資金運用部特別会計法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百一号
資金運用部特別会計法
(設置)
第一條 資金運用部資金の運用に伴う歳入歳出を一般会計と区分して経理するため、特別会計を設置する。
(管理)
第二條 この会計は、大蔵大臣が、法令の定めるところに従い、管理する。
(歳入及び歳出)
第三條 この会計においては、資金運用部資金の運用利殖金、第四條第三項及び第九條第二項の規定による一般会計からの繰入金並びに付属雑收入をもつてその歳入とし、資金運用部預託金の利子、資金運用部資金の運用損失金、運用手数料、事務取扱費、第四條第三項の規定による繰越損失の補てん金、第十二條第二項但書の規定による繰替使用金の償還金及び付属諸費をもつてその歳出とする。
(運用資産の価額の減損の処理)
第四條 資金運用部資金に属する運用資産で価額の減損を生じたものがあるときは、この会計の決算上生じた剰余をもつて償却し、決算上の剰余がないとき、又は決算上の剰余をもつてその全額を償却できないときは、第八條第一項に規定する積立金をもつて償却しなければならない。
2 前項の規定により決算上の剰余又は積立金をもつて運用資産の価額の減損の全額を償却できないときは、その償却できない金額は、資金運用部資金の損失として繰り越して整理するものとする。
3 前項に規定する資金運用部資金の繰越損失は、第八條第一項に規定するところによりこの会計の決算上の剰余金をもつて補てんする場合を除く外、一般会計から、予算の定めるところにより、必要な金額を繰り入れて補てんするものとする。
(歳入歳出予定計算書の作製)
第五條 大蔵大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書を作製しなければならない。
(歳入歳出予算の区分)
第六條 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に従つて、款及び項に区分する。
(予算の作成及び提出)
第七條 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の予算には、歳入歳出予定計算書を添付しなければならない。
(決算上の剰余の処理)
第八條 この会計の毎会計年度の決算上、当該年度の資金運用部資金の運用利殖金及び付属雑收入の收納済額の合計額(以下「收納済額の合計額」という。)から当該年度の資金運用部預託金の利子、資金運用部資金の運用損失金、運用手数料、事務取扱費及び付属諸費の支出済額並びに当該年度における第十四條第一項の規定による歳出金の翌年度への繰越額の合計額(以下「支出済額等の合計額」という。)を控除して剰余がある場合において当該剰余金を第四條第一項に規定する償却に充て、且つ、同條第二項に規定する前年度からの繰越損失がある場合には、これを補てんしてなお残余があるときは、その残余の額の二分の一に相当する金額をこの会計の積立金として積み立てるものとする。
2 前項に規定する残余の額から同項の規定により積み立てる金額を控除した残額は、当該年度の一般会計の歳入に繰り入れるものとする。
(決算上の不足の処理)
第九條 この会計の毎会計年度の決算上、收納済額の合計額が支出済額等の合計額に不足するときは、その不足する金額は、前條第一項に規定する積立金から補足するものとする。但し、第四條第一項の規定による運用資産の価額の減損の償却に先立つことはできない。
2 前項の決算上の不足を同項の規定により補足することができないときは、一般会計から、その補足することができない金額に相当する金額を、予算の定めるところにより、この会計に繰り入れて補足するものとする。
(歳入歳出決定計算書の作製)
第十條 大蔵大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製しなければならない。
(歳入歳出決算の作成及び提出)
第十一條 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作製し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の決算には、歳入歳出決定計算書を添付しなければならない。
(資金運用部資金の繰替使用)
第十二條 この会計において、支拂上現金に不足があるときは、資金運用部資金を繰替使用することができる。
2 前項の規定による繰替使用金は、当該年度の歳入をもつて償還しなければならない。但し、歳入不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額を限り、一年内に償還することができる。
(利子の支拂事務の委託)
第十三條 大蔵大臣は、日本銀行に資金運用部預託金の利子の支拂を取り扱わせることができる。
2 大蔵大臣は、前項の規定により日本銀行に資金運用部預託金の利子の支拂をさせる場合においては、その利子の支拂に必要な資金を日本銀行に交付することができる。
(支出未済額の繰越)
第十四條 この会計において、支拂義務の生じた歳出金で、当該年度の出納の完結までに支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、翌年度に繰り越して使用することができる。
2 大蔵大臣は、前項の規定により繰越をしたときは、会計検査院に通知しなければならない。
3 第一項の規定により繰越をしたときは、当該経費については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十一條第一項の規定による予算の配賦があつたものとみなす。
(実施規定)
第十五條 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、昭和二十六年四月一日から施行する。
2 左に掲げる法律は、廃止する。
大蔵省預金部特別会計法(大正十四年法律第十三号)
一般会計歳出の財源に充つる為大蔵省預金部特別会計より為す繰入金に関する法律(昭和十二年法律第十号)
3 大蔵省預金部特別会計の昭和二十五年度の收入支出並びに昭和二十四年度及び昭和二十五年度の決算に関しては、なお従前の例による。
4 大蔵省預金部特別会計の昭和二十五年度の出納の完結(以下「出納の完結」という。)の際同特別会計に属する資産及び負債は、出納の完結の際この会計に帰属するものとする。
5 出納の完結の際大蔵省預金部特別会計に属する積立金の額に相当する金額は、第八條第一項の規定によりこの会計の積立金として積み立てられたものとみなす。
6 この会計において、第八條第一項に規定する残余の額があるときは、当分の間、同條の規定にかかわらず、当該残余の額を、予算の定めるところにより、当該年度の一般会計の歳入に繰り入れるものとする。但し、繰入のための当該年度のこの会計の歳出予算額が当該残余の額に不足するときは、その不足する額に相当する額を翌年度において繰り入れるものとする。
7 退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律(昭和二十五年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。
第一條中「大蔵省預金部特別会計」を「資金運用部特別会計」に改める。
大蔵大臣 池田勇人
内閣総理大臣 吉田茂
資金運用部特別会計法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百一号
資金運用部特別会計法
(設置)
第一条 資金運用部資金の運用に伴う歳入歳出を一般会計と区分して経理するため、特別会計を設置する。
(管理)
第二条 この会計は、大蔵大臣が、法令の定めるところに従い、管理する。
(歳入及び歳出)
第三条 この会計においては、資金運用部資金の運用利殖金、第四条第三項及び第九条第二項の規定による一般会計からの繰入金並びに付属雑収入をもつてその歳入とし、資金運用部預託金の利子、資金運用部資金の運用損失金、運用手数料、事務取扱費、第四条第三項の規定による繰越損失の補てん金、第十二条第二項但書の規定による繰替使用金の償還金及び付属諸費をもつてその歳出とする。
(運用資産の価額の減損の処理)
第四条 資金運用部資金に属する運用資産で価額の減損を生じたものがあるときは、この会計の決算上生じた剰余をもつて償却し、決算上の剰余がないとき、又は決算上の剰余をもつてその全額を償却できないときは、第八条第一項に規定する積立金をもつて償却しなければならない。
2 前項の規定により決算上の剰余又は積立金をもつて運用資産の価額の減損の全額を償却できないときは、その償却できない金額は、資金運用部資金の損失として繰り越して整理するものとする。
3 前項に規定する資金運用部資金の繰越損失は、第八条第一項に規定するところによりこの会計の決算上の剰余金をもつて補てんする場合を除く外、一般会計から、予算の定めるところにより、必要な金額を繰り入れて補てんするものとする。
(歳入歳出予定計算書の作製)
第五条 大蔵大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書を作製しなければならない。
(歳入歳出予算の区分)
第六条 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に従つて、款及び項に区分する。
(予算の作成及び提出)
第七条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の予算には、歳入歳出予定計算書を添付しなければならない。
(決算上の剰余の処理)
第八条 この会計の毎会計年度の決算上、当該年度の資金運用部資金の運用利殖金及び付属雑収入の収納済額の合計額(以下「収納済額の合計額」という。)から当該年度の資金運用部預託金の利子、資金運用部資金の運用損失金、運用手数料、事務取扱費及び付属諸費の支出済額並びに当該年度における第十四条第一項の規定による歳出金の翌年度への繰越額の合計額(以下「支出済額等の合計額」という。)を控除して剰余がある場合において当該剰余金を第四条第一項に規定する償却に充て、且つ、同条第二項に規定する前年度からの繰越損失がある場合には、これを補てんしてなお残余があるときは、その残余の額の二分の一に相当する金額をこの会計の積立金として積み立てるものとする。
2 前項に規定する残余の額から同項の規定により積み立てる金額を控除した残額は、当該年度の一般会計の歳入に繰り入れるものとする。
(決算上の不足の処理)
第九条 この会計の毎会計年度の決算上、収納済額の合計額が支出済額等の合計額に不足するときは、その不足する金額は、前条第一項に規定する積立金から補足するものとする。但し、第四条第一項の規定による運用資産の価額の減損の償却に先立つことはできない。
2 前項の決算上の不足を同項の規定により補足することができないときは、一般会計から、その補足することができない金額に相当する金額を、予算の定めるところにより、この会計に繰り入れて補足するものとする。
(歳入歳出決定計算書の作製)
第十条 大蔵大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製しなければならない。
(歳入歳出決算の作成及び提出)
第十一条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作製し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の決算には、歳入歳出決定計算書を添付しなければならない。
(資金運用部資金の繰替使用)
第十二条 この会計において、支払上現金に不足があるときは、資金運用部資金を繰替使用することができる。
2 前項の規定による繰替使用金は、当該年度の歳入をもつて償還しなければならない。但し、歳入不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額を限り、一年内に償還することができる。
(利子の支払事務の委託)
第十三条 大蔵大臣は、日本銀行に資金運用部預託金の利子の支払を取り扱わせることができる。
2 大蔵大臣は、前項の規定により日本銀行に資金運用部預託金の利子の支払をさせる場合においては、その利子の支払に必要な資金を日本銀行に交付することができる。
(支出未済額の繰越)
第十四条 この会計において、支払義務の生じた歳出金で、当該年度の出納の完結までに支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、翌年度に繰り越して使用することができる。
2 大蔵大臣は、前項の規定により繰越をしたときは、会計検査院に通知しなければならない。
3 第一項の規定により繰越をしたときは、当該経費については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十一条第一項の規定による予算の配賦があつたものとみなす。
(実施規定)
第十五条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、昭和二十六年四月一日から施行する。
2 左に掲げる法律は、廃止する。
大蔵省預金部特別会計法(大正十四年法律第十三号)
一般会計歳出の財源に充つる為大蔵省預金部特別会計より為す繰入金に関する法律(昭和十二年法律第十号)
3 大蔵省預金部特別会計の昭和二十五年度の収入支出並びに昭和二十四年度及び昭和二十五年度の決算に関しては、なお従前の例による。
4 大蔵省預金部特別会計の昭和二十五年度の出納の完結(以下「出納の完結」という。)の際同特別会計に属する資産及び負債は、出納の完結の際この会計に帰属するものとする。
5 出納の完結の際大蔵省預金部特別会計に属する積立金の額に相当する金額は、第八条第一項の規定によりこの会計の積立金として積み立てられたものとみなす。
6 この会計において、第八条第一項に規定する残余の額があるときは、当分の間、同条の規定にかかわらず、当該残余の額を、予算の定めるところにより、当該年度の一般会計の歳入に繰り入れるものとする。但し、繰入のための当該年度のこの会計の歳出予算額が当該残余の額に不足するときは、その不足する額に相当する額を翌年度において繰り入れるものとする。
7 退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律(昭和二十五年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。
第一条中「大蔵省預金部特別会計」を「資金運用部特別会計」に改める。
大蔵大臣 池田勇人
内閣総理大臣 吉田茂