通知スヘシ
第百二十四條 歸休兵演習又ハ臨時兵員補缺ノ爲メ召集ノ命ヲ受ケタルトキ傷痍疾病其ノ他ノ事故ニテ召集ニ應シ難キトキハ傷痍疾病ノ者ハ陸軍醫官ノ診斷證書若クハ地方醫師ノ病況書其ノ他ノ事故ハ證明書ヲ添ヘ召集期日迄ニ市町村長ノ奧書證印ヲ受ケ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第百二十五條 第百十八條第一項及第二項第百十九條第一項第百二十條第二項第百二十一條乃至第百二十四條ノ屆出ヲ爲ササル者ハ五錢以上一圓九十五錢以下ノ科料ニ處ス
第百二十六條 第百十八條第百十九條ノ通報人正當ノ事由ナクシテ召集ノ命ヲ通報セス若クハ其ノ通報ヲ遲緩シタル者及第百二十條第一項ニ違背シタル者ハ一日以上十日以下ノ拘留ニ處ス
第百二十七條 警備隊兵卒、砲兵助卒、砲兵輸卒、輜重輸卒ニシテ在營期限滿チ退營後尙現役中ニ在ル者ハ本籍所在師管ノ兵籍ニ編入シ聯隊區司令官ノ管轄ニ屬ス其ノ在鄕中ハ第百十四條乃至第百二十六條ノ規定ニ從フモノトス
第三款 豫備役及後備役
第百二十八條 豫備役後備役兵卒ハ本籍所在師管ノ兵籍ニ編入シ聯隊區司令官ノ管轄ニ屬ス
第百二十九條 再服役滿期若クハ第百七條第百八條ニ依リ豫備役ニ入ル者ノ服役期限ハ其ノ服役シタル年月ヲ通算シ七箇年四箇月トス臺灣憲兵ニシテ通常ノ現役ヲ終リ豫備役ニ入ル者亦同シ
第百三十條 前條ニ依リ豫備役ヲ終リタル者ハ五箇年間後備役ニ服セシム
七箇年四箇月以上現役ニ服シ直ニ後備役ニ入ル者ノ服役期限ハ其ノ服役シタル年月ヲ通算シ十二箇年四箇月トス
第百三十一條 豫備役後備役兵卒服役滿期ニ至リタルトキハ別ニ命ナクシテ豫備役ハ後備役ニ後備役ハ第一國民兵役ニ入ルモノトス
第百三十二條 豫備役後備役兵卒ニシテ各兵科、衞生部、軍吏部下士適任證書又ハ砲兵工科學校、經理學校卒業證書ヲ所持スル者ハ滿期後引續キ服役スルコトヲ得志願ノ者ハ年數ヲ定メ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ願出ヘシ
第百三十三條 豫備役後備役兵卒傷痍若クハ疾病ニ由リ豫備後備ノ役ニ堪ヘ難キ者ハ第一國民兵役ニ服セシメ永久服役ニ堪ヘ難キ者ハ兵役ヲ免ス
在鄕中傷痍若クハ疾病ニ由リ永久服役ニ堪ヘスト思惟スルトキハ陸軍醫官ノ診斷證書若クハ地方醫師ノ病況書ヲ添ヘ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第百三十四條 豫備役後備役兵卒ニシテ外國ニ旅行又ハ寄留中ノ者ハ勤務演習簡閱㸃呼ノ爲メ召集スルコトナシ但對馬警備隊區ニ在テ朝鮮國釜山ニ旅行又ハ寄留スル者ハ此ノ限ニアラス
第百三十五條 豫備役後備役兵卒ニシテ他ノ聯隊區ニ寄留スル者ハ願ニ依リ其ノ地ニ於テ簡閱㸃呼ヲ受クルコトヲ得
一箇年以上他ノ師管ニ寄留スル者ハ願ニ依リ寄留地師管ニ於テ勤務演習ヲ爲スコトヲ得
前二項ニ依リ願出ル者ハ其ノ願書ニ本籍市町村長ノ奧書證印ヲ受ケ聯隊區司令官ニ差出スヘシ但許可ヲ受ケタルトキハ寄留地到著後寄留後出願ノ者ハ指令書受領後三日以內ニ豫備役後備役編入年ヲ記シ其ノ由ヲ寄留地市町村長ヲ經テ同地聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第百三十六條 豫備役後備役兵卒ニシテ止ムヲ得サル事故アリ勤務演習召集ノ猶豫若クハ簡閱㸃呼ノ免除ヲ願ハント欲スルトキハ其ノ願書ニ市町村長ノ奧書證印ヲ受ケ聯隊區司令官ニ差出スヘシ
第百三十七條 現役ヨリ豫備役若クハ後備役ニ入ル兵卒ハ七日以內ニ衞戍地ヲ出發シ一日行程十里詰ヨリ尠カラサル日數間ニ歸鄕シ著後七日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
衞戍地若クハ其ノ他ノ地ニ八日以上滯在若クハ寄留セントスルトキハ前項ノ出發期日內ニ本籍市町村ニ於テ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出テ歸鄕シタルトキハ前項ノ屆出ヲ爲スヘシ
前項ノ滯在地若クハ寄留地本籍地外ノ聯隊區ニ係ルトキハ其ノ地ノ市町村長ヲ經テ同地聯隊區司令官ニモ屆出ヘシ其ノ本籍ニ復歸シ若クハ寄留替ヲ爲サントスルトキ亦同シ
第百三十八條 豫備役後備役兵卒十四日以上旅行或ハ寄留セントスルトキハ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出テ歸鄕シタルトキハ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
前項ノ寄留地本籍地外ノ聯隊區ニ係ルトキハ寄留地市町村長ヲ經テ同地聯隊區司令官ニモ屆出ヘシ其ノ本籍ニ復歸シ若クハ寄留替ヲ爲サントスルトキ亦同シ
外國ニ在ル者召集ノ通報ヲ受ケ又ハ其ノ他ノ手續ニ依リ充員召集若クハ後備軍召集ノ擧アルコトヲ確知シタルトキハ直ニ歸朝シ本籍地到著後二十四時以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第百三十九條 豫備役後備役兵卒兵籍上異動ヲ生シタルトキハ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ但他ノ聯隊區ニ戶籍ヲ轉換シタルトキハ新舊所管ノ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第百四十條 豫備役後備役兵卒ニシテ市町村長、助役、收入役ト爲リ又ハ法律ヲ以テ設立シタル議會ノ議員ト爲リタルトキ竝ニ之ヲ罷メタルトキハ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第百四十一條 豫備役後備役兵卒ニシテ死亡又ハ失踪シタル者アルトキ及失踪中戶籍ヲ轉換シタルトキハ其ノ戶主本人戶主ナレハ家族中家事ヲ擔當スル者ヨリ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ失踪者ノ歸鄕シタルトキ若クハ踪跡ヲ知得シタルトキ亦同シ但他ノ聯隊區ニ戶籍ヲ轉換シタルトキハ新舊所管ノ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ聯隊區司令官ニ通知スヘシ
第百四十二條 豫備役後備役兵卒重罪輕罪罰金ヲ除クノ刑ニ處セラレタルトキハ刑名及刑期ヲ記シ其ノ戶主本人戶主ナレハ家族中家事ヲ擔當スル者ヨリ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ聯隊區司令官ニ通知スヘシ
第百四十三條 第百三十五條第三項但書第百三十七條第一項及第二項第百三十八條第一項及第三項第百三十九條乃至第百四十二條ノ屆出ヲ爲ササル者ハ五錢以上一圓九十五錢以下ノ科料ニ處ス
第百四十四條 第百三十七條第百三十八條ノ通報人正當ノ事由ナクシテ召集ノ命ヲ通報セス若クハ其ノ通報ヲ遲緩シタル者ハ一日以上十日以下ノ拘留ニ處ス
第五章 補充兵ノ服役
第百四十五條 第一補充兵第二補充兵ハ本籍所在師管ノ兵籍ニ編入シ聯隊區司令官ノ管轄ニ屬ス
第百四十六條 補充兵服役滿期ニ至リタルトキハ別ニ命ナクシテ第一補充兵ハ第一國民兵役ニ第二補充兵ハ第二國民兵役ニ入ルモノトス
第百四十七條 補充兵傷痍若クハ疾病ニ由リ補充兵役ニ堪ヘ難キ者ハ第二國民兵役ニ服セシメ永久服役ニ堪ヘ難キ者ハ兵役ヲ免ス
在鄕中傷痍若クハ疾病ニ由リ永久服役ニ堪ヘスト思惟スルトキハ陸軍醫官ノ診斷證書若クハ地方醫師ノ病況書ヲ添ヘ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第百四十八條 第一補充兵ニシテ外國ニ旅行又ハ寄留中ノ者ハ勤務演習簡閱㸃呼ノ爲メ召集スルコトナシ但對馬警備隊區ニ在テ朝鮮國釜山ニ旅行又ハ寄留スル者ハ此ノ限ニアラス
第百四十九條 第一補充兵ニシテ他ノ聯隊區ニ寄留スル者ハ願ニ依リ其ノ地ニ於テ簡閱㸃呼ヲ受クルコトヲ得
一箇年以上他ノ師管ニ寄留スル者ハ願ニ依リ寄留地師管ニ於テ勤務演習ヲ爲スコトヲ得
前二項ニ依リ願出ル者ハ其ノ願書ニ本籍市町村長ノ奧書證印ヲ受ケ聯隊區司令官ニ差出スヘシ但許可ヲ受ケタルトキハ寄留地到著後寄留後出願ノ者ハ指令書受領後三日以內ニ第一補充兵編入年ヲ記シ其ノ由ヲ寄留地市町村長ヲ經テ同地聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第百五十條 第一補充兵ニシテ止ムヲ得サル事故アリ勤務演習召集ノ猶豫若クハ簡閱㸃呼ノ免除ヲ願ハント欲スルトキハ其ノ願書ニ市町村長ノ奧書證印ヲ受ケ聯隊區司令官ニ差出スヘシ
第百五十一條 補充兵十四日以上旅行或ハ寄留セントスルトキハ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出テ歸鄕シタルトキハ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
前項ノ寄留地本籍地外ノ聯隊區ニ係ルトキハ寄留地市町村長ヲ經テ同地聯隊區司令官ニモ屆出ヘシ其ノ本籍ニ復歸シ若クハ寄留替ヲ爲サントスルトキ亦同シ
外國ニ在ル者召集ノ通報ヲ受ケ又ハ其ノ他ノ手續ニ依リ充員召集若クハ後備軍召集ノ擧アルコトヲ確知シタルトキハ直ニ歸朝シ本籍地到著後二十四時以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第百五十二條 第一補充兵兵籍上異動ヲ生シタルトキハ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ但他ノ聯隊區ニ戶籍ヲ轉換シタルトキハ新舊所管ノ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第百五十三條 第一補充兵ニシテ市町村長、助役、收入役ト爲リ又ハ法律ヲ以テ設立シタル議會ノ議員ト爲リタルトキ竝ニ之ヲ罷メタルトキハ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
第百五十四條 補充兵ニシテ死亡又ハ失踪シタル者アルトキ及失踪中戶籍ヲ轉換シタルトキハ其ノ戶主本人戶主ナレハ家族中家事ヲ擔當スル者ヨリ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ失踪者ノ歸鄕シタルトキ若クハ踪跡ヲ知得シタルトキ亦同シ但他ノ聯隊區ニ戶籍ヲ轉換シタルトキハ新舊所管ノ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ聯隊區司令官ニ通知スヘシ
第百五十五條 補充兵重罪輕罪罰金ヲ除クノ刑ニ處セラレタルトキハ刑名及刑期ヲ記シ其ノ戶主本人戶主ナレハ家族中家事ヲ擔當スル者ヨリ十四日以內ニ市町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ屆出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ聯隊區司令官ニ通知スヘシ
第百五十六條 第百四十九條第三項但書第百五十一條第一項及第三項第百五十二條乃至第百五十五條ノ屆出ヲ爲ササル者ハ五錢以上一圓九十五錢以下ノ科料ニ處ス
第百五十七條 第百五十一條ノ通報人正當ノ事由ナクシテ召集ノ命ヲ通報セス若クハ其ノ通報ヲ遲緩シタル者ハ一日以上十日以下ノ拘留ニ處ス
第六章 雜則
第百五十八條 一年志願兵、六週間現役兵及屯田各兵科下士兵卒ノ服役ニ關シテハ別ニ定ムル所ニ依ル
第百五十九條 一年志願兵ヨリ豫備役ニ轉入シタル士官、准士官及下士兵卒ノ豫備役後備役服役年期ハ一年志願兵條例ノ規定ニ依ル
第百六十條 士官候補生、見習醫官、見習藥劑官、見習獸醫官及見習軍吏ニシテ各兵科各部ノ下士ニ任セラレ又ハ兵卒ト爲リ豫備役ニ編入セラレタル者ハ其ノ編入年ノ十二月一日ヨリ起算シ七箇年四箇月間豫備役ニ豫備役終ルノ後五箇年間後備役ニ服セシメ後備役終ルノ後ハ第一國民兵役ニ服セシム
第百六十一條 本條例中特ニ下士兵卒雜卒職工ヲ包含ス以下同シノ服役期限ヲ定メサルモノハ總テ徵兵令ノ規定ニ從フモノトス
第百六十二條 現役豫備役將校、同相當官一年志願兵ヨリ豫備役將校同相當官トナリタル者ヲ除クニシテ服役延期中進級シタル者ノ服役期限ハ前官ノ現役定限年齡ニ依ル
第百六十三條 豫備役後備役將校、同相當官、准士官、下士、兵卒及第一補充兵ニシテ文官ニ任セラレ若クハ公吏トナリ餘人ヲ以テ代フヘカラサル者又ハ運輸其ノ他ノ業ニ從事シ戰役ニ關シ必要ノ職務ヲ執ル者ハ陸軍大臣上裁ヲ經テ充員召集若クハ後備軍召集ヲ猶豫スルコトアルヘシ
第百六十四條 徵兵令第二十四條及本條例第二十六條第七十七條ノ餘人ヲ以テ代フヘカラサル職務ヲ奉スル者ハ豫メ當該官廳ヨリ內閣ニ具狀シ勤務演習及簡閱㸃呼免除ノ認可ヲ受ケ將校、同相當官及准士官ニ在テハ本人所管ノ師團長ニ下士以下ニ在テハ本人所管ノ聯隊區司令官ニ通報スヘシ其ノ事故止ミタルトキ亦同シ
第百六十五條 本條例ニ依リ町村長ヲ經テ聯隊區司令官ニ差出ス在鄕陸軍軍人ノ願屆書ハ尙島司郡長ヲ經由スヘシ
附 則
第百六十六條 市制町村制ヲ實施セサル地方ニ在テ本條例中市町村長ノ職務ハ區戶長及之ニ準スヘキ者之ヲ行フ
第百六十七條 陸軍豫備後備將校服役條例、陸軍豫備後備下士兵卒服役條例、陸軍現役下士上等兵再服役條例、陸軍歸休兵條例及明治二十二年勅令第三十七號ハ本條例施行ノ日ヨリ廢止ス
第百六十八條 本條例ハ發布ノ日ヨリ施行ス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ陸軍服役条例ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十九年六月三日
陸軍大臣 侯爵 大山巌
勅令第二百三十八号
陸軍服役条例
第一章
将校ノ服役
第一款
現役
第二款
予備役及後備役
第二章
准士官ノ服役
第三章
下士ノ服役
第一款
通則
第二款
現役
第三款
予備役及後備役
第四章
兵卒ノ服役
第一款
通則
第二款
現役
第三款
予備役及後備役
第五章
補充兵ノ服役
第六章
雑則
附 則
陸軍服役条例
第一章 将校ノ服役
第一款 現役
第一条 現役将校ハ所属部隊ノ兵籍ニ編入シ現役定限年齢ニ満ツル迄服役セシム但別ニ規定アルモノハ此ノ限ニアラス
第二条 将校ノ現役定限年齢ハ左ノ如シ
中将 七十歳
少将 六十五歳
憲兵大中佐 五十七歳
歩騎砲工輜重兵大中佐
憲兵少佐
五十四歳
歩騎砲工輜重兵少佐
憲兵大尉
五十一歳
歩騎砲工輜重兵大尉
憲兵中少尉
四十八歳
歩騎砲工輜重兵中少尉 四十五歳
第三条 現役定限年齢ニ満ツルモ他人ヲ以テ代フヘカラサル職ニ在ル者ハ留任ヲ命スルコトアルヘシ
第四条 現役定限年齢ニ満シルモ戦時若クハ事変ニ際スルトキ又ハ航海中或ハ外国駐箚中ハ現役期限ヲ延ハスコトアルヘシ
第五条 現役定限年齢ニ満ノサルモ服役十一年以上ニシテ現役ニ堪ヘサル者ハ将官ハ上諭ニ依リ上長官士官ハ陸軍大臣旨ヲ諭シテ現役ヲ退カシムルコトアルヘシ
第六条 現役将校傷痍若クハ疾病ニ由リ職務若クハ永久服役ニ堪ヘスト思惟スルトキハ陸軍医官ノ診断証書若クハ地方医師ノ病況書ヲ添ヘ順序ヲ経テ休職又ハ退役ヲ陸軍大臣ニ願出ヘシ
第七条 休職停職ノ将校ハ本籍所在師管ノ兵籍ニ編入シ師団長ノ管轄ニ属ス他ノ師管ニ寄留スル者ハ寄留地所管師団長ノ監督ヲ受ク
第八条 休職停職ヲ命セラレタル者帰郷シタルトキハ十四日以内ニ師団長ニ届出ヘシ但帰郷旅行一箇月以上ヲ要スルトキハ到著日ヲ予定シ出発前本籍所管師団長ニ届出ヘシ
従前ノ在職地若クハ其ノ他ノ地ニ一箇月以上滞在若クハ寄留セント欲スル者ハ本籍所管ノ師団長ニ届出テ帰郷シタルトキハ前項ノ届出ヲ為スヘシ
前項ノ滞在地若クハ寄留地本籍地外ノ師管ニ係ルトキハ滞在若クハ寄留ノ当日ヨリ十四日以内ニ其ノ地所管ノ師団長ニモ届出ヘシ其ノ本籍ニ復帰シ若クハ寄留替ヲ為サントスルトキ亦同シ
第九条 休職停職ノ将校十四日以上旅行又ハ寄留セント欲スルトキハ師団長ニ届出テ帰郷シタルトキハ十四日以内ニ師団長ニ届出ヘシ
前項ノ寄留地本籍地外ノ師管ニ係ルトキハ其ノ地ノ師団長ニモ届出ヘシ其ノ本籍ニ復帰シ若クハ寄留替ヲ為サントスルトキ亦同シ
其ノ外国ニ旅行又ハ寄留セント欲スル者ノ取扱ハ別ニ定ムル所ニ依ル
第十条 休職停職ノ将校寄留地師管ノ兵籍ニ転セント欲スル者ハ師団長ニ願出テ許可ヲ受ケタルトキハ其ノ旨ヲ寄留地所管ノ師団長ニ届出ヘシ
第十一条 休職停職ノ将校兵籍上異動ヲ生シタルトキハ師団長ニ届出ヘシ但自己ノ身上ニ係ル異動ハ寄留地所管ノ師団長ニモ届出ヘシ
第十二条 休職停職ノ将官ヨリ陸軍大臣ニ差出ス願書ハ師団長ヲ経由シ佐官以下ノ将校ヨリ師団長ニ差出ス願届書ハ連隊区司令官警備隊区ニ在テハ警備隊司令官以下同シヲ経由シ陸軍大臣ニ差出ス願書ハ連隊区司令官及師団長ヲ経由スヘシ
第十三条 本款ハ現役将校相当官ニ適用ス
第十四条 将校相当官ノ現役定限年齢ハ左ノ如シ
監督長 軍医総監 六十五歳
一等監督 軍医監 六十歳
二三等監督
一二等軍医正
薬剤監
獣医監
五十七歳
監督補
一等軍医
一等薬剤官
一等獣医
一等軍吏
五十四歳
二等軍医
二等薬剤官
二等獣医
二等軍吏
一等軍楽長
五十一歳
三等軍医
三等薬剤官
三等獣医
三等軍吏
四十八歳
第二款 予備役及後備役
第十五条 予備役後備役将校ハ本籍所在師管ノ兵籍ニ編入シ師団長ノ管轄ニ属ス
第十六条 予備役将校ノ服役期限ハ現役定限年齢ニ満ツル年ノ三月三十一日迄トス
第十七条 後備役将校ノ服役期限ハ予備役ヨリ転入シタル者ハ転入後五箇年現役定限年齢ニ満チ後備役ニ転入シタル者ハ現役ヲ退キタル年ヨリ第六年目ノ三月三十一日迄トシ後備役准士官下士ヨリ士官ニ進級シタル者ハ現役定限年齢ニ満ツル年ヨリ第六年目ノ三月三十一日迄トス
第十八条 予備役後備役将校ノ服役期限既ニ満ツルト雖戦時或ハ事変ニ際スルトキ若クハ航海中或ハ外国駐箚中ハ其ノ期限ヲ延ハスコトアルヘシ
第十九条 第三条第四条第十八条ニ依リ留任ヲ命シ又ハ服役ヲ延期シタル者ト雖服役年期ノ計算ハ留任セサル者又ハ服役ヲ延期セサル者ニ同シ
第二十条 予備役後備役将校服役満期ニ至リタルトキハ辞令ヲ用井スシテ予備役ハ後備役ニ後備役ハ退役ニ入ルモノトス
第二十一条 予備役後備役将校ハ満期後引続キ服役スルコトヲ得志願ノ者ハ年数ヲ定メ陸軍大臣ニ願出ヘシ
第二十二条 予備役後備役将校傷痍若クハ疾病ニ由リ永久服役ニ堪ヘスト思惟スルトキハ陸軍医官ノ診断証書若クハ地方医師ノ病況書ヲ添ヘ退役ヲ陸軍大臣ニ願出ヘシ
第二十三条 予備役後備役将校ハ現役将校同等官ノ次席トス
第二十四条 予備役後備役将校ハ召集ニ応スルトキ及朝拝参賀公私ノ儀式祭典其ノ他廉アル宴会等ノ場所ニ列スルトキハ陸軍ノ制服ヲ著スルモノトス但文官ニ任セラレタル者ハ召集ノ場合ヲ除クノ外文官ノ制服ヲ著スルモ妨ケナシ
第二十五条 予備役後備役将校ハ戦時若クハ事変ニ際シ之ヲ召集ス平常ニ在テハ勤務演習ノ為メ召集ス
第二十六条 予備役後備役将校ニシテ文官ニ任セラレ余人ヲ以テ代フヘカラサル職務ヲ奉スル者、外国ニ在ル者対馬警備隊区ニ在テ朝鮮国釜山ニ旅行又ハ寄留スル者ヲ除ク及市町村長、助役、収入役ト為ル者ハ勤務演習ノ為メ召集スルコトナシ
法律ヲ以テ設立シタル議会ノ議員ト為ル者其ノ開曽中亦同シ
第二十七条 予備役後備役将校ニシテ他ノ師管ニ寄留シ該師管ニ於テ勤務演習ヲ為サント欲スル者ハ師団長ニ願出テ其ノ許可ヲ受ケタルトキハ寄留地到著後寄留後出願ノ者ハ指令書受領後三日以内ニ予備役後備役編入年、現官ニ任セラレタル年月及嘗テ勤務演習ヲ為シタル年月ヲ記シ寄留地ノ師団長ニ届出ヘシ
第二十八条 予備役後備役将校ニシテ止ムヲ得サル事故アリ勤務演習召集ノ猶予ヲ願フ者ハ其ノ事実ヲ証明シ師団長ノ許可ヲ請フヘシ
第二十九条 現役ヨリ予備役若クハ後備役ニ入ル将校帰郷シタルトキハ十四日以内ニ師団長ニ届出ヘシ
従前ノ在職地若クハ其ノ他ノ地ニ一箇月以上滞在若クハ寄留セント欲スルトキ若クハ帰郷旅行日数一箇月以上ヲ要スルトキハ本籍市町村ニ於テ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ師団長ニ届出テ帰郷シタルトキハ前項ノ届出ヲ為スヘシ
前項ノ滞在地若クハ寄留地本籍地外ノ師管ニ係ルトキハ其ノ地ノ師団長ニモ届出ヘシ其ノ本籍ニ復帰シ若クハ寄留替ヲ為サントスルトキ亦同シ
第三十条 予備役後備役将校十四日以上旅行或ハ寄留セントスルトキハ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ師団長ニ届出テ帰郷シタルトキハ十四日以内ニ師団長ニ届出ヘシ
前項ノ寄留地本籍地外ノ師管ニ係ルトキハ其ノ地ノ師団長ニモ届出ヘシ其ノ本籍ニ復帰シ若クハ寄留替ヲ為サントスルトキ亦同シ
外国ニ在ル者召集ノ通報ヲ受ケ又ハ其ノ他ノ手続ニ依リ充員召集若クハ後備軍召集ノ挙アルコトヲ確知シタルトキハ直ニ帰朝シ本籍地到著後二十四時以内ニ師団長ニ届出ヘシ
第三十一条 予備役後備役将校兵籍上異動ヲ生シタルトキハ十四日以内ニ師団長ニ届出ヘシ但他ノ師管ニ戸籍ヲ転換シタルトキハ新旧所管ノ師団長ニ届出ヘシ
第三十二条 予備役後備役将校ニシテ市町村長、助役、収入役ト為リ又ハ法律ヲ以テ設立シタル議会ノ議員ト為リタルトキ並ニ之ヲ罷メタルトキハ十四日以内ニ師団長ニ届出ヘシ
第三十三条 予備役後備役将校ニシテ死亡又ハ失踪シタル者アルトキ及失踪中戸籍ヲ転換シタルトキハ其ノ戸主本人戸主ナレハ家族中家事ヲ担当スル者ヨリ十四日以内ニ師団長ニ届出ヘシ失踪者ノ帰郷シタルトキ若クハ踪跡ヲ知得シタルトキ亦同シ但他ノ師管ニ戸籍ヲ転換シタルトキハ新旧所管ノ師団長ニ届出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長東京市京都市大阪市ニ在テハ区長以下同シヨリ連隊区司令官ニ通知スヘシ
第三十四条 予備役後備役将校重罪軽罪罰金ヲ除クノ刑ニ処セラレタルトキハ刑名及刑期ヲ記シ其ノ戸主本人戸主ナレハ家族中家事ヲ担当スル者ヨリ十四日以内ニ師団長ニ届出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ連隊区司令官ニ通知スヘシ
第三十五条 予備役後備役将官ヨリ陸軍大臣ニ差出ス願書ハ師団長ヲ経由シ佐官以下ノ将校ヨリ師団長ニ差出ス願届書ハ連隊区司令官ヲ経由シ陸軍大臣ニ差出ス願書ハ連隊区司令官及師団長ヲ経由スヘシ
第三十六条 第二十七条第二十九条第一項及第二項第三十条第一項及第三項第三十一条乃至第三十四条ノ届出ヲ為ササル者ハ五銭以上一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス
第三十七条 第二十九条第三十条ノ通報人正当ノ事由ナクシテ召集ノ命ヲ通報セス若クハ其ノ通報ヲ遅緩シタル者ハ一日以上十日以下ノ拘留ニ処ス
第三十八条 本款ハ予備役後備役ノ将校相当官ニ適用ス
第二章 准士官ノ服役
第三十九条 本章ニ於テ准士官ト称スルハ歩騎砲工輜重兵特務曹長、砲工兵上等監護及二等軍楽長ヲ謂フ
第四十条 特務曹長ハ営内ニ居住セシムルヲ例トス警備隊ニ在テ警備隊区在籍ノ者ハ外泊ヲ許スコトアルヘシ
第四十一条 准士官ノ現役定限年齢ハ左ノ如シ
砲工兵上等監護 五十一歳
二等軍楽長 四十八歳
歩騎砲工輜重兵特務曹長 三十七歳
第四十二条 現役定限年齢ニ満タサルモ服役十一年以上ニシテ現役ニ堪ヘサル者ハ所管長官旨ヲ諭シテ現役ヲ退カシムルコトアルヘシ
第四十三条 特務曹長ハ現役定限年齢ニ満タサルモ正当ノ事故アルトキハ本人ノ願ニ依リ現役ヲ免シ予備役ニ服セシムルコトヲ得
第四十四条 特務曹長ハ現役定限年齢ニ満チ現役ヲ退キタルトキハ予備役ニ予備役終ルノ後ハ後備役ニ服セシム
第四十五条 予備役後備役特務曹長ノ服役年期ハ予備役ニ在テハ現役定限年齢ニ満ツル年ヨリ第四年目ノ三月三十一日迄トシ後備役ニ在テハ予備役満期後五箇年トス
第四十六条 予備役後備役砲工兵上等監護及予備役後備役二等軍楽長ノ服役年期ハ予備役ニ在テハ現役定限年齢ニ満ツル年ノ三月三十一日迄トシ後備役ニ在テハ現役定限年齢ニ満ツル年ヨリ第六年目ノ三月三十一日迄トス
第四十七条 准士官ノ現役予備役後備役服役ニ関スル諸般ノ事項ニ就テハ第一章第二条第五条第十三条第十四条第十六条第十七条第三十八条ヲ除クノ規定ヲ適用ス但第二十一条第二十二条ノ願書ハ師団長ニ差出スモノトス
第四十八条 予備役後備役ノ下士ヨリ特務曹長ニ進級シタル者ノ服役年期ハ予備役ニ在テハ現役定限年齢ニ満ツル年ヨリ第四年目ノ三月三十一日迄トシ後備役ニ在テハ現役定限年齢ニ満ツル年ヨリ第九年目ノ三月三十一日迄トス
第三章 下士ノ服役
第一款 通則
第四十九条 下士ノ服役ハ十二箇年四箇月トシ之ヲ分テ現役予備役及後備役トス其ノ服役ヲ終リタルトキハ第一国民兵役ニ服セシム
第五十条 各兵役期限既ニ満ツルト雖戦時或ハ事変ニ際スルトキ若クハ臨時ニ演習或ハ観兵ノ挙アルトキ若クハ航海中或ハ外国駐箚中ハ其ノ期限ヲ延ハスコトアルヘシ其ノ服役年期ノ計算ハ延期セサル者ニ同シ
第五十一条 現役ヲ離ルルトキ服役十二箇年四箇月ヲ過キ予備役後備役ニ服セサル者及事故ニ由リ常備後備ノ役若クハ兵役ヲ免スル者ハ同時ニ其ノ官ヲ免シ後備役満期ノ者ハ別ニ辞令ヲ用井スシテ其ノ官消滅スルモノトス
第二款 現役
第五十二条 現役下士ハ所属部隊ノ兵籍ニ編入シ現役期限満ツル迄服役セシム
第五十三条 隊附現役下士憲兵隊軍楽隊附ノ者ヲ除クハ営内ニ居住セシムルヲ例トス但警備隊ニ在テ警備隊区在籍ノ者ハ外泊ヲ許スコトアルヘシ
第五十四条 現役下士ノ服役期限ハ左ノ如シ
一 教導団及要塞砲兵射撃学校卒業者ヨリ下士ニ任セラレタル者及砲兵監護ニ任セラレタル者ハ任官ノ日ヨリ四箇年
二 憲兵科下士ハ憲兵上等兵ヨリ任セラレタル者ハ憲兵上等兵ヲ命セラレタル日ヨリ歩騎砲工輜重兵科下士ヨリ任セラレタル者ハ憲兵下士任官ノ日ヨリ七箇年但台湾憲兵ハ三箇年
三 砲兵工科学校及経理学校卒業者ヨリ諸工下士火工下士ヲ除クニ任セラレタル者ハ任官ノ日ヨリ七箇年
四 工兵監護砲台監守ハ任官ノ日ヨリ七箇年四箇月
五 蹄鉄工下士ハ入隊ノ日ヨリ五箇年
六 軍楽部下士ハ楽生ヲ命セラレタル日ヨリ七箇年四箇月
第五十五条 下士ハ現役満期ノ後現役定限年齢ニ満ツル迄ハ数次再服役ヲ為スコトヲ得
第五十六条 下士ノ現役定限年齢ハ左ノ如シ
砲工兵監護
砲台監守
諸工長
諸工下長
四十八歳
憲兵科下士
衛生部下士
軍吏部下士
軍楽部下士
四十五歳
歩騎砲工輜重兵科下士 四十歳
第五十七条 再服役年期ハ通常一年ヲ以テ一期トス満七年以上服役シ尚服役中ノ者ハ三年若クハ二年ヲ以テ一期トシ之ヲ請フコトヲ得
一期間ニ於テ現役定限年齢ニ満ツル者ハ其ノ定限迄之ヲ請フモノトス
再服役ハ自己所属ノ中隊憲兵分隊ニ在テハ分隊、警備隊ニ在テハ歩兵砲兵隊、軍楽隊ニ在テハ該隊以下同シ若クハ所属諸本部諸官廨ニ於テスルモノトス
第五十八条 再服役ハ中隊ニ在テハ其ノ所属中隊長憲兵分隊ニ在テハ分隊長、警備隊ニ在テハ歩兵砲兵隊長、軍楽隊ニ在テハ該隊長以下同シニ出願シ該中隊長ハ順序ヲ経テ連隊長又ハ之ト同等以上ノ権アル長官ノ認可ヲ請フヘシ
諸本部諸官廨ニ在テハ直属長官ニ出願スヘシ但直属長官連隊長ト同等ノ権ナキトキハ連隊長同等以上ノ権アル長官ノ認可ヲ請フヘシ
衛生部軍吏部下士ノ再服役ハ連隊長又ハ之ト同等以上ノ権アル長官ヨリ当該監督部長若クハ軍医部長ニ予メ協議スヘシ
再服役ヲ許可シタルトキハ誓約書ヲ中隊長若クハ直属長官ニ出サシム
第五十九条 再服役許可ノ後転隊若クハ転職シタルトキハ其ノ誓約書ヲ新所属ノ中隊長若クハ直属長官ニ移スヘシ
第六十条 現役中本人ヲ要スルニ非サレハ一家ノ生計ヲ営ミ難キ事故ヲ生スルトキハ本人ノ願ニ依リ現役ヲ免スルコトヲ得
第六十一条 現役中傷痍若クハ疾病ニ由リ現役ニ堪ヘ難キ者ハ現役ヲ免ス
第六十二条 現役中傷痍若クハ疾病ニ由リ常備後備ノ役ニ堪ヘ難キ者ハ其ノ役ヲ免シ永久服役ニ堪ヘ難キ者ハ兵役ヲ免ス
第六十三条 憲兵下士ニシテ素行修マラサル者ハ特ニ現役ヲ免ス
第六十四条 憲兵下士其ノ職務ヲ辱シムルニ依リ懲罰ノ処分ヲ受ケ其ノ情重キモノハ陸軍懲罰令ノ規定ニ拘ハラス官ヲ免スルコトヲ得
第六十五条 現役満期ニ至リタル者ハ其ノ服役シタル年月ヲ通算シ七箇年四箇月ニ満タサルトキハ予備役ニ十二箇年四箇月ニ満タサルトキハ後備役ニ服セシム
第六十六条 第六十条第六十一条第六十三条ニ依リ現役ヲ免シタル者ハ前条ノ例ニ依リ予備役又ハ後備役ニ服セシメ第六十二条ニ依リ常備後備ノ役ヲ免シタル者ハ第一国民兵役ニ服セシム
下士ニシテ禁錮ノ刑ニ処セラレ官ヲ失ヒ又ハ陸軍懲罰令若クハ第六十四条ニ依リ官ヲ免セラレタル者ハ歩騎砲工輜重兵科ニ在テハ当該兵科ノ兵卒ト為シ憲兵科及各部ニ在テハ前兵科ノ兵卒ト為シ軍楽部ニ在テハ楽生ト為シ其ノ服役シタル年月ヲ通算シ三箇年ニ満タサル者ハ三箇年ニ満ツル迄現役ニ服セシメ三箇年ヲ過クル者ハ前条ノ例ニ依リ予備役又ハ後備役ニ服セシメ十二箇年四箇月ヲ過クル者ハ第一国民兵役ニ服セシム
第六十七条 現役下士ニシテ其ノ服役七箇年四箇月若クハ十二箇年四箇月ノ後尚予備役若クハ後備役ニ服センコトヲ志願スル者ハ其ノ年数ヲ定メ現役満期ノ際連隊長若クハ之ト同等以上ノ権アル長官ニ願出ヘシ
連隊長若クハ之ト同等以上ノ権アル長官前項ノ服役ヲ許可シタルトキハ本人所管ノ連隊区司令官ニ通知スヘシ
第六十八条 第六十条乃至第六十四条ニ当ル者アルトキハ連隊長又ハ之ト同等以上ノ権アル長官ハ師団長若クハ之ト同等以上ノ権アル長官ノ認可ヲ請ヒ現役、常備後備役又ハ兵役ヲ免ス但師団長及之ト同等以上ノ権アル長官ニ在テハ自ラ之ヲ処分ス
衛生部軍吏部下士ニ在テハ連隊長若クハ之ト同等以上ノ権アル長官ヨリ当該監督部長又ハ軍医部長ニ移シ監督部長軍医部長ハ経理局長又ハ医務局長ノ認可ヲ請ヒ現役、常備後備役又ハ兵役ヲ免ス但経理局所属官衙ニ在テハ該局長自ラ之ヲ処分ス
第六十九条 現役中禁錮ノ刑ニ処セラレ又ハ逃亡シタル者ハ其ノ刑期中及逃亡中ノ日数ハ現役服役年期ニ算入セス
第三款 予備役及後備役
第七十条 予備役後備役下士ハ本籍所在師管ノ兵籍ニ編入シ連隊区司令官ノ管轄ニ属ス
第七十一条 予備役下士ノ服役期限ハ其ノ服役シタル年月ヲ通算シ七箇年四箇月トス
第七十二条 後備役下士ノ服役期限ハ予備役満期ノ後五箇年トス但七箇年四箇月以上現役ニ服シ直ニ後備役ニ入ル者ハ其ノ服役シタル年月ヲ通算シ十二箇年四箇月トス
第七十三条 予備役後備役下士服役満期ニ至リタルトキハ別ニ辞令ヲ用井スシテ予備役ハ後備役ニ後備役ハ第一国民兵役ニ入ルモノトス
第七十四条 予備役後備役下士満期後引続キ服役セント欲スルトキハ年数ヲ定メ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ願出ヘシ
第七十五条 予備役後備役下士傷痍若クハ疾病ニ由リ予備後備ノ役ニ堪ヘ難キ者ハ第一国民兵役ニ服セシメ永久服役ニ堪ヘ難キ者ハ兵役ヲ免ス
在郷中傷痍若クハ疾病ニ由リ永久服役ニ堪ヘスト思惟スルトキハ陸軍医官ノ診断証書若クハ地方医師ノ病況書ヲ添ヘ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
第七十六条 予備役後備役下士ハ戦時若クハ事変ニ際シ之ヲ召集ス平常ニ在テハ毎年一度簡閲点呼ヲ為シ又勤務演習ノ為メ召集ス
第七十七条 予備役後備役下士ニシテ文官ニ任セラレ余人ヲ以テ代フヘカラサル職務ヲ奉スル者、外国ニ在ル者対馬警備隊区ニ在テ朝鮮国釜山ニ旅行又ハ寄留スル者ヲ除ク及市町村長、助役、収入役トナル者ハ勤務演習簡閲点呼ノ為メ召集スルコトナシ
法律ヲ以テ設立シタル議会ノ議員ト為ル者其ノ開会中亦同シ
第七十八条 予備役後備役下士ニシテ他ノ連隊区警備隊区ニ在テハ其ノ区以下同シニ寄留スル者ハ願ニ依リ其ノ地ニ於テ簡閲点呼ヲ受クルコトヲ得
一箇年以上他ノ師管ニ寄留スル者ハ願ニ依リ寄留地師管ニ於テ勤務演習ヲ為スコトヲ得
前二項ニ依リ願出ル者ハ其ノ願書ニ本籍市町村長ノ奥書証印ヲ受ケ連隊区司令官ニ差出スヘシ但許可ヲ受ケタルトキハ寄留地到著後寄留後出願ノ者ハ指令書受領後三日以内ニ予備役後備役編入年、現官ニ任セラレタル年月及嘗テ勤務演習ヲ為シタル年月ヲ記シ其ノ由ヲ寄留地市町村長ヲ経テ同地連隊区司令官ニ届出ヘシ
第七十九条 予備役後備役下士ニシテ止ムヲ得サル事故アリ勤務演習召集ノ猶予若クハ簡閲点呼ノ免除ヲ願ハント欲スルトキハ其ノ願書ニ市町村長ノ奥書証印ヲ受ケ連隊区司令官ニ差出スヘシ
第八十条 現役ヨリ予備役若クハ後備役ニ入ル下士ハ十四日以内ニ従前ノ在職地ヲ出発シ一日行程十里詰ヨリ尠カラサル日数間ニ帰郷シ著後十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
従前ノ在職地若クハ其ノ他ノ地ニ十五日以上滞在若クハ寄留セントスルトキハ前項ノ出発期日内ニ本籍市町村ニ於テ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出テ帰郷シタルトキハ前項ノ届出ヲ為スヘシ
前項ノ滞在地若クハ寄留地本籍地外ノ連隊区ニ係ルトキハ其ノ地ノ市町村長ヲ経テ同地連隊区司令官ニモ届出ヘシ其ノ本籍ニ復帰シ若クハ寄留替ヲ為サントスルトキ亦同シ
第八十一条 予備役後備役下士十四日以上旅行或ハ寄留セントスルトキハ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出テ帰郷シタルトキハ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
前項ノ寄留地本籍地外ノ連隊区ニ係ルトキハ寄留地市町村長ヲ経テ同地連隊区司令官ニモ届出ヘシ其ノ本籍ニ復帰シ若クハ寄留替ヲ為サントスルトキ亦同シ
外国ニ在ル者召集ノ通報ヲ受ケ又ハ其ノ他ノ手続ニ依リ充員召集若クハ後備軍召集ノ挙アルコトヲ確知シタルトキハ直ニ帰朝シ本籍地到著後二十四時以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
第八十二条 予備役後備役下士兵籍上異動ヲ生シタルトキハ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ但他ノ連隊区ニ戸籍ヲ転換シタルトキハ新旧所管ノ連隊区司令官ニ届出ヘシ
第八十三条 予備役後備役下士ニシテ市町村長、助役、収入役ト為リ又ハ法律ヲ以テ設立シタル議会ノ議員ト為リタルトキ並ニ之ヲ罷メタルトキハ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
第八十四条 予備役後備役下士ニシテ死亡又ハ失踪シタル者アルトキ及失踪中戸籍ヲ転換シタルトキハ其ノ戸主本人戸主ナレハ家族中家事ヲ担当スル者ヨリ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ失踪者ノ帰郷シタルトキ若クハ踪跡ヲ知得シタルトキ亦同シ但他ノ連隊区ニ戸籍ヲ転換シタルトキハ新旧所管ノ連隊区司令官ニ届出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ連隊区司令官ニ通知スヘシ
第八十五条 予備役後備役下士重罪軽罪罰金ヲ除クノ刑ニ処セラレタルトキハ刑名及刑期ヲ記シ其ノ戸主本人戸主ナレハ家族中家事ヲ担当スル者ヨリ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ連隊区司令官ニ通知スヘシ
第八十六条 予備役後備役中犯罪ノ為メ又ハ正当ノ事由ナクシテ召集ヲ欠キタル者其ノ召集ヲ欠キタル年ハ服役年期ニ算入セス
第八十七条 第七十八条第三項但書第八十条第一項及第二項第八十一条第一項及第三項第八十二条乃至第八十五条ノ届出ヲ為ササル者ハ五銭以上一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス
第八十八条 第八十条第八十一条ノ通報人正当ノ事由ナクシテ召集ノ命ヲ通報セス若クハ其ノ通報ヲ遅緩シタル者ハ一日以上十日以下ノ拘留ニ処ス
第四章 兵卒ノ服役
第一款 通則
第八十九条 本章中ノ兵卒又ハ兵ニハ雑卒及職工ヲ包含ス
第九十条 徴兵令第七条第十六条第二十四条第二十九条第一項但書及第三項ノ規定ハ憲兵上等兵、楽手補、楽生及下士ニシテ官ヲ失ヒ若クハ官ヲ免セラレ兵卒ト為リタル者並ニ第百六十条ノ兵卒ニ適用ス
第九十一条 憲兵上等兵、楽手補、楽生ノ服役期限ハ十二箇年四箇月トシ之ヲ分テ現役予備役及後備役トス其ノ服役終リタルトキハ第一国民兵役ニ服セシム
第九十二条 兵卒ハ年齢満四十歳ヲ以テ服役ノ終期トス但第百三十二条ニ依リ服役スル者ハ満四十五歳トナル年ノ三月三十一日ヲ以テ終期トス
第二款 現役
第九十三条 現役兵ハ入隊ノ日ヨリ其ノ隊ノ兵籍ニ編入シ現役期限満ツル迄服役セシム
第九十四条 現役兵ハ営内ニ居住セシムルヲ例トス
憲兵上等兵、楽手補ハ営外ニ居住セシム
楽生中品行方正勤務勉励技芸熟達且楽生ヲ命セラレタル日ヨリ一箇年以上精勤セシ者ハ営外ニ居住セシムルコトアルヘシ
警備隊看護手、縫工、靴工中品行方正勤務勉励且技芸熟達ノ者ハ外泊ヲ許スコトアルヘシ
第九十五条 憲兵上等兵ノ現役期限ハ憲兵上等兵ヲ命セラレタル日ヨリ七箇年トス但台湾憲兵ハ三箇年トス
第九十六条 砲兵助卒、砲兵輸卒、輜重輸卒ノ現役期限ハ二箇年四箇月トシ砲兵助卒ハ一箇年間、砲兵輸卒ハ四箇月間、輜重輸卒ハ三箇月間在営セシム
戦時若クハ事変ニ際スルトキ其ノ他必要ノ場合ニハ在営期限ヲ伸縮スルコトアルヘシ
第九十七条 楽手補、楽生ノ現役期限ハ楽生ヲ命セラレタル日ヨリ七箇年四箇月トス
第九十八条 警備隊現役兵ノ在営期限ハ一箇年トス
第九十九条 警備隊現役兵中上等兵タルノ技能ヲ有スル者及上等兵、看護手ニシテ志願ノ者ハ尚一箇年間在営セシムルコトヲ得
警備隊上等兵及看護手中下士タルノ技能ヲ有スル者及縫工、靴工ニシテ志願ノ者ハ現役期限満ツル迄在営セシムルコトヲ得
第百条 上等兵、看護手、楽手補、楽生及警備隊縫工、靴工ハ現役満期ノ後現役定限年齢ニ満ツル迄数次再服役ヲ為スコトヲ得但歩騎砲工輜重兵上等兵及看護手ハ下士タルノ技能ヲ有スル者ニ限ル
前項ノ再服役ニ関シテハ第五十七条乃至第五十九条ヲ適用ス
第百一条 兵卒ノ現役定限年齢ハ左ノ如シ
憲兵上等兵 雑卒 職工 四十歳
歩騎砲工輜重兵卒 三十五歳
第百二条 現役中本人ヲ要スルニアラサレハ家族自活シ能ハサル事故ヲ生スルトキハ其ノ家族ノ願ニ依リ現役ヲ免ス
第百三条 現役中傷痍若クハ疾病ニ由リ一時服役ニ堪ヘ難キ者ハ現役ヲ免ス
第百四条 現役中傷痍若クハ疾病ニ由リ常備後備ノ役ニ堪ヘ難キ者ハ其ノ役ヲ免シ永久服役ニ堪ヘ難キ者ハ兵役ヲ免ス
第百五条 憲兵上等兵現役中左ニ掲クル事項ニ当ル者ハ其ノ職ヲ免ス
一 職務ヲ辱シムルニ由リ懲罰ノ処分ヲ受ケ其ノ情重キトキ
二 素行修マラス屡懲罰ノ処分ヲ受ケ又ハ上官ノ説諭ヲ受クルモ悛改ノ状ナキトキ
第百六条 現役満期ニ至リタル者ハ其ノ服役シタル年月ヲ通算シ七箇年四箇月ニ満タサルトキハ予備役ニ十二箇年四箇月ニ満タサルトキハ後備役ニ服セシム
第百七条 第百二条第百三条ニ依リ現役ヲ免シタル者ハ前条ノ例ニ依リ予備役又ハ後備役ニ服セシメ第百四条ニ依リ常備後備ノ役ヲ免シタル者ハ第一国民兵役ニ服セシム但第百二条第百三条ニ当ル者軍隊第一期ノ教育ヲ卒ラサル前ニ在テハ第二補充兵役ニ服セシム其ノ服役年期ハ前役ヲ通シテ一箇年四箇月トス
第百八条 上等兵、看護手及楽手補ニシテ禁錮ノ刑ニ処セラレ職ヲ失ヒ又ハ陸軍懲罰令若クハ第百五条ニ依リ職ヲ免セラレタル者ハ歩騎砲工輜重兵科ニ在テハ当該兵科ノ兵卒ト為シ憲兵上等兵及看護手ニ在テハ前兵科ノ兵卒ト為シ楽手補ハ楽生ト為シ其ノ服役シタル年月ヲ通算シ三箇年ニ満タサル者ハ三箇年ニ満ツル迄現役ニ服セシメ三箇年ヲ過クル者ハ第百六条ノ例ニ依リ予備役又ハ後備役ニ服セシメ十二箇年四箇月ヲ過クル者ハ第一国民兵役ニ服セシム
第百九条 第百二条ニ依リ免役ヲ願出テントスル者ハ其ノ願書ニ同徴募区内現役兵ノ戸主憲兵上等兵、楽手補、楽生ハ近隣ノ戸主二名ノ保証書ヲ添ヘ島司郡市長ヲ経テ連隊区司令官ニ差出スヘシ但町村ニ於テハ町村長ノ奥書証印ヲ受クヘキモノトス
島司郡市長ハ其ノ事実ヲ審覈シ状況書ヲ作リ願書ト共ニ連隊区司令官ニ送附シ連隊区司令官ハ之ニ意見ヲ附シ願書ト共ニ本人所属ノ連隊長若クハ之ト同等以上ノ権アル長官ニ移スヘシ
第百十条 第百二条乃至第百五条ニ当ル者アルトキハ連隊長若クハ之ト同等以上ノ権アル長官ハ師団長若クハ之ト同等以上ノ権アル長官ノ認可ヲ請ヒ現役、常備後備役又ハ兵役ヲ免ス
第百十一条 憲兵上等兵、楽手補、楽生現役中禁錮ノ刑ニ処セラレ又ハ逃亡シタルトキハ其ノ刑期中逃亡中ノ日数ハ服役年期ニ算入セス
第百十二条 現役中徴兵令第十五条ニ依リ帰休ヲ命スヘキ者ハ二箇年以上服役シタル者ニ限ル但警備隊兵卒、砲兵助卒ハ八箇月以上在営シタル者ニ限ル
帰休ヲ命スヘキ人員ハ陸軍大臣上裁ヲ経テ之ヲ定ム
第百十三条 帰休兵ハ本籍所在師管ノ兵籍ニ編入シ連隊区司令官ノ管轄ニ属ス
第百十四条 帰休兵在郷中現役満期ニ至リタルトキハ別ニ命ナクシテ予備役ニ入ルモノトス
第百十五条 帰休兵在郷中傷痍若クハ疾病ニ由リ永久服役ニ堪ヘスト思惟スルトキハ陸軍医官ノ診断証書若クハ地方医師ノ病況書ヲ添ヘ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
第百十六条 帰休兵ハ戦時若クハ事変ニ際シ之ヲ召集ス平常ニ在テハ毎年一度簡閲点呼ヲ為シ又演習ノ為メ若クハ臨時兵員ノ補欠ヲ要スルトキ之ヲ召集ス
第百十七条 帰休兵ハ官庁ニ奉職スルコトヲ得但奉職ノ故ヲ以テ召集ヲ猶予若クハ免除スルコトナシ
第百十八条 帰休兵ハ退営後七日以内ニ衛戍地ヲ出発シ一日行程十里詰ヨリ尠カラサル日数間ニ帰郷シ著後七日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
退営後衛戍地若クハ其ノ他ノ地ニ八日以上滞在若クハ寄留セントスルトキハ前項ノ出発期日内ニ本籍市町村ニ於テ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出テ帰郷シタルトキハ前項ノ届出ヲ為スヘシ
前項ノ滞在地若クハ寄留地本籍地外ノ連隊区ニ係ルトキハ其ノ地ノ市町村長ヲ経テ同地連隊区司令官ニモ届出ヘシ其ノ本籍ニ復帰シ若クハ寄留替ヲ為サントスルトキ亦同シ
第百十九条 帰休兵十四日以上旅行又ハ寄留セントスルトキハ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出テ帰郷シタルトキハ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ其ノ由ヲ連隊区司令官ニ届出ヘシ
前項ノ寄留地本籍地外ノ連隊区ニ係ルトキハ寄留地市町村長ヲ経テ同地連隊区司令官ニモ届出ヘシ其ノ本籍ニ復帰シ若クハ寄留替ヲ為サントスルトキ亦同シ
第百二十条 帰休兵ハ外国ニ旅行又ハ寄留スルヲ許サス
対馬警備隊区ニ在テハ朝鮮国釜山ニ旅行又ハ寄留スルコトヲ得但此ノ場合ニ於テハ第百十九条第一項ノ例ニ依ルヘシ
第百二十一条 帰休兵兵籍上異動ヲ生シタルトキハ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ但他ノ連隊区ニ戸籍ヲ転換シタルトキハ新旧所管ノ連隊区司令官ニ届出ヘシ
第百二十二条 帰休兵ニシテ死亡又ハ失踪シタル者アルトキ及失踪中戸籍ヲ転換シタルトキハ其ノ戸主本人戸主ナレハ家族中家事ヲ担当スル者ヨリ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ失踪者ノ帰郷シタルトキ若クハ踪跡ヲ知得シタルトキ亦同シ但他ノ連隊区ニ戸籍ヲ転換シタルトキハ新旧所管ノ連隊区司令官ニ届出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ連隊区司令官ニ通知スヘシ
第百二十三条 帰休兵重罪軽罪罰金ヲ除クノ刑ニ処セラレタルトキハ刑名及刑期ヲ記シ其ノ戸主本人戸主ナレハ家族中家事ヲ担当スル者ヨリ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ連隊区司令官ニ通知スヘシ
第百二十四条 帰休兵演習又ハ臨時兵員補欠ノ為メ召集ノ命ヲ受ケタルトキ傷痍疾病其ノ他ノ事故ニテ召集ニ応シ難キトキハ傷痍疾病ノ者ハ陸軍医官ノ診断証書若クハ地方医師ノ病況書其ノ他ノ事故ハ証明書ヲ添ヘ召集期日迄ニ市町村長ノ奥書証印ヲ受ケ連隊区司令官ニ届出ヘシ
第百二十五条 第百十八条第一項及第二項第百十九条第一項第百二十条第二項第百二十一条乃至第百二十四条ノ届出ヲ為ササル者ハ五銭以上一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス
第百二十六条 第百十八条第百十九条ノ通報人正当ノ事由ナクシテ召集ノ命ヲ通報セス若クハ其ノ通報ヲ遅緩シタル者及第百二十条第一項ニ違背シタル者ハ一日以上十日以下ノ拘留ニ処ス
第百二十七条 警備隊兵卒、砲兵助卒、砲兵輸卒、輜重輸卒ニシテ在営期限満チ退営後尚現役中ニ在ル者ハ本籍所在師管ノ兵籍ニ編入シ連隊区司令官ノ管轄ニ属ス其ノ在郷中ハ第百十四条乃至第百二十六条ノ規定ニ従フモノトス
第三款 予備役及後備役
第百二十八条 予備役後備役兵卒ハ本籍所在師管ノ兵籍ニ編入シ連隊区司令官ノ管轄ニ属ス
第百二十九条 再服役満期若クハ第百七条第百八条ニ依リ予備役ニ入ル者ノ服役期限ハ其ノ服役シタル年月ヲ通算シ七箇年四箇月トス台湾憲兵ニシテ通常ノ現役ヲ終リ予備役ニ入ル者亦同シ
第百三十条 前条ニ依リ予備役ヲ終リタル者ハ五箇年間後備役ニ服セシム
七箇年四箇月以上現役ニ服シ直ニ後備役ニ入ル者ノ服役期限ハ其ノ服役シタル年月ヲ通算シ十二箇年四箇月トス
第百三十一条 予備役後備役兵卒服役満期ニ至リタルトキハ別ニ命ナクシテ予備役ハ後備役ニ後備役ハ第一国民兵役ニ入ルモノトス
第百三十二条 予備役後備役兵卒ニシテ各兵科、衛生部、軍吏部下士適任証書又ハ砲兵工科学校、経理学校卒業証書ヲ所持スル者ハ満期後引続キ服役スルコトヲ得志願ノ者ハ年数ヲ定メ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ願出ヘシ
第百三十三条 予備役後備役兵卒傷痍若クハ疾病ニ由リ予備後備ノ役ニ堪ヘ難キ者ハ第一国民兵役ニ服セシメ永久服役ニ堪ヘ難キ者ハ兵役ヲ免ス
在郷中傷痍若クハ疾病ニ由リ永久服役ニ堪ヘスト思惟スルトキハ陸軍医官ノ診断証書若クハ地方医師ノ病況書ヲ添ヘ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
第百三十四条 予備役後備役兵卒ニシテ外国ニ旅行又ハ寄留中ノ者ハ勤務演習簡閲点呼ノ為メ召集スルコトナシ但対馬警備隊区ニ在テ朝鮮国釜山ニ旅行又ハ寄留スル者ハ此ノ限ニアラス
第百三十五条 予備役後備役兵卒ニシテ他ノ連隊区ニ寄留スル者ハ願ニ依リ其ノ地ニ於テ簡閲点呼ヲ受クルコトヲ得
一箇年以上他ノ師管ニ寄留スル者ハ願ニ依リ寄留地師管ニ於テ勤務演習ヲ為スコトヲ得
前二項ニ依リ願出ル者ハ其ノ願書ニ本籍市町村長ノ奥書証印ヲ受ケ連隊区司令官ニ差出スヘシ但許可ヲ受ケタルトキハ寄留地到著後寄留後出願ノ者ハ指令書受領後三日以内ニ予備役後備役編入年ヲ記シ其ノ由ヲ寄留地市町村長ヲ経テ同地連隊区司令官ニ届出ヘシ
第百三十六条 予備役後備役兵卒ニシテ止ムヲ得サル事故アリ勤務演習召集ノ猶予若クハ簡閲点呼ノ免除ヲ願ハント欲スルトキハ其ノ願書ニ市町村長ノ奥書証印ヲ受ケ連隊区司令官ニ差出スヘシ
第百三十七条 現役ヨリ予備役若クハ後備役ニ入ル兵卒ハ七日以内ニ衛戍地ヲ出発シ一日行程十里詰ヨリ尠カラサル日数間ニ帰郷シ著後七日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
衛戍地若クハ其ノ他ノ地ニ八日以上滞在若クハ寄留セントスルトキハ前項ノ出発期日内ニ本籍市町村ニ於テ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出テ帰郷シタルトキハ前項ノ届出ヲ為スヘシ
前項ノ滞在地若クハ寄留地本籍地外ノ連隊区ニ係ルトキハ其ノ地ノ市町村長ヲ経テ同地連隊区司令官ニモ届出ヘシ其ノ本籍ニ復帰シ若クハ寄留替ヲ為サントスルトキ亦同シ
第百三十八条 予備役後備役兵卒十四日以上旅行或ハ寄留セントスルトキハ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出テ帰郷シタルトキハ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
前項ノ寄留地本籍地外ノ連隊区ニ係ルトキハ寄留地市町村長ヲ経テ同地連隊区司令官ニモ届出ヘシ其ノ本籍ニ復帰シ若クハ寄留替ヲ為サントスルトキ亦同シ
外国ニ在ル者召集ノ通報ヲ受ケ又ハ其ノ他ノ手続ニ依リ充員召集若クハ後備軍召集ノ挙アルコトヲ確知シタルトキハ直ニ帰朝シ本籍地到著後二十四時以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
第百三十九条 予備役後備役兵卒兵籍上異動ヲ生シタルトキハ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ但他ノ連隊区ニ戸籍ヲ転換シタルトキハ新旧所管ノ連隊区司令官ニ届出ヘシ
第百四十条 予備役後備役兵卒ニシテ市町村長、助役、収入役ト為リ又ハ法律ヲ以テ設立シタル議会ノ議員ト為リタルトキ並ニ之ヲ罷メタルトキハ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
第百四十一条 予備役後備役兵卒ニシテ死亡又ハ失踪シタル者アルトキ及失踪中戸籍ヲ転換シタルトキハ其ノ戸主本人戸主ナレハ家族中家事ヲ担当スル者ヨリ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ失踪者ノ帰郷シタルトキ若クハ踪跡ヲ知得シタルトキ亦同シ但他ノ連隊区ニ戸籍ヲ転換シタルトキハ新旧所管ノ連隊区司令官ニ届出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ連隊区司令官ニ通知スヘシ
第百四十二条 予備役後備役兵卒重罪軽罪罰金ヲ除クノ刑ニ処セラレタルトキハ刑名及刑期ヲ記シ其ノ戸主本人戸主ナレハ家族中家事ヲ担当スル者ヨリ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ連隊区司令官ニ通知スヘシ
第百四十三条 第百三十五条第三項但書第百三十七条第一項及第二項第百三十八条第一項及第三項第百三十九条乃至第百四十二条ノ届出ヲ為ササル者ハ五銭以上一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス
第百四十四条 第百三十七条第百三十八条ノ通報人正当ノ事由ナクシテ召集ノ命ヲ通報セス若クハ其ノ通報ヲ遅緩シタル者ハ一日以上十日以下ノ拘留ニ処ス
第五章 補充兵ノ服役
第百四十五条 第一補充兵第二補充兵ハ本籍所在師管ノ兵籍ニ編入シ連隊区司令官ノ管轄ニ属ス
第百四十六条 補充兵服役満期ニ至リタルトキハ別ニ命ナクシテ第一補充兵ハ第一国民兵役ニ第二補充兵ハ第二国民兵役ニ入ルモノトス
第百四十七条 補充兵傷痍若クハ疾病ニ由リ補充兵役ニ堪ヘ難キ者ハ第二国民兵役ニ服セシメ永久服役ニ堪ヘ難キ者ハ兵役ヲ免ス
在郷中傷痍若クハ疾病ニ由リ永久服役ニ堪ヘスト思惟スルトキハ陸軍医官ノ診断証書若クハ地方医師ノ病況書ヲ添ヘ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
第百四十八条 第一補充兵ニシテ外国ニ旅行又ハ寄留中ノ者ハ勤務演習簡閲点呼ノ為メ召集スルコトナシ但対馬警備隊区ニ在テ朝鮮国釜山ニ旅行又ハ寄留スル者ハ此ノ限ニアラス
第百四十九条 第一補充兵ニシテ他ノ連隊区ニ寄留スル者ハ願ニ依リ其ノ地ニ於テ簡閲点呼ヲ受クルコトヲ得
一箇年以上他ノ師管ニ寄留スル者ハ願ニ依リ寄留地師管ニ於テ勤務演習ヲ為スコトヲ得
前二項ニ依リ願出ル者ハ其ノ願書ニ本籍市町村長ノ奥書証印ヲ受ケ連隊区司令官ニ差出スヘシ但許可ヲ受ケタルトキハ寄留地到著後寄留後出願ノ者ハ指令書受領後三日以内ニ第一補充兵編入年ヲ記シ其ノ由ヲ寄留地市町村長ヲ経テ同地連隊区司令官ニ届出ヘシ
第百五十条 第一補充兵ニシテ止ムヲ得サル事故アリ勤務演習召集ノ猶予若クハ簡閲点呼ノ免除ヲ願ハント欲スルトキハ其ノ願書ニ市町村長ノ奥書証印ヲ受ケ連隊区司令官ニ差出スヘシ
第百五十一条 補充兵十四日以上旅行或ハ寄留セントスルトキハ召集ノ命アルトキ之ヲ通報スヘキ者成年以上ノ男子ニ限ルヲ定メ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出テ帰郷シタルトキハ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
前項ノ寄留地本籍地外ノ連隊区ニ係ルトキハ寄留地市町村長ヲ経テ同地連隊区司令官ニモ届出ヘシ其ノ本籍ニ復帰シ若クハ寄留替ヲ為サントスルトキ亦同シ
外国ニ在ル者召集ノ通報ヲ受ケ又ハ其ノ他ノ手続ニ依リ充員召集若クハ後備軍召集ノ挙アルコトヲ確知シタルトキハ直ニ帰朝シ本籍地到著後二十四時以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
第百五十二条 第一補充兵兵籍上異動ヲ生シタルトキハ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ但他ノ連隊区ニ戸籍ヲ転換シタルトキハ新旧所管ノ連隊区司令官ニ届出ヘシ
第百五十三条 第一補充兵ニシテ市町村長、助役、収入役ト為リ又ハ法律ヲ以テ設立シタル議会ノ議員ト為リタルトキ並ニ之ヲ罷メタルトキハ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
第百五十四条 補充兵ニシテ死亡又ハ失踪シタル者アルトキ及失踪中戸籍ヲ転換シタルトキハ其ノ戸主本人戸主ナレハ家族中家事ヲ担当スル者ヨリ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ失踪者ノ帰郷シタルトキ若クハ踪跡ヲ知得シタルトキ亦同シ但他ノ連隊区ニ戸籍ヲ転換シタルトキハ新旧所管ノ連隊区司令官ニ届出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ連隊区司令官ニ通知スヘシ
第百五十五条 補充兵重罪軽罪罰金ヲ除クノ刑ニ処セラレタルトキハ刑名及刑期ヲ記シ其ノ戸主本人戸主ナレハ家族中家事ヲ担当スル者ヨリ十四日以内ニ市町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ届出ヘシ
家族ナキ者ニシテ前項ノ事故ヲ生シタルトキハ市町村長ヨリ連隊区司令官ニ通知スヘシ
第百五十六条 第百四十九条第三項但書第百五十一条第一項及第三項第百五十二条乃至第百五十五条ノ届出ヲ為ササル者ハ五銭以上一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス
第百五十七条 第百五十一条ノ通報人正当ノ事由ナクシテ召集ノ命ヲ通報セス若クハ其ノ通報ヲ遅緩シタル者ハ一日以上十日以下ノ拘留ニ処ス
第六章 雑則
第百五十八条 一年志願兵、六週間現役兵及屯田各兵科下士兵卒ノ服役ニ関シテハ別ニ定ムル所ニ依ル
第百五十九条 一年志願兵ヨリ予備役ニ転入シタル士官、准士官及下士兵卒ノ予備役後備役服役年期ハ一年志願兵条例ノ規定ニ依ル
第百六十条 士官候補生、見習医官、見習薬剤官、見習獣医官及見習軍吏ニシテ各兵科各部ノ下士ニ任セラレ又ハ兵卒ト為リ予備役ニ編入セラレタル者ハ其ノ編入年ノ十二月一日ヨリ起算シ七箇年四箇月間予備役ニ予備役終ルノ後五箇年間後備役ニ服セシメ後備役終ルノ後ハ第一国民兵役ニ服セシム
第百六十一条 本条例中特ニ下士兵卒雑卒職工ヲ包含ス以下同シノ服役期限ヲ定メサルモノハ総テ徴兵令ノ規定ニ従フモノトス
第百六十二条 現役予備役将校、同相当官一年志願兵ヨリ予備役将校同相当官トナリタル者ヲ除クニシテ服役延期中進級シタル者ノ服役期限ハ前官ノ現役定限年齢ニ依ル
第百六十三条 予備役後備役将校、同相当官、准士官、下士、兵卒及第一補充兵ニシテ文官ニ任セラレ若クハ公吏トナリ余人ヲ以テ代フヘカラサル者又ハ運輸其ノ他ノ業ニ従事シ戦役ニ関シ必要ノ職務ヲ執ル者ハ陸軍大臣上裁ヲ経テ充員召集若クハ後備軍召集ヲ猶予スルコトアルヘシ
第百六十四条 徴兵令第二十四条及本条例第二十六条第七十七条ノ余人ヲ以テ代フヘカラサル職務ヲ奉スル者ハ予メ当該官庁ヨリ内閣ニ具状シ勤務演習及簡閲点呼免除ノ認可ヲ受ケ将校、同相当官及准士官ニ在テハ本人所管ノ師団長ニ下士以下ニ在テハ本人所管ノ連隊区司令官ニ通報スヘシ其ノ事故止ミタルトキ亦同シ
第百六十五条 本条例ニ依リ町村長ヲ経テ連隊区司令官ニ差出ス在郷陸軍軍人ノ願届書ハ尚島司郡長ヲ経由スヘシ
附 則
第百六十六条 市制町村制ヲ実施セサル地方ニ在テ本条例中市町村長ノ職務ハ区戸長及之ニ準スヘキ者之ヲ行フ
第百六十七条 陸軍予備後備将校服役条例、陸軍予備後備下士兵卒服役条例、陸軍現役下士上等兵再服役条例、陸軍帰休兵条例及明治二十二年勅令第三十七号ハ本条例施行ノ日ヨリ廃止ス
第百六十八条 本条例ハ発布ノ日ヨリ施行ス