肉用子牛生産安定等特別措置法
法令番号: 法律第98号
公布年月日: 昭和63年12月22日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

日米・日豪間協議により、昭和66年度から輸入牛肉の割当制度を撤廃し、畜産振興事業団による輸入牛肉の一元的取扱いを廃止することとなった。これにより国産牛肉の需給・価格への重大な影響が見込まれる中、国内の肉用牛生産を維持するため、肉用子牛生産の安定化が必要となっている。そこで、畜産振興事業団に肉用子牛の生産者補給交付金等の交付業務を行わせるとともに、牛肉関税収入を財源とする特別措置を講じることで、肉用子牛生産の安定と畜産の健全な発達を図り、農業経営の安定に資することを目的とする。

参照した発言:
第113回国会 衆議院 本会議 第12号

審議経過

第113回国会

衆議院
(昭和63年10月13日)
(昭和63年10月19日)
(昭和63年10月25日)
(昭和63年11月2日)
(昭和63年11月8日)
(昭和63年11月18日)
参議院
(昭和63年11月21日)
(昭和63年11月22日)
(昭和63年12月6日)
(昭和63年12月15日)
(昭和63年12月16日)
肉用子牛生産安定等特別措置法をここに公布する。
御名御璽
国事行為臨時代行名
昭和六十三年十二月二十二日
内閣総理大臣 竹下登
法律第九十八号
肉用子牛生産安定等特別措置法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
畜産振興事業団の業務の範囲の特例(第三条・第四条)
第三章
肉用子牛についての生産者補給金等の交付(第五条―第十二条)
第四章
肉用子牛等対策費の財源等(第十三条・第十四条)
第五章
雑則(第十五条―第十七条)
第六章
罰則(第十八条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、牛肉の輸入に係る事情の変化が肉用子牛の価格等に及ぼす影響に対処して、当分の間、畜産振興事業団に都道府県肉用子牛価格安定基金協会が交付する肉用子牛についての生産者補給金に充てるための生産者補給交付金等の交付の業務を行わせるとともに当該生産者補給交付金等の交付その他食肉に係る畜産の振興に資する施策の実施に要する経費の財源に関する特別の措置等を講ずることにより、肉用子牛生産の安定その他食肉に係る畜産の健全な発達を図り、農業経営の安定に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「肉用子牛」とは、肉用牛であつて政令で定める月齢未満のものをいう。
第二章 畜産振興事業団の業務の範囲の特例
(畜産振興事業団の業務)
第三条 畜産振興事業団(以下「事業団」という。)は、畜産物の価格安定等に関する法律(昭和三十六年法律第百八十三号。以下「法」という。)第三十八条第一項及び第二項に規定する業務のほか、次の業務を行う。
一 肉用子牛についての生産者補給交付金の交付
二 肉用子牛についての生産者積立助成金の交付
三 前二号の業務に附帯する業務
2 前項第一号及び第二号の業務は、次条及び次章に定めるところにより行うものとする。
(業務の委託)
第四条 事業団は、前条第一項第一号の業務(生産者補給交付金の交付の決定を除く。)及び同項第二号の業務(生産者積立助成金の交付の決定を除く。)の一部を都道府県その他農林水産大臣の指定する者に委託することができる。
2 前項に規定する者は、他の法律の規定にかかわらず、同項の規定による委託を受けて、当該業務を行うことができる。
第三章 肉用子牛についての生産者補給金等の交付
(保証基準価格等)
第五条 この章において「保証基準価格」とは、肉用子牛の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、肉用子牛の再生産を確保することを旨として、毎会計年度、当該年度の開始前に農林水産大臣が定める金額をいう。
2 この章において「合理化目標価格」とは、牛肉の国際価格の動向、肉用牛の肥育に要する合理的な費用の額等からみて、肉用牛生産の健全な発達を図るため肉用子牛生産の合理化によりその実現を図ることが必要な肉用子牛の生産費を基準として、政令で定める期間ごとに農林水産大臣が定める金額をいう。
3 この章において「平均売買価格」とは、肉用子牛の主要な生産地域に所在する家畜市場であつて農林水産大臣の指定するものにおける指定肉用子牛(農林水産省令で定める規格に適合する肉用子牛をいう。次項において同じ。)の売買価格の政令で定める期間ごとの平均額として農林水産省令で定めるところにより算出される金額をいう。
4 保証基準価格及び合理化目標価格(以下「保証基準価格等」という。)は、家畜市場における指定肉用子牛の売買価格として定めるものとする。
5 農林水産大臣は、保証基準価格等を定めるに当たつては、酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律(昭和二十九年法律第百八十二号)第二条の二第一項に規定する基本方針に即し、肉用牛生産の近代化を促進することとなるように配慮するものとする。
6 農林水産大臣は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、保証基準価格等を改定することができる。
7 農林水産大臣は、保証基準価格等を定め、又は改定しようとするときは、政令で定める審議会の意見を聴かなければならない。
8 農林水産大臣は、保証基準価格等を定め、又は改定したときは、遅滞なく、これを告示するものとする。
9 農林水産大臣は、第三項の政令で定める期間の満了後遅滞なく、平均売買価格を告示するものとする。
(生産者補給交付金等の交付)
第六条 事業団は、平均売買価格が保証基準価格を下回る場合には、予算の範囲内で、第十条に定めるところにより、酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律第二十四条の三の五に規定する都道府県肉用子牛価格安定基金協会(以下「協会」という。)であつて都道府県知事の指定を受けたものに対し、当該協会が生産者補給金交付契約(協会が肉用子牛の生産者(肉用子牛を譲り受けてその飼養を行う者にあつてはその譲受けに係る肉用子牛が政令で定める要件に適合するものに限り、法人にあつては政令で定めるものに限る。以下同じ。)に交付する生産者補給金に係る契約であつて、平均売買価格が合理化目標価格を下回る場合における当該生産者補給金の一部に充てるための積立金(以下「生産者積立金」という。)の積立てに要する負担金を肉用子牛の生産者が協会に納付する旨の定めがあるものをいう。以下同じ。)に係る肉用子牛につきその生産者に交付する生産者補給金の全部又は一部に充てるため、生産者補給交付金を交付することができる。
2 事業団は、予算の範囲内で、前項の指定を受けた協会(以下「指定協会」という。)に対し、その生産者積立金の一部に充てるため、政令で定めるところにより、生産者積立助成金を交付することができる。
3 都道府県は、指定協会に対し、その生産者積立金の一部に充てるため、生産者積立助成金を交付することができる。
(協会の指定)
第七条 前条第一項の指定は、都道府県の区域ごとに、その指定を受けようとする協会の申請により、当該都道府県知事が行う。
2 前条第一項の指定を受けようとする協会は、農林水産省令で定める手続に従い、肉用子牛についての生産者補給金の交付の業務(以下「生産者補給金交付業務」という。)に関する規程(以下「業務規程」という。)を定め、これを指定申請書に添えて、当該都道府県知事に提出しなければならない。
3 前条第一項の指定は、その申請が次の要件のすべてに適合している場合でなければ、してはならない。
一 生産者補給金交付業務を適正かつ確実に実施できると認められること。
二 申請者の業務規程によれば、当該都道府県の区域内で生産される肉用子牛の生産者のすべてが申請者と生産者補給金交付契約を締結することができると認められること。
三 申請者の業務規程において、第十条の確認に関する事項、生産者積立金の積立て及びこれに要する負担金の納付に関する事項、生産者積立金から交付する生産者補給金の金額の算定及びその交付の方法に関する事項その他農林水産省令で定める事項が農林水産省令で定める基準に従い定められていること。
四 申請者が第九条第一項の規定により指定を解除され、その解除の日から二年を経過しない者でないこと。
4 都道府県知事は、前条第一項の指定をしたときは、遅滞なく、その旨を、公示し、かつ、農林水産大臣に届け出なければならない。
(業務規程の変更)
第八条 指定協会は、業務規程を変更しようとするときは、農林水産省令で定める手続に従い、当該指定をした都道府県知事の承認を受けなければならない。
2 都道府県知事は、前項の承認の申請に係る業務規程が前条第三項第二号及び第三号の要件に適合している場合でなければ、前項の承認をしてはならない。
(指定の解除)
第九条 都道府県知事は、指定協会が次のいずれかに該当するときは、政令で定めるところにより、第六条第一項の指定を解除することができる。
一 第七条第三項第一号の要件に適合しなくなつたとき。
二 業務規程に違反して生産者補給金交付業務を行つたとき。
三 正当な理由がないのに当該都道府県の区域内で生産される肉用子牛の生産者との生産者補給金交付契約の締結を拒んだとき。
四 前条第一項の規定に違反したとき。
五 第六条第一項の指定の解除の申出があつたとき。
2 第七条第四項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。
(生産者補給交付金の金額)
第十条 事業団が交付する生産者補給金交付契約に係る肉用子牛についての生産者補給交付金の金額は、第五条第三項の政令で定める期間ごと及び指定協会ごとに、保証基準価格から平均売買価格(その平均売買価格が合理化目標価格を下回る場合にあつては、その合理化目標価格)を控除した金額に、生産者補給金交付契約に係る肉用子牛であつて、当該政令で定める期間内に、その肉用子牛の生産者が政令で定める月齢に達した日以後に販売したこと又はその肉用子牛の生産者が飼養しており、かつ、第二条の政令で定める月齢に達したことにつき、当該指定協会が農林水産省令で定めるところにより確認をしたものの頭数に相当する数を乗じて得た金額とする。
(生産者補給交付金に係る生産者補給金の交付)
第十一条 指定協会は、事業団から生産者補給金交付契約に係る肉用子牛についての生産者補給交付金の交付を受けたときは、その交付を受けた生産者補給交付金の金額に相当する金額を、生産者補給金として、前条の確認を受けた肉用子牛の生産者に対し、当該肉用子牛の頭数に応じて交付しなければならない。
(保証基準価格等が肉用子牛の品種別に定められる場合の読替え)
第十二条 保証基準価格等が肉用子牛の品種別に定められる場合には、第十条中「保証基準価格」とあるのは「肉用子牛の品種別の保証基準価格」と、「平均売買価格」とあるのは「当該品種別の平均売買価格」と、「合理化目標価格」とあるのは「当該品種別の合理化目標価格」と、「控除した」とあるのは「それぞれ控除した」と、「頭数に相当する数を乗じて得た金額」とあるのは「当該品種別の頭数に相当する数をそれぞれ乗じて得た金額を合算した金額」と、前条中「相当する金額」とあるのは「相当する金額を各品種別の肉用子牛に係る部分に区分し、その区分に応じたそれぞれの金額」と、「頭数」とあるのは「当該品種別の頭数」とする。
第四章 肉用子牛等対策費の財源等
(肉用子牛等対策費の財源)
第十三条 政府は、毎会計年度、当該年度の次に掲げる物品に係る関税(関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第六条の二第一項第二号イ及びロに掲げる関税を除く。)の収入見込額に相当する金額を、予算で定めるところにより、次条の規定による交付金の交付及び肉用牛生産の合理化、法第二条第三項に規定する食肉(当該家畜を含む。以下「食肉等」という。)の流通の合理化その他畜産の振興に資するための施策(食肉等に係るものに限る。)の実施に要する経費(以下「肉用子牛等対策費」という。)の財源に充てるものとする。ただし、その金額が当該年度の肉用子牛等対策費を超えると認められるときは、当該超える金額については、この限りでない。
一 関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)別表第〇二・〇一項及び第〇二・〇二項に掲げる牛の肉
二 関税定率法別表第〇二・〇六項に掲げる食用のくず肉のうち牛のもの(ほほ肉及び頭肉に限る。)
三 関税定率法別表第一六〇二・五〇号の二に掲げるその他の調整をし又は保存に適する処理をした肉及びくず肉のうち、牛の臓器及び舌のもの以外のもので、牛の肉及び牛のくず肉(臓器及び舌を除く。)の含有量の合計が全重量の三十パーセント以上のもの。ただし、次に掲げるものを除く。
イ 単に水煮した後に乾燥したもの
ロ 調味した後に乾燥したもの
ハ コーンビーフ
ニ イからハまでに掲げるもの以外のもののうち、気密容器入りのもので野菜を含むもの又は気密容器入りのもので冷蔵及び冷凍のいずれもしてないもの。
2 政府は、当該会計年度に要する肉用子牛等対策費に照らして必要があると認められるときは、当該年度の前項に規定する関税の収入見込額のほか、当該年度の前年度以前で昭和六十六年度以降の各年度の同項に規定する関税の収納済額(当該年度の前年度については、収入見込額)に相当する金額を合算した額から当該年度の前年度以前で昭和六十六年度以降の各年度の肉用子牛等対策費の決算額(当該年度の前年度については、予算額)を合算した額を控除した額に相当する金額の全部又は一部を、予算で定めるところにより、当該年度の肉用子牛等対策費の財源に充てるものとする。
(事業団に対する交付金)
第十四条 政府は、事業団に対し、第三条第一項に規定する業務、法第二条第三項に規定する指定食肉(以下「指定食肉」という。)についての法第三十八条第一項第一号、第二号及び第四号の業務(これらの業務に附帯する業務を含む。)、食肉等についての同項第六号及び第七号の業務(これらの業務に附帯する業務を含む。)並びに法第二条第三項に規定する食肉についての法第三十八条第二項に規定する業務に必要な経費の財源に充てるため、交付金を交付するものとする。
第五章 雑則
(法の適用)
第十五条 第五条第二項に規定する合理化目標価格が定められている場合には、法第三条第四項中「指定食肉」とあるのは「牛肉以外の指定食肉」と、「旨とし」とあるのは「旨とし、指定食肉たる牛肉(当該家畜を含む。)については、その生産条件及び需給事情その他の経済事情並びに前会計年度において適用される肉用子牛生産安定等特別措置法(以下「特別措置法」という。)第五条第二項の合理化目標価格を考慮し、その再生産を確保することを旨とし」とする。
2 この法律の規定により事業団の業務が行われる場合には、法第三十八条第二項中「前項に規定する業務」とあるのは「前項に規定する業務及び特別措置法第三条第一項に規定する業務」と、法第四十八条第一項中「同項第六号の業務(これに附帯する業務を含む。以下同じ。)に係る経理」とあるのは「同項第六号の業務(これに附帯する業務を含む。以下同じ。)に係る経理並びに特別措置法第三条第一項に規定する業務に係る経理」と、法第五十四条の二中「業務」とあるのは「業務(食肉(当該家畜を含む。)に係るものを除く。)」と、法第五十四条の三第一項中「交付金を第三十八条第一項第六号の業務」とあるのは「交付金にあつては第三十八条第一項第六号の業務(食肉(当該家畜を含む。)に係るものを除く。)」と、「資金として」とあるのは「資金として、特別措置法第十四条の規定により交付を受けた交付金にあつては特別措置法第十六条第一項の規定により特別措置法第三条第一項に規定する業務若しくは食肉(当該家畜を含む。)についての第三十八条第一項第六号の業務に必要な経費の財源に充てるものとしてこれらの業務に係る第四十八条第一項の特別の勘定に繰り入れ又は指定食肉についての第三十八条第一項第一号、第二号若しくは第四号の業務(これらの業務に附帯する業務を含む。次項において同じ。)、食肉(当該家畜を含む。)についての同項第七号の業務(これに附帯する業務を含む。次項において同じ。)若しくは食肉についての同条第二項に規定する業務に必要な経費の財源に充てるための資金として、それぞれ」と、「当該資金の運用によつて」とあるのは「前条の規定により交付を受けた交付金に係る資金の運用によつて」と、同条第二項中「第三十八条第一項第六号の業務」とあるのは「前条の規定により交付を受けた交付金に係る資金にあつては第三十八条第一項第六号の業務(食肉(当該家畜を含む。)に係るものを除く。)」と、「場合に限り」とあるのは「場合に限り、特別措置法第十四条の規定により交付を受けた交付金に係る資金にあつては特別措置法第十六条第一項の規定により特別措置法第三条第一項に規定する業務若しくは食肉(当該家畜を含む。)についての第三十八条第一項第六号の業務に必要な経費の財源に充てるものとしてこれらの業務に係る第四十八条第一項の特別の勘定に繰り入れ又は指定食肉についての第三十八条第一項第一号、第二号若しくは第四号の業務、食肉(当該家畜を含む。)についての同項第七号の業務若しくは食肉についての同条第二項に規定する業務に必要な経費に充てる場合に限り、それぞれ」と、法第五十六条の二中「業務として交付する補助金」とあるのは「業務として交付する補助金又は特別措置法第三条第一項第一号の業務として交付する生産者補給交付金若しくは同項第二号の業務として交付する生産者積立助成金」と、「当該補助金」とあるのは「当該補助金又は生産者補給交付金若しくは生産者積立助成金」と、法第五十八条第二項中「この法律」とあるのは「この法律又は特別措置法」と、法第五十九条第一項中「この法律」とあるのは「この法律又は特別措置法」と、「第四十六条第一項」とあるのは「第四十六条第一項若しくは特別措置法第四条第一項」と、法第六十二条第一項中「まで国庫に」とあるのは「に特別措置法第三条第一項に規定する業務に係る第四十八条第一項の特別の勘定に属する額に相当する額と特別措置法第十四条の規定により交付を受けた交付金に係る第五十四条の三第一項の資金として管理されている金額に相当する額との合計額を加えて得た額まで国庫に」と、法第六十八条第六号中「第三十八条第一項又は第二項」とあるのは「第三十八条第一項若しくは第二項又は特別措置法第三条第一項」とする。
(区分経理の特例)
第十六条 事業団は、法第四十八条第一項の規定にかかわらず、第三条第一項に規定する業務又は食肉等についての法第三十八条第一項第六号の業務(これに附帯する業務を含む。)に必要な経費の財源に充てるため、前条第二項の規定により読み替えられる法第五十四条の三第一項に規定する第十四条の規定により交付を受けた交付金に係る資金(以下「調整資金」という。)から、これらの業務に係る法第四十八条第一項の特別の勘定に繰り入れることができる。
2 事業団は、法第四十八条第一項の規定にかかわらず、調整資金の運用若しくは使用に伴い生ずる前事業年度の事業団の収入の額又はその見込額の全部又は一部を、第三条第一項に規定する業務、法第三十八条第一項第六号の業務(これに附帯する業務を含む。)又は加工原料乳生産者補給金等暫定措置法(昭和四十年法律第百十二号)第三条第一項第一号の業務、同項第二号の業務若しくは同号の業務に係る同号の指定乳製品等についての同項第三号若しくは第四号の業務(これらの業務に附帯する業務を含む。)に必要な経費の財源に充てるため、これらの業務に係る法第四十八条第一項の特別の勘定に繰り入れることができる。
(報告及び検査)
第十七条 農林水産大臣又は都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、肉用子牛の生産者、集荷業者若しくは販売業者(これらの者が直接又は間接の構成員となつている団体を含む。)若しくは指定協会に対して必要な事項に関し報告をさせ、又はその職員に、これらの者の事務所その他の事業場に立ち入り、その帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第六章 罰則
第十八条 前条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、二十万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、同項の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第七条から第九条まで、第十七条及び第十八条の規定 公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日
二 第二章、第五条(第七項を除く。)、第六条、第十条から第十二条まで、第十五条第一項及び同条第二項(法第三十八条第二項、法第四十八条第一項、法第五十六条の二、法第六十二条第一項及び法第六十八条第六号の規定に係る部分に限る。)の規定並びに次条、附則第四条及び附則第七条の規定 昭和六十五年四月一日
三 第四章、第十五条第二項(法第五十四条の二及び法第五十四条の三の規定に係る部分に限る。)及び第十六条の規定並びに附則第五条の規定 昭和六十六年四月一日
(保証基準価格等の決定の手続に関する特例)
第二条 昭和六十五年度の保証基準価格の決定については、第五条第一項中「当該年度の開始前に」とあるのは、「附則第一条ただし書第二号に掲げる規定の施行後速やかに」とする。
(事業団の財務及び会計に関する特例)
第三条 事業団は、昭和六十三事業年度及び昭和六十四事業年度に輸入に係る牛肉についての法第三十八条第一項第一号及び第二号の業務(これらの業務に附帯する業務を含む。以下同じ。)に係る法第四十八条第一項の特別の勘定において法第五十三条第一項本文に規定する残余を生じたときは、法第四十八条第一項並びに法第五十三条第一項及び第三項の規定にかかわらず、その残余の額のうちその額に政令で定める割合を乗じて得た額に相当する額を、次条の規定により第三条第一項に規定する業務に必要な経費の財源に充てるものとして当該業務に係る法第四十八条第一項の特別の勘定に繰り入れる繰入金の財源又は指定食肉についての法第三十八条第一項第一号、第二号若しくは第四号の業務(これらの業務に附帯する業務を含む。以下同じ。)に必要な経費の財源に繰り入れるものとする。
2 事業団は、前項の規定により繰り入れた繰入金を、次条の規定により第三条第一項に規定する業務に必要な経費に充てるものとして当該業務に係る法第四十八条第一項の特別の勘定に繰り入れ又は指定食肉についての法第三十八条第一項第一号、第二号若しくは第四号の業務に必要な経費に充てるための資金として、管理しなければならない。当該資金の運用によつて生じた利子等の運用利益金その他当該資金の運用又は使用に伴い生ずる収入についても、同様とする。
3 前項の資金は、法第五十五条の規定により運用し、又は次項の規定により使用する場合のほか、次条の規定により第三条第一項に規定する業務に必要な経費に充てるものとして当該業務に係る法第四十八条第一項の特別の勘定に繰り入れ又は指定食肉についての法第三十八条第一項第一号、第二号若しくは第四号の業務に必要な経費に充てる場合に限り、運用し、又は使用することができる。この場合において、法第六十八条第七号の二中「第五十四条の三第二項」とあるのは「第五十四条の三第二項又は肉用子牛生産安定等特別措置法附則第三条第三項前段」と、「同条第一項」とあるのは「第五十四条の三第一項又は同法附則第三条第二項」とする。
4 事業団は、昭和六十四事業年度において法第五十三条第二項に規定する繰越欠損金がある場合には、農林水産大臣の承認を受けて、その補てんに充てるため、第二項の資金を使用することができる。この場合において、法第六十八条第一号中「この法律」とあるのは、「この法律又は肉用子牛生産安定等特別措置法附則第三条第四項前段」とする。
第四条 事業団は、法第四十八条第一項の規定にかかわらず、昭和六十五事業年度において、第三条第一項に規定する業務に必要な経費の財源に充てるため、前条第二項の資金から当該業務に係る法第四十八条第一項の特別の勘定に繰り入れ、又は輸入に係る牛肉についての法第三十八条第一項第一号及び第二号の業務に係る法第四十八条第一項の特別の勘定において当該事業年度に生ずる法第五十三条第一項本文に規定する残余の額の見込額の全部若しくは一部を、第三条第一項に規定する業務に係る法第四十八条第一項の特別の勘定に繰り入れることができる。
第五条 事業団は、輸入に係る牛肉についての法第三十八条第一項第一号及び第二号の業務に係る法第四十八条第一項の特別の勘定において昭和六十五事業年度に生じた法第五十三条第一項本文に規定する残余の額のうちその額に政令で定める割合を乗じて得た額に相当する額と附則第一条ただし書第三号に掲げる規定の施行の際現に附則第三条第二項の規定により管理されている資金の額との合計額を調整資金に繰り入れるものとする。
第六条 事業団は、昭和六十三事業年度から昭和六十五事業年度までの各事業年度に輸入に係る牛肉についての法第三十八条第一項第一号及び第二号の業務に係る法第四十八条第一項の特別の勘定において法第五十三条第一項本文に規定する残余を生じたときは、法第四十八条第一項並びに法第五十三条第一項及び第三項の規定にかかわらず、昭和六十三事業年度及び昭和六十四事業年度にあつてはその残余の額からその額に附則第三条第一項の政令で定める割合を乗じて得た額を差し引いて得た額を、昭和六十五事業年度にあつてはその残余の額からその額に前条の政令で定める割合を乗じて得た額を差し引いて得た額を、法第三十八条第一項第六号の業務(同号の指定助成対象事業に係るものに限り、これに附帯する業務を含む。)に必要な経費の財源に充てるため、同号の業務に係る法第四十八条第一項の特別の勘定に繰り入れるものとする。
2 前項の規定により繰り入れた繰入金は、法第五十四条の三の規定の適用については、法第五十三条第三項の規定により繰り入れた繰入金とみなす。
(罰則に関する経過措置)
第七条 第三条の規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
大蔵大臣 竹下登
農林水産大臣 佐藤隆
内閣総理大臣 竹下登