造船法
法令番号: 法律第129号
公布年月日: 昭和25年5月1日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

戦時中の低質大量生産により、日本の造船技術は世界水準はおろか戦前の水準にも達していない状況にある。そこで造船技術の回復向上を図るため、船舶の推進性能試験や機関の性能試験を実施し、造船技術審議会の議を経て各造船所への指導・勧告を行う。また造船所施設の新設拡充については事前届出制とし、不適当な工事には着手前に指導を行う。さらに世界競争に対応するため、技術向上と経営合理化を推進すべく、各事業の現状把握と適切な指導を可能とする制度を整備する。

参照した発言:
第7回国会 衆議院 運輸委員会 第19号

審議経過

第7回国会

衆議院
(昭和25年4月4日)
参議院
(昭和25年4月4日)
衆議院
(昭和25年4月8日)
(昭和25年4月10日)
(昭和25年4月12日)
(昭和25年4月18日)
参議院
(昭和25年4月20日)
(昭和25年4月21日)
衆議院
(昭和25年5月3日)
参議院
(昭和25年5月2日)
造船法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年五月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百二十九号
造船法
(目的)
第一條 この法律は、造船技術の向上を図り、あわせて造船に関する事業の円滑な運営を期することを目的とする。
(施設の新設)
第二條 総トン数百トン以上又は長さ二十五メートル以上の鋼製の船舶の製造又は修繕をすることができる造船台、ドツク又は引揚船台を備える船舶の製造又は修繕の施設を新設しようとする者は、その工事の着手の日の一箇月前までに、施設の概要、工事計画、事業の種類及び事業計画を運輸大臣に届け出なければならない。
2 前項の届出をした者は、同項の工事が完了したときは、その日から二箇月以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(設備の新設等)
第三條 前條の施設を所有し、又は借り受けている者が、船舶の製造又は修繕に必要な造船台、ドツク、引揚船台等の設備であつて省令で定めるものを新設し、拡張し、又は移転しようとするときは、その工事の着手の日の一箇月前までに、設備の概要及び工事計画を運輸大臣に届け出なければならない。
2 前條第二項の規定は、前項の届出をした者に準用する。
(推進性能試験)
第四條 運輸大臣は、推進機関を備える船舶を製造しようとする者の要求があつたときは、その船舶の設計について水そうによる推進性能試験を行わなければならない。
2 運輸大臣は、前項の規定により推進性能試験を受けた設計に基いて船舶を製造した者の要求があつたときは、その船舶について実地による推進性能試験を行わなければならない。
3 運輸大臣は、推進性能試験を行うことを要求した者に対して、推進性能試験の結果を通報しなければならない。この場合において、運輸大臣は、必要があると認めるときは、設計の変更その他の勧告をすることができる。
4 第一項又は第二項の規定による推進性能試験を行うことを要求する者は、手数料を納めなければならない。その額は、水そうによる推進性能試験については十万円を、実地による推進性能試験については二万円をこえない範囲内で省令で定める。
5 第二項の規定による推進性能試験を行うことを要求した者は、推進性能試験に要した旅費の実費を納めなければならない。
(機関の性能試験)
第五條 運輸大臣は、新規の設計に基いて船舶用推進機関又は船舶用ボイラーを製造した者の要求があつたときは、その船舶用推進機関又は船舶用ボイラーについて性能試験を行わなければならない。
2 前項の規定による性能試験は、船舶用推進機関に関しては出力、操縦性、回転速度の調整及び振動について、船舶用ボイラーに関しては燃焼及び蒸発の効率について行う。
3 第一項の規定による性能試験を行うことを要求する者は、手数料を納めなければならない。その額は、二万円をこえない範囲内で省令で定める。
4 第一項の規定による性能試験については、前條第三項及び第五項の規定を準用する。
(船舶の製造事業等の開始、休止及び廃止)
第六條 左に掲げる事業を開始した者は、その事業を開始した日から二箇月以内に、その施設の概要及び事業計画を運輸大臣に届け出なければならない。
一 鋼製の船舶の製造又は修繕をする事業
二 鋼製の船舶以外の船舶で総トン数二十トン以上又は長さ十五メートル以上のものの製造又は修繕をする事業
三 軸馬力三十馬力以上の船舶用推進機関の製造をする事業
四 受熱面積百五十平方メートル以上の船舶用ボイラーの製造をする事業
2 前項各号の事業を営む者が、その事業を休止し、又は廃止したときは、二箇月以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(業務に関する勧告)
第七條 運輸大臣は、前條第一項各号に掲げる事業を営む者に対して、業務運営の改善及び企業原価の適正化等について意見を述べ、又は勧告をすることができる。
(技術に関する勧告)
第八條 運輸大臣は、第六條第一項各号に掲げる事業を営む者に対して、新しい技術の導入、設備の近代化その他技術の向上に関し造船技術審議会の議を経て必要な勧告をすることができる。
(情報等の提供)
第九條 運輸大臣は、常に、広く造船技術に関する資料、情報等を集めて備え置き、第六條第一項各号に掲げる事業を営む者の要求に応じ、これを提供しなければならない。
(報告)
第十條 運輸大臣又は海運局長は、船舶の製造若しくは修繕又は船体、船舶用機関若しくはぎ装品又はこれらの部分品若しくは附属品の製造、修繕又は販売をする事業を営む者に対して、その生産、販売、労務及び施設について報告をさせることができる。
2 前項の場合において、運輸大臣又は海運局長は、報告をする者に対して、報告について必要な協力をしなければならない。
(現に事業を営む者の届出)
第十一條 この法律施行の際現に第六條第一項各号に掲げる事業を営む者は、この法律施行の日から二箇月以内に、その施設及び事業の概要を運輸大臣に届け出なければならない。
(罰則)
第十二條 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第二條(第三條第二項において準用する場合を含む。)、第三條第一項、第六條又は第十一條の規定による届出をせず、又は虚僞の届出をした者
二 第十條第一項の規定に違反して虚僞の報告をした者
第十三條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前條の違反行為をしたときは、行為者を罰する外その法人又は人に対しても同條の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため当該業務に対し相当の注意及び監督が盡されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
附 則
この法律施行の期日は、公布の日から起算して九十日をこえない期間内において政令で定める。
運輸大臣 大屋晋三
内閣総理大臣 吉田茂
造船法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年五月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百二十九号
造船法
(目的)
第一条 この法律は、造船技術の向上を図り、あわせて造船に関する事業の円滑な運営を期することを目的とする。
(施設の新設)
第二条 総トン数百トン以上又は長さ二十五メートル以上の鋼製の船舶の製造又は修繕をすることができる造船台、ドツク又は引揚船台を備える船舶の製造又は修繕の施設を新設しようとする者は、その工事の着手の日の一箇月前までに、施設の概要、工事計画、事業の種類及び事業計画を運輸大臣に届け出なければならない。
2 前項の届出をした者は、同項の工事が完了したときは、その日から二箇月以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(設備の新設等)
第三条 前条の施設を所有し、又は借り受けている者が、船舶の製造又は修繕に必要な造船台、ドツク、引揚船台等の設備であつて省令で定めるものを新設し、拡張し、又は移転しようとするときは、その工事の着手の日の一箇月前までに、設備の概要及び工事計画を運輸大臣に届け出なければならない。
2 前条第二項の規定は、前項の届出をした者に準用する。
(推進性能試験)
第四条 運輸大臣は、推進機関を備える船舶を製造しようとする者の要求があつたときは、その船舶の設計について水そうによる推進性能試験を行わなければならない。
2 運輸大臣は、前項の規定により推進性能試験を受けた設計に基いて船舶を製造した者の要求があつたときは、その船舶について実地による推進性能試験を行わなければならない。
3 運輸大臣は、推進性能試験を行うことを要求した者に対して、推進性能試験の結果を通報しなければならない。この場合において、運輸大臣は、必要があると認めるときは、設計の変更その他の勧告をすることができる。
4 第一項又は第二項の規定による推進性能試験を行うことを要求する者は、手数料を納めなければならない。その額は、水そうによる推進性能試験については十万円を、実地による推進性能試験については二万円をこえない範囲内で省令で定める。
5 第二項の規定による推進性能試験を行うことを要求した者は、推進性能試験に要した旅費の実費を納めなければならない。
(機関の性能試験)
第五条 運輸大臣は、新規の設計に基いて船舶用推進機関又は船舶用ボイラーを製造した者の要求があつたときは、その船舶用推進機関又は船舶用ボイラーについて性能試験を行わなければならない。
2 前項の規定による性能試験は、船舶用推進機関に関しては出力、操縦性、回転速度の調整及び振動について、船舶用ボイラーに関しては燃焼及び蒸発の効率について行う。
3 第一項の規定による性能試験を行うことを要求する者は、手数料を納めなければならない。その額は、二万円をこえない範囲内で省令で定める。
4 第一項の規定による性能試験については、前条第三項及び第五項の規定を準用する。
(船舶の製造事業等の開始、休止及び廃止)
第六条 左に掲げる事業を開始した者は、その事業を開始した日から二箇月以内に、その施設の概要及び事業計画を運輸大臣に届け出なければならない。
一 鋼製の船舶の製造又は修繕をする事業
二 鋼製の船舶以外の船舶で総トン数二十トン以上又は長さ十五メートル以上のものの製造又は修繕をする事業
三 軸馬力三十馬力以上の船舶用推進機関の製造をする事業
四 受熱面積百五十平方メートル以上の船舶用ボイラーの製造をする事業
2 前項各号の事業を営む者が、その事業を休止し、又は廃止したときは、二箇月以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(業務に関する勧告)
第七条 運輸大臣は、前条第一項各号に掲げる事業を営む者に対して、業務運営の改善及び企業原価の適正化等について意見を述べ、又は勧告をすることができる。
(技術に関する勧告)
第八条 運輸大臣は、第六条第一項各号に掲げる事業を営む者に対して、新しい技術の導入、設備の近代化その他技術の向上に関し造船技術審議会の議を経て必要な勧告をすることができる。
(情報等の提供)
第九条 運輸大臣は、常に、広く造船技術に関する資料、情報等を集めて備え置き、第六条第一項各号に掲げる事業を営む者の要求に応じ、これを提供しなければならない。
(報告)
第十条 運輸大臣又は海運局長は、船舶の製造若しくは修繕又は船体、船舶用機関若しくはぎ装品又はこれらの部分品若しくは附属品の製造、修繕又は販売をする事業を営む者に対して、その生産、販売、労務及び施設について報告をさせることができる。
2 前項の場合において、運輸大臣又は海運局長は、報告をする者に対して、報告について必要な協力をしなければならない。
(現に事業を営む者の届出)
第十一条 この法律施行の際現に第六条第一項各号に掲げる事業を営む者は、この法律施行の日から二箇月以内に、その施設及び事業の概要を運輸大臣に届け出なければならない。
(罰則)
第十二条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第二条(第三条第二項において準用する場合を含む。)、第三条第一項、第六条又は第十一条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第十条第一項の規定に違反して虚偽の報告をした者
第十三条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外その法人又は人に対しても同条の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
附 則
この法律施行の期日は、公布の日から起算して九十日をこえない期間内において政令で定める。
運輸大臣 大屋晋三
内閣総理大臣 吉田茂