(免許)
第四條 通運事業を経営しようとする者は、運輸大臣の免許を受けなければならない。
2 通運事業の免許は、取扱駅及び第二條第一項各号の種別について行う。
3 通運事業の免許は、荷主、取扱物品の種類又は作業場所を指定し、その他業務の範囲を限定して行うことができる。
(免許申請)
第五條 通運事業の免許を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した申請書を運輸大臣に提出しなければならない。
2 業務の範囲を限定する免許を受けようとする者は、申請書に前項に掲げる事項の外、荷主、取扱物品の種類又は作業場所その他業務の範囲をあわせて記載しなければならない。
3 申請書には、事業の施設、事業收支見積その他省令で定める事項を記載した事業計画を添附しなければならない。
4 運輸大臣は、通運事業の免許を申請した者に対し、前各項に規定するものの外、商業登記簿の謄本その他必要な書類の提出を求めることができる。
(免許基準)
第六條 運輸大臣は、前條に規定する申請書を受理したときは、左の基準によつて、これを審査しなければならない。
一 当該事業の開始が一般の需要に適合するものであること。
二 当該事業の開始が公衆の利便を増進するものであること。
三 当該申請に係る事業を適確に遂行するに足る能力を有するものであること。
四 当該事業の開始が鉄道による物品運送の効率の向上に資するものであること。
3 運輸大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が、同項の基準に適合していると認めたときは、左の場合を除いて、通運事業の免許をしなければならない。
一 免許を受けようとする者が一年以上の懲役又は禁この刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者であるとき。
二 免許を受けようとする者が免許の取消を受け、その取消の日から二年を経過しない者であるとき。
三 免許を受けようとする者が法人である場合において、その法人の役員が前二号の一に該当する者であるとき。
(事業の讓渡及び讓受の認可等)
第七條 通運事業の讓渡及び讓受は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 通運事業を行う法人の合併は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。但し、通運事業を経営する法人と通運事業を経営しない法人が合併する場合において、通運事業を経営する法人が存続するときは、この限りでない。
3 通運事業を経営する法人の合併があつたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、免許に基く権利義務を承継する。
4 前條の規定は、第一項又は第二項の認可について準用する。
(相続)
第八條 通運事業の免許を受けた者が死亡した場合において、相続人が被相続人の経営していた通運事業を引き続き経営しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。
2 相続人は、被相続人の死亡後六十日以内に前項の認可の申請をした場合においては、その認可があつた旨又はその認可をしない旨の通知を受けるまでは、第四條第一項の規定にかかわらず通運事業を経営することができる。
3 第六條の規定は、第一項の認可について準用する。
4 第一項の認可を受けた者及び第二項の規定により通運事業を経営する者は、通運事業の免許を受けた者とみなす。
(名義の利用及び事業の貸借等)
第九條 通運事業の免許を受けた者(以下「通運事業者」という。)は、その名義を他人に通運事業のため利用させてはならない。
2 通運事業者は、事業の貸借その他如何なる方法をもつてするかを問わず、通運事業を他人に経営させてはならない。
(事業の管理)
第十條 通運事業者の通運事業の管理の委託及び受託については、運輸大臣の許可を受けなければならない。
2 運輸大臣は、前項の許可の申請を受理した場合において、当該申請が左の基準に適合していると認めるときは、これを許可しなければならない。
一 当該事業を継続して運営するために必要であること。
二 受託者が当該事業を管理するのに適している者であること。
(事業の休止及び廃止)
第十一條 通運事業者は、通運事業の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、運輸大臣の許可を受けなければならない。
2 運輸大臣は、前項の許可の申請があつたときは、その休止又は廃止によつて公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除く外、これを許可しなければならない。
(事業計画の変更)
第十二條 通運事業者は、事業計画を変更しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。但し、次條の規定による運輸大臣の認可を受けた場合その他省令で定める場合は、この限りでない。
2 運輸大臣は、前項の認可の申請を受理した場合において、当該申請が左の基準に適合していると認めるときは、これを認可しなければならない。
一 事業計画の変更が公衆の利便を害するおそれがないものであること。
二 事業計画の変更によつて通運が一般の需要と著しく不均衡となるおそれがないものであること。
三 事業計画の変更が鉄道による物品運送の効率を著しく低下させるおそれがないものであること。
(自動車の新規使用)
第十三條 通運事業のために自動車を使用していない通運事業者が、通運事業のために新たに自動車を使用しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。
2 運輸大臣は、前項の認可の申請を受理した場合において、当該申請が左の基準に適合していると認めるときは、これを認可しなければならない。
一 使用しようとする自動車の供給輸送力が、当該事業に対する物品の集貨配達の需要と均衡のとれたものであること。
二 自動車を使用することが当該事業の能率的な運営を図るため必要であること。
(事業の停止及び免許の取消)
第十四條 運輸大臣は、通運事業者が左の各号の一に該当するときは、期間を定めて事業の停止を命じ、又は免許を取り消すことができる。
一 この法律若しくはこの法律に基く命令若しくはこれらに基く処分、第四條第三項の規定による業務の範囲の限定又は免許、許可若しくは認可に附した條件に違反したとき。
二 正当な理由がないのに許可又は認可を受けた事項を実施しないとき。
(貨物自動車運送事業者の特則)
第十五條 道路運送法(昭和二十二年法律第百九十一号)第十條に規定する貨物自動車運送事業の免許を有する者は、運輸大臣が取扱駅を指定したときは、第四條第一項、第九條、第十條、第十四條、第十六條、第十七條、第二十條から第二十二條まで、第二十六條及び第二十七條の規定の適用については、第二條第一項第三号の行為を行う事業について通運事業の免許を受けた者とみなす。
(免許の失効)
第十六條 左の場合には、通運事業の免許は、当該範囲について、その効力を失う。
二 取扱物品の種類を限定した通運事業の免許を受けた場合において、取扱駅がその物品の運送の営業を廃止したとき。
(通運引受義務)
第十七條 通運事業者は、左の場合を除いては、通運の引受を拒絶してはならない。
一 当該通運の申込が第二十一條の規定により認可を受けた通運約款によらないものであるとき。
二 委託者が第十九條第一項の規定による明告をせず、又は同條第二項の規定による点検の同意を與えないとき。
三 当該通運に関し委託者から特別の負担を求められたとき。
四 当該通運が法令の規定又は公の秩序若しくは善良な風俗に反するものであるとき。
(通運順序)
第十八條 通運事業者は、通運の申込を受けた順序により、物品を鉄道に託送しなければならない。但し、鉄道の輸送上の事由その他正当な事由があるときは、この限りでない。
(物品の種類及び性質の確認)
第十九條 通運事業者は、通運の申込があつたときは、その物品の種類及び性質を明告することを委託者に求めることができる。
2 通運事業者は、前項の場合において、物品の種類及び性質につき委託者が告げたことに疑があるときは、委託者の同意を得て、その立会の上で、これを点検することができる。
3 通運事業者は、前項の規定により点検をした場合において、物品の種類及び性質が委託者の明告したところと異ならないときは、これがため生じた損害の賠償をしなければならない。
4 通運事業者が第二項の規定により点検をした場合において、物品の種類及び性質が委託者の明告したところと異なるときは、委託者は、点検に要した費用を負担しなければならない。
(運賃及び料金)
第二十條 通運事業者は、通運事業の運賃及び料金を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によつてこれをしなければならない。
一 能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。
二 特定の荷主に対し不当な差別的取扱をするものでないこと。
3 運賃及び料金は、集貨、配達、取扱、積込、取卸その他業務の種別について定額をもつて明確に定められなければならない。
(通運約款)
第二十一條 通運事業者は、通運約款を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によつてこれをしなければならない。
一 公衆の正当な利益を害するおそれがないものであること。
二 少くとも物品の受取及び引渡、運賃及び料金の收受並びに通運事業者の責任に関する事項が明確に定められているものであること。
(運賃、料金及び通運約款の掲示)
第二十二條 通運事業者は、運賃、料金及び通運約款を事務所その他の事業場において公衆の見易い箇所に掲示しなければならない。
(引渡不能の物品の寄託)
第二十三條 通運事業者は、その責に帰すべからざる事由により物品の引渡をすることができないときは、荷主の費用をもつて、これを倉庫営業者に寄託することができる。
2 通運事業者は、前項の規定により物品を寄託したときは、遅滞なくその旨を荷主に通知しなければならない。
3 通運事業者は、第一項の規定により物品を寄託した場合において倉庫証券を作らせたときは、その証券の交付をもつて物品の引渡に代えることができる。
4 通運事業者は、第一項の費用の弁済を受けるまで、倉庫証券を留置することができる。
(引渡不能の物品の競売)
第二十四條 通運事業者は、委託者及び物品の引渡を受くべき者が知れない場合において、省令で定める手続により公告をした後三箇月を経過してもなおその権利者を知ることができないときは、その物品を競売することができる。但し、損敗し易い物品は、公告をした後三箇月以内でも競売することができる。
2 通運事業者は、物品の引渡を受くべき者が知れない場合において、委託者に対し相当の期間を定めその物品の処分につき指図をすべきことを催告しても委託者がその指図をしないときは、その物品を競売することができる。但し、損敗し易い物品は催告しないでも競売することができる。
3 通運事業者は、物品の引渡を受くべき者が物品の受取を拒み、又はこれを受け取ることができない場合において、相当の期間を定めて物品の受取を催告し、その期間経過後更に委託者に対し相当の期間を定めてその物品の処分につき指図をすべきことを催告しても委託者がその指図をしないときは、その物品を競売することができる。但し、損敗し易い物品は、催告しないでも競売することができる。
4 通運事業者は、第二項の規定により競売をしたときは委託者に、前項の規定により競売をしたときは委託者及び物品の引渡を受くべき者に、遅滞なくその旨の通知を発しなければならない。
5 通運事業者は、第一項から第三項までの規定により競売をしたときは、その代価を供託しなければならない。但し、その全部又は一部を運賃、料金、立替金又は保管、公告、催告若しくは競売に要した費用に充当することができる。
(会計)
第二十五條 通運事業者は、省令で定める様式の帳簿書類によりその会計を処理しなければならない。
(事業改善の命令)
第二十六條 運輸大臣は、通運事業者の事業について公衆の利便を阻害している事実があると認めるときは、通運事業者に対し、左に掲げる事項を命ずることができる。
(附帶業務)
第二十七條 第二十條から第二十二條まで及び前條の規定は、通運事業者が通運事業に附帶して行う物品の荷造、保管及び仕分、代金の取立及び立替その他通常通運事業に附帶する業務について準用する。