(施行期日)
第一条 この法律は、昭和三十五年四月一日から施行する。
(けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法の廃止)
第二条 けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法(昭和三十年法律第九十一号。以下「旧特別保護法」という。)は、廃止する。
(給付に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前に生じた改正前の労働者災害補償保険法第十二条第二項に規定する事由に係る災害補償については、なお従前の例による。
第四条 旧特別保護法又はけい肺及び外傷性せき髄障害の療養等に関する臨時措置法(昭和三十三年法律第百四十三号。以下「旧臨時措置法」という。)の規定による療養給付、傷病手当その他の給付であつて、この法律の施行の日の前日までの間に係るものについては、なお従前の例による。
第五条 この法律の施行の日の前日において旧特別保護法又は旧臨時措置法の規定による療養給付を受けるべきであつた者であつて、労働省令で定めるところにより、都道府県労働基準局長がこの法律の施行の日以降引き続き療養を必要とすると認定したものは、同日において、労働者災害補償保険法の適用を受ける者であり、かつ、長期傷病者補償の給付の決定があつたものとみなす。
2 前項の規定により長期傷病者補償を受ける者については、改正後の労働者災害補償保険法(以下「新法」という。)の規定にかかわらず、遺族給付及び葬祭給付は行なわないものとし、その者に支給すべき傷病給付(第二種傷病給付に係る療養又は療養の費用に関する部分を除く。)又は第一種障害給付の年額は、それぞれ、新法の規定による年額から平均賃金の四十日分を減じた額とする。
3 第一項の規定による都道府県労働基準局長の認定に関する処分に不服がある者は、新法の規定による保険給付に関する決定に対する異議の例により、審査若しくは再審査の請求をし、又は訴訟を提起することができる。
(負担金に関する経過措置)
第六条 旧特別保護法又は旧臨時措置法の規定による事業主の負担金であつて、この法律の施行の日の前日までの間に係るものについては、第二項及び第三項の規定によるほか、なお従前の例による。
2 前項に規定する負担金の徴収については、旧特別保護法第二十一条第二項の有期事業であつて、この法律の施行後も事業が継続されるものは、この法律の施行の日の前日において事業が終了したものとみなす。
3 第一項に規定する負担金であつて、保険加入者である事業主に係るものについて還付すべき剰余額があるときは、政府は、労働省令で定めるところにより、還付の請求があつた場合を除き、これを新法の規定による保険料に充当することができる。
(旧臨時措置法の認定に関する経過措置)
第七条 この法律の施行前に、旧特別保護法第十一条第一項の規定による療養給付を受け、かつ、同項に規定する期間が経過した者は、この法律の施行後も、なお従前の例により、旧臨時措置法第一条第一項の規定による都道府県労働基準局長の認定を受けることができる。ただし、昭和三十五年九月三十日までに認定の申請をした場合に限る。
2 旧臨時措置法第一条第一項(前項の規定によりその例によることとされる場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による都道府県労働基準局長の認定に関する処分に対する不服の申立てについては、なお従前の例による。ただし、この法律の施行の日(この法律の施行後に当該通知を受けた場合は、その日)から六十日以内に申立てをした場合に限る。
3 訴願法(明治二十三年法律第百五号)第八条第三項の規定は、前項の不服の申立てについて準用する。
(従前の行為等に対する罰則の適用)
第八条 この法律の施行前にして旧特別保護法又は旧臨時措置法の規定に違反する行為及びこの法律の施行後にしたこの附則の規定によりその例によることとされるこれらの法律の規定に違反する行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(労働者災害補償保険特別会計法の一部改正)
第九条 労働者災害補償保険特別会計法(昭和二十二年法律第五十一号)の一部を次のように改正する。
第一条中「並びにけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法及びけい肺及び外傷性せき髄障害の療養等に関する臨時措置法(以下「特別保護法等」と総称する。)による給付(傷病手当の支給を含む。)」を削る。
第三条中「保険料」の下に「(特別保険料を含む。以下同じ。)」を加え、「、特別保護法等による事業主負担金」及び「、特別保護法等による給付費及び事業主負担金の還付金」を削る。
第四条第二項中「並びに一般会計からの受入金及び特別保護法等による事業主負担金中給付費に充てるべき部分」を「及び一般会計からの受入金」に改め、「並びに特別保護法等による給付費及び事業主負担金の還付金」を削る。
2 旧特別保護法又は旧臨時措置法の規定(この附則の規定によりその例によることとされる場合を含む。)による事業主負担金並びに給付費及び事業主負担金の還付金については、なお改正前の労働者災害補償保険特別会計法の例による。
(労働基準法等の施行に伴う政府職員に係る給与の応急措置に関する法律の一部改正)
第十条 労働基準法等の施行に伴う政府職員に係る給与の応急措置に関する法律(昭和二十二年法律第百六十七号。以下次項において「応急措置法」という。)の一部を次のように改正する。
第一項中「、けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法(昭和三十年法律第九十一号)第十一条から第十三条までの規定(国家公務員災害補償法第一条に規定する職員に係るものを除く。)、けい肺及び外傷性せき髄障害の療養等に関する臨時措置法(昭和三十三年法律第百四十三号)第一条及び第二条の規定(国家公務員災害補償法第一条に規定する職員に係るものを除く。)」を削る。
2 この法律の施行の際現に改正前の応急措置法第一項の規定により旧特別保護法第十一条から第十三条までの規定による給付に相当する給与を受けるべき政府職員に係る当該給与については、なお改正前の応急措置法の例による。
(労働省設置法の一部改正)
第十一条 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。
第四条第三十一号中「保険料」の下に「及び特別保険料」を加え、同条第三十二号中「文書」の下に「その他の物件」を加え、同条中第三十二号の二を次のように改め、第三十二号の三から第三十二号の五までを削り、第三十二号の六を第三十二号の三とし、第三十二号の七を第三十二号の四とする。
三十二の二 じん肺法(昭和三十五年法律第三十号)に基づいて、労働者の健康管理の区分の決定及び作業の転換の勧告をすること。
第八条第一項中第六号の二を次のように改め、第六号の三及び第六号の四を削り、第六号の五を第六号の三とする。
六の二 じん肺に関する労働者の健康管理の区分等の決定に関すること。
第八条第一項第十一号中「けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法、けい肺及び外傷性せき髄障害の療養等に関する臨時措置法」を「じん肺法」に改め、同条第二項中「、第六号の三及び第六号の四」を削り、「並びに」を「及び」に改める。
第十三条第一項の表中「けい肺審議会」を「じん肺審議会」に、「けい肺に関する重要事項」を「じん肺に関する重要事項」に改める。
第十五条第一項及び第十七条第一項中「けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法(これに基く命令を含む。)、けい肺及び外傷性せき髄障害の療養等に関する臨時措置法(これに基く命令を含む。)」を「じん肺法(これに基づく命令を含む。)」に改める。
(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律の一部改正)
第十二条 国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律(昭和二十五年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
第七条第二号中「労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第三十二条本文、失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)第三十六条及びけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法第二十八条第一項本文」を「労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第三十二条第一項本文(同法第三十四条の六において準用する場合を含む。)及び失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)第三十六条」に改める。
2 改正後の国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律は、この附則の規定によりなおその例によることとされる旧特別保護法第二十八条第一項本文の規定により徴収する延滞金については、適用しない。
(国家公務員災害補償法の一部改正)
第十三条 国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)の一部を次のように改正する。
(労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部改正)
第十四条 労働保険審査官及び労働保険審査会法(昭和三十一年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項中「及びけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法(昭和三十年法律第九十一号)第三十二条第一項」を削る。
第七条第一項及び第十五条第一項第五号中「又はけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法第三十二条第一項」を削る。
第二十五条中「、失業保険法第四十条第一項及びけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法第三十二条第一項」を「及び失業保険法第四十条第一項」に改める。
第三十六条中「、けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護制度」を削る。
第四十六条第一項第六号中「又はけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法第三十二条第一項」を削る。
2 この附則の規定によりなおその例によることとされる旧特別保護法の規定による給付に関する決定に係る審査及び再審査については、なお改正前の労働保険審査官及び労働保険審査会法の例による。
(第一種障害補償費等の額に関する暫定措置)
第十五条 新法の規定による第一種障害補償費、傷病給付又は第一種障害給付を受ける労働者が、同時に、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)又は農林漁業団体職員共済組合法(昭和三十三年法律第九十九号)の規定による障害年金の支給を受けることができる場合には、その者に支給すべき新法の規定によるこれらの保険給付(第二種傷病給付に係る療養又は療養の費用に関する部分を除く。以下この条において同じ。)の年額は、当分の間、新法の規定にかかわらず、新法の規定による当該保険給付の年額(附則第五条第二項の規定の適用を受ける者については、同項の規定による年額。以下次項において同じ。)から当該障害年金の額の百分の五十七・五に相当する額を減じた額とする。
2 新法の規定による第一種障害補償費、傷病給付又は第一種障害給付を受ける労働者が、同時に、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)の規定による公務による廃疾年金を受けることができる場合(同法第八十六条の規定により、当該年金の一部の支給を停止される場合を除く。)には、その者に支給すべきこれらの保険給付の年額は、当分の間、新法の規定にかかわらず、新法の規定による当該保険給付の年額から当該公務による廃疾年金の額の百分の七十に相当する額を減じた額とする。
第十六条 新法の規定による第一種障害補償費又は傷病給付若しくは第一種障害給付を受ける労働者については、政府は、当分の間、命令で定めるところにより、労働省において作成する毎月勤労統計における全産業の労働者一人当りの平均給与額(以下この項において「平均給与額」という。)が当該負傷し、又は疾病にかかつた日の属する年における平均給与額の百分の百二十をこえ、又は百分の八十を下るに至つた場合において、その状態が継続すると認めるときは、その上昇し、又は低下した比率を基準として、その翌年の四月以降の当該保険給付(第二種傷病給付に係る療養又は療養の費用に関する部分を除く。)の額を改訂して支給する。改訂後の第一種障害補償費又は傷病給付(第二種傷病給付に係る療養又は療養の費用に関する部分を除く。)若しくは第一種障害給付の額の改訂についてもこれに準ずる。
2 前項の規定は、附則第五条第二項の規定により新法の規定による傷病給付又は第一種障害給付の年額から減ずべき額について準用する。
(国庫負担等の検討)
第十七条 新法第三十四条の二及び前二条に規定する事項については、社会保障に関する制度全般の調整の機会において検討するものとし、その結果に基づいて、必要な措置を講ずるものとする。