(社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律)
法令番号: 法律第五十三号
公布年月日: 昭和22年4月12日
法令の形式: 法律
朕は、帝國議会の協賛を経た昭和十四年法律第七十八号を改正する法律を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月十一日
内閣総理大臣 吉田茂
内務大臣 植原悦二郎
大藏大臣 石橋湛山
文部大臣 高橋誠一郎
農林大臣 木村小左衞門
法律第五十三号
昭和十四年法律第七十八号を次のように改正する。
第一條 社寺上地、地租改正、寄附(地方公共團体からの寄附については、これに実質上負担を生ぜしめなかつたものに限る。)又は寄附金による購入(地方公共團体からの寄附金については、これに実質上負担を生ぜしめなかつたものに限る。)によつて國有となつた國有財產で、この法律施行の際、現に神社、寺院又は教会(以下社寺等という。)に対し、國有財產法によつて無償で貸し付けてあるもの、又は國有林野法によつて保管させてあるもののうち、その社寺等の宗教活動を行うのに必要なものは、その社寺等において、この法律施行後一年内に申請をしたときは、社寺境内地処分審査会又は社寺保管林処分審査会に諮問して、主務大臣が、これをその社寺等に讓與することができる。
社寺境内地処分審査会及び社寺保管林処分審査会に関する規程は、勅令でこれを定める。
第二條 この法律施行の際、現に國有財產法によつて社寺等に無償で貸し付けてある國有財產で、前條第一項の規定による讓與をしないもののうち、その社寺等の宗教活動を行うのに必要なものは、同條同項の申請をしたものについては、讓與をしないことの決定通知を受けた日から、六箇月内に、その他のものについては、この法律施行の日から、一年内に、申請をしたときは、社寺境内地処分審査会に諮問して、主務大臣は、時價の半額で、随意契約によつて、これをその社寺等に賣り拂うことができる。
前條第一項に規定する行政処分について、訴願をした者は、前項の期間満了後も、その裁決書を受領した日から、なお三箇月内に、前項の賣拂の申請をすることができる。
第三條 第一條第一項又は前條第一項の規定によつて、讓與又は賣拂をする國有財產の範囲は、勅令でこれを定める。
第四條 第一條第一項又は第二條第一項の規定によつて、讓與又は賣拂をすることができる國有財產(以下從前の土地という。)が、その讓與又は賣拂前に、耕地整理法による耕地整理又は都市計画法若しくは特別都市計画法による土地区画整理の施行地区に編入せられた場合において、その從前の土地に係る換地処分に関して、國が清算金の交付又は補償金の支拂を受ける場合は、主務大臣は、從前の土地にあつた社寺等が、換地処分の告示のあつた時から、一年内に、申請をしたときは、第一條第一項に規定する從前の土地に係る清算金又は補償金については、その金額に相当する債権を、第二條第一項に規定する從前の土地に係る清算金又は補償金については、その金額の半額に相当する債権をその社寺等に讓渡することができる。
國が耕地整理法、都市計画法又は特別都市計画法の規定によつて、費用を負担せしめられる場合又は從前の土地に係る換地処分に関して、國が清算金を徴收せられる場合は、第一條第一項に規定する從前の土地に係る負担金又は清算金については、その金額に相当する債務を、第二條第一項に規定する從前の土地に係る負担金又は清算金については、その金額の半額に相当する債務をその社寺等に負担せしめる。
第五條 從前の土地が、その讓與又は賣拂前に、耕地整理法による耕地整理又は都市計画法若しくは特別都市計画法による土地区画整理の施行地区に編入せられた場合において、從前の土地にあつた社寺等が、その交付せられた換地以外の土地に移轉する必要のあるときは、主務大臣は、その社寺等が、換地処分の告示のあつた時から、一年内に、申請をしたときは、その社寺等に対し、第一條第一項に規定する從前の土地の換地及び從前の土地に定著する國有物件については、讓與を、第二條第一項に規定する從前の土地の換地及び從前の土地に定著する國有物件については、時價の半額で、賣拂をすることができる。
前項の規定によつて讓與又は賣拂をする場合には、社寺境内地処分審査会又は社寺保管林処分審査会に諮問しなければならない。
第六條 この法律に規定する行政処分に対して、不服のある者は、訴願をすることができる。
前項の訴願を裁決する場合には、社寺境内地処分審査会又は社寺保管林処分審査会に諮問しなければならない。
第七條 第二條第一項及び第五條第一項の規定による賣拂代金については、命令の定めるところによつて、十年内の年賦延納又は土地による代物弁済を認めることができる。
附 則
第八條 この法律の施行期日は、勅令でこれを定める。
第九條 國有財產法の一部を次のように改正する。
第五條第三号を削る。
第二十四條 削除
第十條 この法律施行前に、神社、寺院、教会又は佛堂の合併によつて、その用に供しなくなつた國有財產で、その神社、寺院、教会又は佛堂が、この法律施行の日までに、讓與を申請したものについては、その神社、寺院又は教会の宗教活動を行うのに必要なものに限り、前條の規定にかかわらず、國有財產法第五條第三号の規定は、なおその効力を有する。
前項の規定によつて、讓與をする場合には、社寺境内地処分審査会に諮問しなければならない。
第一條第一項、第二條第一項又は第五條第一項の規定によつて、讓與又は賣拂をすることに決定したものについては、國有財產法第二十四條の規定は、前條の規定にかかわらず、その讓與又は賣拂の日まで、なおその効力を有する。
第十一條 國有林野法の一部を次のように改正する。
第三條第三項を削る。
第十七條 削除
第十二條 神社又は寺院の植栽した森林は、その神社又は寺院において、この法律施行後六箇月内に申請をしたときは、主務大臣が、森林の管理経営上特に必要があると認定したものに限り、この法律施行の日から、國有林野法の規定による部分林を設けたものとする。
第十三條 從前の社寺保管林で、第一條の規定によつて、神社又は寺院に讓與し、又は前條の規定によつて、部分林とするもの以外のものについては、その神社又は寺院が費した有益費は、勅令の定めるところによつて、これを補償する。
前項の規定によつて、補償をする場合には、社寺保管林処分審査会に諮問しなければならない。
第十四條 この法律施行の際、現に社寺等に無償で貸し付けてある皇室財產令の規定による御料に属する土地が、國有財產法の規定による雜種財產となつたときは、その時から、この法律を適用する。但し、第一條第一項中「地方公共團体からの」とあるのは、「國又は地方公共團体からの」と、「國有となつた」とあるのは、「御料となつた」と読み替えるものとする。
前項の雜種財產で第一條第一項、第二條第一項又 第五條第一項の規定によつて、讓與又は賣拂をすることに決定したものについては、雜種財產となつた日から、その讓與又は賣拂の日まで、その社寺等に無償で貸し付けたものとみなす。
朕は、帝国議会の協賛を経た昭和十四年法律第七十八号を改正する法律を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月十一日
内閣総理大臣 吉田茂
内務大臣 植原悦二郎
大蔵大臣 石橋湛山
文部大臣 高橋誠一郎
農林大臣 木村小左衛門
法律第五十三号
昭和十四年法律第七十八号を次のように改正する。
第一条 社寺上地、地租改正、寄附(地方公共団体からの寄附については、これに実質上負担を生ぜしめなかつたものに限る。)又は寄附金による購入(地方公共団体からの寄附金については、これに実質上負担を生ぜしめなかつたものに限る。)によつて国有となつた国有財産で、この法律施行の際、現に神社、寺院又は教会(以下社寺等という。)に対し、国有財産法によつて無償で貸し付けてあるもの、又は国有林野法によつて保管させてあるもののうち、その社寺等の宗教活動を行うのに必要なものは、その社寺等において、この法律施行後一年内に申請をしたときは、社寺境内地処分審査会又は社寺保管林処分審査会に諮問して、主務大臣が、これをその社寺等に譲与することができる。
社寺境内地処分審査会及び社寺保管林処分審査会に関する規程は、勅令でこれを定める。
第二条 この法律施行の際、現に国有財産法によつて社寺等に無償で貸し付けてある国有財産で、前条第一項の規定による譲与をしないもののうち、その社寺等の宗教活動を行うのに必要なものは、同条同項の申請をしたものについては、譲与をしないことの決定通知を受けた日から、六箇月内に、その他のものについては、この法律施行の日から、一年内に、申請をしたときは、社寺境内地処分審査会に諮問して、主務大臣は、時価の半額で、随意契約によつて、これをその社寺等に売り払うことができる。
前条第一項に規定する行政処分について、訴願をした者は、前項の期間満了後も、その裁決書を受領した日から、なお三箇月内に、前項の売払の申請をすることができる。
第三条 第一条第一項又は前条第一項の規定によつて、譲与又は売払をする国有財産の範囲は、勅令でこれを定める。
第四条 第一条第一項又は第二条第一項の規定によつて、譲与又は売払をすることができる国有財産(以下従前の土地という。)が、その譲与又は売払前に、耕地整理法による耕地整理又は都市計画法若しくは特別都市計画法による土地区画整理の施行地区に編入せられた場合において、その従前の土地に係る換地処分に関して、国が清算金の交付又は補償金の支払を受ける場合は、主務大臣は、従前の土地にあつた社寺等が、換地処分の告示のあつた時から、一年内に、申請をしたときは、第一条第一項に規定する従前の土地に係る清算金又は補償金については、その金額に相当する債権を、第二条第一項に規定する従前の土地に係る清算金又は補償金については、その金額の半額に相当する債権をその社寺等に譲渡することができる。
国が耕地整理法、都市計画法又は特別都市計画法の規定によつて、費用を負担せしめられる場合又は従前の土地に係る換地処分に関して、国が清算金を徴収せられる場合は、第一条第一項に規定する従前の土地に係る負担金又は清算金については、その金額に相当する債務を、第二条第一項に規定する従前の土地に係る負担金又は清算金については、その金額の半額に相当する債務をその社寺等に負担せしめる。
第五条 従前の土地が、その譲与又は売払前に、耕地整理法による耕地整理又は都市計画法若しくは特別都市計画法による土地区画整理の施行地区に編入せられた場合において、従前の土地にあつた社寺等が、その交付せられた換地以外の土地に移転する必要のあるときは、主務大臣は、その社寺等が、換地処分の告示のあつた時から、一年内に、申請をしたときは、その社寺等に対し、第一条第一項に規定する従前の土地の換地及び従前の土地に定著する国有物件については、譲与を、第二条第一項に規定する従前の土地の換地及び従前の土地に定著する国有物件については、時価の半額で、売払をすることができる。
前項の規定によつて譲与又は売払をする場合には、社寺境内地処分審査会又は社寺保管林処分審査会に諮問しなければならない。
第六条 この法律に規定する行政処分に対して、不服のある者は、訴願をすることができる。
前項の訴願を裁決する場合には、社寺境内地処分審査会又は社寺保管林処分審査会に諮問しなければならない。
第七条 第二条第一項及び第五条第一項の規定による売払代金については、命令の定めるところによつて、十年内の年賦延納又は土地による代物弁済を認めることができる。
附 則
第八条 この法律の施行期日は、勅令でこれを定める。
第九条 国有財産法の一部を次のように改正する。
第五条第三号を削る。
第二十四条 削除
第十条 この法律施行前に、神社、寺院、教会又は仏堂の合併によつて、その用に供しなくなつた国有財産で、その神社、寺院、教会又は仏堂が、この法律施行の日までに、譲与を申請したものについては、その神社、寺院又は教会の宗教活動を行うのに必要なものに限り、前条の規定にかかわらず、国有財産法第五条第三号の規定は、なおその効力を有する。
前項の規定によつて、譲与をする場合には、社寺境内地処分審査会に諮問しなければならない。
第一条第一項、第二条第一項又は第五条第一項の規定によつて、譲与又は売払をすることに決定したものについては、国有財産法第二十四条の規定は、前条の規定にかかわらず、その譲与又は売払の日まで、なおその効力を有する。
第十一条 国有林野法の一部を次のように改正する。
第三条第三項を削る。
第十七条 削除
第十二条 神社又は寺院の植栽した森林は、その神社又は寺院において、この法律施行後六箇月内に申請をしたときは、主務大臣が、森林の管理経営上特に必要があると認定したものに限り、この法律施行の日から、国有林野法の規定による部分林を設けたものとする。
第十三条 従前の社寺保管林で、第一条の規定によつて、神社又は寺院に譲与し、又は前条の規定によつて、部分林とするもの以外のものについては、その神社又は寺院が費した有益費は、勅令の定めるところによつて、これを補償する。
前項の規定によつて、補償をする場合には、社寺保管林処分審査会に諮問しなければならない。
第十四条 この法律施行の際、現に社寺等に無償で貸し付けてある皇室財産令の規定による御料に属する土地が、国有財産法の規定による雑種財産となつたときは、その時から、この法律を適用する。但し、第一条第一項中「地方公共団体からの」とあるのは、「国又は地方公共団体からの」と、「国有となつた」とあるのは、「御料となつた」と読み替えるものとする。
前項の雑種財産で第一条第一項、第二条第一項又 第五条第一項の規定によつて、譲与又は売払をすることに決定したものについては、雑種財産となつた日から、その譲与又は売払の日まで、その社寺等に無償で貸し付けたものとみなす。