(漁船の操業の制限又は禁止)
第一條 内閣総理大臣は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き日本国内及びその附近に配備されたアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍の使用に供する水面を提供するため必要があるときは、農林大臣の意見をきき、一定の区域及び期間を定めて、漁船の操業を制限し、又は禁止することができる。
(損失の補償)
第二條 国は、前條の規定による制限又は禁止により、当該区域において従来適法に漁業を営んでいた者が漁業経営上こうむつた損失を補償する。
2 前項の規定により補償する損失は、通常生ずべき損失とする。
(損失補償の申請)
第三條 前條の規定による損失の補償を受けようとする者は、総理府令の定めるところにより、その者の住所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して、損失補償申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の申請書を受理したときは、その意見を記載した書面を当該申請書に添えて、これを内閣総理大臣に送付しなければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の書類を受理したときは、補償すべき損失の有無及び損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、遅滞なくこれを都道府県知事を経由して当該申請者に通知しなければならない。
(異議の申立)
第四條 前條第三項の規定による決定に不服がある者は、同項の通知を受けた日から三十日以内に、総理府令で定める手続に従い、内閣総理大臣に対して異議の申立をすることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による申立があつたときは、その申立のあつた日から三十日以内にこれについて決定し、これを申立人に通知しなければならない。
(補償金の交付)
第五條 政府は、前條第一項の規定による異議の申立がないときは、同項の期間の満了の日から三十日以内に、同項の規定による異議の申立があつた場合において同條第二項の規定による決定があつたときは、同項の通知の日から三十日以内に、補償を受けるべき者に対し、当該補償金を交付する。
(増額請求の訴)
第六條 この法律により決定された補償金の額に不服がある者は、訴をもつてその増額を請求することができる。