(海上保安庁以外の者が実施する水路測量)
第六條 海上保安庁以外の者が、その費用の全部又は一部を国又は地方公共団体が負担し、又は補助する水路測量を実施しようとするときは、海上保安庁長官の許可を受けなければならない。但し、学術上の目的をもつて行う測量、局地的な測量等について運輸省令で定める場合は、この限りでない。
(水路測量の実施方法の勧告)
第七條 海上保安庁長官は、必要があると認めるときは、前條の規定により許可を受けた者に対し、水路測量の実施方法につき勧告をすることができる。
(水路測量の実施の公示)
第八條 海上保安庁長官は、水路測量を実施しようとするときは、あらかじめその区域、期間その他必要な事項を公示しなければならない。第六條の規定による許可をしたときも同様とする。
(水路測量の基準)
第九條 海上保安庁又は第六條の許可を受けた者が行う水路測量は、左の各号に掲げる測量の基準に従つて行わなければならない。
一 地球の形状及び大きさについては、ベツセルの算出した次の値による。
三 測量の原点は、日本経緯度原点を基礎とする。但し、海上において行う測量その他特別の事情がある場合において、海上保安庁長官の承認を得たときは、この限りでない。
六 干出岩及び干出たいは、基本水準面からの高さで表示する。
七 海岸線は、海面が略最高高潮面に達した時の陸地と海面の境界で表示する。
八 平均水面及び基本水準面の高さは、運輸省令で定める。
(資料又は報告の提出の要求)
第十條 海上保安庁長官は、特に必要があるときは、地方公共団体その他港湾施設の管理者に対し、その管理する港湾施設の状況について資料又は報告の提出を求めることができる。
第十一條 海上保安庁長官は、特に必要があるときは、船舶に対し、水路図誌の編修に必要な報告の提出を求めることができる。
(土地又は水面の立入)
第十二條 海上保安庁の職員は、水路測量又は海象観測のため必要があるときは、国、地方公共団体又は私人が所有し、占有し、又は占用する土地又は水面に立ち入ることができる。
2 前項の規定により宅地又はかき、さく等で囲まれた水面若しくは土地に立ち入る場合には、あらかじめその旨を所有者、占有者又は占用者に通知しなければならない。但し、これらの者に対してあらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。
3 海上保安庁の職員が、第一項の規定により土地又は水面に立ち入る場合には、その身分を示す証票を携帶し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
(障害物の除去)
第十三條 海上保安庁の職員は、水路測量を実施するためやむを得ない必要があるときは、あらかじめ所有者又は占有者の承諾を得て、障害となる植物又はかき、さく等を伐除することができる。
第十四條 海上保安庁の職員は、離島又はこれに類する場所で水路測量を実施する場合において、あらかじめ所有者又は占有者の承諾を得ることが困難であり、且つ、当該物件の現状を著しく損傷しないときは、前條の規定にかかわらず承諾を得ないで、障害となる植物又はかき、さく等を伐除することができる。この場合においては、遅滞なく、その旨を所有者又は占有者に通知しなければならない。
(損失の補償)
第十五條 前三條の規定による立入又は伐除により損失を生じたときは、国は、その所有者、占有者又は占用者に対して、相当の価格により、その損失を補償しなければならない。
2 前項の補償の額に不服がある者は、訴をもつて増額を請求することができる。
(水路測量標及び測量船の保全)
第十六條 何人も、正当な理由がないのに、水路測量標を毀損し、移転し、その他水路測量標の効用を害する虞のある行為をしてはならない。
第十七條 海上保安庁又は第六條の規定により許可を受けた者の船舶は、水路測量又は海象観測を行う場合には、運輸省令で定める標識を掲げなければならない。
第十八條 船長は、船舶を、正当な理由がないのに前條の標識を掲げる船舶に著しく接近させて航行させてはならない。
(水路関係事項の通報)
第十九條 港湾の修築、その他海岸線に重大な変化を生ずる工事をする者は、その旨を海上保安庁長官に通報しなければならない。
第二十條 船長は、水中に沈没物その他航海の障害となる虞のある物件があることを発見し、又は海上保安庁の刊行した水路図誌に記載されている事象と著しく異る事象を発見したときは、遅滞なく、その旨を海上保安庁長官に通報しなければならない。