国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年五月四日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百四十二号
国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律
目次
第一章
総則(第一條・第二條)
第二章
一般の退職手当(第三條―第八條)
第三章
特別の退職手当(第九條・第十條)
第四章
雑則(第十一條―第十四條)
附則
第一章 総則
(目的及び効力)
第一條 この法律は、昭和二十五年度における退職手当の基準を臨時に定めることを目的とする。
2 この法律は、昭和二十六年三月三十一日限り、その効力を失うものとする。但し、第十條の規定は、昭和二十七年三月三十一日まで、なお、その効力を有する。
3 昭和二十六年度以降においては、別に法律をもつて恩給法(大正十二年法律第四十八号)の規定による恩給、国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号)の規定による退職給付、この法律の規定による退職手当及びこれらに準ずる退職給與を総合する新たな恒久的退職給與制度を制定実施するものとし、前項但書の規定により支給するものを除き、その法律によらなければ、いかなる退職給與も支給されることがない。
(適用範囲)
第二條 この法律の規定による退職手当は、昭和二十五年度予算として成立した一般会計、各特別会計、日本專売公社及び日本国有鉄道の歳出予算並びに公団等の予算及び決算の暫定措置に関する法律(昭和二十四年法律第二十七号)により国会の議決を経た歳出予算によつて俸給(これに相当する給與を含む。以下同じ。)が支給される職員(以下「職員」という。)が退職した場合にはその者、死亡した場合にはその遺族に支給する。
第二章 一般の退職手当
(普通退職の場合)
第三條 第四條に掲げる事由以外の事由に因り退職した者に対する退職手当の額は、その者の俸給日額に左の各号の定めるところによつて計算した日数を乘じて得た額とする。
一 第二号又は第三号の規定に該当しない者にあつては、その勤続期間に応じ左の区分によつて計算した日数
イ 勤続期間十年以下の部分については、一年につき十六日
ロ 勤続期間十年をこえる部分については、一年につき二十日
二 恩給法の規定(日本專売公社法(昭和二十三年法律第二百五十五号)第五十條第一項及び日本国有鉄道法(昭和二十三年法律第二百五十六号)第五十六條第一項において準用する場合を含む。)による恩給(公務のための傷い疾病に因る恩給及びこれと併給される恩給を除く。)の支給を現に受くべき者にあつては、前号の規定による日数から恩給法上の公務員としての実勤続在職年一年につき十日の割合で計算した日数を控除した日数
三 国家公務員共済組合法の規定(日本專売公社法第五十一條第一項及び日本国有鉄道法第五十七條第一項において準用する場合を含む。)による退職給付又は船員保險法(昭和十四年法律第七十三号)によるこれに相当する給付の支給を現に受くべきものにあつては、第一号の規定による日数から退職給付を受くべき組合員又はこれに相当する給付を受くべき船員保險法の被保險者としての実勤続期間一年につき七日(実勤続期間十年をこえる者にあつては、その十年をこえる部分一年につき十日)の割合で計算した日数を控除した日数
(定員の改廃に因る退職等の場合)
第四條 左に揚げる事由に因り退職した者に対する退職手当の額は、その者の俸給日額に前條の規定により計算した日数に勤続期間一年につき九日(勤続期間十年をこえる者にあつては、その十年をこえる部分一年につき十日)の割合で計算した日数を加えた日数を乘じて得た額とする。
一 定員若しくは組織の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じたため退職した場合
二 停年制による停年に達したため又は満六十歳をこえて退職した場合
三 傷い疾病に因りその職に堪えず退職した場合
四 前各号に掲げる事由以外の事由に因り本人の意に反して退職した場合
五 在職中に死亡した場合
2 職員の退職が前項第一号に掲げる事由に該当するかどうかは、その都度、閣議で決定する。
第五條 前條に掲げる事由に因り退職した者の退職手当の額がその者の退職又は死亡当時における俸給、扶養手当及び勤務地手当の月額の合計額に満たないときは、その額をもつて退職手当の額とする。
(俸給日額)
第六條 第三條及び第四條の俸給日額は、職員の退職又は死亡当時における俸給月額(俸給が日額で定められている者については、俸給の日額の二十五日分に相当する額)の三十分の一に相当する額とする。但し、その額に銭位未満の端数を生じたときは、その端数を一銭として計算する。
(勤続期間の計算)
第七條 勤続期間の計算は、職員となつた日の属する月から退職又は死亡した日の属する月までの引き続いた在職期間(地方公共団体における在職期間であつて職員としての在職期間に引き続いたものを含む。以下同じ。)による。
2 日日雇い入れられる職員が一月のうちで二十二日以上使用された場合においては、前項の規定の適用については、引き続いて在職したものとみなす。
3 前二項の規定により計算した勤続期間のうちに左の各号に掲げる期間があるときは、その期間を除算する。
一 恩給法の特例に関する件(昭和二十一年勅令第六十八号)第一條に規定する軍人軍属としての在職期間
二 退職手当の支給を受けた者にあつては、その退職手当の計算の基礎となつた在職期間
4 前三項の規定により勤続期間を計算する場合においては、一年未満の端数は、切り捨てる。但し、その勤続期間六月以上一年未満の者については、一年とする。
(退職手当の支給制限)
第八條 第三條から第五條までの規定による退職手当(以下「一般の退職手当」という。)は、左の各号の一に該当する者には支給しない。
一 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二條の規定による懲戒免職の処分又はこれに準ずる処分を受けた者
二 国家公務員法第七十六條の規定による失職(同法第三十八條第一号に該当する場合を除く。)又はこれに準ずる退職をした者
三 国家公務員法第九十八條第六項の規定に該当し退職させられた者又はこれに準ずる者
四 常勤を要しない者
2 第四條及び第五條の規定による退職手当は、左の各号の一に該当する者には支給しない。
一 日日雇い入れられる職員(前條第二項の規定により一月以上引き続いて在職したものとみなされる者を除く。)
二 二月以内の期間を定めて職員となつた者(所定の期間をこえて引き続いて在職するに至つた者を除く。)
三 季節的業務に従事するため四月以内の期間を定めて職員となつた者(所定の期間をこえて引き続き在職するに至つた者を除く。)
四 試みの使用期間中の職員、(十四日をこえて引き続き在職するに至つた者を除く。)
第三章 特別の退職手当
(予告を受けない退職者の退職手当)
第九條 職員の退職が労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第二十條及び第二十一條又は船員法(昭和二十二年法律第百号)第四十六條の規定に該当する場合におけるこれらの規定による給與(労働基準法等の施行に伴う政府職員に係る給與の応急措置に関する法律(昭和二十二年法律第百六十七号)の規定により増額して支給されるこれらの規定による給與に相当する給與を含む。以下同じ。)は、一般の退職手当に含まれるものとする。但し、一般の退職手当の額がこれらの規定による給與の額に満たないときは、一般の退職手当の外、その差額に相当する金額を退職手当として支給する。
(失業者の退職手当)
第十條 勤続期間六月以上で退職した者が退職の日の翌日から起算して一年内に失業している場合においては、その者がすでに支給を受けた退職手当の額がその者につき失業保險法(昭和二十二年法律第百四十六号の規定により計算した失業保險金の日額(以下「失業保險金の日額」という。)の百八十日分に相当する金額に満たないときは、当該退職手当の外、その差額に相当する金額を同法の規定による失業保險金の支給の條件に従い退職手当として、公共職業の安定所において支給する。
2 前項の規定による退職手当は、その者がすでに支給を受けた退職手当の額を失業保險金の日額で除して得た数(一未満の端数を生じたときは、その端数を切り捨てる。)に等しい日数をこえて失業している場合に限り、そのこえる部分の失業の日数に応じ支給する。
3 第一項の規定に該当する場合において、退職した者が退職手当の支給を受けないときは、失業保險金の日額の百八十日分に相当する金額を退職手当として失業保險法の規定による失業保險金の支給の條件に従い、公共職業安定所において支給する。
4 本條の規定による退職手当は、失業保險法又は船員保險法の規定によるこれに相当する給付の支給を受ける者に対して支給してはならない。
第四章 雑則
(遺族の範囲及び順位)
第十一條 第二條に規定する遺族は、左の各号に掲げる者とする。
一 配偶者(届出をしないが、職員の死亡当時事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)
二 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で職員の死亡当時主としてその收入によつて生計を維持していたもの
三 前号に掲げる者の外、職員の死亡当時主としてその收入によつて生計を維持していた親族
四 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で第二号に該当しないもの
2 前項に掲げる者が退職手当を受ける順位は、前項各号の順位により、第二号及び第四号に掲げる者のうちにあつては、同号に掲げる順位による。
3 退職手当の支給を受けるべき同順位の者が二人以上ある場合には、その人数によつて等分して支給する。
(地方公共団体へ転じた者の取扱)
第十二條 退職した者が引き続いて地方公共団体に就職した場合において、その者の職員としての勤続期間が当該地方公共団体の退職手当に関する規定によりその者の当該地方公共団体における勤続期間に通算されることに定められているときは、この法律による退職手当は支給しない。
(船員等の特例)
第十三條 船員その他の職員で、その労働條件、給與体系等の特殊性に基き、この法律に対する特例を設ける必要があるものについては、政令で特例を定めることができる。但し、その特例は、この法律の趣旨に適合するものでなければならない。
(実施規定)
第十四條 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、大蔵省令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 左に掲げる政令は廃止する。
行政機関職員定員法施行に伴い退職する職員に対して支給される退職手当に関する政令(昭和二十四年政令第二百六十三号)
昭和二十四年度及び昭和二十五年度総合均衡予算の実施に伴う退職手当の臨時措置に関する政令(昭和二十四年政令第二百六十四号)
3 この法律施行の日前における職員の退職又は死亡に因り支給する退職手当については、なお従前の例による。
4 連合国軍の需要に応じ連合国軍のために労務に服する者に対する退職手当については、この法律の規定にかかわらず、この法律施行の日現在における額の計算方法、支給條件及び支給手続による。
5 左の各号の一に該当する者で閣議で定める者に対する一般の退職手当の額については、第四條及び第五條の規定にかかわらず、第六項及び第七項に規定するところによる。
一 行政機関職員定員法の一部を改正する法律(昭和二十五年法律第百四十号)の施行に基く定員又は定数の改廃に因り退職する者
二 法令による公団、日本国有鉄道、復興金融金庫、商船管理委員会、持株会社整理委員会、閉鎖機関整理委員会又は証券処理調整協議会の職員であつて、昭和二十五年度における機構の改廃又は予算実行上の要請に因り退職するもの
三 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)附則第八條に規定する都道府県の職員(雇傭人を含む。)のうち通商産業省又は運輸省の所管に係る臨時物資需給調整法(昭和二十一年法律第三十二号)の施行に関する事務に従事する者(以下「地方職員」という。)であつて、昭和二十五年四月一日から同年七月一日までの間において、同條に基く政令に定める定員の改廃に因り退職するもの
6 前項に規定する者に対する一般の退職手当の額は、その者の俸給日額に、第三條第一号の規定を「第二号又は第三号の規定に該当しない者にあつては、その勤続期間一年につき三十日の割合で計算した日数」と読み替えて、同條各号の規定を適用して計算した日数を乘じて得た額とする。
7 第五項に規定する者で左の各号に掲げるものに対する前項の規定による退職手当の額が、その者の退職当時における俸給、扶養手当及び勤務地手当の月額の合計額にそれぞれ当該各号に掲げる月数を乘じて得た額に満たないときは、その額をもつてそれぞれその者の退職手当の額とする。
一 勤続期間一年未満の者 一・五月
二 勤続期間一年以上二年未満の者 二月
三 勤続期間二年以上三年未満の者 二・五月
四 勤続期間三年以上の者 三月
8 この法律施行前において昭和二十五年度予算実行上の要請に因り退職した職員(地方職員を含む。)で閣議で定めるものに対する一般の退職手当の額は、第三項の規定にかかわらず、前二項の規定により計算した一般の退職手当の額とする。
9 退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律(昭和二十五年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。
第一條中「行政機関職員定員法施行に伴い退職する職員に対して支給される退職手当に関する政令(昭和二十四年政令第二百六十三号)第五條又は昭和二十四年度及び昭和二十五年度総合均衡予算の実施に伴う退職手当の臨時措置に関する政令(昭和二十四年政令第二百六十四号)第十條に規定する差額」を「国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律(昭和二十五年法律第百四十二号)第十條に規定する差額」に改める。
附則を次のように改める。
1 この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。
2 行政機関職員定員法施行に伴い退職する職員に対して支給される退職手当に関する政令(昭和二十四年政令第二百六十三号)第五條若しくは昭和二十四年度及び昭和二十五年度総合均衡予算の実施に伴う退職手当の臨時措置に関する政令(昭和二十四年政令第二百六十四号)第十條に規定する差額又は国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律附則第三項の規定により従前の例による場合におけるこれらに相当する差額は、第一條の規定の適用については、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律第十條に規定する差額とみなす。
内閣総理大臣 吉田茂
法務大臣 殖田俊吉
外務大臣 吉田茂
大蔵大臣臨時代理 国務大臣 殖田俊吉
文部大臣 高瀬莊太郎
厚生大臣 林讓治
農林大臣 森幸太郎
通商産業大臣 高瀬莊太郎
運輸大臣 大屋晋三
郵政大臣 小沢佐重喜
電気通信大臣 小沢佐重喜
労働大臣 鈴木正文
建設大臣 益谷秀次
経済安定本部総裁 吉田茂
国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年五月四日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百四十二号
国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
一般の退職手当(第三条―第八条)
第三章
特別の退職手当(第九条・第十条)
第四章
雑則(第十一条―第十四条)
附則
第一章 総則
(目的及び効力)
第一条 この法律は、昭和二十五年度における退職手当の基準を臨時に定めることを目的とする。
2 この法律は、昭和二十六年三月三十一日限り、その効力を失うものとする。但し、第十条の規定は、昭和二十七年三月三十一日まで、なお、その効力を有する。
3 昭和二十六年度以降においては、別に法律をもつて恩給法(大正十二年法律第四十八号)の規定による恩給、国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号)の規定による退職給付、この法律の規定による退職手当及びこれらに準ずる退職給与を総合する新たな恒久的退職給与制度を制定実施するものとし、前項但書の規定により支給するものを除き、その法律によらなければ、いかなる退職給与も支給されることがない。
(適用範囲)
第二条 この法律の規定による退職手当は、昭和二十五年度予算として成立した一般会計、各特別会計、日本専売公社及び日本国有鉄道の歳出予算並びに公団等の予算及び決算の暫定措置に関する法律(昭和二十四年法律第二十七号)により国会の議決を経た歳出予算によつて俸給(これに相当する給与を含む。以下同じ。)が支給される職員(以下「職員」という。)が退職した場合にはその者、死亡した場合にはその遺族に支給する。
第二章 一般の退職手当
(普通退職の場合)
第三条 第四条に掲げる事由以外の事由に因り退職した者に対する退職手当の額は、その者の俸給日額に左の各号の定めるところによつて計算した日数を乗じて得た額とする。
一 第二号又は第三号の規定に該当しない者にあつては、その勤続期間に応じ左の区分によつて計算した日数
イ 勤続期間十年以下の部分については、一年につき十六日
ロ 勤続期間十年をこえる部分については、一年につき二十日
二 恩給法の規定(日本専売公社法(昭和二十三年法律第二百五十五号)第五十条第一項及び日本国有鉄道法(昭和二十三年法律第二百五十六号)第五十六条第一項において準用する場合を含む。)による恩給(公務のための傷い疾病に因る恩給及びこれと併給される恩給を除く。)の支給を現に受くべき者にあつては、前号の規定による日数から恩給法上の公務員としての実勤続在職年一年につき十日の割合で計算した日数を控除した日数
三 国家公務員共済組合法の規定(日本専売公社法第五十一条第一項及び日本国有鉄道法第五十七条第一項において準用する場合を含む。)による退職給付又は船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)によるこれに相当する給付の支給を現に受くべきものにあつては、第一号の規定による日数から退職給付を受くべき組合員又はこれに相当する給付を受くべき船員保険法の被保険者としての実勤続期間一年につき七日(実勤続期間十年をこえる者にあつては、その十年をこえる部分一年につき十日)の割合で計算した日数を控除した日数
(定員の改廃に因る退職等の場合)
第四条 左に揚げる事由に因り退職した者に対する退職手当の額は、その者の俸給日額に前条の規定により計算した日数に勤続期間一年につき九日(勤続期間十年をこえる者にあつては、その十年をこえる部分一年につき十日)の割合で計算した日数を加えた日数を乗じて得た額とする。
一 定員若しくは組織の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じたため退職した場合
二 停年制による停年に達したため又は満六十歳をこえて退職した場合
三 傷い疾病に因りその職に堪えず退職した場合
四 前各号に掲げる事由以外の事由に因り本人の意に反して退職した場合
五 在職中に死亡した場合
2 職員の退職が前項第一号に掲げる事由に該当するかどうかは、その都度、閣議で決定する。
第五条 前条に掲げる事由に因り退職した者の退職手当の額がその者の退職又は死亡当時における俸給、扶養手当及び勤務地手当の月額の合計額に満たないときは、その額をもつて退職手当の額とする。
(俸給日額)
第六条 第三条及び第四条の俸給日額は、職員の退職又は死亡当時における俸給月額(俸給が日額で定められている者については、俸給の日額の二十五日分に相当する額)の三十分の一に相当する額とする。但し、その額に銭位未満の端数を生じたときは、その端数を一銭として計算する。
(勤続期間の計算)
第七条 勤続期間の計算は、職員となつた日の属する月から退職又は死亡した日の属する月までの引き続いた在職期間(地方公共団体における在職期間であつて職員としての在職期間に引き続いたものを含む。以下同じ。)による。
2 日日雇い入れられる職員が一月のうちで二十二日以上使用された場合においては、前項の規定の適用については、引き続いて在職したものとみなす。
3 前二項の規定により計算した勤続期間のうちに左の各号に掲げる期間があるときは、その期間を除算する。
一 恩給法の特例に関する件(昭和二十一年勅令第六十八号)第一条に規定する軍人軍属としての在職期間
二 退職手当の支給を受けた者にあつては、その退職手当の計算の基礎となつた在職期間
4 前三項の規定により勤続期間を計算する場合においては、一年未満の端数は、切り捨てる。但し、その勤続期間六月以上一年未満の者については、一年とする。
(退職手当の支給制限)
第八条 第三条から第五条までの規定による退職手当(以下「一般の退職手当」という。)は、左の各号の一に該当する者には支給しない。
一 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条の規定による懲戒免職の処分又はこれに準ずる処分を受けた者
二 国家公務員法第七十六条の規定による失職(同法第三十八条第一号に該当する場合を除く。)又はこれに準ずる退職をした者
三 国家公務員法第九十八条第六項の規定に該当し退職させられた者又はこれに準ずる者
四 常勤を要しない者
2 第四条及び第五条の規定による退職手当は、左の各号の一に該当する者には支給しない。
一 日日雇い入れられる職員(前条第二項の規定により一月以上引き続いて在職したものとみなされる者を除く。)
二 二月以内の期間を定めて職員となつた者(所定の期間をこえて引き続いて在職するに至つた者を除く。)
三 季節的業務に従事するため四月以内の期間を定めて職員となつた者(所定の期間をこえて引き続き在職するに至つた者を除く。)
四 試みの使用期間中の職員、(十四日をこえて引き続き在職するに至つた者を除く。)
第三章 特別の退職手当
(予告を受けない退職者の退職手当)
第九条 職員の退職が労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第二十条及び第二十一条又は船員法(昭和二十二年法律第百号)第四十六条の規定に該当する場合におけるこれらの規定による給与(労働基準法等の施行に伴う政府職員に係る給与の応急措置に関する法律(昭和二十二年法律第百六十七号)の規定により増額して支給されるこれらの規定による給与に相当する給与を含む。以下同じ。)は、一般の退職手当に含まれるものとする。但し、一般の退職手当の額がこれらの規定による給与の額に満たないときは、一般の退職手当の外、その差額に相当する金額を退職手当として支給する。
(失業者の退職手当)
第十条 勤続期間六月以上で退職した者が退職の日の翌日から起算して一年内に失業している場合においては、その者がすでに支給を受けた退職手当の額がその者につき失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号の規定により計算した失業保険金の日額(以下「失業保険金の日額」という。)の百八十日分に相当する金額に満たないときは、当該退職手当の外、その差額に相当する金額を同法の規定による失業保険金の支給の条件に従い退職手当として、公共職業の安定所において支給する。
2 前項の規定による退職手当は、その者がすでに支給を受けた退職手当の額を失業保険金の日額で除して得た数(一未満の端数を生じたときは、その端数を切り捨てる。)に等しい日数をこえて失業している場合に限り、そのこえる部分の失業の日数に応じ支給する。
3 第一項の規定に該当する場合において、退職した者が退職手当の支給を受けないときは、失業保険金の日額の百八十日分に相当する金額を退職手当として失業保険法の規定による失業保険金の支給の条件に従い、公共職業安定所において支給する。
4 本条の規定による退職手当は、失業保険法又は船員保険法の規定によるこれに相当する給付の支給を受ける者に対して支給してはならない。
第四章 雑則
(遺族の範囲及び順位)
第十一条 第二条に規定する遺族は、左の各号に掲げる者とする。
一 配偶者(届出をしないが、職員の死亡当時事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)
二 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で職員の死亡当時主としてその収入によつて生計を維持していたもの
三 前号に掲げる者の外、職員の死亡当時主としてその収入によつて生計を維持していた親族
四 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で第二号に該当しないもの
2 前項に掲げる者が退職手当を受ける順位は、前項各号の順位により、第二号及び第四号に掲げる者のうちにあつては、同号に掲げる順位による。
3 退職手当の支給を受けるべき同順位の者が二人以上ある場合には、その人数によつて等分して支給する。
(地方公共団体へ転じた者の取扱)
第十二条 退職した者が引き続いて地方公共団体に就職した場合において、その者の職員としての勤続期間が当該地方公共団体の退職手当に関する規定によりその者の当該地方公共団体における勤続期間に通算されることに定められているときは、この法律による退職手当は支給しない。
(船員等の特例)
第十三条 船員その他の職員で、その労働条件、給与体系等の特殊性に基き、この法律に対する特例を設ける必要があるものについては、政令で特例を定めることができる。但し、その特例は、この法律の趣旨に適合するものでなければならない。
(実施規定)
第十四条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、大蔵省令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 左に掲げる政令は廃止する。
行政機関職員定員法施行に伴い退職する職員に対して支給される退職手当に関する政令(昭和二十四年政令第二百六十三号)
昭和二十四年度及び昭和二十五年度総合均衡予算の実施に伴う退職手当の臨時措置に関する政令(昭和二十四年政令第二百六十四号)
3 この法律施行の日前における職員の退職又は死亡に因り支給する退職手当については、なお従前の例による。
4 連合国軍の需要に応じ連合国軍のために労務に服する者に対する退職手当については、この法律の規定にかかわらず、この法律施行の日現在における額の計算方法、支給条件及び支給手続による。
5 左の各号の一に該当する者で閣議で定める者に対する一般の退職手当の額については、第四条及び第五条の規定にかかわらず、第六項及び第七項に規定するところによる。
一 行政機関職員定員法の一部を改正する法律(昭和二十五年法律第百四十号)の施行に基く定員又は定数の改廃に因り退職する者
二 法令による公団、日本国有鉄道、復興金融金庫、商船管理委員会、持株会社整理委員会、閉鎖機関整理委員会又は証券処理調整協議会の職員であつて、昭和二十五年度における機構の改廃又は予算実行上の要請に因り退職するもの
三 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)附則第八条に規定する都道府県の職員(雇傭人を含む。)のうち通商産業省又は運輸省の所管に係る臨時物資需給調整法(昭和二十一年法律第三十二号)の施行に関する事務に従事する者(以下「地方職員」という。)であつて、昭和二十五年四月一日から同年七月一日までの間において、同条に基く政令に定める定員の改廃に因り退職するもの
6 前項に規定する者に対する一般の退職手当の額は、その者の俸給日額に、第三条第一号の規定を「第二号又は第三号の規定に該当しない者にあつては、その勤続期間一年につき三十日の割合で計算した日数」と読み替えて、同条各号の規定を適用して計算した日数を乗じて得た額とする。
7 第五項に規定する者で左の各号に掲げるものに対する前項の規定による退職手当の額が、その者の退職当時における俸給、扶養手当及び勤務地手当の月額の合計額にそれぞれ当該各号に掲げる月数を乗じて得た額に満たないときは、その額をもつてそれぞれその者の退職手当の額とする。
一 勤続期間一年未満の者 一・五月
二 勤続期間一年以上二年未満の者 二月
三 勤続期間二年以上三年未満の者 二・五月
四 勤続期間三年以上の者 三月
8 この法律施行前において昭和二十五年度予算実行上の要請に因り退職した職員(地方職員を含む。)で閣議で定めるものに対する一般の退職手当の額は、第三項の規定にかかわらず、前二項の規定により計算した一般の退職手当の額とする。
9 退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律(昭和二十五年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。
第一条中「行政機関職員定員法施行に伴い退職する職員に対して支給される退職手当に関する政令(昭和二十四年政令第二百六十三号)第五条又は昭和二十四年度及び昭和二十五年度総合均衡予算の実施に伴う退職手当の臨時措置に関する政令(昭和二十四年政令第二百六十四号)第十条に規定する差額」を「国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律(昭和二十五年法律第百四十二号)第十条に規定する差額」に改める。
附則を次のように改める。
1 この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。
2 行政機関職員定員法施行に伴い退職する職員に対して支給される退職手当に関する政令(昭和二十四年政令第二百六十三号)第五条若しくは昭和二十四年度及び昭和二十五年度総合均衡予算の実施に伴う退職手当の臨時措置に関する政令(昭和二十四年政令第二百六十四号)第十条に規定する差額又は国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律附則第三項の規定により従前の例による場合におけるこれらに相当する差額は、第一条の規定の適用については、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律第十条に規定する差額とみなす。
内閣総理大臣 吉田茂
法務大臣 殖田俊吉
外務大臣 吉田茂
大蔵大臣臨時代理 国務大臣 殖田俊吉
文部大臣 高瀬荘太郎
厚生大臣 林譲治
農林大臣 森幸太郎
通商産業大臣 高瀬荘太郎
運輸大臣 大屋晋三
郵政大臣 小沢佐重喜
電気通信大臣 小沢佐重喜
労働大臣 鈴木正文
建設大臣 益谷秀次
経済安定本部総裁 吉田茂