医療保護法施行令
法令番号: 勅令第八百十一號
公布年月日: 昭和16年8月9日
法令の形式: 勅令
朕醫療保護法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年八月八日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
內務大臣 田邉治通
大藏大臣 小倉正恒
厚生大臣 小泉親彥
勅令第八百十一號
醫療保護法施行令
第一條 恩賜財團濟生會ハ醫療保護法第三條ノ事業者トス
第二條 醫療保護法ノ附帶事業ノ種類左ノ如シ
一 長期患者ノ慰安事業
二 榮養品支給事業
三 巡廻看護事業
四 產婆又ハ看護婦ノ養成事業
五 其ノ他厚生大臣ノ定ムル事業
第三條 醫療保護法ニ依リ受ケシムベキ醫療ノ範圍左ノ如シ
一 診察
二 藥劑又ハ治療材料ノ支給
三 處置、手術其ノ他ノ治療
四 看護
五 患者ノ移送
第四條 醫療保護法ニ依リ受ケシムベキ助產ノ範圍左ノ如シ
一 分娩ノ介助
二 分娩前及分娩後ノ處置
三 看護
四 姙產婦ノ移送
第五條 前二條ノ看護又ハ移送ハ事業者ガ患者又ハ姙產婦ノ爲必要アリト認ムル場合ニ限リ之ヲ受ケシムルコトヲ得
第六條 醫療及助產(居宅ニ於ケル助產ヲ除ク)ノ爲支出スル費用(看護及移送ノ費用ヲ除ク)ノ限度ハ厚生大臣ノ認可ヲ受ケ地方長官之ヲ定ム
居宅ニ於ケル助產ノ爲支出スル費用(看護及移送ノ費用ヲ除ク)ノ限度ハ十圓以內ニ於テ地方長官之ヲ定ム但シ特別ノ必要アル場合ニ於テハ地方長官ハ厚生大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ制限ヲ超過シテ之ヲ定ムルコトヲ得
第七條 看護ノ爲支出スル費用ノ限度ハ厚生大臣ノ認可ヲ受ケ地方長官之ヲ定ム
移送ヲ爲シタル場合ニ於テハ其ノ實費ヲ支出スルコトヲ得
第八條 醫療又ハ助產ハ看護又ハ移送ノ場合ヲ除クノ外事業者ノ施設又ハ地方長官ノ指定スル醫師、齒科醫師若ハ產婆ニ就キ醫療券ヲ提示シテ之ヲ受ケシム
急迫ノ事情アル場合ニ於テハ前項ノ規定ニ拘ラズ地方長官ノ指定セザル醫師、齒科醫師若ハ產婆ニ就キ又ハ醫療券ヲ提示セズシテ醫療又ハ助產ヲ受クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ地方長官ノ指定セザル醫師、齒科醫師又ハ產婆ニ就キ醫療又ハ助產ヲ受ケタルトキハ第六條ノ規定ニ拘ラズ其ノ實費ヲ支出スルコトヲ得
第九條 醫師又ハ齒科醫師處方箋ヲ交付シタルトキハ地方長官ノ指定シタル藥劑師ニ就キ藥劑ヲ受ケシム
第十條 醫療保護法第二十條又ハ第二十一條ノ規定ニ依リ事業者又ハ市町村ノ負擔シタル費用ニ對スル國庫補助ハ各年度ニ於テ事業者ノ醫療及助產ニ要シタル費用竝ニ市町村ノ方面委員ニ關シ支出シタル費用ヨリ其ノ年度ニ於テ其ノ費用ニ充ツベキ寄附金其ノ他ノ收入及同法第二十三條ノ規定ニ依リ徵收シ又ハ償還セシメタル金額ヲ控除シタル精算額ニ對シ之ヲ爲ス
前項ノ規定ニ依リ控除スベキ金額ガ其ノ年度ニ於ケル醫療及助產ニ要シタル費用竝ニ方面委員ニ關シ支出シタル費用ノ額ヲ超過スル場合ニ於テハ其ノ超過額ハ後年度ニ於ケル支出額ヨリ之ヲ控除ス
第十一條 事業者ノ經營スル施設ノ費用ニ對スル國庫補助ハ左ニ揭グル費用ヨリ其ノ費用ニ充ツベキ寄附金其ノ他ノ收入ヲ控除シタル精算額ニ對シ之ヲ爲ス
一 施設ノ創設費、改良費、擴張費及之ニ件フ初度調辨費
二 事務費
施設ニシテ他ノ目的ニ利用シ得ベキモノニ付テハ前項ノ精算額ハ醫療保護法ニ依ル醫療又ハ助產ノ爲利用セラルベキ程度ヲ標準トシテ之ヲ定ム
第十二條 前二條ノ規定ハ道府縣ノ爲ス補助ニ之ヲ準用ス
第十三條 醫療保護法第二十二條ノ規定ニ依ル國庫及道府縣ノ補助金ハ前三條ノ場合ニ於ケル控除額ニ之ヲ算入セズ
第十四條 町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ本令中町村ニ關スル規定ハ之ヲ町村ニ準ズベキモノニ適用ス
附 則
第十五條 本令ハ醫療保護法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第十六條 救護法施行令中左ノ通改正ス
第九條乃至第十一條、第十四條、第十五條及第十七條ヲ削除ス
第十六條中「、醫療又ハ助產」ヲ削ル
第二十一條中「第十五條、」及「助產、」ヲ削ル
第十七條 母子保護法施行令中左ノ通改正ス
第六條及第九條ヲ削除ス
朕医療保護法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年八月八日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
内務大臣 田邉治通
大蔵大臣 小倉正恒
厚生大臣 小泉親彦
勅令第八百十一号
医療保護法施行令
第一条 恩賜財団済生会ハ医療保護法第三条ノ事業者トス
第二条 医療保護法ノ附帯事業ノ種類左ノ如シ
一 長期患者ノ慰安事業
二 栄養品支給事業
三 巡廻看護事業
四 産婆又ハ看護婦ノ養成事業
五 其ノ他厚生大臣ノ定ムル事業
第三条 医療保護法ニ依リ受ケシムベキ医療ノ範囲左ノ如シ
一 診察
二 薬剤又ハ治療材料ノ支給
三 処置、手術其ノ他ノ治療
四 看護
五 患者ノ移送
第四条 医療保護法ニ依リ受ケシムベキ助産ノ範囲左ノ如シ
一 分娩ノ介助
二 分娩前及分娩後ノ処置
三 看護
四 姙産婦ノ移送
第五条 前二条ノ看護又ハ移送ハ事業者ガ患者又ハ姙産婦ノ為必要アリト認ムル場合ニ限リ之ヲ受ケシムルコトヲ得
第六条 医療及助産(居宅ニ於ケル助産ヲ除ク)ノ為支出スル費用(看護及移送ノ費用ヲ除ク)ノ限度ハ厚生大臣ノ認可ヲ受ケ地方長官之ヲ定ム
居宅ニ於ケル助産ノ為支出スル費用(看護及移送ノ費用ヲ除ク)ノ限度ハ十円以内ニ於テ地方長官之ヲ定ム但シ特別ノ必要アル場合ニ於テハ地方長官ハ厚生大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ制限ヲ超過シテ之ヲ定ムルコトヲ得
第七条 看護ノ為支出スル費用ノ限度ハ厚生大臣ノ認可ヲ受ケ地方長官之ヲ定ム
移送ヲ為シタル場合ニ於テハ其ノ実費ヲ支出スルコトヲ得
第八条 医療又ハ助産ハ看護又ハ移送ノ場合ヲ除クノ外事業者ノ施設又ハ地方長官ノ指定スル医師、歯科医師若ハ産婆ニ就キ医療券ヲ提示シテ之ヲ受ケシム
急迫ノ事情アル場合ニ於テハ前項ノ規定ニ拘ラズ地方長官ノ指定セザル医師、歯科医師若ハ産婆ニ就キ又ハ医療券ヲ提示セズシテ医療又ハ助産ヲ受クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ地方長官ノ指定セザル医師、歯科医師又ハ産婆ニ就キ医療又ハ助産ヲ受ケタルトキハ第六条ノ規定ニ拘ラズ其ノ実費ヲ支出スルコトヲ得
第九条 医師又ハ歯科医師処方箋ヲ交付シタルトキハ地方長官ノ指定シタル薬剤師ニ就キ薬剤ヲ受ケシム
第十条 医療保護法第二十条又ハ第二十一条ノ規定ニ依リ事業者又ハ市町村ノ負担シタル費用ニ対スル国庫補助ハ各年度ニ於テ事業者ノ医療及助産ニ要シタル費用並ニ市町村ノ方面委員ニ関シ支出シタル費用ヨリ其ノ年度ニ於テ其ノ費用ニ充ツベキ寄附金其ノ他ノ収入及同法第二十三条ノ規定ニ依リ徴収シ又ハ償還セシメタル金額ヲ控除シタル精算額ニ対シ之ヲ為ス
前項ノ規定ニ依リ控除スベキ金額ガ其ノ年度ニ於ケル医療及助産ニ要シタル費用並ニ方面委員ニ関シ支出シタル費用ノ額ヲ超過スル場合ニ於テハ其ノ超過額ハ後年度ニ於ケル支出額ヨリ之ヲ控除ス
第十一条 事業者ノ経営スル施設ノ費用ニ対スル国庫補助ハ左ニ掲グル費用ヨリ其ノ費用ニ充ツベキ寄附金其ノ他ノ収入ヲ控除シタル精算額ニ対シ之ヲ為ス
一 施設ノ創設費、改良費、拡張費及之ニ件フ初度調弁費
二 事務費
施設ニシテ他ノ目的ニ利用シ得ベキモノニ付テハ前項ノ精算額ハ医療保護法ニ依ル医療又ハ助産ノ為利用セラルベキ程度ヲ標準トシテ之ヲ定ム
第十二条 前二条ノ規定ハ道府県ノ為ス補助ニ之ヲ準用ス
第十三条 医療保護法第二十二条ノ規定ニ依ル国庫及道府県ノ補助金ハ前三条ノ場合ニ於ケル控除額ニ之ヲ算入セズ
第十四条 町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ本令中町村ニ関スル規定ハ之ヲ町村ニ準ズベキモノニ適用ス
附 則
第十五条 本令ハ医療保護法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第十六条 救護法施行令中左ノ通改正ス
第九条乃至第十一条、第十四条、第十五条及第十七条ヲ削除ス
第十六条中「、医療又ハ助産」ヲ削ル
第二十一条中「第十五条、」及「助産、」ヲ削ル
第十七条 母子保護法施行令中左ノ通改正ス
第六条及第九条ヲ削除ス