第一條 本法ニ於テ小運送業トハ左ニ揭グル事業ヲ謂フ
一 鐵道、軌道若ハ自動車運輸事業ノ爲ス物品運送又ハ此等ノ運送機關ト通運送ヲ爲ス運送機關ニ依ル通物品運送ノ運送取扱業又ハ運送代辨業
二 鐵道、軌道又ハ自動車運輸事業ニ附隨シ又ハ之ヲ利用シテ爲ス陸上ノ物品運送業
第二條 小運送業ヲ營マントスル者ハ主務大臣ノ免許ヲ受クベシ
第三條 小運送業者ハ運賃、料金其ノ他ノ取扱條件ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第四條 主務大臣ハ公益上必要アリト認ムルトキハ運賃料金其ノ他ノ取扱條件ノ變更、設備共同使用ノ協定、集配區域ノ協定其ノ他事業ノ實施及改善ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
前項ノ協定ニ付當事者間ノ協議調ハザルトキハ主務大臣之ヲ裁定ス
第五條 主務大臣ハ小運送業者ヲシテ其ノ事業ニ關シ報吿ヲ爲サシメ又ハ部下ノ官吏ヲシテ其ノ事業ノ狀況ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ官吏其ノ職務ヲ執行スル場合ニ於テハ身分ヲ證明スベキ證票ヲ携帶スベシ
第六條 小運送業者其ノ事業ノ全部又ハ一部ヲ休止シ又ハ廢止セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第七條 小運送業ノ讓渡又ハ小運送業ヲ營ム會社ノ合併若ハ解散ノ決議若ハ總社員ノ同意ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
相續人ガ被相續人ノ小運送業ヲ承繼シタルトキハ相續人ハ小運送業ノ免許ヲ受ケタルモノト看做ス此ノ場合ニ於テハ相續人ハ遲滯ナク其ノ旨ヲ主務大臣ニ屆出ヅベシ
前項ノ條件ハ公益上必要アルトキハ之ヲ變更スルコトヲ得
第九條 小運送業者其ノ事業ニ關スル協定ヲ爲シタルトキハ之ヲ主務大臣ニ屆出ヅベシ之ヲ變更又ハ廢止シタルトキ亦同ジ
前項ノ協定ガ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シタルトキ又ハ公益ヲ害スル虞アルトキハ主務大臣ハ協定ノ全部若ハ一部ヲ取消シ又ハ其ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第十條 小運送業者ハ認可ヲ受ケタル運賃及料金ヲ公示スベシ
小運送業者ハ何等ノ名義ヲ以テスルモ小運送業ニ付テハ公示シタル運賃及料金以外ノ報酬ヲ請求スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事由ニ因リテ爲シタル特別ノ作業ニ付相當ノ報酬ヲ受クルハ此ノ限ニ在ラズ
第十一條 鐵道營業法第十三條ノ三ノ規定ハ小運送業ニ之ヲ準用ス
第十二條 小運送業者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ主務大臣ハ免許ノ全部若ハ一部ヲ取消シ又ハ事業ノ全部若ハ一部ノ停止ヲ命ズルコトヲ得
三 事業ノ經營不確實又ハ資產狀態ノ著シキ不良其ノ他ノ爲事業ヲ繼續スルニ適セザルトキ
五 第十條ノ規定ニ違反シ運賃及料金ヲ公示セズ又ハ不當ノ報酬ヲ請求シタルトキ
主務大臣前項ノ規定ニ依ル免許取消ヲ爲サントスルトキハ審査委員會ノ議ヲ經ルコトヲ要ス
第十三條 第三條乃至第五條、第八條乃至第十條及前條ノ規定ハ運送品ノ荷造、保管及仕分、保險契約ノ締結、代金ノ取立、立替其ノ他小運送業ニ通常附帶シテ爲ス業務ニ之ヲ準用ス
第十四條 免許ヲ受ケズシテ小運送業ヲ營ミタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス自己ノ免許名義ヲ他人ニ利用セシメタル者亦同ジ
第十五條 小運送業者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
二 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ認可ヲ受ケテ爲スベキ事項ヲ之ヲ受ケズシテ爲シタルトキ
四 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依ル屆出若ハ報吿ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ屆出若ハ報吿ヲ爲シタルトキ
五 第五條ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタルトキ
六 第十條ノ規定ニ違反シ運賃及料金ヲ公示セズ又ハ不當ノ報酬ヲ請求シタルトキ
第十六條 小運送業者ハ其ノ代理人、戶主、家族、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ本法ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
本法ノ罰則ハ法人ニ在リテハ理事、取締役其ノ他法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ニ在リテハ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十七條 本法ニ定ムル主務大臣ノ職權ノ一部ハ之ヲ地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監トス)又ハ鐵道局長ニ委任スルコトヲ得
第十八條 第一條ニ揭グル事業以外ノ陸上ニ於ケル物品運送業(鐵道、軌道又ハ自動車ニ依ル物品運送業ヲ除ク)又ハ陸上ニ於ケル物品運送ノ運送取扱業若ハ運送代辨業ニ於ケル運賃、料金其ノ他ノ取扱條件ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム