第一條 この法律は、現下の用紙その他の資材の不足等極めて窮迫した経済事情の下に行われる選挙を、最も適正且つ公平ならしめることを目的として、昭和二十二年中に施行される衆議院議員、参議院議員、地方議会の議員及び地方公共團体の長の選挙において、選挙運動のために使用する文書図画等の頒布又は掲示について、これを適用する。
第二條 主として、選挙運動のために使用する文書図画は左の各号に定める無料葉書の外は、これを頒布することができない。
一 衆議院議員又は参議院地方選出議員の候補者一人について二万枚
第三條 選挙運動のために、使用する回覽板その他の文書図画又は看板(プラカードを含む)の類を多数の者に回覽させることは、これを前條の頒布とみなす。
第四條 選挙運動のために使用する文書図画は、左の各号の一に該当するものの外は、これを掲示することができない。
二 演説会場において使用する張札、立札、ちようちん及び看板の類
三 選挙事務所を表示するために、その場所において使用する張札、立札、ちようちん及び看板の類
前項第一号の張札は、町村その他これに準ずるものの議会の議員及びその町村長の選挙の場合には、これを掲示することができない。
第五條 選挙のために使用する張札は、左の各号に定める数を超えてはならない。
一 衆議院議員、参議院議員並びに都道府縣及び市制第六條及び第八十二條第一項の市の長の選挙においては、候補者一人について一千枚
二 都道府縣及び市(東京都の区を含む)の議会の議員並びに市制第六條及び第八十二條第一項の市以外の市(東京都の区を含む)の長の選挙においては候補者一人について三百枚
参議院全國選出議員候補者は一人について一万枚とし、一の都道府縣においては一千枚を超えてはならない。
前二項の張札には、当該選挙を管理する選挙管理委員会(参議院全國選出議員候補者については全國選出議員選挙管理委員会又は本人の申請によつて承認した都道府縣選挙管理委員会)の檢印を受けなければならない。
候補者以外の者が選挙のために使用する張札は、第一項各号に定める張札の枚数に通算する。
第六條 選挙のために使用する張札は、タブロイド型(長さ四十一センチメートル、幅二十八センチメートル)ヲ超えてはならない。
第七條 選挙のために使用する張札を掲示しようとする者は、その張札の表面に、その住所及び氏名を記載しなければならない。
第八條 何人も、選挙のために使用する張札を掲示する場合には、左の各号の制限に從わなければならない。
一 同一工作物には、候補者一人について一枚を超えて掲示してはならない
二 國若しくは地方公共團体が所有し又は管理するものには、張札を掲示してはならない
三 選挙の当日、投票所内に張札を掲示してはならない
四 すべて、所有者若しくは管理者の承諾を得ないで、他人の工作物に張札を掲示してはならない
第九條 選挙運動の期間中は、著述演藝等の廣告その他何等の名義を以てするを問わず、第二條及び第四條の禁止を免れる行爲として、主として候補者又はこれを推薦する政事結社若しくはその他の團体の名を表示する文書図画を頒布し又は掲示することができない。
選挙運動の期間前に掲示した文書図画で前項に該当するものと、都道府縣選挙管理委員会が認めたものは、選挙運動の期間中、これを撤去し又は撤去させることができる。
第十條 候補者又は政事結社の代表者は、各都道府縣選挙管理委員会の定める同一寸法で、いずれかの一つの新聞に、一回を限り、選挙に関して、廣告することができる。
前項の廣告を掲載した新聞紙は、第二條の規定にかかわらず、新聞販賣を業とする者が、通常の方法でこれを頒布することができる。
第十一條 参議院全國選出議員候補者は、全國選出議員選挙管理委員会の定めるところにより無料で三回を限り選挙に関する放送をすることができる。
第十二條 選挙に関する公報並びにこの法律の定める張札、無料葉書及び新聞廣告には候補者が立候補に関しその希望する事項を記載することができる。
第十三條 選挙運動に使用するために、内務省又は都道府縣のあつせんにより用紙の配給を受けた者が、候補者の届出又はその推薦の届出をしなかつた場合及び届出又は推薦届出があつた候補者が候補者たることを辞した場合には、議員候補者の届出又は推薦届出の期限経過後直ちに、その全部を内務省又は当該都道府縣に返還しなければならない。
第十四條 第二條、第四條乃至第六條及び第九條の規定に違反して、文書図画を頒布し又は掲示した者は、これを五千円以下の罰金に処する。
当選人で前項に掲げる規定に違反した者は、これを五万円以下の罰金に処する。
第十五條 第七條及び第八條の規定に違反して、文書図画を掲示した者は、これを三千円以下の罰金に処する。
当選人で前項に掲げる規定に違反した者は、これを三万円以下の罰金に処する。
第十六條 第十四條及び第十五條の罪の時効は、六箇月を経過することによつて、完成する。但し、犯人が逃亡したときは、その期間を一年とする。